クロノと問答してる内に現場は既に動き出していた。レリックを追ってガジェットが動き出したのだ、観測されたのは街の地下水道、街に向かって様々な方角からの海や空から。
海や空からのガジェットは恐らくヘリのレリックを、地下水道は恐らく少女が移動中に落とした物だろう。地下水道の地上のマンホールで発見されたとの報告だったからそこを移動していたのは既に分かっている。
地下水道にはティアナちゃん達FW4人と途中合流したギンガちゃん。海と空からの敵はなのはちゃんとフェイトちゃんペア、ヘリで一緒に出撃していたちみっこと教導から急遽応援に駆けつけたヴィータちゃんのペアの二手に分かれて迎撃に。現場にたどり着くまで少し時間が掛かりそうだが教会本部に出向いていたシグナムとシャッハも応援に向かっている。
既に現場入りしている面々はそれぞれガジェットの第一陣を難なく撃墜し戦況は上々と言ったところか。
「マックス、ソフィ……既に戦闘が始まってる…本格化する前に避難を完了させて2人も巻き込まれないよう退避してくれ」
2人に通信を繋げる。2人とも一応非戦闘員だ、役目を終えたら避難するのが最善。下手に居座れば前線メンバーの足手纏いにもなりかねないからな。
『かしこまりました、避難誘導は終えたのでこのまま私も退避します』
ソフィは二つ返事でそう言いすぐに戦線に巻き込まれないよう離脱。おそらく避難誘導した民間人の元へ向かってケアをしに行ってるだろう。ソフィはそれくらいは言わなくてもしてくれる。
『兄貴……』
すぐに従ったソフィとは対照的にマックスには躊躇いの表情が見えた。このまま退避など嫌かマックス?そういえばお前はファーストアラートの時もそんな風な顔をして俺の判断を聞いていたっけか。
マックスが六課の仲間達を大切に思っている証拠だと思うとこんな時に感慨深い想いが込み上げる。
「マックス、2度は言わないぞ」
『………了解ッス』
通信を切る。さて、あいつの事だから流石に俺に対して命令違反はしないだろうが……ふむ。とりあえず切り替えよう。
「必要な指示は飛ばしたし戦況が動くまで暇だから歯茎で宝石を磨いてブリッジしようぜクロノ」
「まだ定期的に意味わからん事を突然言い出す発作は健在みたいだな」
「お前の心にブジンソードビクトリーかますぞ」
「頻度を増やせとは言っていない」
前世で見た仮面ライダーギーツは最高だったぞ!今世でも早く放送しないかな!
「全くもう……慎司、今はふざけてる場合じゃないでしょう?」
「そうカリカリすんなってカリムだけに」
「ぶっ飛ばすわよ」
怖えって、普段そんな事絶対言わんだろうに。
「………無理にふざけてるのは皆んなが心配だからかしら?」
と、見透かしたように俺を見てそう言うカリム。いやはや、いやはや……降参と示すように両手を上げる。
「見抜いてるんだったら口に出すなって」
「その心配のせいで私にちょっかい出されても困るじゃない」
それはそうだ、すんませんね。
「まぁ、慎司の言った通り起動六課にははやてが特別支援隊には慎司が既に必要な指示は出している。今は状況を見守ろう、慎司も少し落ち着け……不安なら頭に不足の事態が起きた時の対処でも考えておけ」
「ああ……」
と、一呼吸置いてから椅子に座り直し現場を写したモニターを注視する。クロノはああ言ったが今どころか常に不足な事態を考えて対策してるなんて事は不粋になるから口には出さなかった。
…………………………………。
「おや?」
荒瀬慎司の命を受け戦線から離脱中のソフィアは真反対から前線に向かってゆっくり歩いている2人組の民間人を発見した。取り出そうとしていた普段使いとは違う端末を慌てて戻しながら声をかける。
「失礼、この先は現在管理局から避難勧告が出されています。申し訳ありませんが引き返してもらえないでしょうか?」
近づきながらそう勧告するソフィの顔は相変わらず無表情だが内心少し怪訝な感情を抱いていた。その2人組の風体が少々特殊だった為だ、2人とも同じベージュのトレンチコートに身を包み同じベージュの帽子を被っていた。さらには同一人物と言っても差し支えないくらい背丈も同じ、顔を隠すようにマスクとサングラスを装着。これも2人とも同じ物。
