「兄貴ぃ!俺達は出動待機ってどういう事ですか!?」
アラート警報により六課全体が慌しい雰囲気に包まれてる中、俺を含めたアークレインのメンバー4人は作戦控え室に集まっていた。
「どうもこうもねぇ、言葉の通りだ。大人しく業務こなしてろ」
「でも兄貴!」
「マックス、お前だって分かってるだろ。俺達アークレインのメンバーが六課に所属出来てる理由を」
「それは……」
前にも語ったようにただでさえ戦力過剰気味の機動六課に一応は次元艦隊の艦長、提督を務めてる俺にその副艦長のリインフォースに及び2名。この追加の人員は機動六課という組織を弾劾するには十分な材料になってしまう。明らかに1部隊が持つ戦力としては過剰だと。
それを避けるため俺達アークレインはあくまで支援部隊、戦闘の支援ではなく六課を維持するための食品やら部品やらの物資の支援部隊として席を置いてる。
「ここで下手にお前だけでもアークレイン隊のメンバーが前線に出張ったら今後俺達は動けなくなる。本当に必要な時、六課を追い出されても構わない……そんな状況か見極めなければならないんだ。気持ちは分かるが落ち着け」
「……うっす、すんません」
そう嗜めるとマックスはあからさまにがっくりと肩を落とす。FW陣としては初の出動だし心配なのは分かるが心配してるだけじゃ駄目なのを俺はよく知ってる。
「ソフィ、リインフォース……状況は聞いてるか?」
「はい、こちらが周辺図になります」
「リアルタイムの映像も届いてる、今データを送ろう」
2人から二種類のデータを送りそれを眺めながら状況を整理する。今回の出動は教会本部……カリムがトップの聖王教会が抱える教会騎士団が追跡調査していたレリック……表向きの機動六課立ち上げの目的とも言えるロストロギアがと思わしき物を発見、場所はエイリム山岳丘陵地区。その山岳リニアレールで移動中との事。
移動中……つまりそのリニアレールが内部に侵入したガジェットによってコントロールを奪われているとの事。内部のガジェットの数は最低30、一応それ以上と見積もっておいた方がいいだろう。その他にも飛行型や大型等の未確認タイプの存在も警戒すべきか……。
「リニアレールの最高速度が………猶予はあまりない……地上戦を得意とする新人どもがリニアレールに侵入するには…………こっちの戦力は………」
ぶつぶつぶつぶつと現状の情報を頭に叩き込み対策、作戦を練るが結局は現場に向かってリニアレールに突入……ガジェットを破壊しながらレリックの回収を目指す。この単純な作戦しか方法はない。リニアレールで移動中というのが厄介だ。
「アイツらには新デバイスでいきなり実戦か……いや、訓練通りやれば平気だ。なのはちゃんならそこまでちゃんと仕上げてる筈………六課の基地からグリフィスのパイロット能力ならこのリニアレールがこのポイントを通過される前に間に合うか?」
「あ、兄貴ぃ……」
「マックス様、ご主人様は思案中です。お静かに」
「お、押忍……」
あれこれ考えるがなのはちゃんと遅れてフェイトちゃんも合流して出撃する、現場管制もちみっこがやってくれるのだ。あの3人なら心配はないが………
『あはは、そうだったらいいのですが……』
直前の不安そうなキャロとの会話を思い出す、…………よし。データを一度閉じて3人を見据える。
「俺とソフィは管制室に行く。ソフィは管制スタッフのサポート、出来ること手伝える事を探せ最悪落ち着かせるためのお茶汲みして飲ませるのもいい。前線メンバーだけでなくスタッフ全員が機動六課としては初めての任務だ、浮き足立たせるのは避けたい」
「かしこまりました」
「リインフォースは平気だと思うが山岳地帯から1番近くの街まで移動して待機、街にいるだけならお偉い方も何も言ってこないからな。状況次第では飛行許可を無視して助けに入れ。責任は取る」
「分かった、合図は慎司に任せる」
「ああ、どうせ出番は無いと思うから適当に寛いでおけよ」
冗談でそう言うとリインフォースは苦笑してすぐに移動を始める。
「マックスは後処理の準備だ。アイツらならきっと何事もなく解決してくれるだろうが救護隊と事後調査隊の手配と待機を、いつものツテを使っていい。準備が済んだらお前もそこに合流して俺の連絡を待て」
