俺が異世界に来るそうですよ?   作:ユキシア

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龍角を持つ鷲獅子

白夜叉と仲良く真っ黒になっていると黒ウサギたちに続いて十六夜たちまで来ていた。そして、十六夜は地域支配者(レギオンマスター)という利権証を手に入れこれによりジンは地域支配者(レギオンマスター)になった。パチパチ。

 

凄いな~、十六夜。俺にはそこまで考えて行動するなんて出来ねえよ。

 

黒ウサギもいつも以上でハイテンションで十六夜に抱きついていたときは思わず嗤ってしまいそうになったのは伏せておこう。黒ウサギも黒ウサギで十六夜に体を触られまくられたこと気づいてねえし。

 

まぁ、順調にコミュニティは良くなってきている。飛鳥のおかげで土地の土壌も良くなっているし万々歳だな。耀も炎を蓄積できる巨大キャンドルホルダーを手に入れてたし・・・・・あれ?俺、何もしてなくね?いや、金は手に入れたから問題はねえはずだ。金は大事だからな。

 

結果的には耀が収穫祭が始まってからのスタート。俺は代わろうかとしたが耀はいいと言ってきた。

 

「まあ、行けるなら行くか」

 

ぼやきながらノーネームの敷地内を歩いて行くと声が聞こえた。ここは耀の部屋か・・・。

 

『うん。でも仕方ない。十六夜は水不足を解決したり、篝はレティシアを助けたり、魔王の謎を解いたのも倒したのも二人だもの。とんでもない男の子たちだなって感心しちゃったよ』

 

いやいや、魔王を倒したのは俺じゃなくてタンニーンだし、十六夜は・・・・・仕方ねえって。

 

『・・・・・でも、凄いのは十六夜たちだけじゃない。飛鳥だって凄い。あんなに酷かった土地を、たった一ヶ月で土壌を整えたんだ。本当に凄い』

 

『ニャーニャーニャー』

 

あー、なるほどな。たく。

 

『やっぱり、投げやりな気持ちでコミュニティに所属したのか駄目だった。偶然素敵な友達が出来ただけで・・・・私には、その関係を維持する力がない』

 

「邪魔するぞ。耀」

 

俺は扉を開け耀の部屋に堂々侵入して近くにあった椅子に座る。

 

「俺は今から独り言を言う。俺には優秀な姉と天才の弟がいる。姉は成績は常に中の上で運動能力もいい。さらに友好関係が凄く多くの人に慕われている。理想の姉みたいな人だ。弟はそれ以上に凄い奴だ。成績は上の上で運動能力も姉以上で誰かを引っ張っていくような人間だ。それに対して俺はダメ人間だ。成績も運動能力も普通以下の人間だ」

 

俺は耀に前の世界の俺のことを話す。

 

「さらに俺は悪運が強いせいか不運の連続がよく続いた。親からにもよく『もっと姉と弟を見習え』って言われた。でも頑張ろうとしても優秀すぎる二人を見ていると頑張ろうっていう気さえ起きなかった。勝手に二人を嫉妬し、自分の悪さを全て二人のせいにした」

 

苦笑しながら俺は続ける。

 

「醜いだろ?だけど唯一美点できるところがあればそれは二人を恨まなかったことだ。二人は優秀だったのは間違いない。だけど努力もしていた。そんな二人を見て俺は憎むことが出来なかった。だから俺はこの箱庭で自分に出来ることをする。こんなダメ人間な俺でも出来ることはあったんだ。だから俺は自分が出来ることを精一杯しようと思っている。・・・・・・と、悪いな、独り言に付き合わせて。お休み」

 

俺は立ち上がり耀の部屋から颯爽と立ち去ろうとしたとき

 

「篝・・・・ありがとう」

 

耀に礼を言われた。

 

「何のことだ?俺はただ独り言を言ってたまたま耀が聞いていただけだ。礼を言われる筋合いはねえぞ」

 

変にかっこつけて俺は立ち去る。そして次の日の朝、十六夜は本拠の前に現れなかった。どうやらいつも着けているヘッドホンが行方不明になったらしい。

 

「十六夜君、まだ見つけられないの?夜通し捜したのでしょう?」

 

「YES。子供たちも総動員して探しているのですが・・・・うう。そろそろ出ないと間に合わないにです」

 

