ジンの作戦がスタートして耀は上空に待機。何か変な笑い声が聞こえたが恐らく気のせいだろう。俺は今、グリーの背中に乗せているジン達と前線に移動していた。
「さて、この辺でいいか?ジン」
「はい。お願いします」
向かってくる巨人をあらかた倒した俺はギフトカードから新たなギフトを取り出す。
「さぁ、奏でようか。ハーメルンの魔笛刀」
俺は短刀を振るうと刀身に空いている七つの穴から音色が鳴り始める。ハーメルンの魔笛を白夜叉が俺に扱えるように改良した俺の新たなギフト。振るうことで風が穴に通り音色を流す。
「目には目を、歯には歯を、音色には音色ってね」
振り続けるにつれ操られている奴らを正気に戻す。
「幻想曲、パーフィケーション。これで音色は何とかなったな。後は」
「どこに逃げたの、白夜叉ああああああああああああああああああああッぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
出て来たな、ペスト。何故この場にいない白夜叉を叫んでいるのは見てすぐにわかったよ。霊体の種族を隷属させ使役するジンの新たなギフト"
「にしても巨人には効果抜群だな。ジンの言うとおりケルトの巨人族には黒死病は効き目があるんだな」
「出て来い、出て来い、出て来なさい白夜叉ッ・・・・・!!よくも元魔王の私に、あんな下劣でイヤラシイ服装に数々を・・・・・!!」
白夜叉よ、いったいどんなものまで着せたんだ?めっさ怒ってるぞ。ジンの作戦では混乱を煽るって言っていたがあれは止まらねえだろ・・・・。ここまで黒い風を送らないでくれよ。
そうしているうちに耀が奇襲に成功し黄金の堅琴を奪うことが出来た。
次の日の朝、俺達を迎え入れたのはフェイス・レスだった。
「彼女こそ"クイーン・ハロウィン"の寵愛を受けた騎士"
ジャックが紹介してくれるが俺は既に顔合わせはしている。
それにしても世界の境界を預かる精霊の力を借りてヘッドホンを召喚するとは・・・・いい考えだな。もう十六夜のヘッドホンは滅茶苦茶だし同じメーカーなら十六夜も悪い気はしないだろう。問題があるとすれば召喚したものがまともなものかだな。それにしても耀以上に喋らないな、フェイスは。
「だけど・・・・・異世界からの召喚って、凄く高額なんじゃ・・・・?」
「ヤホホ!高額どころか本来なら、断固として拒否しますョ。しかし"ノーネーム"とは長くお付き合いさせてもらう予定なので・・・・・まあ、お友達料金ということで手を打たせてもらいました」
「うん。今後の日用品の類は"ウィル・オ・ウィスプ"製にものを使うということで契約しました」
ふーん、だが少なからず金はかかるのか。・・・・・・そうだな。
「なぁ、フェイス・レスさん」
「何でしょう?」
「今から俺とギフトゲームをしてくれないか?」
俺のこの言葉に周りの空気が静まり返ったが俺は気にせず言う。
「恥ずかしい話。こっちは金がないんだ。いくらジャックが友達料金と言っても少なからず金はいる。そこで俺とギフトゲームをしてくれ。俺が勝ったら召喚はただにしてくれ」
「私が勝ったら?」
「その時は俺のギフトの全てをくれてやる」
「何言っちゃってんですか!このお馬鹿様!」
背後から黒ウサギがツッコンできた。
「確かに篝さんの言うとおりノーネームにはお金は少ないです!ですが篝さんのギフトを賭けるほど心配はいりません!」
「そうです。それにフェイス・レスは三桁の"クイーン・ハロウィン"の寵愛を受けた騎士!勝てるはずがありません!」
黒ウサギとジンが俺を説得するかのように言い飛鳥や耀も止めに入るが俺はかまわずフェイスに言う。
「少なくともそっちに損はないぜ。俺の持つ
「・・・・・・・」
少し考え込むフェイス。そして
「いいでしょう。そのギフトゲーム受けて立ちます」
すると俺とフェイスに
『ギフトゲーム名"騎士と皇帝の一騎打ち"
・ルール説明
・アンダーウッドを中心とした二㎞がゲームテリトリー
・相手が気絶、降参させたほうの勝利
・相手の死亡させたほうは失格
宣誓 上記のルールに則り"フェイス・レス"と"霧谷篝"はギフトゲームを開催します』
「ルールはこんな感じでいいか?」
「かまいません」
