転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 最近寝不足気味。サンブレイク気持ち良すぎだろ


すれ違いと友情と

 

 

 

 

 

「おはよう!ございます!!今日もいい天気っすね!!」

「うん!マックスさんもおはよう!!」

 

 早朝、天気は快晴。今日も早朝訓練の為早起きをして来たFWメンバーとオマケのマックス。朝から元気なマックスとそれと同じような元気さで応対する親友のスバルの様子を見ながらティアナはため息混じりに口を開く。

 

「貴方達……朝からうるさいわね」

「ティアナさん!おはようございます!!」

「うるさいって言ってんでしょうが!?」

 

 そんなやり取りにティアナはまたため息をつく。エリオとキャロはそんな既に見慣れたやり取りを苦笑して眺めつつ朝の挨拶を交わした。

 

「ティアナさん!ため息ばかりついてると幸せが棒に当たるですよ!」

「それ色々混ざってるじゃない。どんな状況よ」

「あれ?兄貴に教えてもらったんですけど何て言ってたかなぁ……スバルさん分かります?」

「多分あれじゃないかな、『犬も歩けば棒に当たる』!」

「そっちじゃないわよ」

「それだぁ!」

「使い方間違ってるじゃない!?」

 

 と、軽快なやり取りをしながらも軽く体を伸ばしたりして準備運動を各々する。そんな中ティアナはチラリとマックスの事を観察する。先日、過度な自主練だと荒瀬慎司に咎められてから慎司とはその事についての会話を出来ていないティアナ。ティアナからしてみればまだまだそれでも足りないくらいだと思ってるくらいだったので慎司に強く当たってしまった事自体は普通に反省していた。

 慎司とは顔を合わせても業務連絡と軽い世間話だ、避けられている訳じゃないが一悶着あった2人の出来事について何も言がないと逆に気になってしまっていた。慎司の部下……弟子?いまいち立ち位置がよく分からないマックスは慎司と違って積極的に自身の自主練を応援してくれている。マックスから何か言われるのでは無いかと危惧していたがそんな様子もない。

 と言っても口が裂けても言えないがマックスは正直魔導師としての実力はないに等しい、だから応援と言ってもスバルのように自主練に付き合うとかそういうのではなく

 

『ティアナさん!お疲れですね!肩揉みます!!』

『ティアナさん!お茶いかがっすかあああああ!?』

『洗濯物とか諸々やっておきましたよ!え?下着?もちろん全部です!』

 

 つい手が出たのは許して欲しい。だが厄介なのはマックスには全く悪気がない事だ。常識が無いというか真っ直ぐすぎると言うか。魔導師としての実力もなく何か特別な力がある訳でもないのにどうしてそうやって毎日明るく元気に頑張れるのだろうか。その能天気さは羨ましいと感じてしまう。

 

「おいっちに!おいっちに!うおおおおおおおおお!!!」

 

 準備運動に獣の如く咆哮をあげるこの生き物には何かと辟易とさせられる事はあるがティアナはマックスの事を仲間としてはとうに信頼感を覚えていた。経歴やら何やらは不明だが慎司の弟子と名乗るだけあるのか裏表を感じさせない真っ直ぐな性格は自身の親友とも重なる所がある。真っ直ぐというかただのバカなのでは?と思ってしまう事もあるが。

 そしてそれはティアナだけでなく他のFW、スバルやエリオ、キャロも同じような感情を覚えている。彼はあくまで慎司が率いるアークレインから出向してる外部協力者、殆ど六課のメンバーと言っても差し支えないが書類上ではそうなってる。

 さらにマックスは上述したように魔導師としての実力は乏しい。何故アークレインの管制官スタッフじゃなく戦闘員メンバーとして参加してるのか。教導官のなのはもわざわざマックス用に別の基礎訓練メニューを組んでるくらいだ。

 

 まぁ、正直謎は多いがティアナは自分が思ってるよりも存外にマックスの事は気に入っているのだ。

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

「みなさーん!お茶淹れてきたっすよー!!」

「マックスさん、私の仕事を奪わないで下さい」

 

 訓練後、早朝、午前、午後と立て続けに訓練を終えたら六課に戻ってデスクワークの時間となる。いつも、と言うわけではないが今回たまたまティアナ達FW陣も書類作成に勤しまなければならない。こんな形式だけの報告書類を作る暇なんかないとティアナは内心では悪態をつきつつも隣で四苦八苦してる親友に助言をしながら自分の書類をテキパキと作っていく。

