「そう、とりあえずは今のところ何事も無く業務に就いてるのね」
「そんなところだ……シャッハ、お茶おかわり」
「かしこまりました……」
わーお、納得いかない顔してるわ。
「慎司、あんまりシャッハをいじめないであげてよ?」
「人聞きの悪いこと言うなよカリム、負けの罰ゲームをあんな軽い奴に済ましてるんだから寧ろ感謝してほしい」
六課設立から1週間、特に六課が出撃するような案件は無く比較的穏やかな日々が過ぎていた。俺がいる場所は聖王教会、今日はカリムと会談があって訪れたのだ。もっとも、すでに必要な話は終わったから少しの間だけ談笑に花を咲かせているわけだが。
「お待たせしました……」
「ついでに語尾にニャンとつけてもらおうか?」
「お待たせしました…………ニャン」
「そんな顔すんなって、似合ってるぜうさぎ耳」
うさぎ耳で何で語尾にニャンをつけさせたのかって?知らねぇよ、思いつきだし。
「あんまり調子に乗らないでくださいっ!」
「勝負挑んでおいて惨敗したのはシャッハじゃんか、あとニャンを忘れてる」
「だからって、変な罰ゲームを条件にしてっ!……ニャン」
「その方が燃えるだろ?」
ちなみに勝負内容は番犬ガ○ガオである。見事に音鳴らして吠えさせてたなぁ。
「シャッハ、そんな恥ずかしがらなくてもちゃんと可愛いわよ?」
「カリムまで……ううん……」
「カリムもつけてみるか?後は地球の節分っていうイベント用の鬼の面があるけど」
「何でそんなもの持ち歩いてるのよ………ねぇ?私が鬼みたいって言いたいの?」
「それは自意識過剰だよ」
「あらやだ、ごめんなさい」
「鬼も裸足で逃げ出すだろ」
「慎司?」
冗談だよ冗談。だからそんな怖い顔すんなって美人が台無しだよ。とっ、端末から通信音が鳴る。俺はすまんとカリムとシャッハに一言告げてから通信を開く。
『兄貴ぃぃぃぃぃ!!どこにいるんすかあああああ!!?』
「うるせぇ!!もう少しでそっち戻るからちょっと待ってろ!」
と、間髪入れずに通信を切る。マックスの野郎……メンヘラ彼女じゃあるまいし…。慕われてると思えばいいのやら。
「ふふ、マックス君も相変わらず元気みたいね」
やり取りを見ていたカリムは楽しそうに微笑みながらお茶を一口。カリムは俺が艦長を務める『アークレイン』艦隊の後見と支援をしてくれているから俺の部下達とも多少なりとも面識はあるのだ。
「元気過ぎて困りもんだけどな……まぁ、今日もなのはちゃんにしごかれてるだろうしその内大人しくなるだろ」
「……彼も訓練に?」
「ああ、マックスもアークレインでは前線担当の魔導師なんだ……六課として前線に出るのは中々出来ないだろうけど訓練くらいは受けさせないと」
「でも彼は……」
「分かってる、だからこそ訓練に参加させてんだよ」
それは、マックスも望んでる事だしな。
……………………………………。
聖王教会を後にしてすぐに六課に戻る。時間は昼前くらい、なのはちゃん達とFW陣とマックスは今頃午前の訓練を終えて昼食でもとっている頃合いだろう。俺も宿舎の食堂に向かい昼食を取る事にした。
「兄貴!待ってたっすよ!」
と、食堂に訪れればいち早くマックスが気づいて元気よく手を振ってくる。子供かお前は……いや、17歳もまだ子供か。感覚が麻痺してんな。FW4人もお疲れ様ですと声をかけてくれたので俺も応じてお疲れ様と返す。
「慎司君お疲れ様、どこに行ってたの?」
食堂のおばちゃんから昼食を受け取り空いていたなのはちゃんの隣に座るとそう声を掛けてくる。
「ああ、そっちもお疲れ。ちょっと艦隊の方の用事で聖王教会に行ってたんだよ」
一応こう見えて提督だからなぁ、色々足を運ばなきゃいけないのさ。
「マックスの面倒も見てくれてありがとうな、訓練の方はどうなんだ?」
