(どうも皆さまこんにちは。二重人格TS少女のテレサ・レノックスです。私は今アクシズにいます)
私のナレーション取られた!?しかも適当なこと言ってる。
閑話休題。パパの言ったキャスバル様。私の知る限りキャスバル・レム・ダイクンのことであるはずだ。我が家は名家であって様付けする人物はそこまで多くないはずなので十中八九彼のことだろう。もしかしたらそこら辺の子供で名前がキャスバル・サマーとかいうのかもしれない。サマー家の御令息。バカみたいな響きだ。
キャスバル・レム・ダイクンについて話す際に外せないのが、父ジオン・ズム・ダイクンの存在だ。サイド3ムンゾの首都バンチ、ズムシティにあるムンゾ大学の教授であったが政治家に転向し現在はムンゾ自治共和国の首相を務めている。思想家としても政治家としても大物だ。
私がキャスバル・レム・ダイクンの学友になるということは我が家はダイクン派に付くというのだろうか?ジオン公国は全体としては反連邦の姿勢を持っているが穏健派と過激派と中道派に分かれている。その中で勢いのある穏健派がジオン・ズム・ダイクンの率いるダイクン派だ。過激派としてはザビ家が存在しているがこの時点では表立ってダイクン派と対立はしていない。
そんな中で我が家は私をキャスバル・レム・ダイクンの学友とすることでダイクン派への加担を明確化するのだろうか?疑問を持った私はパパに聞いてみることにした。
「お父様、私をキャスバル様のご学友とするのならば、我がレノックス家はこれからはダイクン派に所属するのですか?」
「違うなテレサ。我が家の方針としては蝙蝠を貫く。私はザビ家のキシリアお嬢様と親しい。これはお嬢様の謀略でもある」
「………はあ?」
「子供に聞かせる話ではないな。いかにお前が賢くともそこまでの理解は必要ない。安心しろ」
私が困惑しているとパパは優しく気にしなくてもいいと言ってきた。これは多分キシリアはザビ家の勝利を予見していて、ダイクン派の弱体後に取り込み工作を仕掛けるとかかな?そのために我が家をダイクン派の内応役に使ったとかだろうか?我が家はのらりくらりと生き残ってきた家なのでこちらにもメリットが存在するということだろう。政治が絡んでくると面倒だ。
「そんな訳だ。納得したか?」
「はい。理解しました」
「よろしい。それでは励むように」
こうして私は、キャスバル・レム・ダイクンの学友となった。学友といっても社交界の真似事を行ったりする程度の付き合いを行うだけだ。子供が貴族ごっこをしているという方が適切だろう。私の他にもマツナガ家のシン・マツナガ、ザビ家のガルマ・ザビ、サハリン家のアイナ・サハリンといったなどといった錚々たるメンツが集まっている。その裏で大人たちは仲良くオハナシを行っているというわけだ。
貴族ごっこをしている彼らのほとんどは宇宙移民当初の宇宙移民の子孫というわけではなく、我が家がそうであるようにコロニーが完成してから入ってきた金持ちの子孫だ。結局は初期の宇宙移民を馬鹿にしていたアースノイドと何が違うのかという話だ。裸一貫から財産を築き名家の仲間入りをした家もあるがそんなのは一握りである。
最低限の付き合いはしたが、そんな貴族ごっこには深入りせずに私が本を読んでいると、何やら話しかけてきた子供がいた。面倒だったので無視した。
(おい。無視すると面倒だぞ)
ちっ、仕方が無い。
「申しありませんでした。私、本に夢中でして」
「ああ。僕のことを無視するとはいい度胸だと思ったが夢中だったなら仕方ない」
(親方横から男の子が!お前……海賊王になるのか!?)
バルスしたり海賊王になりそうなショタが話しかけてきた。
「これはキャスバル様。私に何か用でしょうか?」
「ああ。お前が一人で寂しそうだったからな。僕が仲間に入れてやろうと思ったんだ」
「いえ、私一人の方が好きなのです」
「うるせえ、行こう!!」
そんなこんなで会うたびにキャスバル様には連れまわされるようになった。
お前まじでやめろよ。お前に関わった女で無事に生き残ってんのナナイくらいだろ。ただでさえ生存率の低い宇宙世紀でシャア・アズナブルに関わった女とか死亡フラグだからな。どっかいけ。私に関わるんじゃない。そんな私の願いは叶わなかった。私はどうやら彼のお気に入りになったらしい。しかし生意気な金髪ショタの将来を考えると優しくしても問題は無いだろう。本音を言うと関わりたくないのだが。そもそも厳しく当たるなんて不可能だしね。ダイクン家の御曹司だから逆らうことは難しいし、仕方ないね。
こんな感じで私の日常は過ぎて行った。基本的には本を読んでたまに運動したりして過ごし将来に備えた。
ちなみに学校教育に関しては、アメリカが中心となって成立した連邦政府なので6334制を成立している。これはジオンにおいても同様だ。ちなみに飛び級が採用されているので私は小学校の過程をスキップした。流石に中学程度になってくると躓くもので、若干苦戦している。
学校教育に関しては資本主義の豚によって成立した地球連邦政府は支援を惜しんでいない。前世の日本よりも教育に関しては支援が行き届いていると言えるだろう。もっともそれは優秀な者に限るが。
宇宙世紀において高等教育を受けるのは中流以上の家庭と貧困層の中でも優秀な者だけであり、貧困層の大部分が中学程度の学力しか持たない。義務教育が終わったら就労するのが一般的になっている。これに対しては連邦政府の意向もあっただろうが、ブルーカラー向けの仕事が有り余っていることも理由だろう。
教育内容だが完全に理系中心だ。文科系の科目に関しては後回しにされている。宇宙世紀であり化学万能な世の中だから仕方ないだろう。しかし私は理科系科目が苦手だ。だから中学程度でつまずいてしまっている。将来の為に必要だからと思い込んでやっているが苦労している。
私は身体がニュータイプらしいので病気一つしないが、宇宙世紀の現在、医療は進化して大金がかかるようになっている。スペースノイドの貧困層が病気に罹った際の対処法はたいていの場合は自宅療養だ。こうなってしまうのは当然理由がある。まず地球連邦政府には国民皆保険制度は存在しない。そのため保険が無いために大金がかかる。個別に保険会社と契約すればいいのだがスペースノイドの貧困層はそんな余裕が存在していないために保険には加入しない。結果として自宅療養になるといった塩梅だ。
スペースノイドの貧困層がその状況を変えたくてコロニー政府に訴えたりしても、コロニー政府には自治権が存在しないので現状の大規模な変革は不可能だ。コロニー重視の政策を掲げた政治家に投票したくともスペースノイドは参政権を持っていない。これでは地球連邦に対してヘイトが溜まるのも止む無しといったところだろう。
更に中流以上の家庭に関しても空気税や地球連邦政府の地球中心の施策について不満を持っていることが多い。
教育の話から大分脱線したが私が言いたいことは文科系の教育は大事だろうということだ。人間は歴史から学ばなければならないのだ。私が理科系の学問が苦手だから言っているのではない。そう決して。
私の幼少期のエピソードとしてはこのくらいだろう。子供が何か劇的な成果を残せるなんてことはそうそう起こるわけではないのだ。傍から見たら割と五歳児にしては頑張っただろう。