 そんな中大声をあげて飲み物を持ってきたマックスと言葉通り仕事を奪われて不満げなソフィアがゲシゲシとマックスの太もも蹴りながら入室してくる。

 

「ああマックスさんありがとー。ついでにここ教えてくれると助かる〜」

「気合いっす!」

「分かった頑張る〜」

 

 スバルに謎のアドバイスを送って満座げなマックスにその謎のアドバイスを受け取って切り替えて書類と睨めっこするスバルに苦笑しつつティアナはそんな様子を微笑ましげに覗く。最近気を張ってばかりなせいかマックスの元気の良さが癒しとなってしまってるのは疲れているからだろうか。

 

「スバル様、この書類は……」

「あ、なるほど……流石ソフィアさん、ありがとう!」

「いえ、これくらいお安い御用です」

 

 マックスのアドバイスを見かねてから同じくアークレイン所属のソフィアがスバルに助言する。ティアナはソフィアが何故いつもメイド服を着用してるのかという疑問を飲み込んで観察する。

 年は……自分と同じか下くらいだろうか。役職は不明、前に話をした時には私達FWの前でご主人様……荒瀬慎司のメイドですと答えた時には慎司にデコピンされていた事を思い出す。マックスと同じ謎の多い人だ、もしかして荒瀬慎司の艦隊って変人の集まりなのでは?ティアナは訝しんだ。

 

「……ティアナ様、どうかされましたか?」

 

 視線を送っていたのがバレたようでそう声をかけられるがティアナは何でもないと返して誤魔化す。視線には敏感なのだろうか、前にも少し観察しただけでどうしたのかと声を掛けられた事を思い出す。

 

「やっぱりティアナさん疲れてますか!?任せてください、このマックスがティアナさんの疲労を吹っ飛ばしてしまうような特製プロテインを」

「やめなさい暴走機関車、そのプロテインはご主人様のですよ」

「あいたたたたたたっ!?」

 

 メイド服を来た細身の女性に関節決められるマックスを見てティアナは少々吹き出しながらも

 

「ふふっ、何やってるのよ……」

 

 そう微笑を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「という感じです」

「うーん……」

 

 ソフィが入れてくれたコーヒーを舌鼓しつつ唸る。近々のティアナの様子を報告してもらったのだ。特に変わり映えはしてないようだが相変わらず焦ってはいるようだ。

 

「……よいのですか?」

「うん?」

「マックスの事です。ティアナ様とも良好な関係を築けているようですしマックスからティアナ様に陳言させるのも一つの手かと思うのですが……」

 

 苦いコーヒーに合う甘味を用意しながらそう口を開くソフィ。言いたい事は分かる、確かにマックスは俺よりもティアナに近しい存在……友人と言っても差し支えない存在になっているようだ。しかし

 

「マックスがそうすべきと思ったならアイツはとっくにそうしてる。してないって事はアイツなりに考えがあるんだろうさ。俺がマックスに命令してティアナを説得させようとしてもそんな空っぽな言葉じゃ友人とは言え人の心は動かないよ」

「……そうかもしれませんが」

 

 マックスもソフィも俺と初めて出会ってから随分と人の感情について理解をしてくれたと思う。当初は色々人格も何もかも問題があったからなぁ。ソフィは未だに表情は変わらないがそれでもマシにはなったしマックスに関しては言うまでもなくあんな感じだ。感情豊かになってくれて嬉しい限りだよ。

 

「ま、とにかくマックスの好きにさせよう。例えティアナを咎めず応援するような行動でもあいつなりに思う所はあるはずだ。それに、俺は俺で動いてみるさ」

 

 だからこの話は終わりだと伝えてソフィが用意してくれた甘味を口に入れる。丁度良い甘さで色々思考を重ねて疲れた脳に染み渡るような味だ。

 

「また料理の腕上げたな、才能あるんじゃないか?」

「いえ、旦那様のメイドとしてこれで満足はできません。まだまだ腕を上げます」

「軽率に俺のメイドとか名乗るなよ?本当に、他の人に聞かれたら弁明するの大変なんだぞ?」

 

 と苦笑しつつそう伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

「てなわけで、緊急会議じゃオラァ!」

「やかましいわ」

 

 一度ソフィと別れた後部隊長として忙しそうにしていたはやてちゃんと執務官として別件の仕事に当たっていたフェイトちゃんと教導官としてメニューの見直しやらその他諸々仕事していたなのはちゃん3人の首根っこ掴んで六課を離れて隣接する町の喫茶店へ連行した。ちなみにここには初めて来たのだが俺の声が大きすぎてマスターに睨まれたのは見て見ぬ振りをした。

