転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるっせぇぞ3人娘どもがぁ!!」

「「「いきなり何!?」」」

 

 学校の昼休み。中学校でも俺たちは屋上を陣取り弁当をつつく。小学校とは違いはやてちゃんも加わり俺も含めれば6人の大所帯だ。

 

「びっくりしたよもう……皆んな普通に話してただけだったよ?そもそも3人じゃないし……誰に言ったの?」

「……内なる波動を感じてな……」

「そんな訳わからない理由でびっくりさせないでくれるかなぁっ!」

 

 ごめんごめん、ついねつい。叫びたくなるじゃん。俺だけ?

 

「慎司の奇行は今に始まった事じゃないしね」

「いちいち相手にしてたら疲れるで?なのはちゃん」

 

 割とフェイトちゃんもはやてちゃんも辛辣である。まあ、しょうがない。びっくりさせた事を今一度全員に謝罪しつつおかずを摘む。ふむ……今日の卵焼きは甘いな……。

 

「まるでフェイトちゃんだ」

「卵焼きを見つめながら何を口走ってるのよ」

「一歩進めばアリサちゃんだな」

「何をどう一歩進めば私が卵焼きになるのよ!」

「そう言うとこだぞアリサちゃん」

「うがああああああ!!」

 

 俺に襲い掛かろうとするアリサちゃんをすずかちゃんが必死に止める。いやぁ、いつも迷惑をかけます。

 

「放しなさいすずか!今日と言う今日はその意味わかんない言動を矯正するんだからぁ!!」

「落ち着いてアリサちゃん!慎司君はいつの日か絶対私が屠るから!」

「さらっととんでもない事言ってて笑うわー……え?冗談だよね?」

 

 すずかちゃんの人間離れしてると錯覚する身体能力考えると割と実行できるから怖いんだけど。てかすずかちゃん最近俺に当たり強くない?元々強かったけど最近また増してない?

 

「慎司君がふざけてすずかちゃんに疲れさせるような事ばっかさせてるからだよ…」

 

 俺の顔を見て何を考えていたか察したのかなのはちゃんがそんな事を言う。て言ってもなー、すずかちゃんだってちょっと楽しんでる面ある癖にー。

 

「慎司君はいつか絶対私が………するからアリサちゃん落ち着いてー!」

「おい、今ボソボソと何を言った?白状しなさい……あ、ごめんなさい嘘です。言わなくていいです聞きたくないです。ちょっと寒気がするから誰か温かいものを恵んでください」

「ほいっ、ウチの体温いるか?」

「メイド服着てもうちょっと成長してから出直せエセ関西めっ!豹柄の服ばっか着やがって!」

「持ってないし偏見がすごいなぁ!」

 

 だって大阪のおばちゃんは皆んな豹柄の服着てんだろ?違うの?

 

「………なのは、お弁当美味しいね?」

「これだけ周りが騒いでてもいつも通りのフェイトちゃんに安心感を覚えるよ」

 

 だいたい俺のせいで騒がしくなる事は言わないでおいた。

 

 

 

 

 

 

……………………………。

 

 

 

 

 

「うーす、ただいまーっと」

「あっ、おかえり慎ちゃん!」

「帰る」

「ここが家でしょ!?」

 

 学校から帰ってきたらイギリスにいるはずのロッテに出迎えられたでござる。出て行こうとする俺の手を取って引っ張ってくる。

 

「な〜ん〜で〜いる〜〜!!」

「慎ちゃんが中々来てくれないから遊びにき〜た〜の〜」

 

 力では使い魔のロッテには敵わずあっさりと引き込まれて俺の顔を自分の胸に押し付けながら抱きしめてくる。うん、最初は役得かなぁなんてちょっとした下心もあったけどここまで来るともはや生まれる感情は無である。

 

「あぁもう慎ちゃんまた大きくなったねー!でも相変わらず可愛いんだからっ」

 

 やめて、胸で窒息死する。ちょ、抱き締める力強すぎだから。マジで、マジでっ!死ぬから!