「ふぁぁ~。ヘッドホンに足でも生えて旅にでも出たんじゃねえの?あ、来たぞ」

 

ヘッドホンの代わりにヘアバンドを着けた十六夜とトランク鞄を引く耀と三毛猫。どうやら十六夜はヘッドホンを捜すから耀が行くことになったらしい。

 

利権証まで手に入れたのに来ないとは相当大事な物なんだな。にしてもここまで捜してもないのなら犯人しかわからねえな。

 

そうして十六夜の代わりに耀が来て俺たちは境界門を潜り七七五九一七五外門"アンダーウッドの大瀑布"フィル・ボルグの丘陵に到着した。そして目の前には巨大な水樹があった。

 

デカいな・・・・ノーネームのと比べるとまだまだ苗もいいとこだな。

 

「飛鳥、篝、下!水樹から流れた滝の先に、水晶の水路がある!」

 

楽しそうだな、耀。

 

今まで聞いたことないくらい歓声を出す耀を俺は微笑ましく見ていた。そして耀は今度は上を見るとそこには角が生えた鳥がいた。

 

『友よ、待っていたぞ。ようこそ我が故郷へ』

 

巨大な嘴で激しく旋風を巻き上げて来たのは初めて白夜叉に会ったときに見たグリフォンだった。

 

「久しぶり。此処が故郷だったんだ」

 

『ああ。収穫祭で行われるバザーには"サウザンドアイズ"も参加するらしい。私も護衛の戦車を引いてやってきたのだ』

 

確かに立派なものを装備してるな。するとグリフォンは翼を畳み前足を折ってきた。

 

乗ってもいいってことか?まあ、でも俺はいいか。

 

俺は翼を広げて軽く飛ぶ。

 

「耀。自分で飛んで行くってグリフォンに言ってくれ」

 

まだ少し慣れていないからな飛ぶことに体を慣らしておかないと。

 

耀たちをグリフォンの背中に乗せ俺はグリフォンに合わせて飛ぶ。うん、いい感じだな。

 

『友よ。友の友は龍になったのか?』

 

「うん、そうみたい。本人は気にしていないみたいだけど」

 

ん?俺の事話してんのか?まあいっか。

 

俺は飛びながらグリフォンの隣へ移動する。

 

「耀、通訳頼む。グリフォン、俺とちょっと競争しねえか?」

 

「競争したいって」

 

耀に通訳してもらうとグリフォンがニヤリと笑ったように見えた。

 

『いいだろう。私の速さについて来れるか!?』

 

急に速度を上げるグリフォン。いいってことか。なら遠慮なく!

 

俺は翼を羽ばたかせ全速力を出す。そしてグリフォンの上にいる黒ウサギたちが何か騒いでいるがあえて無視した。そして、同着でアンダーウッドの大樹に到着すると。

 

「こちらのことも考えてください!」

 

「『申し訳ない』」

 

今のはなんて言ったかわかったような気がした。あ、あの角の生えた鳥のこと聞くの忘れてた。ま、いっか。

 

グリフォンが去ってい行き俺たちは動こうとした時宿舎から声がした。

 

「あー!誰かと思ったらお前、耀じゃん!何?お前らも収穫祭に、」

 

「アーシャ。そんな言葉遣いは教えていませんよ」

 

宿舎から耀に声を掛けたのは青髪ツインテールの女の子と喋るカボチャだった。

 

「耀、知り合い?」

 

「うん、火龍誕生祭のギフトゲームで。ウィル・オ・ウィスプのコミュニティのアーシャとジャック」

 

ウィル・オ・ウィスプか。そういやウィラもそこのコミュニティのメンバーだったな。

 

「なー、アーシャとジャック。ウィラは元気か?」

 

「あー、お前、ウィラ姐さんのなんなんだよ?」

 

何か耀と違って言葉に棘があるな。気にしねえが・・・・。

 

「火龍誕生祭のとき知り合った篝だ。なんかと言われたら友達だな」

 

いやー、突然鈍器で殴られそうになったときはビビったけどな。また誰かの頭でも殴ってんのかな?

