話進まねぇ……とかそう言うのあんまり深く考えないようにしました。商業誌じゃあるまい完璧に書こうと思わなくていいと急に開き直る俺。
そもそもそんな技術ねぇと思い直す俺。
いつも閲覧感謝です。
「どうしたソフィ?」
ナカジマ三佐との会談を終え、別れた所でソフィから通信が入る。通信端末を起動させホログラムモニターにソフィの姿を映し出す。ソフィは今日は確かアークレインの方に顔を出してもらってる筈だが……。
『お忙しい所失礼しますご主人様、少々報告がありまして』
「ん?どうした?」
『実は……』
と、ソフィから聞かされた話は要約するとだ。ソフィは実は今アークレイン艦の方ではなく艦内の物品補充の為街まで買い出しに行ってくれているらしい。こう言う細かい所を気づく前にソフィはしてくれるのだ。
そしてその買い出しの場所が今頃楽しく休日を謳歌してるであろうFW4人とマックスが出かけている街と一緒だと言う。まぁ街といってもかなり広い場所だからバッタリ会うなんて事もなかったらしいがそれよりも珍しいものに遭遇したらしい。
『トラックの横転事故ぉ?』
お?なんやトラウマか?前世の俺のトラウマを引きださせようとでもいうんか?俺の場合は普通に赤い車だったけど。こうやって過敏になるくらいはトラウマよ?
『その事故が一体どうしたってんだ?』
ソフィの事だ、わざわざこうやって通信をかけるという事はただの横転事故じゃないだろう。
『たまたま通りがかったので私も一応現場検証に参加をいたしました、その時妙な物を発見したので』
まぁ、ソフィは一応管理局所属の次元艦隊のメンバーだからな。こういう時身分証と名乗りをあげればこういうトラブルの手伝いをするのも局員1人としては珍しくない。ソフィから送られてきた画像データを見る………これは
「ガジェットの残骸と……生体ポッドの残骸か?」
『おっしゃる通りです、この事故の現場検証の応援に来た魔導師の方に詳しい話を聞いてくださいませ。今変わります』
ソフィがそう言うとホログラムモニターがまた一つ展開されまた別の顔が映し出される。見覚えがある……この子は確か……。
『陸士108部隊、ギンガ・ナカジマ陸曹です。お初にお目に掛かります、荒瀬慎司提督』
と敬礼と共にキリッとし表情で自己紹介をされる。そうだ、スバルちゃんのお姉さんだ。六課のメンバーの資料を見た時にその名前と108部隊に父さんとナカジマ三佐に挨拶に伺った時に見かけたのを思い出す。
「そうか、君がスバルちゃんのお姉さんのギンガちゃんか………よろしくな」
『ちゃん……?……あ、いえ……はい、よろしくお願いします』
「ソフィ……ソフィアが迷惑かけなかったか?」
『いえ!特には………最初に音も気配も感じずに後ろから声をかけらた時に驚いたくらいで……』
『……実は忍者の家系でして』
「無表情で変な冗談言うな」
ギンガちゃんが困ったような苦笑いを浮かべてしまったので咳払いをして場を仕切り直しつつと。
「それで?詳しい話を聞かせてくれ」
『はい、まず事故の状況ですが……』
ギンガちゃんの説明を聞くに横転したトラックはおそらく何かに襲われて積荷が爆発したらしくそれで事故を起こしたと見られる事。ガジェットの残骸を見るに襲ったのはこのガジェットか、トラックの横転に巻き込まれたか……あるいはまた別の理由か……。
「トラックの積荷の中には何が?」
『缶詰や飲料水等の日用品です、爆発するような物はありませんでした……しかし……』
「ああ、言いたい事は分かる」
ガジェットはジェイル・スカリエッティによって作られ散々俺達の道を阻んでる敵だが……そもそもはジェイルが狙っているレリック反応を検知し回収するようプログラムされてる事は判明している。
