転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 今更ドラクエ11にハマってる作者。色々遅い作者。今度はウィッチャー3かディアボロ3買おう


本当は

 

 

 

 

 

 

 リンディさんのお叱りが終わったようで、俺はリンディさんに呼ばれクロノと一緒に指令室を後にし別室に。既にそこには叱られた後であろうなのはちゃんとユーノの姿も。

 御守りはエイミィさんに預けて解析をしてもらっている。とりあえず、今は俺の知りたい事とリンディさん達が俺に聞きたい事について話し合う事に。最初にまずクロノから今回の事件…………事件というのはなのはちゃん達アースラとフェイトちゃんによるこれまでのジュエルシードの奪い合いの事。ある程度の詳細は先ほど聞いているから話を進めてもらう。

 クロノは今回の事件の大元に心当たりがあるらしくそれについて語り始めた。部屋の中央に何もないところからモニター化された映像が映し出される。すげぇな魔法、本当に便利だ。映像には1人の女性の姿が。その女性を見てリンディさんが反応を示す、知っている人なのだろか。

 

「プレシア・テスタロッサ………僕達と同じミッドチルダ出身の魔導師だ」

「テスタロッサ?」

 

 フェイトちゃんと同じファミリーネームだ。

 

「まさか、フェイトちゃんの?」

「あぁ、恐らく親子だろう」

 

 俺の疑問にいち早く答えるクロノ。なのはちゃんも心当たりがあったらしく頷いている。そして、フェイトちゃんを襲ったあの魔力の稲妻……あれもプレシア・テスタロッサが放ったものだとクロノが言い出す。魔力反応?とかそういうものがデータと一致しているから間違いないらしい。

 

「バカなっ、自分の娘を攻撃したってのか?」

 

 公園で会ったフェイトちゃんを思い出す。最初に会った時母親について聞いた。とても楽しそうに話していた事を覚えてる。優しい母親だと、愛していると、愛されていたと。最近はうまくいってないような事も口走っていた事を思い出した。

 プレゼントのケーキにも見向きされず悲しんでいた事を。手に力が自然と入る。

 

「あ、あの…‥驚いてたっていうより、何だか怖がっているみたいでした」

 

 なのはちゃんのその発言に一同顔を難しくする。怖がってた………ね。という事は……日常的にそういう行為があったんじゃないかと疑わざるを得ない。だが、そんな仕打ちを受けているフェイトちゃんはどうしてあんなに真っ直ぐ母親の事を楽しそうに語れたのだろう。

 

「とにかく、エイミィに頼んでプレシア女史について追加の情報を調べてもらいましょ」

 

 通信を繋げてエイミィさんにその事を頼むリンディさん。その追加の情報を待っている間に話の矛先は俺に向く。

 

「それじゃあ、慎司君に私からいくつか質問があります。正直に答えてください」

 

 リンディさんの目つきが少し変わった。真剣な事のようだし茶化したりするのはよしておこう。俺ははいと返事をして質問を待つ。

 

「まず一つ目、慎司君はフェイト・テスタロッサの事を前からご存知だったの?」

 

 あの海上で俺の事はアースラでモニターしていたらしいからな……普通に話している姿を見て疑問に思ったのだろう。

 

「知ってはいました。前に2度ほど近所の公園で見かけて話をしたりしました」

 

 俺の答えになのはちゃんは少々驚いていた。あぁ、顔見知りな事伝えてなかった。

 

「魔法やジュエルシードについては今日まで知らなかったのよね?」

 

 頷く。そして不毛な質問が続かない内に先にリンディさんに伝えた。

 

「フェイトちゃんについて情報を持っているか気になっているのなら俺はリンディさんが知っている以上のことは知りません。申し訳ないですが、お役には立てないと思います」

「そうみたいね、貴方も今回は巻き込まれた立場でしょう。それじゃ、少し質問を変えるわ」

 

 今度は何だろうか。

 

「エイミィから御守りについての報告は通信で受けています。貴方のご両親のお名前を聞かせてもらえる?」

 

 なのはちゃんとユーノは何のことか知らないだろうから首を傾げていた。

 