フェイスは二振りの剣を握りしめ俺は足にアキレウスの靴を履きデュランダルとレーヴァテインをかまえる。
「黒ウサギ。合図」
「え、YES!」
俺の言葉に黒ウサギは俺とフェイスの間に行き手を上げる。
「始めてください!」
次の瞬間、フェイスの剣先が俺の鼻先をかすめた。
「うお!」
ギリギリのところで俺は何とか躱し俺は高速に動きながらデュランダルで攻撃するがフェイスはそれをいなした。すると今度は剣が鞭のように撓ってきた。
「レーヴァテイン!」
俺はデュランダルでそれを防ぐと同時レーヴァテインの炎をフェイスに向かって放つ。だが、フェイスはそれを躱して今度は剛弓を構えていた。
「ガーンデヴァ!」
お互いに放った矢は空中でぶつかり相殺し合った。さらに今度は二本の槍を握り中距離で攻めてきた。
あークソ!そういや俺のギフトカードに槍はねえや。だけど一つ弱点発見。
俺は襲ってくる二本の槍の内一つの槍をあえて直撃した。そのことに一瞬だが驚くフェイス。
「龍化!ブレス!」
俺は体の内側を龍の構造にして炎を吐く。するとフェイスは槍を離してその炎を躱す。俺はフェイスが離れているうちにイージスを取り出し傷を治す。
やっぽそう簡単にはいかねえか。とりあえずこの槍は折っておこう。
槍を折り、俺はもう一度デュランダルとレーヴァテインをかまえる。
近距離・中距離・遠距離全てに対応している。しかもそれだけじゃない。闘いながら常に周りに気を張り巡らせ被害を及ばせないようにもしている。強敵だな、十六夜や庄司なら喜びそうな相手だ。
強いじゃなく巧い。どの武器も達人級にまでの実力だ。少なくとも今の俺じゃ勝てないが。
俺は自然に笑みを浮かばせていた。
このギフトゲームは俺の勝ちだな。
俺は一度深呼吸してレーヴァテインで炎を俺とフェイスを囲むように炎の壁を作る。
これで黒ウサギ達には見えないし、聞こえないな。
「フェイス。悪いが俺の実験に付き合ってもらうぞ。その為にお前をギフトゲームに誘ったのだから」
「何らしかの裏はあると踏んでいましたがいったいどういった実験をなさるつもりで?」
やっぱり気づくよな。だってお前には勝っても何も得はしないからな。
今回のギフトゲーム。俺は負けたら自分のギフトを全てやると言ったが現在のアンダーウッドの状況的に戦力を減らすのはよくない。それはこいつも重々承知している。逆に俺が勝ったら召喚がただになる。このギフトゲーム最初から俺の勝ちは決まっている。
「お前の精神の強さを見込んで忠告しておく。危なくなったら棄権しろ。いや、正確には精神が壊れる前に棄権しろ。じゃないと――――――――廃人になるから」
俺は嗤う。狂ったように嗤う。壊れた人形のように嗤う。死人が嗤う――――――――そして、堕ちる。
俺の狂気に反応したのかフェイスは俺からさらに距離を取る。が、もう遅い。
「さア、ゲーむをつヅケよう」
俺は嗤いながら両手にナイトメアとハーメルンの魔笛刀を握りしめていた。
「ま,参りました」
レーヴァテインの炎が消えると同時、フェイスが膝をつき敗北を宣言。よってゲームは俺が勝った。
「・・・うそ」
「ヤホホ・・・・まさかあのフェイスが」
俺の後ろのほうにいるジャックたちが驚きを隠せないかのようにぼやいていたが俺は気にせずフェイスの手を掴み立ち上がらせる。
「・・・・二度と、貴方とは戦いたくありません」
「あれま、嫌われちゃったな。まあ、仕方ねえけど。約束通り召喚料は無料で頼むな」
俺の言葉にフェイスは頷いて応えると耀たちのところへと向かった。俺は自分のギフトカードを見て見ると
"
ようやく出て来た俺の新たなギフト。
これなら大抵の奴には勝てるいや、壊せるな。
そう思いながら俺は耀たちのところに行きアンダーウッドの螺旋階段を上がり、網目模様の樹の根を上がって川沿いの地表に来ていた。
「黄道の十二宮・・・・だったか?なあ、黒ウサギ、ハロウィンと太陽、黄道十二宮ってなんか関係性があるのか?あと今はいている下着の色は?」
「ハロウィンは元々、一年間の太陽の周期を二分化して行われる祭事を指します。そして周期が変わるその時に、異世界の境界が崩れるのです。それと黒ウサギの今の下着の色は・・・・ってどさぐさにまぎれて何訊いてくるのですかーーーーーッ!!」
