転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 スマホ派の僕。パソコンのタイピング早くなりたいなと


無駄な事でも

 

 

 

 

 

 

 

 

 感覚は研ぎ澄まされている。前回の大会で襲われた緊張が嘘のように落ち着いてる。全く緊張していない訳じゃない。けど、それ以上に集中できている。相手を見据える。流石大きな大会だ、初戦から一筋縄じゃいかなそうな相手だ。目や雰囲気を見れば分かる。柔道家としての本能で分かる。あれは弱くないと。

 だがそれと同時にこちらも負けないと言う自信が湧いてくる。今までこなした練習を思い出す、努力を思い出す。応援してくれている家族と友人達を思い出す。………あの子との約束を思い出す。あぁ、負けねぇよ。

 審判の合図で礼を行い互いに一歩ずつ歩み寄る。

 

『始め!』

 

「っしゃこい!!」

 

 開始と同時に気合の声共に相手に詰め寄る。組み手の攻防、柔道において最初の重要な局面。これのいかんで優位となるか不利となるか決まる。相手の組み手を防ぎつつ自分の組み手に持ち込むために仕掛けに行く。防がれ防ぎを繰り返し一瞬の隙を突いて相手の袖を掴む。

 

「っ!」

 

 相手が動揺し振り解こうと逃げの一手を選択したところで俺はそれよりも早く今度はもう片方の手で襟を掴む。

 

「しまっ」

 

 しまったとは言わせる暇も与えない。相手はどこも掴めず俺は技をかける上で絶好の組み手。一瞬だ、たかだか一瞬で状況はここまで変化する。相手に防ぐ手立てを与える前に崩しを加えて『内股』を仕掛ける。相手の袖と襟を相手からみて斜め前の方向に崩し、自分は体を半回転させ左足を軸足にして右足の太腿の裏を相手の股間より少し外した所に向かって一気に振り抜く。

 

「おおおおおっ!!」

 

 相手が綺麗に回って背中を畳に叩きつける。同時に審判から

 

『一本!それまで』

 

 の宣言で俺の応援席からの歓声あがる。よし、まずは1回戦突破。続けていくぞ。慢心はしない、相手はどんどん強くなるだろう。だが負けない、俺は負けれない。少し間を開けたらすぐに二回戦になるだろう、体が冷えないように打ち込みとストレッチをして備えて待つ。まだ、大会は始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予感はあった。ここに来れば会えると。不思議に予感はあった。慎司君に見送られた後、海鳴臨海公園まで足を運んだ私達。フェイトちゃんは姿を見せてくれた。

 アルフさんがもうやめようとフェイトちゃんを説得する、しかしフェイトちゃんは

 

「私は母さんの娘だから……」

 

 その一言が拒否を示していた。そうなることは分かっていた。だから私も自分の意思を示す。キッカケはジュエルシード……。私が魔導師になったのもフェイトちゃんとぶつかり合ったのも全てはジュエルシードがキッカケだ。なら、

 

「賭けよう、お互いの全部のジュエルシードを」

 

 それを賭けて、私達はぶつかり合う。それからだ、全てはそれから。私がフェイトちゃんに問うた、友達になりたいって言葉の返事も。慎司君がフェイトちゃんとお話しする為にもそれからなんだ。

 

「だから始めよう?最初で最後の本気の勝負」

 

 レイジングハートを起動し、すっかり慣れ親しんだ魔導師としての私の姿に変わる。フェイトちゃんもそれに応えるようにデバイスの杖を鎌状に変えて構えをとる。

 

『頑張れ、なのはちゃん』

 

 この場にいないはずの慎司君の声が聞こえた気がした。約束した。負けないって、私も慎司君も負けないって。慎司君は絶対に負けないで優勝するだろう。だから、私も……負けない。私達は!