大食らいのスバルちゃんに負けじと飯をかき込むマックスを苦笑しながら観察してなのはちゃんにそう問う。マックスの訓練はFW陣とはまた違うものになってるはずだ。4人には個々のスキルアップだけでなく六課にいる間はチームとなるのだから連携の訓練も必要になってくる。
そうなると正直マックスは蚊帳の外だ。それに……マックスとFW4人とは同じレベルの訓練は出来ないだろう。
「スバル達もマックス君もよく頑張ってるよ。FWの皆んなは連携も初めて何とか体に染み込ませてくれてる。マックス君は……」
「気を使わなくていい、正直に言ってくれ」
「……マックス君は、根本的にまだ土台が出来てないから教科書通りの基礎訓練と私なりにマックス君に必要なメニューを厳しめに組んでやってもらってる。彼なりには頑張ってくれてるよ」
「そうか……」
やっぱり、そうなのかマックス……。
「……聞かないのか?未熟なマックスを何で俺が艦隊のメンバーに組み込んで今回もここに連れてきたのを」
「………気にはなるけど、慎司君が考えなしにそういう事するとは思えないし、マックス君は慎司君を誰から見ても分かるくらい慕ってるし慎司君も慎司君でマックス君を信頼してるみたいだから特に問題はないと思ってる。だから、わざわざ聞かなくてもいいかなって」
なのはちゃんは何でもないような顔をして料理を口に運ぶ。なんか、なのはちゃんも貫禄出てきたなぁ……歴戦の魔導師は余裕があって羨ましい。
「それに、マックス君の事より……」
と、なのはちゃんが何か言い掛けた所でさっきまで少し離れた所で賑やかにスバル達と食事をしていたマックスが俺となのはちゃんの目の前まで来た事により言葉を止める。そして詰め寄るようになのはちゃんに顔を近づける。
「ま、マックス君?どうしたの?」
「俺、思ったんすよ!」
「距離とボリュームが反比例してるよマックス君」
「なのはさんは兄貴の幼馴染なんすよね!?」
「あ、この子慎司君に似てて話聞かない時は聞かない子だ」
馬鹿野郎、俺はもっとまともだよ。え?そんな事ない?似たようなもん?えー?そんなー。
「だったら俺はなのはさんじゃなくて『姉貴』っ!と呼んだ方がいいんじゃないかって!」
「やめて、本当にやめて」
「それなら『姉御』はどうですか!?」
「やめて」
「アナゴでいいんじゃね?」
「慎司君!?」
「アナゴさん!午後の訓練もよろしくっす!」
「アナゴちゃん、そこの醤油とって」
「ああああっ!慎司君が2人いるみたいで眩暈がするよ!?」
まるで俺が厄介な存在みたいな言い草だなショックだよ。真っ当な人間に対して言うセリフじゃないだろそれ。
「マックス、なのはちゃんはどうやらそれも気に入らないらしいからこの際候補を合体させようぜ」
「なるほど!『アナゴの姉御』って感じっすかね!」
「『アナゴネキ』とかでいいんじゃね?」
「それいいっすね!流石兄貴っす!」
「よくないよ!?いい加減にしないと私も怒るからね!」
と、本気で怒る前に食事を済ませて退散する俺とマックスであった。俺は完全に揶揄ってたけどあれでマックスは悪意ゼロってのがまた逆に厄介だよなぁ。面白いからいいや。
………………………………。
「慎司、お昼にまたなのは揶揄ったでしょ?なのはちょっと拗ねてたよ?」
「でもフェイトちゃん、なのはちゃん満更でもなさそうだったろ?絡みとしては」
「…………まぁでも、ほどほどにね?」
「ああ、勿論ほどほどにはするさ」
なのはちゃんもちゃんと楽しいやり取りとして楽しんではくれてるからね、そこは長年の信頼関係が為す信頼よ。俺もラインはちゃんと弁えてるしな。まぁ、そんな調子でずっと俺に揶揄われてるせいでなのはちゃんの中の許容範囲がもう取り返しがつかないくらい広くなってるような気もするけど。
フェイトちゃんは苦笑しながらも作業を再開する。今、俺とフェイトちゃんと他の何人かのスタッフは事務室でデスクワーク中だ。地球で言うパソコンをミッド技術でホログラム化してなおかつ触って操作できるもので管理局員は事務作業をする。
