「邪魔するぞ」
ドガァン!と扉を蹴り破った十六夜が堂々と黒ウサギの部屋に入ると黒ウサギは驚いて声を上げる。
「い、十六夜さん!今まで何処に、って破壊せずに入れないのでございますか貴方達は!?それと篝さんがこの間から行方不明に・・・」
「ああ、さっき会って来たぞ。つーか、ギフトゲームで戦ってきた」
何の前触れもなく平然と言う十六夜の体は致命傷の怪我はなかったが所々に浅い傷を負っていた。
「な、な、何を平然と言っちゃってございますか!?お馬鹿様!あの時、必死で止めた黒ウサギの苦労を無駄にするなんて!それで、もう一人のお馬鹿様はどちらに!?」
「ああ、あいつならもう行ったぞ」
「どちらに!?」
黒ウサギがウサ耳を逆立てながら十六夜を問い詰める黒ウサギだが、十六夜は笑みを浮かばせながら答えた。
「ペルセウスの本拠にギフトゲームを仕掛けに行った」
「「「・・・・・・え?」」」
異口同音に返事した黒ウサギ、飛鳥、耀を見て十六夜だけがヤハハと笑っていた。
『ギフトゲーム名 "FAIRYTALE in PERSEUS"
・プレイヤー名 霧谷篝
・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒。
・敗北条件 プレイヤーの降参。
プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・舞台詳細・ルール
*ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。
*ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。
*プレイヤーはホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない。
*姿を見られたらプレイヤーは失格。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下"ノーネーム霧谷篝"はギフトゲームに参加します。
"ペルセウス"印』
姿を見られたらいけないか・・・・・これはまた難儀な。
十六夜とのゲームが終わり俺はイージスで傷を治しペルセウス本拠へギフトゲームを仕掛けに来た。
「はぁ~、それにしても二度と十六夜とはギフトゲームはしねえ。あいつは絶対人の皮を被った何かだ」
十六夜とのギフトゲームで俺は負けた。だが、十六夜は挑戦権は俺にくれた。命令権を使って。
『俺が譲ったんだ。勝ってこいよ。それが命令だ』
仕方ねえよな。とりあえず勝ってくるか・・・・・それが俺たちにとって一番いい。
俺はペルセウスの扉を開けようとした瞬間
「こんの・・・・・・大お馬鹿様ぁぁぁぁああああああああああああああああああっっ!!」
流星のように飛んできた黒ウサギが地面に着地する前にハリセンで俺の頭を引っ叩いた。
「よぉ、黒ウサギ。数日ぶり。ウサ耳しぼんだな」
「何が数日ぶりでございますか!?たった一人でペルセウスのゲームに挑むなんて無謀すぎます!それと黒ウサギの素敵耳はしぼんではございません!」
ちゃんと全部にツッコンでくれるな・・・・黒ウサギは。
「安心しろよ、黒ウサギ。十六夜には負けたがただで負けた訳じゃない。それと俺は結果の見えている勝負はしない主義だ。まあ、十六夜には負けたが・・・・」
「で、ですが、黒ウサギは心配でなりません!篝さんはペルセウスをナメすぎでございます!」
「そんなに強いのか?」
「いえ、ルイオスさんご自身の力はさほど。問題は彼が所有しているギフトなのです。もし黒ウサギの推測が外れていなければ、彼のギフトは隷属させた元・魔王・・・・アルゴルの悪魔」
「アルゴルの悪魔ね。ゴーゴンに関係あるものなら石化のギフトを持っているだろうな」
「はい、ですので今からでも遅くはございません。十六夜さんたちも呼んで皆で」
「ナメるなよ、黒ウサギ」
俺は笑顔で黒ウサギを言い放つと黒ウサギもそれに驚き一瞬、怯む。
「ナメているのは俺じゃなくて黒ウサギの方だ。俺はどんな相手だろうがナメたりはしない。相手がどんな奴だろうが敵は容赦なく叩き潰す。だから、安心して待っていろ」
「で・・・ですが・・・」
「なら、俺とギフトゲームをしよう」
「ギフトゲームをでございますか?黒ウサギと篝さんで?」
「ああ、俺が無事レティシアを取り戻すことが出来たら黒ウサギは俺の言うことを何でも一つ訊く。逆に俺が負けたら黒ウサギの言うことを何でも一つ訊く。どうだ?」
んー。と考え込む黒ウサギだがすぐに首を縦に振った。
「YES。そのギフトゲーム受けて立ちます!それでは黒ウサギは審判として先に最奥の行ってまいりますので、ご武運を!」
そう言って黒ウサギは最奥まで一気に跳んで行った。
さて、俺もそろそろ動くか・・・・・。
俺はギフトカードからアキレウスの靴とナイトメアを取り出し、扉を開けると同時、ギフトゲームが始まった。
「ナイトメア・・・・・
俺は開始早々、ナイトメアの刀身から薄紫色の霧が発生させ、宮殿全域に紫色の濃霧が覆う。
これで、もう兵たちに俺の姿は認識できないな。
念には念を・・・・一気に最奥まで行くか。
俺はアキレウスの靴で目にも止まらない俊足の動きで一気に最奥を目指すが・・・・一つ、気づいた。
最奥はどこに行けばいいんだ!?
