転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 今更ですが公開時にシンウルトラマン見ました。いいですね、ウルトラマン。トリガーダークの変身アイテム買ってタイタンソード予約してアークドライバー予約した俺にはもう失うものなんか無いぜ(金寄越せ)


余計なお節介

 

 

 

 

 

 

 模擬戦当日、ティアナもスバルも応援するだけのマックスも気合が十分と言った様子で訓練場で体をほぐして準備をする。教導官のなのはもこの後大事な話をするとはいえ訓練は訓練としっかりと切り替えて臨むつもりだ。

 

 まずはスターズの番と言う事でティアナとスバルがなのはと向かい合い模擬戦は始まる。ライトニングのエリオとキャロ、別枠のマックスは見学。フェイトとヴィータも訓練補佐として3人の隣で見学に加わっている。模擬戦のステージは市街地を想定したビルが立ち並ぶフィールドだった。

 

「2人ともー!ファイトっすよー!!」

「ふふ、マックスがあの2人よりやる気十分って感じだね」

「いやいや!ファイトさん、俺なんかよりティアナさんとスバルさんの方が気合十分っスよ!フェイトッすよー!2人ともー!」

「マックス、逆…逆だよ」

「皆さんフェイトっすよおおおおおおおお!!!」

「やめて!?何か恥ずかしいからやめてくれる!?」

 

 内心フェイトは悪い意味で慎司の弟子を名乗るだけあるなと思ったのだった。大声で叫ぶもんだから遠くのなのは達3人にも声は届き、何となくどういう状況か理解しつつ全員苦笑を浮かべる。

 

「さて!それじゃあ始めようか!」

 

 なのはは仕切り直しに手を叩きながらそう言ってから模擬戦開始の宣言をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 模擬戦の初動は途中まではティアナとスバルによるコンビ戦を意識した戦略と動きでなのはを翻弄しつつ徐々に追い詰める作戦を実行していた。ティアナは遠距離からのデバイス銃を使って魔力弾で牽制し、スバルはウィングロードを展開しなのはの周りを動き回り翻弄する。

 しかし途中でスバルが自身が展開したウィングロードを軽快にローラーブーツで動き回ってなのはを翻弄していたかと思えば急に軌道を変えて真っ直ぐなのはに拳を振り上げ突撃してきたのである。

 なのははここで一つ違和感を覚えた。無論、教えたフォーメーションを完璧にこなして欲しいなどなのはは思ってない。それを軸に相手の動きに合わせて臨機応変に自分達なり動いてみて欲しいしそういう風に指導もしてきた。

 

 自分の思い通りになる方が少ないのだから必要なのは対応力。現時点でのその力量を見るための模擬戦でもあるのだ。しかし今のスバルの突撃にはそう言った対応の為の動きというよりはフォーメーションとはまた別の事を意図した動きにしか見えなかった。猪突猛進、なにも考えずただ相手に攻撃をする為だけの行動。その後の事も何も考えてないようなそんな動き方だった。

 

「っ!」

 

 なのはは冷静にその張り上げられた拳をレイジングハートの杖の先にシールドを展開して鍔迫り合う形に受け止める。

 

「くっ!」

 

 スバルは歯噛みしながらも受け止められた拳の力を緩める事はなく押し切ろうと踏ん張る。しかし、なのは相手にそんな力技は通じる訳もなく力をいなされて逆にライジングハートの杖で弾き返され体ごと吹き飛ばされる。

 

「へっ?うわあああっ!?」

 

 叫び声を上げながらウィングロードから落ちていくスバルに向き直りつつティアナから打ち出された数発の魔力弾には目もくれず左右の簡単な動きだけで交わす。なのはは少々注意するように口を開く。

 

「こらスバルっ。ダメだよそんな危ない軌道」

「っとと……すいません!でもちゃんと防ぎますから!」

 