つまりトラックを襲ったのがこのガジェットならばこのトラックには秘密裏にレリックが運ばれていたかたまたま紛れ込んだか……ここにないと言う事は既に持ち出された可能性がある。狙ったガジェットは残骸として発見された、それでは誰が?運転手は今も襲われたショックで混乱状態らしく局員に介抱されてるから残るは………
「その生体ポッドの中に入っていた何ものかが持っているか………」
生体ポッドといえば否応にもジュエルシード事件を思い出す。悲劇によって狂ったプレシア・テスタロッサが起こした悲しい事件。クローン技術のプロジェクトFによって生み出されたフェイトちゃん……そして生体ポッドに安置されたアリシア・テスタロッサの遺体……嫌な事を思い出した。そして映像に映し出されたあの生体ポッドは………。
『ガジェットが絡んでる時点でレリック案件の可能性がありましたので、丁度現在六課出向中のソフィアさんが現場検証に協力してくれたので荒瀬提督にご連絡した次第です』
「なるほどな、ありがとうギンガちゃん。とりあえずこの事を今すぐにはやてちゃんに伝え」
る為にこのままはやてちゃんに同時通信しようとしたタイミングだった。
『こちらライトニング4!緊急事態につき現場状況報告します!』
キャロから六課メンバーを対象とした全体通信が入ったのだった。
……………………………。
「当たりを引いたのか?ジェイル」
とある場所、ジェイル・スカリエッティのアジトにて白髪…ではなく元の髪色が脱色し生気の感じない白色の髪が特徴の青年でスカリエッティの協力者であるハーヴェイはそう声をかける。
「やあ、君かハーヴェイ。ここの所研究室に篭りきりだった君がここに来るとは珍しい……」
「質問に答えてもらおう」
「まだ確定とは言えないが……おそらく君の言う当たりだろうね。今ウーノに私の娘達の中から適任者を選んで向かわせる。後、ルーテシアにもね」
「ふむ、そうか……なら私も例のガジェットの調整が終わった……それも投入しよう。ようやくまともなデータが取れそうだ」
と言うとハーヴェイは端末を操作し二種類のガジェットを何機か出撃させた。
「あれは……例の狙撃特化と……もう一機は新型かい?」
「ああ、調整は既に済んでいたのだがね……披露する機会が無かったのさ」
「確かにね」
ハーヴェイの言葉にジェイルは納得するよう頷いた。ガジェットの戦闘データのついでに機動六課の魔導師の戦闘データを集める為、先日偵察ガジェットで挑発をし誘き寄せたところで新型ガジェットを投入するつもりだったが誘われたのは機動六課ではなく別の隊の魔導師だった。向こうのデータも取れずに逆にこちらのデータを開示するのは合理的ではないと判断し投入は見送ったのだ。、
「ガジェットを放てば私達を追っている機動六課が出撃すると踏んだのだがね……あれは私も予想外だった」
「その事だが、詳しい事は分からないがどうやら機動六課で内輪揉めがあったらしい。それの解決のために代理で出撃したのがあの部隊だったと言う訳だ」
「なるほど………そんな情報どこで手に入れたのかね?」
ジェイルは納得しかける前にハーヴェイがそんな細やかな情報をどこで入手したのか気になった。情報収集をするにしてもあまりに重要でもなさそうな情報まで手に入れていると言う事はそれではまるで………
「まだ言ってなかったが機動六課にこちら側に寝返らせスパイをさせている者がいる」
「ほう?」
予想外の答えにジェイルは感心したように声を上げる。方法自体は単純な者だがハーヴェイという男がそのような行動をした事に感心したという部分からでた声だった。
「君がそのような事をするのは珍しい……新型ガジェットの開発と例のレアスキルによる規格外の量産しか着手してなかったというのに」
