転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 書かなきゃ、書かなきゃって思いながらいつの間にか一年たってしまった。転職してから拘束時間長くなったけどそれは言い訳だ。ゲームハマったりしてるのも言い訳だ。………また執筆頑張ります


芯を曲げず、忘れてはならない事

 

 

 

 

 

「ただいまああああああ!!夜中でも元気な荒瀬慎司お兄さんだよおおおおおおおお!!!!」

「うるせぇ!」

「痛い!?」

 

 引き継ぎを終えて元気よく六課に帰ってきてまず俺を出迎えてくれたのはヴィータちゃんである。普通に結構な力で尻を蹴られて痛かった。貴様この痛みはちょっと魔力使いやがったな?

 

「何時だと思ってるんだお前は」

 

 一緒にいたシグナムに飽きられつつ俺はなのはちゃんやティアナちゃん達の姿を探したが見つからない。

 

「……話は終わったのか?」

 

 それが気になって仕方なかったのだ。俺が無理言ってアークレインの前線部隊に遊撃を任せてなのはちゃんと新人達を話をさせる機会を設けたからな、正直気が気じゃなかった。

 俺の問いにヴィータちゃんとシグナムは少しバツの悪そうな顔をしていた。え?何?同じような困った顔をしながらシグナムの後方にいたシャマルが俺に近づきながら申し訳なさそうに両手を合わせて口を開く。

 

「ごめんね慎司君……実は…」

 

 は?え?何?

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

「えぇ?俺の話をしたの?なのはちゃんの話だけじゃなく?」

 

 ちゃんとなのはちゃんは皆んなと対話という名の話し合いを行い、しっかりと自分の想いを伝える事が出来たという。しかし何故かその後俺の過去についての話にシフトしたらしい。

 いやなんでやねん、別にいいけどさ。俺の話聞かせたって……まぁなのはちゃんが必要と判断したんだろうしとやかく言うのもやめておこう。

 

「ちなみにどこまで話したんだ?俺が実は改造人間で夜な夜な近所の池を飲み干し回ってる所までか?」

「っ!?……っ!?」

 

 シグナム達といつの間にか合流していたちみっこが驚愕の顔で俺を二度見していた。冗談だよ間に受けるな、でも反応可愛いからそのままにしとこ。

 

「いや、近所の池だけじゃ飽き足らず海水まで飲み始めてるとこまでだ」

「っ!?!?!?」

 

 なんかヴィータちゃんが俺の冗談に乗ってきた。面白いから続けようっと。

 

「まぁ海が潮引く原因って俺が海水飲んでるからだし」

「自然現象じゃなかったですか!?」 

 

 とうとう言葉に出してツッコミを入れてくれるちみっこ。カワイイね、そのままの君でいてね。

 

「実はそうなんだぜちみっこ、はやてちゃんに聞いてきなよ」

 

 適当にそうあしらったら本気にしたちみっこは「聞いて来ますっ!」と言い残して飛んだっ行った。はやてちゃんの困惑した顔が目に浮かぶ、面白いから訂正しないでおこう。

 

「それで?実際の所どこまで話したんだよ?」

 

 冗談に乗って満足げなヴィータちゃんに俺は一旦頭を切り替えてから再びそう問いかける。

 

「全部だよ全部。フェイトとの事、あたしらとの事……ケガして大会に出た事……それ以降の慎司の事はあたし達は知らないからな」

 

 と、ヴィータちゃんは皮肉混じりに口を尖らせてそう言う。俺は苦笑する他なかった。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

「まいったねどうも………」

 

 ヴィータちゃん達と別れてなのはちゃんとFWメンバーを探しあちこちと六課内を歩き回る。ヴィータちゃんの言う全部とは本当の意味で全部でどうやら事細やかに話したようで。当時アースラの映像記録に残っていた俺の醜態も見せながら話したと言う。泣くぞ。

 荒瀬慎司として歩んだ半生を誰かに語られると言うのは些か変な気分ではあった。胸を張って生きているつもりだが俺のこれまでの生き方が果たして悩んでいるティアナに何かの気づきを与えるキッカケになるなんて思わないのが正直な気持ちだ。

 にしても施設内をいくら探してもなのはちゃんもFWメンバーも見つからんな。もしかして中庭とか訓練場とかの方か?

