転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 時間空いちゃった。アルセウス捕まえるのに時間が掛かったのとアナザーエデン を再開したせいだ断じて俺は悪くない。悪くない………体に負荷がかからない都合のいい精神と時の部屋が欲しいです。


動き出した物

「本日は晴天なりいいいいいいいい!!!ドレスコーデの3人娘のおなあああああああああありいいいいいいいいいいい!!!」

「「「うるさっ!」」」

 

 てな訳でオークション当日である。場所は六課用に用意してもらってる控え室、ここなら騒いでも平気だ。俺のテンションも爆上がりである、いやね?今冒頭で叫んだように3人娘……分かると思うがはやてちゃん、フェイトちゃん、なのはちゃんの事だが今日は3人ともなんとドレス姿なのである。しかもちゃんと似合ってると言う。

 いやぁ、太郎さん別に3人の保護者じゃないし。かと言って年上気分で見守ってきたつもりは全然なかったんだけどいざこうやって分かりやすい大人の服装をしてしかもちゃんと着こなしてる姿を見るとなぁ……ホントに成長したなぁ………うん、色々成長したなぁ。

 

「ねえ?どこ見てうんうんって一人で頷いてるの?」

「なのは、言うまでもなく胸だよ。遠慮なしで胸見てるよこの助平」

 

 いつになくフェイトちゃんも辛辣である。えー?そんなに怒ることもなくない?ドレスとはいえそんな胸元見える服着てるんだからしょうがないだろ。

 

「まぁ、流石の慎司君もウチらの成長した美貌にはイチコロやった言うわけやな?」

「うるせぇさらに潰すぞその小さい胸を」

「アァん??なんやワレやる気かコラ」

「ヤクザかお前は」

 

 普通に怖かった。手遅れだけど失言には気をつけよう、うん。

 

「にしてもなぁ……」

 

 3人を見比べるように視線を彷徨わせる。

 

「な、何?どうしたの?」

 

 ちょっと顔を赤くして戸惑うなのはちゃんにやっぱりまだ初心だなぁと内心ほっこりしつつ

 

「差が出来たよなぁ…」

 

 と呟く。3人は珍しく何の事?と、同時に首を傾げるもんだからちょっと吐き出しつつも

 

「フェイトちゃんはなんか胸だけわがままボディになったし」

「…………」

「はやてちゃんはまぁあるにはあるけど……うん、って感じだし」

「ほう?」

「なのはちゃんも胸も成長したしスタイルも悪くないけど何だろう……逆に特徴ないし」

「へぇ………」

 

 っと、失言には気をつけようって思った矢先に結構地雷を踏み抜いた気がするがまぁいいか。優しい3人ならそこまで怒らな

 

「何でデバイス取り出してんの3人とも」

「いやなぁ」

「流石の慎司でもそれは」

「デリカシーなさすぎ……だから、お仕置き……ね?」

 

 ………わーお。

 

「……なのはちゃん最後に一つ言わせてくれよ」

「何かな?」

「おふざけとかなしに普通に皆可愛いし似合ってるぜ、ドレス……」

「え、あ、え、えと………うん、あ……ありがとう」

「ちょっろ」

「もう絶対許さない」

 

 さあて、替えのタキシードをソフィに用意させなきゃなぁ……多分俺ごとボロボロにされ

 

 

 

 記憶が飛んで後の事は覚えてない。

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

「てな訳で、取り敢えず表に出されてた出品物は問題なさそう。昨日とっ捕まえた密輸犯のグループも流石に仕掛けては来ないだろうから当初の予定通りガジェットに対して最大限気を配ってればいいと思う」

 

 流石におふざけが過ぎたのであちこちにたんこぶやらアザを作りつつ昨日俺が得た成果を3人に報告する。

 

「ホテルの警備自体も思ったよりしっかりしてる、もしもの時には侵入を封じるシャッターなんかも各自配備されてるからな。外の連中だけで十分対処可能だと俺は見てる」

 

 ちなみに配備的には中の警戒はなのはちゃん達3人に俺とソフィ。ガジェットが外を警備及び防衛するのはFW4人に守護騎士4人、個人的には念には念を入れた十分すぎるくらいの戦力だ。

