俺が異世界に来るそうですよ?   作:ユキシア

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ギフトネーム

「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

 

突然現れたガルド=ガスパー。そいつからコミュニティの名と旗印の重要性とジンのコミュニティが何故衰退したのか、その理由がわかった。

 

魔王か・・・・そんな奴もいんだな。さてさて、久遠さんたちはどうするかな?

 

俺はもう黒ウサギのコミュニティに行くつもりだが事情を今、初めて知った久遠さんたちはどちらを選ぶんだ?

 

「・・・・で、どうですかレディ&ジェントルマン達。返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴方達には箱庭で三十日間の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達"フォレス・ガロ"のコミュニティを視察し、十分に検討してから」

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

 

まるで何事もないかのように紅茶を飲み干す久遠さん。

 

「春日部さんは今の話をどう思う?」

 

「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの」

 

「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら?私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

 

「ああ、俺もいいか?何か春日部さんとは気が合いそうだし」

 

「・・・・・うん。飛鳥も篝も私の知る人とはちょっと違うから大丈夫かも。篝も私のこと耀でいい」

 

『よかったなお嬢・・・・お嬢に友達ができてワシも涙が出るほど嬉しいわ』

 

なんか・・・・猫が泣いているように見えるが気のせいか?

 

「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」

 

顔を引きつらせながら咳払いして落ち着きを取り戻すガルド。あきらかに動揺しているな。

 

「私、久遠飛鳥は裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ。それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力に感じるとでも思ったのかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、このエセ虎紳士」

 

ブッ!・・・・くく、上手いな、久遠さん。

 

心の中で笑いをこぼす俺にガルドが問いかけてきた。

 

「・・・・それでは、そちらのジェントルマンは?」

 

「ん、俺?そうだな・・・俺は正直どっちに入ろうがどうでもいい」

 

「な、なら!『だが』」

 

俺は表情を変えずガルドに言い放つ。

 

「お前みたいな嘘つきのところには行きたくねえな。なぁ?ガルド=ガスパー」

 

まぁ、嘘を吐いたのは黒ウサギも同じだが・・・。黒ウサギのはまだいいほうだ。

 

「し、失礼ですが・・・・私がいったいいつ嘘を?」

 

「じゃあ、訊くがお前、どうやって自分のコミュニティの名と旗印を上げることが出来た?」

 

「それはもちろんギフトゲームで」

 

「それはわかってんだよ。俺が訊きたいのはどうやってギフトゲームに勝った、だ」

 

「あら、貴方も気づいていたの?」

 

「そのセリフを言うことは久遠さんも、か」

 

意外に洞察力が高いな。こいつも。

 

「飛鳥でいいわ。私も篝君と呼ばせてもらうから」

 

年下に君付けで呼ばれるのは変な感じがするが、まあいっか。今はこいつの尋問だ。

 

俺は再び視線をガルドも向け問いかける。

 

「お前がギフトゲームに勝ってコミュニティを強くしたのはわかった。だが、ギフトゲームをするには両者同意。先程のお前の説明で名と旗印は自分のコミュニティにとっての全財産。それを簡単に賭けるなんてどう考えてもおかしい。それだけ追い詰められていたのか、強制されたのか。そのどちらかだ。もう一度訊くぞ?どうやって自分のコミュニティの名と旗印を上げた?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

黙ったか・・・・。ならこれでほぼ確定だな。

 

「当ててやろうか?お前はゲームをするコミュニティの女子供を攫って強制的にギフトゲームに参加させ、それで勝利した」

 

「ちょっと待って。どうして誘拐だってわかったの?」

 

「簡単だよ、耀。それが一番堅実で確実だからだよ。他にも色々方法があるだろうけど、ゲームに勝ったあともそのコミュニティを支配しなければならない。だからこそ、女子供を攫い監禁したほうが効率がいいんだ」

 

それだけで済めばいいんだがな・・・。こいつはそれ以上の外道だ。

 

「証拠は・・・・・そこまで言うのでしたら証拠はあるのですか?」

 