 

「絶対に負けないっ!」

 

 星と雷がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うらああああああ!」

 

 ドンっと巨体が畳に叩きつけられる音がこだまする。前回出場した大会で初戦であたり苦戦を強いられた相手だ。その相手は二回戦を勝ち進み、その次の三回戦で当たった。が、それからの期間で差は歴然と開いたようだ。俺の努力がその相手に勝ったと言う事だ。開始数十秒で決着はついた、俺の『大内刈』で一瞬の隙を突き相手は畳に沈んだのだ。

 

『一本、それまで』

 

 審判が俺の勝利の宣言を告げられると体の力が一気に抜けたような気分になった。2、3回戦も危なげなく勝ち進めて来れたがこれからが本番だ。次の相手は前回のこの大会の入賞者でその次の相手は準決勝、恐らく前回準優勝だった選手だ。

 そして、確実に決勝で当たるのは前回大会優勝者で優勝候補筆頭の選手。優勝する為にはこの3人全員に勝たなくてはならない。礼を済ませて会場から一度離れて深呼吸で精神統一をする。どの選手も強敵だ、ここからはどれだけ俺が自分の実力を発揮できるかにかかってる。呼吸を整えつつ体を冷やさないようにストレッチをする。

 すると、応援席から俺の様子を見に来たのかアリサちゃんとすずかちゃんが近づいてくる。遠くで応援に来てくれている高町家と俺の両親も目にうつった。

 

「すごいよ慎司君!」

「ええ、三試合ともすごいかっこよかったわよ!」

 

 2人の興奮気味な祝福に嬉しい気持ちが湧きつつもまだ試合は終わってないからと2人を制する。

 

「あ、ごめんね?邪魔だったよね」

「いや、大丈夫だよ。勝ってるのは2人の応援のおかげでもあるしな」

「なのはにちゃんと優勝報告出来るよう次も頑張んなさいよ」

「あぁ、勿論だ」

 

 短く言葉を交わしてから2人は応援席に戻っていった。集中してる俺に気を使ってか高町家の面々と両親は遠くで手を振ってからそのまま戻っていく。俺は一礼してそれを返す。

 さて………そろそろ戻るか。ここからは空き時間も少なくなってくるだろうから会場にはもう入っておこう。なのはちゃん………今頃……。

 

「っ!」

 

 頭を振って思考を止める。今は自分以外の心配をする余裕はない。俺は俺の試合に集中しよう。頬を両手でバチンと思いっきり叩く。ヒリヒリとした痛みが今は試合に向けて集中させてくれる。優勝まで、もう少しだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶつかり合う魔力と魔力。勝負は互角に見えた。高町なのはとフェイト・テスタロッサ、2人の実力は魔導師として互角。そもそもフェイトの方が断然実力が上だったが高町なのはの魔法の才能と努力は常人のそれではなく、年季の差などあっという間に埋めていた。

 だから、互いに息もつく暇もなくぶつかり合う。魔力弾を放ち合い、接近戦に持ち込んで直接ぶつかり、障壁で攻撃を防ぎ合う。一進一退、そんな言葉が当てはまるほど鬩ぎ合った闘いだった。

 

「シュート!」

 

 なのはの無数の魔力弾がフェイトを襲う。しかし、フェイトはバルディッシュをサイズフォームに変えそれを切り落とす。なのはも手は緩めない、魔力弾を形成しつつ自身のレイジングハートをフェイトに向かって叩きつける為接近戦に。鍔迫り合い、魔力の影響で小爆破が起きる。

 互いに距離を取りつつもすぐに攻撃の手段を2人は取る。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 互いに息を上げてるが無傷だ。決定打はない。本当に、互角だった。勝負を決めるのは、恐らく一瞬の隙を突いた方だろう。気を抜けない闘いに身を投じる2人。闘いはまだまだ続きそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

 準々決勝、準決勝の2試合を終えて残りは決勝となった。どれも接戦だった。試合を終えても中々呼吸の乱れが治らないのが証拠だ。

 準々決勝は相手のスピードの速い柔道に翻弄され中々技を掛けられず時間ギリギリで寝技に持ち込んで抑え込みで勝利をもぎ取り、準決勝は互角の勝負で技の掛け合い。組み手に勝って負けてを繰り返した末、試合終盤に相手のスタミナに俺が勝り、顎が上がって来たところを隙をついて一本をなんとか取れた。だが勝ちは勝ちだ。