 また上の連中から過剰戦力だ何だと言われるかもしれないが六課のスタッフの誕生日会に呼んだ上層部の友人にそこは上手く立ち回ってもらおう。

 

「うん、慎司君の見立てならそれを信じるよ。油断は出来ないけど……ちょっと安心した」

「まぁ、ウチらは本当にヤバい時じゃないと出撃する事はあらへんしなぁ、慎司君の言う通り外の皆んなに今日は全部任せる事になると思う」

 

 アイツらには負担をかけるが、まぁ被害が少ないのが1番だからな。

 

「慎司はこの後どうするの?」

「俺は昨日と同じように参加者として潜入してる。内部に怪しい奴がまだいるかもしれないからな、オークションの参加者として会場の真ん中で金持ち気分味わってるさ」

 

 そう冗談めかして言うがフェイトちゃんはその冗談に反応してくれなかった。

 

「うん、それなら無理しないようにね?怪しい人がいても一人で深追いしないように…私達にすぐ連絡して」

「心配しすぎ……って言っても説得力ないか。どちらにしろ無理はしねぇよ」

 

 こんな所じゃ……な。

 

 フェイトちゃんの言葉になのはちゃんとはやてちゃんも同じ心配の気持ちを抱いてるようなので強くそう言った。まぁ、俺の性格を知ってるからだろうけど。

 

「よし、とりあえずいつまでもここにいてもしょうがねぇ。そろそろ本格的に警備始めるか」

 

 オークション開始までまだ数時間以上あるが警戒するに越した事はない。

 

「ああそうそう、ちゃんと言ってなかったけどよ」

 

 部屋を出る前にふざけてしか言ってなかったから本当に思った事だからちゃんと言っておこう。

 

「ドレス、冗談抜きに似合ってるよ。皆綺麗になったな」

 

 んじゃ、と言い残して足早に部屋を出る。あんまり言い慣れないこと言うもんじゃないな、こっちが恥ずかしい。

 

 

 

 

 

「……全く、最初からそういえばええのに」

「ふふ、慎司なりの照れ隠しだったんだよ。ね?なのはもそう思……なのは?」

「え?あ、え?」

「顔赤いよ?もしかして嬉しかった?」

「……なんか、ああ言う感じで褒められるの初めてだからちょっと恥ずかしくて……」

「そやね、慎司君も急にあんな事言うんやから……でも」

 

 3人は顔を見合わせて耐えきれずに笑いながら

 

「「「言ってる側が恥ずかしがってちゃダメだよね〜」」」

 

 全部お見通しなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

 

 オークションの開催が近づく中、そろそろこれ以上歩き回っては参加者として扮してる俺としては怪しまれてしまう頃合いを見てオークション会場の近くで壁に背を預け辺りをさりげなく観察しつつじっとしていた。

 

「ご主人様、オークション開始まで30分です。そろそろ……」

「分かった。行ってくる………」

 

 今日もソフィと共に行動してるがここからは俺一人だ、オークション参加者として潜入するが見たところ誰も付き人連れてる人なんていないからかえって目立ってしまうのを避ける為だ。

 勇足で会場の席について時間を待つとオークション関係者が壇上に上がりマイクを手にして何事か喋り始める。それと同時に耳につけた小型イヤホン通信機音声が。なのはちゃんからだった。

 

「…………………」

 

 俺は返事をせずなのはちゃんからの報告だけ聞いて通信を切る。皆んなには事前に怪しまれるから今回は基本的に通信時の返答はしないと伝えてある。そしてなのはちゃんからの報告は既にアグスタにロストロギア反応を誤認したガジェットが迫っていて防衛組が既に交戦してるとの事。とりあえずはシグナム達守護騎士もいるし問題はないだろうが主催者側は参加者の避難とオークションそのもの中止は困るから取り敢えず時間を伸ばして様子を見るとの事。

 さっき壇上に上がった関係者もガジェットの事は伏せて適当な理由をつけて時間を延ばすことを告げていた。

 

 一応さりげなく周りを見渡して怪しい奴がいないか監視してるがこうも人が多いと意味を成してるか分からん。離れた所からなのはちゃん達やソフィも監視に加わってるだろうからそこまで過敏にならなくてもいいかもしれんがな。とりあえず大人しく皆んなの無事を祈ってるとしよう。

 