 ごめんなさいね。

 

「もう……急に小脇に抱えられてここまで連れてこられて何事かと思ったよ」

 

 そうため息混じりにぼやくなのはちゃんに小脇に抱えられた事自体には言う事ないんだと思いつつもすまんすまんと軽く謝る。

 

「いやね?報連相って大事じゃん?」

「そうだね、当然だね」

「という訳よ」

「真ん中、真ん中を教えて。話が最初と最後しか聞けてない」

 

 フェイトちゃんにまぁ待て待てと焦らしつつまずは注文を。

 

「すんませんマスター、いちごミルクといちごラテとチョコバナナパフェください。あとコーヒー一つ」

「ちょ、勝手に決めないでよ」

「オススメだから飲んでみろって、俺の奢りだぜ?」

「あ、よく来るんだここ」

「初めて来たけど。何言ってんだよ」

「私のセリフだねっ」

 

 なのはちゃんに足をゲシゲシと蹴られる。痛い痛い、辞めなさいよ淑女がはしたない。

 

「慎司君にしかこんな事やらないよーだ」

 

 くそっ、ちょっと可愛いと思っちまった。

 

「結婚しよ」

「急にどうしたの?」

 

 くそ、なのはちゃんにはもう照れないであしらわれるようになったか。

 

「結婚する」

「誰と?」

「フェイトちゃんと」

「私っ!?」

 

 届いたチョコバナナパフェを美味しそうに見つめていたフェイトちゃんがギョッとした顔をする。

 

「はいはい、ジョーダンはええからはよ話進めてや。おふざけする為にうちら呼んだ訳やないやろ?」

 

 俺らのやり取りを見てクスクスと笑いつつもはやてちゃんが話を促す。うんまぁ、その通りなんだけどね。

 

「ちょびっと真面目な話なんだけどよ」

 

 そう切り出して、俺は今のティアナちゃんの現状について話をする。特になのはちゃんからしてみればティアナちゃんが焦りから過度な自主練をして自身を追い詰めている状況は寝耳に水だったようで驚きの声を上げていた。

 

「とまぁ、そんな感じだ。多分……うちのマックスが見てくれてはいるけど同時に応援もしてるみたいだからあんまりアテはしないでくれ」

「ティアナが……」

 

 ティアナちゃんの教導官として苦しそうに呟くなのはちゃん。自身の失態だと思ってるのだろう。だが難しい問題だからなのはちゃんのせいだともそうじゃないとも口には出来なかった。

 

「3人に話したのはティアナちゃんにはもう俺はあしらわれてるから正直手詰まりなんだ。このままって訳にもいかないしさ。どうしたもんかなって」

 

 ようはその事について相談って形で3人には来てもらった訳だ。俺の言葉に一同皆んな難しい顔をする。多分俺も同じような顔をしている事だろう。

 

「言って納得してくれるなら慎司が声をかけてくれた時点でそうなってるはずだし」

「ティアナの場合は過去の辛い経験の事もあるし下手な言葉は余計意固地にさせてしまうかも知れへんし」

 

 フェイトちゃんとはやてちゃんも考えを口にしながら頭を捻るがいい案は浮かばない。そんな中なのはちゃんは目を閉じて口元を押さえながら黙って思案していた。そして何事か思いついたのか目を開ける。

 

「ねぇ慎司君」

「うん?」

「ティアナの事、私に任せてくれないかな?」

 

 そう顔を上げて俺に告げるなのはちゃん。

 

「あ、ああ……そりゃ勿論。なのはちゃんが何か行動するのが1番いいと思うし」

 

 そもそも魔法の事なんだから提督とは言え魔力のない俺が何とかしようとするのも変な話だったし。

 

「何かいい考えでも浮かんだのか?」

「いい考え……っていう訳じゃないけど、今私がすべき事をしようと思うの」

「すべき事?」

「うん、ティアナと……膝を突き合わせてちゃんとお話する事だよ」

 

 『お話』という単語に一瞬ビクッとフェイトちゃんが反応する。フェイトちゃんの顔を覗くが表情に特に変化はなく『何か?』とわざとらしくそんな感じの表情をしていた。ああ、君は別の『お話』をなのはちゃんとしたもんね。大丈夫だよ、今回はそういうんじゃないと思うよ。

 

