転生しても楽しむ心は忘れずに   作:オカケン

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 仮面ライダーはディケイド。ウルトラマンはティガ。自分の1番のお気に入り。何でこんなにかっこいいんだか。


魔法

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝、学校に登校してホームルームの時間となると担任先生からなのはちゃんがしばらく家庭の事情で学校をお休みする事になったと伝えられた。まぁ、驚きはしなかった。事前になのはちゃんから連絡があった、俺だけじゃなくアリサちゃんとすずかちゃんにも。今は高町家の家にもいないらしい。心配になって桃子さんに色々聞いてみたが要領を得なかった。桃子さんも全てを知っている訳じゃないみたい。だけど、学校も休んで家もあけてしまうそんな状況になのはちゃんを放り込む許可したのは中々どうして流石なのはちゃんのお母さんとも言えるだろう。

 とにかくしばらくなのはちゃんには会えないだろうな。寂しい気もするが俺は応援してあげよう、せめて心中で。休みの間のなのはちゃんのノートやプリントの用意はアリサちゃんが一早く立候補した。やっぱり友達想いの優しい子だ。きっとすずかちゃんも手伝ってあげるのだろう。俺もアリサちゃんに手伝わせて欲しいと伝えたが

 

「あんたは柔道に専念しなさいよ。試合、もう近いでしょ?」

「慎司君が柔道で活躍するのも……きっとなのはちゃんの励ましになるよ」

 

 そう2人に言われては俺も頷くしかなく言葉に甘える事にした。大会も確かに近い。なのはちゃんの事も気になるがそろそろそんな余裕もこいてられなくなる。そんな一幕がありつつ、学校の授業は代わり映え無く行われ昼休み。屋上で3人で弁当をつつく。

 

「にしてもあんた最近練習ばっかじゃない?体は平気なの?」

 

 談笑の話題が俺の柔道について移行するとアリサちゃんからそんな声が。

 

「まぁ、大会前の追い込みみたいなもんだからさ。ちゃんと無理のないようにやってるよ」

「そ、ならいいわ」

「アリサちゃん、慎司君の事も心配してたもんね。体壊すんじゃないかって」

 

 すずかちゃんの一言に余計な事言わなくていいのと顔を赤くしながら言うアリサちゃん。なんか、この子もこの子で可愛らしいな。

 

「何だ何だ?俺がそんな心配になったのか?ほれほれ、素直に言ってみ?」

「死ね!」

 

 あっぶな!飯食ってる時に叩こうとすんなよ。

 

「そうだ、慎司君の大会が終わってなのはちゃんも元気に戻ってきたら皆んなでパーティでもしない?」

 

 パッと閃いたように言うすずかちゃん。

 

「「パーティ?」」

「うん、私達だけじゃこの間の翠屋のパーティみたいに豪勢には出来ないけど皆んなでご飯食べていっぱい遊ぶの」

「いいじゃない、まだ慎司にポケモンの借り返してなかったしね」

「お主じゃ我には勝てぬよ」

 

 とりあえず必ずメンバーにリザードン入れるの止めればもうちょい戦えるのになアリサちゃん。好きだから入れるってのは分かるけど。

 けどよりによってブラストバーンとオーバーヒートを覚えたリザードンとは流石バーニング。

 

「何か失礼な事考えなかった?」

「いや、世界平和について考えてた」

「壮大だね」

「ドラクエの」

「矮小だね」

「世界の半分をやろう」

「何言ってるのよ」

 

 ツッコミ要員不足を感じる。なのはちゃん……早く帰ってきて、ツッコミしてください。そうでなくても、寂しいから早く帰ってきてな。本当に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 下校中、練習まで時間が多少あるので公園に寄る。人っ子ひとりいない。ギリギリ練習に間に合う時間まで公園のベンチでボッーとしている。

 

「今日も来ないか………」

 

 あれからフェイトちゃんには会えていない。明確な約束をした訳じゃないからしょうがないんだけどな。毎日公園には顔を出してはいるからその内また会えるといいなと思う。

 まだ、みんなの事紹介できてないからな。

 

「そろそろ行くか……練習に間に合わなくなる」

 

 しばらく学校行って公園でずっと1人で待って柔道の練習をこなす。そんな毎日が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、ただいま……」

