宇宙世紀は終わらない   作:むにゃ枕

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第八話 中隊編成 ~UC0079 1.2 

 テレサ・レノックス大尉です。エリートコースを驀進中の私は中隊長に就任しました。士官学校を出たての私が中隊長という異常事態。周りの恨みを買いそうだが大丈夫。父親は准将様だからね。そして傍から見れば私ってかなり優秀なのでは?

(お前、チートオリ主やってんだぞ)

多少は恵まれてるけど、宇宙世紀に生まれた時点でね………

 

 

 

 せっかくの地位ですので、最強の中隊を作りたいです。

 それに関してはまず、ジオンのモビルスーツ運用についてです。

 ジオンでのモビルスーツ運用は基本的には3機で一個小隊。これは経験豊富なベテランである小隊長が居て、その後ろにひよっこが付いていくという理念のもとに作られています。

 これ問題ありますよね。ジオンに兵無しになるんですからね。経験豊富な小隊長が果たして開戦後にいるのかというね。優れた小隊長が突撃、部下が援護という図式は間違ってないんです。はたしてこれがいつまで持つのかという問題が有りまして。

 そこで、私が提案したいのが二機でペアを作って、エレメントを組ませるというやり方ですね。二つのエレメントつまりMS四機で一個小隊を作るというやり方です。

 誰がなんと言おうとも私は4機一個小隊を作ります。ええ、絶対に作りますとも。

しかし、この部隊編成で私の愛機がMS-06ⅡS型になったという問題が有ります。他の支給予定のMSはMS-06ⅡCなんです。私だけS型なんです。

私の愛機だけがハイスペックなのでエレメントが私だけ組めないという問題が生じました。悲しい。今までも私は単騎で戦ってきましたが、一年戦争でも単騎特攻するということになるんですね。部下に合わせろって?スピードが違うんですぅ。S型は速い。あと私腐ってもニュータイプしてましてね。

(人を腐ってるってさいてー)

戦闘時にはこいつと同調、もしくはこいつに任せるっていうスタイルなんで、ぶっちゃけると部下が足手まといになる。ニュータイプの部下がいればいいんですがね。来ないでしょ?

 

 それと多分ジオンのエースに特別仕様機を配るっていう態度も一小隊3機の空気を作ってるんですかね?

ともかく私が欲しいのは、一騎当千のエースではなく安定して運用できる部隊です。

 

 なので私は、中隊を従来の3機×4小隊ではなく、4機×3小隊として運用します。それに私を追加して私の中隊は13人になる予定です。

 

 こう威勢のいいこと言ってるんですが全然人が集まらない。MSパイロットの奪い合いが発生してるようなんです。私はキシリア閥の中でも派閥力学でかなりいい所にいます。父親が准将ですし。それでMS中隊として最新のザクⅡC型と、私の専用機ザクⅡS型が確約されています。

 

 ひどい所だと、小隊全部旧ザクの最初期型とかあるので私は装備で随分恵まれてるんです。だけどパイロットが集まらない。パパに泣きついても宣伝省だから人事への決定権が無いので人が来ないんです。

 

 いろいろな所と交渉して集まったパイロットがネームドキャラだとこちらになります。

ランディ・メネンデス曹長。背の高い金髪のイケメン。

ウィリアム・レイモンド曹長。整備が得意な黒人系の兄ちゃん。

リンゼイ・シミズ伍長。黒髪シニョンで背は私と同じぐらい

(ファーイーストジャパン出身の人たちだね。リンゼイちゃんにカクテル作って欲しい)

彼らはムンゾの6バンチ出身で仲がいいです。

 

あとは、ストレット少尉。ゲイだそうです。小物感がある茶髪のおにいさん。

エリザ・ヘブン伍長。長い金髪で胸がでかい。その胸でおぼれたい。アステロイド出身。

(イシュタムの人たちだね。おっぱいデカすぎない)

わかる。

 

ストレット少尉は私の副官です。

ジオンの人材難が深刻なのですが。一小隊に一人は尉官が欲しい。欲を言えば米軍式でパイロットは全員士官にしたい。

できない相談なんですけどね。

 

(これって私が全員ニュータイプに覚醒させればいいのでは?)