 

俺がそんな感じに思いふけっていると突然、アーシャが窓から身を乗り出し頭に怒りマークを浮かばせながら俺に向かって落ちてきた。

 

「お・ま・えかぁあああああああああっ!ここで会ったのが百年目ーーーーーーッ!」

 

拳を握りしめ落ちながら俺を殴ろうとしていたが俺がその場から少し離れると地面に激突した。

 

「おーい、生きてるか?」

 

三階はあったろ?よくそこから飛び降りてこれたな?というか俺、こいつと初対面だよな?

 

「ヤホホ、うちのアーシャが申し訳ない」

 

ゆっくり下りてきたジャック。おーい、アーシャよ。ジャックさんに乗っかってくればそんな痛い目にあわず済んだんじゃねえか?今更言っても遅いが・・・・。

 

「貴方とは初めましてですね。私、ジャック・オー・ランタンと申します」

 

「どうもご丁寧に。ノーネームの霧谷篝です。ところでアーシャはどこかで俺と会っていましたか?」

 

「いいえ、初対面です」

 

バッサリ言ったな。まあ、やっぱりそうだよな?ならなんで怒ってたんだ?

 

「ですが、私達のコミュニティのウィラとは面識があるようで」

 

「ああ、火龍誕生祭のときにな。お前らのコミュニティに誘われた。断ったけどな」

 

「実はウィラは火龍誕生祭からコミュニティに戻ってきてから貴方の話ばかりで。ヤホホホホ、これ以上は言えませんね。ウィラから貴方のことを耳にタコが出来るほど聞かされているのですよ、アーシャは」

 

「ん?それで何で俺に怒ってんだ?」

 

俺の事を聞いているんだよな?ウィラに怒られるようなことしたか?勧誘を断ったことに腹を立てているのか?それとも別の理由か?

 

(ねえ、黒ウサギに春日部さん。薄々気づいていたのだけど)

 

(YES、いくらなんでも黒ウサギでもわかります)

 

(篝は鈍いよね。黒ウサギにしか目に入っていないじゃないかな?)

 

・・・・何か黒ウサギたちがぼそぼそ言っているがまあ、いいだろう。

 

それから起き上がったアーシャとジャックと一緒に主催者のいるところへ向かう。出店とかからいい匂いがする。

 

クソ、龍になって鼻もよくなってるから余計にうまそうに感じる。まてよ、なら耀もなのか?

 

様々な生き物の恩恵というなの特性を持っている耀も俺と同じ苦痛を感じているはず・・・・ってもう食べてる!早すぎるだろ!?

 

食べて満足そうな耀に軽く羨ましい目で見てすぐに視線を切り替え落ち着かせる。今はツッコミは黒ウサギたちに任せよう。俺は基本ボケキャラだから。

 

「なあ、黒ウサギ。この樹ってどれぐらいあるんだ?」

 

「"アンダーウッド"の水樹は全長500mと聞きます。境界壁の巨大さには及びませんが、御神木の中では大きな部類だと思います」

 

「なら、あの樹を少し削って売ればどれぐらいの金に・・・」

 

「変なことを考えないでください!」

 

失礼な、ノーネームの為を想って言ったのに。儲けの半分を白夜叉に渡して黒ウサギに似合う衣装を・・・・・エロい衣装を譲ってもらおうと思っただけなのに。きっと白夜叉も喜んでくれると思うけどな。

 

「私たちが向かう場所は?」

 

「中ほどの位置ですね」

 

「・・・・・・。そう」

 

「・・・・耀。登るの面倒だから俺たちだけ先に飛んで行かねえか?」

 

「賛成」

 

「春日部さん、篝君も自由度が高すぎるわ」

 

「ヤホホ!お気持ちはわかりますが、団体行動を乱すものではありませんよ。それに本陣まではエレベーターがありますから、さほど時間はかかりません」

 

エレベーター?神木の中に?