「「おかえり」」

 

 つ、疲れた。今日も一段とハードだったぜ。本当に周りに気を使う余裕が無くなってくる。

 

「慎司、先に風呂入りな。ご飯用意しとくから」

「ういっすママン」

 

 まだ汗が止まらないぜ、サッパリしたいからお言葉に甘えて風呂はいろ。

 

「慎司、プロテインいるか?」

「パパン、それジュニアプロテインの方?」

「あぁ、バナナ味」

「いるー」

「分かった、用意しとくよ」

 

 プロテインは子供の体では栄養過多を心配されがちだがジュニア用のプロテインでなおかつしっかり運動などでエネルギーを消費しているのなら強い体づくりになる。うちも親に頼んで用意してもらっている。

 なのはちゃん達には隠してはいるが、実は俺結構なプロテイン好きである。親にもこういう形で沢山応援してもらってるんだからちゃんと結果を出して恩返ししたい。

 

「そういえば慎司、あんたちゃんと御守り持ち歩いてんの?」

「うん、ちゃんと持ち歩いてるよ」

 

 服のポッケから御守りを取り出して見せる。それを見せるとママンは安心したように息をついて

 

「ならいいわ。ちゃんと毎日持ち歩くのよ」

 

 そう言ってキッチンに戻っていった。うーん、前にも言ったけどあんな信心深かったけかな?変な宗教にでも引っかかってないだろうな……。まぁ、うちのママンに限ってそれはないか。

 変な心配してないでさっさと風呂はいろ。

  

 

 なのはちゃんにはしばらく会えなくなったが代わり映えしない日常が過ぎる。その間、フェイトちゃんとも結局会うことはなかった。が、ついに俺は対面する事になる。前世の地球と、今世のこの地球の決定的な違いを。なのはちゃんが抱えている大事な決意と覚悟を、フェイトちゃんが抱えている信念と愛情を。

 それを俺は受け止めなければならなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうなってんだよ!!」

 

 空に向かって叫ぶ。暗雲とし嵐のように荒れている空に。何となくだった。何となく今日は沢山走りたくなった気分だった。試合ももう間近に迫っていて、試合前の調整期間に入って無理な練習はする事なく試合に向けた研究や技の磨きをかける期間に。疲れないわけじゃないが普段は普段で厳しすぎたのか逆にもっと体を動かさないと不安になった。

 だからいつもより遠出をしてランニングに繰り出した。ママンの言いつけの通りちゃんと御守りをポッケにしまって。当てもなく走り続けて気づけば普段絶対にたどり着かないどこかの海辺にまで来てしまった。人は誰もいない、海水浴シーズンじゃないしな。つい海の景色に見とれて走るのをやめて海に近づく。少し晴れ晴れとした気持ちになり、またランニングを再開しようとした時だった。

 俺は気づいたら海に流されていた。いや、ホント俺もなにが何だか分からなかった。直前、急に青空が暗雲としだして嵐のような雨と風に襲われた事。それに体を持ってかれたのか気づけば海に放り出されてそのまま流される。必死に溺れないようにもがいて泳ぐ。何度も顔に荒波を浴びつつ何とか呼吸を保っていると不幸中の幸いと言わんばかりに海のど真ん中に小さいながらも岩場を発見した。

 これがいわゆるご都合主義という奴だろうか。まぁどうでもいい、とにかく必死に岩場に辿り着き何とか海から抜け出す。しかし、嵐のような天候は相変わらずで風と荒波に体を持ってかれないように岩にしがみつく。そこでようやく周囲をキョロキョロと見渡す。うわっ、陸どっちだろ。結構流されたみたいだ、よく無事だったな俺。とにかく今はまた海に投げ出されないよう踏ん張る。数分ほど耐えていると今度は嵐に加えて竜巻が。6つの竜巻が猛威を奮っている。

 

「待て、竜巻じゃない」

 

 竜巻とは違う。似ているけど違う。あれは何だ?ずっと竜巻のようなエネルギー体が辺りに衝撃を与えていた。それが6つ。何だ、地球最後の日か?目を凝らしてそれを観察するとその周りを飛び回る黒い何かを発見した。鳥じゃない……あれは……人だ!人が飛んでる!しかもあんな謎のエネルギー体の近くで!危ねぇぞ。一体誰だ!?