俺のボケにしっかりとツッコム黒ウサギ、そして、飛鳥と耀から若干冷たい視線が送られてくるがまあ、無視しよう。やっぱり一番の問題は耀の希望通りのヘッドホンが召喚されるかどうかだな。巨人の襲来もあって今日の夜には十六夜も来るし成功すればいい感じに仲直りが出来ると思うのだけど。
そうして、いよいよ、陣形が満たされたとき儀式が終わったと同時出てきたのは・・・・・・
炎のトレードマークがついたネコミミヘッドホンだった。
「可愛い!そのヘッドホン凄く可愛いわ春日部さん!」
飛鳥は目を輝かせながら喜んでいたが、逆に耀の顔は困惑に満ちているにたいして俺や黒ウサギは微妙な表情をしていた。
「あ、あのネコ耳を十六夜さんに贈るのですか?」
「さ、さあ?耀さんが判断するんじゃないかな?」
「ヤホホ・・・・・でも、意外と喜ぶのではないでしょうかねえ?」
「いや、それはないだろう。もし、そうなら俺は引くぞ」
見て見たいという好奇心はあるが・・・・・・十六夜にネコミミ・・・・・・ブッ!
内心で思わず笑いを吹きだしてしまった。
それからフェイスが耀のギフトを見て意味深なことを伝えると同時この場から去って行った。
「・・・・・結局、ヘッドホンの問題は未解決ですか?」
黒ウサギの言葉に耀は疲れたかのようにため息を吐いた。
はぁー、仕方がないな。
俺も自分のお節介に内心ため息を吐いた。
「黒ウサギ。ちょっと十六夜のところまで付き合ってくれ」
俺は黒ウサギにそう頼み十六夜のところへと向かう。
「篝さん。いったいどうするのでございますか?」
「十六夜のことだ。犯人はもう三毛猫だということはわかっているはずだ。だから俺が耀の代わりに謝って耀を許してもらえるように頼んでみる」
まあ、十六夜も普段は問題児だがそういうところはしっかりしているから結局のところ耀も謝ることになるだろうがそれでも耀に対する罰は軽くしてくれるだろう。
「篝さんはお優しいのですね」
黒ウサギが小さく笑いながらそう言ってきた。
「何言ってんだ。俺は優しいに決まってんだろ。あまり冗談を言うと舐めるぞ」
俺の言葉に黒ウサギは身構えるように俺から距離を取る。
「何をですか!?」
「え、キャンデーの決まってんじゃん。何身構えてんの?あ、もしかして期待してた?なら期待通り黒ウサギの体をペロペロと」
「このお馬鹿様ッ!!」
そんな感じで黒ウサギを弄っていると十六夜のところまで到着した。
「・・・・黒ウサギ?篝もか。どうしたんだ?」
「ちょっとな。十六夜こそ何やってんだ?」
「敵情視察。アンダーウッドの大瀑布のな」
アンダーウッドの大瀑布?
「南側の下層で、屈指の景観を持つ水舞台。"世界の果て"の迫力とスケールには劣るものの、美しく整えられた土地は、さすがの俺も認めざるを得ない。・・・なあ、黒ウサギ、篝。俺達も、こんな舞台を作りたいと思わないか?」
「なんだよ。要はここを超える舞台を作りたいってことだろ。面白そうだ」
俺と十六夜は高らかに哄笑し合うなか俺は本題を思い出した。
「あ、そうだ。十六夜、気づいていると思うがお前のヘッドホン」
「ああ、あれか。春日部の三毛猫が自供でも開始したか?」
やっぱり気づいていたんだな。
「なら話が早い。耀も今起きていることが終わればしっかり詫びと一緒に謝るから許してやってはくれねえか?」
「許すも何も。どうせ素人が作った代物だ。一銭の価値もない。焔のご要望通り、広告塔としてつけてやっていただけだ」
十六夜の言葉に黒ウサギも安堵の息を漏らした。
「そんなことより、手紙に書いてあった"クイーン・ハロウィン"の寵愛者ってのがよほど気になるね。強いのか?」
「強いですね。ですが篝さんは勝ってしまいました」
「へぇ?」
おーい、十六夜よ。そんな新しいオモチャを見つけた目で俺を見ないでくれ。俺の場合勝ったじゃなくて相手が負けるように仕向けただけだからな。
俺は十六夜の視線から逃れようと空を見上げたととき変化が起きた。それに黒ウサギも十六夜も気づいた。俺たちの見間違いでなければ一瞬、複数の星が光を無くしたからだ。だが異変はそれだけじゃなかった。
――――――目覚めよ、林檎の如き黄金の囁きよ。
目覚めよ、四つの角のある調和の枠よ。
竪琴よりは夏も冬も聞こえ来たる。
笛の音色より疾く目覚めよ、黄金の竪琴よ――――――!