 

ジャックの言葉に首を傾げながら進んでいくと太い幹の麓まで行くと木造のボックスに全員乗る。

 

「全員乗ったら扉を閉めて、傍にあるベルを二回鳴らしてください」

 

「わかった」

 

木製のボックスに備えられたベルの縄を二回引いて鳴らすと上空から水樹の瘤から水が流れ始めた。

 

あー、なるほどな。水式エレベーターか。そうだよな、俺がいた世界のエレベーターを想像してたぜ。

 

幹の通路を進むと、収穫祭の主催者である"龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)"の旗が見えてきた。

 

「旗が一枚、二枚、三枚・・・・七枚?七つのコミュニティが主催しているの?」

 

「残念ながらNOですね。"龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)"は六つのコミュニティが一つの連盟を組んでいると聞いております。中心の大きな旗は、連盟旗でございますね」

 

"一本角"

 

"二翼"

 

"三本の尾"

 

"四本足"

 

"五爪"

 

"六本傷"

 

そして連盟旗である"龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)"で七か。

 

「これが連盟旗・・・・でも、連盟って何のために組むの?」

 

「そりゃ、魔王と戦うためだろう。それ以外組む理由が見当たらない」

 

「YES。篝さんの言うとおり一番は魔王に対抗するためですね。連盟加入コミュニティに魔王に襲われた場合、他のコミュニティは助太刀の為にギフトゲームへ介入することが可能になります」

 

所詮は自分のコミュニティに保険をつけるだけだろうな。自分たちのコミュニティに何か会ったら助けにくる奴もいれば逆に助けず見捨てるところもでてくるだろう。どちらも自分のコミュニティの都合の良いようにするため利用し合っているだけだろうな。

 

そんなことを考えながら俺たちは本陣入り口の両脇にある受付で入場届を出した。

 

「"ウィル・オ・ウィスプ"のジャックとアーシュです」

 

「"ノーネーム"のジン=ラッセルです」

 

受付をしている樹霊の少女が急に顔を上げ飛鳥に視線を向けた。どうやら火龍誕生祭でこの少女の弟を助けたらしい。

 

「そう、それは良かったわ。なら招待状をくれたのは貴女たちなのかしら?」

 

「はい。大精霊は今眠っていますので、私たちが送らせていただきました。他には"一本角"の新頭首にして"龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)"の議長でもあらせられる、サラ=ドルトレイク様からの招待状と明記しております」

 

「サラ・・・・ドルトレイク?」

 

ドルトレイク・・・・・・確かサラマンドラの姓だったな。

 

「まさか、"サラマンドラ"の・・・・・?」

 

「え、ええ。サンドラの姉である長女のサラ様です。でもまさか南側に来ていたなんて・・・・もしかしたら、北側の技術を流出させたのも―――――」

 

「流出とは人聞きが悪いな、ジン=ラッセル殿」

 

聞き覚えのない声が聞こえたと同時熱風が木々を揺らした。そして空から炎の翼を羽ばたかせた赤髪で踊り子のような格好をした女性が樹の幹に舞い降りた。

 

「サ、サラ様!」

 

「久しいなジン。会える日を待っていた。後ろの"箱庭の貴族"殿とは、初対面かな?」

 

初対面は黒ウサギだけじゃねえぞ、俺たちもだぞ。

 

それから俺たちはサラと呼ばれる女性に招かれ本陣の中に入った。

 

「では、改めて自己紹介させてもらおうか。私は"一本角"の頭首を務めるサラ=ドルトレイク。聞いた通り元"サラマンドラ"の一員である」

 

"元"ねえ・・・・・・・。まあ俺には関係ねえか。

 

「両コミュニティの代表者にも自己紹介を求めたいのだが・・・・・ジャック。彼女はやはり来ていないのか?」

 

「はい。ウィラは滅多なことでは領地から離れないので。此処は参謀である私からご挨拶を」

 

「そうか。北側の下層で最強と謳われた参加者を、是非とも招いてみたかったのだが」

 

北側最強?そんなに強いんだ、ウィラは・・・・・。よくあの時生きていたな。俺。しかもアーシャが言うにはウィル・オ・ウィスプのリーダーでもあるんかよ。俺、そのリーダーからの直接の勧誘を断ったんだな。

 

「そう。"蒼炎の悪魔"、ウィラ=ザ=イグニファトゥス。生死の境界を行き来し、外界の扉にも干渉できる大悪魔。しかもその実態は余り知らされていない。三年前に私が南側へ移籍して以降、突如として頭角を見せたと聞く。・・・・・噂によると"マスクウェルの魔王"を封印したという話まであるそうだが。もしも本当なら、六桁はおろか五桁最上位と言っても過言ではないな」

 

「ヤホホ・・・・さて、どうでしたか。そもそも五桁は個人技よりも組織力を重視致します。強力な同士が一人居たところで長持ちはしませんよ」

 