「…………父親は、荒瀬信治郎………母親は、荒瀬ユリカ」

「…………やはりそうでしたか」

「知っているんですか?」

「えぇ、慎司君ももう気付いているでしょうから言いますが貴方の母親であるユリカさんはミッドチルダ出身で元管理局の技術者。父親の信治郎さんは地球出身の魔導師です」

 

 ほほう、それは興味深いね。なのはちゃんとユーノ君はその事実に大口開けて驚いていたがクロノも別の意味で驚いていた。

 

「名前はユリカで元管理局の技術者というのはまさか」

「えぇ、管理局特別技術開発局長だったユリカ・ユーリヤさんの事よ」

 

 ママンの旧姓か……一度聞いた事ある。ミッドチルダ出身のくせにリンディさん達と違って日本人顔だから全然想像してなかった。その旧姓も冗談で言われたのかと思ってたし。ていうかママンもしかして結構な地位の人だったんじゃねえか?局長だぞ?

 

「エイミィが解析してくれた御守りのなかのチップも彼女が開発していたチップ型魔力シールド発生装置………魔法を使えない慎司君が持っていても、所有者に攻撃性魔力を検知した時にチップに込められた魔力が自動的に所有者を守るようにプログラムされてる物みたい」

 

 簡単に言うけどこれすごい技術なのよねとため息混じりにリンディさんは呟いた。そうか、ママンは俺を守る為にこれを持たせたのか。

 

「私達は意図してない事とはいえご家族の隠し事を結果的に貴方に漏らしてしまう事になってしまいました。ですのでここから先の説明は本人同士でしてもらいましょう」

 

 リンディさんがそう言い終えると同時に部屋の扉が開く。二つの人影。2人ともよく知ってる顔だ。

 

「慎司君のお父さんとお母さん!?」

 

 なのはちゃんが驚きの声を上げる。リンディさんは俺の名前を聞いた時からピンと来ていたらしく両親に既に連絡済みだったと伝えられる。

 パパンは仕事を抜け出して来たのだろうか見たことのない制服に身を包んでいた。リンディさんが着ているものと近いデザインだから恐らく管理局の何かしらの制服なんだろう。ママンは対照的によく見る格好だ、家事の途中で慌てて来たのだろうかいつものエプロン姿だ。

 

「慎司………」

 

 母さんが重苦しい口調で俺を呼ぶ。既に俺に魔法関連のことがバレているのは伝わっているんだろう。何を言えばいいのか、考えているみたいだ。けど、俺としては深刻に考えて欲しくはなかった。別に隠されてた事は何とも思ってないしどうして隠していたのか大体予想がつく。

 

「あー、ごめん父さん、母さん………秘密知っちゃったぽい」

 

 俺もバツが悪そうに頭をかく。けど、言うべき事は言わないと。

 

「隠してたことに罪悪感を感じてるならそれはよしてほしい。親子といえど秘密の一つや二つあるもんだし、それに俺の為に隠してたんだろう?………俺にリンカーコアがないから」

 

 クロノからミッドチルダについて話を聞いて俺はその答えに辿り着いた。魔法都市ミッドチルダ。魔法都市を名乗っているのだ、魔法中心の世界だと言うのは容易に想像できる。そんな世界にリンカーコアを持たない俺が生まれた。別に魔法が使えなくてもミッドチルダとやらの世界では生きていけるのだろう。魔法の才能に恵まれた人がいればその逆もいるのだから、それでも両親は俺の為に、魔法の使えない俺の為に魔法の世界より生きやすい地球に引っ越したんじゃないのだろうか?そして、魔法の存在を俺が知ってしまうと淡い期待を持つであろう俺に要らぬ絶望を与えない為に隠して来たのだろう。

 

「俺の為にそうして来た事は理解してる。リンカーコアがないのは残念っちゃ残念だけど別にそこまで深刻には考えてないからさ。前にも言ったろ?俺は別に魔法使いになりたいわけじゃないって………あんま気にしないでよ。父さん、母さん」

「………あぁ、ありがとう慎司」

 