 俺の努力の証明だ。だが、次の相手は今語った2人とはさらに別格だ。決勝の相手はこれまでの全試合オール一本勝ち。俺も全て一本勝ちだが相手は全ての試合危なげもなく息一つ乱すことなく勝利してしてきた。

 

「強いだろうな」

 

 きっとすごい強い相手だろう。才能もあって努力も惜しまない完璧なタイプだ。前世でもそんな相手に幾度となく試合をしてきた。負けた数の方が圧倒的に多かった。

 だが、俺は今…山宮太郎じゃない。荒瀬慎司だ。そう言う相手に勝つ為に前世以上に努力を惜しまない荒瀬慎司だ。負けねぇ、負けられねぇ。

 そろそろ、決勝が始まる。体が震える、緊張か恐怖か武者震いか。全部だろう。そんなあやふやな状態では勝てる試合も勝てない。

 

「っしゃあ!!」

 

 周りを気にせず気合の声を1人上げる。よし、やれる。俺は………闘える。

 会場に入り、決勝の畳を踏む。会場アナウンスに俺と相手選手の名前が呼ばれ会場は歓声の渦に。アリサちゃんやすずかちゃん達の必死の声の応援が聞こえる。

 

『頑張れ、慎司君』

 

 ここにいないはずのなのはちゃんの声も聞こえた気がした。あぁ、頑張るよ。向き合い、礼をする。相手と目が合う。あぁ、こいつは強え。きっとすげぇ強え。けどそんな相手だからこそ燃える。柔道家としての本能が俺を滾らせる。

 目の前にいる相手みたいなすごい強い柔道家に勝って、優勝する為に俺は死ぬ気で練習を、努力をしてきた。互いに一歩歩み寄る。そして

 

『はじめ!』

 

 開始宣言。

 

「っ!」

 

 組み手の激しい攻防。目にも止まらぬ速さで互いの腕を弾き合い掴み合う。

 

「っ!?」

 

 いつの間にか片方先に掴まれていた。その流れで相手はすぐに自分の組み手に持ち込んで勝負を決めに来る。

 

「しっ!!」

 

 瞬間、相手の組み手を解き相手の技を無効化。そのまま俺の組み手に。崩しもなってない、相手は万全の状態。しかし、無理矢理懐に入り込み支え釣り込み足で相手の足を抑えて引き出す。相手の背中を畳につける事はできなかったが相手は崩れてうつ伏せで畳に沈んだ。ポイントはない、しかし相手は驚いた表情を浮かべていた。

 決めたと思ったか?勝負はすぐつくと思ったのか?舐めるな。

 審判の待ての合図で互いに開始線まで戻り睨み合う。相手の目の色が変わった、あぁそうだそれでいい。俺は強敵だ。お前の連覇を阻む最大の壁だ、そう思え。最大限に警戒して全力で来やがれ。そんなお前を………ぶん投げて勝つ!

 

『はじめ!』

 

 言っとくが、今の俺はいつもより強いぞっ!

 

 

 

 

 大会の決着がつくのは、もうすぐだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイジングハートとバルディッシュがぶつかり合い火花が散る。以前の私じゃ想像もつかないような状況だな、なんて勝負の最中なのにそんな考えがよぎった。

 

「くっ!」

 

 距離を取る。接近戦はフェイトちゃんの方が上手だ。私の得意な距離に持ち込む。

 勝負を始めてからどれくらい経っただろうか。息も上がって、体も疲れを感じてきて苦しくて辛い。でも、まだまだやれると思えた。

 

『頑張れ!頑張れなのはちゃん』

 

 幻聴が聞こえる。あぁもう、その場にいてもいなくても彼は私を振り回す。迷惑……とは思わないけど。寧ろ嬉しいのかも。なんて、そんな事考えている場合じゃなかった。勝負に集中しないと。

 魔力の応酬。一進一退の攻防は未だなお続く。後一手が欲しい。勝負を決める一手が、きっとフェイトちゃんもそう思っている事だろう。その一手を先に打ってきたのはフェイトちゃんだった。

 

「っ!」

 

 フェイトちゃんの足元に大きい金色の魔力陣が現出する。そこから無数の魔力弾。それもとても高密度で帯電している魔力弾が、あれは今までフェイトちゃんが放ってきた魔力弾なんか比にならない威力なのは一目瞭然だ。けど、させない。魔力を練っているうちに叩く!