「砲撃で相手を動けなくしてから言葉を伝えるのは『お話』とは言わないんだぞなのはちゃん」

「分かってるよ!?私そんな事した覚えないよ!」

 

 結果的にそうなった事例があるんだがなぁ。言わぬが花かやめておこう。フェイトちゃんはなのはちゃんの発言に「っ!?」て反応してたけど今度は見なかった事にした。

 

「と、とにかく……ティアナを色々悩ませちゃってるのは教官の私の責任でもある訳だし。教導を通して伝えきれなかった事もちゃんと言葉にして私から伝えなきゃいけないから」

「伝えきれなかった事?」

「ふふっ、慎司君ならよく分かってるはずだよ。私が教導官になった理由だよ?」

 

 そう微笑むなのはちゃんに俺は少し考えて「ああ」っと合点がいく。なのはちゃんは自身の経験……無茶をして命を落としかねない。普通に歩くことさえ出来なくなるかもしれないそんな重傷を負った。そんな重傷を負うような危険を無茶をする必要なんかないように。そんな想いで教導官として後輩たちを指導してきたのだ。

 ティアナにとって、なのはちゃんの教導はどう映っているのだろうか。考えが甘いか?ただ厳しいだけか?そこまで浅く考えてはいないだろうけど少なくとも大事な事は伝わってない。

 

「教導を通して、ゆっくり少しずつ皆んなには伝えようと思ってたんだけど……そうもいかないみたいだから。必要なら話し合うのも教導官として必要な事だし。慎司君も最初に言ったでしょ?報連相は大事だって」

「そうだな……報連相は大事だな。味噌汁にも合うしな」

「それはほうれん草だね。うん、慎司君にしてはあんまり面白くない冗談だったね」

 

 何気ないなのはちゃんのその発言に俺は愕然とした。嘘やろ?結構ドヤ顔キメるくらいの気持ちだったのに。

 

「なのは、慎司なんかすごいショック受けてるみたいだよ」

「まさか結構真面目なボケだったとちゃうん?」

「だとしたら私がなんでもかんでも毎回全力でツッコんであげるほど優しくないって事は分かってくれたかな?」

「え、なんで急にこんな責められてるん?」

 

 慎司ショックなんだが……。え?そんな俺にボケに関して恨みつらみあった?いや、ありそうだけどさ。いやあるね!うん、色々根にもたれるような事したかもね!

 

「あはは、ごめんごめん。……とりあえずあらためて、この件は私が預かっていいかな?」

 

 話を戻すなのはちゃんに俺は頷いて返事をする。それが1番いいだろうし何か一発で物事が解決する方法なんて考えつく訳もないからな。なのはちゃんの言った通り自分が行ってる教導についてちゃんと話し合う事から始めるのがベストな筈だ。

 

「うん、それならちょうど明日の訓練は模擬戦の予定だし……終わった後の反省会の時にでも一緒に話そうと思う」

「明日は私も訓練に付き添うしなのはから話しづらい事もあるだろうからその時もご一緒させて貰おうかな」

 

 なのはちゃんの考えにそう提案するフェイトちゃん。ああ、それなら俺も安心だな。明日も例のごとく色々行かなきゃいけない場所があるからなぁ、模擬戦の様子は見に行けないけど心配はいらないか。

 

「それじゃ、慎司君お話はまとまったって事で平気やな?」

「おう、話聞いてくれてサンキューな」

 

 そう言って既に半分ほど飲み終えたコーヒーを口に入れる。悪くない味だが、俺の好みの味を文句なしで用意してくれるソフィのコーヒーが俺にとっては1番だな。

 

「そういや、3人とも無理矢理連れて来ちゃったけど時間平気か?」

 

 今更ながらそんな事を言う俺に3人は苦笑するが各々まだある程度時間があると言う。そうかい、なら

 

「久しぶりにゆっくりこの4人でもう少し駄弁ってるか。皆んなに話す事色々溜まっちゃってるしな」

「あ、いいね。私もそう思ってたんだ」

「うん、私も」

「ウチもや」

 

 4人で顔を合わせて笑い合う。学生時代なんかは少しでも空いた時間があればこの4人とアリサちゃんとすずかちゃんを交えて一緒に過ごしてたんだけどな。話のネタを仕入れても仕入れても足りないくらいだったのに。大人になるとそう言う事も気軽にやるのは難しくなる。