性別は男性のようにも見えるが分からない。しかし怪しさ満点である、一瞬ジェイル陣営が差金た敵かとも思ったがそうじゃないとソフィは雰囲気やらその他諸々の理由で判断できた。
「そうか、それなら大人しく引き返すとしよう」
1人が男性っぽい声でそう言うと片割れは頷いてこちらに目もくれず2人とも来た道を引き返して行った。一応見えなくなるまで監視をして警戒したソフィだったが呆気なく2人は素直に引き返した。
小首を傾げたくなるような気分になりつつもソフィは相変わらず無表情のまま今度こそ自身も戦線から退避していった。
……………………………。
しばらくクロノ達とモニター越しで皆んなの動向を見守る、先程改めてギンガちゃんから全体通信がありいくつか言葉を交わした。結論として保護した女の子はやはり人造魔導師の素材として作られた子供ではないかと推測されるとの事だった。
事故現場に残されていた生体ポッドが人造魔導師計画に使われていた培養器に酷似していた事が1番の裏付けの理由であろう。
「人造魔導師………」
そう呟く。プロジェクトFの一環と言えばいいのか分からないがようは優秀な遺伝子を使って生み出した子供に後天的に投薬やら機械部品を埋め込んだりして強力な魔導師を造り上げる倫理もへったくれもない計画だ。その他予算や現在の技術力の問題もあってよほどイカれてないと手出ししないような計画なんだがなぁ。
「よっぽどイカれちまってたんだよな……きっと」
誰に聞かれる事もなく再び小さく呟く。最愛の娘を失い悲劇を呼んだ魔女の姿が頭に浮かぶ。頭を振って今とは関係ない過去を振り払う。さて……そろそろ奴さんも何か仕掛けてきそうな頃だが……。
「うん?」
しばらくこちらでも見れるように六課管制室と同期した管制モニターを見守っていたが不可解な事が起こった。既に空と海からの第一陣のガジェットをなのはちゃん達がほぼ撃墜してレーダーには少数しか反応が見られなかったのに急に瞬間移動をしてその場に現出したように増大なガジェット反応を感知したのだ。
管制レーダーの誤認……?いや、管制室からの共有無線からは誤認ではなく確かな反応との声が聞こえた。現場のなのはちゃん達も目視で確認した模様。これは…………
「本物が一瞬でこんなに一気に現れるか?……いや、可能性としてゼロじゃないがしかし……」
ぶつぶつと癖になってしまった独り言で思考するが纏まらない。自分が蓄えた知識の外に出るとてんでダメだ。仕方なく現場のモニターに視線を移して状況を見る………なるほど。
突如出現した大量のガジェット部隊に冷静に対応するなのはちゃんとフェイトちゃんペア、ヴィータちゃんとちみっこペアを観察していると普通に撃墜しているガジェットもいれば攻撃がすり抜けて霧のようにモヤが一瞬掛かるだけでピンピンしたままのガジェットがいる。つまりは…………
「幻影と実機の混成編隊のようだな」
俺が口に出す前にクロノがそう代弁してくれる。こんな大掛かりな事までするという事は……なのはちゃん達をこの場に留まらせる為……だろうな。という事は
「ヘリか地下の方に敵の主力が向かってるかもしれませんね」
カリムの言葉にそうだなと頷く。なのはちゃん達というエース達を引き付けて主力で手薄の方を叩く、どちらかと言うと手薄なのはヘリの方か。ヴァイスとシャマルさん、そして保護した少女。がレリックも狙う敵が地下の方も放置するとは思えない。さて…………
「なのはちゃん達なら防衛ラインはまず破られないだろうけど……普通に空戦をしてたら時間がかかりすぎる」
敵の幻影を操っている奴を探して叩くか……いや、こういう絡め手の魔法を使うならまず簡単に見つけられない所に潜んでるだろう。探すのに時間が掛かる。なのはちゃん達も敵の意図に気づいてるだろうしどう動くか……。
と、俺も色々考えていると懐から通信端末が震えるのを感じる。2度のコールと共にそれはすぐに収まる。………2人からの合図だ、いつでも動けるという事だろう……いや、まだ早い。焦るな。
信じるんだ、皆んなを。………見極めろ。敵の裏の裏を読み取れ。この程度俺の親友達なら難なく壊せる壁だ。
「分かってるよ………そう慌てるな4人娘ども……」
「慎司?何か言ったか?」
「んにゃ、独り言だ気にしないでくれよ」