 別のウィングロードに上手く落下しつつスバルは一応は謝る。なのははそうじゃないだけどな……と内心思いつつ何かの作戦なのは間違いない筈なので気を緩めない。と、スバルの相手をしてるうちにさっきまで魔力弾を撃ち放っていたティアナの姿が見えなかった。首を回し探し回るがティアナを見つけるよりも自身の頬にレーザーサイトが当てられているの気がつく、その根本に視線を移すと先程いた時とはは違うビルの屋上からクロスミラージュに魔力を込めて構えるティアナの姿。

 

「砲撃?ティアナが?」

 

 見学していたフェイトが疑問の声を上げる。これまでティアナは堅実な戦略と手数の多い魔力弾を主に使った戦闘スタイル。なのはのような一撃必殺の高い威力のある魔法は使ってこなかったのだから。

 なのはも同じ疑問を抱きつつも見つけた以上は好きにさせるわけにはいかず狙いをティアナに定めようとした時。

 

「うおおおおおおっ!」

 

 咆哮と共にスバルが再び真っ直ぐに拳を振り上げ突撃してくる。同じ手を好きにやらせる訳にもいかずなのはは数発の魔力弾をスバルに向かって放ったがスバルは一切スピードを緩めずその魔力弾を交わしきりなのはに肉薄する。

 

 衝撃とと共に再び拳となのはの展開したシールドが鍔迫り合う。ここで動きを止められたなのははスバルの拳を受け止めつつもティアナの砲撃を警戒して視線をそちらに移すが……砲撃の構えを取っていたティアナ姿はまるで最初からそこにいなかったように一瞬にして消え失せた。幻影……フェイクシルエット、ティアナの得意とする魔法である。

 それではティアナの姿は?

 

「はあああああっ!!」

 

 なのはの背後……背中側の上空をウィングロードで駆け巡りクロスミラージュを魔力で構成された刃を纏わせてなのはの背中に襲い掛かる。これが2人の狙い。この状況を作る為の動き。そしてそれは……なのはが教えていた基礎訓練とチームとしての戦略はおろか今まで教導で学んできた戦術全てを無視したものだった。相手を撃墜する為に特化した闘い、そこには自身の負担も相方の負担も考えられていないものだったのだ。

 それを理解したなのはは自身に襲い掛かるティアナには目もくれず呟く。

 

「レイジングハート………モードリリース」

 

 辺りに衝撃が襲う。土煙を撒き散らし遠くで見学してるフェイト達も目を隠すほど。しかしマックスだけは動じず、ただただ視線をティアナ達に向けていた。 

 土煙が晴れた先にはレイジングハートを宝石の状態に戻したなのはが片腕ずつの素手でスバルの拳とティアナの魔力刃を受け止めている姿。既に異様な光景で魔力刃を握る手からは少なくない血が滲んでいた。

 無茶を、無理を、そんな戦術をした2人を諭すようになのはは2人を抑えたまま言葉を紡ぐ。

 

「2人とも……どうしちゃったのかな?」

 

 慎司の忠告は聞いていた筈だった。

 

「模擬戦は…喧嘩じゃないんだよ?」

 

 それでもちょっと頑張り過ぎてるくらいだとなのは思っていた。焦りで過度な自主練をしてるだけかと思っていた。

 

「練習の時だけ言う事聞いてるフリで本番でこんな無茶をするんだったら……」

 

 そう楽観視していたなのは自身を殴りたい気持ちでいっぱいになる。認識が甘かった自分を責める。

 

「練習の意味……ないじゃない」

 

 せっかく……慎司が相談してくれたと言うのに。

 

「ねぇ?私の言ってる事…私の訓練……そんなに間違ってる?」

 

 なのはの問いに2人は何も言えないし動けない。悲しい瞳で自身を見つめてくるなのはを前では何も言えなかった。

 言葉を吐き出すと共になのはは教導官としての職務を全うするべく頭を切り替える。なのはは自身の信念の元、教導官として教え子達を導いている。それを間違いだとなのはは思わない、自身の経験もあるし何より目の前の2人にも必要な教えだと理解しているからだ。

