『ガアッ!?』
黒い
「ハははハハハハ覇葉ハハハハはッ!!」
しかし、グライアは激痛に気にするほどの余裕がなかった。グライアと同様、全身を血まみれになりながらも嗤いながらデュランダルで攻撃してくる篝から目を逸らすわけにはいかなかった。
これが、この小僧の魔王としての
グライアは内心で先程の
『グライア。一つ忠告しておくよ。篝兄さんに会ったら絶対に戦っちゃダメだ』
『ほう、貴様がそこまで言う程強いのか?貴様の兄は』
興味本位で聞き返したグライアの言葉に誠は首を横に振る。
『いいや、多分普通に戦えばグライアが勝つよ。でもね、篝兄さん相手に勝敗なんて何の意味もないんだよ。一つ訊くけどグライアは恐怖を感じたことはあるかい?』
『当然だ。生き物全てにおいて恐怖を感じぬ者は存在せん』
当然とばかりいうグライアに誠は更にこう言った。
『なら、痛みは?苦しみは?悲しみは?怒りは?憎しみは?屈辱、恥辱、雪辱、後悔、ありとあらゆる負の感情を全て感じたことはあるかい?ちなみに僕はないよ』
『・・・・何が言いたい?』
『僕の兄、霧谷篝はそれら全てを感じ、一度死んで死人として生きている』
『それがどうした?私ではその死人と戦ったら死ぬとでも言いたいのか?』
『死ぬ・・・か。いや、そっちのほうがまだいいかもしれないね』
哀しみにも聞こえるその言葉にグライアは疑問を抱いていた。
『グライア。この世で一番恐ろしいのは死じゃない。それ以上に恐ろしいのが二つある。篝兄さんはその内一つを体験し、何も感じないようになった。それが篝兄さんを死人という理由だよ』
フン、今になってあの小僧の言葉を理解するとはな。だが・・・・。
グライアは憐れむような瞳で嗤いながら攻撃してくる篝を見ていた。
憐れな。痛みも何も感じずただ生きている貴様はこの先も何も変わることなくこの世界を彷徨うだろう。なら、ここで私が終わらせてやる。
グライアは口内に炎を蓄積し、熱線を篝に向けて放とうとしたが
『グッ!?』
突然の息苦しさがグライアを襲い、口内に蓄積していた炎を消してしまった。
「狂しイ!苦強いよな!?折れモダよ!」
苦しいと叫びながらも篝はレーヴァテインの炎を刀身に纏い、グライアの腕を斬りつける。
「ハ母葉ハははハハハはハハハㇵッ!!」
全身が血まみれで呼吸することさえ苦しいにも関わらず篝の表情は狂喜に満ちていた。そんな篝を見てグライアの背筋に阿寒が走った。
楽しんでいるというのか!?この痛みを!苦しさを!
「恐怖・・・・下ナ」
『ッ!?』
急に嗤うのを止めグライアに向けてそう言い放つ篝にグライアは目を見開いた。
「俺二・・・恐怖し他ナ」
そう言う篝は先程以上にニヤリと嗤う。それを笑いを見たグライアは直感的に感じ取った。
危険すぎる!この小僧はここで殺さなければならんッ!