「機動六課に一応警戒をしている奴がいる、そいつに近しい奴が私と面識があってね………因縁と言うべきか。その縁でそいつを従わせる方法を知っていたのでね。使わない手はあるまい、しかし手を組んだのは最近だがね」
「なるほど、その警戒している者というのは?」
「コイツだよ」
と、ハーヴェイは投げやりに端末からホログラム画像を映し出させジェイルに見せる。
「彼か……荒瀬慎司、確かに警戒するに越した事はないがね…」
「知っているのか?」
「ああ、表向きでは権力ある両親にあやかり提督にまで登り詰めた厄介者。そしてこれは管理局の一部の者しか知られていないが過去に2度、大規模な事件を間接的に解決に導いた功労者だ。とは言っても魔導師としての彼自体に特別な力はなくむしろ一般の管理局員よりも弱者だがね」
私の知っているのはこれくらいだと言うように言葉を止めるジェイル。暗にこの程度の存在に何を警戒しているのかと問うている部分もあった。その意を汲んだハーヴェイは視線はジェイルに合わせず端末でガジェットのデータを見ながら
「確かに魔力は無く脅威とは言い難い。しかし悉く私の実験の妨害をされてるのは事実でね」
ハーヴェイが言う妨害とは先日のアークレイン前線部隊の介入により断念した新型ガジェット投入の件だけで無く、機動六課のファーストアラートとなったエイリム山岳地帯での闘いの際に六課の主戦力を載せたヘリを狙撃特化型ガジェットで狙い撃つ予定だったがそれもヘリが入念に魔力防御を張っていた為断念した件もある。
奇しくも両方荒瀬慎司による指示が功を差した訳だが荒瀬慎司本人は念の為の行動を指示しただけであってそこまでハーヴェイにとって腹立たしい結果をもたらしているとは思ってもいなかった。
「そして荒瀬慎司はどうやら機動六課の主力メンバーと古い仲だそうだ。精神的支柱と言っても差し支えはないそうだ」
「ふむ……彼の存在そのものが機動六課に力を与えていると?」
「そこまで大袈裟には考えていないが……全く影響してないと言う事はないだろう」
ハーヴェイの言葉にジェイルは少し目を閉じて思案をしてから
「心配なら早い内に彼を叩くかね?提督という身分とはいえ彼自身に力はない。私の娘達に命じればいつでも」
「いや、いつでも奴は殺せるからこそ今は泳がせておいていいだろう、下手に刺激をして機動六課の連中を精神的に追い込むどころか逆に火をつけられては敵わない」
ジェイルの提案を遮るようにハーヴェイはそう返答する。結局の所警戒はしているがやはり直接的な敵戦力というわけでもない荒瀬慎司は慌てて手を打つ必要もないと判断した。これ以上的確な妨害が続くならまた考えねばならぬが。
「そうかね……まぁ荒瀬慎司についてはハーヴェイ、君に任せよう。そのスパイとやらも上手く使ってくれたまえよ。……実は二重スパイだった……というオチにならぬようにね」
「心配はするな、それも勿論念の為織り込み済みだ。それ相応の縛りもさせている」
それにだ……とニヤリと醜悪な笑みを浮かべてハーヴェイは言葉を続ける。
「協力者は私に逆らう事はないよ……奴自身の望みを叶えられるのは私しかいないからね」
ただそれは揺るがない事を確信するように、事実だけを淡々と述べるようにそう告げるのだった。
…………………………………。
キャロから届いた緊急通信、街で休日を謳歌してる最中にどうやらキャロとエリオのペアはレリックを鎖に繋がれた小さい女の子を発見、保護をしたという事だった。通信の途中で六課用のオープンチャンネルを聴かせるためギンガちゃんとの通信も一時的に今の緊急通信を繋げたのでこの件は既にギンガちゃんとソフィの耳にも届いた。