「いいや、証拠なんてねえぞ。お前みたいな奴はそういのに敏感だからな。それに自分のコミュニティの奴らに女子供を食べさせているんだろう?お前の髪とそのタキシードに僅かだが血が付いているぜ」

 

「ッ!?バ、バカな!?ガキどもの返り血はちゃんと・・・ッ!」

 

次の瞬間、目を見開き驚愕するガルド。そこで初めて気づいた自分の失態。

 

「今の聞いたか?飛鳥、耀、ジン」

 

「ええ、しっかりとこの耳で聞いたわ。流石は人外魔境の箱庭ね」

 

「私もしっかり聞いた」

 

「僕もです」

 

同意する飛鳥たちに対して怒りで体を震わすガルド。

 

「て・・・てめえ、カマをかけやがったな・・・・」

 

「当たり前だろ?証拠がなければ作ればいい。それと俺に嘘は通用しない。嘘つきに嘘なんて自殺行為だぜ、まぬけの虎紳士」

 

「こ・・・・・このガキがィィィィィィィ!!」

 

雄叫びと一緒にタキシードが弾け飛び身体が激変した。

 

虎の獣人か・・・・。

 

「テメェ、どういうつもりか知らねえが・・・・・俺の上に誰か居るかわかってんだろうなァ!?箱庭大六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!」

 

怒鳴り散らすガルドを無視して俺はコーヒーを飲み干す。

 

「お前の説明を聞く限り魔王は基本的自己中心的。だったらお前に喧嘩を売ったところで魔王が来る可能性は限りなく低い。それとジンのコミュニティの最終目標は"打倒魔王"だ。そんなコミュニティに魔王の名を出したところで怖がると思うか?それとたかがノーネームに喧嘩を売られて負けたとしてもその程度だった。それで魔王は済ますだろう。少なくても俺が魔王ならそうするな」

 

「クソガキィィィィィ!!」

 

爪を突き立て俺に殴りかかろうとするガルド。だが、俺はそれを最小限の動きで躱し、異世界へ来る前にたまたま持ってきたナイフでガルドの目を刺した。

 

「がァァアアアアアああアアアあアアアッ!!目が・・・目があああああああっ!」

 

目を抑え痛みに耐え切れずその場で倒れ悶えるガルドに俺は見下しながら言い放つ。

 

「俺は襲ってくる奴は容赦なくぶっ潰す主義でね。正当防衛にもなるから多少やりすぎても問題ない。まぁ、この箱庭では関係なかったな。飛鳥。バトンパス」

 

「え、ええ。という訳よ、ガルド=ガスパー。あなたにはもう破滅以外のどんな道も残されていないのよ。そこで提案なのだけど、私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方に"フォレス・ガロ"在続と"ノーネーム"の誇りと魂を賭けて、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る増強になったのですか!?しかもゲームの日取りは明日!?準備する時間もお金もありません!一体どういう心算があってのことです!聞いているのですか四人とも!!」

 

「「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」」

 

「黙らっしゃい!!」

 

「まぁ、落ち着け、黒ウサギ。茶、飲むか?」

 

「誰のせいですか!?誰の!?」

 

激怒する黒ウサギに宥めようとしたが失敗に終わった。それもそっか。問題を起こした張本人だしな。

 

「一番・・・・一番まともだと思っていましたのに・・・どうして問題を起こすのですか!?」

 

「俺はまともだと言った覚えはないぞ。これでも前の世界では学校の問題児四天王と呼ばれていたからな」

 

「へぇ、他にも三人いたのか?」

 

「ああ、といっても同じ部活同輩で俺以上の問題児だがな」

 

あいつら今頃、学校で色々してんだろうな。一番問題児そうでまともな大木戸は今頃教師に説教されているだろうな。後は自分たちの好きなようにしてるだろう。

 

俺が懐かしそうに思い出し気が付くと黒ウサギが肩を落しガクリとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サウザントアイズ?」

 

「YES。"サウザントアイズ"は特殊の"瞳"を持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」

 

俺達は黒ウサギの言うサウザントアイズの支店に歩いているとフと桜を見る。

 

「桜か。この世界は今、春なんだな。俺の世界では秋だったな」

 