思っていたより宮殿が広かった。
「始まってからずいぶん経ったようだけど、まさか逃げたか?」
玉座に寛ぎながらルイオスはそうつぶやいた。
「そんな訳ございません!篝さんはそんな人ではありません!」
「いや、本当にその通りだよ。黒ウサギ。よくわかっているじゃないか」
「篝さん!」
やっと、俺は最奥まで来ることが出来、黒ウサギも俺の姿を見て安堵していたがルイオスは驚いていた。
「なっ!?たった一人であのルールを乗り越えて来たというのか!?」
「まあな、兵士はどうとでもなったがこの宮殿広すぎ迷ったぞ」
何度同じ道を通ったことやら・・・・・。はぁ、ここまで来るのに本当に苦労した。
「・・・・・まあいい、ここに来たことを後悔させてやる!」
ルイオスが履いているロングブーツから光の翼が出て来て空へ飛び、首にかかったチョーカーを外す。
「目覚めろ、"アルゴールの魔王"!!」
光が褐色に染まり、白亜の宮殿に共鳴するかのような甲高い声が響き渡った。
「ra・・・・・Ra、GEEEEEEYAAAAAAaaaaaaaaaa!!!」
冒頭を歌うかのような声。現れたのは体中拘束具と捕縛用のベルトを巻いた灰色の髪を逆立てな女性の怪物だった。
「まさに悪魔に相応しい姿だな!」
俺は怯むことなくギフトカードからデュランダルを取り出しアルゴルの悪魔に斬りかかろうとするがアルゴルの悪魔は捕縛用のベルトを鞭のように使い縦横無尽に振り回し周りまでも破壊していた。
「ra・・・・GYAAAAAAAA!!」
「チッ!」
近づけないことがわかり俺はガーンデヴァを取り出しすぐに射る。すると矢はアルゴルの悪魔の肩を貫いた。
「GYAAAAAAAAAAAA!!」
「チッ!クラーケンとグライアイを倒しただけはあるか!アルゴール!封印を解いてやる!奴を潰せ!」
拘束具が外されたアルゴルの悪魔の体が更に巨体になり、俺に襲いかかってくる。
「そんな遅い動きで俺を捕まえられるかよ!」
俺はアキレウスの靴の力で俺はアルゴルの悪魔の背後に立つ。そしてデュランダルで背後から斬りかかる。
決まった!
まだこちらに振り向いてすらいない。このまま決めればいくら元・魔王といえどデュランダルの力で倒せる。そう思ったとき
「何!?」
アルゴルの悪魔の灰色の髪が蛇になり俺の巻きついてきた。
「篝さん!」
「今だ、アルゴール!そのまま捻り潰してやれ!」
「・・・・そうは・・・行くか!レーヴァテイン!」
ギフトかあーどの中からレーヴァテインの炎を出現させ蛇を燃え散らす。そして火傷を負いながらもなんとか脱出に成功することのできた俺は安堵する。
「篝さん!避けてください!」
当然の黒ウサギの叫びに俺は顔を上げると口に褐色の光を俺に向けていたアルゴルの悪魔。
「やれ、アルゴール!」
ルイオスの言葉と同時、褐色の光が俺を包み、俺は石になった。
「篝さ―――――――――――――んっ!!」
最後に聞こえたのは黒ウサギの悲痛の叫びだった。
「アッハハハハハハハハハハハ!所詮は名無し風情なんだよ!少し強いギフトや武具を持っていたみたいだけど僕の敵じゃなかった!」
空を飛びながら哄笑するルイオス。石になった篝を見てその場でしゃがみ込む黒ウサギの両目には涙が流れていた。
「篝さん・・・・篝さん・・・・・」
いくら呼んでも返事が返ってこない。
「さーて、ゲームも終わったことだし、これで黒ウサギは僕の物だ。これでサウザントアイズからもおさばら出来る!」
歓喜な表情で笑い続けるルイオス。黒ウサギも何もかも終わった表情をしながら立ち上がり勝敗を宣言しようとしたとき気づいた。
「え?」
思わず言葉に出てしまう程黒ウサギは驚愕した。が、それと同時、笑みをも浮かばせる。
「どうした?黒ウサギ。さっさと勝敗を宣言して終わらせてくれよ。役立たず共の粛清が終わったらたっぷり遊んであげるからさ」
下劣な笑みを浮かばせ勝敗の宣言を促すルイオスだが黒ウサギは首を横に振った。
「いいえ、まだギフトゲームは続いております」