 

「………お?」

 

 と、一旦外に出ようとした所六課内の談話室とはまた別の広場のスペースにティアナちゃん以外のFWメンバーとマックスの姿を確認した。遠目だがとりあえず暗い雰囲気って訳でもなさそうなのが目にとれて少し安堵しつつなるべく軽やかに俺は声を掛けることにした。

 

「よっ!ただいま」

 

「兄貴っ!お疲れ様っス!!」

 

 マックスの暑苦しいお辞儀に釣られるように残ったメンバーも少し大きな声で「お疲れ様です!」と頭を下げて返してくれる。いや、軍隊かっ!似たようなもんか!

 

「畏まんなくていいから、とりあえず特にトラブルも無くガジェットは全機撃墜完了したから大丈夫だよ」

「前線部隊の皆さんは?」

 

 皆と同じ部隊のマックスは少しだけ心配そうにそう口にする。マックスとしても今回の件は自分のせいでもあると思ってるからか急に出撃させた事に申し訳なさを感じてるようだ。

 

「流石に急な出撃させちまったから調査隊に引き継ぎしてから真っ直ぐ帰らせたよ」

 

 流石に俺の我儘で出撃させたから特別ボーナスの支給も約束した。俺の懐が悲鳴を上げそうだがまあ、別に構わん。

 

「そうスか……それならよかったッス」

「あんましそんな顔すんなよマックス、今回の件はお前なりに思うところもあるみたいだけど俺やアークレインの皆んなについては気にする必要はない。俺が勝手に事を大きくしただけだから」

 

 ああやって派手に立ち回って皆んなに話をさせるよう誘導したかっただけだから。

 

「それよりもお前は他に気にする事があるだろ?俺にじゃなくてさ」

「………うっす」

 

 少し俯きつつもしっかり理解してる様子で何よりだ。さて、ティアナちゃんとなのはちゃんを探さないとっ……と?

 

「どうした?スバルちゃん」

 

 踵を返そうとしたら正面に立ち塞がるようにスバルちゃんが真剣な表情で佇んでいた。何か言葉を発したいようなのはわかるがグッと何か堪えるように……いや、なんか腹に力込めて貯めてる?そう変な分析をしてるうちにスバルちゃんはスウッと大きく一瞬息を吸い込んでから

 

「慎司さん!今回の事、本当に申し訳ありませんでした!!」

 

 元気な声で勢いよく頭を下げながらそう言葉を紡いだ。うん……まぁ、不器用なりに誠意は伝わった。と言っても俺には謝る必要ないのでは?ティアナちゃんとは今日に至る前に直接言葉を交わして止めるよう言ったりはしたからティアナちゃんが謝ってくるのは分かる。まぁ、謝る必要ないけど俺が何かされた訳でもないし。

 

 とにかく謝る必要はないとその意を伝えるとスバルちゃんは首を振ってから

 

「私もティアと一緒になのはさんの想いを無視して、慎司さんに迷惑をかけてしまった事に変わりありませんから……だから謝らせて下さい」

 

 と、さらに深々と頭を下げてくる。ふむ、親友と一緒に背負っていきたいんだな今回の反省を。それはとてもいい事だ、自分も糧となる考え方だ。そんなに真っ直ぐな思いで、真っ直ぐな謝罪をしてくれるなら俺も真っ直ぐに伝えよう。

 

「よし分かった。そう言う事ならその謝罪を受け取るよ………許す!」

 

 そっと肩を手でポンポンと叩いてそう答えた。スバルちゃんは安堵したように息を吐いてからありがとうございますと今度は控えめに言葉を発する。

 

「それでその……ティアの事なんですが…」

「ああ、皆まで言わんでいいから……どこにいるか知ってるか?」

 

