『ギフトゲーム名"SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING"
勝者・参加者コミュニティ"ノーネーム"
敗者・主催者側コミュニティ" "
*上記の結果をもちまして、今ゲームは終了となります。
尚、第三勝利条件の達成に伴って十二分後・大天幕の開放を行います。
それまではロスタイムとさせていただきますので、何卒ご了承下さい。
夜行種は死の恐れもありますので、七七五九一七五外門より退避して下さい。
参加者の皆様はお疲れ様でした』
「・・・・・・リン。勝利条件がクリアされたみたいだな」
「うん。でも天球儀の欠片にまで辿り着いたなら遅かれ早かれクリアしていたと思うよ」
はぁ、とため息を吐いて展望台の椅子に腰かける白髪の少年。その背後から声をかける者がいた。
「やぁ、殿下、リン。ん?どうしたんだい?殿下。珍しく落ち込んでいるじゃないか」
「・・・・誠か。グー爺はどうした?」
「しばらくは戦線から離脱したほうがいいね。ま、篝兄さん相手にその程度で済んだんだ。野生の生存本能は凄いものだね」
誠の言葉を聞いた殿下は安堵の息を漏らす。
「そうか。それと落ち込みたくもなるものだ。グー爺は戦線から離脱、死眼は割られる。おまけに手駒の魔王も失ったんだ」
「そうだね。特にあの龍は誰かが器と主権を切り離したせいで、暴走状態に陥ってる。無差別に襲わせるなら最高の手駒だったのに」
残念だねー、と相槌を打つリン。
「反省は必要だけど、過ぎたことを考えすぎるのはよくないよ。今回でノーネームの戦力を図ることが出来ただけでも良いと僕は思うよ」
「あ、そういえば誠さんのお兄さんもあの"ノーネーム"の一員だったね」
「ああ、グー爺を倒したあの男か」
「まあね。殿下、勧誘したいのならしてもかまわないよ。でも、力づくは止めたほうがいい。こちら側で篝兄さんと戦えるのは僕か、殿下ぐらいだろうから」
「え?私は駄目なの?」
リンの言葉に誠は頷く。
「うん。あ、でも普通に勧誘するのならまだリンでも大丈夫かな?でも、気をつけてね。一瞬でも隙を見せたら壊されるから」
「はーい」
「まぁ、次に出会うようなことがあれば・・・・・その時は、俺も遊んでもらおうかな」
それだけを言い残し、三人は共に姿を消す。
三人が去った後には何一つとして痕跡らしいものが無く、外門の周囲には100体にも及ぶ魔獣の死骸だけが散乱していた。
「まったく、耀め。置いていくなんて酷いぞ」
何とか首を引き抜くことが出来た時にはすでに耀の姿が無かった。俺を埋めた後一人でレティシアのところへ向かったんだろう。その時、
勝ったか。じゃ、後は囚われのメイドを助けるだけだな。
そう思いながら少し遅れて俺は耀たちがいるであろう吸血鬼の古城にある玉座へと到着すると
「馬鹿な・・・・見損なったぞ十六夜。お前はもっと聡明な人間だと思っていた。コミュニティを任せられる男だとッ・・・・!なのにそんな、無責任な事を言うなんて・・・・・!」
「ああ、そうだな。死に行く身内を止めるどころか、一緒に死地へ向かうってんだからな。俺はきっと無責任なんだろう。・・・・・だがな。責任を背負おうともしない奴は、臆病者の卑怯者だ」
十六夜とレティシアが言い争っていた。いったいどういう状況?