 

「おい!あんた!……くそっ!」

 

 轟音で俺の声はかき消されて届かない。どうする事も出来ず見守っていると黒い人影とはまた別に飛んでいる存在を確認した。今度は人じゃない、赤い……犬?狼か?そんな体躯をした生物も黒い人影を守るように周りを飛んでいる。目が慣れてきたぞ、さっきよりハッキリ見えてきた。

 

「な………」

 

 顔が見えた、さっきからエネルギーの集中砲火を浴びながらそれをかわして飛び回っていた人の顔。女の子だった。髪の色は金。見覚えがある、知り合いだ。つい最近に出会った、公園で。何だよ……意味わかんねぇ。

 

「どういう事なんだよ!フェイトちゃん!!」

 

 その声もかき消されて届かない。危ない、何がしたいのか分からないけどあんな明らかにヤバそうな雷みたいな奴の近くにいるのは危ない。けど見守ることしか出来ねえ。くそがっ。

 

「おい!フェイトちゃん!おーい!」

 

 だめだやっぱり届かないか。フェイトちゃんをずっと見守っていると、ずっと周りを飛んでいるだけだったフェイトちゃんに変化が。何だ?杖?みたいなのを振り回し始めた。するとそこからよく分からない光の球体を生み出してそれを炸裂させたりその杖から金色の光の鎌みたいなものを現出させてそのエネルギー体に攻撃したりとやりたい放題やり始めた。

 あぁ、頭パニックになって色々慌てふためいているけどさっきから起こってる現象をまとめるならば。

 

「魔法って奴なのか?」

 

 あぁそうかい。そりゃたまげたよ、この世界には魔法が存在していてそれをフェイトちゃんが行使できるってだけの事か。口で言うのは簡単だけど本当にパニックだよ。今自分の命も危ない事を忘れそうになる。俺がそんな事を思いながらもフェイトちゃんは魔法のエネルギーのようなもので攻撃したりバリアーのようなもので防いだりといかにも魔法使いのような事をずっとしている。

 ここまで見せられちゃ、疑いようがない。が、俺のパニックはそれでは終わらなかった。フェイトちゃんの旗色が悪くなり苦戦している様子を見せてきた頃今度はまた別の2人組が空を飛びながら参戦した。その人物に今日一番の衝撃を味わった。

 

「……え?」

 

 1人は見知らぬ少年。見た目は俺の歳とそう変わらない、問題はもう1人。見覚えのある学校の制服をモチーフにしたような服を纏い、フェイトちゃんが持っていた物とはまた違ったデザインの杖のような物を持ち、フェイトちゃんと同じように魔法で攻撃したり防いだりしている1人の女の子。

 

「なの……はちゃん?」

 

 高町なのは。栗色の髪をなびかせながら果敢に竜巻に立ち向かっている女の子。俺が見たことのない凛々しい顔つきで、それこそ1人の戦士のような…そんな雰囲気を纏った見慣れたはずの女の子が空を飛んでいた。状況はよく分からない。さっきから無差別にエネルギーを喚き散らかしてる竜巻のようなエネルギー体は何なのか、何で6つもあるのか、色々分からない。けど、なのはちゃんがフェイトちゃんと同じ魔法を使える魔法使いだと言うのは一目瞭然だった。

 最近ずっと悩んでいたのはそこら辺が関係していたのだろうか?俺が能天気に日常を過ごしている中ずっとなのはちゃんはこんな危険なことばかりしてたのだろうか。もしそうなら俺は………何も支えになれてなかったのではないのか?

 呆然とする俺、そんなタイミングで今まで無差別に辺りを暴れ回っていたエネルギー体の攻撃はとうとう離れている場所にいた俺にまで届き始めた。

 

「っ!?」

 

 俺のいる場所からわずか数メートル先にエネルギーの衝撃が走る。それは一瞬海を裂きその危険さを俺に伝えてきた。まずい、ボーッとしている場合じゃないが俺はここから動けねぇ。あんなの食らったら即死だ。

 

「くそがっ!!」

 

 再び俺の近くに衝撃が。ああもう!まさか俺を狙ってるんじゃあるまいな!?

