三門市何度も近界民から侵攻を受けた土地もう市自体が危険区域に指定され、この市に残されたのは境界防衛機関(ボーダー)とその関連機関とボーダー職員の住居だけだ…
眼鏡をかけた青年は放棄地帯である町で瓦礫の山を見つめていた。
「迅さん、木崎さん、小南さん、烏丸さん、そして千佳…」
「やりました…」
三雲修はかつて玉狛支部であった場所に小さな声で報告した。
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あの超大規模侵攻によって三門市は完全に蹂躙された。本部基地は大きなダメージを受け、鈴鳴支部は半壊、そして玉狛支部は他の支部同様完全に消滅した。残ったのは弓手支部だけだった
ベイルアウトジャマーによってベイルアウト機能を封じられた境界防衛機関(ボーダー)隊員たちは、初めての死と隣り合わせの戦いに恐怖し、混乱して本来の力を発揮できず、多く隊員がトリオン兵やネイバーに命を奪われた。
侵攻はこれまでとは違い敵は補給を受けつつ10日にも及んで侵攻は続いた。
このまま三門市を超えて日本全域が近界民によって侵略されると思われたとき。死にゆく隊員たちは日本を守るため黒(ブラック」トリガーとなった。境界防衛機関(ボーダー)は7本の黒トリガーを新たに得て侵攻中の近界(ネイバーフット)を押しのけた。黒トリガーになったのはもちろん熟練のトリガー使い、ボーダー隊員だ。
空閑…俺の親友、超大規模侵攻によって蹂躙された三門市一緒に守りそして俺の復讐に付き合ってくれた本当の友達、空閑は本当は復讐なんてしたくなかっただろうにもともと空閑は近界出身、もちろん境界防衛機関で仲良くなった友人が死んだとき、悲しんだだろうが、多分近界での生活の中で死とは身近ものだったのだろう。俺と違ってすぐに立ち直った俺が立ち直るのにも手を貸してくれた。そして俺の復讐にも付き合ってくれた。
いやこの言い回しは正確ではない、付き合わせてしまったか…本当はこんな復讐なんてしたくなかっただろうに、空閑が薄情とかそういう問題ではない。空閑はそういう気質なのだ。復讐とかそういうのは好きではないのだ。ここまで空閑のことを知っていながら目的につき合わせた俺はどれだけひどい奴なんだ。
自分が自分で嫌になる。それでもやらなければならなかったのだ…いややらずにはいられなかった
「なんだよ、空っぽのままじゃないか」
復讐を果たした今も俺の胸に空いた穴は満たされることはなかった。頬を水分が流れ落ちる。「雨か…」三門市の天候はトリオン操作によって完全に支配されている。今日は雨の予定ではないはずだが…
「空も泣いてくれているのか…」
何を血迷ったか完全にくさいセリフを放ってしまう。感傷に浸りすぎているようだ。許してほしい。
ブスリッ
鈍い音が体内を貫く
「そうだよ。お前のためではないけどね」
胸から熱い液体ドバドバと湧き出る。何が起きているか理解できない。そして一気に痛みによって思考が支配されると刺されたことを理解した。膝から崩れ落ちると最後の力をふりしぼって殺人犯の顔を拝もうと首を後ろを振り返る。
「貴様の滅ぼした世界の怒りを身に受けよ!」
目の座った女がこちらを怒りの形相でこちら今にも殺しそうな目でこちらを見ている。もう殺しているのだから殺しそうな目は違うか…思ったより思考がクリアだ。アドレナリンの影響かドンドン痛みが引いていく。ああ死ぬのか、まさか復讐者が復讐に合うとは笑えるジョークだ。だが悔いはない、天国には行けないだろうな…俺は誰よりも多くの人間を殺した大犯罪者だ。地獄行決定だろう。なんていったって一つの世界を滅ぼしたのだから…
ああ力が抜けていく、もう考えるのはよそう疲れてしまった。
そして俺の視界はブラックアウトした。
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ちゅんちゅんちゅん
スズメの鳴き声が聞こえる。地獄にはスズメがいるらしい。
「おさむーいつまで寝ているの?」
ああ母さんの声…懐かしい久方ぶりに聞いた。世界で一番安心できる声だ。
「いつまで寝ているの‼遅刻するわよ!」
耳元で響いた世界一目覚ましである母の甲高い声に「うわあっ」と声を上げて飛び起きる。そこにあったのは寝坊した僕をとがめる母の顔と超大規模侵攻のときに消えたはずの実家の自室だった。
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その日は案の定、寝坊で遅刻した。なんということだろう僕は中学生に戻っていた。というか夢落ちというやつだろうか?今まで体験したことが夢だったとでもいうのかならばなぜこんなに多くのことを覚えている。夢とは脳が記憶を整理する際におこるもの。起きて時間が経つと忘れてしまうようになっているのだ。
特に印象的な夢を覚えているのはその夢を起きた後にもう一度思い出し追体験するためである。だからと言ってそんなに正確には思い出せるはずがないというか。
記憶の整理のときにおきる記憶の断片がつながってできるものなのだからであってもいない人が出てくるのはおかしすぎる。
じゃあ…タイムスリップした…