 

「ライトニングバインド」

「えっ!?」

 

 左手、そして右手がフェイトちゃんによる金色のバインドで縛られ動けなくなる。魔力を練ってるフェイトちゃんよりも無防備な状態になってしまった。

 

『まずい、フェイトは本気だ!』

 

 アルフさんの念話の声音でわかる。確かにあれは食らったらまずい。

 

『なのは!今サポートを』

「ダメええええ!!」

 

 ユーノ君のその言葉に私は反射的にそう叫んでいた。ダメだ。それはダメなんだ。だってこれは、これは。

 

「アルフさんもユーノ君も手を出さないで」

 

 これは全力全開の真剣勝負だから。一騎討ちでジュエルシードをかけた私とフェイトちゃんの闘いだから。だから、手を出さないで欲しい。

 

『けど、フェイトのそれは本当にヤバいんだよ!』

「平気!」

 

 体は震えている。けどそう言わなければいけない。だって勝つ為には、私はこれに耐えなければいけないのだから。フェイトちゃんは魔力を練り呪文を唱える事に集中している。周りは見えてない、けど私も動けない。バインドを自力で解く事が出来ない、あの高密度で形成された無数の魔力弾……あれを私の魔力障壁で全部防げるのか。もし防げなかったら………いや、防ぐんだ。じゃなきゃ勝てない。約束を守れない。それは、嫌だ。

 それだけは嫌だ。

 

「なのはちゃん!」

 

 また幻聴だ。慎司君の声が聞こえる。こんなピンチの時にまで聞こえてくるなんて私は彼に寄り掛かってばかりなのかもしれない。

 

「なのはちゃん!おい!」

 

 今度の幻聴はしつこい。ずっと耳に響いている。もう、真剣に戦ってるところなんだからあんまり邪魔しないでよ。………ん?

 

「慎司君っ!?」

 

 幻聴じゃない。いた、いつの間にかアルフさんとユーノ君の近くで大声をあげている。しかも柔道着姿のままで。なんで?どうやって?結界張ってるのに。視界の端に慎司君の両親が見えた。2人は魔導師だ、結界を抜けてここに来るのは容易だろう。でも慎司君……大会は?終わったの?色々聞きたい事があるがそれを無視して慎司君は大声で何か伝えてくる。本当は悠長にしている場合じゃないけど慎司君が何かを伝えようとしているなら、聞きたいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのはちゃん!」

 

 あ、ようやく気づいた。こっち向いたな、そして驚いてるな。よしよし、見たかった表情は見れたから満足満足。してる場合じゃない。せっかく大会終わってすぐにパパンとママンになのはちゃんの魔力を感じる所まで転移をしてもらった。ここに連れてきてもらう事……渋っていたが2人が同行する事を条件に協力してくれた。心配かけて、ごめん。でも、どうしても今、間に合うなら俺はやるべきだと思ったんだ。

 懐から用意してきた2つのものを取り出す。一つは賞状、もう一つはメダル。どちらもさっきまで試合をしていた大会で得たもの。

 賞状には『優勝』の文字が、メダルは金色に輝いている。その2つを掲げて俺は叫んだ。

 

「なのはちゃん!勝ったぞ、俺は勝った!」

 

 決勝は本当に死力を尽くしあった試合だった。途中で目眩を感じたほど互いに限界以上に体を使ったと思う。正直、試合の隅々までの記憶は朧げだ。覚えているのは、絶対に負けられないと心で叫び続けた事と……自然と前世の得意技で今世では封印していた『一本背負い』で一本勝ちした事だ。この技を使う気はなかった、が自然と勝手にこの技を使っていた。俺がなんでこれを封印してたかなんて事は今はどうでもいい。

 

「俺は優勝できた!約束は守った……だから!」

 

 素人目でもわかるなのはちゃんのピンチ。俺がいくらエールを送ったってなのはちゃんの助けにはならない。状況を変えるなんて事は出来ない。なのはちゃんに気力を与えてあげるなんて出来ない。おこがましい。

 けど、意味がないって分かっていても。必要ないって分かっていても。何度も言う、俺は自分のできる事は全てやりたいんだ!

