「何でこんなことになるんだ・・・・」
「黒ウサギにもわかりません。ですがやらなければならないのです!」
俺の手にはデュランダルとイージスが握られ、黒ウサギの手には
「黒ウサギ、俺はお前と戦いたくない!」
俺は叫んだ。本心であろう心の叫びを。こんな死人当然な俺に普通に接してくれて、怖がらないどころか優しくしてくれる、俺の為に泣いてくれる。俺が初めて好きになった女性。
「・・・・黒ウサギも篝さんと戦いたくはありません。ですがお互いどうしても譲れないものがあります!例えそれが同士であっても・・・・・黒ウサギは戦います!」
「どうしても・・・なのか?」
「どうしてもです!」
強い決意の目で言い放つ黒ウサギに飛鳥や耀、ジンたちは動けなかった。それは俺も同じだ。だけど、止めなければいけない。やらなければいけない時がある。
「・・・・わかったよ、黒ウサギ。でも俺は何が何でも守ってみせる!」
「黒ウサギだってそんな危険で極まりない怪植物滅してやるのですよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
怒り狂うように襲い掛かってくる黒ウサギ。その原因は俺の後ろにいる全長五メートルはあり、枝の触手、花弁の触手という触手が生えた・・・・・・そうブラックラビットイーターだった。
「黒ウサギ!どうしてわかってくれないんだ!?俺がお前のエロい姿を見たいというこの想いを!」
「何欲望丸出しでほざいているのでございますか!?そのような想いは不純です!」
「何を言う!愛する女の全てが見たいのは不純なのか!?俺はそうは思わない!わかってくれ、黒ウサギ!俺にはこいつが必要なんだ!」
「絶対絶対絶っっっっっっ対滅してやるのですぅぅぅうううううううっ!」
「篝、頑張れ」
「シャラップなのです!耀さん!」
うがーと怒鳴り散らしながらブラックラビットイーターに襲いかかってくる黒ウサギに俺はイージスで防御。
「どうしてわかってくれないんだ・・・・」
「いくら黒ウサギが温厚でもそれは許しません!それはこの世にいてはいけないものです!」
「植物だって生きてんだ!それを否定する権利は誰だってない!」
「そのような良い台詞は他で使ってください!」
ここ以外でどこに使えと?しかし、さすがは創始者の眷属。厄介だ。このままじゃこいつを守れない・・・・・・仕方がない、使うか。
「全身龍化!タンニーン!」
俺は全身を龍化にし全身に鱗が生え牙や爪が生えたドラゴンになる。
「前の世界の友がこう言った。例え世界中の全てに否定されようとも己の信念という名の欲望に従え、と。それとロリ最高も。今の俺ならお前の言っていた言葉の意味が分かる気がするぜ、渡辺」
最後のやつ以外な。
「来い!黒ウサギ!例えこの身が滅びようとも俺は全身全霊に掛けてこいつを守る!」
両腕を広げ体を張って守るポーズを取る俺に黒ウサギは全身を振るわせると右腕から空気を裂くような音と雷鳴のような爆音がする。そして、黒ウサギのインドラの槍が握られていた。
「こんの超特大大お馬鹿様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」
あ、死んだかも。
いくらタンニーンの鱗が堅いと言っても限度はある。こんな大出力の攻撃を防げる自身はない。でも、やらなければならないんだ。
俺は黒ウサギの渾身のツッコミという槍を受け止めようとするが、突然、俺の視界から何かが通りそれは俺の前に現れる。
「ブ、ブラックラビットイーター!?」
俺の前に立ったのはブラックラビットイーターだった。すると
―――ありがとう、こんな僕を守ろうとしてくれて
声が聞こえた。ブラックラビットイーター・・・お前なのか!?
―――ありがとう、僕を必要と言ってくれて
インドラの槍がブラックラビットイーターに突き刺さり灰になっていく。
やめろ、消えるな!消えるなよ!俺にはお前が必要なんだ!一緒に黒ウサギの触手プレイを楽しもうぜ!白夜叉とも一緒にさ!