 

 しかしそんななのはの思惑を振り払うようにティアナは再びハッとして動き出す。まだ模擬戦は終わってない、ティアナもティアナの信念の元この模擬戦に臨んでいるのだから。なのはと距離を取り今度は幻影ではなく本物が二丁の銃を構え砲撃を放つべく魔力を構成させる。

 スバルがマックスが応援してくれた……その2人の献身を無駄には出来る筈もない。

 

「私は……もう誰も傷つけたくないから!もう誰も……失いたくないから!」

 

 浮かぶのは立派だった筈なのに……尊敬できる人だった筈なのに…不名誉にいいように言われてしまった兄の顔。

 

「だから……強くなりたいんです!!」

 

 涙と共にその言葉を吐き出すティアナ。そして放つ、自分は間違ってないとそう思い込みたいが為に。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!ファントムブレイッ─────」

 

 ティアナの魔法が発動する、そう思ったその一瞬、

 

「クロスファイアー……シュート」

「─────ッ!?」

 

 それよりも早く打ち出されるのはなのはが放つ魔力弾。奇しくもそれはティアナが放つ魔力弾と同じ魔法。いや、なのはなりの狙いがあったのだと思われる。なすすべなくティアナは被弾し、ティアナは空を力なくダランと浮いているだけだった。

 

「ティアっ!…っ!」

 

 スバルはすぐにティアナを助けようとするがなのはによってバインドによる拘束を受け身動きを封じられる。

 

「大人しくして、よく見てなさい」

 

 なのはらしからぬ厳しい語調だった。そして再びなのははクロスファイアーを展開。

 

「なのはさんっ!!」

 

 叫ぶスバルの声も虚しく再び打ち出された魔力弾を避ける事も出来ずティアナは再び被弾。そのままゆっくりとウィングロードに落下する。既に気を失っているようだった。なのははスバルのバインドを緩め、それに気づいたスバルはすぐにティアナに駆け寄る。ティアナの手には気絶してもなおクロスミラージュが握られたままだった。

 

「くっ!!」

 

 瞳に涙を溜め、歯を食いしばりながらも憧れであるなのはに睨むような悲しそうな複雑な表情を向けるスバル。それでもなのははあくまでも冷静に、淡々と

 

「模擬戦はここまで、今日は2人とも撃墜されて終了」

 

 そう、告げる。

 

 遠巻きに事の次第を見守っていた者たちの表情はそれぞれだった。エリオとキャロは困惑し、フェイトは3人に心配そうな表情を浮かべ、ヴィータは厳しい顔で口を閉ざす。

 マックスはただただ、真顔でギュッと握る拳に力を込めて真っ直ぐにティアナを見つめていたままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

 

 

 

 訓練場の近くでモニターを展開して色々と今後の訓練メニューについての作業をしていたなのはちゃんとは、フェイトちゃんと共に合流して事の顛末を聞いた。まぁ、色々と互いに思う事があり複雑な感じになっちゃったのは仕方ない。

 

「ごめんね……私の監督不行き届きでフェイトちゃんとライトニングの2人にまで迷惑かけて。それに、慎司くんもせっかく私に相談して任せてくれたのに……」

 

 そう言って顔を落とすなのはちゃん。フェイトちゃんは少しオロオロしながらも「私は別に大丈夫」とフォローしているがなのはちゃんの顔は優れない。

 

「謝る必要はねぇさ。俺も、ちょっと相談するのが遅かったしな」

 

 結果論ではあるが、今日の模擬戦までになのはちゃんがティアナと話していればここまで拗れる事は無かったかもしれない。俺がティアナの状況を理解した時点ですぐになのはちゃんに相談すればもっと早く行動を起こせたのかもしれない。

