相変わらず悪い癖で長くなって全然進まない……テンポのいいストーリーって難しい!小説家の皆さんにマジ脱帽です。
忙しげに本局内をあちこち忙しなく動き回っている局員達を横目で流しつつ俺は俺で用が済んだので本局の出口へと向かう。ティアナちゃんとの一件から2週間が経ち現在六課は平常運転である。
前のようなガジェットの動きもなければ捜索中のレリックの情報も特に上がっておらず訓練組は日々の鍛錬を、調査隊は進展を目指し地道な調査を続けている。
俺はというと共を連れてアークレイン艦隊の今後の運用方針の説明の為本局へと赴いてようやく先程それが終わった所である。
「いやぁ、艦長よくあんな堅苦しい空気平気ですねぇ。自分には無理です……」
「別に平気じゃねぇよ、俺だってできる事ならやりたくないわこんな事」
けど艦隊を運営していく上で必要な事だからやってるだけだ。管理局つっても地球でいうお役所仕事な部分もあるから手続きとかそう言うのは厳しいししっかりしてる。
「それに、いつかはお前に丸投げする日だってあるかもしれないんだからな?連れてこられてるってのはそういう事」
「うへぇ、勘弁してくださいよ……」
一緒に連れてきたこの男はアークレイン艦隊のスタッフの1人で主にスケジュール管理をメインに担当してくれている人材だ。スケジュール管理と言ったら簡単に聞こえるが艦隊運行に関わる事全般の管理とも言えるので魔力燃料管理や整備の管理もやってくれているのでこの男がいるお陰で次元航行途中で燃料切れや整備日と遠征日を被らずスムーズにそして無駄なく活動出来ている。
とにかくなくてはならない存在だ。ちなみに歳は荒瀬慎司としての年齢より2つ上の21歳、管理局でもまだ若手と言える。立場上上司なので俺には敬語だし俺もこの男を部下として接している。まあ、ちゃんと締める所は締めているのだ。そういうの大事なのよ。
そういう感じで2人なんで軽口を叩きながら歩いていると。
「おい、あれ………」
「え?……あ」
「よくあんな堂々としてられるよね」
「親の七光のクセに」
聞こえてくるわヒソヒソ話してるのにハッキリと。まぁこれも慣れたもので、言いたい奴に言わせておけばいい。成果を上げて黙らせて見返せばいいのだから。
「っ………!」
「よせ」
と、さっきまで軽口を叩いていたのにいつの間にか怒りで拳を握りながらヒソヒソ話す奴らの元へ駆け出そうとする部下を止める。
「今ここで何か騒動でも起こしたら余計拗れて動けなくなるだけだ。落ち着け、な?」
と、俺の言葉に少し冷静になったようで小さい声ではいっと返事をして頷くが悔しそうに拳は握られたままだった。
「気持ちは嬉しいよ、ありがとう。けど今は我慢の時だ……な?」
「はい……流石艦長ですね。自分をちゃんと律してて」
「はっはっは、褒めても何も出ないぞ」
「なぁ、一緒にいる奴って確かさ……」
「ああ例のサボり魔だろ?しかも無能って噂の」
プツン
「貴様らあああああああ!!俺の部下をなんて言ったこらああああああ!!!」
「ちょっ!自分を律する話どうなったんですか!?」
「うるせぇ!部下を馬鹿にされて黙ってる上司があるかコラァ!!表出ろこの野郎!耳の穴に深めに綿棒刺すぞコノヤロウ!!」
「艦長!大騒ぎ!大騒ぎになってますからーー!?」
大騒ぎにはなったが一応聞こえるように陰口を叩いたあいつらが発端なので俺はお咎めなしでしたとさ。
「うめぇ……地球の牛丼とも引けを取らぬうまさだ……」
本局で一悶着起こして迷惑かけたお詫びに俺奢りで部下にランチを振る舞う事に。本人に何を食いたいか聞いたらここへ連れてこられたのだ。あ、紅生姜追加しよ。
「艦長、ちゃんと反省してます?今頃また悪い噂になってますよ多分」
呆れながら牛丼を食べる部下を横目に自分の分の牛丼を素早く平らげて俺はご馳走様と手を合わせる。