デバイスがあればいつでもどこでも手持ちを軽くして作業ができる、嬉しくないけど。まぁ基本的に勤務中は事務室で作業だよなぁ、管理局もブラック……とまでは行かないけど中々に忙しいし負担も多い。機動六課の試験運用が終わったら労働基準局でも作ってやろうかなクソがっ。
「なあフェイトちゃん」
「んー?」
2人して手を止めず画面からも目を離さないで声をかけ合う。まぁ、当たり前だけど普段なら俺達は同じ管理局員でも一緒の空間にいる事なんて滅多にない事だが六課という一つの部隊の元に集まればこうやって同じ空間で仕事をするのも当たり前になる。
勿論仕事はちゃんとするけどやはり気分はいいよな。てな感じで雑談しながら互いに作業を進める。
「今回の仮面ライダーも見てんのかー?」
「勿論」
「変身音どう思う?」
「コンボの歌?最初はどうかと思ったけど慣れちゃったらかっこよく聞こえてきたかな」
「それなっ」
俺も最初はそうだったんだがなぁ、もはやカッコいいよなコンボの歌。ちなみに俺はサゴーゾコンボが好きなのよ、ドラミングっぽい音が挟まってるのがいいね。
「ん?お前らもいたのか」
と、しばらく今のような会話を続けていると一仕事終えたのか六課の制服姿のヴィータちゃんも事務室にやってくる。俺とフェイトちゃんはお疲れと声をかけるとヴィータちゃんは「そっちもな」と短く答えて俺とフェイトちゃんの近くの席に腰を下ろして俺達と同じようにパソコンのモニターを表示させる。
「ヴィータちゃんはまた別件の任務か?」
「おう、大した相手じゃなかったけどな」
「流石ハンマーブ○ス」
「誰がハンマー○ロスだ」
あいつ地味に厄介だよね、ジャンプしてハンマー投げてくんの。
六課に出向という形で所属しても俺と同じようにヴィータちゃんもフェイトちゃんも元の役職や仕事が全部消える事はない、フェイトちゃんは執務官としてヴィータちゃんは部隊の応援として任務に駆り出されたりなどは高頻度で無くてもあるのだ。
多分ヴィータちゃんはまたどこかの部隊の任務の応援にでも言っていたのだろう。きっとあのハンマーでどこぞの犯罪者に制裁を加えたに違いない。
「にしても慎司が一緒の空間にいるってのは何か変な感じだな」
「何だよ藪から棒に、俺が学生の時はよく遊びに行ってたんじゃんか」
「正確には中学の途中までな、変な風に感じるってくらいお前めっきり仕事仕事で遊べなかったじゃねーか」
子供っぽく拗ねたように言うヴィータちゃん。ヴィータちゃんとはよくタイマンで色んなゲームで対戦してたからなぁ、多分色々練習したりしてたけど俺が中々会えなくてそれを発揮できなかったのが複雑なんだろうな。
「悪かったよ、色々落ち着いたら新作のポケ○ンで対戦でもしようぜ?」
「あれバグだらけで進行不能になったからやってない」
「その内修正くるからそれ待つんだな」
外注とはいえちゃんとしてくれよポケモ○。
と、そんな感じでヴィータちゃんも交えて3人で雑談しながら書類作業。小一時間ほど進めて互いにキリがいい所まで進んだのか同時に体を伸ばす。
「ふぅ……ちょっと休憩するか、コーヒーでも淹れてくるわ」
そう告げて席を立とうとするとスッとコーヒーが入った3つのマグカップが乗ったお盆を突然差し出される。
「え?ソフィ?」
差し出してきたのはソフィだった。いつの間にコーヒーを準備してここに来ていたのか、気配を消すのはびっくりするからあれだけ止めろと言っているのに。
「ご主人様、どうぞ……そろそろ飲みたくなる頃かと思い勝手ながら準備をさせていただきました」
「お、おう………相変わらず手際がいい事で」
ちなみに今日はミニスカメイド服である。お前まさか世のメイド服コンプリートする気じゃあるまいな?