ハハハハ・・・・・俺、今さらながら凄い奴と友達になったな。ウィラってそんなに凄い奴なんだな。マジビビる。

 

俺は苦笑しながら内心そうつぶやくとサラさんが俺の方を見てきた。

 

「ジャックの言う通り、強力な一個人では五桁のコミュニティは維持できない。その個人を打ち破る者が現れれば、容易く瓦解してしまうからだ。・・・・・その一例が東側の"ペルセウス"。だが、世の中には例外もいるようだ。そうだろ?霧谷篝」

 

「what?」

 

「誤魔化すな。五桁の"ペルセウス"を一人で打ち破ったのはもう有名な話だ。それに、例の"黒死病の魔王(ブラック・パーチャー)"を倒したのはお前だろう?」

 

「サテサテ、ボクニハナンノコトヤラサッパリデス」

 

「篝さん、篝さん。片言になっておりますよ」

 

わかってるよ、黒ウサギ。言ってみたかっただけだ。

 

「ペルセウスの時はただ単にリーダーがクソなだけでペストを倒したのはタンニーンだ。俺じゃない」

 

俺はため息を吐きながらそう言う。

 

「随分自分を過小評価しているな。どんな理由であれお前が倒したのは事実だ。ぜひとも"一本角"に来て欲しいくらいだ」

 

何気に勧誘されてるな、俺・・・・。

 

「ダメです!ダメでございます!篝さんは私達ノーネームの仲間です!」

 

黒ウサギが俺の前に来て守るかのように両手を広げ拒否してくれる。

 

「黒ウサギ、そんなに俺の事が・・・・・・結婚しよう!」

 

「いったい何がどうなったらそうなるのですか!?」

 

「え、だって今、篝さんは私のものですって・・・・・言ったじゃないか!」

 

「どうやったらそのような聞き間違いになるのでございますか!?このお馬鹿様!」

 

あんれ?おかしいな?まあ、黒ウサギを弄れたしいいか。

 

「サラさん、せっかくの誘いだが断らせてもらうな」

 

一応、俺は自分の口から断りを入れて置く。こういうのは自分から言わないとダメらしいからな。

 

「しかし、ノーネームだと色々不便ではないか?こちらに来れば優遇するし、食にも毎日美味い食事を約束するが?」

 

「・・・・美味しいものが毎日」

 

「春日部さん!誘惑に負けちゃダメ!」

 

耀よ。美味いものに釣られるな。リリの食事だって美味いじゃねえか。

 

「それでもだ。俺は別に今に不便を感じるどころかいいところだと思っている。あそこまで居心地がいいところは滅多にないしな」

 

「・・・・そうか。そこまで言われたら諦めるしかないな。ああ、そうだ。お前に白夜叉から渡すように言われたものがある」

 

白夜叉から?いったいなんだ?

 

俺はサラさんからそれを受け取ると一枚の発注書を見て俺は目を見開き急いでその場を駆け出した。そして、落ちた発注書を黒ウサギが拾い上げ内容を見た。

 

『対黒ウサギ型プラント:ブラック★ラビットイーター。八〇本の触手で対象を隠避に改造する』

 

そう書かれていた発注書を黒ウサギは一瞬で潰して髪が緋色に染まった。

 

「お待ちください、篝さん!このような怪植物をどうなさるおつもりですか!?」

 

猛スピードで追いかけてくる黒ウサギ。ふ、何を訊いているんだ、黒ウサギよ。決まっているじゃないか。

 

「黒ウサギに使わないでいったい何に使えばいいって言うんだ!?俺は見てみたい!エロくなったエロウサギを!」

 

「何言っちゃってんですか、この大お馬鹿様!このような危険な怪植物、黒ウサギが燃やして肥やしにして差し上げます!」

 

「白夜叉よ、わかったぜ、お前が俺に渡したいもの・・・・それはブラックラビットイーター。必ず届け、一緒にエロい黒ウサギを観賞しようじゃないか」

 

「絶っっっっっっっっっっっ対に渡しません!黒ウサギの貞操のためにも!必ず燃やしてやるのです!」

 

そうして俺と黒ウサギはブラックラビットイーターがある最下層の展示物に向かって走り出した。

 

 

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