「言いたい奴らにはいくらでも言わせておけばいい。俺達の目的はアイツらを見返す事じゃないからな、それに俺達が見据える敵はまた別にいる。構ってる暇なんかないだろ?」
「それなら尚の事部下の悪口だって受け流さなきゃダメですよ艦長。艦長の目的を果たす為なら尚更」
「それは……まぁ我慢できなくてついな……善処するよ」
そう言い放つが部下は、こいつまたやるなって顔をしてる。気まずくてつい目を逸らすがまぁ許せ。
「艦長、自分は何を言われても平気です。艦長が艦長自身の事を言われても平気なように。それは自分の事を理解してくれている艦長や艦隊の皆さんがいてくれるからです、だから自分も次からは我慢します。だから艦長も我慢ですよ?」
部下の説教に俺はまた目を逸らして善処すると答える。感情の昂りは抑えられんのよ精神年齢低いから。と、部下も牛丼を食い終わったので2人で店を出てここからは別行動だ。俺は六課に、部下は艦隊に戻らないといけない。
「なぁ」
軽く挨拶をして背を向けて歩き出した部下をつい呼び止める。
「お前の言った通り俺達はちゃんと知ってるから、お前がサボり魔じゃない事も無能じゃない事も。当時お前の優秀さを妬んだ同僚や上司からお前を陥れる為の根の葉もない虚言だった事も。………必ず目的を達成させて俺がお前の奉仕に報いる、お前のその悪評を覆して皆んなを見返させるからな!」
そう、言いたくなって言ってしまった。アイツは平気だと口にしたがそれでも人間と言うのは自分の悪口を100%気にしなていられるほど器用じゃない。少なからず琴線に触れたりはしている。だから、俺はついそう言葉を紡いでいた。
「そんな事必要ないですよ」
しかし、部下は俺の言をあっさりとそう返す。
「自分は……自分達は艦長に…慎司さんについて行きたいって思ったからここにいるんですよ。それだけで十分です」
そう言い残し背中を向けたまま艦隊に戻って行った。ああ、その信頼には絶対に応えてみせるさ。俺達は……絶対に成し遂げる。
……………………………。
「さてと………」
六課に戻る前に聖王教会に寄る。カリムに用があるのだ、通信で済ませても良かったがまぁ直接会ったほうが色々と擦り合わせしやすいからな。入り口の警備の人に会釈すればニコッと笑顔をくれて扉を開けてくれる。
俺が中学時代にちょくちょくバイトで顔出してた時にもいた教会騎士の人だ。すっかり顔馴染みである。教会本部でカリムがいつも執務をしている部屋へ向かう道中シスターシャッハとすれ違う。
「よぉ、もうウサ耳はつけてくれないのかい?」
前に一勝負して罰ゲームさせた事を思い出させて揶揄うと露骨に嫌そうな顔をした。
「はぁ……慎司提督、今日はなんの用事で?」
クソデカ溜め息とは生意気な。
「ちょっとカリムに用事、まずかったかな?」
「いえ、今は特に立て込んでいないので問題ないですよ。ただ来るならなるべく事前に連絡をして下さい」
「へいへい、それは悪かったわ」
「全く………カリムなら執務室に。後で飲み物持って行きますので待っててください」
「おう、お構いなく」
相変わらず真面目だ事。まぁ美徳な点か、それはそれとして今度の罰ゲームは露出多めのメイド服を着させると心に誓ったのであった。
……………………。
「よお、邪魔するぜカリム」
「あら、慎司じゃない。よく来たわね」
ノックをしてからそう声をかけると執務中だったカリム少し驚きつつも手招きして俺を呼び寄せる。もう何度触ったかもわからない来客用のソファに腰掛けて一息ついてから
「急に来て悪かったな?ちょっと色々話す事があってな」
「大丈夫よ、この後予定があるけど今なら。だけど次からはなるべく事前に連絡を入れて頂戴。慎司の為に外せる予定も外せなくなっちゃうから」
「ああ、シャッハにもさっき言われたよ。気をつける」
と、内心本気で反省しつつ俺は封をされた書類をいくつかカリムに手渡す。
「これは?」