「フェイト様とヴィータ様も、どうぞ」
「おう」
「ありがとうソフィアさん」
俺がコーヒーを受け取ると2人にもそう言ってコーヒーを渡すソフィ。一応皆んなにはマックスとソフィを六課への出向ををきっかけに紹介はしたが未だにメイド服姿のソフィには2人とも慣れてないようだ。
とりあえず3人でコーヒーに口をつける。
「……うん、美味い。いつの間にかコーヒー淹れるのも上手になったなソフィ」
「恐れ入ります」
そういつものように表情は一切変えずに畏まるソフィ。うーん、愛想は本当にないけどメイドとしての仕事っぷりは完璧だ。………いや、別にメイドとして公認で雇ってる訳じゃないからそれはそれで困るが。
「あ、美味しい……」
フェイトも少し驚いたような顔をしてコーヒーを飲む。ヴィータちゃんも一口飲めば気に入ったようで頻繁に口をつけていた。
「フェイト様は控えめな甘さとそれに最適なコクのある豆を、ヴィータ様は甘めの味の分コーヒーとしての味そのものを感じやすい豆を使わせて頂きました」
「って、お前アタシ達一人一人の味を変えてるだけじゃなくて豆まで違うのか?」
「はい、勿論です」
当然でしょう?という雰囲気を滲ませるソフィに2人も俺も苦笑いだ。ソフィはいざメイドとして働く時は一切妥協しない。掃除は埃一つ残さず、奉仕する相手の好みやら何やらを全て把握しまるで思考を覗かれてるかのように色々してくれる。
いや、ホントのメイドじゃないんだからそこに力入れられても困るんだってば、助かってるけど。
「すごいね、もう私とヴィータの味の好みまで把握したんだ?」
「はい、ご主人様と近しい方たちのは全て把握済みです。もう少し時間をくだされば機動六課スタッフ全員の趣向を把握できると思います」
「あ、あはは………」
と珍しく困惑気味に笑うフェイトちゃんを見て俺はどういう顔をしていいか分からずため息のように息を吐く。ソフィの奴、1ヶ月くらいで本当にやり遂げるだろうからなぁ。
「………なあソフィア、聞いてもいいか?」
満足げにコーヒーを飲むヴィータちゃんがふと口を開く。ソフィは相変わらず表情を変えぬまま
「はい、何でしょうか?」
と上品な所作で振り返る。
「………何でこのバカの事ご主人様何て呼んでるんだ?」
「あ、それ私も気になってたんだ」
フェイトちゃんも同意するようにそう口にする。あーそれね、そりゃ気になるよねー。
「慎司に聞いても『俺も知らねぇ』って言うだけだしさ、何で何だろうなって思ってたんだ」
ヴィータちゃんだけで無く旧友からは問い詰められるようにそう聞かれたが実際知らないもんは知らないから答えようがない。俺だってソフィに聞いても「私がしたいからです」としか答えないし。
皆んな俺がメイド好きだから立場利用して無理矢理やらせてるんじゃないかってあらぬ疑惑を抱くから困ったもんだ。まぁ、それは自業自得だけども。
「理由ですか……強いて言うならば」
「言うならば?」
「ご主人様がそれを求めていたので」
「ブーーーー!!」
ゴリゴリの捏造に思わず飲んでいたコーヒーを吹く。この野郎、やりやがったなクソが。それはもう戦争だぞ。
「おいテメェ、話が違うじゃねぇか」
「そうだよ慎司、無理矢理そんな事させるなんて最低だよ」
「待て待て、ソフィの狂言だから。むしろ頼んでない仕事してるのにちゃんとその分の給金を払ってる良心の塊だから俺」
あるかそんな話が、バカタレ。
「私は嫌だって言ってるのに……ご主人様が無理矢理っ…」
「見損なったよ慎司!」
「ガチで騙されてんじゃねぇよ天然フェイトちゃん!ソフィも言い方紛らわしくしてんじゃねぇ!無理矢理お金払うってどんな状況だボケ!」
あーもう収集が付かなそうなややこしい事言いやがって!
