「お~い!飛鳥ー!アスカー!あすかー!・・・・・・・・・・・ツンデレお嬢さま~!」
アスカを探し始め早一時間、いまだに返事は返ってこない・・・・・・。
「ん~、傲慢ツンデレお嬢様~!出てこないとお前の秘密を・・・・あ、知らねえわ」
いったいどこに行ったのやら・・・・・。まあ、死んではねえ筈だ。ああいう奴はしぶとく生きるはずだ。そういえば、あの白い露出狂みたいな格好の奴に気絶させられたって言っていたな。なら、誰かが匿ってんのか?誰だ?んー、思いつかねえな。
「出てこないとお前の分まで黒ウサギを弄りまわすぞ~!」
・・・・・・・・・。
黒ウサギならツッコミに来ると思ったが来ないな・・・・。一人だとつまんねえな。前にはこんな感情はなかったのに俺も変わったな・・・・・。
不思議にそう思えるようになってきたその時突然、龍の翼が出てきた。
『よぅ、初めましてだな。宿主』
俺の脳に直接語りかけてくる声。まさか・・・・。
「翼から・・・なのか?へぇ、話しかけてくるなんてな」
そういや、ペストが生命力が強いなんて言っていたな。まさか、話しかけてくるなんて・・・。
『ほう、驚かないか。こんな人間もいようとわな』
「この箱庭じゃ別に珍しいことじゃねえだろうし、大抵のことは驚かねえよ」
むしろ、それが普通だって言われそうだ。
『ハハハハハ!愉快な奴だ!俺も長い間生きてはいたがお前のようにあっさりした人間は初めてだ!』
豪快に笑うなぁこいつ。というか、翼と話すなんて変な感じがするな。
『お褒めに預かり光栄の極み。で、何か用か?俺は今、行方不明になったお嬢様を探してんだ」
探しとかねえと黒ウサギに怒られる。全然怖くねえけど・・・・。
『なあに、今まで俺を取り付けた奴らとはまともに話せなかったからな、ただの暇つぶしさ』
「嘘つけ、隙あれば俺の体を乗っ取るつもりなんだろ?バレバレだぜ」
白夜叉から聞いた話だとこいつを取り付けた奴は体を乗っ取られた。暇つぶしで話しかけるよりすぐにでも俺の体を乗っ取って自由になったほうが効率がいい。
『ハハハハハ!やはり貴様に嘘はつけられんな!なら、単刀直入に言う、体を寄越せ、人間』
「ハハハハ!誰がやるか、翼だけの龍モドキ」
寄越せと言われてやるバカは数える程度しかいねえよ。黙って俺の言ううことでも聞いてな。
『チッ!厄介なギフトがなければ今頃貴様の体を乗っ取ってひと暴れ出来たのによ』
舌打ちする龍モドキ。ああ、
『まあいい、おい、人間。取引しねえか?』
取引?そうだな・・・・・聞くだけ聞いてやるか。
「言ってみな」
『体を俺に寄越す代わりに俺が貴様の望み叶えてやる。というか、お互いに利害が一致してんだ。体を寄越せ』
「はあ?意味がわからん。つまりお前に体をやるのと俺の望みが一緒ってことか?」
何言っていますか、この龍モドキのモドキ。寝言はあの世に行ってから言えってんだ。
『そのとおりだ。俺が暴れるのと貴様の望みは同じだ』
たく、意味がわかんね。つまらねえこと聞いたな。さて、飛鳥の捜索でも再開しますか。
『貴様は人と獣の違いを知っているはずだ』
・・・・・・・・。
いきなり、何言ってんだ。そんなもん誰だって知ってんぞ。人には考える力があって獣にはない。それが答えだ。
『そうだ。だが、貴様はどうだ?貴様は人か?』
「人に決まってんろ。何当たり前なこと訊いてんだ」
人じゃなかったら俺はいったいなんなんだよ。あ、今は龍でもあるのか。
『貴様の本性は獣だ。それも貴様自身知っているはずだ』
龍の言葉に俺は一瞬驚愕する。いや、何でお前がそこまで知ってんだよ。
『貴様と俺は一体化しようとしている。貴様の記憶を覗くなんて容易い』
覗きが趣味か。いい趣味してんなおい。あの変態なら食いつく話だ。
『いつまで貴様は嘘で自分を誤魔化すつもりだ?嘘は所詮嘘。貴様の本性が獣だということに変わりはない。いい加減楽になっちまったほうが身のためだぞ』
「・・・・余計なお世話だ。嘘は俺自身だ。それが俺なんだよ!」
そう、あの時から俺は自分を殺した。
『ハハハハ!伝わってくるぞ!貴様の残虐心が!どす黒い感情が!生きている者を殺しまくりたいという感情が!俺がその望み叶えてやる!だから体を寄越せ!なーに、大事に使ってやるさ』
「・・・・うるせえ、俺は嘘を吐くただの人間だ」
『・・・・・・・まあいい。気が変わったら俺の名を呼びな。俺の名は――――――だ』
翼が俺の体に入っていくと龍は話しかけてこなくなった。
俺は・・・・もうあの時の俺じゃねえ・・・。
俺は何も喋らず飛鳥の捜索を止め黒ウサギ達のところへ戻る。
「・・・で、だ。魔王はサンドラ、黒ウサギ、篝にやってもらう」
「異議あり!」
ペストとのゲーム再開前日、十六夜のおかげで謎は解け俺たち(飛鳥を除く)ノーネームは明日に向け作戦会議を開いていたのだが
「何で俺がペストなんだよ。十六夜が行けばいいじゃねえか」
ジン、レティシア、耀がステンドガラスを割る役。恐らくこれにはラッテンという白い露出狂とシュトロムが来るだろう。ジンやサラマンドラの護衛に耀とレティシアは納得する。十六夜はヴェーザーという男と一騎打ち。そして、俺がペスト。
「バケモノじみたお前がペストと戦ったほうがいいんじゃねえのか?」
「おいおい、篝。年上のお前に大物譲ってんだぜ?感謝してくれよ」
こいつ、こんな場面でよくもそう平然と年上扱いするな。ああ、感謝の代わりにデュランダルのサビにしてやるよ!
