転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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乗り越えた先に

 桜吹雪が舞う季節、出会いと別れの季節、春は様々な表現があるが学生である俺はやはり後者の方が馴染み深いか。とは言ってもエスカレーターで聖小から聖中に上がっただけなんでクラスメイトも9割は馴染み深い面子だ。そして奇跡的にいつものメンバー……アリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん、なのはちゃんも同じクラスと相なった。中学校生活一年目の出だしはこれだけで快調である。

 入学式を終えてから教室で先生が来るまでクラスメイト達は思い思いに会話を繰り広げている。俺達も集まって雑談に興じていた。

 

「慎司君、新しい制服よく似合ってるよ」

「ワハハ、ビリビリに引き裂いてやるゼェ」

「何でちょっと猟奇的なの?」

 

 そう言う気分なのフェイトちゃん。

 

「何か、周りにいるメンバーが変わらなさすぎて中学生になったって感じしねーなぁ」

 

 しかも俺2回目だし。

 

「でも、ほら…今度ははやてちゃんとも一緒だよ?」

 

 なのはちゃんが嬉しそうにはやてちゃんを見る。はやてちゃんは少々照れながらもたははと笑いながら頭を掻く。

 

「受験、無事に受かって良かったね。慎司君が勉強見てあげたって聞いたけど?」

「そやね、慎司君意外と勉強できるからびっくりやったよ……しかも教え方も上手いし……その分邪魔もいっぱいされたけど」

 

 と、はやてちゃんはジト目で俺を見る。いいじゃんべつに、はやてちゃんの元々の学力なら問題ないって分かってたし。小学生の勉強くらいだったら全然教えられるし。

 

「ちなみに慎司はどんな風に邪魔したのよ?」

「大した事はしてないぜ?はやてちゃんの筆箱の中身全部消しゴムに変えたり勉強してる横で大声で叫んだりしてただけだよ」

「とんでもなく邪魔してるじゃないのよ!」

 

 アリサちゃんからツッコミの腹パン。うぼぉ、成長したからか以前より効くなぁ。腹筋もっと鍛えとこ。

 

「そのおかげかは分からへんけど試験会場でなんや些細な事では集中切らさずに済んだんよね。いや、邪魔されてたのは腹立つけど」

「腹出る?太ったのかはやてちゃん?」

「しばくぞコラ」

 

 てな感じでしばらく話してると教員が姿を表してたので全員指定された席に着く。クラス1人1人の顔を見て今日からよろしくお願いしますと丁寧に挨拶をしてくれる。

 一度俺を見て目元がぴくっと反応してた事は見逃さなかった。ははーん、小学校の方で俺の噂を聞いてるな?安心してくれ先生、同じくらい好き放題にさせてもらいますから。

 クラスで1人1人自己紹介をして先生から明日の予定を聞いてから本日は解散。本格的な授業やらは明日からだ。自己紹介も顔を知らないのははやてちゃん以外のほんの4、5人だけ外部受験で入った人のみだ。まぁ、楽しいクラスにしてやろうじゃないの。聖小からの付き合いの奴らも俺と一緒で喜んでくれてたしな。

 

 そんな感じで先生も教室から出てって俺達も帰り支度をしている時だった。突如乱暴に教室のドアが開けられ見覚えのない男子生徒がズカズカと入ってくる。誰だ?学年カラーが配色されてる上履きを見ると俺達と同じ色だった。なんだ、同級生か。その男子は教室を見渡しこっちの方を見ると足早と俺の机まで寄ってきた。なんだ?俺に用か?

