「・・・・・酷いな。ここがあの農園区とは、にわかに信じ難い。石と砂利しかないじゃないか」
「ふぁ~、前はそんなに凄かったのか?」
欠伸をしながら前の農園区のことを問うとレティシアは頷いて答える。
「三年前は豊潤な土壌があった。それが、もはや見る影もない」
「申し訳ありません。せめて水の都合が付けば子供たちでも手に入れる事が出来たのですが」
「別に黒ウサギのせいじゃねえだろ。それで、俺を呼んだ理由は?」
朝からレティシアに起こされ無理矢理連れてこられたせいで眠い俺は連れてこらされた訳を聞く。
「主殿の持つイージス、もしくは嘘でこの土壌を元に戻すことはできないだろうか?」
「無理」
バッサリと言い切った。
いや、無理だって・・・・。
「イージスは確かに癒しを運ぶ力を持っているけどすでに死んでいる土壌を生き返すことなんて無理。それと嘘は俺限定ギフトみたいなものだ。土壌の死を嘘にすることなんて出来ねえよ」
俺の答えにレティシアも黒ウサギもため息を吐く。その二人を見る限り前は相当な土地だったのだろう。それを一瞬で奪った魔王の実力は相当なものだ。時間操作のギフト?それとも死を与えるギフト?どちらにしろそれ相当なギフトを持っているんだな。
「・・・・しかし、これほどの力を有しているのなら、コミュニティの名前ぐらいは聞きそうなものだが・・・・何か分かった事は?」
「いえ。白夜叉様に聞いても、東側のコミュニティではないだろうという程度です」
「そうか・・・・白夜叉がそう言うなら、そうなのだろうな」
白夜叉でもその程度の情報しかないのか?これだけのギフトを持っているならレティシアの言うとおりコミュニティの名前ぐらいは聞いてもおかしくはない、ということは情報を隠蔽するギフトでも持っているのか?それとも白夜叉は知っていてあえて教えていないだけ?まあ、今考えても仕方ねえな。
「だ、大丈夫でございますよ!今のコミュニティには強力なギフト保持者が四人もいるのですから!皆が力を合わせれば、この荒廃した土地を復活させるなど容易いのです!」
「いや、他の三人はともかく俺はそこまで役にたたねえぞ。せめて嘘を見分けることぐらいが取り柄だ」
「いや、主殿にも期待している。笑ってこの苦境も跳ね除けてみせてくれ」
「無茶言うな」
俺にいったい何を期待しておられるのですか?レティシア。俺はただの嘘つきですよ。
「まずは土地の再生・・・・となれば南側で行われる収穫祭が目下の目標」
「YES!今は皆さんと一緒に力を蓄えておく時期なのです!」
「南側には死んだ土地を生き返すことが出来るギフトでもあるのか?」
「YES!南側では作物や霊草など農業関係の収穫物の持ち寄りのギフトゲームが多く開かれています!」
「なるほど、南側に行けば死んだ土地を生き返させることが出来る可能性があるのか」
さすがは箱庭。色んなものがあるな。
「そういえば、北側の大祭はどうする?収穫祭まで時間もあるし、主殿」
「あーあーあーっ!レティシア様それは!?」
「いや、黒ウサギとジンが何か隠していたことぐらい気づいてたぞ。そうか、北側にも何か祭りはあるのか」
あいつらなら喜んで飛んで行くな。というかもう行っていたりして。
「北と東のフロアマスターが行う大祭なのだろう?七桁最下層の外門とはいえ、華やかな物になる事は間違いない主殿達ならいい結果を残す事も」
「そうだぜ、黒ウサギ。あの三人ならいい結果を出すはずだ。コミュニティの再建に少しは近づくんじゃねえか?」