 

「ぬぬぬっ!苦しいわぁ!!」

「わぁ、ごめんごめん」

 

 何とか無理矢理引き剥がすと悪びれる気持ちは全くない様子でそう言うロッテ。まぁ、彼女に会ったらいつもこうなのだ。いい加減慣れよう。

 

「ふぅ……んで?何でいるんだよ?」

「慎ちゃんが全然会いに来てくれないから来ちゃった」

「数ヶ月前に会いに行ったじゃないか……」

 

 転移って便利だからね。イギリスまでひとっ飛びですよ。俺魔法使えないから親同伴なのが条件だけど。まぁ、両親もグレアムさんとは旧知の仲だから頻繁に会いに行くついでに俺もついてってるだけだしなぁ。

 

「ロッテ、慎司は帰ってきたばかりなんだ。ゆっくりさせてやりなよ」

「お、アリアもやっぱ来てたか」

 

 見かねたように家の奥から顔を出してそうため息混じりに声を掛けるアリア。となると、グレアムさんはイギリスでお留守番かな?まぁ、隠居生活満喫してるらしいし1人でゆっくりするのも偶にはいいのかも。

 

 アリアの言葉にロッテは素直に従い一緒に居間まで通す。2人によれば母さんは今頃夕飯の買い出しに行ってるそうで今日は2人もその席に一緒するそうだ。それで少しゆっくりしてから帰るらしい。何だよ、本当に俺に会いに来ただけかよ。

 またなんか管理局絡みかなって思ったけど考えすぎだったようだ。そもそもグレアムさんの使い魔である2人はグレアムさんの管理局引退と同時に2人も管理局を退職した形になったらしいしなぁ。もはや2人も老後の主人に寄り添って日々を過ごしているって感じだし。

 

 管理局やら何やらとはもう本当に無関係になったのか。そう思うとこうやって刺激を求めてやって来てるのかもなぁ。それなら相手してやるのもやぶさかではない。

 

「んじゃ、母さんが帰ってくるまで……そうだなぁ、ゲームでもすっか?」

「うん、慎ちゃんと遊べるなら何でも」

「私も参加したい」

「勿論3人でだよ」

 

 ちょうど柔道も休みだ、今日はとことん付き合ってもらうとするか……。

 

 

 

 

 

 

 3人で騒ぎながら楽しんで、家族と一緒に夕飯も一緒して他愛のない話で盛り上がる。すっかり俺のどこかの親戚のお姉さん感が板についた2人だった。食後はゆっくりと談笑して過ごす、俺はすっかり遊び疲れてロッテに抵抗する気も起きず好きなように愛でられている。

 アリアも羨ましがってちょこちょこ控えめに撫でてきたりスキンシップをして来たり。マスコットか俺は。父さんと母さんがそれぞれ席を外して居間に3人になったタイミングで俺を好き放題していた手を止めたロッテがおもむろに口を開いた。

 

「………慎ちゃん、新しい学校楽しい?」

「……ああ、楽しくやってるよ」

「ならよかった、慎ちゃん私たちが知らない間にまた色々無茶したって聞いてから心配してたから」

 

 俺が怪我を無視して全国大会に臨んだ件だろう。あの事はリーゼ姉妹とグレアムさんには事後報告という形になっていた。別に隠していた訳じゃないがわざわざ無茶する事を宣言する訳にもいかず、そろそろ俺の足も完治しただろうとお祝いに来た筈の3人が余計に重傷を負ってまた入院したと知った時の驚きようは可笑しかったな……。

 

「完治したと聞いたが……それから体の魔力の拒否反応の件も解決したのか?」

「何だよ、ロッテだけじゃなくてアリアまで……その件も解決してるよ」

 

 何で知ってるんだ?って俺の両親から聞いたのか。別に不自然じゃないな。俺の体が魔力に対して拒否反応を起こし治癒魔法やら何やらが一切受け付けずそれも一因して大会に完治が間に合わなかった訳だが。

 そもそも拒否反応を起こした理由が闇の書事件の際、今まで魔力のまの字も知らなかった体に短期間で急激に濃密に魔力を酷使した事で起こった一時的な弊害なのだ。元々時間と共に解決するものだったからな、ちょうど最近定期検診で体の拒否反応も収まったと管理局の医者から太鼓判を押された所だった。