 

「なのはちゃんも勝て!負けんな!!」

 

 

 

 頑張れっ!!!

 

 

 

 

 俺の今出せる腹からの大声。なのはちゃんがこのエールに何も感じなかったとして、伝わればいい。俺が応援してる事を伝わればいい。だって、応援されてるって思うと……前になのはちゃんや皆んなに応援されて俺は……力もらったから!綺麗事だ、けど事実だ。このエールに力を貰えなかったとしても俺は応援し続ける。それが俺の出来る事でやりたい事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁもう慎司君ってば……」

 

 それ逆にプレッシャーだよ。危ないのにわざわざここまで来て、大会終わってすぐ来たみたいだし……まさか表彰式バックれた?

 けど、なんでだろう。悪態つきたくなる言葉が頭に浮かんでるけど、こんなに嬉しい気持ちになるのは何でだろう。応援されたから?それもある。けど慎司君が来てくれたから、きっとこんなに嬉しいんだ。いつも私に手を差し伸べて支えてくれる男の子、彼にあんな応援されたら………負けられないよね。絶対に。

 自然と表情は綻んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 程なくしてフェイトちゃんが放った魔力弾がなのはちゃんに襲いかかる。まずいと思った。心配した、ついなのはちゃんの名前を叫んだ。けど、杞憂だった。彼女は俺が思っている以上に……そしてフェイトちゃんが思っている以上に強い子だ。

 全て魔力障壁で防ぎ切ったなのはちゃん。なのはちゃんを縛っていたバインド?ていうのかそれが解かれる。なるほど、あれを放ったら解ける仕組みなのかも。そして今度は自分の番と砲撃を放つなのはちゃん。

 えっ?なのはちゃんあんなの打てるの?視線を両親に送る。2人は外国人みたいに肩をすくめて首を振って見せた。なるほど、なのはちゃんが凄すぎると。しかし、そんな凄い砲撃もフェイトちゃんは耐えて見せた。凄いな、あれを放つなのはちゃんも防ぐフェイトちゃんも。魔導師って奴を俺は未だ理解できないでいる。

 ここで振り出しか?と思った時だった。フェイトちゃんがなのはちゃんのバインドで身動きを取れなくなる。そして………

 

「全力全開!」

 

 明らかにさっきの砲撃以上の威力がありそうな砲撃の準備をするなのはちゃん。まて、大丈夫なのかあれ?

 

「スターライト………」

 

 殺すなよ?殺すなよ?え、非殺傷設定?いやそれでもあれはあかんでしょ。

 

「ブレイカー!!」

 

 あっ

 

 

 

 

 魔力の奔流がフェイトちゃんを襲う。耐え切れる訳もなく力なく空を漂うフェイトちゃん。なのはちゃんの勝ちだ。遠目から見ても無事なのは分かった、よかった。いや本当に。動けないフェイトちゃんをなのはちゃんが抱き抱える。そして2人で何か話している。まぁ、積る話もあるだろうし少しくらい待とう。

 でもさ………確かに負けるなって、勝てって言ったけどさ。そこまでやれとは言ってない。

 

 

 

 フラフラとフェイトちゃんに肩を貸しながらこっちに向かってくるなのはちゃん。フェイトちゃんも途中で俺に気づいたようで驚いた表情を浮かべていた。 

 

 俺の応援がなくてもこの勝敗は変わらなかったろう。結果は変わらなかったろう。だけど、例えそうだとしても………俺はこう思うんだ。応援したかったんだからそれでいいんだって。 

 人にエールを送る事は、100%の自己満足と100%の応援したいっていう純粋な気持ちなんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 無印編の終わりも近づいてきました。次回も閲覧よろしくお願いします

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