 

「おいお前」

「ん?」

「お前だよお前」

 

 自身の後方に首を回す。

 

「俺の後ろには誰もいないけど?」

「お前だっつってんだろっ!?」

「え?ダッツ奢ってくれんの?俺ストロベリー味がいい」

「ぶ、ぶっ殺すぞテメェ!」

「ブロッコリーは苦手かなぁ」

「このっ!」

 

 この手の輩は相手にしたくなかったからちゃらけてたら余計怒らせてしまったらしい。胸ぐらを掴まれる。うん、分かるよ。中学生になったばかりだもんね、背伸びしたいよね。俺も昔は似たような気持ちを抱いたから分かるよ?こんな物騒な事はしなかったけど。

 

「し、慎司君っ!」

 

 慌てた様子で駆け寄るなのはちゃんと続く友人達だが俺はそれを手で制す。いや、大丈夫大丈夫。どうせポーズだから。カッコつけたい年頃だから。

 

「お前?荒瀬慎司だろ?」

「遠山の慎司さんとは俺の事だが」

「はぁ?」

「何だ知らないのか……」

 

 残念、といっても俺もよくは知らんけど時代劇は。

 

「まぁどうでもいい。お前、俺と勝負しろ」

「え、何で?」

 

 普通に意味不明なんだけど。勝負って柔道じゃないよな?喧嘩のこと言ってるんだよな?

 

「お前柔道で全国大会優勝したんだろ?だったら喧嘩もつえーだろ?お前に勝てば一年では俺が1番強いって事になる。だから勝負しろっ!」

 

 と強気な言葉を使ってわけわからん事を言う男子生徒。てか誰やねんお前、あといい加減胸倉離してくれませんかねぇ……。当の男子生徒は顔は俺の方を向きつつも視線はチラチラとさっきから忙しないし……。

 待てよ?………ははーん……そう言うことか、お兄さん分かっちゃったぞ?

 

「柔道と喧嘩は違うしそんなくだらない事に付き合うのやなんだけど」

「う、うるさい!いいから俺と勝負しろ!」

 

 やっぱりな、またさっきのように何かを気にしながらチラチラと視線は俺から外れてる。視線の先をよく観察して見るとそこには今の状況を見て困惑した表情を浮かべているクラスメイトの女子生徒。

 自己紹介の時に確か外部受験の子だったと聞いた。何だかこの状況かもだけど俺の胸倉を掴んでる男子生徒を見てさらに驚いてるよう。

 

「まあまあ落ち着けよっ」

「うわっ!?」

 

 胸倉を掴んできた腕を柔道の上手の要領で切って強引に肩を組む。必死に引き剥がそうとしてくるがいかんせん体格的にスポーツもやってなさそうな見た目通り力は普通の中学生程度しかなく日々鍛えてる俺を振り解けやしない。

 肩を組んだまま俺は周りに聞こえないように耳打ちする。

 

「そんなカッコつけ方したって意中の子は振り向いちゃくれないぜ?」

「な、なにをっ」

 

 顔を赤くして純真なやつだ。おかしいと思ったんだよな、不良ムーブかましてくる割には要所要所にいい子ちゃんな部分が垣間見えてたし喧嘩慣れもしてない。さらには不良みたいな態度を取るなら普通格好から入るものなのにこいつと来たら校則通りに制服のボタンは全部閉めてるし着崩れやらもしてないでピチッとしてるし。

 

「……うちのクラスの川野さんが気になってるんだろ?」

「な、なんで?」

 

 分かったんだ?と、その男も小声で話す。川野さんとはさっきこいつの視線の先にいた女子生徒の事。何、簡単な事だ。小学生時代の同い年の連中の顔を全員覚えてる俺が見覚えないって事はこのなんちゃって不良君も外部受験の子だろう。さらに言うならおそらくコイツと川野さんは多分知り合い……同じ小学校じゃなかったのかなと思う。コイツと女子生徒の反応から多分そうだろう。

 

 そしてこの川野さん、さっき自己紹介で格闘好きで部活はどこかの格闘系の部活のマネージャーをしたいとも語ってた。そこで俺の登場である、ぶっちゃけ柔道は格闘じゃなくて武道なんだがこの際それは置いておいてだ。小学生からこの男子生徒が川野さんを淡い恋心を抱いてるとしてだ。格闘好きの川野さんと同じクラスになった柔道で全国大会優勝者の俺。

 馬鹿みたいな考えだが恋は盲目と言った所だろう、俺に取られると危惧していてもたってもいられなくなったんだろう。

 

 結果こんな馬鹿げた行動である。俺に勝てば川野さんに振り向いてもらえると思ったのだろう。ほんとバカだ、けどそんな情熱的なバカな行動は嫌いではない。やり方は完全に間違ってるが。

 