 

「何だ何だ2人して?どうしたんだよ?」

「いや、もう平気ならいいんだ……」

 

 そう言うアリアの顔もロッテの顔も少しだが優れない。しかし、俺はすぐに理解した。

 

「………言っとくけど、体の魔力の拒否反応の件は俺の自己責任だぞ?2人のせいだなんて思ってたらそれはお門違いだ」

 

 だからそうきっぱり否定した。俺が勝手に無茶して体を酷使したからそうなったんだ。断じて2人が事件の裏で暗躍したからとかそんな理由ではない。

 

「……けど私達が変に掻き乱してなければ……慎司にあそこまで無茶をさせずに済んだかもしれない」

「無茶をしなかったら慎ちゃんが事故をした時、すぐに魔法の治療を受けれたんだよ?そしたら大会だって万全で………」

「たらればの話したって不毛なのは2人ならわかる筈だろ」

 

 間髪入れずにそう言ってやる。本当はふざけるなと言ってやりたかった、例え本当にそうだったとしても俺の覚悟を、俺が頑張って勝ち取ったものがその先にはあった。そしてそれに俺は満足してる。だからそれを否定するのは俺にとっては違うのだ。

 だが口に出さなかったのは2人がそう言う立場だからこそそう考えてしまうって事を理解していたからだ。根は優しいのは知っている。非常になりきれず俺の前では姿を変えて変身してもボロを出していたくらいだから。

 

「それにその件はもう終わらせただろ」

 

 あの時、俺の事を泣きながら優しく抱き締め返してくれたのは嘘じゃない筈だ。

 

「………そうだね、ごめん。ちょっとナイーブになっていたかもしれないね」

 

 ロッテの言葉にアリアも頷いて謝罪の言葉を述べる。しかしまぁ、この間はリインフォースもだが今更過去のことを掘り返すのは何なんだろうか。何かの予兆かと変に勘繰ってしまう。考えすぎだろうけど。

 

「ま、2人は優しいからな。どうしても罪悪感やら何やらが消えないってんならさ………いつか俺に恩を返してくれればいいさ」

「どう返せばいい?」

 

 そう言われても特に思いつかない。俺は今幸せな日常を過ごしてるからな、そんな風にパッとは浮かばない。

 

「さあな、今は特に必要ないけど……俺の人生まだまだこれからなんだ。そのうち2人の助けが必要になってくるだろうぜ。そん時助けてくれよ、そうすりゃ流石に罪悪感なんて消えちまうだろ?」

 

 そう笑って答える。別に返さなくていい恩だ、もっともっと時間が経てばきっと本当の意味で前を向いてくれるだろうさ。けど、今だって俺は気にしないで欲しいと思ってる。だから、そう提案する。ふわふわとした内容だけどそれは確かな約束でもある。

 その約束を胸にいい加減余計なもの取っ払って前を見て欲しいと思うから。

 

「俺はこれからだって頑張るんだ。きっと壁にぶち当たって挫けそうになる事も何度だってある。その時、2人に出来る事があるなら俺を助けてくれ………それでいいんじゃないか?」

 

 適当に言葉を繋げて見たけど案外いい提案じゃないか?俺の言葉に2人は少しキョトンとしながらもすぐに切り替えて表情を引き締める。そして居住まいを正してから真剣な口調で

 

「……親愛なる主人の使い魔としてリーゼアリアの名において荒瀬慎司に誓う……これから先、貴方に困難が訪れた時…必ず助けになると」

「同じくリーゼロッテの名において誓う……荒瀬慎司の大恩に必ず報いると」

 

 少し神々しさすら感じる2人に少々戸惑う。しかし、そんな風に真剣にやられてはこっちも同じように返さなければ失礼だろう。俺は咳払いをしてから2人に告げる。

 

「その誓い受け取った。いつかその日が来たら……頼るよ……『姉さん』……」

 

 俺の言葉を皮切りに3人で笑いあったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 中学校生活もついに2年生となってから半分以上が経過した。春を終え、夏を終え、秋の終わり頃。俺は両親と共に地球ではない別の管理局のある次元世界へと来ていた。