「あら、今は真夏じゃなかったかしら?」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合の入った桜が残っていてもおかしくないだろう」

 

「・・・・?今は秋だったと思うけど」

 

ん、どいうことだ?俺と耀しか合ってない。

 

噛み合わない俺たちは顔を見合わせて首を傾げると黒ウサギが笑って説明した。

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。元いた時間帯以外にも歴史や文化生態系など違う箇所があるはずですよ」

 

なるほどな・・・・。俺たちは様々な世界から来たということか。

 

黒ウサギが振り返ると蒼い生地に互いに向かい合う二人の女神像が記された店に到着した。

 

あそこがサウザントアイズか。ん?何か看板下げているぞ?店じまいか?

 

「まっ」

 

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

ストップかける暇も与えないとは・・・・・。普通は多少時間外でも営業するもんだろう?それとも俺たちがノーネームだからか?

 

「なんて商売っ気のない店なのかしら」

 

「ま、全くです!閉店五分前に客を締め出すなんて!」

 

「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」

 

キャーキャーと喚く黒ウサギ。

 

はぁ・・・・仕方ない。

 

俺は前へ出て店員に言う。

 

「俺たちはノーネームのコミュニティだ。もしかしてノーネームはお断りか?」

 

「はい。私たちサウザントアイズは客を選びます。信用できない客を入れるなんてリスクは冒しません。それがノーネームならなおさら」

 

「だが、俺達は、いや、正確には黒ウサギがここの店長に話があるだ。アポも取っているみたいだし、入れてくれてもいいんじゃねえか?」

 

「アポなんて聞いておりませんが」

 

「連絡ミスじゃねえの?大規模な店はそういうの多いみたいだし、もし、入れてくれないのなら店長を呼んではくれないだろうか?入らなければ問題ないんだろ?」

 

全部、真っ赤な嘘だけどな。

 

「・・・・・申し訳ありませんがオーナーは今留守『いぃぃぃやおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィィィ!』」

 

「きゃあーーーーーーー・・・・・・・・!」

 

突然、サウザントアイズの支店から白髪の着物少女が爆走しそのまま黒ウサギにタックルし水路まで吹き飛んだ。

 

「・・・・・・もしかしてアレが店長?」

 

「・・・・・・はい」

 

頭を痛そうに抱える店員に俺は同情した。

 

「いつかいい事ありますよ」

 

「・・・・ありがとうございます」

 

「フホホフホホ!やっぱりウサギの触り心地は違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

白髪の着物少女は黒ウサギの胸に顔を埋めたりなすり付けていたが黒ウサギも我慢が出来なくなったのかこちらの、正確には十六夜の方に投げつけてきた。

 

「てい」

 

そして十六夜はそれを足で受け止めた。

 

「ゴバァ!お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしくな和装ロリ」

 

笑いながら自己紹介する逆廻。

 

「貴女はこの店の人?」

 

「おお、そうだとも。この"サウザントアイズ"の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

・・・・・中身はただの変態のおっさんだな。しかも隠そうとしない奴の。

 

白夜叉は俺達を見てニヤリと笑うと

 

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということは・・・・・・遂に黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

 

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギだがそれを全く気にしない白夜叉に俺達は店内に招かれた。

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

俺達が招かれたのは見事なまでの和室。

 

「もう一度自己紹介をしておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている"サウザントアイズ"幹部白夜叉だ。この黒ウサギには少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸している器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

投げやりになって言葉を受け流す黒ウサギ。それから俺たちは外門のことを知り俺たちは今、第七桁の外門にいることがわかった。

 

レベルの低いところから始めるってゲームかよ。つうか逆廻たちならともかく俺は七桁のなかで最弱だな。自分のギフトすら知りもしないんだから。

 

すると、白夜叉が黒ウサギが持っている苗を指すとどうやら逆廻が蛇神を倒して手に入れたアイテムのようだ。・・・・人間なのか?こいつは・・・。

 

「何か言ったか?篝」

 

「いや、別に」

 

意外に鋭いな・・・。

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いなのですか?」

 

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

それを聞いた逆廻の目に物騒な物が宿ったかのように光った。

 