「いえ、その・・・・実は、路銀がないので御座います。東西南北の境界壁まで行けるだけの蓄えが、今のコミュニティにはもうないのですよ。無理に無理を重ねて一回分が限度で・・・」
「「・・・・・貧乏は辛いな」」
俺とレティシアは苦笑しながらハモった。
「で、ですがもう少しの辛抱でございます!篝さん達なら必ず南の収穫祭でギフトを」
「く、黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁん!た、大変―――――!」
叫び声の方を見ると割烹着を着た狐のリリが泣きそうな顔で走ってきていた。
「十六夜たちが北側にへと向かったか?」
「不吉なこと言わないでください!本当にありそうで怖いのですから!リリ!?どうしたのですか!?」
「じ、実は飛鳥様が十六夜様と耀様を連れて・・・・あ、こ、これ、手紙!」
二本の尻尾を激しく動かしながら黒ウサギに手紙を渡し、黒ウサギはそれに目を通すと固まった。俺は気になって横から手紙を覗くと
『黒ウサギへ。
北側の四〇〇〇〇〇〇外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。貴女も後から必ず来ること。、あとレティシアと篝くんもね。
私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合四人ともコミュニティを脱退します。死ぬ気で探してね。応援しているわ。篝君を誘わなかったのは前に抜け駆けした罰よ。
P/Sジン君は道案内に連れて行きます』
おーおー、ペルセウスのときのことまだ怒ってんのか。というより行動が早いな。
俺が横で手紙を読んでいると黒ウサギは手紙を持つ手をワナワナと震わせながら、悲鳴のような声を上げた。
「な、―――――・・・・何を言っちゃってんですかあの問題児様方あああ――――――――!!!」
今日の黒ウサギのツッコミも順調だなー。
「それじゃあ、俺たちはとりあえずは白夜叉の支店へと向かいますか」
「そうだな、白夜叉なら路銀を何とかしてくれよう」
コミュニティの本拠に十六夜たちがいないことを確認した黒ウサギはウサ耳を逆立てながら境界壁まで自分の足で跳んで行った。アキレウスの靴を使えば俺も出来るが黒ウサギは路銀がかからず俺にはかかるので諦めて歩いて行くことにした。白夜叉の支店まで。
「やっぱ、あいつらも気づいていたか。まあ、それでもいつかバレていただろうがな。黒ウサギもジンも嘘が下手だし」
「そう言うな、主殿。それだけ自分に正直に生きている証拠ではないか」
「それもそうだな。あ、そうだ、レティシア。一つ訊いていいか?」
「なんだ?私でよければ何でも答えよう」
「レティシア以外に吸血鬼はいるのか?」
俺の言葉に表情を暗くし俯くレティシアを見て俺は察した。
「ワリィ、嫌なことを思い出させたな。今のは忘れてくれ」
「いや、主殿の質問も最もなものだ。恐らく、いや、もう私以外に吸血鬼は存在してはいないだろう」
「・・・・・そうか」
それからは俺とレティシアは一言も喋らず白夜叉の支店へと到着し何とか北側へたどり着く。
「おお、来たか。まあ座れ」
白夜叉に促され俺とレティシアは大人しく座ると俺は耀に視線を送る。
「やあ、耀。俺も人のこと言えないが抜け駆けなんて酷いな。俺は仲間外れにされて悲しいよ。俺の事は仲間だと思っていなかったんだね」
よよよ、とガチの嘘泣きする俺に耀も慌てふためくが白夜叉に見抜かれた。流石に白夜叉にはこの程度の嘘は通じねえか。というか、耀さん、俺の横腹ド突かないでください。痛いです。