「悲劇になりきれねえのなら、俺がこの手で喜劇に変えてやる。―――――だから覚悟しろ。俺たちは巨龍を倒して―――――――完膚なきまでに救ってやるからな」
そう言って耀と十六夜は玉座から出ていった。
え?俺、また置いてけぼりですか?酷いよ、二人とも。
「篝!頼む!あの二人を止められるのはもうお前だけだ!あの二人を止めてくれ!」
「どういうことか状況の説明プリーズ」
「俺が教えてやる。時間がねえから簡潔でいいか?」
それから俺は猫耳の老人ガロロの爺さんからこれまでのことと、大天幕が開放されるとレティシアと媒介している巨龍が太陽に直射されるとレティシアが死ぬということまで簡潔に教えてもらった。
残り数分ってっところか。
「頼む・・・・・。私はもう同士を殺したくないのだ。お前ならわかってくれるだろう?」
同士を殺したくない、か。そりゃ、そうだろうな。普通はそうだろう。死んでいく奴と残された奴。どっちが辛いと言ったら確実に残された奴だ。レティシアの考えは全然おかしくない。でもな・・・・。
「ク・・クク・・・ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
可笑しすぎてもう笑いが出る。ああ、本当に笑える。腹の底から本当に可笑しすぎる。
突然笑い出した俺にレティシアもガロロも絶句していたが俺は笑うことを押さえる。
「ハハ・・・・ハハハハハ・・・・レティシア。お前の考えは全然おかしくねえよ。それは至って当然の考えだ。ああ、そうだな。誰だってそうだ。残されてその辛さから逃れたいのなら死んだほうがまだマシだ」
「な・・・なら何故笑う!?そこまで可笑しいのか!?私が同士を殺したくない思いを何故笑う!?」
「甘すぎるからだよ」
俺がそう言うとレティシアは再び絶句していたが俺は構わず続けて言った。
「甘い、ああ甘すぎる。街中でイチャイチャするバカップルを見て『ケッ、このリア充が』ってほざきながらコーヒーを一気飲みしたいぐらい甘いんだよ」
本当に甘ちゃんだよ。十六夜も耀も飛鳥も黒ウサギもレティシアも。
「レティシア。お前が同族殺しという汚名を背負ったのも魔王になったのも誰かの入れ知恵だろう?そして、あの
「・・・・・・そうだ。
へぇ、そんな奴もいるんだな。この箱庭には。
「全てを捨ててか。それは辛い選択だったんだろうな。だから可笑しんだよ。この甘ちゃんが!」
レティシアの胸ぐらを掴もうとしたが掴めなかったので俺はレティシアに怒鳴りつけるように叫んだ。
「まだ気づいてねえようから教えてやるよ!お前はまだ幸せもんなんだよ!少なくともお前には選択する権利はあった!そこで死ぬことも魔王になることも選ぶことができるだけでお前は幸せもんなんだよ!理不尽を!不条理を!苦痛を!絶望を!何もかも全部選ぶことも出来ず受け入れなければならない奴だっているんだよ!死ぬことがどれだけ楽か!どれだけ辛い事かお前にはわからねえだろうな!」
「ち、違う!私はただ、コミュニティを、仲間のためを思って・・・・・!」
「自分と同じものを背負わせることが仲間の為だと・・・・・ッ!ハッ!本当に笑えるよ、レティシア!お前は本当は死ぬことで自分の背負っているものから開放されたいだけなんじゃねえのかよ!?」
いったい俺は何故叫んでいるんだ?なんでこんなにも苛立っているんだろう?
「いいか!一度背負ったものは死んでも背負わなければならねえんだよ!どれだけ他人を救っても!どれだけ辛いことがあっても!どれだけ傷つこうとも!どれだけ償おうとしても一度背負ったものはそれを永遠に背負わなければならねえんだよ!」
わからない。何で俺はこんなにも感情がむき出しになっているようなことをしているんだ?