「了解っす!!任せてください!」
騒がしいアイツを今管制室に連れてったらスタッフにも酷だしな。まぁ、実際に必要な事だから任せるだけだけど。
ソフィと頷きあってから駆け足で管制室に向かう。道中通信を繋げる。
「ああ俺だ………データは送ったからそっちもちゃんとリアルタイム映像での調査を頼む。………ああ、未確認タイプも恐らくあるだろうから慎重にな」
通信を切る。さて、細かい所はこんな所か、スタッフ達が慌しく行き交う管制室を前に俺は一度深呼吸をする。………やはり、こういう時の無力感というのは慣れない。言っても仕方ないがどうしても……な。頭を振る、切り替えねば。管制室に足を踏み入れ辺りを見渡す。……教会に行ってたはやてちゃんはまだ戻ってきてはいない、今頃超特急で向かってるんだろうが。
「グリフィス!」
「っ、慎司さん?」
グリフィスは六課の指揮官補佐、はやてちゃんの副官を担当している。既にこの二週間で何度か交流も重ねている。
「状況は聞いている、出動したFW陣は?」
「基地から出発したなのは隊長達はまだ現場からかなり離れた空を飛行中です。フェイト隊長はなのは隊長達より少し遅れる見込みです」
「なのはちゃん達を乗せたヘリの正確な場所は?」
「こちらになります」
地図を写し出させ場所を確認。……ふむ、この飛行速度で現場までこの距離なら……。頭の中で軽く計算しヴァイスに通信を繋げる。
『こちらヴァイスです、慎司さん?』
「ヴァイス、その速度を保って今から15分後にヘリの魔力障壁を起動させるんだ」
『しかし、リニアレールまでまだ距離がありますしリソースが……』
「大丈夫だ、今から起動させても現場近くでの飛行待機で最低でも2時間は持つ。俺の見立てじゃ任務遂行には十分な時間だ、敵さんにどれだけ警戒されてるか分からない以上どこから仕掛けてくるかも分からない。念には念、さらに念をかけるのが命を守る秘訣だろ?」
『………まぁ、提督してる慎司さんの見解なら信じます。15分後ですね?』
「ああ、リソース過多の報告が必要になったら俺に言え。どうにかするから………頼んだぞ」
通信を切る、さてさてお次は……
「監視班!リニアレールの状況は変わらないか?」
「依然として走行したままです!」
「そうじゃない!速度や外装の話だ!常に気を配れ、僅かな変化でもあったら迷わず報告しろ!」
命をかけている任務なのだ、こっちだって少しの気の緩みも許さない。
「グリフィス!ボッーとしてんな、どれもはやて隊長がいない時にお前が気を配る所だぞ!」
「は、はい!」
よし、発破かけるのはこれくらいでいいだろう。今回は初出動だからな、余計なお世話は最初の一回で十分だ。こいつら優秀だし要らぬ世話だろうが。
「ソフィ、データは?」
一度司令室の席から離れてソフィに耳打ちする。
「こちらの機材でもやはり得られる結果は同じかと」
「構わねぇ、後でこっちでも見返せるようにバック取っておけ」
「かしこまりました」
後は………見守るだけかな。
……………………………。
しばらくして、はやてちゃんは六課へと戻ってきて指揮官を務め始める。既にヴァイスは何事もなく現場へと到着しなのはちゃんはリニアレールを守護する未確認の飛行型ガジェットを合流したフェイトちゃんとともに次々と撃破していく。
「………………相変わらずすっげぇな」
司令室の隅でモニターを眺めながらそんな事を呟く。子供の頃から天才だエースだなんて持て囃されてたけどそれに見合う以上の実力を持つ2人。管理局の提督を務めるようになったからこそ真に理解出来る2人の凄さ、ホント……強えなぁ。
そして新人4人も実戦をデバイスを巧みに使いこなしリニアレールへ突入、襲い掛かるガジェット達を撃墜しながらレリックを捜索している。今のところは順調だ……だが、このまま終わるってことはないだろう。
「ライトニング3!ライトニング4!8両目でエンカウント!大型の未確認タイプです!」
管制官のその報告が耳につんざく。来たか………。恐らくレリックもそのガジェットの先にあるだろう、スバルとティアナは……別車両でガジェットと交戦中、動けないだろう。エリオとキャロの2人でいけるか?