耀は和菓子を頬張りながら白夜叉にギフトゲームはあるか訊くとどうやら耀に出てもらいたいギフトゲームがあるそうだ。俺は白夜叉が耀に渡したチラシを見るとどうやら創造系ギフト限定のギフトゲームのようだ。
「へえ、こんなギフトゲームのあるんだな。なあ、白夜叉、俺にも何かないか?」
「あるぞ。おんし向きのがな。ほれ」
「何々?」
俺は白夜叉から貰ったチラシを見ると
『ギフトゲーム名 遺龍の翼を求める強者の集い
参加資格及び概要
・戦闘系のギフトを所持。
・予選、本選の二戦。
・参加者を死亡させた場合失格。
・授与される恩恵、遺龍の翼。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームを開催します。
"サウザントアイズ"印
"サラマンドラ"印』
「ちょっと待て!何で戦闘が俺に向いてんだよ!?十六夜だろ!こういうのは!」
俺は別に戦闘狂じゃねえよ。何でこんなもん俺に進めんだよ。というより遺龍の翼ってなんだよ。
「おんしも男なら戦闘経験ぐらいしておけ。これから魔王と戦うのならなおさら」
「・・・・何かしれっととんでもないこと言ってねえか?まさかここに魔王がくるんじゃ」
「来るぞ」
・・・・・・・・。
「「・・・・・・・・・」」
しれっととんでもないことを宣言する白夜叉に俺だけじゃなく耀もレティシアも唖然とした。そしてほくそ笑む白夜叉は続けて言う。
「おんしのリーダーがすでに受け取るからの。魔王との戦いは避けられん。どうする?やめるか?」
こいつ・・・・めっちゃ殴りてえ・・・。普段イラつかないがこいつだけは腹が立ってきた。
俺は苛立ちを落ち着かせて首を縦に振る。
「わかったよ。出ればいいんだろ、出れば。ところで遺龍に翼って何だよ?」
「大昔に死んだ伝説の龍の翼じゃ。それを材料に武具として改良したものが遺龍の翼。おんしにうってつけのギフトじゃろ?」
「へえ、そういうのもあるんだな。まあ、受付にでも行ってみるかレティシアと耀はどうする?」
「私も行く」
「私も行こう。せっかくの祭りだ。楽しまなければ損というもの」
それから俺たちは白夜叉の支店から離れ街へ歩き出すとカットガラスで彩られた赤窓の歩廊や龍のモニュメントなど芸術という言葉が合う綺麗な街だった。
「凄いな、これが北側か」
「主殿は芸術品に興味があるのか?」
「どうだろうな、確かに俺は芸術品などをよく見るけど俺は芸術品から出てくるオーラに何故か惹かれるんだ」
「・・・・オーラ?」
耀が近くにあるモニュメントを見て首を傾げる。
「抽象的な言い方だけど、物には少なからずその人の気持ちが込められているんだ。その気持ちが強いほどオーラも強く見えてしまう。耀も感じたことないか?これが凄く気になるみたいな物とか?俺はそういうのを見る、いや、感じ見ることが出来るんだ」
「う~ん、あったかな?」
まぁ、そんなもんだな。おっと、ここか。
俺は苦笑しながら歩いていると目的地に到着した。
「じゃ、俺は此処で。耀も頑張れよ。レティシアは黒ウサギでも助けに行ってやれ」
俺はそれから受付を済ませBと書かれた場所に行くとそこには人間やら蜥蜴人間、悪魔や精霊など様々な種族が集まっていた。皆、目をギラつかせ自分の得物の手入れをしている。
うあ、怖・・・。殺気丸出しの奴までいるじゃねえか。にしても結構いるんだな。そんなに遺龍の翼ってレアなのか?