 チラッとなのはちゃん達の方へ視線を向ける。………あ。2人と目があった。2人だけじゃない、見知らぬ男の子とあと赤い犬のような大きな生物とも。フェイトちゃんとなのはちゃんはあからさまに驚いていた。驚いてるのは俺の方だけどな。

 

「危ない!」

 

 フェイトちゃんの声が不思議と届いた。視線を元に戻すと例のエネルギー体の攻撃はとうとう俺に向けて真っ直ぐ伸びていた。

 悲痛な声を上げてこっちに向かってくるなのはちゃん、口元を押さえて驚愕の表情で動く事の出来ないフェイトちゃん。あぁ、ごめん。こんな形で死ぬなんて……2人の前で心配させるのも、死ぬのも…嫌なんだけどなぁ。

 一度死んだ身だ、だから怖くはない。…………ンなわけねぇ。

 

「うわあああああ!!」

 

 情けなく叫ぶ。こんな形で死ぬのはもう………嫌なのに。

 

「やだ!慎司君!!」

 

 なのはちゃんの声が俺のこの世界で聞こえた最後の声になるのか。それなら……まだマシか。前世よりは。

 衝撃が走った。轟音が耳につんざき、俺の周りの海はその衝撃で荒波を作る。痛みは無い、しかも意識がある。

 

「あつっ!?」

 

 ズボンのポッケから熱いくらいの熱を感じた。慌てて弄ると出て来たのはママンから渡された御守り。それが強烈な光を放っていた。俺は無傷だった、俺が足場にしていた岩場にも先程と変わった様子はない。そこで気づいた。

 

「何だ……これ」

 

 俺から半径数メートルを囲うように魔法のバリアーのような物が張られていた。さっきからフェイトちゃんが使っていた魔法のような現象と酷似している。それが、俺を守ってくれたのか?次第に御守りの光は淡く消え始め、それと比例してバリアーも薄くなっていく。10秒もかからずバリアーも御守りの光も消える。

 またパニックだ、俺魔法使いだったの?いやンなわけねぇ。けど3人と1匹が俺に魔法を放ってくれた様子でもなさそう。なのはちゃんとフェイトちゃんは安心したようにホッと息をついていた。が、だからといってさっきから暴れまわっている雷達が、消えたわけじゃ無い。俺の近くに来ようとする2人を俺は大声で制した。

 

「おいコスプレ三人衆!!」

「「「違うっ!!」」」

 

 おお、初対面の男の子も2人に負けずいい反応だね。是非ツッコミ要員に入ってください。

 

「俺はいいから!早くあの変なのどうにかしてくれー!」

「で、でも!」

「でもじゃないお転婆なのは!」

「お転婆じゃないもん!」

「じゃあコスプレ魔法使いだな!」

「コスプレでもないってばー!」

「2人ともこんな状況でコントしないでよ!」

「うるせぇ少年C!沈めるぞコラァ!」

「少年C!?」

 

 いつもと同じようなやり取りをしてようやく落ち着く。落ち着け、実年齢もう三十路手前だろう。ここで俺が焦って迷惑をかけてる場合じゃない。御守りの事も気になるけど今はそれを考えている場合じゃない。とにかく、この状況を打破するために必要なのは俺ではなくこの不思議な力を持ったなのはちゃん達だ。俺に構ってる場合じゃないはずなんだ。

 

「とにかく!俺の事は気にすんな!あの変な竜巻みたいな奴………お前達なら何とか出来るんだろう?」

 

 俺の言葉にフェイトちゃんと赤い犬も含めた全員が頷く。だったら話は速い。

 

「んじゃなんとかしてこい!俺は何も出来ないからな!応援はしてやるからさっさと協力して解決してこいよ…………」

 

 協力と言う言葉でみんなそれぞれお互いを見合せる3人と1匹。なのはちゃんとフェイトちゃんの関係も気になるが雰囲気から察する何か色々と複雑なんだろう。だが、今は協力してほしい。俺は何も出来ないからな、できる奴らで協力するのが一番安全で安心だ。

 

「うん、待っててね。いこう!」

 