 そこまで考えて立ち回ろうとしなくていいよ。少なくとも俺とティアナちゃんとの間に生まれちまった溝はちゃんと自分で埋めるさ。俺も悪い所あったからな。

 俺はスバルちゃんから居場所を聞いて礼を言ってから今度こそ踵を返す。

 

「マックス」

 

 まだいつもの本調子に戻ってないマックスに声をかける。まだ少し俯きがちな姿勢を少し戻して俺の方へと顔を向けるマックスに俺は言葉を告げてその場を去った。

 

「お前も整理つけたらティアナちゃんとしっかり話せよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 スバルちゃんに教えられた場所は六課の施設の近くにあるちょっとした自然公園のような場所。その湖の前だ。遠目でティアナちゃんとなのはちゃんの姿を確認して何かしら話してるのが見えたので少し離れたところで様子が落ち着くのを少し待った。 

 ティアナが涙を浮かべ、なのはちゃんに誠心誠意の謝罪をしてちゃんと和解が出来た様だったのでゆっくりと背後から近づく。………ふむ、ある程度近づいても2人は雰囲気に呑まれて気付かないのでなのはちゃんの背後までたどり着いた所で少し勢いよく両手をなのはちゃんの肩に置いて

 

「うらめしやああああああああああああ!!」

「にゃあああああああああ!??」

「っ!?!?」

 

 なのはちゃんがびっくりした悲鳴が可愛かった。録音しとけばよかったと後悔。隣にいたティアナちゃんもティアナちゃんで声上げずにビクッ!!っと結構面白いリアクションをしてくれたのでよしとしよう。

 

「し、慎司君?……っ!もう!もう!びっくりさせないでよ!」

「ぬはははははは!中々可愛い悲鳴だったではないかにゃのはちゃん」

「早速悲鳴と私の名前を絡めて弄らないでくれるかなぁ!?」

 

 ポカポカ、ポカポカ、胸をいつものごとく力強く叩いてるようだが痛くない。ムフーっとドヤ顔で受け止めていたら気に食わなかったのが手の甲をつねってきた。イタタタ!?

 

「はぁ……全くもうしょうがないんだから慎司君は」

 

 ため息混じりで呆れたようにそう言うなのはちゃんだがすぐに表情を綻ばせて微笑むように

 

「……おかえり、色々ありがとう慎司君」

「おうともさ、まぁ勝手にやった事だから気にすんなや」

 

 そう言ってくれるなのはちゃんに俺も笑顔で応える。話し合いもうまく行ったようで何よりだ、やっぱり最初からなのはちゃんに相談しとけば良かったな。もっと早くなのはちゃんに伝えて話し合いの場を早く設けてればこんなに拗れることは無かっただろうから。まぁ、反省はするがクヨクヨせず次に繋げよう。

 

「あの……」

 

 と、なのはちゃんと長年の功で短いやり取りで全部互いの事を伝え終えた所で。俺が驚かしたせいで今までびっくりしたままだったティアナちゃんが平静を取り戻し遠慮がちに声を発する。

 いつもの強気な感じは今は鳴りを潜めている、まぁそうなっちゃうのも仕方ないか。俺だけじゃなくてなのはちゃんがいるのもあってか少し話しづらそうだ。俺はなのはちゃんに軽く目配せをした。

 すぐ意図に理解したなのはちゃんは俺に対して頷いてから

 

「じゃ、ティアナとのお話も終わったし私は先に戻るね」

 

 去り際に俺を前にして少し緊張気味のティアナちゃんになのはちゃんは優しく肩に手を置いて耳打ちするように「大丈夫だから…ね?」と声をかけてからその場を離れていった。

 なのはちゃんが見えなくなるまで離れた所で俺は改めてティアナちゃんに向き合う。さて、なんて言ったものかな……

 

「し、慎司さん……あの……私…」

 

 既に涙の跡がある事が察するに、ティアナちゃんも自分が悪かった部分は多いに反省してなのはちゃんとの話を終えれたようだ。だから、これ以上俺と話をして負担をかけるような事はしたくなかったが……先延ばしは良くないからな。

 