「はぁ?何言ってんの?誰がどう見たって終わっているじゃないか。それともあの石像を砕かないといけないのか?」
石像となっている篝を指しながら言うルイオス。すると急に石像となった篝が勝手に砕けた。その光景に驚くルイオス。
「いい夢は見れた?」
黒ウサギの隣から突然の声にルイオスはその声の方を向くと目を見開いて驚愕した。
「バ、バカな!?確かにお前は石像にしたはずだ!?なのに、どうしてそこにいる!?」
ルイオスが驚愕しながらも指す人物。
「さぁ?なんでだろうね?」
黒ウサギの隣に立っていたのは霧谷篝だった。
「いい夢はみれたか?ルイオス。なら、今度は悪い夢だ」
「篝さん!御無事でなりよりです!ですが、今度は前もって言ってください!」
俺が負けた夢を一緒に見ていた黒ウサギが憤慨しながら怒る。
「何を言っているんだ、黒ウサギ。敵を騙すならまずは味方からということわざ知らねえのか?」
まぁ、教えていたところで別の夢を見せていただろうけど。
「・・・・クソ!まどろっこしいことしやがって・・・・ッ!アルゴールもう一度奴を石像にへと変えてやれ!」
アルゴールの悪魔に命令するルイオスだがアルゴールはピクリとも動かない。というより動けない。
「どうした、アルゴール!?僕の命令が聞けないのか!?」
アルゴルの悪魔に怒鳴り付けるルイオスだがアルゴルの悪魔の体が砕け砂となった。
「な・・・何がどうなって・・・・・」
「お前は夢を見ているんだ。ルイオス」
歩きながら平然とルイオスに近づく俺にルイオスは呆然としていた。
「夢・・・・だと・・・」
「そうだ、夢だ。そして、今からお前は永遠の悪夢を見続ける」
「ふ、ふざけるな――ッ!」
精霊殺しの鎌、ハルパーを片手に俺に斬りかかるがハルパーは俺の体を通り抜けた。
「だから、言ったろ?お前は夢を見ているんだと」
俺は拳をかまえルイオスの顔面を殴る。すると、ルイオスの鼻から血が出てきた。
「く・・・・なにが夢を見ているだ!僕を殴れるということは現実じゃないか!」
「ああ、現実かもしれない。夢かもしれない。さてさて、どっちだろうな?もしかしたらすでに悪夢は始まっているかもしれない」
微笑しながらルイオスをからかうとルイオスは怒りで全身を震わせていた。
「クソクソクソクソッ!アルゴール!アルゴール出てこい!さっさとこいつを殺せッ!」
何度叫ぼうがアルゴルの悪魔は出てこない。俺はルイオスを見ながら嗤う
「無様だな、アルゴルの悪魔がないと何もできない七光りというのは本当だったな」
「うるさい!僕はペルセウスのリーダー、ルイオスだぞ!たかが名無しに負けるなんてありえない!」
「ああ、知っているよ。ペルセウスの無能のリーダーだということはな。所詮はご先祖の力無しじゃ何も出来ない無能なんだろ?なぁ、ルイオス」
ワザと馬鹿にするように笑いながら言い放つ俺にルイオスはキレた。
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇーーーーーーーーーーーーッッ!!」
もうがむしゃらにハルパーを振り回すルイオスだが全て俺の体を通り抜けていくばかりであっという間にルイオスの体力がなくなり、肩で息をしていた。
「やはり、無能は無能。無様、間抜け、七光り。さらにコミュニティ全体相手にたかがノーネーム一人に負けそうになっているんだ。お前のことはどう呼ぼうか?なぁ、無能の七光り。うん、これが一番しっくりくるな」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさーーーーーーーーーいッッ!」
「否定はよくない。現実はしっかりと見て受け止めないと。おっと失礼。今は夢の中かもしれなかったな」
ほくそ笑む俺についにルイオスは頭を抱えその場で膝をつく。そんなルイオスに俺は優しく肩を叩く。
「なんてな。全て嘘だよ。ルイオス」
「え?」
顔を上げて俺を見るルイオスは俺は微笑む。