「一つはいつもの遠征の報告書、それは特に目立った報告はない。残りは前にカリムに相談した例の件での必要な魔力量の演算結果とその貯蓄と収集方法をまとめた書類。それをカリムに確認してもらってから意見が欲しいんだ」
俺の言を受け取ったカリムは慣れた手つきで書類を開いて目を通し始めた。しばらくカリムが紙を擦る音を聞きながら静かに待つ。そう時間をかけずに書類をまとめてから丁寧に置いてわざとらしく溜息をつく。
「貴方……本気でこれをやる気なの?」
「ああ、比喩なしで死ぬほど考えて考えて出した結論だ。全貌が見えない脅威に対抗する手段はこれしかない」
「だから貴方はアークレインで…………理論上は可能でしょうけど現実的じゃないわ」
「だがこれくらいやってのけなきゃ………皆んなが……」
続く言葉は自然と小さくなりカリムに聞こえたか怪しいくらいだった。だが俺の一言で明らかに部屋の中の雰囲気が変わる。カリムの目は少しだが鋭くなったり俺もヘラヘラとした表情を止める。
「………慎司、友人として貴方のそういう所はとても好感を持てるし尊敬できるわ。だけど……」
「俺が『アレ』に囚われすぎてるって思うか?」
「そうは思わないわ、内容が内容だから………だけどそこまで自分を犠牲にしてはいけない」
「俺は犠牲とは思わない。死ぬわけでも寿命を捧げてるわけでもない」
「……………それでも貴方がしている事は貴方をずっと苦しめてるじゃない……」
カリムは自分なら事じゃないのに苦しいような声と表情でそう言った。カリムは優しい、優しい友人なんだ。多分いらぬ理由で自分を責め続けてる。あの時からずっと。
「思ってはいけないと理解していても慎司を見てると時々考えてしまう………あの時貴方に…っ!」
「俺は感謝してる、だから今の俺がある。そして、皆んなを助けれる機会をくれた……そう思わないでほしい」
カリムの言葉を途中で遮り俺の偽りない本心を伝える。俺とカリムのこのような問答も一回二回じゃない、何度も繰り返し行われてる。それはつまりカリムもずっと自分を責め続けてるという事だ。………カリムにこれ以上そう思わせない為にも俺は絶対に失敗してはならないんだ。
「……とにかく、書類は確かに渡した。通信でもなんでもいいから改善点があれば連絡頼む」
カリムに背中を向けて執務室の扉に向かう。今日はここで別れた方がいいだろう、喧嘩をした訳じゃないが友人同士でも仕切り直しというのは必要だ。
「待って」
扉に手を掛けた所でカリムに呼び止められる。首だけカリムに向けるとカリム真剣な表情で言葉を紡ぐ。
「どうして……そこまで出来るの?いくらなんでもそこまでやれるのはきっと慎司くらいよ……どうして?」
投げかけられた問いに俺はふとカリムと友達になってからかれこれ5年ほど経つのかと頭に浮かぶ。多分カリムにも何度か言ったことあるであろう言葉を俺は伝える。分かるしてしまった雰囲気をぶち壊すようにとびっきりの笑顔を向けて。
「………後悔しない為だ……2度とな」
俺はまたなっと最後に付け足してから執務室を出る。そのまま教会の出口へ向かう道中お茶請けを用意して持っていく途中だったシャッハと遭遇した。
「おや、慎司さん…もう帰ってしまわれるのです?」
「ああ、用意してくれてたのに悪いな。勿体無いからそれだけでも貰うわ」
といい香りのした紅茶を受け取りその場で飲み干した。………火傷した。
………………………………。
聖王教会を後にして真っ直ぐ六課に向かい訓練所へ顔を出すが既に間抜けの空であった。訓練自体は既に終了したようでとりあえず六課の本部に向かうと出入り口でいつもの制服姿のなのはちゃんとマックスに私服姿のティアナちゃんとスバルちゃんがヴァイスのバイクを側において言葉を交わしていた。
「あ、慎司君おかえりなさい」
「兄貴ぃ!おかえりなさいです!!」