「………俺のことも色々と話を聞いたみたいだけど、どこまで聞いたんだ?」

 

 ティアナちゃんから話を切り出させるのは酷だと感じたのでとりあえず俺からそう口を開く。

 

「え?あ、はい……その…なのはさんが知っている事は全部聞かせてくれたと思います」

「そっか………どう思った?」

「……………」

「答えづらかったら別に言わなくてもいいぞ?」

「いえ………すごいなって思いました……私が慎司さんと同じ立場なら絶対に出来ない事をやってのけてると思いました」

 

 ゆっくりと言葉を慎重に選びながら答えてくれるティアナちゃんを見つめながら静かに聴く。

 

「………自分が恥ずかしいと思いました。私は……そんな慎司さんの事をよく理解せず……あんな事を言ってしまって」

 

 それで完全に言葉が続かなくなった。ティアナちゃんにとって俺に対して抱いてる申し訳なさはあの発言に他ならないだろう。

 

『……慎司さんみたいに魔力がなくても提督になれるような……そんな人脈……頼りになる家族だって私にはいないんだからっ!!』

 

 自分の孤独を曝け出した発言のみならず暗に俺が家族や人脈の力のみでのし上がったと揶揄するような言葉だった。俺はいい、正直に言えば全くショックでは無かったと言えば嘘になる。しかし、自分も努力してないとは言わないがそう言う部分に頼った事があるのも事実だし色々な人に言われ慣れてるからだ。

 けど、俺を大切に思ってくれる友人達はそうはいかない。なのはちゃん達の反応がその証拠、俺だってあいつらを貶されるような発言をされたら我慢ならないと思う。そして今回に限っては同じの六課の仲間からの発言だ。

 勿論勢い任せに言ってしまった事は理解してるし、ティアナちゃん自身も少し引っかかっていたくらいでそんなに気にしてはいなかっただろう。

 色々と重なってしまい出てしまった言葉なだけなのだ。だから俺は最初からその事に関しては引き摺っていない。

 

 だが、冷静になったティアナちゃんは……と言っても失言の後すぐに後悔していた様子だったから最初から謝らなければと思っていたのだろう。俺だけでなくなのはちゃん達も傷付けてしまったのだから。だから、こうやってちゃんと向き合って話さなければと思っていた。

 

「そして、気にもなりました……どうしてあんな風に行動ができてやり遂げられたんだろうって。どうして……自分自身では力になれないと本心で思っていたのにあそこまで出来たんだろうって気になりました」

 

 なのはちゃんの話を思い出すようにそう言葉を絞り出すティアナちゃん。それについて答えて欲しいと俺には聞こえた。……なのはちゃんが必要だと思って俺の過去の話を皆んなにしたのなら俺もちゃんと話そうと思った。

 

 俺はその場に腰掛けてからティアナちゃんにも楽に座るように促す。立ったまま話すのもなんだからな。

 

「………ティアナちゃん、君がなのはちゃんから聞いた話……多分ジュエルシード事件や闇の書事件、あと多分……事故にあって無理に出た柔道の全国大会の事も聞いてると思う」

 

 ティアナちゃんは肯定の意を示すように頷く。

 

「それ全部な………皆んなの助けになりたいとか何もしない自分が嫌だったとかそう言う理由も少なからずあった。けど、俺の中で一番の行動原理になっていたのは………『後悔しない』為なんだ」

「後悔……しない為?」

 

 ああ、と頷く。荒瀬慎司という第二の生を受けて19年。来年には前世の最期の年齢に達する。その人生の中で俺の考えはずっとずっと変わらない、後悔しない為に生きてる。

 色んな事があって前世との向き合い方や、考え方は変わったりしたがそれだけはいつまでも変わらない、変えれない、変えたくない。

 

「ジュエルシード事件も闇の書事件も全国大会も俺が行動を起こしたのは……無力と分かっててそれでも考える事をやめず何かをしようとしたのは後悔したく無かったからだ。何もしないっていう後悔がどれだけ苦しいものかって俺はよく知ってたから」

 