 ……………しばらく色々考え込む。まだオークション自体の動きはない、まだアイツらは交戦中か……。少し心配になる気持ちを抑えるために軽く息を吐き出した時だった。

 

「どうも、隣失礼しても?」

「ええ、どうぞ」

 

 たまたま空いていた俺の席の隣に腰掛ける俺や参加者と同じようなタキシード姿に身を包む男性。歳はおおよそ20代半ばくらいか、顔に見覚えがないがその男性髪の色がつい気になってしまう。

 肩まで伸ばした長い白髪……白は白でも元々の色ではなく髪の色が脱色してしまったかのような寂しい白。そしてそれに充てられてかその男性から感じる雰囲気もなんだか悲壮に満ちてるようなそんな感覚を覚える。

 

「すみませんね、たまたまこの席が空いてるのが目についたもので」

「いえいえ、ご遠慮しないでください」

 

 他にも空席はあるんだがこの席だけたまたま……ねぇ?

 

「困ってしまいますね、オークションを楽しみにしてきたのですが……このまま中止なんかにならないといいのですが」

「何か目当ての物でも?」

「ええ、目当ての物……一目見てみたくてですね」

 

 見てみたい……ただ野次馬に来ただけってか?

 

「開始するにしてもまだ時間がかかるようですし……どうです?暇つぶしに私と話でもしませんか?」

「ええ、構いませんよ。暇つぶしに…ね」

 

 考えすぎじゃないといいが。どうやら昨日の密輸犯の件……釣ったのではなく釣られたのかもしれないな………。

 

 

 

 

 

 

……………………。

 

 

 とにかく最初は中身のない話を適当にしていたと思う。オークションの事、その出品物について。話していても不気味な感覚に囚われないよう平静を取り繕う。

 

「そういえば、あなたのお名前を聞いていませんでしたね」

 

 少しの間会話を交わしたところで男性はそう口を開く。随分とまぁ踏み込んでくるじゃないか。

 

「………山宮太郎です、しがない投資家ですよ」

 

 偽名は無駄だろう、調べられればすぐにわかる事だからな。……ていうかよく考えたら偽名じゃなくないか?どうでもいいけど。

 

「貴方は?」

 

 こちらもそう問いただすと男性はふっと口元を緩める。一瞬思案するような顔をしながらもすぐに彼は答えた。

 

「ハーヴェイ……ただのハーヴェイです」

 

 ハーヴェイ……色々記憶を引っ張り出してみるがその名前に聞き覚えは全くなかった。偽名かそれとも本名か…、さっぱりだ。 

 

「太郎さん、貴方は人生っていうのはどういう物だと思います?」

「人生?」

 

 唐突にそんな哲学的な質問をされ少々困惑する。なんだ?何の意図があって会って間もない俺にそんな事を聞く?

 

「私はね、人生と言うのはやり直しの効かないもの……そう思っています」

「やり直しの……効かないもの?」

「ええ、死んだら2度同じ人としての人生は歩めないのは勿論ですが例えば人生の中でドン底に落ちるような出来事、日々を一度送ると2度とその絶望からは這い上がって来れない物です。だから、やり直しの効かないもの」

「そのドン底って言う状況が無くなっても?」

「勿論です、例えその状況が改善されても一度ドン底まで堕ちた事に変わりはない。一度それを味わえば残りの人生そのドン底をずっと引き摺って歩いて行く事になるのです…………そうですね、仮にこの世に生まれ変わりがあったとしてもきっと永遠とそれを引き摺ってそれ相応の人生を歩む。それは人格だったり人生に対する目的だったりと様々です」

「……………………」

 

 急な語りにやはり困惑は付き纏うがそれよりも耳に痛い話ではあった。前世と言うものを持ってる俺からすれば何となく言いたい事も分かるし理解できる。けど………

 

「俺はそうは思わない」

 

 この男……ハーヴェイを名乗るこの男のその言葉を肯定する事は出来なかった。

 

「確かに人生はやり直しの効かない事がある。その方が多いだろうな、しかしそのドン底から這い上がって引き摺りながらでも笑って前に進む事だって出来る。自分の力だけじゃなく周りの環境や仲間や家族に支えられて」

「……綺麗事だ」

「だが事実だ」

 