結局あれこれ誤解を解くのに随分と時間がかかった。ソフィは無表情だけど雰囲気はしたり顔である、お前後でお仕置きだからな覚えておけよ。
「はぁ……で結局本当の所はどうなんだよ?」
疲れた様子を見せながらヴィータちゃんは最初の質問の話に戻す。どうしてメイドとして俺の世話してるのか……冷静に考えると変な質問だ。
「私がそうしたいからです」
ソフィは淀みなくそう答えた。それ以上の理由はないと、そう言うようにキッパリと言い放った。俺が同じように聞いた時も彼女は今と同じように答えていた事を思い出す。
「それ……だけなのか?」
「はい、私はただご主人様を支えたい。どのような形であれご主人様の力になりたいとそう思っています」
恥ずかしげもなく、表情は変わらないまま真っ直ぐにソフィは言う。ヴィータちゃんは予想とは違う答えで困ったように頭をかく。フェイトちゃんは嬉しそうに俺に笑顔を向ける。良い部下が出来たね、と表情でそう言っていた。
…………………だったら良かったんだけどなぁ。
「ソフィ……」
「はい……」
「……………」
「……………」
「今更媚びってもさっきの件のお仕置きは無くさないからな」
「バレましたか」
台無しである。いやまぁソフィらしくて良いけども。
「ちゃんとお仕置きは受けてもらうからな……今夜は寝かせねぇぜ?」
「そ、そんな……」
俺の言葉にソフィは困ったように顔を赤く……はしてないなこの能面。しかしフェイトちゃんが顔を赤くしながら
「し、慎司……ソフィアさんに何する気?」
と聞いてくる。俺はキョトンとした顔で言った。
「俺が満足するまで『機動戦士ガン○ムVSガンダ○エクストリームバーサス』の協力プレイ対戦に付き合ってもらう」
「あっ……だよねぇ」
と、フェイトちゃんは顔を赤くてして暑いのか手でパタパタと顔を仰ぐ。そんな様子がおかしくて俺は言うつもりはなかったけど口を開いて言い放った。
「意外とフェイトちゃんムッツリだよな」
「っ!!?!??!?!!?」
久方ぶりにフェイトちゃんの面白い反応が見れたとさ。
………………………………………。
「それでフェイトちゃん様子が変やったんやねぇ」
「あははは……今もベッドの上でゴロゴロしてるかも」
よほど俺にムッツリと言われた事がショックで恥ずかしかったのかも。まぁ年頃の女の子何だからそれくらいでそんな初心な反応見せられると太郎さん今後が心配だよ。
皆んな今日の業務を終えて夕食を頂いた後各々自由に過ごしている。俺はソフィアが用意してくれた食後のコーヒーに舌鼓をしながら談話室でゆっくりとしていた。はやてちゃんとなのはちゃんも一緒だ。
さっきの出来事を話した所だったのだが当の本人はなのはちゃんの言った通りまだ悶絶してるのだろう。追撃しにいっても面白そうなのだが流石に可哀想なので自重する。
「フェイトちゃんはともかく私もソフィアさんの事は気になってたんだよね」
と、若干ジト目で俺を見ながらなのはちゃんは口を開く。いやはや濡れ衣だからそんな目で見んなよ、メイド云々で1番迷惑かけてるのはなのはちゃんだけど………。
「そういえば昼飯食ってる時何か言いかけてたけどソフィの事だったのか?」
俺がそう言うとなのはちゃんは頷く。
「確かになー、慎司君の部下言うからどんな人なのかと思いきや随分個性的な子を連れてきたなぁ」
と、これまた俺と同じようにソフィが用意してくれた飲み物を美味しそうに飲みながらはやてちゃんは楽しそうな声音で発する。ちなみにはやてちゃんとなのはちゃんはホットミルクである。
「2人とも……」
「うん?」と呆けた返事をする2人の飲み物を凝視しながら伝える。
「………牛乳だけじゃフェイトちゃんみたいに大きくはならんぞ?」
「そんなつもりじゃないんだけど!?」
「分からへんやろ!ワンチャンあるかもしれへんやん!」
「はやてちゃん!?」
特に小さいはやてちゃんは必死の形相である。どこがとは言わないよ?どこがとは。まぁはやてちゃんは見た感じ小ぶりなだけでちゃんとあるにはあるみたいだしなのはちゃんに関しては小さい訳じゃない、出るとこしっかり出てる……と思う。
フェイトちゃんのはもはや突然変異だから、仕方ない。うん。
「まぁ、頑張れよ。それ以上の成長は見込めないだろうけど」
「シバいたろか?」
「司馬懿太郎か?」
「誰やねんそのエセ軍師みたいな奴」
もはや名前の構成からして某三国志とは程遠いけどな。もはやツッコムまい。
「まぁ冗談はともかく、アレであの2人も俺の艦隊じゃ必要な人材なんだ。六課でも可愛がってやってくれよ」
「それは別に疑ってへんけどね最初から」
まぁ俺の人選だしな。皆んなも俺を信頼してくれてるからそこら辺は最初から気にしてないのだろう。
「私はソフィアさんのメイド姿を見ていつ慎司君が暴走するか心配で仕方ないけどね」