「聞いたな?その事故のガジェットは恐らく今のレリックを追いかけてたガジェットだ!既に捕捉されてるならすぐに新しい追っ手が来る可能性がある。ギンガちゃんはその情報をすぐに六課に知らせて出来るならレリックとその件の女の子の保護に協力をしてくれ!」
『分かりました!すぐに動きます』
ギンガちゃんは一旦通信を閉じてその場を動く。レリックの封印処理をすれば遠隔からガジェットに捕捉される事はない。既に見つけたキャロがしてくれてると思うが……。ギンガちゃんは移動しつつこのままはやてちゃんに連絡するはずだ。俺はソフィに通信を繋ぎ直す。
「ソフィはキャロが言ってた座標からなるべく民間人を離れさせろ!街の避難誘導マニュアルは分かってるな?」
『問題ありません、私もすぐに行動に移します』
「マックスには俺からまた指示を出してすぐソフィに合流させる、頼んだぞ」
通信を切断して行き着く暇もなくすぐに今度はマックスに通信を繋ぐ。ついでに俺自身も移動を始める、合同調査本部の打ち合わせを終えた頃合いだろうしそろそろあの2人も今頃聖王教会に集まってるはずだ。合流して知恵を借りよう。
『兄貴ぃ!』
ワンコールもせず即通信は繋がり通信にはボリュームが大きすぎる声が耳につんざく。
「やかましい!キャロの通信は聞いてたな?一緒にいたティアナちゃんとスバルちゃんは?」
『2人は既にキャロさんの所に向かったっス!自分は………ついていっても足手纏いになるからとここに残って兄貴の指示を待っていました』
「………そうか、冷静でよろしい。お前は民間人の避難誘導だ、ソフィにも同じ指示をしたから合流して2人で協力して当たってくれ。既にガジェットに捕捉されてる可能性がある……すぐにでも戦場になるかもしれない、急げ!」
『り、了解ッス!』
「それと!」
と、恐らくはすぐにでも走り出そうとしたマックスを呼び止める。急がなくてはならない、時間に猶予はない。それでも、それを踏まえてもマックスにちゃんと言い聞かせるように俺は言葉を紡いだ。
「お前の役割は避難誘導だ、マックス・ボルグハルト。お前は魔導師としてはまだ未熟で闘っても足手纏いにしかならない……分かってるな?感情に流されて本来の役割を損なうなよ?」
『うっす、肝に銘じます』
それを最後に通信を切る。さて、どう出るか……といっても決めるのはアイツだからな。任せるしかない。切り替えていこう、お次はっと……。
足は止めず再び端末で通信を飛ばす。
『慎司君、話は聞いとるな?』
「ああ、特別支援隊としてマックスとソフィには民間人の避難誘導を指示してある。パニックにならないように2人なら上手くやれるだろう。そっちはどう動いた?」
と、指示の重複や食い違いが起こらないよう部隊長のはやてちゃんに通信を繋げた。こういう事はきっちり確認しとかないといけない。
『こっちで救護隊を編成してもう既に現地に向かってもろてる』
「人員と移動手段は?」
『救護担当にシャマル、現地戦力としてなのは隊長とフェイト隊長。ヴァイス君の操縦でヘリで向かってる』
「ヘリか………」
急を要する事態だからやはりヘリの方が手っ取り早いからな……前回のように魔力バリアは……俺が言わなくても街に向かうなら展開してるだろう。それなら、こっちでサポート出来るようにしておこう。
「特別支援隊として応援はマックスとソフィしか出せない。リインフォースは今アークレイン艦隊の遠征中だし俺が現場に行くわけにもいかないからな」
『分かっとる……さっき108部隊のギンガから連絡が来た。事故とガジェットの件はもう聞いとる、慎司君のおかげでスムーズに進んだよ』
「それはなによりだ……状況が動き次第こっちで可能なサポートはするから何かあれば言ってくれ」
『うん、頼りにしてるわ』