エリオが肉弾戦、キャロが少し離れたところで支援魔法をかけガジェットに挑む。しかし………
「くそが……」
内心舌打ちをかます。大型の未確認タイプのガジェットはその見た目通り耐久性やら何やらが基本的なガジェットより群を抜いているがそれだけじゃない、魔法を無力化する機能……AMFの能力も格段に上昇していた。証拠に肉弾戦をして接近していたエリオだけでなく離れて支援をしていたキャロの支援魔法すらも無効化する。
魔法を無力化されたエリオは善戦するが破壊力も増してるガジェットの手により気絶させられそのままリニアレールの外……崖の下へと放り投げられる。そして必死の形相で叫び声を上げながらエリオを助けるべくリニアレールから飛び降りるキャロ。俺はそれを震える拳をギュッと握りしめて見守っていた。いや………見る事しか出来なかった。
…………………………。
自分は恵まれてる方だと思う。少女キャロはそんな事をふと思う。
竜召喚の力を使えると分かって私は生まれ育った故郷を追い出された。なんで?どうして?そんな疑問を抱えながら1人放浪していた。ある日管理局に保護され、彼らは私の力を知り管理局の色々な部隊に所属させて私の力を見定めようとした。
結果は知っての通り散々、竜召喚は活躍するどころか暴走して同じ部隊の仲間を傷つけてしまう始末で私は期待のレアスキル持ちからレアスキルを制御出来ない無能の烙印を押されてしまう。
その後は色々な部隊を盥回しにされ挙げ句の果てには使えものにならないとまで言われてしまった。ここにも……私の居場所はない。幼い私にはキャロに重すぎる事実が突き刺さる。しかし、そんな暗いところから手を取って引っ張り上げてくれたのはフェイトさんだった。
あの人は私を引き取り、家族同然に接してくれた。暖かい言葉と暖かい想いをくれた、それでも長く孤独を味わい続けた私は上手く心を開く事が出来なかった。何日かぎこちない態度のままフェイトさんと過ごし、私はまた見放されるのではないかと恐怖した。そんな私の恐れを知ってか知らずかフェイトさんはある日私にこんな事を言ってきた。
「ねぇキャロ、私の親友と会ってみない?」
そう笑顔で、私は突然の提案で困惑したが恐らく首を縦に振っていた。変に断って困らせるのを恐れていたのかもしれない。私の返答を聞くとフェイトそんは早速その親友の人と連絡を取っていた。その人が私に会いに来たのはその役1週間後、その間に私はその親友と語る人はどんな人なのかとフェイトさんに尋ねてみた。
「慎司がどんな人かって?………うーん、説明するのはちょっと難しいかも」
そう言って困ったように笑うフェイトさんは何だか嬉しそうだった。
「とりあえず、とってもうるさい人なんだ」
いきなりうるさい人と評される人ってどんな人なんだろう。
「とってもおバカさんで私と同じ歳なんだけどキャロくらい子供っぽい人かも」
私はそんな人とこれから会うのか、ちょっと不安になった。
「でも………頼りになって、かっこよくて……私を、皆んなを助けてくれた大事な親友なんだ」
最後にそう語るフェイトさんの顔はやっぱりとても嬉しそうだった。
そんな経緯がありつつもその人、荒瀬慎司さんはやってきた。最初は私に対してどんな態度を取っていいのか戸惑っているようには見えた。だけど慎司さんはすぐに少年のような爽やかな笑顔で
「遊ぶぜぇ、めっちゃ遊ぶぜぇキャロ!」
そんな事を言ってきた。戸惑った、戸惑いしかなかった。遊ぶって何だろう?困惑してる私を慎司さん無理矢理遊びに巻き込んだ。トランプというカードゲームをやった、ジェンガという積み木遊びをやった、テレビゲームというものに初めて触れた。