モニターから視線は離さずクロノにそう言ってすぐに思考の海に戻るのだった。
…………………………。
機動六課で厳しい訓練を受け、努力を怠らなかったFW4人は自身の確かな成長を感じながら襲いかかってくるガジェットを蹴散らしていく。一緒に合流し共に戦闘を行うギンガ・ナカジマも4人に負けず劣らずの活躍を見せて地下に残されたレリック反応の元へ向かっていた。
地下をかなり進んだ所反応が近いポイントで各々レリックを探しいの一番に見つけたのはキャロだった。
「ありましたー!」
キャロの声があたりに響きそれを聞いた面々は少しホッとしたように反応を見せる。その時だった。辺りを激しく踏み潰すような轟音が連続しそれが徐々にこちらに近づいていく。そして………
「え?きゃあ!」
黒い魔力弾がレリックの入ったケースを持ったキャロに襲いかかる。直撃は避けたがその衝撃でキャロは吹っ飛ばされケースを手放してしまう。敵の襲撃に一番早く反応したのはエリオだった。
「はああああ!!」
槍の形態に変化させたストラーダで魔力弾を放った敵に攻撃を仕掛けるが空振りに。いや、敵は正体を隠すように姿を透明にしていた。エリオが仕掛けた事で直撃はなかったもののその姿を晒させる事に成功、がしかし反撃もくらったようでキャロの元へ着地した時に頬から血が吹き出す。
「エリオ君!」
キャロがエリオに駆け寄ろうとするがそれをよそにエリオは敵の方へ向いたまま守るように手を広げてキャロを止める。
姿眩ましを解かれた敵の姿は人間ではなく人型の鎧のような姿をした者。使い魔であった。
「あっ!」
敵に気取られてる間にキャロが手放したケースを紫髪の少女が手に取る。気づいたキャロが慌てて自身とはそう年が変わらない少女に近づくが。
「邪魔」
容赦のない言葉と同時に手から自身の魔力の奔流を浴びせキャロは慌ててシールドを展開するが耐えきれずエリオを巻き込んで吹き飛ばされてしまう。
「うおおおおお!」
2人に追撃をしようとした使い魔にスバルが横から攻撃、身のこなしでかわされるがさらに横からのギンガからの一撃で使い魔はシールド越しに攻撃を喰らう。
ここで更なる攻防が始まるのだった。
…………………………。
「本気なんだな?はやてちゃん」
モニターに映る騎士甲冑姿で現場の空で跳ぶはやてちゃんに俺はそう口を開いていた。そう、騎士甲冑姿である。いつもの六課の部隊長制服に身を包んだはやてちゃんではなく魔導師として戦場に赴いたはやてちゃんにそう言葉を紡いでいたのだ。
何故このような状況になっているかと言うと単純に状況の打開のためである。自分達が足止めされている状況にフェイトちゃんは提案として自身の限定解除を行う事を話し出したのだ。
限定解除をすれば制限された力を解放して高域殲滅魔法でガジェットを一網打尽にする事も出来るしその間になのはちゃんとヴィータとちみっこはここを離れられ救援に迎えるという方法だった。
しかしこの限定解除にも全くこちらにもリスクが無いわけでは無い。お上からの制限を外すと言う事は今後それらに対してより厳しくなると言う事。機動六課にかかる査察も厳しくなりより動けなくなる可能性は大いにある。
しかし、出し惜しみをして大事なものを失っては元も子もない。様々な事を天秤にかけて、そして何だか嫌な予感がすると言う直感もありフェイトちゃんが提案しているのはよくわかった。
なのはちゃんもその案には少々躊躇いの様子を見せる。限定解除の後のリスクを考えてだろう。答えが出ない2人に割り込む形で通信繋げたのがはやてちゃんだった。
はやてちゃんがフェイトちゃんの案と限定解除申請を部隊長権限で却下自身が出向き限定解除を行って空の掃除を行うと言うのだ。はやてちゃんの限定解除にはクロノとカリムに一度ずつだけ権限がある。その一つを使う事のリスクを考慮した上でのはやてちゃんの判断だったが念を押すような形で俺は「本気か?」と問うたのだ。
『フェイトちゃんと同じで嫌な予感するのは私も同じでな……クロノ君から私の限定解除許可をもらう事にしたんや。使える能力を出し惜しみにして後悔するんわ嫌やからな……そうやろ?慎司君』
「ああ………後悔するくらいだったらはやてちゃん自身の……自分の判断を信じてくれよ。無い胸張ってな」
『後でしばくぞワレ』