「お前の兵士たちの忠誠は見事なものだった。さすがはペルセウスのリーダーだ。あそこまで忠誠を兵士たちに与えるということはとても信頼されているんだな」
俺が突然、ルイオスを褒めるとルイオス本人は呆然とする。
「確かにお前は七光りかもしれない。先祖の力に甘えていたかもしれない。だが今までやってこれたのはお前の力だ。それは事実であり、証明でもある。だからさ」
俺はルイオスの正面に立ち、手を差し伸べる。
「これで負けたとしてもまだ名と旗印があるんだ。いくらでもやり直せる。もう一度一からやり直してみたらどうだ?ノーネームであるが俺も協力してやるよ」
「・・・・・・・・」
戸惑いながらもそれでもゆっくりではあるが手を伸ばし始めるルイオス。俺が笑うとルイオスも笑みを浮かばせ手を握ろうとする。
「なんて、言うと思っていたのか?無能の七光り」
「っ!?」
ルイオスの手は俺の手をすり抜けた。そしてルイオスは困惑な表情で俺を見る。
「そんなもん、嘘に決まってんだろ?兵士たちの忠誠も今までやってこれたことも全て嘘。そんなんもわからないのか?無能の七光り。だが、そんなお前に一つ現実を教えてやる」
俺はルイオスと目線を合わせ嗤いながらつぶやく。
「俺は敵には一切の容赦はしない。ペルセウスの名も旗印も何もかも全て叩き潰す。もう、お前はペルセウスを名乗ることは出来ない」
「こ・・・この・・・嘘つき・・・」
「ああ、俺は嘘つきだ。ノーネームと嘘つきを敵に回したこと後悔しながら永遠の悪夢を見続けな」
そうして、俺はペルセウスから何もかも奪いペルセウスを落とした。
「さて、帰るか。黒ウサギ」
「え、あ、YES!」
レティシアの石化を戻し俺はレティシアを背負いながらノーネームの本拠へ帰ろうと歩き出すこと数十分。黒ウサギはずっと暗い表情で俯いていた。
「どうした?黒ウサギ。レティシアが戻って来て嬉しくないのか?」
「あ、いえ、そうではございません!レティシア様が戻ってこられて黒ウサギも嬉しいです!ただ・・・」
「俺が怖いのか?」
その言葉に反応した黒ウサギ。慌てて弁明しようとしたが俺は首を横に振る。
「別にいいよ。そういうのは慣れてる。怖いなら無理して俺の傍にいなくていいし、話しかけなくてもいいぞ」
「そ、そんなつもりはございません!確かにあの時の篝さんには少し怖いと感じましたが・・・・それでも篝さんも大切なコミュニティの仲間です!ただ・・・・」
「ただ?」
「確かに・・・・あの時の篝さんは怖ったです。しかし、それと同時、悲しくも感じました。篝さんは他の御三様と違って距離を感じてしまうのでございます」
「そりゃ、距離を取っているからな。そう感じるのも当然だろ」
当然のように言う俺に黒ウサギは目を見開きながら怒鳴る。
「どうしてでございますか!?黒ウサギたちに何か至らぬところでも!?」
「そうじゃないよ、黒ウサギ。初めて会ったときに言ったと思うが俺は大抵のことは許すことにしてんだ。ただこれは俺の問題だ。一つ訊くけど黒ウサギにとってコミュニティ何だ?」
「宝です。黒ウサギの大切な仲間であり宝です」
即答する黒ウサギ。それだけ大切なのだなと感心するぐらい黒ウサギはコミュニティのことが好きなのだろう。
「なら、それを大切にしろよ。少なくとも俺みたいな死人にはなるな。じゃないとさっきの俺のようになるぞ。人を平気で壊すようなただの死人にな」
「篝さんは死人なんかではございません!ちゃんと生きているじゃないですか!?」
黒ウサギの言葉に俺は苦笑しながら答える。
「そっちの生きているじゃないんだよ。俺の
そう、あの日以来俺は・・・・・・。
するといきなり黒ウサギが俺の前に立つ。
「なら、黒ウサギを頼ってください!篝さんも大切なコミュニティの仲間。苦しんでいるのなら黒ウサギもそれを共に背負いましょう。助けて欲しいのであれば篝さんを助けます。黒ウサギを信じてはくれないでしょうか?」
ハハ・・・・初めて言われたな。こんなセリフ。ここまで響くもんなんだな。