 その俺の言葉に2人は笑みを浮かべてくれた。それから2人からある程度の経緯を聞いた。と言っても聞かされたのは俺が予想したのとほぼ一緒だ。結婚し、俺を産み、リンカーコアがなかった事を知り……それで地球に住処を変えた。

 

「母さんは元局長だったんだろ?何でやめたんだ?」

 

 これも俺のせいだったりするのだろうか。確かなのはちゃんがしばらくウチで世話になる頃に仕事を辞めて家にいるようになっていた。

 

「んー、まぁ大人の事情ってやつなのよ………いい機会だったし……専業主婦ってのも夢だったからね」

 

 照れ臭そうに笑う母さん。俺に気を使って言ってるわけでもなさそう。なら、良かった。

 

「にしても2人が魔導師か……想像つかねぇ」

「2人とも管理局では有名な魔導師なんだぞ?」

 

 クロノのその言葉にそうなの?と首を傾げる。

 

「あぁ、荒瀬信治郎さんは本局内で第一線で活躍してた人だ。今は現場は退いているが後進育成に力を入れてくれている……僕も何度かお世話になった事がある」

 

 あ、顔見知りなんだね。それともパパンが有名だからか?パパン照れないで恥ずかしいから。

 

「そして、ユリカさんはさっきも言ったけど特別技術開発局の元局長………この人を筆頭に革新的な技術を開発して管理局をサポートしてくれていた人なのよ」

 

 リンディさんがママンに視線を送る。

 

「リンディさん、息子の前であんまり褒めないで……恥ずかしいから」

 

 こっちも恥ずかしいよバカやろ。ていうかこの2人も顔見知りなのね。だから簡単に連絡取れたのね。

 

「ちなみにこれ、慎司君が持ってたチップ型のシールド魔法発生装置……これも管理局にはまだ出回ってないすごい価値のある物なのよ?」

「ママン、ネットで売ろう?」

 

 頭を叩かれた。そういえばとふと疑問に思う。

 

「ママン、どうして急にそのチップを俺に持たせたの?」

 

 いきなりそんな魔法に対しての防御手段を俺に持たせるのは少し不自然に感じた。まぁ、今回助けられたけどさ。

 

「海鳴市で最近魔力を感じる事が良くあったからね、パパンと相談してアンタに持たせることにしたのよ……念のためにね」

 

 持たせておいて良かったわと肩をすくめてみせるママン。

 

「でも、まさかその魔力反応の一つがなのはちゃんだったとは驚いたよ」

 

 パパンがなのはちゃんに視線を送りながらそう口を開く。なのはちゃんは困ったようににゃははと苦笑い。

 

「私も、お二人が魔導師だったとは思いませんでした」

「ははは、バレてはいけなかったんだけどね」

 

 パパンもそこで苦笑い。が、ここまで色々分かってしまったからって俺となのはちゃんの態度が変わるわけでもないし。俺も周りに言いふらすつもりないしな。言いふらしたって信用されないだろうし。そこまで深刻に考える必要もないだろう。

 話が纏まったところでリンディさんがさてと前置きしつつ

 

「慎司君、ご協力ありがとう……もうお二人と一緒に帰っても大丈夫よ」

 

 色々あって疲れてるだろうから休みなさいとリンディさんからの気遣い。両親も帰ろうかと俺を引き連れようとしている。

 

「それじゃリンディ艦長、息子を助けてくれてありがとう」

「何か困ったことがあったら言ってください。力になりますので」

 

 リンディさんはいえいえと手を振っている。いや、俺はまだ帰るわけにいかない。

 

「待ってください。俺はまだフェイトちゃんの事についてまだ全部聞いてない。それを聞くまでは帰れません」

 

 エイミィさんからプレシアについての追加の情報を待っているのだ。それを聞くまでは帰れない。

 

「慎司………」

「ごめん、父さん。分かってる、俺がいたって何もできない事は分かってる。聞いたからって何かに役に立つことなんてない事は分かってる。けど、聞いておきたい。父さん達にはまだ言ってなかったけど………助けたい子がいる。俺じゃ助けられないけど……せめて見守ってあげたいんだ。その子のこともなのはちゃんの事も」