 お互いいつの間にか丁寧な言葉は鳴りを潜め睨み合うように視線を交わす。ハーヴェイの眼はどこか暗く、吸い込まれるような深い闇深さを感じる。………一体どんな人生歩めばこんな目をする事が出来るんだ。

 

「大変お待たせしました!開始の目処が立ちましたので準備出来次第オークションを開始いたします!しばらくお待ちください!」

 

 と、いつの間にか先程と同じ関係者が壇上でそう宣言していた。釣られてそちらに視線を送ると耳の小型イヤホンから前線メンバーがガジェットの撃退を終えたとの情報が入る。これから事後調査に移るところだろう。

 

「下らない話に付き合い頂き感謝するよ………山宮太郎」

「っ!!」

 

 振り向くが既にそこにハーヴェイの姿は無かった。ちっ!人が多いな!俺はオークション開始と聞き更にざわざわしだした参加者の合間を縫って会場を抜けながら通信を繋ぐ。

 

「ソフィ!聞こえるか?俺の隣に座っていた野郎を上から見なかったか!?」

『………いえ、人が多く判別できません』

「白髪で目立つ髪色をしている!いないか!?」

『…………ダメです、見当たりません。既に会場の外に出た可能性があります』

「……分かった。監視はもういい、現場の事後調査の手伝いに向かってくれ」

「承知しました」

 

 通信を切る。足早に会場の外、更にはホテルの外に出てみるがやはりハーヴェイはいなかった。あんなに早く姿を消す手段があるならもう既に手遅れなのは予想できた。

 

「……くそがっ!」

 

 吐き出す。野郎……。それを分かってて俺に接触してきた、しかし分からない……一体何故?理由は?恐らくスカリエッティの一味なんだろうがわざわざ危険を冒して俺に接触してくる理由など分からなかった。そもそも何でアグスタに足を運んだ?何か目的があったのか、それとも俺と接触するのが目的だったか。

 考えれば考えるほど答えはでない、そもそも理にかなった行動をしてるかどうかも怪しい………。

 

「もしかしてとは思ったがまさか本当に……」

 

 釣られていたのは相手ではなく俺だった。恐らくだが……昨日とっ捕まえた密輸犯の下っ端が餌だったか……迂闊だった。もしそうならそれを捕まえた俺が潜入している管理局員だと気付かれた。今アグスタで潜入警備までしているのはガジェットを警戒する機動六課……という組織かどうかを掴めてるかは知らないが少なくとも先日のリニアレール襲撃を邪魔した者達……つまりは自分達を仇なす敵がいる事を察知していたのだろう。

 だとしてもここまで危険を犯す行為に対してリターンが少なすぎると思うが………。とにかくいっぱい食わされたのは確かだ………息を吐き出して一度思考をクリアにする。数度繰り返して落ち着けと言い聞かせる。

 

「くそが、絶対いつかぶっ潰してやる」

 

 少々過激な事を口にしてしまうくらいには自分のやられっぷりに腹が立ってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

…………………………………。

 

 

 

 

 

 

「さぁ!事後調査も張り切ってやりましょうねぇ!前線組おつかれちゃあああん!!」

 

 とりあえず切り替えてガジェットの残骸やらを調査、回収の為しばらくしてからホテルに出て皆んなに元気よくそう声をかけて合流する。が、何だか空気が重かった。あり?何この感じ?俺今超ヴィータちゃんに空気読めって感じで睨まれてる。

 

「おいおいスバルちゃん?なんかあったのか?」

 

 近くにいたスバルちゃんに声をかけるが

 

「えっと……あはは………」

 

 と気まずそうに苦笑いを浮かべるだけで要領を得ない。さて困ったな、ヴィータちゃんに聞こうにもちょっと気が立ってるみたいだから声かけづらいし。とっ、服の袖を引っ張られる感覚。振り返ると獣姿のザフィーラが軽く咥えて引っ張っていた。

 

「お、ザッフィーお疲れ。ちょっとモフモフさせておくれよ」

 

 ああ……相変わらずいい毛並み……。アルフはこう言う事やらしてくれないからザッフィーはホント癒しだ。人間態の時あんなに筋骨隆々なのが信じられないくらいだ、多分俺に用は無いのだろうけど困ってる俺に気を使ったのだろう。ザフィーラを好き放題してると「慎司君」とこちらに近づきながらシャマルも声をかけてくれる。