フェイトさんが涙目で慎司さんにスマ○ラっていうゲームでコテンパンにされていた。私もコテンパンにされた、ちょっと大人気ない。
最終的に迫る怖い化け物を倒して進んでいくゲームを無理矢理やらされた。泣いた、怖かった。フェイトさんはクッションを抱き抱えて部屋の隅に逃げていた。ずるいです。
でも、でも……いつの間にか私は心に抱えていた不安や寂しさを忘れて純粋に楽しいという感情しか生まれないひと時を慎司さんのおかげで過ごせた。フェイトさんが慎司さんの事をあんなに信頼してる理由が何となくだけど分かった気がした。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り慎司さんは帰っていった。帰り際に言われた言葉を私は心中で反芻する。楽しい日々を送れるのは自分次第、下を向いてちゃそれは出来ない。前を向く……前を向いて………。
それから私はちゃんとフェイトさんに向き合えていたと思う、私を支えてくれる母親というよりは姉のような存在、私に手を差し伸ばしてくれたお礼を言った……フェイトさんは笑ってくれていた。
その後フェイトさんの紹介で私は管理局自然保護隊の一隊員としての一歩を踏み出す。慎司さんの言葉を忘れずに前を向いて、そこで出会った私に優しくしてくれる信頼できる人たちをちゃんと見る。私も信頼されるように頑張り今では時間があれば一緒にゲームをしたりする仲だ。そして、今度は機動六課という新しい居場所で恩返しするんだ。
だから私は恵まれている、私に優しく接してくれている人達がこんなにもいる。フェイトさん、慎司さん、機動六課の仲間たち……ティアナさん、スバルさん………エリオ君。
……………………………。
落ちるエリオ君を助ける為にリニアレールから飛び降りたのは殆ど反射的な行動だった。しかしこうやって列車から……強力なAMFを発するガジェットから距離を取る事でその範囲から逃れる事に結果的に成功する。今なら、ベストなコンディションで魔法を行使できる。
落下していくエリオ君に何とか追いついて抱き止める、そして魔力を解放して自分の周りを自身の魔力光である桃色の魔力で包み宙に浮かせて落下を止める。自由に飛び回る事は出来ないがぷかぷかと浮かばせる事は何とか出来た。後はここからこの状況をどう打開するかだった。ただ助かるだけならこのまま救助が来るまで待てばいい。しかしそれではダメだ、リニアレール内に残ってるスバルさんとティアナさんが危ない。あの大型ガジェットはとても強力だった、何とかしてエリオ君と一緒にリニアレールに追い付いてどうにかしないといけない。
…………分かっている。方法はあると、私の竜召喚の力を使えばいい。フリードを真の姿に進化させるあの魔法を使えばリニアレールに落ち着く事もあのガジェットを倒す事も出来るかもしれない。でも……
「…………っ」
頭にチラつくのは失敗してフリードを暴走させてしまった時の事。悲鳴が聞こえた、燃え盛る業火に包まれそうになる人達。原因は私、そう……失敗させた私。ああ、私は弱虫なままだ。このまま何も出来ずに後悔する………それは嫌だ、嫌だけど……。今ここで一度も成功させた事の無い魔法を使うのは危険だ、失敗は許されないし出来ない。失敗出来ないのに……失敗…出来ない……
ふと思い出す、とある日の慎司さんとの会話を。さっきまで一緒にお話をしていた時の事を。
『もし、キャロがどうしてもそれを使わなくちゃいけなくて、挑戦しなくちゃいけなくて、失敗出来ないっ!……って時が来たらさ、その理由を考えるんだ』