 その場所は自然の温もりを感じられる穏やかな場所でその中心に教会のような施設が見える。実際に教会らしく管理局内の宗教団体、『聖王教会』という所らしい。なんか色々複雑で説明を聞いてもよく理解出来なかったが管理局という大きな括りの中でも権威がある団体とか。

 

 さて、なぜ俺がそんな所に連れられてるというとだ。原因は俺の一言。

 

『バイトしたい』

 

 これだけである。いやね?中学生はバイト出来ないじゃん日本じゃ。けど中学生になると色々入り用なのよ、皆の誕生日時は凝ったもの用意したいし仮面ライダーグッズは集めたいし漫画だってゲームだって金かかるし。

 柔道の練習?俺ちょっと肩怪我して大事をとって静養中で暇なのよ。動かせはするしやろうと思えばできるけど過去の経験上そんな事すれば痛い目を見ると死ぬほど分かってるからなぁ。

 

 てな訳で管理局ならなのはちゃん達も働いてるし今の俺でも務まる短期バイトくらいあるんじゃね?と思ったわけだ。そしたらちょうど両親が聖王教会に用があったらしくついでに仕事ないか連絡して聞いてくれたら俺でも務まる雑用が慢性的に人手不足だから大歓迎との事。

 て事で2人に連れられ転移でここまで来た訳だ。両親からその聖王教会の責任者の初老のシスターさんに紹介されて笑顔で迎えられる。とりあえず今日一日指示された雑用をこなすという事で俺は教会内を案内されながらやって貰いたい事を教えてもらう。なるほど、基本的には掃除やら洗濯やら……食事の用意の手伝いに子供を預かる託児所的な事もやってるそうでその相手。

 

 そんなこんなで両親は用事を終えて先に戻って行った、夜に迎えにきてくれるそうなのでそれまでお仕事頑張りますか。早速取りかかる、まずは掃除。魔法のある世界だから掃除なんかも魔法でちょちょいのちょいかと思ったけどそこは地球と変わらず箒やらマップやらで綺麗にしていく。

 広い建物だけど今日の所は指定された場所だけでいいとお達しがあったのでそこだけをこなす。次に洗濯……ってうわ、教会ってそこに所属してるシスターさんの洗濯かよ……俺一応男だぞ?いいの?……え?君なら平気?まだ子供だから?いやいやいや……。

 

 君の事は聞いてる…?ジュエルシード事件と闇の書事件の功労者として?え?俺ってそんな有名なの?………一部の人しか知らないんだ、俺の両親と仲がいいから知ってるだけなんだよかったよかった……。いや、俺の知らないところで目立つのやだし普通に。とりあえず洗濯しますよ?いいんですね?何か可愛らしい柄のパンツとかもあるけどいいんですね!?

 わっかりましたー!!うおりゃーー!!………しかも手洗いかよぉ……。

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 そんなこんなでそこに務めるシスターさん達に挨拶しながら仕事をこなす。洗濯干しも終わったし先程昼食の準備を終えた。さてさてお次は……あ、どうも責任者さん。

 

 え?昼食?俺も一緒に?昼休みだし丁度いいでしょって?あ、はい……確かに用意はないですけど……じゃあお言葉に甘えて。

 

 

 

 

「もう見かけた方もいると思いますがこの方がバイトの荒瀬慎司さん。これから時間のある時に来てくれます。元気の良い子ですから皆さんも目をかけてあげてくださいね」

「ど、どうも!荒瀬慎司です!元気だけじゃなく仕事もちゃんとやりますんでよろしくお願いします!!」

 

 食事の席で教会のシスターさんに紹介をされてしまった。ていうか本当に女性しかいないのかここは……老若問わずシスターさんとそれに近い服装をした教会騎士と呼ばれる人でいっぱいだ。元気な子と紹介されては仕方ない、元気に挨拶する。俺くらいの年頃の子がいるのは珍しいらしく皆さんからも暖かく出迎えられる。今日一日バイトきただけなのにこんな風に扱ってもらえるのは嬉しい。よし、午後も頑張るぞ。