「いいか?本当にカッコいい男ってのはな?乱暴な奴より真面目で優しい奴のことだよ。言っとくけどお前の行動は逆効果だぞ?冷静になって周りを見てみろって」

 

 これも耳打ちで告げる。男は恐る恐ると言った様子で素直に周りを見た。すると冷静になって状況を理解したのか顔を青くしてしまう。本当に勢いでこうどうしたんだなぁ……思い切りの良さだけはかっこいいんだけどなぁ。なんで、そうなっちゃうのかなぁ……。まぁ、これが思春期か。……それで片付けるのもどうかと思うけど。

 

「ど、どうしよう……」

 

 どうしようじゃないよ。ていうか素はやっぱり真面目な感じなんだね。うんうん、そっちの方がかっこいいとお兄さん思うよ?。

 

 さて、どうするか……一時の過ちで片付けるには少々教室がざわついちまってる。先生とか駆けつけられたらコイツは入学早々腫れ物扱いされてしまうだろう。かと言ってこのまま連れ出しても意中の川野さんどころか同じ学年からも距離を置かれて暗黒の3年間させてしまうのも忍びない。

 行動はぶっ飛んでるけど好きな女の子を取られたくないって思ってここまで勢いでやってしまう馬鹿さ加減というか実直というかそこら辺は好感は持てるし。そこだけだけど。

 

 仕方ない、慎司お兄さんが人肌脱いでやろう。

 

「お前名前は?」

「えっ?」

「名前だよ名前っ、皆んなに怪しまれる前に早く教えろって」

 

 いつまでも肩組んでヒソヒソ話してるから誰かが先生やらを呼びにくる前に早く!

 

「お、奥原……」

「下の名前もだよっ」

「奥原…信明」

「信明だな。よし、ここは俺に任せておけよ」

「えっ?」

 

 呆ける信明無視して俺は肩組みを離して今度は信明の腕を掴んで自身の腕と共に大きく大袈裟に掲げてから

 

「テッテレ〜っ!!入学早々サプライズドッキリ大成功ーー!!」

 

 と叫んだ。これはドッキリでした〜で押し通すハイパーゴリ押し作戦である。普通なら通用しなさそうだがここにいる殆どクラスメイトは小学生時代から俺の餌食にあってきた腐れ縁達である。詰まる所

 

「何だよ慎司、マジでびっくりしたぞっ!」

「そうだよ荒瀬君〜、あーあ心配して損したぁ」

「初日からいきなりやらかすとは流石俺達の慎司だぜっ!」

「そこにっ!」

「痺れるっ!」

「憧れるぅ!」

「by高町さん」

「ちょっと!?私に押し付けないでよ!」

 

 最近はクラスメイトにすらツッコミをさせられるなのはちゃんを見て笑いながら悪りぃ悪りぃと皆んなに大雑把に詫びる。いやぁ、何かそんな気無かったけど洗脳してる気分だぜ。いやほんとに。

 

「びっくりさせて悪かったな!コイツは信明だ、さっき友達になってな……無理言って演技をお願いしたんだよ。だからコイツの事、勘違いしないでくれな?」

 

 と、信明のフォローも忘れない。こう言えばきっと俺をよく知るクラスメイトの連中なら……

 

「よろしくな信明!」

「初日から慎司に巻き込まれるとは災難だったな!」

「違うクラスだけどよろしくね〜」

 

 皆好意的に見てくれる。ふむふむ、信明はあまりの皆んなの反応の変わりように

 

「えっ?え?あ、うん……よろしく…」

 

 戸惑いながらもそんな風に反応していた。件の川野さんも俺をよく知らないから困惑気味だが他のクラスメイトが俺という人物を軽く説明してなるほどと笑ってくれていた。そんな寸劇に付き合った自分の知り合いにも笑っている。悪い意味ではなく良い意味で。

 そしてそんな意中の人を自分が笑わせられたと思い分かりやすく表情を明るくする信明。チョロ……まぁ万事解決って事でいいだろう。

 

「いやぁ、本当にびっくりさせて悪かったなっ!俺はこんな奴だけど、聖小上がりの皆んなは引き続き……今日知り合った外部受験の皆んなも3年間よろしくなっ!」

 