「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側の"階層支配者(フロアマスター)"だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだからの」

 

その言葉に飛鳥、耀、逆廻は一斉に立ち上がった。

 

「そう・・・・ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私たちのコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

 

「無論、そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

闘争心を剥き出す三人に対して白夜叉は笑っていたが俺に視線を向けてきた。

 

「お主はよいのか?」

 

「弱っちい俺なんかやったところで結果は見えていますよ。それに結果が見えている勝負はしない主義なんで」

 

「なんじゃノリが悪いのう。まぁ、自分の実力を考えて引くことも必要なことじゃしな。それじゃあ、ゲームの前に一つ確認しておく事がある。おんしらが望むのは"挑戦"か―――――もしくは"決闘"か?」

 

白夜叉がカードを取り出した刹那、俺達の視界に爆発的変化が起き、俺達は白い雪原と凍る胡畔の世界に連れてこられた。流石の逆廻たちもこの光景には驚いてんな。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は"白き夜の魔王"。太陽と白夜の精霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」

 

白き夜の魔王・・・・それが白夜叉の正体か。凄いな。

 

流石の逆廻たちもこれは勝てないと判断し、今回だけは試されるほうへと譲渡した。いや、譲渡するしかなかったからな。逆廻たちの実力がどれほどかは知らないが少なくとも白夜叉よりかは弱いな。

 

「では、まずはおんしから受けてもらおうか」

 

そう言って俺を見てきた白夜叉・・・・・え?俺?

 

「あの~白夜叉さん。俺は自分のギフトすら知らねえんだけど」

 

「そんなことは百も承知じゃ。別に戦えとは言っておらん。おんしに受けて欲しい試練はこれじゃ」

 

カードを取り出す白夜叉。すると何もないところから羊皮紙が現れた。

 

 

 

 

『ギフトゲーム名"夢幻の剣を見つけよ"

 

プレイヤー名  霧谷篝

 

クリア条件   夢幻の空間から剣を見つけ引き抜く

 

敗北条件    降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

宣誓  上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

                       "サウザントアイズ"印』

 

次の瞬間、俺はいつの間にか薄紫色の霧だらけのどこかにいた。

 

「どうやらこの空間から剣を見つけろということか」

 

とりあえず適当に歩いてみるか。

 

そのままぶらつきながら歩いていると一本の剣を見つけたが、それを掴もうとしたがすり抜けた。

 

「なるほど、幻で出来た剣もあるということか。だったら触れるのは本体だけか」

 

どうやって見つけようか・・・・・。勘で探すか。

 

もう一度歩き始める俺。

 

一方その頃黒ウサギたちは・・・・。

 

「白夜叉様!篝さんをどこへ連れて行ったのですか!?」

 

「安心しろ。黒ウサギ。今見せてやる」

 

すると空から巨大なモニターが出て来て篝の姿が映っていたが黒ウサギは驚愕した。

 

「白夜叉様!このギフトゲームは・・・・・ッ!」

 

「そう、今まで誰も見つけることも出来んかったナイトメアじゃ。ありとあらゆる幻覚を見せるその剣は持ち主を選ぶ」

 

「もし・・・選ばれなかったら?」

 

「永遠の夢の世界に連れて行かれるの。今までも何人者挑戦者が現れたが全て二度と目覚めることもない呪いに掛けられてしまった」

 

その言葉に唾を飲み込む三人。

 

「今すぐギフトゲームを中止してください!篝さんはまだ自分のギフトすら知らないのでありますよ!いくらなんでも無理です!」

 

猛抗議する黒ウサギ。だが白夜叉は首を横に振った。

 

「安心せい。恐らくではあるがあやつはこのギフトゲームはクリアするだろう」

 

自信満々で言い放つ白夜叉に黒ウサギは何も言えなかった。今自分に出来るのは無事に篝が戻ってくることを祈るくらいだった。

 

どうか御無事で・・・・・篝さん。

 

 

 

 

 

 

 

「これもはずれか。う~ん、勘が鈍ったか?まぁ、どうでもいいか」

 

さてさて、どうするか。どうしようか。このままだとリタイヤになるな。というか偽物が多すぎる。俺の見える範囲だけでも数百はあるぞ。

 

どうするかと考え始める俺。実際のところ全然クリアできる自信がない。ならどうするかと考えているとフと気づいた。

 

そういえば、何故白夜叉は俺にこのギフトゲームを参加させたんだ?

