転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 お久しぶりです。細々と書き進めてますよー、特撮グッズで金がどんどん減ってく助けて


胸に抱く想い

 

 

 

 

 ヘリで六課から出発してから数十分。俺は通信越しではやてちゃんから説教を受けていた。同席してるアークレインの前線メンバーは俺に気を使ってか少し距離をとって大人しくしていた。

 

『あんな慎司君……』

「おう」

『慎司君も知っての通り六課は過剰戦力で他所からも目をつけられてる部隊なんよ』

「お、そうだな」

『それに加えて慎司君の艦隊からも少なからず支援を受けてると思われてるねん』

「実際支援しちまってるしな」

 

 だからあくまで体裁を保つ為、アークレイン隊そのものを六課に組み込むのではなく数名を出向という形を取りさらには戦力増強と思われないよう魔導士としての実力はないマックス、俺、ソフィ。リィンフォースは部隊長が自身の主人であるはやてちゃんだから橋渡しに必要だという方便で無理矢理組み込んだのだ。

 まぁ、方便だけど色々とこの編成は気を使ってはいるのである。しかしまぁそこで今回の俺の行動がはやてちゃんの頭を抱えさせてる。そんな中で出向した俺達ではなくアークレイン隊前線部隊を六課が対処するはずの案件を任せてしまうのは先程説明した方便を無駄にするものである。

 

 そうなると色々と上から痛い所を突かれて機動六課が動きにくくなる可能性がある。それ避けねばならない。

 

『詳しく説明するまでもないけど……今色々と部隊を複雑な状況にはしたくないねん。事情はなのはちゃん達から聞いたで?優しい慎司君らしいわ……けど、もうちょっと冷静に行動せなあかんよ?』

「はは、心配させてごめんな。けど大丈夫だよ、俺だってこう見えて色々考えてやってんだ。ほれ」

 

 端末を操作してはやてちゃんのデバイスに文書データを送る。

 

『これは……』

「まぁ、結構無理矢理感はあるけど俺がうまく言いくるめておいたから今回に限っては平気だよ」

 

 文書データはいわば報告書。有事の際に自身の部隊を出撃させた際に提出する書類。俺の場合は前にもウチのオペレーターと俺に嫌味ばかりを言ってきた例の監督官である。

 その報告書には回りくどく、くどくどとうんざりするような説明書きをして方便を書いてる。内容を要約するならばアークレイン隊の前線メンバーが自主パトロール中にガジェットを捕捉、偵察飛行中の可能性もあったがそのまま破壊行為に及び被害が出る可能性も否めず管轄の部隊との連携を取らず早急に迎撃の対応をとった。

 

 そんな感じの内容だ。色々とツッコミどころ満載で勿論監督官は唾を飛ばすような勢いで通信越しに文句を言っていたがそこは太郎さんの話術でうまくやったというわけで。後がめんどくさいだろうけどな。

 

「少なくとも今回の掃討に六課は関わる前にお節介な部隊がたまたま早期発見と早期掃討に努めた為認知すらしてない……そういう風に手を回しておいてくれよ、先回りして管制室のスタッフにはまだ上へ報告しないよう言ってあるから後ははやてちゃんに任せたわ」

『相変わらず手際が良い事で………でもな慎司君?』

 

 コホンと咳払いをしつつはやてちゃんは少し優しい目をしてから口を開く。

 

『あんまり自分に負担かけんといてな?慎司君は十分ウチらを頼ってるって思ってるんやろうけどもっともっと甘えてもええんよ?』

「……はやてママ」

『あかん、鳥肌立ってきた』

 

 ママ呼び不評だな、流石にキモすぎたか。何処かでなのはちゃんに試して最後にしよ。

 

「すまんすまん、冗談だ」

『……とにかく、自分ばっかり負担をかける事ないようにって言いたかったんよ。今回のだってウチらを気遣う代わりに自分の仕事を増やしとるし……』

「まぁ、どっかで必ずはやてちゃん達には迷惑なくらい頼る事になるさ」

『ふふ、そないな事あればええんやけど。……分かった、慎司君の言う通りに今回は進めておくからこっちは任せて。慎司君も気をつけてな……』

「おう、掃討が済んだらすぐ連絡するさ。じゃ、また後で」

 

 そう言って通信を切る。ふぅ……と一呼吸だけいれて俺は誰にも聞こえないようにボソリと呟く。

 

「バカ言え、頼りすぎてるくらいだよ」

 