 そんな風に締めくくってちょっとしたプチ騒動は閉幕したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………。

 

 

 

 

 

 

 

「慎司、あんたさっきの何だったのよ?」

 

 学校が終わり帰り道。今日は柔道の練習も休みでアリサちゃん達の習い事も休み、なのはちゃん達管理局組も任務がないという中々ない全員揃っての休みの日なのでこのまますずかちゃんの家でお茶でもしようという事に。

 全員を乗せれる大きなリムジン車に揺られているとアリサちゃんが唐突にそんな事を口にする。

 

「何だったって、普通に皆んなを驚かせただけだけど?」

「嘘つくんじゃないわよ、信明……だっけ?今日は朝からずっと私達と一緒にいたのにいつその子と知り合って友達になる暇があったのよ?」

 

 まぁ当然の疑問か。あのあとはこっそり信明から謝罪の言葉を受け取って俺からも多少の説教を述べて勘弁してあげた。その際信明の恋も応援してるから頑張れよと告げたら彼は嬉しそうに笑っていた。

 やっぱり素直な真面目な子なんだろう、行動がぶっ飛んでたのはこの際若気の至りで片付ける事にした。

 

「まあまあアリサちゃん、慎司君の事だし何か理由があったんだよね?」

 

 なのはちゃんがアリサちゃんを宥めつつこちらに言葉を求める。

 

「まぁ、信明の名誉もあるし詳しい話は内緒で頼むわ。本人根はいい奴みたいだから勘弁してやってくれよ」

 

 てな訳で、皆んな疑問に思ってたみたいだが信明の恋心を悪戯に広めるのも可哀想だし皆んなといえど隠す事にした。悪いことしたわけじゃないしいいだろう。そんな事よりすずかちゃん宅まで暇だからなのはちゃん揶揄おう。

 

「あ、なのはちゃん……髪の毛に芋けんぴついてるぞ?」

「ついてるわけないじゃん……」

「いやマジだって」

「流石の私でもそれは引っかからないよ……」

「え、俺の言葉はそんな信じてくれないん?」

「そ、そんな顔したって……」

「……………」

「……………」

「……………」

「…………(髪の毛に手をやる)」

「ぷはwチョロすぎww」

「ちょっと言い方!?叩くよ!」

 

 いつも通りのポカポカ、ポカポカ。中学生になっても全く痛くない。

 

「慎司となのはは本当にいつも楽しそうだよね」

 

 微笑ましいを見るような顔をしてそう言うフェイトちゃん。

 

「楽しんでるのは慎司君だけだよ!?」

「そう言うお前だって楽しんでるだろ?マゾなのはちゃん」

「マゾって言ったね!?」

「大魔王ゾーマって言ったの」

「それドラ○エのラスボス!なお悪いよ!」

 

 何で知ってるんだよ………俺が教えたんだった。

 

「それが嫌ならミルドラースだな……はやてちゃんがなぁ!!」

「あれウチ巻き込まれた!?」

「フェイトちゃんはガルマッゾだなぁ!」

「……仮面ライダーにそんなの出てたっけ?」

「「「ド○クエだよ!!」」」

 

 まさかのフェイトちゃん以外全員ツッコミと相なった。

 

 とまぁ、中学生になっても荒瀬慎司は絶好調である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで中学生生活にも慣れた頃、俺は八神家へお邪魔していた。定期的に来ているが今日は皆んなの目当ての漫画の続きが手に入ったのでそれを貸しに来たのだ。

 

「開けごま塩おおおおおおおおおおおお!!!」

「いらんわそんな合言葉!」

 

 いつもの調子で玄関を開けてもらう。あ、お隣のおばさんこんにちわー。今日も元気だね?はい、それだけが取り柄です。ありがとうございます。え?飴ちゃんくれる?そんなぁ気を使わなくても……おばさん、これ飴ちゃんやない……ハイチュウや。でも好きだからいただきます。

 

 

 

「おっす邪魔するぜぇ」

「あ、慎司さんですっ」

 

 と少し舌足らずな言葉で嬉しそうに妖精をイメージさせるようなサイズ感の女の子が宙に浮いて俺のほっぺに突撃してきた。あ、ちょっと痛い。まぁいいけど。

 