こちらに気づいたなのはちゃんとマックスの言葉に俺もただいまと返す。それに釣られて気づいた残り2人も
「「おかえりなさい」」
と、言ってくれたので同じようにただいまと返す。
「私服姿なんて珍しいな、どっかいくのか?」
「はい!お休みなのでティアと街へ遊びに」
「ヴァイス陸曹からバイクもお借りして」
休み?と疑問の顔を向けてなのはちゃんに説明を求めた。なのはちゃん曰く早朝訓練はいつも通り模擬戦やらのメニューを、マックスだけはこれまたいつものようにマックス用の別メニューをやったらしく本来なら午前訓練、午後訓練といつものようにみっちり訓練を行うのだが次の訓練は明日でそれまでお休みを取らせる事にしたらしい。
実は今日はFW陣達の第二段階の見極めテストだったらしくそれに見事合格したエリオ、キャロを含めた4人の労いでもあるし部隊発足からずっと訓練漬けだった事を加味しての事らしい。
「そうか………」
この辺で遊びに街に繰り出すとなると……まぁ件の所だろうな………よし。
「そういう事ならマックス、お前も今日は休みでいいぞ。お前も毎回じゃないにしても訓練と毎日のアークレインの業務と特別支援隊として休まず頑張ってくれたしな」
「え?でも兄貴……それは」
「いいから休め、せっかくだ……2人が良ければマックスを一緒に連れててやってくれよ。そういう街のこととかはこいつは疎いからな。案内がてら一緒に遊んでやってくれないか?こいつの分のバイクは俺のを貸すし運転も問題ないからよ」
そうティアナちゃんとスバルちゃんに投げかけると2人は見るからに笑顔になる。
「はい!勿論です。マックス、一緒に行こうよ!」
「まだ、この間のお礼も出来てないし。マックスがいいならあんたも一緒に行くわよ」
2人の言葉にマックスは嬉しそうに一度俺を見る、俺は頷いて構わないよと意を示す。
「はい!ご一緒させて下さい!」
破顔するマックスに釣られ俺も笑顔を浮かべるのであった。
………………………………。
バイクで街に繰り出した3人をなのはちゃんと見送る。……例のティアナちゃんの件からマックスとティアナちゃんとスバルちゃん、だけでなくエリオとキャロ達の絆を深めたのであろう事は外から見ても一目瞭然なほどだ。
あの時、俺と別れた後マックスがティアナちゃん達と何を話したのかは聞いてないがきっと互いを信頼できる結果に繋がった事だけはよく分かる。あのまま仲良くしてくれたらマックスを拾って仲間にした俺も嬉しい。
「あ、ライトニング隊も2人でお出かけ?」
と、なのはちゃんの声に釣られて後ろに振り返ると同じく私服姿のエリオとおめかしして普段よりも可愛い姿のキャロとその後ろから保護者感出すファイトちゃんが。いや、保護者か失敬失敬。
「あ、慎兄!おかえりなさい」
「慎司さんおかえりなさい」
「おう、ただいま」
俺に気づいた2人がそう笑顔を浮かべてくれるので癒されつつ俺も挨拶を返す。後ろのフェイトちゃんには軽く目配せと手を挙げて済ませる。フェイトちゃんも微笑を浮かべて手を挙げて返してくれる。
「なんだキャロ、めちゃくちゃ服似合ってるじゃんか。いつもより可愛いぞ?」
「えへへ、ありがとうございます」
と、照れた様子のキャロにホワホワした気持ちになりつつチラッとエリオの様子を見ると照れた様子のキャロに見惚れたのか顔を赤くしていた。キャロの頭を撫でてから今度はエリオに近づき肘で軽く小突いてから耳元で小さく
「ちゃんとエスコートしてキャロと楽しむんだエリオ?」
とちょっと揶揄うように言うとエリオは真面目に「はいっ」と答える。そうじゃないよそこは「やめてよ慎兄」くらい言って照れてくれよ。真面目なエリオらしくてそれも好感持てるからいいけど。
「2人も街に繰り出すのか、どんな感じの予定なんだ?」
ふと、この年頃のお出かけってどんな感じだったけかと気になる。勿論自分もそんな時期はあったが今回は地球ではなくミッドチルダだしな、また違うかもしれない。まぁ商業施設なんかは地球とかと殆ど一緒だけど。