 考え出したらキリがないのは分かるが事実なので仕方ない。

 

「それに……模擬戦でもちゃんと意味のある事はしてただろ。最後の魔法なんか特に」

 

 事の顛末の説明を受けた時、映像に残っていた模擬戦も一緒に見たのだがあのティアナを撃墜した魔法……クロスファイアーシュート。あの一発目はティアナが普段使っているクロスファイアシュートの完成形、基礎を押さえて練度を高めればあそこまでの速さと威力を誇る事見せた。そして2発目は構成した魔力弾のスフィアを一つにまとめて圧縮し砲撃のように威力をさらに増したクロスファイア。

 危険行為で練習を無視したティアナに戒めとしての一撃と元々ティアナに教える予定だった打ち方を先に披露してあげた形だと思われる。さらに言うならばティアナを気絶させたクロスファイアもなのはちゃんが仕上げた訓練用魔力弾に変えた奴だったしな、体に殆ど負担はない筈だ。

 

「でも……」

 

 それでも自分を責めるなのはちゃんに俺は逆に笑顔で

 

「人間ってのは万能じゃねぇんだから。なのはちゃんだっていくら教導官つったってまだ19歳の小娘なんだし何でも完璧に正解を導くなんて無理な話なんだからよ。39歳の俺だってそんな事出来やしねぇよ」

「慎司君、私と同い年でしょ?」

「心は39歳なんだ」

「ふふっ、もう……また変な事言って」

 

 呆れながらも微笑を浮かべたなのはちゃんは少しさっきより顔を上げる。

 

「そうだね、今は落ち込むより挽回しないと」

 

 そうさ、それでこそなのはちゃん。不屈の心を持った強い高町なのはちゃんにはピッタリな姿だ。とりあえず気持ちの整理もひと段落した所でフェイトが俺と会う前に実は既にオフィスで目覚めたティアナとスバルの2人に会ったらしい。2人とも謝りにきたそうだ。

 

「なのはは訓練場だから、明日朝一で話したらって伝えちゃったんだけど…」

「うん、ありがとう……2人の様子どうだった?」

 

 そう伺うなのはちゃんにフェイトちゃんは難しそうな顔をする。まぁ、想像はつくがな。

 

「やっぱりまだちょっとご機嫌斜めって感じだったかな」

「………」

 

 まぁ、向こうにも言い分ってのがあるだろうし仕方ないか。流石に見過ごせない事もあるけどそれも若さ故……って奴だし。一応俺もまだ荒瀬慎司としては若い世代だけども。

 

「まぁ、明日ちゃんと話してみるよ。FWの皆んなと」

「ああ、それがいいな」

 

 俺の返しにフェイトちゃんも同意するように頷く。早い方がいいのは変わらないがもう夜も遅くなってくるし一夜明かして双方冷静になった方がいいだろうしな。太郎さんそういうのも理解あるから、多分。

 

「さて……と」

 

 話がひと段落した所で俺はチラッと時計で時間を確認する。うん……まだ出歩いてるかもな。

 

「んじゃ、俺はもう行くわ。2人も早めに休めよ」

「うん、もう少ししたら私もなのはも宿舎に戻るから」

「わざわざありがとうね、慎司君」

「おうっ」

 

 そう言って俺は宿舎とは違う方向へ、歩き出す。後ろでなのはちゃん達が「そっちは宿舎じゃないよ?」と声をかけてくれたが俺は手を振りかえして大丈夫と答えるだけだった。

 

 

 

 

 

…………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

「こんな所にいたか」

 

 少し歩き回って、広場のベンチに腰掛け空を見上げていたマックスを見つけてそう声をかける。

 

「あ、兄貴……」

 

 マックスは俺の登場に驚きつつもお疲れ様ですと頭を下げる。そっちもなと返事をしてから俺はマックスの隣りに座って同じように空を見上げる。

 