今は中学二年の夏つまり俺が一回目のボーダー面接をうける二日前、もしこの幻想が現実だとするならやり直せるのか。俺は人生を…超大規模侵攻を防げるのか。
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最初に考えたのは筋書き俺がすべきことを整理した。便宜上俺が死ぬまでの未来を前の世界と呼ぶ。前の世界で起きた超大規模侵攻を防ぐことあるいは死者を出さないことだ。そのために動く。俺がこの世界に来た理由は多分それだ。
それから一カ月、まずはひょろい自分の体を鍛えなおすため木崎さんに教えていただいた。木崎流練習メニューをこなすことに俺はいそしんでいた。未来でもすべてのメニューをこなせるようになるまでかなり時間がかかったが現在のヒョロヒョロガリ勉中学生であるおれは、初めて行ったとき当然だが三割をこなしたところで嘔吐しバタンキューした。さすが成長期今では6割をこなせるようになっていた。
それに本来の過去とは大きく違うことが一つあった。なんと境界防衛機関の試験をパスしたのだ。今月から俺のボーダーライフがスタートする。どうやら俺の経験した過去とは違う点がいくつかあるようだ。もしかしたら単純なタイムスリップではないのかもしれない。
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入隊式中俺は意外にもドキドキしていた。多分前に経験したことない現在を歩いているからだろう。迅さん風に言うなら未来が分岐したのだ。というか俺がボーダーに入った時点で前に経験した過去とは違う世界に分岐したのだから完全に別世界にいると考えたほうがいいのかもしれない。
「入隊式ご苦労様、それでは入隊の説明をA級隊員の嵐山がC級隊員である皆のオリエンテーションと初訓練の監督を行う。」
無事初訓練を終える。初訓練の俺の成績は38秒相当優秀なほうだ。成績ではこの入隊メンバーの中で三番目の成績だ。正直もっと早く狩ることができたがC級のトリガーの性能を確認するためそれに自分のトリオンがどれほど増えたかを確認するために時間をかけた。ちなみに武器はレイガストにした。トリオン量がどれほどかわからなかったし、懐かしくつい手に取ってしまった。それに自分が違う行動をとることによって世界にどれほどの効果を与えるかわからなかったから。バタフライ効果という理論もあるわけだから、空閑がこっちに来ないみたいな状況になってしまったら元も子もない。
正直空閑がこっちに来るまで行動は自重しようと思っている。
入隊式を終え、家に帰ると眠りついた。この平穏な日々がいつまでも続けばいいのに
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入隊式から2カ月
木崎式体力づくりは10割こなせるようになっていた。さすが成長期なれるのも早い。
境界防衛機関の訓練は初期ポイントこそ平凡だったがだいぶポイントを増やし3500まで増やしていた。同期で4番目の速さだ。ちなみにもうB級に上がったものが二人もいるその二人は初期ポイントもかなり高かったわけだが。
緑川と木虎だ。緑川は正直秒速だった。2週間くらいたつと上へ行った。木虎も初期ポイント3600で正直秒速コースだったが俺がカモにすることにしたのだ。木虎が訓練に参加するタイミングに合わせ3900点の木虎に勝負を挑みごっそりポイントもらった。また木虎のポイントがたまったころ合いを見てポイントをごっそりいただいた。
四回くらい続けたあたりで木虎がちょっとかわいそうになったのでやめてあげた。俺も少しちょっかいを出したかったのだ。
というかなぜかライバル視し始め、これだけ嫌がらせさせられたら当たり前か、めんどくさくなったためやめた。
それから木虎がB級に上がったかなというタイミングで個人戦をしに行くとなんと木虎が俺を探していたのだ。なんと俺を倒さなきゃB級に上がれないとのたまわっていたらしい。だから個人戦をやるのをやめた。木虎はそのうち訓練でいやおうなしに与えられたポイントでB級になった。あまり木虎のB級上がりがおそくて嵐山さんの目に留まらないとなってしまったら困るのだ。
俺が個人戦をやって3000点の人々をカモにしていると
「よお三雲個人戦をやらないか?」
村上先輩が話しかけてきた。
「すみません村上先輩そろそろB級に上がりたくて…」
「いやいや俺が勝利するとは限らないだろというか今のところお前が全戦全勝じゃないか」
そうだが未来の知識があり、今のところ無双している俺だがもう3回も勝負しており、多分次の戦いで負ける。
正直オプションや他のトリガーを使うことができないこのC級個人戦では正直村上先輩に有利すぎるのだ。その証拠にこの人は初日一通り初心者食いに負けて以来、俺以外に誰にも負けていないのだ。学習しまくっている。もう誰にも負けないだろう。
「村上先輩すみません。お互いB級に上がってから勝負しましょう」
「ああ、そうかわかった悪かったな。お互いB級に上がろう。」
そういって村上先輩は去っていった。ちょっとその後ろ姿は寂しげだった。
…二週間後村上先輩から遅れること一週間三雲修は正隊員になった。
三雲を強くしたいそれだけのお話