理由……失敗出来ない理由。どうして失敗しちゃいけないの?それは……失敗したら大変な事になるから……だって……だって。失敗したら、また……違う。そうじゃない、そうじゃないんだ。失敗したらまた自分の居場所が無くなるから?違う、失敗したってここにいる優しい仲間達は私を追い出したりしないだろう。
そうじゃないんだ、私が恐れてるのは……失敗出来ないのは……。
「守りたいっ!」
ここで失敗すればエリオ君もリニアレールに取り残されたティアナさんとスバルさんも守れないからだ。私は守りたい。私を暖かく迎え入れてくれた、居場所を作ってくれた皆んなを守りたい。
だから、絶対に失敗出来ない……なにより
『極めつけは……まぁどうしても不安だったら俺に通信でも繋げてみろよ。頑張れ〜って言ってやる』
『頑張れ……ですか』
『ああ、無責任な応援の言葉に聞こえるかもしれないけどそう口にする奴の殆どは純粋に頑張って欲しいとその成功を願って口にしてるんだ。それに、何となくいざって時のキャロにはそれで十分な気がするからよ』
そう言ってくれた慎司さんの言葉を嘘にしたくない!
拳をギュッと握る。覚悟を決める。迷いはない、恐れもない。だけど……そうだ、だけど……もう平気だけど。必要はないけど甘えさせて欲しい。踏み出し始めた一歩、前の目になってる背中をさらに押して欲しい。それくらいは……いいよね?
…………………………………。
緊張が走る管制室に一つの通信端末が着信を告げて電子音を響かせる。俺はそれを胸元から取り出して相手が誰かを確認するとフッと笑みを浮かべる。映像には出さず音声だけを流すようにし携帯の要領で耳に当てて俺は通信に出た。
「よう、甘えん坊の欲しがりさん……」
『あはは、ごめんなさい』
相手はキャロ。今、エリオを抱き抱えて何とか空中を滞空しているキャロからの通信だった。管制モニターからも状況は見えてる。
「いや、謝らなくていい。……通信してきたって事は腹は括ったって事でいいんだな?」
『……はい。けど、やっぱり欲しいなって思っちゃって』
「ははっ、素直で可愛らしいじゃないの」
事態が事態なだけに世間話をする様に会話する俺とキャロをスタッフやはやてちゃんは怪訝そうな表情を浮かべるが俺は気にせず続けた。
『慎司さん、お願いします。応援…してくれますか?』
「ああ、耳かっぽじってよく聞いとけよ」
リニアレールは今だって暴走中だ、こんなやり取りで時間を食ってる場合ではない。だけど、必要な事なのだ。儀式なのだ。殻に閉じこもり、本当は綺麗な蝶なのにそれを信じられなくて蛹のままだったキャラが羽ばたく為の儀式。
「見せてくれキャロ……アニメみたいにカッコよく活躍する所を………頑張れっ!!!キャロぉ!!!!」
腹からの声でエール、それくらい気持ちを込めた。いや、声の大きさでは表現できないくらいの想いを込めて俺は言葉を紡いだ。
『はいっ!!』
その返事は、声色だけで分かるくらい自信に満ちた物だった。
そして、俺は目にする事になる。フリードの真の姿を、竜がはばたくその瞬間を。
………………………………。
端末を言えば、見事『竜魂召喚』を制御したキャロと、途中で目覚めたエリアの活躍によって大型ガジェットは撃破。残りのガジェットを掃討し見事レリックの回収に成功。
新人達は任務を完璧に全うしたのだった。正直、目を見張るほど見事なものだった。真の姿を見せたフリード、それに乗り天空に羽ばたくキャロとエリオ。強力なAMFを機能停止に追い込むくらいの火力を見せたフリードの火炎弾にキャロからの更なる強化を得て見事ガジェットを両断したエリオ。実に凄かった、すごいね。本当に10歳近くの子供達なの?