「・・・・そういうや黒ウサギ。ペルセウスとのギフトゲームが始める前に俺と黒ウサギでギフトゲームをしたな」
「そうでございましたね。結果は黒ウサギの負けでございます。なんなりとどうぞ。あ、性的なことはダメでございますよ!」
「俺は十六夜か。まあ、確かに黒ウサギは魅力的だ。黒ウサギからそういう誘いを受けたら間違いなく乗るが・・・・・今はいい。黒ウサギ」
「はい?」
「俺はお前が好きになった。だから俺と付き合ってくれ」
突然の告白に黒ウサギは一瞬フリーズするが頭をぶんぶん振り回す。
「も、もう一度お願いします。黒ウサギの聞き間違いかもございませんし」
「俺はお前が好きになった。だから俺と付き合ってくれ」
まったく同じように言う俺に黒ウサギはこれでもかっていうぐらい驚き
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!」
髪が緋色に染め上がり絶叫に近い声を鳴り響かせた。
(ふむ。ここはこのまま寝た振りをしたほうがいいのか?それとも起きて仲裁したほうがよいのだろうか?)
「ど、どどどどどどどどどどういうことでございますか!?く、く、黒ウサギが好きとは・・・・!?冗談、嘘でございますよね!?篝さん嘘つきですし!」
すげー混乱してんな。そんなに驚くことか?
「多分、今のは俺の本心だと思う。俺は心の底から嘘つきだ。自分の本音も嘘なのかわからない。だが、この箱庭に来て死んでいたはずの俺の心に変化が起きた。特に黒ウサギ、お前と話すときは自分が死んでいることを忘れている時がある」
(ふむ、ここは寝たふりの方がよいだろう。せっかくの雰囲気を壊すのはやぼというものだ)
「まだ、会って数日しか経ってはいないから俺もどういうことはわけがわからなかった。どんなに考えようと理解が出来なかった。だが、今の黒ウサギの言葉で少し理解できたのかもしれない。俺はお前が好きになったのかも、と」
これが正直な言葉かどうかもわからないが考えられる範囲でそう断言は出来た。俺の言葉を黒ウサギは深呼吸して緋色の髪から元の色の戻す。
「・・・・篝さんのお気持ちはわかりました。ですが、ゲームのルールで女性を自分のものにするのはどうかと思います。本当に女性を自分のものにするのなら誠意を見せるべきです」
「箱庭ではギフトゲームで物や人を手に入れるものじゃなかったのか?」
俺の言葉に黒ウサギは呆れるように嘆息する。
(一番常識を持っておられると思っていた篝さんが一番常識知らずとは・・・・)
(霧谷篝。お前はまず常識を知るべきだ。さすがの私もどうかと思うぞ)
何か間違いがあったか?ちゃんと箱庭のルールに従ったつもりだが・・・・。
「ダメなのか?」
「ダメでございます!黒ウサギのお返事は篝さんが常識を知ってからお返事させてもらいます!」
「・・・・これでも前の世界の一般常識のテストでは平均90はあったのだが・・・・。いったい何が間違いなんだ?」
(・・・・・なるほど、霧谷篝は人の心を知らないのか。もしくは元の世界で何かあり、知りたくないようになったのか。それで、箱庭に来て黒ウサギと触れ合い人の心を理解することができたのか。なら、私も協力しなければな。助けてもらった恩もあるしな)
「とにかく!このお話はこれでお終いでございます!さぁ、速くコミュニティに戻って歓迎会でも始めましょう!」
「うーん、誠意か。辞書では確かうそごまかしもなく、まごころから人のためによいことをしようとする気持ちって書いてあって気がするな。誠意とは優しさとはまた違う意味も含まれているのか?まあいいか。じゃあ、黒ウサギ。レティシアの処遇についてだが」
「はい?」
「とりあえず十六夜たちに譲ることにした。黒ウサギは俺の命令権で十六夜たちが決めるレティシアの処遇に文句は言わないってことで」
そうしてコミュニティに戻り、十六夜たちが話し合った結果、レティシアはメイドとなった。
本人も乗り気だから別にいいか。ところで何で俺と話すときだけ頬を赤くしているんだ?石像から解除されたときの副作用か?