はやてちゃんの言葉で通信を終了させて足を止めずに思案する。ヘリで移動ならそのキャロが保護してる件の女の子の救護も早く済むだろう。問題はその子を回収してからの移動だな。狙われるとしたらその時の可能性が高い。敵の狙いはレリックだろうが恐らくは生体ポッドから出てきたであろう女の子も敵が追いかけている可能性はある。
レリックと一緒に居たのなら尚更。俺ならどうするか………狙撃か?ただの狙撃だけならそれでいいが……。
「現場にはFW4人とマックスにソフィ……合流したら六課からの救護隊もいる……敵の戦力は……」
ここまで考えて、いやと頭を振る。
「考えても駄目だ、ガジェット以外の敵の戦力は未だ未知数……備えるだけ備えなきゃ……」
ファーストアラートの時のようにリインフォースを隣の街に待機させるのはさっきも言った通りいないから無理だ。
かといって六課の特別支援隊としてアークレインから正式に出向してるのは俺とソフィ、マックスにリインフォースの4人のみ。アークレインの前線部隊を駆り出すのは出向してるリインフォースと違い近くに待機させるだけで上層部から機動六課とアークレイン艦隊に難癖をつける良い材料を作ってしまう。
ただでさえ過剰戦力で目をつけられてるのだ、出向してるリインフォースが前線に出向いただけで恐らくはかなりの縛りを言い渡される可能性が高いから本気でヤバい時まで待機させてるのに正式に出向してないアイツらを出向かせるのは危険だ。ティアナちゃんの時のような方便も2度も通じない。となると……
懐から普段使っている端末とは別の端末を取り出す。仕事で使ってるのとはまた別にプライベート用で使い分けている端末だ。こちらでかけたほうがアイツらは絶対に即出てくれる。
「よっ、久しぶり………なんだよ、連絡はちょくちょく取り合ってたんだからそんな文句言うなって……。ああ、全部終わったらそっち遊びに行くからさ……うん、頼み事……六課絡みで」
聖王教会に繋がる転移装置の前まで到着し足を止める。念の為辺りを見渡して誰も居ないことを確認する。
「ああ、場所と指示をデータで送る……俺の合図があるまで待機しててくれ……ああ、2人とも頼りにしてるよ」
そう言って通信を切り、俺は転移装置で聖王教会に向かったのだった。
……………………………。
場所はまた戻りジェイル・スカリエッティのアジト。ジェイルの協力者ハーヴェイは話を終えた後、また1人自身の研究室に戻り作業に没頭していた。作業を進めて暫し経ち一呼吸置いた頃、ノックもなく研究室の扉が乱暴に開け放たれた。自分の研究室でそのような所業をするのは1人しか思い浮かばずハーヴェイは表には出さず内心溜息をついて扉に見向きもしなかった。
「ああ……ぁぁ……ハーヴェイ様ぁ……」
「サスティーナ、私は自室で静かに待機しなさいと言ったはずだよ」
サスティーナと呼ばれた女性はトレードマークの尻が隠れるくらいまで伸びた血のような真っ赤な赤髪を振り乱しながら徐々にハーヴェイに迫る。その様子にハーヴェイはまた内心で溜息をついて
「またか」
そう聞こえぬよう呟く。サスティーナがこのように発作のような症状で様子がおかしくなるのも珍しくは無かった。少なくともハーヴェイ自身に危害を加える事が無い為ハーヴェイも多少相手をしてやれば収まる物と軽視している。
「も、も、も、申し訳ありませんハーヴェイ様………でも……でもぉ………あはっ」
体の震えを必死に抑えるように自身を抱いていたサスティーナだったが、突如興奮したように顔を赤く染めて恍惚とした表情で
「あはっ!……あはははは!!ハーヴェイ様ぁ!私は!私は……誰を殺せばいいのですかぁ!?今度はどのように苦しめて、悲鳴を上げさせて殺せば?あなたの邪魔をする存在を引き裂いてやればいいのですかぁ!?」