今世はともかく前世のその頃の俺なんて柔道以外はアッパラパーな人種だったからなんだか恥ずかしさを感じる。中身おっさんのどうでもいい独白はともかくだ、リニアレールを空から防衛していた飛行型もなのはちゃんとフェイトちゃん達によって殲滅された。
いやはや、色々心配していたがやっぱり取り越し苦労で終わったようで何より。さあ、現場の皆んなが頑張った後はこっからは俺達の仕事だ。マックスに手配させていた調査隊と合流、マックスと共にリニアレールの現場検証調査とガジェットの残骸回収へ向かう。
もしもの時の為に近くの街に待機させてたリインフォースは任務完了後すぐに戻るとまた上層部に怪しまれるのでしばらくそこで遊んでろと指示。ソフィはこれから帰ってくるFW達前線組の帰還後のケアの準備と同伴をお願いしておいた。
俺が止まったリニアレールに辿り着くと現場引き渡しの為前線メンバーはまだ帰還はしておらず逆に俺達を出迎えてくれる。
「ふふっ、大活躍だったね慎司君」
ニコニコしながらそう言ってくるなのはちゃんに俺は「はぁ?」と本気の疑問を返す。大活躍だったのは君達だろうに。
「今日の慎司の通信……全部六課用のオープンチャンネルになってて筒抜けだったよ?」
「え?デジマ?」
「うん、マジだよ」
フェイトちゃんの言葉に慌てて通信端末を確認するとうわぁと手で顔を覆う。マジだ、こんな最悪なミスするとは……。いや、普通皆んな指摘するだろそこは。六課用のオープンチャンネルだから簡単に敵に傍受される訳じゃないけど迂闊だったわぁ……。
「慎司君が真剣な時の声、久しぶりに聞けたからなんか満足だなぁ私」
「死ねなのはちゃん」
「直球すぎない!?」
うわーんといいながらポカポカと今度は頭突きを俺の胸に食らわせてくる。いや任務の後なのに元気だな流石だよ。
「でも流石提督……艦長を務めてるだけあるね慎司は、最初は的確な指示っぷりだった」
感心するように言うフェイトちゃんの言葉に頭を掻く。まぁ、そもそも皆んなの前で管理局員として一緒に仕事するのは今回の機動六課が初めてだしね。だからちょっと美化されて見えるのだろう。
「それに、キャロの事もありがとう。あの時、慎司にキャロをお願いしてよかった」
「バーカ、今日たまたま助言した男よりキャロを支えてくれてたのはフェイトちゃんじゃないの、そこ履き違えんなよ?」
うん、と満足げに返すフェイトちゃんに俺も笑顔を浮かべる。遠くでは新人4人はくたびれた様子で座り込みつつ、マックスのうるさい労いの言葉に苦笑を浮かべながら談笑していた。ホント、キャロだけじゃなく皆んな本当にお疲れ様だ。さて、と
パンっと切り替えるように手を叩いてから遠くの新人達にも聞こえるような声で
「よし、んじゃ調査は俺達が引き継ぐから皆んなはさっさと帰って報告書上げて休めよ!皆んな大活躍だったからな、今度色々荒瀬のおじさんがご馳走してやろう!」
そう言うと目を輝かせるスバルちゃんとエリオ、そういえばアイツら結構な大食らいだったっけ。まぁ大丈夫だろ、提督だから割と給料高いし。
そんなこんなで皆んなは帰還準備に入り、俺は俺で調査開始のための準備すると袖を引っ張られる感覚を覚え振り返る。いつかの時のように遠慮がちなキャロがそこにいた。
「よ、今日のキャロは大活躍だったな」
「ありがとうございます……」
「…………なんか用か?」
そう聞くとキャロは少し恥ずかしそうにしながらも意を決して口を開く。
「お礼を言いたくて、私が勇気を出せて成功させられたのは慎司さんの……」