とりあえず何かの報せが来るまで適当な場所で座ろうとすると
「キミ。ちょっといいかい?」
「はい?」
俺に声を掛けてきたのは甲冑鎧を身に着けたいかにも騎士という言葉が似合いそうな奴だった。
「何ですか?えーと」
「ああ、失礼。私の名はベルナール」
「霧谷篝です。それでご用件は?」
ベルナールは苦笑しながら言う。
「いや、他の奴らは敵意をむき出しで中々話し相手がいなくて困ってたんだ。少しでいいから私と話をしてはくれないだろうか?」
「まあ、それくらいなら」
ベルナールはホッと一息吐くと俺の隣に座る。
「助かったよ。コミュニティに言われて参加してはみたけど気まずくってさ」
「それだけ本気ってことでしょう。ところで一ついいですか?」
「なんだい?」
「貴方も遺龍の翼を狙って参加を?」
俺の問いに近くにいる参加者が何人かこちらを睨むように見てくる。
なるほど、殆どの奴らはそれ狙いで参加してんのか。
「そうだよ。一応はね。それだけ凄いものだし、ぜひともコミュニティのために手に入れたいしね」
「そんなに凄いんですか?」
「それはそうだよ。どの神話のドラゴンかまでは私も知らないが最強種のドラゴンのものだということは知っているんだ」
最強種。それは凄いな。なら、ここにいる奴らの本気もわかる。
「そういえばキミはどこのコミュニティのメンバーなんだ?」
「ノーネーム。白夜叉の紹介で来た」
正直に言うとベルナールはポカンと口を開け、それが聞こえた周りの奴らは静かに笑っていた。
まあ、たかがノーネームが参加していると知ったら雑魚だと思うだろうな。
「・・・そ、そうか、しかし、いくらノーネームとはいえ白夜叉様の紹介なら相当な腕だとみる。始まったら本気で行かせてもらうとしよう」
「おいおい、たかがノーネーム相手に本気は勘弁してくれよ。一瞬でミンチにされちまう」
『それでは予選を始めますので選手の皆さんは会場に集まってください!』
おっと、始まるのか。
「・・・始まるな。それじゃあ、霧谷篝。次は戦場で会おう」
「ああ、手加減してくれよ。女騎士さん」
それだけを言い残して俺はさっさと会場のほうへ向かう。
「・・・・見抜かれていたか。やっぱり男の振りをするのは難しいな」
それから俺は会場へ行くと先程の控室にいた連中と一緒に闘技場のような丸いステージに立たされている。すると、会場の上から主催者であろう人物が出てきた。
『ようこそ、勇者、戦士諸君!よく我がギフトゲーム参加してくれたことにまずは礼を言おう!そして、始めよう。遺龍の翼を求める強者だけが手に入れる事の出来るギフトゲームを!』
ウオオオオオオオオオオオッ!と地響きのように叫ぶ俺以外の参加者たち。そして、主催者が説明してくれたルールによると、予選はA、Bの二つのブロックに三十人に分けられその内一人だけが本戦に出ることが出来る。そして、予選のルールは
『予選はバトルロイヤル!早速だがスタート!』
早いなおい!少しは溜めてから宣言しろよ!
「ハッハハー!まずは名無し狩りだ!」
早速俺に剣を向け振り下ろそうとして来るモブキャラ。だが、俺はこのギフトゲーム丁度よかったと思っている。今までガルド、ルイオスとの戦いもそうだが俺のギフト、
ちょうどいい。色々試してみるか。まずは・・・。
「デュランダル!」
デュランダルを取り出し、襲ってきたモブキャラの剣を破壊し、そのまま場外まで飛ばす。すると、デュランダルに反応したのか、次々と俺に襲いかかってくる参加者たち。
いいぜ、ドンドンきやがれ!