 そんな本心の呟きはヘリの駆動音でかき消されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

……………………………。

 

 

 

 

 

 六課では慎司の計らいにより残されたなのは達が慎司の乗るヘリを見送ってから改めてティアナ達と向かい合う。ティアナは自らの失言の罪悪感で下を向いていた。しかしそんなティアナを庇うようにスバルが前に立って真っ直ぐなのは達を見つめて意を消して言葉を紡ぐ。

 

「なのはさんっ!」

「うん、何かな?」

「その……命令違反は絶対ダメだし、さっきのティアナの物言いとか…それを止められなかった私はダメだったと思います」

 

 声を萎めてしまいながらもスバルは不義理だった点はちゃんと申し訳ないと思っていた。ただ、驚かせたかっただけ。尊敬する高町なのはに自らの成長の証を見せるため、自身の相棒に協力する為、スバルは自分と親友を信じてとった行動だった。

 無論、ティアナの荒瀬慎司を貶めてしまうような発言は良くないと思っている。スバルだって荒瀬慎司のことは嫌いではないし、寧ろ信頼できると思っているからだ。

 

「けど……自分なりに強くなろうとする努力とか、キツイ状況でも何とかしようと頑張るのはいけない事なんでしょうか!?……自分なりの努力とか……そういうのもやっちゃいけない事なんですか!?」

 

 それでも、スバルは我慢ならなかった。ティアナは、親友は頑張っていた、努力をしていた。血反吐を吐くような思いで、努力に努力を重ねた。自分がそれを1番近くで見ていた。だからこそそれを間違っていたかのような言動には納得などいかなかった。なのは達はその想いの丈を正面から受け取る。

 

「…………自主練習はいい事だし、強くなるために頑張る事もすごくいい事だよ」

 

 そして、そのスバルの想いを肯定したのもまたなのはであった。

 

「なら…っ!」

「ごめんね…私が不器用すぎちゃったから」

 

 スバルの言葉を遮ってなのはは頭を下げる。上官にそんな態度を取られスバル達は逆に何も言えなくなる。しかし、なのはは姿勢を元に戻してから構わず続ける。

 

「聞いて、今度はちゃんと……ちゃんと自分の口で伝えるから」

 

 命令違反をしたのは無論間違っていた。しかし、そうさせてしまった自分にも責任はある。ティアナ達だけが悪いのではないとなのはは思っていた。だからもう、間違えたくない。……そう、彼がよく言うように『後悔しないように』。

 

「私が皆んなに伝えたかった事……私の教導の意味、その理由。そして……私が誰よりも尊敬してる、荒瀬慎司君の事を私の口から説明させて欲しいんだ」

 

 真剣な表情でそう訴えるなのはにスバル達は頷くしかなかった。そして、遠巻きで聞いていたマックスもゆっくりとなのはに近づき

 

「自分も……一緒に聞いていいですか?」

 

 そう、口を開く。なのははマックスに「勿論だよ」と微笑みながら伝える。マックスは頭を下げつつも慎司がヘリで出撃していった時の事を思い出していた。

 

『お前は勿論留守番だ………ちゃんとお前はお前でその気持ちに整理をつけるんだぞ』

 

 肩をポンと叩かれながらそう荒瀬慎司に言われた。自分は『魔導師』としては戦力外だから前線について行けない。自分の役割をこなさなければならない。だが今は……慎司の言う通りにするのが正しいという事はマックスも理解していた。

 

 

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

 

 

 

「いいか?偵察機とは言えガジェットに変わりはない、こっちの魔法を阻害するAMFも搭載されてるだろう。基本はツーマンセルの背中合わせ、死角をなくして迎撃に当たれ」

 

 残り10分ほどで接敵するあたりで、俺は簡単なブリーフィングを前線メンバーと行う。まぁアークレインの前線メンバーなら偵察機ガジェットくらい訳ないが、かと言って油断させるわけにもいかない。

 アークレインが誇る前線メンバーとはいえ皆、なのはちゃん達のようなエースと呼ばれる人材ではない。正直実力は一般的な魔導師のレベルの域を出ないがそれでも優秀な奴らだと俺は知っている。例え周りからなんと言われようとだ。

 

「ダンナぁ、そんなに心配しなくてもあんなガジェットくらいならあっしらだけでチョチョイのちょいですぜ?」

「そうそう、慎司さんがわざわざ着いてくる必要なかったですよ」

 