「よぉ、ちみっこ……元気にしてたかー?」

 

 俺のほっぺに頬ずりしてくるこの可愛い生き物に人差し指の腹で頭を撫でる。この子はいったい誰なのかを説明せねばなるまい。

 この子は以前にも話したリインフォースが自身が消滅した時に後継として残そうとしていたリインフォース自身のカケラである。自分が消えた後にはやてを支える者として自身のカケラを残してはやてに育てて貰おうと思っていたのだが生憎俺がその邪魔をしたので必要なくなってしまった。

 

 しかしリインフォースたっての願いで折角宿す命を積む事もないとリインフォースの姉妹機として誕生させる事に決まったのが以前まで話した事だと思う。その後はやてちゃんの管理の元、周囲の魔力とはやてちゃんのリンカーコアを分け与えられとうとう生まれたのがこのミニリインフォースである。

 リインフォースから生まれたこの子は見た目もリインフォースをそのまま幼くしたような感じでリインフォース的には娘というより妹と言う感覚が近いらしい。

 

 このミニリインフォース、名をリインフォース・ツヴァイ。リインフォースと被ってしまうので皆んなからはリィンと愛称で、リインフォースからはツヴァイと、俺は何となくちみっこで通してる。

 可愛いじゃん、ちみっこ。

 

 ちなみにこのちみっこ、根本の人格としてリインフォースから生まれたからリインフォースの人格や記憶を元に構成されているのだが……初めて俺と会った時からこの調子であった。性格は生まれたばかりなのもあり感情を隠さない子供のような一面が多いのだがリインフォースは自分の人格が元と周囲も分かっているため、自身の恥ずかしい本音を常に暴露されてるような気分らしく今も俺に甘えてくるちみっこを見て端で顔を赤くして震えながら悶絶してる。

 

 滅茶苦茶面白い。と言ってもこれから様々な経験をしてリインフォースとは違った性格や考え方も手に入るだろう。しかし、現状はまだほぼリインフォースと同じ考えを持つのだ。揶揄わないなんて逆に失礼だろう。

 

「ちみっこー?俺と会うのそんな楽しみにしててくれたのか?」

「はいっ、慎司さんが来てくれるまでずっとそわそわしっぱなしでした!」

「………っ」

 

 リインフォース、隠してるみたいだが聞き耳立てて反応してるのはバレバレだゼェ?

 

「俺のことそんなに好きなのかぁ?」

「大好きですっ!!」

「…っ!……っ!」

 

 めっちゃおもしれぇんだけど。リインフォース、感情表現が前より豊かになったからか顔を隠して悶絶してるだけなんだけど頭の中じゃきっとベッドの中をゴロゴロしてるくらい恥ずかしがってるのが見え見えだ。

 

「どんくらい好きなんだ?」

「こ〜〜〜のくらいっ!!こ〜〜〜〜〜〜〜〜のくらいです!!」

「〜〜〜〜〜〜っっ!!!」

 

 体全部を使って大袈裟に表現してくれるちみっこを見てとうとうリインフォースも床をゴロゴロと転がって悶絶していた。姉妹揃って可愛らしい。

 

「はははっ、ありがとなちみっこ。ほれ、お菓子持ってきたからはやてちゃんに怒られない程度に食べな」

「わーい!ありがとです」

 

 俺からひったくるように受け取るとちみっこ専用に用意されてる小人サイズの椅子で行儀良く美味しそうにお菓子を頬ばる。一応はやてちゃんから魔力を多めに消費してしまうが普通の子供サイズくらいにはなれるらしい。と言っても今くらいの方がちょうどいいような気もするが。

 

 さてさて、羞恥心で体を震わせてるリインフォースにトドメでも誘うかな。ゆっくりと近づいて床にうつ伏せで顔を隠すリインフォースの耳元で囁くように言ってやる。

 

「んで?リインフォースは俺のことどんくらい好きなんだ?」

「っっっっ!!!??」

 

 いやびっくりし過ぎだろ。あ、やめてあばれないで。羞恥心に耐え切れないでヘッドバンキングしようとしないで君そんなキャラじゃないでしょ!