 

逆廻たちならまだわかる。あいつらはすでの自分がどんなギフトを持っているのかは大体は把握している。なら、何故あいつらじゃなくて俺なんだ?黒ウサギが言うには俺もギフトは持っている。だが、それがどんなものかどういう効果を持っているのかはわからない。そんな奴に白夜叉は何故このギフトゲームを選んだんだ?たまたま?気まぐれ?それとも何か確信出来る何かに気づいた?それともワザと無理難題なゲームにした?いや、それはないな。少なくともそういうことはしない奴だ。つまり、白夜叉は俺にクリア出来ると確認し、俺にこのゲームをさせた。その方がしっくりするな。

 

しかし、そうなると問題が一つある・・・・・。

 

白夜叉は恐らく俺がどんなギフトを持っているか知っている、もしくは気づいた。問題は俺が自分自身のギフトに気づかなければこのゲームには勝てない。白夜叉は無茶をさせてでも俺にギフトを自覚させようとしている。と、一応結論は出たが・・・・まったく心当たりがねえよ。

 

俺のギフトって何なんだ?頭を抱えその場で座り込む。

 

白夜叉が何がしたいのかはわかったがヒントもなしじゃ無理もいいとこだ。

 

俺は偽物の剣を見ながらそんな愚痴をぼやいていると一つの疑問が出来た。

 

何故・・・・・剣なんだ?

 

確かに俺は高校では弓道をしていたが小学校の頃は剣道もしたことはあるがそれと今回のゲームとは関係ねえだろう。なら、何故白夜叉はこのギフトゲームを選んだのか。それは剣に関係あるギフトなのか?それとも・・・・。

 

俺はこの空間に出ている薄紫色の霧に触れるが、すぐに違うと理解出来た。

 

今回のゲームは剣を見つけること。もし、俺のギフトが幻覚系なら違うギフトをさせているだろう。この霧はその剣の能力だと考えていいだろう。だったら俺のギフトは剣、武器に関わるギフト。

 

「剣・・・・武器・・・・なら、俺のギフトは・・・・・もしかして・・・」

 

確信はない。だが、これ以外思いつかなかった。俺は立ち上がり自分の目の前にある触れることの出来ない偽物の剣に手を伸ばす。

 

「夢幻の剣よ。我が声に耳を傾けろ。そして我が力になれ」

 

そうして俺は触れることの出来なかった偽物だった剣を握った瞬間、俺は黒ウサギ達のところにいる元の場所に戻ることが出来た。

 

「篝さん!」

 

薄らと涙目で俺に詰めよる黒ウサギは俺の両肩を掴んで

 

「御無事ですか!?どこかお怪我はございませんか!?」

 

「おう、おお、おおう・・・・」

 

大きく揺さぶられまともに言葉が喋れなくなったがすぐに黒ウサギが正気に戻ったおかげで助かった。

 

「無事だから安心しろ黒ウサギ。これでゲームクリアでいいんだよな?白夜叉」

 

「うむ。見事じゃ。このギフトゲームはおんしの勝利じゃ。その剣は褒美としてくれてやろう」

 

その言葉に俺は右手を見ると刀身が薄紫色の細剣、レイピアのような剣を俺は握っていた。

 

「魔剣、ナイトメアは今よりおんしのもんじゃ。大切に扱ってくれ。それで自分がどんなギフトを持っているかわかったかの?」

 

「・・・・・一応な」

 

俺のギフト、まだハッキリはわからないが、何となくは理解出来た。いや、わかってはいたがそれがギフトと思っていなかったんだ。

 

思い出せばそうだった。剣道や弓道はすぐに上達したのにも関わらず中学のテニスやスポーツではあまり上手くいかなかった。それと今回のゲームを加えて俺のギフトは武器を支配し己の武器にするギフト。

 