「ほれ」

「あ、ありがとうございますッス」

 

 道中で買った缶コーヒーを投げ渡す。俺も同じ物を手に取り小気味良い音を鳴らしながら封を開けて喉を潤す。マックスも同じように俺に続く。

 

「ふぅ、やっぱコーヒーはソフィが作ってくれる奴が1番だな」

「間違い無いっス」

 

 それでももう一口喉に通す。心地のいい苦味を感じつつマックスが二口目を飲み終わったタイミングで俺は本題に入った。

 

「どうだ?楽しいか、六課での生活は」

「………はい、兄貴のおかげっス」

「バカ、違うだろ。お前がちゃんと自分で楽しめてるじゃねぇか」

 

 マックスと目を合わせて俺は出会ったばかりのマックスと重ね合わせる。本当に、変われるもんだ人間ってのは。

 

「正直な、マックスを機動六課配属にさせるのは迷ってたんだ。お前が俺達アークレインの連中以外と上手くやって行けるか心配だったからな」

「兄貴………」

「けど、お前はちゃんと1人の人間として……なりたい自分になってここにいる。FWの奴等とも仲間……立派な親友を作ったじゃないか。最初の頃と比べたら本当に成長したし立派だと思う」

「あ、兄貴ぃ……」

「まあ正直人間関係上手く行っても書類作業とかは足手纏いだから何回他のメンバーと交代させようかなって思ったか分かんないけどよ」

「兄貴ぃぃい!?」

 

 冗談はさておき。

 

「だから俺はお前に言ったんだ。ティアナの事、好きなように…お前のやりたいように支えてやれって。お前がちゃんとFW4人の事……ティアナの事を大切な存在だと思ってたみたいだったから」

「けど兄貴……俺は兄貴を…」

「罪悪感を感じる必要はない、裏切った訳でも何でもないだろうが。好きにしろと言ったのは俺だしお前はちゃんとお前なりに考えて行動してたのは分かってたよ。マックスがティアナの行動がなのはちゃんを裏切るような形になるって理解してたのも」

 

 マックスはアホに見える……実際アホだが馬鹿ではない。状況を理解し、ティアナの行動となのはちゃん思惑は分からなくともなのはちゃんの教導と照らし合わせてすれ違いが起きている事に気づいてた。

 だが、マックスはティアナを止めるという選択肢を選ばずまたなのはちゃんに相談する事もなく応援し全力で支える事を選んだ。無茶を肯定はしていない、最後の一線……体をぶっ壊さないように見張りつつもティアナの努力を認め応援していた。

 

「何となくだけどお前が何でそんな事をしたか分かるよ。初めて会った時と一緒だなって、だから理由をあえては言わないけどさ……俺が言いたいのは俺の事は気にする必要はないって事だ」

「………うすっ、感謝します。慎司さん………」

「はっ、そんな顔……皆んな前では間違ってもするなよ」

「うすっ」

 

 たく、しょうがない奴だ。まあ、部下のケアも上司の俺の役目だ。自分の選んだ事を俺の存在が邪魔するのは嫌だからな。けどマックスには……必要なかったかもしれないがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

 

 マックスとの話も一段落した所でマックスにはもう遅いからと部屋に戻るように言った。ティアナはもう目覚めて恐らくは部屋で休んでるって事を伝えたら目の色変えて走り出したのでティアナ達の所に向かったのだろう。

 さて、まだこの件は解決した訳ではないがとりあえず今日の所は余計な事もしない方がいいだろうし俺も大人しく戻るとしよう。

 このゴタゴタで夕方からの仕事とか書類とか全部すっぽかしちゃったから今日は徹夜になりそうだ。慣れたもんだからいいけどさ。

 

「こんな時に限ってまた問題が起きたりするもんだからなぁ、緊急出撃とかな」

 

 なんて言葉にしたら機動六課の連絡用デバイスにアラート表記の警報音が鳴り響いた。

 