 

「やあシャマルお疲れさん」

「ええ、慎司君も警備お疲れ様。昨日から大変だったみたいね?」

 

 密輸犯捕縛の事だろう。まぁアレは罠だったんだがそこら辺の報告は六課に帰ってからでいいか。とりあえず話を合わせておこう。

 

「お互いにな………なぁシャマル、防衛中に何かあったのか?」

 

 声を潜めてそうシャマルに問う。するとシャマルも声を潜めて俺にある程度耳打ちで空気が微妙に重たい理由を教えてくれた。

 

「なーるほどね」

 

 聞き終わってまず出た言葉がこれである。言ってしまえばティアナちゃんの過信ゆえのミスが起きてしまったという。ガジェットを掃討するため放った魔力弾、その魔力弾の数を自身が安全にコントロール出来る許容の範囲を超えて撃ち放った結果敵を引きつけていたスバルちゃんに誤射しかけたという出来事が起きてしまったらしい。

 間に入ってスバルちゃんを助けたのがヴィータちゃんでティアナを叱りつけたのもヴィータちゃん、だからちょっとピリピリしてたのか。スバルちゃんが説明しづらさそうにしてた理由も分かる。

 

「………ま、起きちまった事はしゃーないだろ。ヴィータちゃんがちゃんと叱ったんだし多分今頃なのはちゃん辺りがフォローしてくれてんじゃないのかな」

「ええ、私もそう思うわ」

 

 シャマルの言葉に「だよな」と返して俺も調査に加わる事にした。後にこのティアナのミスから六課で一波乱があるのだがこの時の俺にはそれは知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

…………………………………。

 

 

 

 

 

「てな訳でこんな事があったとさ」

「軽々しく報告する事じゃないんやけどなぁ」

 

 その日の晩、事後調査やらユーノを交えての皆んなとの談笑やらを終えてから俺はいつもの隊長陣と守護騎士メンバーを集めてアグスタの潜入警備中に起こった出来事を報告した。

 密輸実行犯らしき男を確保した事、しかしそれは潜入中の管理局員を誘き寄せる餌で俺が釣られてしまった可能性が高い事、そうして得た情報から謎の男が俺に接触して来た可能性が高い事。

 

「既に端末で撮った顔写真からと偽名かもしれないが名乗ってきた名前を管理局のデータベースにアクセスして探ってみたが驚く事に何の情報も得られなかった」

「何一つも?」

「ああ」

 

 俺の言葉にフェイトちゃんが少し驚く。無理もない、管理局という情報統制をとった組織が管理してるこのミッドチルダで犯罪経歴がなかったとしても普通の経歴どころか名前、年齢すら掴めなかったのだから。善良な一般市民でもデータベースを使えばすぐに調べられるというのにだ。

 

「とにかく、今回はただ俺にちょっかいをかけただけにしろタイミングからしてスカリエッティの一味だ。少ない情報だが写真だけでも皆んなで共有して警戒しておいてくれないか?」

 

 とりあえず伝えれるのはこれくらいだろう。話はこれだけだからと席を立とうすると

 

「ちょっといいかな?」

「ダメ」

「何で!?」

 

 と、なのはちゃんが行気良く手を軽くあげるので反射的にそう返してしまう。会議つっても知らない仲じゃないんだからそんな風にしなくていいのに。

 

「冗談冗談、どうした?」

 

 なのはちゃんはその場で立ち上がって俺を真っ直ぐに見つめてから俺がモニターに映し出してるハーヴェイを名乗る謎の男の写真に視線を移してから口を開く。

 

「慎司君の言う通りその……ハーヴェイって人が慎司君に接触してきたのなら私達も警戒が必要だと思うけど、その人がスカリエッティと繋がってるって断言するのは少し早計じゃないかな?」

「……続けてくれ」

「勿論その可能性は十分あり得るけど慎司君が状況だけでそう断言してるから少し気になって……なにか確証があるのかな?」

 

 誰にも聞こえないように俺は息を吐いて思考を落ち着かせる。そうか、そうだよな……皆んなにはそう感じさせてしまうよな。確証はないけど俺はそいつがスカリエッティの一味だとすぐに思った、勿論理由はある。あるんだがそうか、分からないと早計に思えてしまうか。