「この詩は・・・・まずい、黒ウサギ!巨人族から奪った"黄金の竪琴"は何処だ!?」
「そ、それならサラ様が管理しているはずですが、」
「すぐに破壊しろ!!あの竪琴は――――」
『―――如何にも。貴様の想像通り、あの竪琴は"来冠の書"の紙幣より召喚されたトゥハ・デ・ダナンの神格武具。敵地にあって尚、目覚める歌で音色を奏でる神の神器だ』
周囲に反響しながら響く謎の声。俺や十六夜、黒ウサギは背中を合わせ警戒し俺は手元にデュランダルとイージスを構える。
『急ぐな、"箱庭の貴族"とその同士よ。今宵は開幕の一夜。まずは吸血鬼の姫――――"魔王ドラキュラ"の復活を喜ぶがいい――――!』
刹那、夜空が二つに裂け、暗雲に包まれた稲光を放ちアンダーウッドの空を昏く染め上げていく。そこで俺はそれが視界で捉えるよりも早く感じ取った。
『神話にのみ息衝く最強の生命体―――――龍の純血種だ―――――!!!』
「―――――――GYEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaEEEEEEEEEEEEEEEYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaa!!!」
全身が雲海に隠れて見えないほど巨大な龍。
「巨龍・・・・・」
タンニーンと同じ最強種の龍であり純血種。だが、あちらは本物龍だ。
そこから事態は急変した。見張り台の金が鳴り、巨人族が再び攻めてきた。それだけではなく巨龍の鱗の一枚一枚から巨亀や大蛇となって街へ襲い始めた。
「鱗から分裂して新種を作り始めた・・・・・?まさか、本当に龍の純血種だというのですか!?そんな、本物の最強種が下層に現れるなんてッ・・・・・!!」
「ごちゃごちゃ言ってる場合かッ!すぐに降りるぞ!」
「急げ黒ウサギ!」
俺と十六夜の一喝に黒ウサギは我に返り俺たちは大樹の頂上から飛び降りようとしたとき、地下都市から高速で飛翔するローブの詩人とその腕には
「レ、レティシア様ッ!!!」
レティシアが捕らわれていた。
「黒ウサギ・・・・・十六夜・・・・篝・・・・・!」
「レティシア!今助ける!」
俺はアキレウスの靴を装着し、一気に近づこうとするが
「―――――十三番目の、太陽を・・・・・!」
「え?」
レティシアの言葉に俺は足を止めてしまった。そして、レティシアの言葉に耳を傾ける。
「十三番目だ・・・・・十三番目の太陽を撃て・・・・・!それが、私のゲームをクリアする唯一の鍵だ―――――!!」
断末魔に似た叫びと共に、レティシアは巨龍に飲み込まれ光となった。その光は黒い封書、魔王の
『ギフトゲーム名"SUNSYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIREKING
・プレイヤー一覧
・獣の帯に巻かれた全ての生命体。
*但し獣の帯が消失した場合、無期限でゲームを一時中断とする。
・プレイヤー側敗北条件
・なし(死亡も敗北と認めず)
・プレイヤー側禁止事項
・なし
・プレイヤー側ペナルティ条項
・ゲームマスターと交戦した全てのプレイヤーは時間制限を設ける。
・時間制限は十日毎にリセットされ繰り返される。
・ペナルティは"串刺し" "磔刑" "焚刑"からランダムに選出。
・解除方法はゲームクリア及び中断された際にのみ適用。
*プレイヤーの死亡は解除条件に含まれず、永続的にペナルティが課せられる。
・ホストマスター側 勝利条件
・なし
・プレイヤー側 勝利条件
一、ゲームマスター・"魔王ドラキュリア"の殺害。
二、ゲームマスター・"レティシア=ドラクレア"の殺害。
三、砕かれた星空を集め、獣の帯を玉座に捧げよ。
四、玉座に正された獣の帯を導に、鎖に繋がれた革命主導者の心臓を撃て。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
" "印』