 諦めて何もせず、向き合わず、逃げ続けた先にくだらない事で死んだ俺の前世。向き合うまでは毎日苦しい思いを少なからずしていた。だから自分が無力で苦しむ羽目になったとしても、きっと何にも役に立たないって心から思っても本気でどうにか出来ないか考えて考えて、命をかけてでも行動に移したんだ。そんな苦しみ、消えない後悔の念に比べたら屁でもない。

 

「後悔しない事……それが俺の中の芯になってる考え方だ。その為に無理をした、無茶をした……ティアナちゃんをその事について本当は俺は怒れる立場にないんだ……だけど、あの日あの時の俺は本当に無茶を通してでも譲れない事だったんだ」

 

「譲れない……事。シグナム副隊長も仰っていました、魔導師として無茶や無理を通してでも譲れない場面はあるって……」

「そうか……まあそこらへんに関してはもう散々説教というか話をされたと思うから改めて俺から言う事はないけどさ、とにかく………」

 

 とにかく……上手く言えないけどそうだな……。

 

「俺が今も昔も頑張り続けるのは『後悔しない為』だ。そしてティアナちゃんにも自分自身の芯となってる考えがあると思う。それと向き合ってみるといい、今自分がやっている事はその芯と矛盾してないか、今こそ無茶や無理を通すときなのか」

 

 ちょっと抽象的な感じにはなってしまうけど結局芯の自分を曲げてはダメなのだ。反省をして必要な事は改善して、だけど根っこの部分は最初から最後まで突き通す。

 

「今回の事で色々自分を見つめ直すいいきっかけになったと思う。だからあんまり反省をしすぎずに明日からも頑張ってくれよ」

「……はい」

「それと、ティアナちゃんが俺に対して……まあ謝りたい事があるのは分かってる。だけど先に俺に言わせてくれ………」

 

 そうだ、俺も謝らなければならない。

 

「ティアナちゃんの肉親の事……知らなかったとはいえあんな事言って悪かった」

 

 頭を下げる、そもそも俺が肉親を亡くして心の傷を負ってるティアナちゃんに対して余計な事を言った。やれ親の力を使った、人脈に頼って提督になれた事もあるとわざわざ言わなくてもよかった。少なからず負い目は感じてるからつい口に出した事を俺も反省せねばなるまい。

 

「色々ティアナちゃんには複雑だと思うけど、使えるもの使って提督になったのも後悔しない為にしてる行動の一つだ。だからそれを俺はやめない、けど謝らせてくれ、ごめんな」

「そ、そんな!頭を上げてください!」

 

 俺の謝罪に慌てて立ち上がってオロオロするティアナちゃん。俺もこれが言いたかったのだ。色々言ったけどこれが一番ティアナちゃんに伝えたかったのだ。………仲間との間にわだかまりなんて残したくないから。

 

「私こそ……私の方こそ謝らせてください……あんな事を言って申し訳ありませんでした!」

「ああ、その謝罪を受け入れるよ………また仲良くやろうぜ?俺、仲間のティアナちゃんと気まずいままなんて嫌だったからさ」

 

 そう言って手を差し出す。仲直りの握手だ。ティアナちゃんは少し戸惑いつつもそれに応えてくれる。

 

「はい、ありがとうございます……私も……私も慎司さんやなのはさんのように……ちゃんと考えて……自分の芯に向き合って頑張ります」

 

 ああ、それでいい。その真っ直ぐさがあれば君はいくらだって強くなれるさ。そんな確信めいた事を感じた。

 

「さてと、俺からの話は終わったけど………マックス!いるんだろ?」

 

 少し大声を上げると物陰から俺が話を終えるまで待ってくれていたマックスと……付き添いでスバルちゃんも一緒に出てきた。

 

「マックス……」

 

 驚いたようにティアナちゃんは呟く。なのはちゃん、俺と続け様にはなるがティアナちゃんには今日中に全部のわだかまりを晴らすのがいいだろうからな。

 

「心の整理はついたか?」

「うっす!」

 