襲い掛かってくる参加者たちを俺はデュランダルで叩き潰すと何人か焦り声を出す参加者も出てきた。
「クソッ!あいつ本当にノーネームかよ!?何でデュランダルを、しかもオリジナルを扱える!?」
「まずはあいつだ!遠距離から片付けろ!」
参加者の一人が指示を出し、遠距離から弓や銃、魔法などで攻撃してくるが
「我を守護せよ!イージス!」
俺のギフトカードからイージスが出て来て数多の攻撃から俺を守ってくれた。
「イージス!?まさかそんなものまで!?」
「お返しだ!ガーンデヴァ!」
俺は一気に何本もの矢をつがえ参加者たちを射抜く。だが、それでもまだ何十人も残っていた。
「・・・・まだこんなにいるのか。なら、こいつだ!レーヴァテイン!」
俺はレーヴァテインを取り出し参加者目掛けて炎を放つ。
「燃え尽きろ!」
俺を中心に辺り全体火の海と化す。参加者たちも次々リタイヤし終わったと思ったが
「まだ私が残っている!」
「おっと!」
横からランスで襲ってきたのは人物はさっき控室で出会った女騎士ベルナールだった。
「やっぱり只者じゃなかったんだな。一人で私以外の参加者を倒すなんて」
「まあ、一応、打倒魔王を率いるコミュニティのメンバーだからな」
「ジン=ラッセルのコミュニティか!?それならその強さも納得いく。だが、私もコミュニティのために負けるわけにはいかない」
ジンの名前も有名になったんだな。そういえば・・・。
「そういえば、あんたのコミュニティの名は?」
「そう言えば言っていなかったね。私はコミュニティ、
俺はアキレウスの靴を装着し、デュランダルをかまえる。
「ノーネーム所属、霧谷篝。いざ、尋常に勝負!」
俺とベルナールは同時に動き出す。
「はぁああっ!」
ベルナールはランスを突きだすがアキレウスの靴を装着している俺にとってはゆっくりにしか見えなかった。俺はランスを紙一重で躱しカウンターでランスを破壊しようとするが
「っ!?」
躱した先にもランスが俺目掛けて襲ってきた。それでも速度は先程のランスと同じだったのですぐに後退し躱す。
「よく躱した!次はどうだ!?」
ツーと俺の頬に血が流れる。俺は頬に流れる血を触れながら思考を働かせる。
おかしい・・・確かに躱したはず。ギフト・・・しかねえな。
次に襲い掛かってくるランスを俺はまた紙一重で躱すとまた俺の前にランスが襲いかかってくる。
「イージス!」
俺はイージスで防御し、デュランダルでベルナールを斬るがベルナールは剣道のすり足のような横移動で俺の側面にくる。
「せいやぁあああああ!」
雄叫びとともにランスを突いてくるベルナール。だが、俺は距離を取り躱す。
「どうした!?逃げてばかりでは私には勝てぬぞ!」
「別に逃げていたわけじゃねえよ。見切らせてもらったぜ。お前のギフト」
「っ!?」
俺はガーンデヴァを取り出しベルナールに向かって射る。
「くっ!」
ベルナールはそれを躱すが俺は続けて何本も射始めながらベルナールに言う。
「ベルナール。お前のギフトの正体は伸縮。それも圧倒的な速さのな」
「・・・・・・・」
ベルナールのギフト伸縮。圧倒的速さの伸縮なら今の俺の動きに対応することは可能。目にも止まらぬ伸縮で突いたと思わせ第二第三の突きを放つことも可能だし、伸ばせばランスの長さも調整できる。
「本選で自分のギフトを知らせないように接近戦で持ち込み俺を倒そうとしたみたいだが生憎俺は遠距離でも攻撃できる。俺は騎士じゃないし、騎士道なんて持ち合わせていない。このまま終わらせてもらうぞ」
ガーンデヴァをかまえ、次の矢を射る準備をする。すると、ベルナールはフゥと一息吐く。
「さすが・・・。でも、一つ間違いがある。私は別に自分のギフトを隠すために接近戦を持ち込んだんじゃない。接近戦のほうが得意から持ち込んんだ」
「そうか、だがこの距離で俺に勝つのは無理だぞ。接近される前にお前を倒す」