 そう言って一足先に竜巻に向かっていくなのはちゃん。俺の言葉に真剣に頷き、笑顔を見せてから果敢に跳んで言った。それに続くように少年Cもなのはちゃんに続いていく。赤い犬はフェイトちゃんの方を気にしながらも竜巻に向かって行った。残っているのはフェイトちゃんのみ。

 

「……………」

 

 フェイトちゃんは俯いて黙ったままだ。言葉を決めあぐねているのは一目瞭然だ。

 

「ごめん……」

「何がだよ?」

「多分……私が巻き込んだから」

 

 事実は知らん。俺はあの竜巻の嵐に巻き込まれてここにいる。その竜巻をフェイトちゃんが起こしたのならそうなるんだけどどっちでもいい。

 

「正直頭はまだパニックなんだよ。魔法みたいな不思議な力を見せられて……あまつさえ俺の知り合い2人がそれを使ってる」

「あの子とも顔見知りなんだね……」

「まぁな」

 

 だからパニック成分2倍である。もう考えるのやめて受け入れなきゃ正気を保っていられないほどパニクってる。だからまぁ、今はその事はどうでもいい。聞きたくないしきっと理解も出来ない。だから俺は見守って送り出す事しか出来ない。

 

「フェイトちゃんも行ってこいよ。その為にここでドンぱちしてたんだろ?………なのはちゃんを頼むよ」

 

 その言葉に複雑そうな表情を浮かべながらもわかったと返事をしてくれる。

 

「あぁそれと」

 

 飛び立とうとするフェイトちゃんを呼び止め俺は続けた。

 

「たまには公園にも顔出せよ。まだいっぱい話したい事と遊びたい事あるからさ」

 

 そんな俺の言葉に驚いた表情を浮かべるフェイトちゃん。何で俺はフェイトちゃんにここまで構うのだろう。2度目に公園で会った後にふとそう思った。なのはちゃんの時はあのまま泣いているあの子をほっとけなくて、前世みたいにいろんな後悔を残し人生を終えるのが嫌だったから俺は声をかけた。けど、俺は別に悪人のつもりは無いけど仏様のような善人のつもりもない。誰それ構わず手を差し伸べたりはしない。だから、何でそこまでフェイトちゃんを気にしてしまうのだろう。その答えを俺は知らない。

 だからそれには一旦目を背け、心に浮かんだ言葉を送るしかない。君とはまだ話したりしたいし遊んだりもしたい、それは本心だから。

 

「うん、ありがとう……慎司」

 

 そう言い残してフェイトちゃんも飛び立っていく。俺は後は応援するだけだ。そうする事しか出来ない。見守る事しか出来ない。

 御守りを掌に乗せる。もううんともすんとも言わない。恐らくこいつが俺をあの竜巻から守ってくれたのだろう。魔法みたいな力が発動したこの御守り………しつこく持っていろと念を押していた母さん。…………つまりはそう言う事なんだろう。俺の周りにどれだけ摩訶不思議な力を持った人達がいるんだか。あぁ、ホント………パニックだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何が起こったのかは正直よく分からなかったがとりあえずはなのはちゃん達は例の竜巻もどきを治めることに成功したようだ。証拠に荒れ放題だった天候が嘘のように晴れ間が広がっている。何をしたのか全く分からなかったが全員協力して事に当たっていてくれた事は理解できた。

 それさえ分かればいい。さて、状況が落ち着いた所でなのはちゃんとフェイトちゃんは空を跳んだまま向かい合って何事か話をしていた。何を話しているのか気にはなったが生憎、流石にこうも離れてちゃ聞き取れない。それよりも気になるのが2人の周りに浮かんでいる6つの青い宝石のような物の方が気になった。あれは何だろうか、あれが竜巻の原因なのだろうか。

 2人の目的はあの宝石なのだろうか。色々考えては見るが答えはわからない。結局2人の関係も見えてこない、魔法を使うもの同士仲間だって言うような雰囲気でもなかったしな。

 恐らくだが、悪く言えば敵みたいなものなのだろうか。それならなのはちゃんがこれまでずっと浮かない顔をしていたのも納得がいく。普段からあんな寂しそう顔をしている子をなのはちゃんが放って置くはずないだろうし。とりあえず話が終わるまで俺は待つとしよう。

 そう思い、一息つこうと座ろうとした時だった。

 轟音、そして直感が告げた。何かヤバいものが来ると肌が感じる。瞬間、空が裂ける。そこから大きな雷が撃ち落とされる。俺の知ってる雷じゃない。恐らくあれもなのはちゃん達と同じ魔法のようなものだと瞬時に理解した。その雷はピンポイントにフェイトちゃんに直撃する。いや、フェイトちゃんを狙ったものだった。何なんだよ今度は!一体誰の仕業だ!!