―――ありがとう・・・僕は幸せだったよ
灰となったブラックラビットイーターを俺は抱きしめながら名を叫んだ。
「ブラックラビットイーターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」
ブラックラビットイーターは灰となって空を羽ばたいて逝った。
お前の事は一生忘れない。来世では一緒に黒ウサギで触手プレイをしような・・・。
「・・・・・なんだか黒ウサギがとっても悪いような気がするのですよ」
こうしてブラックラビットイーターはこの世を去った。
俺はそれから宿舎に行き自室に荷物を置き俺はベットへ転がる。
ふう、疲れたし少し寝るか。
俺は瞼を閉じ眠りにつこうとした瞬間、突然地震に目が覚めた。それと同時、飛鳥が俺の部屋のドアを勢いよく開けてきた。
「篝君!」
飛鳥が部屋に入ってきた瞬間、宿舎の天井が消え、そこから仮面を着けた巨人が現れた。
「襲撃よ!魔王の残党がギフトゲームを無視して襲ってきたの!」
魔王の残党ねえ・・・・。まあこのままじゃ怪我人も出てくるだろうし何とかするか。
「飛鳥は耀のところに行ってやれ。多分黒ウサギもいるはずだ。それにディーンはここじゃ使えないだろう?ここは俺に任せな」
俺はそれだけ言うと翼を広げ空いた天井から空を飛ぶ。
「せっかくの祭りをぶっ壊したんだ!覚悟は出来てんだろうな!?」
俺はギフトカードからガーンデヴァを取り出し巨人の頭を射抜く。少し離れたところで雷が見えるという事は黒ウサギたちも戦っているんだな。
「オォオオオオオオォオオオオオオッ――――――ッ!」
鎖を投げつけてくる巨人達。だが俺はそれを簡単に回避しながら巨人の頭を射抜く。
ありとあらゆるものを射抜くこの弓なら矢が無くならない限りなんとかなるが。無くなったらナイトメアをいや、ナイトメアを使ったら他の奴らにも被害が出るな。面倒だがデュランダルで何とか倒すしかねえが・・・・・それより問題はこいつらいったいどうやってここまで来たんだ?まあ、今は余計なことは考えないようにしよう。
そう考えていると突然、巨人の首が斬り裂かれた。
「加勢に来ました」
その死んだ巨人の背後から白銀の鎧を身に着け顔の上半分を仮面で隠した。血まみれの女性がいた。
「フェイス・レスと申します。簡潔に申し上げますが味方です」
「そうか、ならそっち側は任せた」
半分をフェイス・レスに任せ、俺は巨人達を射抜きながら彼女の戦い方を見るとまるで隙がなかった。近・中・遠全てに瞬時に対応し適切な武器を選んで急所を狙い倒している。
無駄も隙もない。相当な腕前だな。何者なんだ?あいつは・・・・・。あ、味方か。
そうしてフェイス・レスの協力のおかげで巨人達を皆殺しにすることが出来た。俺は武器をギフトカードにしまい黒ウサギ達のところへ向かおうとすると。
「一つ、お聞きしても?」
突然フェイス・レスが話しかけてきた。いったい何の用だ?
「何だ?俺はこれから黒ウサギ達のところに向かわなきゃ行けねえんだが」
「貴方は私を疑わなかったのですか?巨人達と戦っている最中貴方は私に背中を向けて警戒さえしなかった」
「俺に嘘は通じねえよ。もし、貴女が嘘をついていたのならすぐにわかる。嘘をついていなかったからこそ信用しただけだ」
それだけを言い残して俺は黒ウサギ達のところへ向かう。すると、倒れている耀と飛鳥を発見した。
まさか、やられたのか!?
俺は慌ててそこに向かい耀を見るとどうやら気を失っているだけだった。そして耀の手元には炎のエンブレムがついた壊れたヘッドホンがあった。
「飛鳥・・・これは十六夜の・・・だよな?何で耀が持ってんだ?」
「私もわからないわ。春日部さんが目を覚ましたら聞きましょう」
だよな。もし耀が十六夜から盗んでいたら俺がわかるし、いったい誰が?