狂ったように声を上げてハーヴェイに縋り付く。
「前に言ったろうサスティーナ?君の調整はまだ済んでいない、スカリエッティの娘達が終わったら君の番だ。それまでの辛抱だよ」
「きひっ、きひひひひ!ハーヴェイ様ぁ!でも、でもでもでもでもぉ!いますよねぇ?ハーヴェイ様の邪魔をする不届きものがぁ………ハーヴェイ様を…………ハーヴェイ様の……私の愛しきハーヴェイ様の邪魔を邪魔を邪魔を邪魔を邪魔をした者がぁ!!」
「………………」
自身に縋り付くサスティーナの様子にハーヴェイは目を細める。今回の発作はどうやらいつもと違い一筋縄にはいかないと感じたのだ。恐らくは結果的にとはいえ明確にハーヴェイの邪魔をしている存在を認知したからであろう。
「サスティーナ、確かに私は君に何度も助けられてきた。私の障害を、邪魔者を何人も何人も君は殺してきてくれたね。だが今は時ではない、私の全ての技術を注ぎ込んで生まれた私の最高傑作の君がスカリエッティの知識と技術の調整を受ければ今までの比ではないくらいの力を得るだろう……それまでの辛抱だよサスティーナ」
「あはっ……ハーヴェイ様、私を……私を貴方様の最高傑作と?……ああ……ああ……あああああああああああああ!!」
叫ぶ。耳につんざくのその悲鳴じみた喜びの狂声にハーヴェイはつい片目を閉じて反応する。
「やはり……やはりやはりやはりやはりやはり!!!殺さなくては、今すぐ!ハーヴェイ様の邪魔をする全てを!!殺さなくてはっ!殺さなくてはっ!あははははははははっ!!!」
「サスティーナっ」
サスティーナはハーヴェイの制止を聞かずハーヴェイに縋り付くのをやめて狂ったように部屋を出る。
「ちっ、面倒な……有能な殺人鬼を作るためにああいう風に作ったのが裏目に出たか。機動六課にサスティーナの存在はまだ隠しておきたかったが……」
ああなってはハーヴェイの手ではサスティーナは止められない。ハーヴェイ自身に力ずくでサスティーナを止めるほどの能力持っていないからだ。今までその必要もなかったのだが。
「まぁいい……この際戦闘データを取れると考えてしまおうか」
スカリエッティにも連絡を入れておく。本人もサスティーナの調整をする前に性能のチェックと戦闘データが欲しいとぼやいてたから丁度いいだろう、サスティーナなら戦闘で敵にやられると言う心配もいらない。彼女に力で勝てるものなどそうそう居ないのだから。
ハーヴェイは時をかけずそう考えて納得した。そして既に勝手に出撃したであろうサスティーナの興味など消え失せたように再び自身の作業に戻るのだった。
………………………………。
様々な思惑が重なる中、時は止まるはずもなく状況は動き変わっていく。
「いくよ、ガリュー」
スカリエッティのもう1人の協力者である幼き少女とその使い魔は件の街を見下ろし行動を開始する。
「バイタルも問題ないし危険な反応もないわ……この子とケースはこのままヘリで搬送しましょう。なのはちゃん、この子をヘリまで抱いて行ってもらえる?」
「はい、シャマルさん……皆んなはこのまま現場調査をお願い。マックス君とソフィアさんがもう既に民間人を避難誘導してくれてるから」
「「「「はいっ!」」」」
機動六課の新人FW達とエース達も合流。各々の役割を果たすべく動き出す。
「落ち着いて移動してくださいッス!ゆっくり!前の人を押さないように!」
アークレインから出向している熱苦しい男は普段よりも熱苦しい様子で必死に与えられた任務を遂行する。闘えない、闘ってはならない自分を戒めながら。
「大丈夫ですよ、お母様はすぐに見つかります。大丈夫です」