 

「フェイトちゃん!!」

 

 俺の声は雷の轟音とフェイトちゃんの苦悶の叫びに掻き消される。雷の余波で近くにいたなのはちゃんも巻き込まれ衝撃で吹き飛ばされる。次第に雷は収まりフェイトちゃんは力なく海に落ちていく。まずいここからじゃ何も出来ねぇ!

 海に叩きつけられる直前、例の赤い犬が姿を変えてフェイトちゃんを直前で受け止める。あの姿は人だ。もう今更犬が人間に変化したって驚かない。今はそれどころじゃない。犬が変身したあの人には見覚えがある。以前温泉旅館でなのはちゃんに絡んで来た女の人だ。

 フェイトちゃんを受け止めた女性はフェイトちゃんを抱きかかえたまま今度は青い宝石に向かって手を伸ばす。あれを奪うつもりなのか?すると今度は黒い装束に身を包み、なのはちゃん達と同じく杖のような物を手にした少年がどこからか現れそれを阻む。

 ああもう!本当に何人増えたら気が済むんだ!あれも魔法使いだな!浮いてるし。

 女性と少年の幾ばくかの攻防の後宝石を半分ずつお互いが奪った所で女性は目眩しに魔法を放って姿を消す。一緒に抱き抱えていたフェイトちゃんの姿も勿論ない。

 

「何なんだよ……ホントに」

 

 取り残されたのは魔法使い3人と遠くで見る事しか出来なかった一般人が1人。静寂の中、海のさざなみの音だけが響き渡る。

 

「くそがっ!!!」

 

 意味もなくそう叫んだ。無力なおれがいくら叫ぼうがそれは負け犬の遠吠えですらない。戦ってすらいない俺はいくら喚いた所で虚しいだけ。それは俺が一番よく分かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 心を落ち着けて、冷静になって頭が冷えてきた頃になのはちゃんと少年2人が俺の前まで飛んで来た。最後の現れた黒装束の少年。年は現世の俺より年上かな、身長が俺とそこまで変わらないからそう見えにくいが。少年はクロノ・ハラオウンと名乗った。

 

「君にいくつか聞きたい事がある。悪いが僕達について来てもらいたい」

 

 お堅い役所勤めのような口調で俺にそう言ってくる。俺は構わないと受け答えしつつこちらの知りたい事にも答えて欲しいと伝える。クロノはそれに了承してくれた。

 さてさて、俺はどこについて行けばいいのだろう。まずこんな海のど真ん中にある不安定な岩場から助けてくれるとありがたい。俺を抱えて跳べますかね?え?その必要はない?転移する?出来るの?へぇ、結局俺が見た色んな現象は魔法って呼称なのね。そのまんまかい。にしても、何でもありだな魔法。

 

 

 

 

 

 

 転移すげぇ。ホントに瞬間移動したよ。体の負担とかそんなもの全く感じなかった。クロノによると転移した場所は次元空間航行艦船アースラの内部という。何じゃそりゃ?次元空間?…………意味わからん。とりあえず魔法使いのすごい艦船って事で理解しとこう。

 それで、なのはちゃんが魔法に関わる事になったきっかけや理由を船内を歩く途中で説明してもらう。

 一番俺が反応を示したのはフェレットのユーノの正体が少年Cだったことだ。

 

「俺はどっちで呼べばいいんだ?ユーノか?少年Cか?」

「それが選択肢に入ってるのが驚きだよ」

「ユーノの方か?」

「少年Cだよ!」

 

 ユーノ、お前今日から俺のツッコミ要員に加われ。なのはと一緒にキレの良いツッコミを磨くんだぞ。

 