そんなことが出来たら、各研究機関が真っ青になってるよ。

(やって見なければわからないじゃない。はい、毒☆電☆波~)

無理でしたね。

 

そして11人しかパイロットとしての配属は認めないとなりました。私単独が良いんですが。

私の中隊の人員としては、私レノックス大尉、ゲイのストレット少尉、曹長二人、伍長が二人、そして残りは上等兵という内訳になります。

 

半分が上等兵というね。頑張ってねだったんですが難しいと。

訓練期間としては三か月程度しかないです。

 

まず、ザクへの慣熟訓練から始めなければいけないと。教導隊はフル稼働中らしく一か月後なら空いているらしいですが。これ人事がパンク寸前になってない?

もっと早く、モビルスーツを配備すればこんなことにはならなかったはずなのに。

 

私のザクは例によって白地に銀と赤のラインが入ったペイントをしています。ちなみにS型なのでツノ付きです。

私のザクが先行して、次にストレット少尉の第一小隊、その斜め後ろに鶴翼の形に第二、第三小隊が続きます。

なんとか、長距離行動が出来るようになりました。教科書通りの動きですが。

さて、次は対MS訓練ですね。私の肉盾ならMSとも戦えなくちゃね。

1機対11機という形にならざるを得ないけれど大丈夫。

おら、落ちやがれ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

ストレット少尉は彼女と出会った日のことをはっきり覚えていた。

屍蝋のような真っ白の肌にブラウンの髪。一切の表情を浮かべない人形のような美貌を備えた少女、それが彼の上官だった。

身長は160センチほどと小さく美貌も相まって、無垢な乙女のように思えた。

 

ああ、これは人形だ。

こんな少女が家の都合でねじ込まれたのだろうか?

少女が戦争に駆り出されるのだ。しかも自分よりも高い階級の大尉で。

ストレットにはジオンの先行きをこの少女が暗示しているように思えた。

 

しかし、そんな彼の心配は完全に無に帰した。彼女は書類仕事は完ぺきにこなし、なおかつ部下に気を遣える金払いもよく、冗談も言える上司だった。

年齢に関しても士官学校を主席卒業しており、彼女はいわゆる合法ロリ童顔なだけの女性だった。

ストレットは、軽薄な男に思えるが冷静な下士官である。

結果として彼は、彼女を第一印象とは異なる優秀な上司と判断したのである。

 

またしても、彼の印象を一変させる事件が起きたのは中隊編成の相談事だった。

 

「少尉、私は中隊を士官で揃えたい」

 

「無理でしょう。いくら大尉が優秀でもそんな贅沢は許されませんよ」

 

「なら、下士官だ。私はキシリア閣下に無理を言っても許される立場なんだぞ」

 

ストレットは同性愛者だが可愛さを理解することは出来る。彼にとってこの状況は少女が強がっている微笑ましい光景のはずだった。

大尉と目が合った瞬間に彼は、宇宙を感じていたのだ。

レノックス大尉が宇宙に見えるという異常事態を感じたストレットは直ぐに目を瞑った。

彼にとってこの体験は危険なものだったはずだったが、同時に奇妙な温かさを感じてもいた。

 

編成が完了し、訓練中にストレットは再び、宇宙を彼女の中に見ることになった。

 

対MS訓練という名目で行われた彼女とそれ以外の戦闘訓練。

1対11という戦力差で行われたそれは大いに盛り上がった。

 

「はじめはともかく俺たちはもう一人前のザク乗りだぜ。舐めて貰っちゃこまるな」

 

「おうとも。11機なら中隊長でも怖くないぜ」

 

ストレット自身も周りも勝利を確信していた。

 

そして戦闘訓練が行われた。

 