 

「確かになのはちゃんの言う通りだな、すまんすまん。言い方を間違えただけなんだ、どっちにしろ警戒は必要だからそれだけ頼むってそう言いたかっただけなんだよ」

 

 そう言って、俺の話はその場で締めくくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

 結局ハーヴェイを名乗る謎の男は部隊で情報を共有して警戒をする事にし、調査等は俺達特別支援部隊が受け持つ事になった。六課の調査隊スカリエッティの調査で手一杯だしな、まぁ奴がスカリエッティの一味ならハーヴェイの情報も手に入るだろうしいいだろう。

 さて、いい時間になったし明日も相変わらず忙しいからな……そろそろ休むか………いや、どうせすぐには寝れないしちょっと散歩でもするかな。あてもなくフラフラと考え事をしながら六課の敷地内を歩く。

 

「それにしても最近はいつにも増してゴタゴタしてるなぁ、やっこさん本格的な動き出したと見るべきなのかねぇ」

 

 1人そう呟く。

 

「…………へいへい無理はしないよわーてるって」

 

 ていうか1人でこんなぶつぶつ呟いてたら俺なんか変人みたいじゃんか気をつけよ。

 

「今更手遅れ?そんなぁー」

 

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 どれくらい歩いただろうか、訓練場近くの雑木林以外は何もない広場にまで赴いていた。そこでなんだか物音を感じ俺は自身の音を殺して近づく。

 

「…………ティアナちゃん?」

 

 自分にしか聞こえないようにそう呟く。その雑木林の真ん中でティアナちゃんが自身の拳銃型デバイスを展開して激しく動き回りながら的を狙って撃つ姿が。自主トレというやつだろう、本当なら感心感心と褒めてやりたいところだが。あの表情とホテルアグスタでの出来事を結びつけて考えると……

 

「……たく、どうしたもんかな」

 

 そう乱暴に頭を掻くことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

「……………ふむ、荒瀬慎司か…」

 

 白衣を着た若い男はその長い白髪を揺らしながらモニターに表示されたアグスタにてちょっかいを掛けた男を見つめる。名前はスカリエッティのアジトに戻ってから調べすぐに情報を洗い直した。しかし、経歴からは正直なところ親の七光にあやかった不出来な息子という印象しか得られない。

 

「リニアレールで私を出し抜いたのはこの男かと思ったが見当違いか?……どちらにしろ気にするほどでもないつまらない男だったが警戒は必要か」

 

 顎に手をやり思案しながらそう呟く、自身の計画の障害となる人物だと思ったがどうやら見当違いだったようだ。

 

「ハーヴェイ様」

 

 その男に音もなく近づく女性の影が。

 

「む、君か……スカリエッティの調整はまだ先だろう?こんな所でふらついているのは感心しないな」

「申し訳ありません、しかし体が疼いて仕方ないのです……ああっ!私は誰を壊せばいいのですか?ハーヴェイ様!私は誰を!?ぐちゃにぐちゃに引き裂いて苦悶の声を上げさせれば良いのですかぁ!?」

 

 急に別の人格に変わるように狂乱しだした女性は吐き出した欲求に縋り付くようにハーヴェイに迫る。ハーヴェイは内心溜息を吐きながらもそれを表には出さずあくまで冷静に言葉を紡ぐ。

 

「我慢だ、君の出番はまだ先だ。スカリエッティの娘達の調整が優先なんだ、君はその後。私の刃、私の懐刀……『サスティーナ』、今しばらく時を待つのだ……私の目的の為にね」

「ああ、ハーヴェイ様……はい……はい、サスティーナは貴方の道具、貴方の刃……この命はハーヴェイ様の物。ハーヴェイ様……貴方がそうおっしゃるなら私はこの衝動に耐えます……耐えられます……」

 

 そうハーヴェイに縋り付き恍惚の表情を浮かべるサスティーナの呼ばれた女性。その内に宿した狂気を抑えながら彼女はしばらくハーヴェイに寄り添っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 ちょっと執筆そのものも空いちゃったのでリハビリがてら本編から外れる回を書こうか悩み中。まぁ両方描いちゃうかな。
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