「篝さん!御無事でしたか!?」
俺たちのところに跳んできたのは黒ウサギ。
「これよりジン坊ちゃんと共にサラ様のところへ参ります!篝さんも来てください!」
「俺も?まあ、いいか・・・飛鳥、耀を任せた」
それから俺はジンと黒ウサギ、ウィル・オ・ウィスプのメンバーでサラさんのところに集まるとジンが問い出した。
「サラ様。一体これはどういうことですか?魔王は十年前に滅ぼされたときいていましたが」
「・・・・・・すまない。今晩くわしい話をさせてもらおうと思ったのだが、彼奴らの動きが存外早かった。実は両コミュニティを"アンダーウッド"に招待したのには訳があったのだ。・・・・・話を聞いてくれるか?」
「はい」
「ヤホホ・・・・・まあ、聞くだけでしたら」
返事をするジン達を確認しサラさんは十年前の魔王の襲撃のことを話した。魔王は倒すことは出来たが魔王の残党が復讐を企んでいたらしい。はあ、ペストといい、残党といい、よく復讐なんて面倒なことをするなあ。復讐なんかしても大切なものを取り戻すことなんて出来ない。感情的問題だな。
それからあの角の生えた鳥はペリュドンという殺人種の幻獣でそいつらは何者かに操られていたらしく俺達が殺した巨人達は箱庭に逃げ込んできた巨人族の末裔の混血種。
「箱庭の巨人族はその多くが異界での敗残兵だ。ケルトのフォモール族などが代表格なのだが、北欧の者達も多い。敗残してきた経緯から、基本的に戦いを避ける穏やかな気性で、物造りに長けた種なのだが・・・・五十年前に"侵略の書"と呼ばれる魔道書を手に入れた部族が"主催者権限"を用いて巨人族を支配し始めたのがきっかけだ」
侵略の書?
その言葉に疑問を感じた俺の隣で黒ウサギが説明してくれた。そして、サラさんは人の頭と同じぐらいの石を取り出した。
「この"瞳"連中の狙いだ」
「・・・・・"瞳"この岩石がですか?」
「ああ。今は封印されているが・・・・・開封されれば、一度に一〇〇の神霊を殺す事が出来ると言われている」
サラさんの言葉に黒ウサギ達は唾を飲み込んだ。
「一体、これはどんなギフトなのですか?」
「―――――――――――・・・・・・・。"バロールの死眼"だ」
「バ、バ、"バロールの死眼"!!?」
バロールって確かケルト神話に出てきたな。
そんなことを考えていると黒ウサギがバロールの死眼について話す。なるほど、見ただけで死を与える死の神眼か。確かにこれを奪われたら使い方次第で大量の命を奪うことが出来るな。いや、死を与えるか。どちらも同じだな。一つ言えるのはペストの死を運ぶ風より面倒だってことか。そして、現状一番厄介なのは南側に
「無論、タダとは言わん。多くの武功を立てたコミュニティには、この"バロールの死眼"を与えようと思う」
死を与えるギフト。それを手に入れる事が出来たら少なくとも今後のギフトゲームにもよるが魔王相手にはいいかもしれないな。
「サラさん。確認のために訊くが武功を立てたコミュニティのメンバーつまり、個人ではなくそのコミュニティのリーダーにそれを譲るということか?」
「か、篝さん、突然何を申していらっしゃるのですか?第一ノーネームにこのような恩恵の適性もちはいませんよ」
「ここにいるじゃん」
変なことを言う黒ウサギに俺は自分自身を指す。
「死を与える恩恵?そんなもの死人の俺には関係ない。それに適性ならあるとは思うぞ?むしろ死人の俺にはちょうどいい恩恵かもしれん。で、どうなんだ?サラさん」
「・・・・・いいだろう。これは武功を立てた個人に譲るとしよう」
これで後は武功を立てればいいな。
俺はサラさんから了承を取るとサラさんが思い出したかのように切り出した。
「すまない、すっかり忘れていた。実は白夜叉様から"ノーネーム"へ、新たな
「え?」
「話は聞いているだろう?The PIED PIPIER of HAMELINをクリアした報酬のことだ」
なにそれ?聞いてないぞ、黒ウサギ、ジン。
少し睨むように黒ウサギ達を見るとサラさんが両手を叩いて使用人を呼びだすと一つはサウザンドアイズの旗印で封印された小箱と布の巻かれた細長いもの。
「これが、新たな"
「そう。お前たちは"
ジンは神妙な顔で頷き、小箱の方を開けるとグリモグリモワール・ハーメルンの旗印が刻まれた指輪。
「もう片方の方は霧谷篝。お前にだ」
俺は布の巻かれたものを取り出すと短刀だった。だが、笛のように刀身に七つの穴が開いた短刀だった。
なんじゃこりゃ?と思った俺は悪くないと思うのは気のせいだろうか?