「………変な事口にするもんじゃねぇなたくっ…」

 

 こんな状況で緊急出撃かよ……。端末にすぐ情報が送られてくる、なるほど……ガジェットが自由飛行をしてこっちを誘ってるって感じか。データを取るためだろうな。まぁこれなら敵にもよるだろうが恐らくは出撃するのはなのはちゃん達隊長陣でFW達は出動待機だろうな。んでティアナの状態を考えると……彼女だけ出動待機から外されるって感じかもなぁ……それでまた一悶着ありそう。

 明日まで待ってられないかもしれないなこれは。たがちょうどいいかもしれない。警報を鳴らす端末とは別の端末を懐から取り出して通信を繋げる。

 

「俺だ、前線部隊はちゃんと待機してるか?……よし、それなら六課までヘリで頼む……マックスは連れてかねぇよ分かってるだろ?……ああ、そうだ。安心しろ上手くやるさ」

 

 必要な事を伝えてすぐに通信を切る。それから小走りで俺は六課の本部に向かった。さて、余計なお節介といこうか。

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 荒瀬慎司の予想通り、異常を検知した機動六課メンバーはすぐに司令室へと集まり事の次第を把握。部屋で休んでいたティアナや心配で部屋に向かう途中だったマックスも進路を変えて六課本部に向かう。

 航空機型ガジェットの編隊が何も無い海上を当てもなく自由飛行している状況、レリックの反応もなければ海上施設も船もある訳では無いためこちらを誘ってるのは明白。

 恐らくはスカリエッティがこちらの航空戦力を探るために送り込んだデコイのような物だと判断しわざわざ大技を披露して一撃クリアをせず、なるべく情報は出さずにこれまでのやり方と同じように迎え撃つ結論となった。

 なので未だ動きを模索中なのとそもそも空戦となるのでFW4人は出動待機として隊長陣で向かう事に。それも慎司の予想通りとなった。

 

 それを司令本部の屋上のヘリポートにて集まりその方針を後から集まったFW陣になのは達は伝える。さらに遅れてマックスも合流し、後ろで事の次第を見守っていた。そして、荒瀬慎司の姿は未だなかった。

 

「今回は空戦だから、私とフェイト隊長、ヴィータ副隊長で現場に向かうから」

「そっちの指揮はシグナムだ、留守を頼むぞ」

 

 離陸準備を初めてプロペラを回し始めたヘリを背になのは、ヴィータはそうFW4人に伝える。当のシグナムも腕組みをしつつヴィータの言葉に頷く。

 

「「「はいっ」」」

「……はい」

 

 少々返事が生返事となってしまったティアナをマックスは複雑な表情で見つめていた。例の模擬戦からまだ1日も経ってないのだ、仕方のない事だろう。それを見兼ねたなのはは少しだけ表情を引き締めて口を開く。

 

「それから……ティアナは出動待機から外れておこうか」

「っ!「

 そのなのはの言葉にエリアとキャロ、スバルは驚きに声を上げてしまい、ティアナは目を見開き驚きつつ下を向く。

 

「その方がいいな、そうしておけ」

 

 ヴィータは淡々となのはの言葉に同意しつつ隣のフェイトは複雑な感情からか目を逸らすような仕草をする。

 

「今夜は体調も魔力も万全じゃないだろうし」

「言う事を聞かない奴は……使えないって事ですか?」

 

 なのはの言葉を遮るようにティアナは下を向いたままそう吐き出す。なのはは小さくため息をつきつつも厳しい口調で

 

「自分で言ってて分からない?当たり前の事だよ…それ」

「現場での指示や命令は聞いてます!教導だって……ちゃんとサボらずやってます……」

 

 吐き出し始めたら止まらない、徐々に語調が荒くなるティアナを見兼ねてヴィータが一歩前に出るがなのはがそれをティアナから目線を離さないで手で制して止める。

 