「・・・・そうだな。なら私の全力で貴方を倒す」
ランスを矛先を下段構えし、足に力を入れていた。捨て身の突進かと思った俺はすぐさま矢を射るがそれを躱し突進してきた。
「私の必殺技で貴方に勝つ!」
ギフトによりランスが凄まじい速さで伸縮を繰り返されるランスが何十にも見えてきた。
「
凄まじい速さのランスが俺の体を貫き俺はその場で倒れる。
「一瞬のうちに閃光のような速さで何十もの突きを放つことで名付けた私の必殺技だ。この勝負、私の・・・」
トスと俺はベルナールの首後ろに手刀を入れ意識を奪い取ろうとする。だが、倒れはするもののまだ意識が残っていた。
「悪いな、この勝負俺の勝ちだ」
それだけを言うとベルナールは気を失った。
『Bブロック予選突破はノーネームの霧谷篝だ―――――っ!!》
そうして、俺は何とか予選を突破した。
「・・・・・ふぅ~」
ギフトゲームの予選が終わり俺はサウザントアイズの露天風呂を満喫中・・・・・。
耀もギフトゲームで決勝まで行ったか・・・・俺も明日は本選、今日みたいにナイトメアを途中から使うのは止めておこう。だが、それより大事なことは・・・・・明日魔王襲来。
「勘弁してくれよ。普通の人間の俺に魔王は強すぎるわ」
「今のおんしにはちょうどいい相手ではないか?」
「ああ、白夜叉か。一応言うがここは男湯だぞ」
いつの間にか男風呂に入ってきた白夜叉。俺は特に気にせず寛ぐ。
「なんじゃ、こんな美少女と混浴できて嬉しくないのか?」
「・・・・・ハッ」
「鼻で笑うとは何事じゃ!美少女に対して失礼であろう!」
なら、もっと成長してこい。そうしたら笑わないでおいてやる。俺はロリでもなければガキの姿の年増に欲情する性癖はねえ。
「まったく、せっかく黒ウサギとの混浴を捨ててまでおんしに会いに来てやったというのに無礼な奴じゃな」
「生憎と俺には今、惚れている人がいるんでそいつ以外欲情はしねえ」
「ほう、それはもしや黒ウサギの事か?」
「ああ。一応告白も済ませた」
即答する。隣の女子風呂から何か騒いでいたが特に気にしなかった。すると白夜叉が面白そうに笑みを浮かばせながら俺に問い詰めてきた。
「ほほう、おんしも意外に手が早いんだな。それで、どうして黒ウサギに惚れたんだ?やはり、体か?」
「否定はしない」
「否定してください!」と黒ウサギの叫びが聞こえたが俺は続けて言う。
「確かに黒ウサギは魅力的だ。だが、それは別に体だけじゃない。明るくて、コミュニティのために一生懸命で、優しくて、思いやりがあって、弄りがいがあって、誰かの為に本気で怒ったり、心配性で、俺のような死人でも普通に普通に接してくれる。ペルセウスのときに見せた俺の狂気でも怖がったりはしなかった。そんな黒ウサギに俺は惚れた」
『黒ウサギが』
『真っ赤だわ!』
「この箱庭に来るまで俺はずっとただ生きていただけだった。何の生きがいもなく、生きる意味もなく、ただ時間が過ぎるのも待つだけだった。だけど、箱庭に来て黒ウサギたちと出会ってよかったとそう思えるように最近はなってきた」
「・・・・・そうか。それならよい。私もこれ以上は何も言うことはない。だが、一つ言っておく」
目を鋭くさせ眼力を放つ白夜叉。熱い風呂に入っているにもかかわらず冷たく感じるほどの気当たりを放つなか白夜叉は口を開く。
「黒ウサギの美脚は私のものだ――――――――――――っ!」
「何を力説してるのでございますか!?このお馬鹿様!!」
女風呂から飛んできた木製の桶は見事白夜叉に命中。それを見た俺は心の中でナイスコントロールとつぶやきながら風呂を出た。すると、タイミング合ったのか、それと偶然か、黒ウサギと目が合った。
「っ!?!?!?!?」
そして、俺を見て顔を真っ赤にする黒ウサギ。
「どうした?黒ウサギ。のぼせたか?」
「え、あ、の、あう~」
へにょりとウサ耳を垂らす黒ウサギ。その後ろから飛鳥と耀が現れた。