「無駄話は終わりにしてくれ。もう着いたぞ」

「クロノっちお堅いよ」

「何だその呼び方は」

「気に入らない?」

「クロノでいい」

「クロクロちゃん」

 

 クロノは頭を抱えた。

 

「ごめんねクロノ君、この人話通じない時はとことん通じないから」

「なのはちゃん、お通じ良くなったかい?」

「最初からお通じに悩みを抱えてないよ」

 

 クロノは少々ため息を吐きつつもう行くぞと俺に伝えて魔法らしい近未来的なデザインの扉を開ける。中はアニメとかで見た事ある制御に使う装置やら機械やら。管制室っていうやつなのだろう。職員らしい人達がモニターを見ながらキーパネルを操作して作業に没頭している。テレビの中に入ったような錯覚に興奮している俺をなのはちゃんがなだめる。

 

「……艦長」

 

 クロノのその言葉にこの船のリーダーが座るために用意されているであろう真ん中の指令席から1人の女性がこちらに気づいたようでこっちまで歩いてくる。

 

「クロノ、ご苦労様。そしてアースラへようこそ、荒瀬慎司君」

「どうして俺の名前を?」

「ふふふ、よくなのはさんからお話を聞いてるのよ。大切なお友達だって」

 

 艦長さんのその言葉になのはちゃんがわーっ!と顔を赤くしながら騒ぎ始めた。照れんなよなのはちゃん。

 

「私はリンディ・ハラオウン……このアースラの艦長です」

「ども、噂の荒瀬慎司です」

 

 とりあえず握手。クロノと同じファミリーネームという事は恐らく親子かな。第一印象はとても頼りになりそうな人という感じだ。子供の俺に対等に接してくれているのを見るときっと優しい人でもあるんだろう。

 

「早速慎司君に話を聞きたいんだけど………その前に、なのはさんとユーノ君は私から直々のお叱りタイムです」

 

 俺に一言謝ってからリンディさんは困った顔をした2人を連れて司令室から別室へと移動する。その間はクロノやアースラの人達と話でもしてよう。

 

「クロノ、俺年下だけどタメ口でいいかな?」

「別に気にはしない。変なあだ名で呼ばなければな」

 

 良かった良かった。何となくクロノとはタメ口で話した方が仲良くなれそうな気がしたのだ。

 

「ちなみに2人は何をしたんだ?」

「無断で出撃したんだ」

 

 ほー、なのはちゃんもユーノも結構大胆な事をするな。

 

「クロノも魔法使いなんだよな?」

「あぁ、僕達の世界では魔導師と呼んでいる」

「世界?」

「あぁ、艦長を待っている間にそこら辺の事を教えるよ」

 

 クロノからは色々興味深い事を聞けた。次元世界と呼ばれる様々な世界が存在する事。そしてそれらを管理し平和保つために存在する魔法都市ミッドチルダの管理局。もう大袈裟に驚く事は無いがそれでもぶっ飛んだ世界観に目が眩んでしまいそうに。

 そしてこのアースラの目的となのはちゃんとユーノの目的。これはさっきも聞いたがジュエルシードという危険物を集めているらしい。ふとこの間の大木侵略事件を思い出す。結局ニュースでは原因不明と言われていたがあれも恐らくジュエルシードの仕業で、あの日あんな被害を受けた街を見て関係者だったなのはちゃんが落ち込んでいたのも納得がいく。そして、そりゃこんな事話せないわけだ。あまりに世界観がおかしいしな。

 

「なぁ、一つ質問なんだが」

「何だ?」

「地球も数ある次元世界の一つだって言ったよな?地球以外にも文化や文明、技術が酷似した地球みたいな次元世界って存在するのか?」

「いや、そんな話は聞いた事ない。まだ管理局が把握していない次元世界も存在すると言われているからもしかしたらあるかも知れないがそんな他の世界と酷似している例は恐らくないな………何故そんな事を聞くんだ?」

「いや、ちょっと気になっただけさ」

 

 なら、俺の前世の記憶はやっぱり次元世界の壁それすらも超越した先の地球の記憶なのか。確証は無いはずなのにその仮定が変に腑に落ちた。皆、元気にやってるだろうか。確認する術がないので願う事しか出来ない。

 

「ねぇ、君」

 