 恰幅のいいイカツイ顔をした男性隊員とそれに負けないくらい威圧の雰囲気を放つ女性隊員がそんな事を言ってくる。2人とも前線メンバーの中での隊長と副隊長を任命してる2人だ。

 

「バカ油断するな、どんな実戦であれ警戒を怠らないのが真の一流だと何度も言ってるだろうが。それとも、魔導師ですらない俺の指令を聞くのは不満か?」

 

 冗談混じりに軽く笑いながらそう言うが2人は慌てた様子で

 

「いやいやまさか!ダンナに不満なんかありませんって。悪い冗談はやめてください」

「慎司さんはアタシらみたいなはみ出し者を拾ってくれた恩人なんだ、文句なんか一つもないですよ」

 

 そんなに卑下することはないだろうに。俺はお前達の実力を認めてスカウトしただけなんだから。当初からそう伝えてはいるんだがなぁ。隊長、副隊長だけでなく他の隊員達も気を引き締めて敬礼してくる始末である。ここは軍隊か!?似たようなもんか!

 

「それなら、いつも通りお前らは目の前に敵に集中してくれ。追って指示は出すからさっきのツーマンセルで行く事だけは忘れるなよ?」

 

 そう言い放ち全員が頷いてくれた所でヘリの操縦士から接敵したとの合図を受け取る。

 

「よし、各々出撃だ!一匹残らず木端微塵にしてやれ!」

 

 昔と変わらず、皆んなの背中を見送る立場なのはいつまで経っても変わらないと内心ため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 なのは達はロビーの広間に移動してそこの休憩所で各々ソファに座り重苦しい雰囲気が漂っていた。なのはにフェイト、ヴィータにシグナムと途中で皆んなが心配で合流したシャーリィとシャマルを交えてその大事な話を始めていた。

 

「私はね、皆んなも知ってる通り地球っていう魔法が存在しない次元世界の出身なんだ」

 

 FW達やマックスはそれくらいのプロフィールなら大雑把に把握していたがなのはがこれから話すのはその細部である自身の生い立ちからだった。魔法に出会ったのは小学3年生、年齢で言うとわずか9歳。なのはの自分の生い立ちの話を補足するかのようにシャーリィが当時の映像をなのはの話に合わせて流していた。

 

 普通の女の子だった高町なのはは偶然にも魔法に出会い、巻き込まれるような形とはいえ自分の意思で魔法使いとしての道を歩み始めた。魔法関連の技術を碌に知らなかった少女が自身のセンスとそれを補うための日々の努力で命懸けの闘いに身を投じる。

  映像と共に当時敵対していたフェイトとの激闘が映し出される。互いに譲れない想いと共にぶつかり合ったその過去に初めて事実を知ったマックスとFW4人驚きの反応を見せた。そして、その小さな体からは想像できない威力を持つ収束砲撃魔法の行使。既にここからなのはの体への負担は始まっていたのだ。

 

 ジュエルシード事件は終息し、フェイトとの和解を経て間を置かずになのははまた闘いに身を投じる事になる。ヴォルケンリッター達のの襲撃と敗北、今の自分では力及ばないと理解したなのはの選択は当時は安全性がなかったカートリッジシステムの導入。更に体に負担を強いる事になる。

 

 そして闇の書事件も大団円を迎えてしばらく経った後、なのははフェイト、はやて共に正式に管理局入りを果たして魔導士としての本当のスタート切った。それからは訓練と任務、そして地球で学校の勉強と目まぐるしい忙しさの中なのはは必死になってそれらをこなしていった。

 

 なりたい自分になる為に、立派な魔導師を目指して。そして何よりも自分が尊敬しているあの人の努力に負けないように。そのひたむきな想いが皮肉にもなのはを間違わせた。自身の体を度外視した酷使に次ぐ酷使、魔導師になってからの積み重ねてきたつもりに積もった体への負担。

 それらは全て最悪の形でなのはに襲いかかる。なんて事はない、いつものなのはならなんて事のない任務だった。なのはには油断も驕りもなかった、ただ積み重なった負担がなのはの動きを鈍らせた。

 命を張り合う戦場での任務にてそれは悲劇を生んだ。

 

「思考を止めて、何も考えないでがむしゃらに無茶をし続けた結果が……これ」

 