「それ以外での努力だって……教えられた通りじゃなきゃダメなんですか!」

 

 瞳には涙が溜まり、抑えていた感情が溢れ出す。止まらない、止められない。冷静じゃないと判断も出来ず子供のように感情を吐き出す。ここ最近の事だけじゃない、死んでしまった尊敬する兄の事も、つまり積もった納得いかない出来事全てをぶつけるように。

 

「私は!なのはさん達みたいにエリートじゃないし、スバルやエリオみたいな才能も……キャロみたいなレアスキルもない…。少しくらい無茶したって死ぬ気でやらなきゃ強くなんか……上にあがる事なんか出来ないじゃないですか!!」

 

 その叫びと共にずっと後ろで控えていたマックスがティアナの肩を掴む。

 

「ティアナさん……っ」

 

 マックスらしからぬ複雑な表情だった。ティアナはマックスの行動に驚きつつも抑えきれなかった感情は止まらない。

 

「離してっ」

 

 その手を振り払い拒絶する。マックスも、それに逆らう事はしなかった。そしてマックスの顔を見た事でティアナは思い出す。荒瀬慎司の顔を思い出す。彼に向けた本心を吐露させる。以前、聞いた。本人の口から、何故魔力も無いし実績もなく提督になんてなれたのか。

 

『ああ〜……まぁ、自慢じゃないけど正直人脈とか力技も使ってるよ。勿論魔法学とか戦術論とかも頑張って勉強したけどな。けど正直言っちゃうと、ズルは色々したよ。多分いつかバチが当たるかもな』

 

 そう困ったように笑って言ってた事を。そして表には出さなかったがその言葉に少しばかり怒りを覚えた事も。

 

「……慎司さんみたいに魔力がなくても提督になれるような……そんな人脈……頼りになる家族だって私にはいないんだからっ!!」

 

 その言葉に隊長達が目の色を変えた。フェイトとなのは悲しみの色を、ヴィータとシグナムは怒りの色を。その言葉はまるで……慎司の努力を、もがきを否定するかのようなものだったから。

 そして目の色を変えるだけでは留まらず行動に移したのはシグナムだった。無論、叫ぶティアナの胸ぐらを掴んで拳を振り上げた。だがシグナムも大人だ、その振り上げられた拳は手加減をしているし慎司の事の発言だけでなくティアナの駄々を諌めるための拳でもあった。

 しかし、無二の友を軽んじられた事も全く理由にならなかった訳ではなかった。

 

 そしてそれを感じたからこそ、男は間に立ったのだ。

 

 

 

 

 

 

「慎っ」

 

 シグナムが慎司の名を言い終わる前にその拳はティアナを庇った俺の顔面に思いっきりめり込んだ。あ、やばい。結構痛い。

 

「慎司っ!?」

「慎司君!?」

 

 皆んなそれぞれ俺の出現と行動に一様に驚いてる。俺は鼻血を出しながらも

 

「痛って!?痛ってぇ痛ってぇなぁ〜……な、殴ったな!?」

「いや、お前が殴られに来たんだろう」

「に、2度もぶったっ!?」

「待て、堂々と冤罪を吹っかけるな。何もしていない」

「親父にもぶたれた事ないのにぃ!」

「お前それが言いたかっただけだろ」

 

 一度は言ってみたかったんだよね、許してちょ。

 

「ちょっ、誰かティッシュ。ティッシュ頂戴」

「ああ、ちょっと待ってね」

 

 と、小走りでフェイトちゃんが俺に駆け寄りポッケからティッシュを取り出してくれる。

 

「ああすまんフェイトちゃん……」

「いいよ、やってあげるからじっとしてて」

 

 と、片手でティッシュを使って俺の鼻を抑えながらもう片方の手で器用にティッシュを丸めてそのまま優しく俺の鼻に差し込む。あまりの手際の良さに思わず俺は伝える。

 