「慎司君………」

 

 2人はきっと何であれ俺が魔法に関わる事は本意じゃないだろう。けど、もうここまで知ってしまった。そして、フェイトちゃんの涙を見てしまった。悲しい顔を、そして楽しそうに母親の事を話すあの子の事を知ってしまった。

 

「…………お前がいても、何もできないぞ慎司」

「信治郎さんっ!」

 

 父さんの言葉に非難を浴びせようとする母さん。けど、父さんはそれを遮って続ける。

 

「アースラの方々に迷惑かけるのか?」

「違う、知っている情報教えてもらうだけだ。そう約束もした、俺が知りたい事を教えてくれると」

「なのはちゃんとは違ってお前に魔力はないんだ、知ったところでどうする気だ?なのはちゃんみたいにアースラの手伝いでもするのか?」

「そんな事は出来ないし、する資格もない。ただ………」

 

 フェイトちゃん事を聞いてどうするのか?知ってどうするのか?

 

「俺はあの子の事を知りたいんだ。そして………出来る事なら力になってあげたい」

「お前に力になれる事があるのか?」

「ある。あるよ、魔法の事に関しては力になれねぇけど………約束したんだ」

「約束?」

 

 前に父さんに魔法に興味はないと言ったのは嘘ではなかった。例え魔法が存在しても、俺がそれを扱えても俺はその道にはいかないだろう。けど、魔法が使えて大切な人達の力になれるのなら別だ。

 その力でなのはちゃんを直接支えてあげたかった。フェイトちゃんを直接止めてあげたかった。けど無い。俺には無い。無力感なんか魔法を知る前からずっと感じてる。けど、出来る事はすると……俺にしか出来ない事はあるはずだ。

 

「今度あったらいっぱい話していっぱい遊ぼうってな」

 

 それだけだ。その為に、俺はフェイトちゃんの事を知りたい。彼女の悩みも、苦悩も。それで、言葉を送りたい。それを知って、俺が伝えたいと思った言葉を。

 

「勿論、情報を聞いたらすぐに帰る。そして、俺は元の日常に戻るよ。弁えてるさ、自分の事くらい。俺が魔法に関わって入れ込む事がないか心配してるんだろ?父さん、けど安心してくれ………俺は俺の出来ることをするだけだ」

 

 分かってるよ父さん、俺にはなるべく魔法から離れてて欲しいって事も……俺も父さんの立場なら同じ事を思うよ。フェイトちゃんの事を知りたいと思うという事は魔法はどうしても関わる。だからあえて厳しい事を言っている。

 

「慎司、お前は優しい子だ。今回の事件の経緯も通信でリンディさんから聞いている。そのフェイトという子のこともな。お前がその子の事情を知って、もしかしたらとても悲しい目に合っていると分かって………無茶しないか心配なんだよ」

「父さん……俺は…」

「だから、今はもう極力魔法に関わるのはやめてくれ。きっとリンディさんやなのはちゃんが……」

「無茶してどうにか出来るならとっくにやってんだよ!!」

 

 全員が驚愕の目をする。俺も含めて。あぁ、もしかしたら今世で俺は初めて怒声をあげたのかもしれない。一度言ってしまえば、止まらなかった。

 

「出来なかったよ!今日……あの海で、皆んなが危険な目に遭いながら闘ってる時も!フェイトちゃんが攻撃されて悲鳴をあげてる時も!海に堕ちそうになった時も!俺はその場から動くことすら出来なかったんだよ!!」

 

 荒波に晒されてる海に飛び込むことすら命の危険があるんだ。跳べない俺には何も出来なかった。ああ、そうだよ!みっともなく悔しがってたよ!何も出来ないくせに一丁前に悔しがってたよ。無茶しないか心配だって?無茶したって非力でどうにもならない事は俺が一番よく分かってんだよ!魔法が使えないのは誰のせいでもない……けどやっぱり悔しいんだよ。

 

「だから……自分ができる事は……見守る事くらいは………声をかけてあげる事くらいは……したいんだよあの子にも」

 

 なのはちゃんにも。

 当事者でありたいんだ。一緒に行動できなくても、迷惑をかけない範囲で関わっていたいんだ。そんな俺の想いを伝える。

 