「あれだけ大胆に告白した人が何を言っているのかしら?」
「・・・・聞いていたこっちも恥ずかしかった」
やはり聞いていたであろう飛鳥と耀達。黒ウサギは顔を真っ赤にしながら立ったまま固まっているので俺は少し笑みを浮かばせる。
「聞こえていたのならそれはそれで別にいい。黒ウサギ。俺は本気とかどうかはまだ俺自身もわからないがお前に惚れているのは確かだ。覚悟しろよ」
「黒ウサギから」
「凄い蒸気が!?しっかりしなさい!黒ウサギ!」
頭から煙を出す黒ウサギ。耀に抱えられながら黒ウサギはこの場を退場。それを見守っていた飛鳥が俺に視線を向けてきた。
「篝君もどうしてそう軽々しく告白出来るの?もう少し空気といういものを」
「空気なんかよんでどうする。これは俺の世界での友達の言葉だが、惚れたらすでに戦争は始まっている。なら、空気や場所を選ぶ前に告白しろ。勝つためにはまずは告白だ」
「・・・・いったいどういう友達を持っているのかしら?貴方は」
「お前らと対して変わらん問題児さ。ちなみに今のは
少しでも気に入った奴がいれば告ってたもんな。あいつら今頃どうしているだろうか・・・・・・・・・・・・問題ばかり起こしているんだろうな。うん、考えるだけ無駄か。
それから俺は涼しみ行くため外に出ていき近くにある岩に座り、星を眺める。
「・・・・・・綺麗だな。箱庭の星ってこんなによく見えるんだ」
俺の世界じゃあ星なんてここまでよく見えなかった。いい世界だな、箱庭。
冷たい風に当たりながら星を眺め黄昏る俺は不思議に嫌な気分じゃなかった。むしろ心地良さまで感じた。それは俺に心境の変化が起きたせいだろうか、前よりずっと楽だ。
「くすぐったい感じとはこういう心境の事を現すんだな」
それから俺はもう少しだけ涼み、明日に備えて寝ることにした。
『それでは遺龍の翼を求める強者の集いの本選を開始する!まずはノーネーム、霧谷篝!』
舞台まで歩いて登場する俺を見て歓声をあげる。
『そして、ウィル・オ・ウィスプのウィラ=ザ=イグニファトゥス!」
俺の時と比べ物にならないくらいの大歓声を上げるが登場口からは誰も出てこなかった。
どうしたんだ?きけっ!?
棄権したのかと思った矢先に突然、後ろから何か来る気配を感じ躱したら十字型の先端が丸い鈍器。
あぶねえあ。もし、当たっていたら大怪我するぞ。中学の頃のいじめられていたとき背後から来る気配に敏感になっていたのがこんなところで役にたつとは・・・・・。
意外なところで役に立った気配察知能力。すると後ろから声を掛けられ、振り返ると幼さを残すようなベビーフェイス、薄いウェーブの引いたふわふわと綿菓子のような髪をツインテールにし、黒と蒼のレースで飾られたゴシックロリータの服を着た女の子がいた。
「・・・・凄いね」
「これ、キミの仕業か?」
十字型の鈍器を見せ問う俺に女の子はコクリと頷く。
「名とコミュニティは?」
「・・・・さっき紹介された」
なら、こいつがウィル・オ・ウィスプのウィラ=ザ=イグニファトゥスか。
「どうしてこんなことを?下手をすれば大怪我していたぞ。もしかしてそれが狙いか?俺をここで怪我を負わせ棄権させるって手だったのか?」
俺がそう問い詰めるが首を横に振る。
・・・・・どうやら嘘じゃねえみたいだな。
「はぁ~。許してやるからもうするなよ」
嘆息しながらそう言うと首を縦に振り舞台に立つ。
あいつ、最後のだけ嘘だったな。またどこかでするつもりだな。
これで俺の対戦相手が出てきたことにより主催者もテンションをあげながら宣言する。
『ノーネーム所属 霧谷篝!!そして、蒼炎の悪魔と称される我らがアイドルウィル・オ・ウィスプ所属 ウィラ=ザ=イグニファトゥス!!』
何か有名人なんだな、あいつ。
『それでは"遺龍の翼を求める強者の集い"の本戦スタート!!』
始まった瞬間、蒼い風が吹き荒れた。
「
「っ!?」