ストレットの率いる11機のザク。それに対し1機の白いザク。

勝敗は明らかなはずだった。

 

「ブレイク!ブレイク!ブレイク!」

 

「うわあああああ」

 

「第三小隊が全滅」

 

ストレットの目には白いザクが第三小隊をただ通り過ぎて行っただけに見えた。

 

「早い、早すぎる!」

 

「畜生。仇は取ってやるぜ」

 

「おいおいS型ってのはあんなに早いのかよ?」

 

「中隊長は異常です!!」

 

思わず漏れたぼやきに反応を示したのは、第二小隊のエリザ・ヘブン伍長だった。

 

「ヤバいなあ」

 

「ああ!ランディ曹長がやられました!」

 

流星のように第二小隊のザクを落とす白いザク。

返り血のような赤いライン。

銀のラインは殺意の残像そのものだった。

 

「吸血鬼とは上手く言ったもんだねぇ………。第二小隊の生き残りは?」

 

「私は何とか」

 

「エリザ伍長。無事にこっちまで来い。俺と組んで落とすぞ」

 

「了解」

 

 

ストレット小隊の三機は、ほれぼれする軌跡を描いて1機と2機に分かれた。

足止めはあいつらには厳しいだろう。ストレットはそう思ったが最善は尽くしたはずだ。

 

「うわああああ」

 

「きゃああああ」

 

予想通りペイントで彩られた部下を尻目に、ストレットはエリザと合流を果たす。

 

「エリザ伍長。残りは俺たちだけだな」

 

「ええ。大尉はおかしいです」

 

「まったくだ。ああいうのをニュータイプというのかもしれん」

 

ストレットとエリザのザクは隙の無い挙動で、白いザクに向き合った。

全くスピードを緩めずに滑るように向かう敵。

 

「スピードが違いすぎる」

 

「ああっ。早い!いやああああ」

 

回避に後れを取ったエリザ機が喰われた。

ストレット機も機体に無理をさせなければ喰われていただろう。

 

「少尉。よく避けたじゃないか。いいぞもっと私を楽しませろ!」

 

常軌を逸した機動でこちらに迫るザク。

マシンガンの一連射を間一髪で躱す。

冷や汗が頬を伝った。

 

「ふっ!」

 

「ぐあああ」

 

胴体に肘打ちをされ、体が揺れる。

意識を失いそうになるのを必死にこらえる。

 

ふと、向かってくるザクに宇宙が見えた。

 

「なっ!?この感覚は以前の!」

 

少し前までの自分なら避けられなかったろうマシンガンの連射、ストレットには機動が読めたような気がした。

弾が飛んでこない位置が分かる。

何発かは掠ったものの致命的ではなかった。

反撃の斉射は白いザクを汚した。

 

いける!

にわかに自信が湧き上がったストレットはバーニアを強く吹かし、敵機の後方に付こうとする。

 

「いない。どこだ?まさか!」

 

機体後方からザクマシンガンの斉射を受け、ストレット機が沈黙したのは直後のことだった。

 

 

 

訓練終了後に、ストレットは大尉少しの意趣返しと尊敬を込めてある提案を行った。

それを聞いた大尉が嫌そうな顔をしたものの上に話を通しておくと言ったので、ストレットはにやつきを抑えられなかった。

 

レノックス大尉が自室で、知らなかったストレット少尉が中二病なんて、とぼやいていたことをかれは知らない。

 

チベ級重巡洋艦パープルウィドウ。

紫の未亡人の名を持つキシリア少将の乗艦にカルミラ中隊は乗艦していた。

ストレット少尉によって名付けられたこの名は畏敬を持って知られていた。

吸血鬼とその眷属が蹂躙を始めるまでは時間が無い。

時計の針は止まらない、だから人は歩みを止めてはならないのだ。

時はUC0079 1.2深夜。兵士たちは艦の中でその時を待っていた。

歴史の歯車が回るその時を………

 

 

 

 

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