「父さん達の本意じゃない事はわかってる。けど、俺はせめてそうありたい」

 

 荒瀬慎司は、自分の出来ることを全力でやり遂げる男だって……この人生に刻みたい。難しい顔をする父さんと母さん。そして、事の次第を見守っていた他の4人。その1人のなのはちゃんが俺の隣に立って両親に言う。

 

「慎司君のお父さん、私からもお願いです。慎司君のお願いを聞いてあげてくれませんか?」

 

 そう言って頭を下げる。

 

「なのはちゃん……」

 

 何やってるんだよ。なのはちゃんがそこまでする必要はないだろう。

 

「私もフェイトちゃんを助けたい。フェイトちゃんの悲しい顔は私も悲しい。フェイトちゃんのあの悲しそうな顔を笑顔に……したいんです」

 

 なのはちゃんとフェイトちゃんの因縁。何度もぶつかってきたんだろう。話だけは聞いたけど、俺が計り知れないくらい悩んで考えたのだろう。

 

「慎司君なら、フェイトちゃんの心を救ってあげられる。そんな気がするんです。いや、慎司君なら出来ます」

「どうして……そう言えるんだい?なのはちゃん」

 

 父さんのその言葉になのはちゃんは言葉を詰まらせることなく満面の笑顔で返答した。

 

「だって、慎司君は私の心をいっぱい救ってくれたから」

「それは……何年も前の話だろなのはちゃん。俺はあの時だってただ友達と遊んでただけだし大した事なんて」

「それだけじゃない。最近もそう」

「え?」

 

 俺の事を真っ直ぐに見つめる。そして俺の両手を自分の両手に重ね合わせてなのはちゃんは照れ臭そうに言葉を続ける。

 

「いっぱい見守ってくれた」

「そ、それは……」

 

 それしか出来なかったから。

 

「いっぱい気を使ってくれたよね」

 

 友達には誰だって気を使う時は使うだろ…。

 

「何も聞かないでくれた」

 

 聞く勇気がなかっただけだ。

 

「泣きそうになった時そばにいてくれた」

 

 タイミングが良かっただけだよ。

 

「背中を押してくれた」

 

 結果的に正しいかどうかは分かんないじゃないか。

 

「………手を取ってくれた」

 

 握られた手は……離せなかった。

 

「私の不甲斐なさで失敗して落ち込んだ時黙って手を握ってくれた事も、支えてくれた事も、決意させてくれた事も私は全部感謝してるんだよ」

 

 何も、言い返す事ができなくなった。

 

「明るく振る舞って私を笑顔にしてくれた。落ち込みそうになってる時にほっぺを引っ張ったりいたずらして気を紛らわせてくれた。………慎司君が変わらないで私にいつも通りに接してくれてた事にいっぱい救われた」

 

 握られた手に力が込められる。それを同じくらいの力で握り返す。

 

「ここまで頑張ってこれたのも、これからも頑張れるのも……慎司君のおかげだよ。自分じゃ役に立てないって慎司君は言ってたけど私はそう思わない」

 

 いっぱい助けてもらったよっとその言葉を最後に口を閉ざして俺を真っ直ぐに見つめるなのはちゃん。役に立てないと思う。今もその気持ちは変わらない、無力だ、魔法も使えない。

 けど、そんな嘘偽りない言葉を浴びせられて………自然と涙腺が緩む。あぁ、そうか………そう思ってくれてたんだ。それなら……なによりだ。

 

「泣かないで、慎司君」

「泣いてねぇよ、いつもの目薬ドッキリだよ」

「嘘つきー」

「るせぇな」

「えへへ」

 

 あぁホントに、なのはちゃんにも助けてもらってばっかだよ俺も。バーカ………。

 

「ありがとう」

「うん」

 

 ホントにありがとう。

 

 

 

 

 手を握り合ってる俺となのはちゃんの元に父さんが近づいて俺達に目線を合わせる。なのはちゃんの頭に手を置いて

 

「ありがとうなのはちゃん、慎司の事そう言ってくれて」

 