 

「慎司………殺してくれ……」

「やだよ、何の為にお前助けたんだよ」

「…………慎司」

「これからもっと揶揄って楽しむ為だぞ」

「慎司」

 

 冗談だよ、珍しくちょっと不貞腐れるリインフォース。いやぁ、ホント感情表現豊かになったなぁ。なんだか嬉しいぞ。

 

「悪かった悪かった、これやるから機嫌直せって」

「……これは?」

「俺が使ってた消しゴムの残りカス」

「………ありがとう」

「え、嘘だろ。なんで嬉しそうなんだよ」

「お前からもらった者ならなんでも嬉しい」

「頭バグってんのか貴様」

「バグっていたのは私の防衛プログラムだ」

「ブラックジョークすぎんだろお前!言っとくけどまだそれ解禁じゃねぇからなっ!!」

 

 せめてあと3年は待てバカタレ。

 

「それそうと慎司」

「お、おう?切り替え早いな…」

「足はなんともないか?平気なのか?」

「おいおい何度も言ったろ?ちゃんと後遺症残さず完治したって」

「そうは言うがやはり心配だ……シャマルに診てもらったほうが」

「もう治ってから1年くらい経ってるんですけどね!

 

 と言うがリインフォースの表情は憂いの色があった。まあ、彼女のこれは今に始まった事じゃない。前々からちょくちょくこんなやり取りをしている。それもこれも恐らくは………

 

「必要以上に心配すんなって、俺は大丈夫だよ」

 

 そう言って優しくデコピンする。

 

 彼女は俺の秘密を唯一知っている。そしてそれに罪悪感を覚えてるし、俺の事になると過敏になっている。前世の俺の死因、事故死。人とは突然亡くなる事をリインフォースは俺の前世を通して学んだと過去に言われた事がある。

 俺の無念を知り、俺の後悔を知っている。だからこそ、あの全国大会……怪我を押して出たあの大会で勝利をもぎ取った時リインフォースは泣いていたとはやてちゃんから聞いた。

 

 前世からの夢を叶えた事を、前世からの後悔を断ち切った事を知っているから。たまに思う、不可抗力とはいえ俺の秘密を知ってしまったリインフォースの重荷になってしまってるんじゃないかって。

 リインフォースは俺の大事な決断や行動を起こす時、事あるごとに前世の事を引き合いにだす。今までずっと俺が前世に縛られ苦しみながら生きていた事さえ知っていたから。

 

 けどリインフォース、もう大丈夫だよ。

 

「リインフォース……」

 

 おでこを抑えて俺を見つめるリインフォースを見つめ返す。俺も、ちゃんと言わねばならない。

 

「俺は本当に大丈夫だから。俺は、ちゃんと荒瀬慎司だから」

「………そうか、すまない。お節介が過ぎたようだ」

 

 左足の事ではなく前世の事は乗り切ったと伝える。これから俺は、本当の意味で荒瀬慎司として生きていくのだ。既に決意して俺はそのつもりで日々を生きている。

 

「慎司……いつか、私がお前の力になれたとき聞かせてくれ。お前の……太郎の生き様を」

 

 周りに聞こえぬよう小声で告げてくる。

 

「別にそんな報酬みたいにしなくても聞かせてやるぜ?」

「いや、そう言う形がいいんだ。まだ私はお前の大恩に応えれてはいない、ちゃんと慎司と対等になった時……その話を聞いてもいいと思えるから」

「お前がそう言うなら別になんだっていいけど」

 

 そんなずっと例のことを気にしなくても……いや、リインフォースの意思がそう思ってるならあんまりとやかく言う事もないか。俺に恩を返すなんて正直いつものように俺と話して遊んでくれればそれで十分なんだがリインフォースがもっとそう言う分かりやすい何かを求めてるなら。

 

「それとは別でなんだが慎司……」

「おん?今度はなんだ?」

「以前にも聞いたが……いつ私の胸を触るのだ?」

「お前いい加減にしろよコノヤロウ」

 

 何故か八神家の皆んなからは痛い視線を浴びる事になるのだった。解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 次回で空白期編最終回!
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