「人を狂ったメイド好きみたいに言いやがって」
「事実でしょ?」
「捏造だ!」
「そうでもないけどね!」
何て一幕もあったりしたのだった。
……………………………………。
「ふぁ……眠い…」
なのはちゃん達と別れた後、俺はまだ仕事が残ってたので残業がてらまた指標に齧り付いて作業をしていた。終わらせた頃には皆んなはもう寝静まっているだろうくらいの遅い時間になってしまっていた。明日もあるし早いとこ部屋に戻って寝てしまおう。
六課の本部から宿舎に向かう道中ふと星空を見上げる。今日は空は機嫌がいいのかいつもより星が綺麗にハッキリと見えた。しばらく歩きながらその景色に目を奪われていると宿舎の建物の屋上に同じように星空を見上げている人影が見える。
「おーい、リインフォース」
そう声をかけるとリインフォースは俺に気づいたようで屋上から落ちるように跳んで俺の元まで駆け寄ってくる。
「慎司、まだ起きたいたのか。体に障るぞ?」
「それはお互い様だろうが、俺は残業だけどお前は何してたんだよ?」
そう問うともう一度美しい空模様を見上げるリインフォース。彼女と最初に対峙した時の儚げな雰囲気を彷彿とさせる。
「少し夜風に当たりたくなっただけだ。私ももう戻るよ」
そう言って2人でとぼとぼと宿舎に向かって歩く。リインフォースは今日、アークレインの方に行ってもらっていたのだ。俺がデスクワークで動けないからリインフォースはそういった時、遠征がなくても年中忙しい次元航行艦の仕事に赴いてくれてる。
遠征がない間は俺がいなくても残ってるスタッフだけで回せるだろうが副艦長のリインフォースは様子を見にいって発破をかけてくれてるのだ。
「艦隊の皆んなの様子はどうだった?ていってもまだ1週間しか経ってねぇけど」
「その1週間でもう皆んな寂しがっていた、忙しいと思って慎司に気を使ってメールも控えてるようだ」
そういえば前までは年がら年中グループチャットで誰かが必ず話してるのにここのところそれはなかった。別に気にせんでもいいのに。……時間ある時は俺からメール飛ばしてやらないとな。
「慎司から見てマックスとソフィアはもう機動六課に馴染めたか?私と慎司は主人や友人達がいるから心配はないが」
「大丈夫だよ、何だかんだ上手く馴染んで上手くやってるよ」
「そうか、それならよかった」
こうしてリインフォースと部下のことを心配して話し合うのは何度もしたなぁ。アークレインを立ち上げてからずっと副艦長として俺の隣で支えてくれていたリインフォース。
仕事はちゃんとしてるし魔導師としてもピカイチに優秀。うちの艦隊のエースだ。よくぽやぽやしてるけどな、そのおかげか艦隊の皆んなからは半分マスコットみたいな扱い受けてるけど。
そういえばこの間も艦隊で休憩時間の時にどういう経緯か知らんが罰ゲームで皆んなに一発芸やらせてたな。舐められてはいないだろうけどちょっと心配にはなる。艦隊のスタッフ達がよくなんかの遊びをしてるのは完全に俺の影響なので悪しからず。
「まだ慎司とゆっくり話していたいがもう時間も遅い、おやすみだ…慎司」
談笑しながら歩いていればあっという間ですぐに宿舎にはたどり着く。当たり前だがリインフォースは女性用の宿舎に、俺は男性用の宿舎なのでここでお別れだ。
「ああ、リインフォースもゆっくり寝るんだぞ?」
そう言うとリインフォースは微笑んでああと頷く。ソフィにもリインフォースを見習って欲しいところではある。リインフォースも最初は表情に乏しい子だったがあれでよく表情を変えるようになった。それでも1人より変化には乏しいが最初に比べたら天と地の差である。
ソフィは未だ全然だからなぁ……機動六課といあまた別の環境で何か起こる事を期待しよう。
そんな事を考えながら俺は部屋に戻ってすぐにベッドに横になる。しっかりと日々睡眠を取らないと体を壊してしまうからな、寝れる時はなるべく寝ないと。
柔道をしていた時も睡眠には気を使っていた。しかしながら管理局に入ってからは寝る間を惜しんでしなければならない事が沢山あった。そしてこれからもそんな事ばかりだ。
ため息を吐きそうになるが途中で堪えて吐き出すのをやめる。ため息は良くない、まるで現状を嘆いてるいるようでだめだ。それでは俺は今人生を楽しみてないようなそんな気がしてしまう。
柔道をやってた時も…………と思考の途中でふと思う。
「そういえば………」
掌を広げてそれをしばらく見つめ、そして頭に浮かんだものを振り切るようにギュッと力を込めて握りながら
「もう何年も…………柔道着触ってないや」
そう部屋でぼやく。それを最後に、意識が途切れる。深く、深く……眠りについたのだった。
機動六課の日常はまだ始まったばかりである。
fgoのレイド戦が油断ならなくてワロタ。更新時間に張り付いて狂ったようにレイドボスを狩り尽くしてるのは僕です。