 そしてその手をどかして俺を真っ直ぐに見つめる。俺も手を解いて正面からその視線を受け止める。

 

「お前は俺が思ってる以上に大人で、俺が思ってる以上に子供だったんだなぁ」

 

 しみじみとした様子でそう呟く父さん。親心ってのは子を持った事のない俺には計り知れないほど複雑な感情なのだと思う。そんな親心を俺は無視して自分の考えを伝えた。それは正しい事でありつつ間違っている事でもある。世の中に正解なんてない、だから意見が分かれて対立する。今の俺と父さんのように。

 

「女の子にここまで言わせたんだ……慎司、出来るな?」

 

 確証もない。出来るかどうかは正直分からない。何か考えがあるわけでもない、それでも俺は言わねばならない。

 

「出来る。救ってみせる」

 

 どうすればいいかなんて二の次だ。魔法でフェイトちゃんと直接ぶつかれるわけでもないから考えてもしょうがない。俺が出来る最大限でフェイトちゃんを救う。

 

「なら、父さんは止めない。魔法に関わるなら生半可な気持ちじゃ許さない、本気でやれ。勿論アースラの方々に迷惑をかけない範囲でな」

 

 母さんも隣に立って頷く。両親からのエールを受け取った。

 

「ありがとう、父さん、母さん……」

「何かあれば言いなさい……私達は慎司の親なんだから協力するわ」

 

 母さんのその言葉に安心感がます。

 

「勝手に話を進めてしまいましたが、リンディ艦長………息子を……」

「えぇ、問題ありませんよ荒瀬さん。今後慎司君にもフェイト・テスタロッサとプレシア・テスタロッサについての情報は随時お伝えします」

 

 無論、アースラに同伴する事は許可できないと言われる。俺もその気はないからそれはいい。

 

「すみません、俺のわがままで…」

「謝らなくていい」

 

 クロノから遮るように言われる。

 

「僕からも君にお願いしたい事があったからな。謝る必要はない」

「お願いってのは?」

「フェイト・テスタロッサの説得だ」

 

 今後それが必要な事態があるかも知れないとクロノは言う。もし、仮定だが母親から無理矢理従わされていると言う想定もしているようでクロノはその場合に俺に協力してほしいと言ってきた。説得してアースラで保護すれば無駄な闘いは無くなる。それは俺じゃなくなのはちゃんでもいいと思うのだが。

 

「なんで俺なんだ?」

「モニター越しだが、君と話している時のフェイト・テスタロッサは雰囲気も表情も緩んでいた。僕達には絶対に見せない顔だった」

 

 だから適任だと言う。

 

「まぁ、そんな役が回ってくるかどうかも分からない話だ。僕は君をそうやって利用できると考えている。だから君もそんな風に申し訳なく思う必要はない」

「クロノ……お前、素直じゃない奴だな」

 

 俺を庇うにしても言い方が回りくどすぎるだろ。不器用な良い奴め。

 

「なんだと?」

「あぁ、ごめんごめん!ありがとう、そう言ってくれるのは嬉しい」

 

 全くっと憎々しく呟くクロノ。お堅いようで、まぁ……いい奴なんだな、コイツ。とにかく!これで利害は一応一致という形になった。と言ってもかなり気を使われたがそれは甘えよう。その後は両親は先に帰り俺はすぐに届いたエイミィさんからのプレシアについての追加情報を聞く。

 分かった事は少ない、元はミッドチルダの中央技術開発局………ママンのとはまた違った開発機関なんだろう。その第三局長とやらだったらしい。その際自身が開発を推し進めていた技術の実験の際に違法な材料を使って決行。結果、実験は失敗し中規模次元震とやらを起こしてしまった。

 その後それが元で中央から地方に左遷。余談だがずいぶん揉めたそうだ。失敗は結果に過ぎず材料にも違法性はなかったと。異動後も数年で行方知らずに。プレシアの家族や行方不明前の足取りや行動の情報は綺麗さっぱり抹消されているらしく今は本局に問い合わせている所だそうだ。結局フェイトちゃんのことがわかる有益な情報は得られず。