グライアはもう一度熱線を放つが篝はその熱線を躱す。しかし、その躱した先にグライアが爪を立て斬り裂こうと篝に攻撃するが篝は翼を出し、空を飛ぶことでそれを躱す。
『くたばれ!小僧ッ!』
怒声と共に放たれた熱線は真っ直ぐ篝に向かって行くが篝に当たる直前、消滅するかのように消え去った。
「残念ざんネン」
馬鹿にするかのような言葉にグライアはもう一度熱線を放とうとしたが放つことが出来なかった。
『なっ!?』
突然、熱線が放てなくなったことに驚愕するグライア。しかし、それが命取りになった。
「好きアり」
篝は驚愕しているグライアの隙を突くかのようにグライアの両翼をデュランダルで斬り刻んだ。
『オオオオオオオオオオッォォォォォォォォ―――――――!!!』
断末魔に似た絶叫をあげるグライアは落下し、落下した瞬間を見計らうかのように篝はデュランダルをしまい、ガーンデヴァを取り出し、グライアの両手両足を縫いつけるように射て動きを封じ、そして篝もグライアの近くに着地するとガーンデヴァをしまい、レーヴァテインを取り出して刀身に炎を纏わせ嗤いながらグライアに近づく。
『な、何を・・・』
「まずハ目ヲ」
『グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
篝は嗤いながら刀身に炎を纏ったレーヴァテインをグライアの目に当てグライアは悲鳴を上げる。
「次二牙を」
デュランダルを取り出し牙を斬り裂き
「つぎ覇ユビを」
口を龍化させ鋭い牙でグライアの指を一つ一つ食い千切る。
「龍カクを」
フルンティングを取り出しそれをグライアに刺しフルンティングにグライアの生き血を吸わせるとグライアの龍角を斬った。それから篝は嗤いながらゆっくりとグライアの体を解体するかのように斬りつけていった。そして、篝は瀕死の状態にまでグライアを解体するとグライアはこぼれる様にこう言った。
『・・・・・殺せ』
「いや」
即答だった。すると、篝は嗤うのを止めた。
「殺せ?何甘いこと言ってるんだ?この状況でお前の命をどう扱おうが俺の勝手だろう?それにまだゲームは終わってない。痛み、苦しみ、恐怖、消滅、後三つ残っているだろう?それだけ痛めつけてもまだ命乞い一つもしないとは見事な精神力。だけど、どれだけ心が強かろうと弱点はある」
篝はグライアの胸に刻まれている生命の目録を指すとグライアの表情が強張った。
『まさか・・・貴様・・・・ッ!!』
「その反応からしてそこがお前の弱点か」
フルンティングを持ちグライアの胸に刻まれている生命の目録に近づく篝にグライアは焦り始めた。
『止せ・・・ッ!それが戦士のすることか!貴様には情というものがないのか!?』
グライアの言葉に篝は鼻で笑った。
「ハッ!何言ってやがる。俺は別に戦士でもなければ騎士でもねえ。なりより」
死人に情なんてあるわけないだろう?
そう告げる篝。グライアは惨めにも体を動かし逃げようとするが瀕死の状態である今篝から逃げるのは不可能だった。
『やめろ!やめろやめろやめろやめろやめろ――――――――――!!!』
「下手な足掻きは己の格を下げるぞ。これ、お前が耀に言っていたよな?ククク、無様だな」
再び嗤い始める篝はとうとうグライアの胸元にまで到着し、フルンティングを振り上げる。
「絶望と共に死にな」
篝は刻まれている生命の目録に目掛けてフルンティングを振り下ろした。
『やめろ―――――――――――――――!!!』
悲痛とも言える悲鳴を上げるグライア。
「ああ、止める」
生命の目録寸で篝は振り下ろすのを止めた。それを見たグライアは息を荒くしながら篝に視線を送ると篝はグライアに告げる。
「殺さないでいてやるよ。その代わり、二度と耀に手を出すな。次に耀に手を出したら殺す。わかったか?」
その言葉にグライアは静かに首を縦に振る。それを確認した篝は満足そうに頷きグライアに背を向け耀のところに向かい、姿が見えなくなるのを確認したグライアは安堵の息を漏らす。
グサッ!と聞こえた音と同時、胸にほうから痛みが走った。回復しかけている目を酷使しながらぼやける視界でそれを確認すると刻まれている生命の目録の中心に一本の矢が突き刺さっていた。
『あ・・・・ああ・・・・・』
グライアは自身の内側にある何かが崩れる音と共に意識を失った。
「さようなら、グライア。お前の敗因はノーネームと耀に手を出したことだ。絶望を知り、無の世界でも彷徨ってろ」
しかし、思った以上に上手くいくものだな。