怖えよ、マジでドスの効いた声出すなよ。
『オホン……ちゅうコトでなのはちゃんフェイトちゃんは地上に向かってヘリの護衛、ヴィータとリインはFW陣と合流……ケースの確保を手伝ってな』
『『『『了解!』』』』
指示を受けた4人はすぐさま離脱、各々の目的地へ向かっていく。クロノから再度はやてちゃんに確認を取りつつ限定解除の許可を行った。一応場所が街中なのもあってフルでの限定解除は許可せず3ランク分……はやてちゃんで言ったらシングルSランク相当が解放される。
限定解除の承認許諾の取り直しは難しいし時間が掛かる。だが完全開放でない分多少は取り直しも優しくなるかもしれない、気休め程度ではあるがクロノのこの判断は正しいと言えると思う。
まあ取り直しがこんなに大変なのは地上部隊の上層部がかなり厳しいというのもあるのだが………地上部隊と次元航行隊……海と陸の軋轢も深刻だからな。本当に……厄介極まりない。どっちも。
さて、限定解除でその片方の厄介極まりない奴等が動きそうだし……この件が終わった後俺も対策しないとな。とりあえず今は……機を伺おう。震える端末からのメッセージに俺は何も返さずまだ待機してくれと言う意を送るのだった。
……………………………。
現場からの動きを常に見張る。はやてちゃんはすぐに広域殲滅魔法を行使してガジェットの数を着実に減らし殲滅していく。地下でレリックを見つけたFW陣とギンガちゃんの所には案の定敵の奇襲があるが何とか対応、レリックを奪われはしたが合流したヴィータちゃんとちみっこの助力もあり地上へ撃退。レリックは奪われたままだったためこのまま追跡を開始している。
「なんだありゃ?」
敵は召喚士なのかなんかでかいゴキブリみたいなやつが地ならしを起こしヴィータちゃんたちを生き埋めにしようとしていた。いや、やる事エグい。しかも映像確認したらエリオやキャロとそう変わらない子供だった。後使い魔っぽいのが2人確認。赤髪の小さい奴と……何あれ?闇堕ちした仮面ライダーみたいな奴ちょっとカッコいいな。
「変な事考えてるわけではあるまいな」
クロノからの小言は聞こえなかったフリをした。まあ、俺もクロノもカリムも焦ってないのはヴィータちゃん達ならこの程度すぐに脱出出来るであろうと分かっているからだ。………ほら出てきて今度は逆に奇襲を仕掛けケースを奪い返すだけでなく敵の制圧にも成功。
FW陣とギンガちゃんも連携バッチリ。地下からの敵の主力はこれで対処完了。ヘリは……まだ動きがないな。なのはちゃんとフェイトちゃんはもう少しで到着と言ったところか。
とりあえず一安心、ヘリの方にも敵の主力が向かってると思ったが………目的はレリックだけ?いや、あの生体ポッドの女の子が無関係とは思えない。しかしその女の子を乗せたヘリには何も動きが……待てよ?ヘリというデカい獲物を襲撃するならどんな方法がいい?近づけば敵に警戒され逃げられやすくなるし襲撃そのものが防衛担当の魔導士に邪魔されて成功率は下がるだろう。ならどうする?俺ならどうする?俺なら………
「っ!狙撃だっ!ヘリの周囲に徹底探知をっ」
言い掛けた所で映像から轟音が響く。俺の言葉を聞く前にクロノとカリムも突然の事で言葉がでなくなる。
ヘリから遥離れたビルの屋上から無情にも放たれる狙撃砲撃、威力と規模は見ただけで被弾を受ければひとたまりも無いものと分かるほどのもの。着弾の衝撃と轟音でさらに戦場は揺れる。爆煙によりヘリを安否を確認できない。
視線をヴィータ達の映る方のモニターに移せば狙撃により気を削がれたヴィータ達は地面から現れた敵の奇襲を受けて捕らえた敵をレリックケースごと奪われ逃げられてしまっていた。そして通信から悔しさの声混じりでヴィータちゃんのヘリは無事かどうかと切迫した声が響く。
「………………」
気づくのが遅かった。先手を取られた事に奥歯を噛み締める。胸元から震える端末を左手で握る。待機してる2人からの緊急メッセージ………しかし違う。今じゃない。狙撃に気づいた時と同時に俺は探知モニターを見ていた。二つの反応が超スピードでヘリに向かっているのが見えた。俺は知っている、親友達の力をよく知っている。俺の親友達は………管理局のエースと呼ばれたアイツらは。この程度の奇襲で、遅れをとったりなんかしない!