「違うよキャロ、俺が居なくたってキャロは上手くやったさ。俺は元々上手くやれたキャロに向かってエールを送っただけだよ」
最後まで言わせずそう口を挟むがキャロは「そうだとしても」と強く気持ちを込めるように
「そうだとしても……慎司さんにお礼が言いたいんです。まだ、ちゃんと言えてなかったから」
「言えてなかった?」
それは一体どう言う事なのだろう。
「今日も私を応援してくれて、励ましてくれて嬉しかったです。それとあの時も……初めて会ったあの時も……」
キャロの姿がまだ出会って間もないころのフェイトちゃんの姿と重なる。そうだ、あの時のフェイトちゃんと同じようにキャロは胸を張って前を向いて……
「私の気待ちを……心を救ってくれてありがとうございます。ずっとずっと感謝していました」
その真剣なお礼を受け取らないわけにはいかずに俺は「ああ…」と頷く。こんな感じでわかりやすく成長する物なんだなぁ、子供ってのは。
「ほら、皆んな待ってる……もう行きなさい」
つい出てしまったおじさん口調でもキャロは違和感を覚える事なく頷いて皆んなが待つヘリの元へ。夕陽に照らされて六課へと帰還していくヘリを見送りながら俺は思う……前世でも今世でも俺に兄弟という存在はいなかったけど、それでもそう思う。
「たく、可愛らしい妹分じゃないの」
そんな言葉をつい出てしまうくらいそう感じていた。
後日、時間ある時に折角だからと割といいお店に4人を連れて行って好きなだけ食えと豪語するものの想像の10倍は食べたスバルちゃんとエリオによっ持ってきたて財布がすっかり軽くなって少し後悔したのは内緒である。……次は食べ放題の店にしよう。
…………………………………。
「ちっ、くそっ」
「何だ?機嫌が悪そうじゃないか?レリックを回収されたのがそんなに気に入らないかね?」
薄暗いとある研究室のような場所で白衣の男2人は視線絡めて言葉を交わす。
「違う、あんなものいくらでも取り返せる。イラついてるのは狙撃型を試せなかった事だ」
「ふむ……君が最近生み出した狙撃特化のガジェットかい?確か相手の戦力削減のついでに奇襲でヘリを狙う手筈と言っていたが?」
「そのつもりだったがどうやら慎重な奴がいるみたいでな、リニアレールからまだ離れてると言うのに既に魔力バリアを張ってやがった。そのまま撃っても良かったがヘリを堕とせずに情報だけ漏れるのはこっちが損だ、また別の機会にする事にしたんだよ」
忌々しげに語る白衣の男1人、比較的若く見えるその男は自分の予定通りに出来なかった事がどうやら気に食わないようだ。それを分かっているもう1人の白衣の男はくつくつと笑いながら
「なに、そこまでイライラする事はない。君が私とは違う観点で生み出してくれるガジェット達は素晴らしい玩具だからね……まだまだ取っておくのも悪い事じゃないか」
「………分かっている。とにかく新しく奴らのデータも取れたんだ、また俺は自分の研究室に籠るとするよ」
「ああ、後で娘達に食事でも届けさせるよ」
「必要ない」
そっけなくそう答えると自身の研究室に戻っていく若い白衣の男。その後ろ姿を見届けながらもう1人の白衣………ジェイル・スカリエッティはまた楽しそうにくつくつと笑うのだった。
まだ色々ゲーム溜まってるのにファイアーエンブレム風花雪月買っちゃった。シリーズファンは厳しい声多かったけど初めての作者は普通に楽しんでる。
けど思ったよりストーリー重めだったから割と面白い、初回はイングリットちゃんに指輪を捧げるのだ