「シャーリーさんが予定を立ててくれたんです。こんな感じで」
と、エリオが自身のデバイスにホログラムでシャーリーが作ったと言うスケジュールを表示させる。
「えっと何々………移動して……ウィンドウショッピングに………話しながら散歩に……夜は景色の良いオシャレな店ってなんだこりゃ?」
シャーリーの奴……自分の願望を想像して渡したんじゃあるまいな?流石に10歳のエリオとキャロにこのプランはキツいって。これ男が意中の女の子をデートで好感度を上げる為に本気で考えるようなプランだぞ。
俺まともにデートなんかした事ないから知らんけど。
「あ、あはは……」
後ろからさりげなくプランを覗き見たフェイトちゃんも苦い顔をしていた。まぁ、楽しめない事は無いだろうけどせっかく出掛けるのだ。10歳の男女がそれ相応に楽しめるプランにちょびっと修正しよう。
「えっと………この道中に確かゲーセンがあって……んでこの建物に確か今日はイベントが…………ご飯の候補もいくつかピックアップしてと……よしっ」
シャーリーのプランを見ながら自分のデバイスで加筆したデータを作ってからエリオに送信した。せっかくシャーリーも……多分善意で組んだプランの筈なので基本的な部分は変えずに立ち寄る施設に2人向けで楽しめるものを羅列したりしただげだが。
ゲーセンなんかキャロが喜ぶだろうよ、バイオハザード好きならそれとまた違う感覚のゾンビガンアクションとかよくあるし。
「何すればいいか分からなかったらそれ見て参考にしな……2人ともちゃんと楽しんでこいよ」
気分は兄気分で2人の頭を撫でながらそう言う。
「わあ……ありがとう慎兄!」
「慎司さんありがとうございます!」
曇りのない笑顔に俺もおうっと笑顔で返す。最後に心配性のフェイトちゃんが2人に夜の街は危険だからあまり遅くならないようにと優しく諭して3人でエリオとキャロを見送った。2人が見えなくなった所で少し心配そうな顔をするフェイトちゃんに思わず口を開く。
「何だか以前にも増して過保護になったな?フェイトちゃん」
「え?そ、そうかな……?」
「ああ、その様子だと立派に魔導師やって給料貰ってるエリオに足りないと困るからってお小遣いあげようとでもしたんじゃねぇの?」
と、流石にそこまでじゃないかと思いつつ揶揄うつもりで冗談を言うが俺の言葉にフェイトちゃんはドキッとしたように反応して目を逸らす。お前マジかよ。
「おいおいフェイトちゃん、大切にするのはいい事だけど過干渉はお前あれだぞ?……ダメだぞ?」
上手く言葉にできずに変な感じで言ってしまうが本当に気をつけなよ?忘れもしない山宮太郎の中学時代……母さん………エロ本は、そっと見なかった事にしてください。散らかした訳じゃないんです、隠してたんです………だから綺麗に本棚にしまうのはやめてください。
コン○ームもそうです。使った訳ではありません、優也とふざけて買っただけなんです。だからまだ早いとメモ付きで机の上に置くのはやめてください。まぁ、これらは過干渉じゃないんだろうけど。なんかついでに思い出して勝手にダメージを受けてしまった。
「過干渉なんてそんな事……ないよ?」
「目を合わせろ目を」
エリオの反抗期が多分重めになるぞ。まぁ、アイツはフェイトちゃんが預かった当初は文字通りバチバチの反抗期を迎えて今のように落ち着きを取り戻した経緯があるけど。
「そう言う慎司君はどうなのかな?もしも子供……じゃなくてもフェイトちゃんみたいに当時のエリオやキャロくらいの子供をお世話するようになったらさ」
俺とフェイトちゃんのやり取りを微笑ましそうにしながらずっと眺めていたなのはちゃんが唐突にそう口にする。
ふむ………前世でも結婚は愚か恋人も柔道みたいなもんで女性とお付き合いする事もなかったから勿論子供もいなかったし、一人っ子だから下の弟妹もいなかったからあくまで想像だけど……。