 まぁ、極端にずっと出来なかったのは何度も言ってる気がするが俺のせいだ。ずっと仕事だ何だ、やらなきゃ行けないことが沢山あったからな。

 けど、時が経ってもこうやって変わらずいつでも笑顔で膝を突き合わせて話せる友人ってのは本当にかけがえのないものだ。

 

 俺の話を笑ったり、呆れたり、ツッコんだりしながら聞いてくれる3人を見て俺は感慨深くそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

 

 喫茶店で少し過ごした後、荒瀬慎司は1人用があるとかで自身の艦隊の元へ。残されたなのは達3人は慎司を見送ってからフェイトが運転する車で六課へと戻っている途中だ。

 

「あれ?なのは、何だが嬉しそうだね」

 

 フェイトは運転に集中しながらも隣で鼻歌でも歌い出しそうなくらい機嫌がよさそうななのはにそう声をかける。

 

「あれやろ?慎司君と久しぶりにゆっくり話せて楽しかったんやろ〜」

 

 後ろに座るはやてもフェイトの言葉に便乗するようにニヤニヤしながらなのはの顔を覗き込んでそう口を開く。なのはは困ったように笑いながらも

 

「揶揄わないでよもう〜……まぁ、それもあるけど…」

 

 と、一度言葉を区切り車窓から見える景色を遠く見る。間を開けるなのはに2人は首を傾げつつもなのはの言葉を待つ。

 

「……慎司君からちゃんと相談してくれたのは嬉しかったのもあるんだ」

 

 そうポツリと呟くように言うなのはの言葉に2人は「あぁ…」と納得する。彼は闇の書騒動の時も、なのはが怪我をして無茶した時もなのはには相談せず何とかしようとしていた行動がある。

 それにはちゃんと理由があるしなのはも納得はしている。けど、自分はちゃんと頼りにされてるのか分からないと感じる理由にもなった。全く頼られないと感じてる訳ではないからそう思うのは気のせいだとなのはは理解してるがそれでも相談という形で自分に今回の事を打ち明けてくれたのが嬉しかったのだ。

 

 大きな……なにか大きな隠し事を彼がしてるのは勿論なのはも含めた皆んなは察してるがそれを言わないという事は理由があり彼の事だからきっと飲み込める理由だと思う。けど…………。

 

 

 そんな複雑ななのはの感情をフェイトとはやても理解し共有しているからこそそれ以上話を広げる事はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………。

 

 

 

 

「ふぅ…………」

 

 体中に大汗をかきながら全身から空気を全て吐き出すかのようにティアナは尻餅をついて脱力する。外は既に暗く、時間も遅くなりつつある。

 

「ティア、明日は模擬戦だし今日だけはこれくらいにした方がいいよ?」

 

 ティアナの自主練に付き合っていたスバルも暗くなった空を見上げながらそう言う。ティアナは額の汗を乱暴に拭いながら息を絶え絶えにしながらも

 

「いいえ、まだよ。スバルは先に帰ってなさい、私はもう少しだけ…」

「いいやティアナさんそれまでッスよ!」

 

 言葉を言い切る前にそれに被せてくるように遠巻きに自主練を見守っていたマックスが大声をあげる。ティアナは不満げにマックスを見上げた。ここのところずっとマックスは夜遅くまでやってる自主練を最後まで何も言わずに遠巻きで見守っている。最初は荒瀬慎司に言われて見張られていると思っていたがそうではないのは既にティアナは理解してる。

 だから少し混乱もした、これまでは今みたいに途中で止めるような言葉は発してきてなかったし寧ろ終わった後はタオルと水を用意して

 

『明日も頑張ってください!!』

 

 と、純粋無垢な眼をして真っ直ぐにそう言い放っていたくらいだから。ティアナは邪魔をするなと視線で訴えるがそれを受けてもマックスは大袈裟に腕でバッテンを作って

 

「明日は大事な模擬戦ッスよ!ティアナさんが頑張った所を見せてやらなきゃいけないんです!全力で力を発揮するためにも今日はもう体は休めるべきです!」

 

 とマックスにしては珍しい正論を言われては流石のティアナも何も言い返せなかった。

 

「ティア、マックスさんの言う通りだよ。本当だったら明日の模擬戦に備えるならとっくに休んでなきゃいけない時間だよ……ね?」

 

 止めに親友にそう諭されてしまったらティアナも首を縦に振ることしか出来なかった。それに、頭を冷やせばそれが正しい選択だというのはいくらなんでも理解できる。

 

「おっす!ティアナさんはゆっくり部屋に戻ってきてください!俺はベッドメイキングしときますんで!!」

「ちょっ!?」

 