煙が晴れそこに見えたのは、無傷なヘリを背にあの威力の砲撃を自身も無傷で防いだエースオブエース。なのはちゃんの姿。
『スターズ1からスターズ2とロングアーチへ、ギリギリセーフでヘリの防御に成功!』
そして頼もしき親友の声に俺は笑みを溢す。なのはちゃんも限定解除を行使しエクセリオンモードでヘリを完璧に守って見せたのだ。そして間髪入れずに狙撃された事で割り出した敵の位置へフェイトちゃんの強襲。敵は2人、1人は狙撃砲を持った女ともう1人のあのメガネをかけた女は………そういえばなのはちゃん達を足止めしようとしたら幻想魔法の使い手はまだ姿を見せてない。恐らく奴だろう、そしてその幻想魔法を使う奴がここにいるという事は……ピンと来たぜ。
「………ここだ」
左手の端末を通信状態にして口元に寄せる。俺ならどうするか?俺が敵ならどうするか?どうしてもヘリを堕としたくて、へりの中にいる女の子を回収したくて。念には念を重ねて作戦を立てるなら、油断を誘って襲うならばいつか。
前世で柔道の試合でも俺は奇しくも似たような事をしでかした。ブザーがなり、試合終了と思って力を抜いた相手を気付かず投げてしまった。それで相手は大怪我を負った。
そんな結末を俺が………俺が親友達に遭わせるわけにはいかないだろうがっ!
俺ならどうする?ヘリを守ったと思わせヘリを狙った者を追撃するため手薄になった時にまた別の方法でヘリを狙う。フェイトちゃんとなのはちゃんにさらにはやてちゃんも加わり連携して実行犯の2人を追い詰めようとヘリを離れた瞬間。メガネをかけた女が腕をかざし何かを唱える。同時に探知モニターに映し出される2箇所の反応。ヘリを挟み撃ちをするような位置でおよそ500メートル!2機なら
「今だ!ヘリの側面側から2機狙撃反応!500メートル先!撃たれる前に叩け!」
なのはちゃん達の追撃の手が止まらないよう、2人にしか聞こえないこの端末で指示を飛ばす。俺が言い切ったと同時にガジェットの幻想部隊を構成した同じ魔法で現れる2機の見た事のないガジェット。普通のガジェットの一回りも二回りも大きいそのガジェットは見目からしてすぐに狙撃魔法を行うための機体と判断できた。既にチャージを終えようとしているが、あの2人に対してそれは遅い。
一棟のビルから二つの影が超スピードでそれぞれ狙撃ガジェットに迫る。そして片方は魔力を帯びた腕で、片方は魔力を帯びた脚でヘリに狙撃を行おうとしたガジェットを粉砕した。2つの影は珍妙な格好をしていた、同じベージュのトレンチコートに身を包み、同じベージュの帽子を被り、同じマスクとサングラスで顔を隠していた。
いや、目立たないように待機しろとは言ったがそれは逆に目立つのよ。完全な不審者じゃん。しかも2人同じ格好で。センスないな。
と、六課の司令塔が混乱してはやてちゃんに報告する前にこちらから全体通信を繋げる。
『こちら荒瀬慎司、今現れた二人組はたまたま通りすがった俺の……仲間だ。危険を察知して協力をしてくれた、敵ではないので安心してくれ』
そう一報を入れる。それを合図かのように2人組はヘリを守るように近くに待機する。このままだと素性が分からない2人に急にヘリを守られたってヘリの中にいるヴァイスやシャマルにもいらない心配をかけてしまう。
『変身解け、めっちゃセンスないそれ』
脱力するようにそう言い放つと2人の体を魔力が包み姿を変える。やっぱり変身魔法でよかった、買って用意した奴なら本当に引いてた。
『しーーーんちゃーーーん!』
『やめてやれ、多分慎司嫌がるぞソレ』
モニター越しに大きく手を振ってこちらにアピールしてくるリーゼロッテ、そしてやれやれと手を挙げるリーゼアリア。闇の書事件から………いや、生まれてからずっと俺の姉さんでいてくれてる大切な2人だった。