 色々と思案していると指令室にいた局員の中でも比較的若い女の人に呼び止められた。年はクロノと同い年か少し上くらいだろうか。

 

「何です?」

「あぁ、ごめんね急に。私はエイミィ、アースラの管制官を任せれてるの」

 

 管制官……まぁニュアンスでどういう役職なのかは想像できるが。

 

「どうしたんだエイミィ。慎司に何か用が?」

「うん、ちょっと気になってる事があってさ」

「何なりと聞いてくださいな」

 

 ありがとうと前置きにお礼を言いつつエイミィさんは語り始める。まず前提に先程の海上のあれこれはアースラからモニターしていて巻き込まれていた俺の事も後からだが観測していたそうな。すぐに観測出来なかったのは魔力反応が皆無だったかららしい。だからすぐに救助を出してあげれなかった事を謝罪される。それは別に気にはしてない。

 

「それで?気になる事というのは?」

「うん、魔法についての知識はクロノから聞いたのよね?」

「簡単にですけど」

「魔法を使うにはリンカーコアっていう器官が必要なの。それから魔力を抽出して魔法を行う。基本的な魔法の使い方がこれ。それで………貴方は」

 

 言いづらそうにしているエイミィさんに変わって俺は自分で口を開いた。

 

「リンガーハットってやつがないんですよね?俺には」

「リンカーコアだ」

 

 クロノからツッコまれる。ちなみに俺は皿うどん派です。

 

 というか地球出身の殆どの人間はリンカーコアを保有してないのだろう。なのはちゃんはたまたまその才能に恵まれたのだとさっきクロノから教えてもらった。ミッドチルダ内でも優秀といえるほどの才能らしい。

 

「そう、だから慎司君は魔法を使えない。けど……貴方は魔法を発動して見せた」

 

 その事について聞きたいと言っている。俺はエイミィさん対して首を振ってこう答えた。

 

「俺が発動したんじゃないと思います」

 

 あの時、俺が魔力塊に襲われそうになった時に現出した魔力で構成されたバリアー。その時に明らかに変化したものがあった。それをポッケから取り出す。

 

「多分ですけど、これのおかげだと思います」

 

 そう言って例の御守りを見せた。見た目は特に何の変哲もない交通安全の御守り。

 

「そのバリアーが発動した時、この御守りがそれに呼応するように光っていたんです……だからこれが原因だと思います」

「見せてもらえるかな?」

 

 どうぞと言って受け渡す。エイミィさんはすぐに違和感に気付いたようだ。

 

「ごめんね、これ開けても?」

 

 罰当たりな事だが確認のためには仕方ないだろう。俺はいいですよと許可を出す。エイミィさんは律儀にごめんなさいと手を合わせてから丁寧に紐を解いて中身を取り出す。御守りの中には恐らく普通に御守りに入っているものと明らかに一つ違和感あるものが出てきた。

 

「チップ?」

 

 俺がそう溢す。中から出て来た御守りの中身には似つかわしくない少し大きめの何かのデータチップの様なもの。何だこれ?

 

「これをどこで?」

 

 一緒に事の次第を見守っていたクロノから聞かれる。一瞬躊躇ったが俺はもうこの御守りから魔法が発動したと考えた時点で一つ答えを得ていた。

 

「母親から渡されたんだ………」

 

 恐らく俺の母さん………あと多分父さんも魔法の関係者だ。俺が今日まで魔法の存在を知らなかった事は目の前にいる2人にも伝わっている。だから2人は難しい顔をしていた。言葉に詰まっているのだろう。多分だが、親が息子に隠して来た重要な事を暴いてしまったようなそんな事態だからな。何も言えないのも仕方ない。

 

「エイミィさん、クロノ………」

 

 重々しく口を開く俺を2人は真剣な眼差しで見ていた。俺は震える声を何とかちゃんと聞こえるようにハッキリと告げる。

 

「………………トイレどこですか?」

 

 ずっと我慢してたんだけどそろそろ限界なのです。

 

「「「「「今かよっ!」」」」」

 

 2人だけでなく周りで聞き耳を立てていた局員全員が綺麗にハモらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 今回は中途半端でしたけどここまでで。次回も閲覧よろしくお願いします
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