蒼い風が熱を帯び、蒼炎の風が俺に襲いかかって来た。
「レーヴァテイン!イージス!」
何もかも燃え散らすレーヴァテインで炎を放ちイージスで防御する。
確か、ウィル・オ・ウィスプの伝承は生と死の境界に現れた悪魔。蒼い炎、無人の場所で突如、青白い炎が生まれる現象。この炎はまさにそれか!どうやら、本気行ったほうがいいみたいだな。
俺はアキレウスの靴とナイトメアをも取り出す。
「
ナイトメアの刀身から薄紫色の霧を出現させる。だが、恐らくそれだけじゃ倒せないだろうと踏んだ俺はアキレウスの力で一気に距離を詰めてレーヴァテインで攻撃するが――――――消えた。
瞬間移動のギフト!?そんなものまであるのかよ!?だが、準備は整った。
闘技場全体を薄紫色の霧に覆わせる。そして、何かの異変に気付いたイグニファトゥスは杖のようなもの取り出した。
丁度いいから試させてもらうぞ。嘘、ナイトメアの幻術、そして、レーヴァテインによる蜃気楼を組み合わせた俺の新技!
「行くぜ、
ん?俺が新技を起動させようとした瞬間。イグニファトゥスの突然の降参宣言。蒼炎の風が収まる。
『勝者!ノーネーム、霧谷篝!』
俺の勝利宣言が宣言され、俺は優勝した。すると、イグニファトゥスが俺のところに来る。
「・・・・・コミュニティに来て」
俺の腕を軽く引っ張りながらそう言ってくるイグニファトゥス。
「それは勧誘か?」
コクリと頷くと口を開く。
「・・・・私は、戦うのは好きじゃない。ゲームに参加したのも、勧誘のため」
なるほど、つまり最初から優勝は狙っていなかったんだな。勧誘目当てで参加してコミュニティの人材を増やしたいのか。でも
「悪いな、キミのコミュニティには行けない。俺には今のコミュニティでしなければならないことがあるからな」
「・・・・・そう。残念。なら、私のことウィラって呼んで」
「わかった、ウィラ。コミュニティには入れないが友達にはなろうや」
それからウィラと握手をするとウィルは瞬間移動でどこかへ消えた。俺は優勝賞品の遺龍の翼を貰う為主催者のところに行くとそれを見て驚愕した。
これが・・・遺龍の翼・・・。
武具とは聞いていたがそれはまるで生きているようなものだった。赤黒い鱗で覆われ人のサイズに合わせているのか翼を広げても4~5メートル。でも、一番驚いたのは生きているかのような威圧感を遺龍の翼から感じた。
これが最強種と呼ばれた伝説の龍の翼・・・・。
俺は龍の翼をギフトカードにしまい、耀たちがいるところに向かっていると
黒い
空から降ってきた契約書類を一枚取るとこう書かれていた。
『ギフトゲーム名 "The PIED PIPER of HAMELIN"
・プレイヤー一覧
・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ。
・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター
・太陽の運行者・星霊 白夜叉。
・ホストマスター側 勝利条件
・全プレイヤーの屈服・及び殺害。
・プレイヤー側 勝利条件
一、ゲームマスターの打倒。
二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
"グリムグリモワール・ハーメルン"印』
「魔王が・・・・・・・魔王が現れたぞオオオォォォォ――――――!!!!」
とうとうやって来たか。魔王。ん?
魔王の襲来に俺は緊迫していると突然龍の翼が勝手にギフトカードから出現し、俺の背中にくっついた。
何だこれ!?服ごと体にくっついてやがる!?いったいどうなってんだ!?
龍の翼が背中にくっついたせいか背中に変な違和感を感じる。だが、
俺の意思で動かせるのか?
試しに背中に力を入れてみると翼が大きく広がり羽ばたく。
よし、これならすぐに行ける!
俺は龍の翼を使いその場で飛んだ。