「……フェイトママ」

「やめて寒気がする」

 

 スンっといきなり能面みたいな真顔をしだしたので目を逸らす。おいマジかよ、普通に怖いよごめんって。

 そんなやり取りをしつつシグナムがため息混じりに慎司を見据えて言う。

 

「慎司、庇う必要はない。駄々をこねるだけのバカはなまじ付き合うからこうなる……」

 

 言い切ると同時にティアナにも視線を向けるシグナム。ティアナは困惑気味な表情を浮かべながらも自身の失言に気付き顔を青くして俯いてしまっていた。まぁ、正直そこまで俺は気にしてないけども。言われ慣れてるし。

 

「お前こそ、教育の為って言ってもグーはダメだろグーは。それに、俺の為とは言え少しでも怒りがこもったらそれは教育じゃなくて暴力だ………ごめんな、俺のせいで」

 

 俺が表情を緩めながらそう言うとシグナムはバツの悪そうな顔をして「お前は何も悪くないだろ……」と小さい声で言う。

 

「兄貴……」

 

 マックスもどうしていいか、なんで言えばいいか分からず俺の名前を漏らすばかり。フェイトちゃんもヴィータちゃんも、ティアナもFWメンバーもこの空気の中何も言えない。ダメよ、楽しく行こうぜ皆んな。

 

「ちと話は変わるんだがな」

「ん?」

 

 ヴィータちゃんが首を傾げたのを視線に入れつつ俺はとりあえず発言する。

 

「最近ゴ○ラとガ○ラの二大怪獣が共闘してる夢見たんだけど相手はキ○グコン○で坂本龍馬が飼ってる奴だった」

「お前は何を言ってるんだ?」

「でも巨大化したなのはちゃんが噛み付いて全員追い返してた」

「あれ?私に飛び火してる?」

「結局フェイトちゃんが砂風呂を堪能して終わってた」

「何がどう言う事!?」

 

 ヴィータちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんにそれぞれ一様の反応を引き出しつつ何を言ってるんだと呆れて笑う3人。シグナムも違った微笑を浮かべ困惑してるのはFW4人とマックス。けど、マックスも釣られてニヤリと笑っていた。

 

「あはは……もう慎司君ってば…」

 

 なのはちゃんがトコトコと俺に近づいて未だ鼻血が止まらない俺の鼻に優しく手を添えてから小さな声で

 

「ごめん……でもありがとう」

 

 そう言う。いいってことよ、けど本番はこれからだ。

 

「お前ら、六課に全員残れ」

 

 俺の言葉に再び皆んな驚きの声を上げる。

 

「バカ、何言ってんだ。これから出撃なんだよ、いい加減出発しないと」

 

 とヴィータちゃんがもっともらしい言葉を述べてる途中で皆異変に気付き空を見上げる。なのはちゃん達を乗せるべくヘリポート上でプロペラを軽く回転させて待機していたヴァイスのヘリとはまた別のヘリの音が響く。六課が所有しているヘリとは明らかに違うそれはヘリポートの近くをけたたましい音を立てながら浮遊する。

 

「あれは?」

 

 フェイトちゃんの疑問に応える形で俺はヘリを背に腕組みをしつつキメるかのように告げる。

 

「もっかい言うぜ?全員残れ。んで、なのはちゃんとFW4人は話し合うんだ、今すぐにな。なのはちゃん本人から話しづらい事もあるだろうからここにいるフェイトちゃん達も一緒によ。ガジェットの討伐は………」

 

 タイミングよくヘリの扉が開き武装した一小隊の面々が姿を見せる。正直余計なお節介だろう。リスクも全くないわけじゃない、けどよ………親友が悩んでるなら助けになりたいと思うだろ

 

「俺達、アークレインが引き受けた!」

 

 そう、高らかに告げるのであった。

 

 






 久しぶりに1ヶ月以内投稿でけた。ペースを大事にしていきたい
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