 マックスの聞き捨てならない言葉にティアナが声を上げるが聞こえてないのか爆速でマックスは宿舎の方に走り去ってしまった。

 

「はぁ……ベッドメイキングって私達の部屋に普通に出入りしてるんじゃないわよ」

「あはは、今更な気もするけどね」

 

 残されたスバルとティアナは互いに笑みをこぼし合う。最近はマックスに振り回されっぱなしな気がする2人はもう笑うしかない。

 

「もしかしたら……なのはさん達が慎司さんと接するのと同じ感じなのかもね。マックスさんと接するのは」

「苦労が目に浮かぶわ」

 

 慎司の名にピクリとティアナの眉が反応するがスバルに怪しまれないようにやり過ごす。未だ荒瀬慎司とティアナは特に言葉を交わしてなく、ティアナはギクシャクしてると感じてるし慎司も同じように感じている。

 

「……マックスは、何で私にあんなに良くしてくれるのかしらね」

 

 ふと、自然とそんな呟きを溢すティアナ。マックスは荒瀬慎司の部下で慕っているように見える。慎司はティアナの行動を咎めたがマックスはその逆で応援してくれている。

 普段からのマックスの慕りっぷりを見ると荒瀬慎司と同じように止めてくる物だと思っていたから当然の疑問だった。スバルは何となくそう言った意味での呟きだと理解した上で少し笑顔を浮かべて

 

「私も分かんないやー。でもマックスさんなら純粋に応援したいって思ってるだけかも……。模擬戦で成果を見せてなのはさんをびっくりさせたらマックスさんにちゃんとお礼しないとだね!」

「……ええ、そうね」

 

 スバルに笑顔に釣られてティアナも再び笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 勿論勝手に乙女の部屋に侵入したマックスはティアナにしばかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

 

 

 翌日、やはり用事で色々巡る必要があり訓練を見学する事はできなかった俺はソフィを連れて忙しなく仕事に追われていた。まぁ、模擬戦の後になのはちゃんが話してくれると言ってたしあんまり心配はしてないからいいんだけどね。

 

「ご主人様、メイ家の御曹司様との会談の時間に遅れそうです」

「ああ?あいつの会談なら後回しだ、どうせくだらない事でまた連絡してくるだろうからな。その時にでも話せばいい、キャンセルとお詫びの連絡を頼む」

「かしこまりました、後は……」

「本局の艦隊管理委員会との会議だ、時間が迫ってる。ついでに俺のパパンとこにも寄る」

 

 現役はとっくに引退してるウチのパパンだが管理局ではそれなりの地位の人だ、俺の艦隊の支援もしてくれてるからな。一度顔を出して色々確認しなきゃいけない事もある。

 

「お母様の特別技術開発局には寄らなくても?」

「リインフォースの定期検査の時にママンがまた顔出してくれるからな、午後にもやる事は山積みだ。その時に必要な事は話すからそれもキャンセルだ」

 

 ママンも技術開発局に復帰し俺のサポートをしてくれている。いやー、後ろ盾があるってのはいいね。他の局員からの嫉妬や嘲笑も多いけどね!うん!笑えないね!別にいいけどね。

 なりふり構ってる暇はねぇんだから。

 

 

 そんなこんなで詰め詰めの忙しいスケジュールを何とかこなして六課に戻った。時間は昼を過ぎてそろそろ夕陽が見えてきそうだなと思う頃。とりあえずは忙しさを乗り切って満足げな俺を出迎えたフェイトちゃんから模擬戦と話し合いはどうだった?と軽く聞いてみると

 

「…………何だって?」

 

 模擬戦はなのはちゃんが無茶な戦法と教導を無視した言動をした2人を訓練用魔導弾でティアナを撃墜させ強制的に終了したと告げられた。話し合いなど行えなかったと。

 何があったかは分からない俺はただただ混乱する事しかできなかった。一緒に帰ってきていたソフィも無表情ながら驚いてると言う雰囲気は伝わってくる。

 

「………とりあえず、なのはちゃんに会いに行こう」

 

 そう言ってこの後の夜の予定を全てキャンセルし親友の元へ赴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 通勤時は最近ウルトラマントリガーの主題歌ばっかり聞いてる。家に帰ったらコンセレディケイドライバーver2巻きながらサンブレイクしてる作者です。

 使ってるのは太刀と片手剣……楽しいなぁ。休み欲しいなぁ、いやホントに5千兆円くれない神様?
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