 自嘲気味に少し笑ってなのはは自身が生死を彷徨う重傷を負った時の映像を見せた。言葉失う5人、あまりに酷かった。血の滲んだ包帯だらけの小学生の少女、立って歩く事すら出来なくなるかもしれない……そう告げられた苦しい過去。既になのはは乗り越えて前を向いてもトラウマと呼べてしまう過去だった。

 その映像を見て絶句するティアナにシグナムは口を開く。

 

「確かに、魔導師としても無茶を通してでも譲れない場面はあるだろう。だがなティアナ、模擬戦のあの時……あの技……自分の全部を賭けてでも譲れない時だったのか?」

 

 その指摘にティアナは何も言い返す事は出来なかった。

 

 そしてなのはは告げる。自分が皆んなにどんな教導を、どんな想いを持っていたのかを。自分の教導の意味を。皆んなにはしっかりとした土台を作りを優先し根本の地力を大きくしていく、そうする事で皆んなには無茶なんかする必要がないような、例え無茶が必要な時が来ても自分みたいな思いをしなくて済むように。そんな先の先のさらに先を見た訓練。

 だがそれらは必ず皆んなの未来できっと役に立つ物、何かをする上での土台となり助けとなる。それがなのは方針だったのだ。だから、ティアナが中々自身の成長に手応えを感じられず精神的に追い込んでしまったのははひとえに教導官である自身の力不足とケアが足りなかったとなのはは改めて謝罪した。

 

 もっと早くこうやって皆んなに話すべきだったと。

 

 広間は重苦しい空気に包まれる。罪悪感で何も言えないティアナに、自らの過去を晒して真っ直ぐに想いを伝えたなのは。皆んな何を言えばいいか分からなかった。

 

「すごいっスね……姐さんは…」

 

 そんな空気のなか重々しく口を開いたのはマックスだった。いつもなら姐さんと呼ぶなとなのはなら咎める所だがマックスは構わず言葉を続ける。

 

「そんな辛い思いをしたのに、そんな悲しい事を味わってきたのに……姐さんだけじゃなく皆さんも、そうやって乗り越えて真っ直ぐ前を見てここまで来たんですね……。他の誰かに自分と同じ思いをさせないために教導官になって……兄貴が姐さん達のことを誰よりも尊敬してるってよく言ってたの……分かる気がするっス」

「あはは……慎司君は私達の事そんな風に言ってくれてたんだ」

 

 照れ臭そうに頬を掻きながらなのははそう返す。心なしか一緒にいるシグナムやフェイト達も照れ臭そうにしていた。

 

「でもね、私だって下を向いて足を止めてしまった時だってあるんだよ?無茶をして大怪我をした時だってそう。だけど今こうしていられるのはここにいる皆んな……地球からの仲間達と……慎司君のお陰なんだ」

「慎司……さんが?」

 

 つい疑問の声を上げて問いかけるような口調でティアナが口を開く。確かに魔導士としての重傷という名の挫折を味わいそれを乗り越えたというのならそれを支えたのは同じ魔導士であるフェイトやはやてだと言うのは納得できるが魔力もなくその頃にはまだ管理局員でもなかったと聞いている慎司の名前が上がったのは少し違和感を覚えたのだ。

 

「うん、私自身の話はこれでおしまい。今度はね、慎司君のお話を聞いて欲しいんだ。教導の話とはまたちょっと関係がない話だけど……知って欲しいんだ。同じ六課の慎司君の友達として……同じの六課の仲間である皆んなに、ずっとずっと頑張り続けてる慎司君のお話を」

 

 キッカケはティアナの発言だ。しかし、仲間として知って欲しいと元々思ってはいた。なのははティアナのあの慎司に対する発言は純度100%の本心でない事は理解していた。多少思う所があっただけで、それは別に悪い事じゃないとも思っている。だが誤解を解く意味でもある、そして荒瀬慎司についての話はきっと彼女達の背中を押してくれるものだ。なのははそう思えていた。

 

「……………」

 

 優しい微笑みと、慎司のことなのに何故かちょっと照れ臭そうにするなのは。そして慎司の名を聞き、何となく他の隊長達もどこか優しい雰囲気に変わっていた。対するティアナは一度沈黙で返す、皆んなをそうさせる荒瀬慎司という人間、何故皆んなそうやって荒瀬慎司を語る時いつも誇らしげなのか……その理由が分かるかもしれないのならティアナは純粋に聞きたいと思うし何より……勢いとは言え慎司を貶めるような事を言ってしまった自分は聞くべきだと思った。

 

