どうも皆さん、ジオン公国突撃機動軍所属テレサ・レノックス大尉だ。私達はグラナダを占領し、基地の設営をしている。ここは私達キシリア・ザビ少将率いる突撃機動軍の本拠地になる場所だ。月面都市は他の場所にも存在しているけれど、ここは巨大都市かつ、サイド3に近い。
サイド3も最近はジオンと呼ばれることが多くなってきてしまった。サイド3の呼び方に関してはサイド3だったり、ムンゾだったり、ジオンだったりする。これは私が前世で日本のことを、にほん、にっぽん、ジャパンと呼んでいたのと同じだ。要は色々呼び方が有るってことだ。
ジオンって呼ぶのが普通だからこれからはジオンと私も呼んでいくだろう。さて閑話休題、グラナダの話だ。さっきも言った通りここは規模が大きい。そしてキシリア機関が行ってきた戦前からの非正規戦によってジオンに対して好意的な人間が多くなっている。それにジオンから近い、というわけで大基地が築かれているのだ。
グラナダ配属なら、イージーモードじゃんと諸君は思うだろう。だがそれは違う。現在のグラナダは非常に緊迫した空気に包まれている。なぜか?それはグラナダからほど近い、サイド5、ルウムにティアンム艦隊が駐留しているからだ。
ティアンム艦隊は地球連邦軍コロニー駐留軍艦隊だ。サイド3を警戒した地球連邦軍政府によって通常の二倍の一個艦隊に増強されている。通常のコロニー駐留軍は半個艦隊が付随するのだ。ジオンを警戒して二倍である。
半個艦隊と言っては少なく思えるかもしれないが実際はかなり多い。実はジオン公国の艦隊は数にすると1.5個艦隊くらいしか存在しない。仕方が無いのだ。宇宙船は金食い虫だから。むしろ、短期間で半個艦隊しかなかったムンゾ自治共和国防衛隊の艦隊を三倍にした努力を誉めるべきだろう。
話が脱線してばかりだが、ティアンム艦隊の話題について戻ろう。この艦隊は一個艦隊から成る。そして実力は地球連邦軍の中では一番高い。仮想敵国との最前線になる場所に配置されている艦隊だから当然だろう。
ティアンム中将は当然有能だ。彼の艦隊はサイド1、2、4の残存艦隊を救出し、アイランド・イフィッシュが地球のジャブローに落下することを防いだ。
裏を返せばティアンム艦隊のせいで、ジオンは無防備なコロニーのドッキング・ベイへの攻撃と、それに伴う、一般市民の虐殺行為という非道を行っても、地球連邦軍を一個艦隊と少ししか撃破できなかったのだ。
一個艦隊を撃破というと、凄く感じるかもしれないが地球連邦軍は常時五個艦隊が存在している。そして、ジオンは頑張って1.5個艦隊を揃えて戦争を挑んだのだ。
はっきり言って勝てるわけがない。地球連邦の艦隊数はジオンの三倍以上である。無理だ。しかし人間は理性より感情の生き物であってこの勝ち目のない戦争を仕掛けてしまった。
そして、アイランド・イフィッシュ防衛線や、コロニー攻撃の際の地球連邦軍の反撃でジオンが今動かせるのは一個艦隊と少しまで減ってしまった。
もし、ティアンムの一個艦隊がグラナダを攻撃したら、基地設備が完成していないグラナダはあっけなく落ちるだろうし、そのままジオン本国も落ちる可能性が高い。グラナダは最前線である。
しかし、攻められる可能性が高いというだけであって、私はグラナダへの攻撃の可能性は低いと踏んでいる。
理由は地球連邦軍のドクトリンだ。地球連邦軍は通常の場合、三倍以上の兵数をもって敵を攻撃する。当然だ。戦いは基本的に兵数が多い方が勝つのだから。
そして、もう一つ、ルウム戦役の存在である。私が存在するからといったギレンが死んでいたり、シャアが女性になってたりなんて現象は発生していない。歴史は私という異物を含んでも恙なく進行している。だから、いきなりグラナダをティアンム艦隊艦隊が攻撃するなんてことは起きないはずだ。
そんなことを考えているうちに基地にアラームが鳴った。基地設営用の作業用旧ザクを格納庫の方へ急がせる。
「何事だ!?」
「連邦のパトロール艦隊らしいです。サラミス級三隻です」
旧ザクから下りて、私の愛機に乗って情報を求めると管制員から情報が入った。
「レイダーサイトから連絡、敵サラミス級三隻は退却。スクランブル却下されたし」
「了解」
結局は何も無くてよかった。今のは多分こちらへ圧力をかけたのだろう。
少なくとも私を含めた基地の人員にとってかなりの圧力になっているのは間違いない。
それくらいがルウム戦役前に私が経験したことだろう。軍隊だからってしょっちゅう戦っている訳では無いのだ。私はずっと基地の設営をやっていた。大尉は下っ端だから辛い。扱き使われるのだ。私の本職はMSパイロットのはずなのにどうして工兵の真似事をさせられるのだろうか。ジオンに兵無しとはまさにこのことだろう。
ちなみに私の小隊の初期機体の旧ザクは大切に保管されている。彼女たちを作業用にするにはもったいないと上が考えたのか、作業用にはピーキーすぎて向かなかったかのどちらかのように私には思える。