 

「地球出身なんでしょう?偉いですね、そんな若さで働こうなんて」

「いえ、知り合いで同い年の魔導師もいますんで自分なんてまだまだ甘んちゃんです」

「魔導師ではないのでしょう?それにしては引き締まった体つきね……教会騎士団目指してみない?」

「うっす!鍛えてますから!でも魔法使えないんで地球でがんばります!」

 

 色々な人に質問攻めを受けたり世間話をして交流を深める。話していても分かるが割と好意的に受け入れられてるようでよかった。

 

 

 

 ……………………………。

 

 

 

 

 午後からは託児所で子供の面倒を任された。面倒と言っても一緒に遊んだり話したりするだけだ。ちゃんとしたお世話やらはシスターさんのお仕事。しかし俺くらいの男は子供達にも珍しいらしく始めて会ったのもあってか引っ張りだこになってしまう。

 

「しんじ!しんじ!もっかい、もっかいやって!」

「よーし、よく見てろよー……ライダー……変身っ!…とおっ!!」

「かっけえええええ!!」

 

 もうこの変身ポーズをこなすのは10回目である。子供恐るべし。まあ1号の変身ポーズカッコいいもんね。仕方ないね。え?他のやつ?じゃあ次クウガね。

 

「しんじ、しんじ!おままごとしましょ?」

「おう、いいぞ。俺は何したらいいんだ?」

「家庭環境が崩壊したけど健気にがんばってる薄幸少女が所属してる魔導師隊で大活躍するたびに後ろで『この子はわしが育てた……』って顔をしながら腕を組んでる上司の人!」

「後方腕組みおじさん!?」

 

 何てとんでもない役やらせようとしやがるこのお嬢さんは。ていうか設定もいちいち重いんですけど。君は平気かい?何か辛い事でもあったのか?……え?別に平気?お父さんとお母さんも仲良い?甘々すぎてブラックコーヒーも砂糖まみれな味がする?

 君その年でブラックコーヒーなんか飲んでるの?普通の飲み物じゃ糖分過多になっちゃうから?そっかぁ。

 

「しんじー!おにごっこしよ!」

「ちがうよ!管理局ごっこするのー!」

「おままごとだよっ!」

「あーこら喧嘩すんなよ、順番で全部やってやるからおれについてこいやぁ!!」

「「「おおっー!」」」

 

 こうなりゃヤケだ片っ端からやってやるぜぇ!………え?全仮面ライダー変身ポーズ耐久もやってほしい?倒れるまで?………よしっ、俺に任せろやぁ!!………でも順番は最後にしてお願いだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

「や、やり切ったぞ…………」

 

 数時間ほど相手をして俺は糸が切れたように倒れ込む。子供達はお昼寝の時間となり今頃ぐっすり眠っている所だろう。全く小さな子供達というのは恐ろしい、遊びとなると無限の体力を持ってるんだから。お世話係りのシスターさんには先程お昼寝の間は休んでていいと言われたのでお言葉に甘えさせて貰う。

 いやー、本当に疲れたぜ。俺にもあんな時期があったってんだからなぁ。つか、俺一応今はまだ中学生だしそんな風に考えるのは早いか。

 

「あら、お疲れのようですね?」

 

 と、疲れてだらーんとしてる所で声をかけられる。シスターさんだが今日初めて見る顔だ、歳も多分近い。同じか少し上かと言った所。シスター服のベールから垣間見える綺麗な金色の髪が特徴の綺麗なひとだった。

 その人は人の良さそうな笑みを浮かべながらどうぞとコップに入ったお茶を差し出してくれる。

 

「お、ありがとうございます」

 

 素直に受け取りすぐに飲み干す。ちょうど汗もかいたから水分が欲しかったんだ。ふぅ、生き返る……。

 

「いやー、助かりました。小さな子供ってのは元気に溢れてるもんですね、こっちが振り回されちゃいましたよ」

「ふふっ、ですが大人気だったじゃないですか。子供の相手……お上手なんですね?」

「ははは、まぁ嫌われるよりはいいですからね」

 

 少し世間話を交えて話す。何だか少し距離感が近いような気もするがここのシスターそん皆こんな感じだから別段不思議とういわけでもあるまい。

 

「ああ、一応もう知ってるかも知れませんが俺、荒瀬慎司ってもんです。どうぞよろしく」

「ご丁寧にありがとうございます。私は、カリム・グラシア……お話ははやてからよく聞いていました」

 

 え?