 マックスの方に向き直ってそう問いかけるといつもの調子で力強く頷くマックス。うん、それじゃあ後はもう親友同士と言っても過言じゃないこの3人で話すといいだろう。俺は「あんまり遅くならないようにな」と告げてその場を立ち去る。今回の件ではマックスとティアナの間にも色々あったようだがそれを乗り越えてさらに絆を深めてくれる事を願うばかりだった。

 

 3人になったマックスが何をどこまで話すのか、どんな思いを吐露するのかは分からないが………まあ、心配する事はないし何を話すかは心からの言葉を発するのはマックスだからな……俺が色々考えて心配するのも野暮だろう。

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

 

「ふう………とりあえず一件落着か」

 

 歩きながら1人そう呟く。どうなる事かと思ったがうまいこと収まってよかった、それだけでなく結果的には六課のチームとしての結束が深まったと思うので終わりよければ全てよしと言えるくらいはプラスに働いたと思える。

 とは言っても今回は自分自身の未熟さを突き付けられた部分も感じたから少し腹の中では気持ち悪さが残るような感覚がある。

 

「調子に乗ってたつもりはなかったんだがなぁ」

 

 提督業について………4年か。目まぐるしい毎日を過ごして目的のためにがむしゃらに進んできて多少は成長したかと思ったがまだまだケツの青いガキンチョだったわけで……本当は39歳なんだがなぁ……何やってんだ俺は。

 

「だぁ!くそがっ!クヨクヨすんな俺!」

 

 立ち止まって気合いを入れ直すように大声を上げる。そうだ、下を向いてる時間はない……俺には時間がないんだ……時間が……。だから躓く事があってもすぐ立ち上がらなければならない、立ち止まる事も許されない。………この道を行くと決めた時点で覚悟は決めたはずだろ。

 

「っ……よし!」

 

 と、今度はわざとらしく力強く一歩を踏み出し顔を引き締める。帰って溜まった仕事片付けるかな。……ん?

 

 ふわりと、背後から柔らかな感触と同時に両肩に両手を置かれる。体温の暖かさを感じる、振り返らなくても誰かに背中から寄り添われてるのが分かった。

 

「にゃはは、さっきのお返し〜」

「………なーにやってんだ、なのはちゃん」

 

 両手を俺の肩に置いて背中に体を密着させていたずらっ子のような言葉を紡ぐなのはちゃん。あー、かわいいなクソッタレめ。

 

「なのはちゃんさぁ……もうちょっと自覚持てよ19だろ?昔みたいに色々ひっつくのはやめとけって」

「慎司くんにしかこんな事しないよーだ」

「また、そう言う事言う………襲うぞこら」

「襲ってもいいけど多分返り討ちだよ?」

「あー、その通りだな言い返せねえ」

 

 はたや管理局のエースオブエース、はたや肩書だけは一丁前の魔力なし。力じゃ勝てるわけない。

 

「んで、慣れない事して一体どうした?わざわざ俺を待ってたのか?」

「まぁね、改めて今回の事お礼を言おうと思ってたんだけど………それとは別に今の慎司くんを見て、言わなきゃいけない事出来ちゃったみたい」

 

 そう言ってなのはちゃん両手に置いた肩を俺の胸に回して抱きしめるような形にしてくる。そしてその腕に少しだけ力を込めてさらに自分の体を密着させる。そして頬までも俺の背中に預ける形でなのはちゃんは優しい声で言った。

 

「………肩に力が入りすぎてるよ、慎司君」

「え?」

 

 そう言われてつい体の力を抜こうとしてしまう。だけどそう言う事を言ってるんじゃないとすぐに分かる。

 

「………そう見えたか?」

「うん、今日だけじゃなくて六課で一緒になってからずっとそう思ってた。さっきの自分を奮い立たせてた慎司君を見て言わなきゃって思ったんだ」

「いやん、見られてたか」

 

 冗談ぽい事言ってみるがなのはちゃんは反応してくれなかった。かわりに俺を抱きしめる腕の力が少しだけ強くなった気がした。

 

「ティアナと慎司君のお話……いけないと思ったけど聞いちゃってたんだ……」

「ああ、別に構わないけど」

 