気まずそうに隣に目をやると、自分の顔を両手で覆い盛大にため息をつくクロノと苦笑いをするカリムが映る。あ、ごめん、マジでごめん。クロノは特に本当ごめん。
…………………………………。
「悪かったよクロノ、ごめんて」
「……いいんだ。お前の事だから必要な事だと判断したんだろう……だから、気にするな」
「いや、人選的に他にも候補はいたんだけどお前の反応面白そうだなって思って」
「殴るぞ」
冗談だよ。まあ自身の師匠がこんな感じで出てくるのはクロノ的にも胃が痛くなる案件だ。そもそももう管理局員じゃないのに戦闘に介入、機動六課の現場に介入したという事は後見人のクロノにも地上本部から説明が求められるだろう。さらに恐らくこの後その件で顔を合わせなきゃならんだろうからクロノがロッテにもみくちゃにされる未来が見える見える。多分頭を抱える大多数の理由は一番最後のだろうけど。
まぁ、1番最後以外は俺がなんとか出来るよう準備はしてあるから許して。本当に許して。ごめんて、ため息つくなって。
「ふう………」
一息つく。リーゼ姉妹が加勢してくれたおかげでヘリは無事に戦線を離脱し件の少女を聖王教会の管理する病院へ向かった。リーゼ達には最後まで護衛するよう指示をし同乗させてある。
しかし、なのはちゃん達3人が追い詰めたと思った敵の魔道師2人は何者かの邪魔が入り取り逃してしまったようだった。
だが悪い事ばかりじゃない、ヴィータ達とFW達が捕らえていた魔導師にも逃げられてしまったが奪われたレリックのケースは実はカラでFW達が機転を効かせて隠していたそう。さっきそう報告があった、レリックだけは守れた訳だ。
帰ったらキスしてやろう……え?キモい?太郎さんはそんな言葉遣い教えたつもりはありませんよ。
まぁ、お陰で現場は呑気な雰囲気で全員集まって調査隊に引き継ぎの準備を始めるべく行動を開始しようとしたところだ。マックス達を呼び戻すか、引き継ぎ作業を手伝わして…………ん?探知モニターに反応が。
『敵性反応です!速い!?気をつけて!!』
六課のロングアーチの緊急通信と共に衝撃音が響いた。
…………………………。
衝撃と共に轟音が響き渡る。ロングアーチからの警告を理解した時には既にこちらまで接近しており反応が遅れた。どんな速度でこちらまで迫ったのか分からないが謎の敵性反応はこちらから少し離れた地面に勢いよく着地しその影響か大きなクレーターが出来るほどだった。
現場の機動六課前線部隊は瞬時に各々の武器を構え警戒態勢をとる。クレーターの真ん中のいる人物は先程交戦した戦闘機人達とは服装の外装は似ていたが纏う雰囲気はどこか一線を画していた。
見目からして女性、体と同じくらいの長さの血のような深い赤色の髪、目の前のクレーターを作った張本人とは思えない細く華奢な体。
しかしその目はどこか暗く赤く狂気を感じさせる。
「貴方……誰なの?」
その狂気に気圧され緊張気味のFW陣とは対照的に高町なのははあくまで冷静にそう口を開く。
「くふっ………くふふふふふふふ!」
しかし帰ってきたら返事は恍惚に顔を染め狂った笑い声を上げるだけだった。この時点で高町なのは達はさらに警戒する。話の通じない相手はどんな危険があるか見当がつかないからだ。
「くふふふふっ!ああ………お前達が……」
先程までの恍惚の顔と笑いを止め一瞬で機械のような冷たい声をだす襲撃者。
「お前達が……ハーヴェイ様の敵……荒瀬慎司に連なる者…………ああようやく……殺せますわ」
冷たい殺気と共になのは達に襲い掛かるのだった。
日常会超描きたい。次の話の後は数話ほどふざけ回挟んでしまおう