俺はもう一度自分の手元に黒い
「ナイトメアとハーメルンの魔笛刀で作った擬似
ギフトカードを取り出し俺は感覚共有の文字を見てため息を吐いた。
「でも、全然共有出来てねえよな?このギフト。俺が一方的に出来るだけじゃん。感覚支配の間違いじゃねえのか?」
感覚共有。俺と他者との感覚を共有することが出来る。視覚なら視覚を、痛覚なら痛覚を共有できるって黒ウサギが言っていたがもしかして、共有する相手の許可がないと俺が一方的に共有できるだけなのか?いや、今はこれはいい。耀のところに行かないと。あ、いた。
「耀。終わ」
終わったぞと言いたかったが耀の姿を見て言えなかった。
「・・・・・・・・」
体を震わせ、イージスで全身を隠すように構え怯えた目で俺を見る耀の姿を見て俺は何も言えなかった。
まぁ、無理もないか。あんな狂気を見せたら普通はそうなるよな。
俺は耀に背中を向け翼を広げる。
「耀。俺は今から下へ行って飛鳥や黒ウサギ達のところへ行く。イージスは持ってろ。何か役には立つはずだ。それともう無理して俺に近づく必要はないぞ。その反応は当たり前の事なんだからし、慣れているから俺は気にしない」
それだけを言って飛ぼうとしたのだが。
「・・・・何してるんだ?耀」
耀が俺に抱きついてきた。手を震わせながら。
「無理をするな、手が震えているぞ。怖いのならそれは当然だ。お前は今、俺の本性を怪物を見たんだから」
「・・・・・・違う。篝は怪物なんかじゃない」
「どこがだよ?狂気に飲まれ、暴れ、敵をいたぶるのに快楽を覚えた俺のどこが怪物じゃないんだよ」
そう、ペルセウスの時も同じだ。俺はルイオスを心をいたぶるのに快楽を感じた。喜びも、楽しみも何も感じないはずの俺が敵をいたぶることに快楽を覚えるなんて。怪物以外何者でもない。
「篝は怪物じゃない。だって篝は優しいから」
「優しい?俺のどこが?」
何をふざけたことを言っているのやら。
「だって、篝は私を安心させるためにああしたんでしょう?そうじゃなかったら見せる必要がないから。それなのに篝は私に見せた」
違う。違うんだよ、耀。俺はそんなつもりはなかった。ただ試したかっただけだ。新しいギフトを、相手の心をどれだけ壊せるかを。
耀の言葉を否定するかのように俺は内心そう考えていた。それなのに耀は・・・。
「怖がってごめん。それと、ありがとう」
謝罪、礼を言う耀の手はいつの間にか震えが収まり、抱きついてくる耀に俺は心の中で渦巻く感情を抑えていた。
何なんだ、何なんだよこの気持ちは・・・・・ッ!この胸を締め付ける様な暖かさは・・・・・・!
わからない。理解できない。そんな感情が俺の心で渦巻いていた。
この気持ちはなんだ?この暖かさはなんだ?何でこんなにも燃えるように暖かいんだ。この気持ちは、この感情はいったいなんなんだよ!?
痛みではない、苦しみでもない。理解できない感情を俺は必至に抑え、冷静になりながら耀に言った。
「耀。俺に抱き着くときは黒ウサギ並みに胸をデカくしてからにしろ!」
次の瞬間、光り輝く何かが俺の腹部に直撃し俺はふっ飛ばされた。
なんだ?今のは?
「あれ?」
呆気とられるような耀の声を聞き俺は視線を耀に向けると耀の両足に白銀色のレッグアーマーが顕現していた。
「ねえ、篝。これどういうこと?」
耀も目をパチパチさせ自分の足を指しながら俺に問いかけてきた。
いや、俺が知るわけないじゃん。ん、待てよ。
俺はあることに気づき、苦笑してしまった。
「耀。お前が自分の胸に対する怒りが臨界点を突破して新たなギフトを生み出したんだ!」
ドゴン!
「ごふっ!」
「・・・・ふざけは駄目」
無表情ながらも怒りのオーラを出し俺の顔面を踏みつける耀に俺はまともに答える。
「多分、それがお前の
「・・・・・でも、全然違う」
「そりゃそうだろう。自分の娘を化物のような姿にする父親か?お前の親父さんは」
「・・・・・・そっか」
嬉しそうに
良い親父さんを持ったな、耀。ところで・・・・。
「耀さん。早く足をどかしていただけると嬉しいのですが」
「・・・・・・・・・」
「痛い!痛い痛い!何でグリグリするの!?俺はMじゃねえから気持ちよくもなんともねえよ!」
「ムカついたから」
「そんなに気にしていましたか!?安心しろ!世の中には貧乳のほうがいいと言う奴も」
その後、俺の首から上は地面に埋まれ引き抜くのに時間が掛かりました。
まぁ、俺は黒ウサギの胸が一番だけど。ハァ、いつか揉みたいな・・・・・。