 聞かれて困るような事は言ってないし。

 

「慎司君は小さい頃からずっと変わらず言ってるもんね、『後悔しない』為に頑張るんだって」

「ああ、そうだな」

 

 それだけは、絶対に変わらない。

 

「そんな慎司君を見て私はカッコいいと思うし尊敬もしてる。後悔しない為に頑張る慎司君かま……私は好きだよ。けどね?」

 

 一呼吸置いてからなのはちゃんは真っ直ぐ言葉をぶつけてきた。

 

「前の慎司君の方が後悔しない為に頑張ってた時……辛そうにしてたけどそれでも………その時その時を全力で楽しんでた思う」

 

 言われてつい息を呑んだ。ああ………ああ……。

 

「今の慎司君も一生懸命で素敵だと思うよ?だけど私は……前の慎司君のように不敵に笑って人生を全力で楽しみながら頑張ってた慎司君の方が私は好きだな」

「勘違いさせるような事言うじゃないか小娘め」

「ふふ、勘違いはご自由にすればいいよ…………慎司君が今頑張ってる事、必死になってる事があるのは理解してるけどそれでも前みたいに楽しみながら頑張ってる慎司君じゃなきゃ……きっと私と同じ事になる………私と同じように潰れちゃう。だから、伝えなきゃって」

 

 …………………ああ、なのはちゃん。君は、君はいつも俺に大切な事を気づかせてくれる。俺の行動原理……それは後悔しない事、だけどそれだけじゃない。そうだ、それだけじゃないんだ。後悔しない為に頑張って俺は人生を楽しむんだ、前世を後悔まみれで終わらせたからこそ、俺を大切に思ってくれていた人達を悲しませてしまったからこそ今度は人生を楽しんで、楽しんで、楽しんで…………最後死ぬ時には『楽しい人生だった』と、こう思う為に……だから何事も楽しむんだ。辛いことさえ人生として楽しむんだ。

 

 どんな事でも、何が起きても……それこそ……転生しても楽しむ心は忘れずに。

 

「……日々に追われて忙しいからって忘れちゃいけなかったよな」

 

 1人小さく呟く。そうだ、それだけは忘れてはならなかった。

 

「……高町教導官が導くのは生徒だけじゃないんだな。流石だよ」

 

 優しくなのはちゃんの腕を解いて向き合う。真っ直ぐに見つめて俺は言葉を紡ぐ。

 

「……ありがとう、なのはちゃんはいつも俺に気づきを与えてくれる。なのはちゃんのおかげで俺は今も昔も頑張れる」

 

 心が折れそうな時はいつもなのはちゃんの言葉によく救われていた気がする。なのはちゃんは良く俺に助けられてばかりだと言ってるけどそれはきっとお互い様なんだ。

 

「お互い様でしょ、私だって慎司君のおかげで今も昔も頑張れるんだから」

 

 そして、なのはちゃんも同じように思ってくれていた。………そうだな楽しくやらねばならない。たとえ時間に追われるような事でも、切羽詰まって余裕が無くても、楽しんで乗り越えるのが荒瀬慎司の生き方だ。それなら……

 

「……久しぶりにちょっと夜更かしして2人でゆっくり話すか?」

「奇遇だね、私もそう言おうとしてたんだ」

 

 よく互いの家で泊まりあってた時はしょっちゅうそんな事をしていたな。俺となのはちゃんはゆっくり……ゆっくり過ぎるくらいの足取りで散歩をしながら他愛のない話をしあう。2人とも今日のゴタゴタで仕事が残っているだろうに。

 だけど………きっとそれは正しく頑張り続けるためにお互いにとって必要な時間だった事に間違いはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッベ今日の午前中には提出しなきゃいけない書類あったじゃん」

 

 翌日朝からデスマーチ気分で作業をしてたとしても必要な時間だったはずだ。………結局間に合わなくて提出先に頭を下げたは内緒である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 久しぶりに一気に書いて支離滅裂なとこあるかもしれん。ご愛嬌でおなしゃす
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