 そしてそれはスバル達も一緒で慎司と同じ艦隊のマックスも是非聞かせてくれといった雰囲気だった。荒瀬慎司という男はあまり自分の事は語らないのかもしれない。

 

「お願いします、是非聞かせてください」

 

 しばらくの沈黙の後そう返したなのはは先程の微笑みを崩さぬまま頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

 ヘリの中でモニターを展開させて出撃したアークレイン前線部隊の戦闘を見守り始めてから10数分。順調に偵察飛行からこちらの存在を認識すると襲い掛かってきたガジェットの数を減らしている。目を引く砲撃魔法が使えるわけでも特別なレアスキルを駆使してるわけでもなくあくまでフォーメーションを組み、攻めと守りの見極めをしつつ簡素な魔力弾で確実に。

 なのはちゃん達のような突出したエースのような実力はない一般魔導士の集まりと他所の艦隊に揶揄される彼等だがここまで出来るのだって大したもんだ。

 フォーメーションを組み、作戦を組み、実力があったとしても確実にそれらを実行出来るとは限らない。しかし難なくそれをこなす彼等は我らアークレインが誇る前線部隊だ。この分なら、何のトラブルもなく作戦は終了するだろう。六課のデータを取りたがってたであろうジェイルには悪いが今回の相手は俺たちで勘弁願う所だ。

 

 掃討の終わりが見えた頃、端末に通信が入る。

 

『ご主人様』

「ソフィか、どうかしたのか?」

『一応ご報告が、遠征中のアークレイン艦隊から経過報告が届きました。私が目を通しましたが特に問題はないようです。いかがしますか?』

「ソフィがそう思ったのならその判断でいい。こちらの近況も向こうに伝えて現状遠征任務も変更なしと伝えておいてくれ」

『かしこまりました』

 

 通信が切れたところで軽く息を吐いた、提督業が忙し過ぎてあっと言う間に4年も過ぎてしまった事を思い出す。っと、そんな悠長に感慨に耽ってる場合では無かった。前線部隊の様子をモニターで伺うと丁度最後のガジェットを破壊した所だった、同時に通信が入る。

 

『ダンナ、ガジェット全機破壊しやした』

『そっちで撃ち漏らしがないかスキャンを頼みます』

「もうやってる………掃討完了確認、残機なし。御苦労だった、知り合いの後処理やってくれる調査隊呼んでるから俺達は合流して引き継ぎしたら帰還だ。一応それまでは周囲の警戒は怠らないように」

 

 そう告げてから通信を切りまた息を吐き出す、今度は大きく。とりあえず山場は超えたな……それにしてもスカリエッティの奴、データを取るためとはいえ新型のガジェットをこっちにもここまでお披露するとはな……余力や隠し球は十分に備えてると見て間違いない。

 

 

 たくっ、まだまだ休んだる暇はないなこりゃ。

 

 

 

 

 

 

…………………………………。

 

 

 

 

 

 

「荒瀬慎司君、私と同い年で5歳の頃に出会ったんだ」

 

 詳細に記されたプロフィールと共に映し出される慎司の画像。そのプロフィール欄の魔法の適正について書かれた項目には適正マイナスどころかリンカーコアすらなく魔力も皆無と簡単に書かれている。

 魔力社会のミッドチルダに置いてこの項目を見ただけで慎司を下に見る者も少なくないだろう。実際慎司もそういう面では管理局で苦労している。

 

「私と一緒で平凡な………平凡?平凡だったかな?当時からもう変な子だったかも」

 

 変か変じゃ無いかで言えば間違い無く変な部類とは思うなのはである。聞いている新人メンバーは苦笑を浮かべていた。

 

「慎司君も地球で魔法の存在なんて知らずに暮らしてたんだ。学校では皆んなの中心で、柔道……地球の格闘技を頑張って今の皆んなみたいに汗をかいていたよ」

 

 友人を作り、遊び、学校で学び、柔道を本気で志して日々を過ごしていた。そして、魔法という物に交わった運命の日。

 

「慎司君が魔法の存在を知ったのはジュエルシード事件……私が魔法と出会ってフェイトちゃんと対立してた時の事……いつものように柔道の体力作りでランニングをしている最中にたまたまジュエルシードが暴走して災害を起こしてる現場に居合わせたの、そして魔導士としての姿だった私とフェイトちゃんもそこにいた」

 