「それで犯人は三毛猫だったのか?」
「うん」
耀と飛鳥のところに戻ると二人は壊れたヘッドホンを何とか直そうとしながら俺にそう説明してきた。俺も手伝おうとしたが
「しかし、これはもう無理だろ?」
粉々になってるヘッドホンを持って俺はそう言う。見事なまでに壊れてるもんな。
「これを直すよりちゃんと十六夜に謝って何か別の物を与えたほうがいいんじゃねえか?十六夜だってちゃんと話せばわかってくれるだろう。なんなら俺も一緒に謝ってやるから」
「そうね、その方が私もいいと思うわ。いざとなったら篝君が殴られればいい話じゃない」
さりげなく酷いな、飛鳥さんよ。というか十六夜に一発でも殴られたらいくらなんでも頭が吹っ飛ぶぞ。
「でも・・・何を上げたら・・・」
「「そんなもん(の)、黒ウサギとラビットイーターをセットで贈」」
「るわけないでしょうこのお馬鹿様!!!」
「それ、名案!」
「ボケ倒すのも大概になさい!!!」
背後から黒ウサギのハリセン一閃が俺達を襲った。
「じゃあ、黒ウサギを三日間好きに弄れる権を」
「まだ言いますか!」
「俺にプレゼント」
「どうして十六夜さんじゃなく篝さんなのですか!?」
再び俺の頭に黒ウサギのハリセン一閃。俺達にツッコミが終わると黒ウサギは耀の肩を激しく揺らしながら問い詰める。それはもう脳震盪を起こしてもおかしくないくらい。黒ウサギは耀に戦果を誤魔化していたらしい。耀と飛鳥二人でクリアしたものだからというわけか。
「ち、違うのよ黒ウサギ!春日部さんに話を持ちかけたのは私で・・・・・!」
「違う。私が悩んでいたから飛鳥が気を遣ってくれて、」
「・・・・・いえ。そんな気を遣わせたのは、黒ウサギにも責任がございます。黒ウサギの過度な期待が、御二人と小さな壁を作ってしまったのです。本当に・・・・・申し訳ありません」
三者三様に謝り始める三人に俺は。
「はい、そこまで」
「いた」
「う」
「あいた!」
黒ウサギから奪ったハリセンで三人の頭を叩いた。
「誰が悪いとかねえだろ。話を持ちかけるのも、気を遣うのも、壁を作るのも誰だってする。むしろそういうことが出来るのは仲が良いって証拠だ。誰の責任でもなければ謝る必要もない。わかったか?」
「し、しかし!」
「わかったか?」
「「「は、はい!」」」
俺は優しい笑みを浮かばせて言うと黒ウサギ達はちゃんと返事をした。うんうん、わかればいいんだ。
「大変です!巨人族がかつてない大軍を率いて・・・・・"アンダーウッド"を強襲し始めました!」
樹霊の女の子が言った瞬間、地下都市を震わせる地鳴りが一帯に響いた。俺達はすぐに樹の根を出るとすでに半壊滅状態になっていた。そこへグリフォンじゃなかったグリーが現れて耀に状況を説明する。俺はそれを黒ウサギに通訳しながら状況を把握する。
琴線を弾く音で味方の意識が奪われ、今はフェイス・レスが戦線を支えている。しかしそれも時間の問題。巨人の数はおよそ五百は超え、さらに戦闘を請け負っている"一本角"と"五爪"が壊滅状態・・・・・・やばくねえ?
俺がそう思っているとジンが一歩前に出た。
「大丈夫です。僕に考えがあります」
「・・・・え?」
「先ほど"サウザンドアイズ"からギフトが届きました。もし敵の巨人族がケルトの末裔だというのなら、このギフトで敵の戦線を瞬間的に混乱させられるはず」
ああ、そういやそうだったな。ジンのギフトなら何とかなるか。じゃ、俺は適当なタイミングで戦線に加わるか。あーあ、こういうとき庄司がいれば・・・・・やめとこう。酷くなるだけだ。
「ほ、ほんとに?」
「はい。・・・・しかし、それだけでは足りません。琴線の術者を破らねば同じことを繰り返しますがそこは篝さんにお任せします。そして、術者を逃がさないためにも・・・・・耀さん。貴女の力が必要です」
さり気なく俺の使うなジンよ。しかも耀みたいに了承を得ようともしねえ。随分とまあ立派になりやがって。ああわかったよ、やればいいんだろ。俺も新しいギフトを使えばいいんだろ。
「・・・・わかった。作戦を教えて」