 

「はやてちゃんと知り合いなんです?」

「ええ、個人的な友人なんですよ」

 

 そっか、あいつらももう一端の管理局員なんだしこっちにも人脈やらが広がるのは当然事だよな。にしてもこんな綺麗な人が友人とは羨ましい限りだ。

 

「ちなみにはやてちゃんからは何と聞いてます?俺のこと」

「それは……」

「あ、すいませんやっぱりやめてください。どうせ禄でもない事聞かされてると思うんで」

 

 はやてちゃんの事だ、めちゃくちゃな奴とか言われてそう。

 

「いえいえ、そんな事はありませんよ?貴方のことを大切な友人と言っていました。そして正しき信念を持ち、それを行動に移して成し遂げられる尊敬できる人とも」

「は、はやてちゃんが?」

 

 まじかぁ、あいつ……そんな風に思ってくれてたのか。素直に照れてしまうぞ、いやぁ……俺ってば罪作りな男だぜ。

 

「『というのはレアな慎司君で普段の慎司君はアホボケ変態野郎やからカリムももし会ったら気ぃつけてなっ!』っと、とてもいい笑顔で言ってましたよ?」

「あのエセ関西人めぇぇえ!!」

 

 上げて落とすとはいい度胸じゃねぇかコラァ!!鼻の穴からデスソース染み込ませるぞボケナスがぁ!!

 俺が怒りで震えてるのを愉快そうに見つめるカリムさん。いやはや、この人もどうして分からん人だ。

 

「はぁ……それで、アホボケ変態野郎の俺に何で声を掛けてくれたんです?」

 

 そのイメージもはや最悪だろうに。

 

「そうですね……個人的にも興味はありましたので…」

 

 あ、アホボケ変態野郎ってのは否定してくれないのねぴえん。というか興味って、何でまた?

 

「はやてからいつも話を聞いていたのもありましたけど……貴方が今まで残してきた功績を知っているから……ですかね」

「功績?」

「ジュエルシード事件において関係者のメンタルケア及び解決に大きく貢献、闇の書事件においては大立ち回りをして救えない筈だった命を救いその暴走と禍根を解消。貴方の功績は情報規制で知っている人は関係者と上層部でもほんの一握りの方のみで殆どいませんが私ははやてから直接聞いていたので」

 

 一度会って話をしてみたいと思っていたんですとカリムさんはつけ加える。はへー、俺の事ちゃんと情報規制されてるんか……そういえば父さんと母さんからそんな話を聞いていたような?魔力を持ってない俺が大立ち回りしたという事実があるだけで不味い事もあると……まぁ、想像はつくけどな。

 そこらへんはお堅い役柄の人達に任せよう、変に俺に誰かが接触してきても困るしな。

 カリムさんは知ってしまってるけど情報は相当に強く規制されてるらしく例え上層部の物でも知らない人はずっと知らないままとの事。父さん達もきっと信頼出来る人にしか教えてないだろうし。はやてちゃんも口が軽いんじゃなくて信頼出来るからカリムさんに話したんだろうし。

 

「それで?噂の荒瀬慎司を見てどう思います?」

「ええ、とても愉快な方だと思いました」

「馬鹿にしてる?」

「いいえ?」

 

 ついタメ口になってしまったが、愉快な人と来たか。そこはせめて面白い人と表現して欲しかった。いや、どっちもそう変わらんか。

 

「どうか今のように気軽な口調でお話しください、その方が親しみがありますから」

「んじゃカリムもそうしてくれよ。今日から友達な!俺達は」

 

 手を差し出して笑顔でそう告げる俺を見てカリムは少し驚くように表情を変えるがすぐに微笑んで俺の手を取る。

 