「その子の為に厳しく面倒見るだろうさ、俺は絶対そのタイプだよ」
「え〜?ホントかなぁ」
「慎司は甘やかしなお父さんになりそうだけど」
「フェイトちゃんには言われたくないんだよなぁ………」
中々手厳しいようで。だってその子の為何だから優しく接するのも必要だろうけど厳しさも必要だろうに。まぁ前世の俺の父さんが昔気質の人だったから厳しく育てられたらから………そんな過程があって今の俺がある事を考えるとそっちよりに考えが浮かぶ。まぁ、正直正解なんてないんだけどさ。
「うーん、私はフェイトちゃんに言った通り親バカで甘々な慎司君しか想像できないなぁ……」
「ないない!俺はそんな感じにはならないよ」
何て一幕があったりもした。
………………………………。
とりあえず休みを満喫する奴らを見送ったし俺達は一旦六課の本部に戻る。施設の渡り廊下に差し掛かった辺りでなのはちゃんが思い出したかのように
「慎司君はこれからどうするの?私達は今日六課で待機してるんだけど」
と、投げかけられる。ふむ……待機といっても有事の際には出動だろうから好き勝手する訳でもなく事務作業でもするのだろう。俺はどうしようか、事務作業も溜まってるがそれよりもだ………。
「よお、帰ってたのか慎司」
質問の答えを返そうとした所で向かいからヴィータちゃんとシグナムが。
「おう、ちょうどさっき戻ってきた所だ。シグナムもお疲れさん」
「ああ、慎司もな」
「2人は外回りですか?」
フェイトちゃんの問いに2人は頷く。シグナム曰く聖王教会と108部隊……スバルちゃんの親父さんのゲンヤ・ナカジマ三佐の部隊だな。ナカジマ三佐が俺達機動六課の為に合同調査本部を作ってくれるらしく、それについての打ち合わせだそう。
ヴィータちゃんは向こうの部隊の戦技指導を頼まれたらしくそっちがメインだそう。
「教官資格なんて取るもんじゃねぇな」
そうぼやくヴィータちゃんに苦笑で返すしか無かった。それにしても……それならちょうどいい。
「それなら俺も2人についてこうかな。ゲンヤ・ナカジマ三佐に用があるんだ」
そう口を開くとそうなの?と疑問を返すなのはちゃん。先程の質問の答えを返すついでに俺は頭を指でぽりぽりとかきながら答える。
「ああ、近い内会うつもりだったし今日みたいに六課が稼働してない今のうちに行くのがベストだからな……シグナム、その打ち合わせはまだ先だよな?」
「ああ、あんまり長くならなければお前の用を優先して大丈夫だろう。私から連絡しておく」
「おう、さんきゅ」
さて、と。久しぶりに真剣なお話というか営業というか……説得というか……だな。踏ん張るか。俺はそのままなのはちゃん達と別れ、シグナム達と共に来た道を戻る形で六課を出てナカジマ三佐の元へ向かうのだった。
「ねぇ、フェイトちゃん……」
「どうしたの?」
「…………ううん、なんでもない」
「……慎司の事、心配?」
「うん、ずっとずっと……私達には分からない何かの為に走り続けてるから」
「……今は、信じるしかないよ。いつか絶対私達に力を求めて来てくれる……それまで」
「そうだね………うん、私も信じてその日が来るのを待ってる」
……………………………。
「よお、前に親父さんと一緒に顔合わせした以来か。元気だったか?荒瀬慎司提督?」
急な来訪にもゲンヤ・ナカジマ三佐は懐の広さを感じるように文句一つなく応対してくれた。最後の提督呼びは少々揶揄いも含まれてはいそうだが。
「ええ、ナカジマ三佐もお変わりなく。急に来たのに人払までしてくれて感謝してます」
合同調査本部の打ち合わせの前に折りいってお話があると伝えるとナカジマ三佐以外には聞かれたくないと察してくれたのかさりげなく人払いと盗聴などが対策された応接室に案内してくれた。
「まぁ、打ち合わせまでまだ時間はある。座りな」