「死にたいのなら俺がお前を殺してやる!例え黒ウサギや十六夜たちが邪魔をしようが必ず殺してやる!だけど、忘れるな」
ああ、そうか。似ているからか。
「死んでも逃れられないものものだってあるんだ」
俺とレティシアが・・・・・・いや、違うか。
俺はそう思いながら玉座から離れ古城の外へ出ると決着が着こうとしていた。
「見つけたぞ・・・・・十三番目の太陽―――――!!」
十六夜の両手に抑えた光の柱を束ね、巨龍の心臓を撃ち抜き、巨龍の体は静かに消えていくなか心臓から零れたレティシアを耀が抱きとめていた。
これで、本当に終わりだな。
「起きたか」
アンダーウッド主賓室にてレティシアが目を覚ました。
「・・・・・・私は、」
「二日、三日寝ていただけだ。体に問題はねえよ」
「・・・・・・・もしかして、ずっと起きるのを待っていてくれたのか?」
「まあな。酷い事を言った責任も兼ねてな」
ま、ずっと本を読んでいたから特に待ってはないが。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
しばらくの間無言が続くなかレティシアが口を開いた。
「・・・・・篝。一つ訊いてもいいか?」
「好きな女の子のタイプは黒ウサギです」
「はぐらすな」
「大真面目に言ったのに・・・・・」
まったくおふざけを知らないな、レティシアは。
「お前にとって私は幸せ者の甘ちゃんなのか?」
「ああ、少なくとも俺にとってはな。理由教えてやろうか?」
俺がそう訊き返すとレティシアは頷いて応えた。
「同族殺しの時も今回のギフトゲームの時もお前には手を差し伸ばてくれた奴らがいるだけでお前はまだ幸せ者だ。その結果、どれだけのものを背負うことになろうともほんの少しでも何かを掴めたのならそれはまだ幸せ者だ。俺が甘ちゃんって言ったのもその救いの手を自分から拒絶していたからだ」
続けて俺は言った。
「本当に辛いのは救いの手を差し伸ばされない時だ。本当の孤独を知ったとき、人は初めて死ぬんだよ」
「・・・・・・篝。まさかお前が自分の事を死人と言う訳は」
「そう。その通りだよ、レティシア。俺は孤独を知り死人となったんだ。さて、話はこれで終わりだ。黒ウサギ達を呼んでくるからもう少し横になっていろ」
「待ってくれ。篝」
俺は椅子から立ち上がり部屋から出ようとしたがレティシアに止められた。
「どうした?」
「手を伸ばしてはくれないか?」
手を突きだしてくるレティシアに俺はレティシアの言うとおりに手を伸ばすと俺の手をレティシアは握ってきた。
「篝。お前は私を救ってくれた。なら、今度は私がお前を救おう。お前が救いの手を求めているのなら私が必ずその手を握ってやる。このようにな」
「・・・・・お前を助けたのは俺じゃなくて十六夜たちだぞ」
「わかっている。私が言っているのは別の意味でだ」
別の意味?なんなんだよ、そりゃ。
苦笑しながら俺はレティシアが離してくれるまでずっと手を握り合っていると突然、レティシアがこう言ってきた。
「ところで、篝。話は変わるが黒ウサギとは上手く行っているのか?」
「ん?いや、中々難しいもんだ。全然進展がねえ」
まったく、いつになったら俺の彼女になってくれるんだろうな黒ウサギは。早くあの胸を、脚を堪能したいな。そして、それに恥ずかしがる黒ウサギの顔も見て見たい。
「ふふ、そうか」
俺の言葉にレティシアは何故か嬉しそうに笑っていた。
おいおい、笑わないでくれよ。こっちは毎日毎日頑張ってるんだぜ?あー、そういえばペルセウスの時の返事をまだ聞いてなかったな。今度聞いてみるか。
「すまない、篝。黒ウサギ達を呼んできてくれ」
「ん?ああ」
手を離し、俺は黒ウサギたちを呼びに行こうとドアを開けようとした瞬間
「っ!」
「篝さん!さすがに三日立て続けは・・・・って、レティシア様!お目覚めになりましたか!?」
「ああ、つい先ほどな」
ふぅ~、危なかった。黒ウサギめ。今の反射的に避けなかったら今頃俺の鼻潰れていたぞ。まぁ、今は大目にみてやるか。俺の寛大さに感謝しろよ、黒ウサギ。
「黒ウサギ。俺は十六夜たちを呼んでくるからお前はレティシアと一緒にいろ」
「YES!了解したのですよ!」
それだけを聞き、俺は部屋から出ていった。
「さて、主殿もいなくなった。黒ウサギ。一つ訊きたいことがある」
「はい、何でございましょうか?レティシア様」
篝が部屋から出ていくこと確認したレティシアは黒ウサギに問いかけた。
「黒ウサギよ。お前は篝のことが好きか?」
「っ!?!?!?」
一瞬で髪が淡い緋色になった黒ウサギだが顔は髪の色以上に真っ赤に染まっていた。それを見たレティシアは何も言わずただ納得するかのように頷き、イタズラな笑みを浮かべながら黒ウサギに言った。
「黒ウサギよ。早くしなければ私が篝を貰うぞ?」
「な・・・・なな・・・・」
「フフフ」
その言葉に黒ウサギは開いた口が塞がらなかったに対してレティシアはただ笑っていた。