「ソフィさん!迷子の子にはもっと笑顔に出来ないッスか!?声はすごく優しいの顔に表情ないから不気味でまた泣きそうになってるっス!!」
「よーし、よーし大丈夫ですよ、なでなで」
「いやだから……無表情をやめ……え、すごい泣き止んだっス」
メイド服を着た奇妙な女も主人の命を果たす為動く。
ある者は機動六課に合流し力を貸すため、ある者は機動六課に敵対しレリックを奪うため。そしてある者は………
「きゃはははははははははは!!!荒瀬慎司ぃ!!ハーヴェイ様の邪魔をする不届者ぉ!殺してやる、殺してやるぅ……荒瀬慎司っ!それに連なる者全員っ!!コロスコロスコロスコロス!!」
殺戮の衝動に身を任せ、殺意に満ちた狂気の目を宿し叫ぶ。自身の主人であるハーヴェイは望んでおらず、ただ自分の衝動で行動しているだけなのに気づかずに。
レリックをめぐる運命の闘い。これまではいわばプロローグ、本当の闘いは、闘争はここから始まる。
「よぉ、クロノ。この間ぶりだな」
「……来ると思っていたよ、慎司」
「慎司……?」
聖王教会にてクロノと会談中だったカリムは予想外の来訪者に驚く。今朝に会ったばかりだったがその時と違い額に汗を滲ませてあまり余裕を感じさせない切羽詰まった雰囲気だった。荒瀬慎司は真っ直ぐにこちらに近づき無遠慮にクロノの紅茶を一気飲みした。
「ぶはぁ……生き返る…」
「行儀が悪いぞ全く」
「小言なら後で聞く。2人ももうレリックの事は耳に入ってるな?」
藪から棒にそう問う慎司に2人は頷く。慎司は少し余裕を取り戻して来たのか一度大きく息を吐いてから口を開いた。
「俺も動ける範囲で支援してる……けど多分、今回は六課にとっていつもよりも激しい出撃になると思う」
「なぜそう思う?」
クロノの返しに慎司は澱みなく答える。
「レリックと一緒に発見された女の子とやら……写真でその子が入ってた生体ポッドを見た……ありゃクローン用の生体ポッドだ、プロジェクトF関連でも使われてるのと同じ種類だ」
「……生体ポッドを見ただけでそこまで分かるのか。随分詳しいんだな」
「詳しい奴に教えてもらって勉強したんだよ、とびっきりの専門家だ。って、そんな事はどうでもいいんだ、とにかくっ」
話題を固定させて慎司は少々言葉の語気が荒々しくなりつつも
「レリックと一緒に保管されてた生体ポッドの中にいた女の子だ。レリックを追いかけていたジェイルが探してた可能性もある、そうなると……」
「今までのようにガジェットを放つだけじゃなく強力な敵を送り込んでくる可能性が高い……と言いたいわけか」
察したクロノの言葉に頷く慎司。
「それで?そう考えている慎司はどうしようと思ってるの?」
カリムがそう疑問をぶつけると慎司は困ったようなそんな顔をした。
「それなんだけどよ、クロノにも一応今の内に言っておかなきゃいけない事があってな」
言いにくい事がある時にする仕草をする慎司にクロノはなんだか嫌な予感がした。
「……だからよ、呼んじゃったあの2人」
「あの2人?………えっ、まさかお前……」
慎司の言葉に何かを察したクロノは提督となってから得た凛々しい態度が崩れる。
「まぁ、一応クロノには言っとくわ。最終手段としてもう待機してると思う」
と、そう言う慎司にクロノは何年経っても突拍子もない事をして自分を困らせてくる困った親友に文句を言うように盛大にため息をつくのであった。
今更ですが更新再開してから新しく感想を書いてくれた方、評価をしてくれた方、登録してくれた方、なにより閲覧してくださった方なら感謝を。
特にエタッていたのに変わらず感想や閲覧をしてくれて涙が止まらねぇ。作者の燃料になって大変支えられてます。
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