失礼しますと一言告げてからソファに腰掛ける。さて、どう切り出していこうか……。
「お前んとこの艦隊、随分噂になってるじゃないか」
「良い意味でですか?それとも悪い意味で?」
「どっちもだ、お前自身も分かってるだろ」
そうハッキリ言われては苦笑するしかなくなる。
「未踏次元世界特別調査専用艦隊『アークレイン』……前例のないペースで存在すら知られてなかった次元世界を観測、発見。それだけではなくその次元世界の探索を行い管理局がその次元世界においてどう対処するか判断材料として提供。アークレイン艦隊のおかげで既におおよそ10の次元世界は発見されたと」
発足して3年しか経たない次元艦隊が上げていい成果じゃねぇだろ……と最後に言われ返答に困る。
「だが、そんな実績を上げながらも本局内では評判が悪い。理由は……言わなくても分かるだろうがお前さんが入隊してから一年ほどしか経たずに提督になった事、お前さんが集めた艦隊メンバー一人一人が何かしら元の部隊と軋轢があり追い出されたもの達ばかりだ。真実は不明だがそれらの話が蔓延してお前に対して悪い噂を起こさせちまってる」
そうだな、それのせいで今朝も部下に嫌な思いをさせちまってる。だが俺の目的の為にもそいつらにはどんどん俺を嫌いになってもらう。目立つのは避けたいがこればかりは仕方ないだろう。俺の方も嫌われるような事をしている自覚もあるし。
「俺もバカじゃねぇし人を見る目はある方だと思ってる。最初に会った時からお前さんは噂通りの奴じゃないと思った。きっと何か大きな物を背負って必死になってる、なりふり構わず行動してるんだろう事はな」
「何故……今そのような事を仰るんです?」
こちらから切り出そうにもナカジマ三佐の俺への言葉は止まらない。辛抱できずそう聞いてしまう。
「まぁ聞け、お前さんが今日俺に会いに来た目的も大体は察しはついてる……俺の協力……いや、俺の部隊の協力がいるんだろう?お前さんの目的の為に」
心臓がどきりと跳ね、俺はたまらず勢いよく立ち上がってしまう。そんな俺の様子にナカジマ三佐は眉一つ動かさず言葉を続ける。
「おっと、勘違いするなよ?俺はその中身までは知らない」
「………失礼しました」
一度深呼吸をして頭を下げてから再びソファに腰掛ける。落ち着け、このような事だけで動揺していてはこの先やっていけないぞ。落ち着け。
「協力するかどうかはお前さんの話を聞いてから判断する。話せない事は話さなくてもいいが……俺を納得させるだけの事はしてくれ。でないと協力するのはなしだ………荒瀬慎司、お前の目的……何を目指して今走り続けてる?どうしてそこまで病的に覚悟を決めてる?」
「俺は………」
何が目的で何を目指してるかだって?そんなの……そんなの……決まってるだろ。全てを捧げてまでやり遂げたい事なんて一つだ。カリムにも言われた、自分を犠牲にし過ぎてると。そうは思ってないけど仮にそうだとしたら……きっと誰もが納得する理由。
「俺の大切な人達を……そしてその人達が大切に思うこの世界を……」
心臓の鼓動が激しい、口にするだけでそれはあの時のショックの記憶を呼び覚ます。それでも……逃げてはならない……覚悟を決めて現実と向き合った自分を裏切らない為に……後悔しないために………山宮太郎の為にも……っ!
「………俺の愛すべき故郷を………どんな困難や絶望が襲い掛かろうとも……絶対に護る為です」
俺のその言葉に、俺のその声に、俺のその眼にようやく今まで眉一つ動かさなかったナカジマ三佐がようやく僅かに目尻に反応を示した。
「…………話せる範囲で詳しく聞かせろ」
2人は合同調査本部の打ち合わせが始まるギリギリまで話し込んだ。結論としては荒瀬慎司は108部隊にとある協力を要請しそれを約束させる事になったのだった。
あ、昨日csmムーンドライバー届きました。マジかっけえぞあれ