 仕方ない。それまでまた待つしかないか。エイミィさんによると追加の情報まで1両日はかかると言う。それまであの大規模攻撃を行ったプレシアとフェイトちゃんは動けないであろうと推察するリンディさんは俺だけでなくなのはちゃんにも一時の帰宅を命じた。そろそろ家族にも学校に顔を出した方がいいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー、疲れた」

 

 アースラから転送されてなのはちゃんとフェレット姿のユーノと帰路につく。日はまだ高く正午前といったところか。この後なのはちゃんは自分の実家でリンディさんと合流して事のあらましをうまくごまかしながら説明するとの事。どんな風に誤魔化すのかちょっと気になるな。

 

「あはは、慎司君は今日いっぱいびっくりだったもんね。私もいっぱいびっくりだったけど」

 

 本当にだよ。まだ半日しか経ってないのにすごく疲れた気分だ。

 

「フェレット姿のユーノとは喋れねんだよな俺」

 

 この形態で言葉を交わすには念話なるものが出来ないといけないらしい。リンカーコアのない俺には無理だ。ユーノは色々と混乱を避ける為に地球で基本はこの姿らしい。

 

「でも、本当に驚いちゃった。慎司君にまさか見られちゃうなんて」

「あぁ、俺もまさかなのはちゃんが魔法使いだとは思わなかった」

 

 そんな想像するわけもないし。

 

「………危ない目とかにもあってるんだよな?」

「……うん」

 

 馬鹿野郎、不安がる事言うな。俺の馬鹿野郎。

 

「なぁなのはちゃん、俺今日なのはちゃんのもう一つの秘密も見ちゃったんだよね」

「え?もう一つ秘密?」

 

 何のことだろうと考え込むなのはちゃん。しかし、思い当たる節がないみたいで結局俺に何の事?と問いかけてくる。

 

「薄い桃色………」

「………?」

「無地……」

「………っ!?」

 

 顔を赤くして慌ててスカートを抑えるなのはちゃん。

 

「み、見たの!?」

「見たのつーか見えた、空飛んでる時に俺下にいたからがっつり見えた」

 

 んまぁ、別に何も気にしなかったんだけどさ。女子高生のパンツとかならまだ興奮するけど小学生相手じゃなぁ。でも俺実年齢29だから女子高生に興奮するのもヤバくないか?

 

「もうっ!もうー!バカっ!バカァ!」

 

 ポカポカポカポカ。顔をすごく真っ赤にして叩いてくる。

 

「おいおい、別に見たくて見たわけじゃないし。それに位置的に多分ユーノも見えてたぞ」

 

 フェレット姿でも分かるくらいユーノが慌てだす。恐らく念話で。

 

『見てない!!見てない僕は!?』

 

 なんて言ってそう。念話で会話を終えたのかユーノはほっと溜息をつくような動作で安心していた。そして俺の足をげしげしと蹴ってくる。抗議をアピールしてるらしい。標的を俺に戻したなのはちゃんはまたポカポカを再開する。

 ユーノが前旅館で一緒に女風呂に入ってた、まぁ多分無理やり連行されたんだろうけどその事は口にしないであげておこう。

 

「今度はもっと見応えのあるパンツ穿けよ?」

「なっ!し、慎司君エッチ!バカァ〜!!」

 

 バチーンと気持ちの良い音が響く。おお、ビンタされた。下手くそであんまし痛くなかったけど。

 

「やったななのは〜」

 

 そう言いながら久しぶりにほっぺをビローンと伸ばす。それをされてなのはちゃんはムーっとしながらもどこか嬉しそう。やっぱりドMなのかな。

 

 

 

 もう、お礼は言ったから直接は言わない。けど、心の中で何度でも言うよ。ありがとう。ありがとうなのはちゃん。俺は今日、君に救われた。俺の今までの行動に意味を与えてくれた。だからありがとう。フェイトちゃんだけじゃない。なのはちゃん、君を支える為にも俺は俺の出来ることを頑張るよ。かけがえのない親友よ。ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 進みは遅いですがまぁ、そんな感じの時もあるって言う事で一つ。閲覧ありがとうございます
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