 言うなれば偶然に巻き込まれたのだ。その後災害は一旦収まり彼は関係者としてアースラに赴く事になる。彼は苦悩した、自分の友達が魔法という物に出会い命を張って戦ってる事実に、そしてその相手が自分も知っている相手だと言う事に……魔法を使えない自分では何もできないと言う事に。

 

「これも本当にたまたま何だけどね、なのはだけじゃなくて慎司は私とも顔合わせる機会があってね。だからなのはだけじゃなく私まで魔法を使っていた事に驚いていたんだ。だから余計心労を重ねさせちゃったと思う」

 

 そう語るフェイトに皆んな顔は困惑していた。魔法を知らなかった1人の少年がいきなりそんな場面に出くわしてしまったらそれは確かに驚きそして苦悩するだろう。

 

「でもね、慎司君はそれでも顔を上げて前を向いたんだ」

 

 そう言うとなのははシャーリィに目配せをしてとある映像を流し始めた。アースラにて山宮太郎が荒瀬慎司として初めて声を荒げて涙ながらに思いの丈を叫んだあの時の映像を。

 慎司がその時を思い出すのなら、きっと情け無い姿だったと自虐的に笑うだろう。しかし、それは真摯に自身の思いを告げて、自身の無力に向き合った男が足掻くために叫んだ想い。

 

『無茶してどうにか出来るならとっくにやってんだよ!!』

 

『出来なかったよ!今日……あの海で、皆んなが危険な目に遭いながら闘ってる時も!フェイトちゃんが攻撃されて悲鳴をあげてる時も!海に堕ちそうになった時も!俺はその場から動くことすら出来なかったんだよ!!』

 

『だから……自分ができる事は……見守る事くらいは………声をかけてあげる事くらいは……したいんだよあの子にも』

 

 無力な男の非力な断末魔。自分自身の事を理解し、どうあっても力にならない事を冷静に理解したからこそ感情的になった荒瀬慎司。

 

「慎司君はそれでも無謀な無茶をした訳でも全てを諦めて投げ出した訳でもなかった。………自分のできる事、無駄だと分かっていても私とフェイトちゃんの為に行動したいって言ってくれたんだ」

 

 それが正しいと言う訳じゃないとなのはは続けて告げた。それでも思考を止めないで足掻き続けた事を知って欲しかった。

 

「まぁ、結果として慎司君は大活躍だったんだ。慎司君はそんな事ないって言うけど」

 

 当時の映像が順番に映し出される。互いに勝利を約束し、一足先に約束を果たした慎司がなのはを励ます為戦場に赴き大声で応援した事。比喩なくなのははその応援に力を貰った事。

 

 フェイトを庇い、彼女のために彼女の母に大立ち回りをした事。そして誰も犠牲を出さない為に単身プレシアに会いに行き説得を試みた事。悲しい結末に終わってしまったが彼の勇気と行動、言葉に確かに救われた心があった事。

 

「それがフェイトさんが前に仰ってた……」

「そう、慎司が私を助けてくれた時の話だよ」

 

 キャロの合点が言ったような問いにフェイトは笑顔でそう返す。フェイトにとってその時に貰った言葉と想いは今のフェイトを支えてくれる大事なモノ。そうである事をひしひしと感じさせるような綺麗な笑顔だった。

 

「この事件の後……後処理とかフェイトちゃんやアースラの皆んなと一度別れた後慎司君ね、こう言ってたんだ」

 

 

『これから起こる全ての出来事は、全部完全無欠のハッピーエンド!!そうしてみせる!それを掴んでみせる!!俺は……それができる男になってみせる!!』

 

 プレシアの消失という結末を経て、荒瀬慎司は海辺に向かってそう叫んだ。その決意を隣で耳にしたなのはは鮮烈にその事を覚えている。子供が口にした理想論と言えばそれまでだしそんな都合のいい結末など起こらない。しかしそれを彼は本気で目指しさらには……

 

「その誓いを慎司君は今でも胸に抱いてる」

 

 それを高町なのはも他の仲間達も理解していた。話をここまで聞いていた面々……マックスを除いた4人はその覚悟の重さを理解したのか息を呑む。

 

「さて、まだまだ話は続くけど……大丈夫かな?」

 

 なのはの問いに皆んな頷いて答える。ここまで話を聞いて荒瀬慎司という男に皆んな自然といつもより興味を惹かれていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 特撮とか別にダイワスカーレットの例のフィギュア予約しました、死ぬ(貯金が)
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