・・・・・俺にそっくりなギフトだな。

 

そう思いながら次に逆廻たちのギフトゲームでは耀がグリフォンに命を懸けると言い始め、グリフォンの背に跨って見事勝利に収めた。そして白夜叉からコミュニティ複興の前祝と言うとパンパンと柏手を打つと俺たちの目の前に光り輝く四枚のカードが現れた。

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム"正体不明(コード・アンノウン)"

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム"威光"

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム"生命の目録(ゲノム・ツリー)" "ノーフォーマー"

 

ミッドナイトブルーのカードに霧谷篝・ギフトネーム"武器皇帝(アームズ・エンペラー)" "嘘"

"ナイトメア" "????" 

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「nan〇co?」

 

「ち、違います!というか何で皆さんそんなに息が合っているのですか!?篝さんまで!このギフトカードは顕現しているギフトを収納できるカードですよ!耀さんの"生命の目録"だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

へぇ、これがね。おっ、確かにナイトメアがカードの中に入った。便利だな。というか俺のギフトって・・・・・。

 

俺がギフトカードを見ていると不意に黒ウサギがカードを覗くと驚いていた。

 

武器皇帝(アームズ・エンペラー)・・・・篝さんも他の御三様に負けないくらいレアなギフトを持っているではありませんか!これならナイトメアを手に入れた訳もわかります!」

 

「そんなに凄いのか?」

 

「YES!このギフトを持っていれば例え素人でも達人クラスまで武器を自在に扱うことができます!」

 

「それは武器ならどんなものでも、か?」

 

「もちろんでございます!聖剣、魔剣、宝刀、妖刀、神弓ありとあらゆる武器全てです!」

 

確かにそれは凄いな。だが、武器が無ければ戦力外もいいとこだな。残りの二つは"嘘"と?。どういうことだ?

 

「なぁ、黒ウサギ。ギフトってそいつの感情によって生み出されるギフトもあるのか?」

 

「極稀でしたらございますがいかがなさいました?」

 

「いや、なんでもない」

 

・・・・・・・嘘か。まさに俺に一番ピッタリなギフトだな。あとはこの?はまだわからないということか?まぁ、今使えるのは他の三つくらいか。

 

そして逆廻たちのギフトを聞いた時やっぱり逆廻のこの中で一番意味不明のギフトを知って俺の中で人外認定した。それからは黒ウサギを弄りつつサウザントアイズに支店に出てジンがいるコミュニティに向かおうとした時白夜叉に止められた。しかも俺だけ・・・・。

 

「なんすか?ナイトメアはもう俺のものですから返しませんよ?」

 

「そんなことはわかっとる。私が聞きたいのはおんし自身のことについてじゃ」

 

「俺?ギフトを知る前まではただの平凡な高校三年生ですよ」

 

「・・・・・おんしの目から孤独と己の死に場所を求めるように見えた」

 

・・・・・・・・・・・。

 

「私は今まで色んな奴を見てきた。他の三人は己に自信を持ち誇りを持って生きているにたいしておんしのはその真逆と言っていい。己の死に場所を求め一人で生きているように見えた」

 

「・・・・・それで?」

 

「おんしはこれからどうするつもりじゃ?」

 

・・・・・これからか。

 

「さあ?わかりませんね。俺はすでに一度死んでる身なんで死者はただ亡霊のように歩きますよ。それがどんな道であろうとただ、歩き続ける。それだけです」

 

「・・・・・それがおんしの決めた道なら私がとやかく言うつもりはないが・・・・その前に一つ言っておく」

 

「安心してください。俺はこれでも臆病者なんで自殺なんか出来ませんよ。もし出来たとしても黒ウサギ達の前から消えてから死にます」

 

「・・・・そうか、それなら私はこれ以上何も言わん。早く行ってやれ」

 

「了解」

 

俺は後ろに振り返らず手を軽く振って黒ウサギたちのところに歩き出す。

 

「・・・・・・自殺できない・・・・私には理不尽な死なら受け入れるように聞こえたの」

 

その時の白夜叉の言葉は俺の耳に届かなかった。

 

 

 

 

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