「大丈夫でございます!篝さんは黒ウサギがお守りいたしますので一緒に頑張りましょう!」
ああ、黒ウサギよ。そんな真っ直ぐな目で俺を見ないでくれ。俺が腐ってるみたいじゃないか。腐ってるが・・・・。
そんな俺に耀が肩に手を置いてきた。
「・・・・大丈夫。篝ならきっとペストを倒せる」
耀さん・・・・貴女までそんな信じ切った目で見ないでくれ。というか、なにこれ?俺ってそんなに信用してくれてんの?やめてくれよ。余計に重圧を感じてしまう。
「はあ、わかったよ。やればいいんだろ、やれば」
そんなことなで俺はペストと戦うことになりました。
「なあ、黒ウサギ」
「はい?なんでございますか?」
作戦会議が終了し各自で明日に向けて準備を整えようと皆が動き出すなか俺は黒ウサギに話しかけていた。
「胸揉ませて」
その言った瞬間、黒ウサギのハリセンがうなった。
「いきなり何をおっしゃっているのでございますか!?このお馬鹿様!」
「うん、何言ってんだろうな、俺」
「自覚なしでですか!?」
「そうか、男としての本性に目覚めたのか。というわけで黒ウサギ、ちょっと性欲を発散させたいから付き合って」
「お断りします!」
再びハリセンで叩かれた俺は頭を掻きながら笑みを浮かべる。
ああ、やっぱり黒ウサギは面白いな。ちゃんとツッコンでくれる。
「いきなりどうしたのですか?黒ウサギでよければ相談に乗りますよ」
心配・・・・してくれてんのか。いや、してくれてんだろうな黒ウサギは。
「なあ、黒ウサギ」
「はい?」
「俺が死んだら黒ウサギは泣いてくれる?」
そう訊いたらまた叩かれた。なんで?
「もう、不吉なこと言わないでください!いったいどうしたのですか!?いつもの篝さんらしくないですよ?緊張でもしているのでございますか?」
「怒ってんの?」
「当たり前です!篝さんは大事なコミュニティの仲間なのですから、死なないでください」
「じゃあ、もし死んだら黒ウサギは泣いてくれる?」
「当然です!誰だって仲間が死んだら悲しむに決まっているではありませんか!」
・・・・・当たり前か。今の俺にもそんな当たり前があるのかな?いや、ないな。じゃなかったら俺はあの時泣いていたはずだ。
「ごめん、黒ウサギ。ただお前を弄りたかっただけだ」
「やめてください!もう、どうして白夜叉さまも十六夜さんたちも皆さん揃って黒ウサギを苛めるのですか!?」
「黒ウサギだからだよ」
「意味が分かりません!」
「愛玩動物だからだよ」
「違います!」
とうとう涙目になる黒ウサギ。そういうところがだよ。黒ウサギ。お前は皆に愛されてんだ。弄りがいのある愛玩動物として。
「まあ、明日頑張ろうぜ。黒ウサギ」
「YES!」
そうして一日が経ちいよいよ魔王とのギフトゲームが始まろうとしていた。
ゲーム開始まであと数分。俺たちノーネームとサラマンドラやその他のコミュニティは緊張しているのが表情が強張っていた。いや、十六夜だけが子供のようには目を輝かせていた。どんだけ楽しみにしてたのやら・・・・。
「はーふー」
俺は深呼吸して気持ちを落ち着かせギフトカードからデュランダルとレーヴァテインを取り出し龍の翼を広げる。今まであの龍モドキは話しかけてこなかったところをみると本当に俺から話さない限り話はしないのだろう。
そうして、ゲームが再開した。
「行くぞ!黒ウサギ、サンドラ!」
「「はい!」」
俺は翼を羽ばたかせ飛び、黒ウサギとサンドラは跳びながら移動し始めペストに向かう。