「ええ、そうさせてもらおうかしら」

「改めて、荒瀬慎司だ。よろしくなカリム」

「カリム・グラシアです。こちらこそ、よろしく……慎司さん」

 

 こうして俺はミッドチルダにて聖王教会教会騎士団であるカリムとの知己を得たのであった。

 

 

 

 

 

 

……………………………………。

 

 

 

 

「え?カリムの魔法って予言が出来るの?」

「ええ、といっても予言は古代ベルカ……大昔の言語で記載されるので翻訳の解釈の関係上よく当たる占い程度のものだけど」

「いや、それでもすげーじゃん。それがあれば未来の脅威やらを事前に教えてくれたりするって事だろ?対策練れるだけすげぇありがたいじゃん」

 

 もはやチートだね。俺もそんな能力あれば異世界チートハーレムできるやんけ。興味ないけど……いやほんとにないからっ!

 

「興味があるなら過去の予言でも見てみる?」

「あるのか?」

「ええ、教会が管理してるし魔法の発動者は私だから自由に閲覧出来るわ。機密が必要な物は見せれないけど」

「すげぇ興味あるわ、子供達のお昼寝の時間まで暇だし見せてくれよ」

「分かったわ、ついてきて?」

 

 そんなこんなでカリムと世間話やら何やらして残りのバイトをこなしてその日は帰った。以降、中学生の間に何度もここに世話になりに行くことになる。バイトとしてと友人に会いに。

 

 

 

 

 

 

……………………………………。

 

 

 

 

 

 

 月日は流れるのが早い。中学生らしい3年間を過ごして俺達は卒業の日を迎える。そして、俺達はそれぞれの進路に向かって別々の道へ前に進み始める。アリサちゃんとすずかちゃんはこのまま聖祥大附属高校へ、フェイトちゃんとはやてちゃんとなのはちゃんは本格的な管理局員として勤務する事になる。

 そして、俺は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慎司君遅いね」

「大事な用があるらしいからちょっと遅れる言うてたで?」

「全く!最後まで人騒がせな奴なんだから、折角今日は卒業記念のパーティーするってのに。今日まで自分の進路先は内緒だなんて勿体ぶってたくせに」

「まぁまぁアリサちゃん、すぐ来るよきっと」

 

 アリサの悪態をすずかが宥めるいつもの光景。そんな中フェイトは疑問を口にする。

 

「なのは、慎司は折角中学でも全国大会優勝したのに推薦全部断っちゃったんだってね?」

「うん、慎司君夏の最後の大会以降練習もしてないみたいだし……何か新しくやりたい事が出来たなら応援してあげたいんだけど…」

「あ、噂をすれば来たみたいだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 こっちこっちと皆んなが手を振って出迎えてくれる。俺はそれを息を切らせながら走って向かう。俺の大好きな友人、大切な親友達に迎えられる。ああ、皆んなには感謝してる。俺がこの第二の人生において、こうやって生きていけてるのは……皆んなみたいな仲間に恵まれたからだ。家族に恵まれ、仲間に恵まれ、荒瀬慎司として……生きられている事を俺は誇りに思う……だからっ

 

「待たせた皆んな、俺のこれからの道が正式に決まったぜ」

 

 だから………

 

「俺は……春から管理局員になるっ!」

 

 皆んなとても驚いた表情を浮かべて騒ぎ出す。ああ、期待通りのリアクションだ。へへ、やっぱり俺はこうでなくちゃ。皆んなを驚かせ続ける人でありたい。楽しませる存在でありたいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、この先どんな困難や絶望が訪れても。俺が皆んなを守って見せる。

 

 

 

 

 

 continuation of strikers

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 この続きはstrikers編となりますがまずは幕間を挟みます。幕間編は描けなかった中学生時代の日常を中心に描く予定です。

 また、ちょうど切り目もいいのとリアル事情で一旦執筆をストップします。元々投稿頻度は全然なのでわざわざ報告するほど止まるわけじゃありませんが一応ご報告させて頂きます。

 空白期編は以上になります。いつも感想、評価、誤字報告大変感謝しております。作者の燃料にもなりますのでこれからもよろしくお願いします
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