カルデアのカウンセラー、サーヴァントをNTRたい。   作:榎田 健也

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きよひーかわいいよきよひー。


カウンセリング⑩「愛のままにわがままに私はあなたを焼き殺す」

 人理保障機関カルデア。名前が長いが、これでもまだ略称で正式には「人理継続保障機関フィニス・カルデア」という。長ぇし人理継続保証ってなんだよ。魔術かじってないとそういうのまったくわかんねえな。

 

 ともかく、カルデアは俺の職場だ。俺はここでサーヴァント・カウンセラーをしている。ただそれも名ばかりで、ほとんどの仕事は雑用だ。雑用。なかなか手を離せないスタッフの為に茶を沸かしたり、廊下の掃除をしたり、資源の数をチェックしたり、と誰もやりたがらない雑用をやる。

 

 そして、自由時間にはサーヴァントがたまに訪ねてきて、悩みを聞いたり模擬戦を申し込まれたり寝込みを襲われたりする。うん、労働時間外に勤務させるなんて上司は頭がおかしいね(上司にレオナルド・ダ・ヴィンチがいる)。ブラック企業だね。でも、他の働き口が物理的にないのだからしょうがない。

 

 そんなカルデアには、見た目がモナ・リザのダ・ヴィンチちゃんを筆頭としたサーヴァントと呼ばれる人たちがいる。仕組みはよくわからないのだが、偉人などの有名な人物を召喚するシステムがカルデアにあって、それを使ってカルデアに召喚しているらしい。

 

俺は彼らサーヴァントのカウンセラーであり、何人かカウンセリングしてきた。ベディ君とか、カーマさんとか、レオニダスとか、クロエちゃんとか……おかしいな、そんなに有名じゃない。しかもベディ君以外カウンセリングしてねえし。レオニダスとかトレーニングに付き合わされただけだし。

 

 そして、そのサーヴァントの中にはもちろん生前悪い事をした人もいれば、恋をしていた人もいる。男だと思っていたら実は男装していた女性だったという人もいれば、女性なのに史実だと妻がいる人だっている。…………あれ?

 

 まあいいや。とにかく、サーヴァントの中には生前恋をしていてその相手を焼き殺してしまった人もいる。そしてそのサーヴァントが自らの主であるマスター君をその相手の生まれ変わりだと勘違いをしたとする。さらに付け加えると、最近マスター君は幼女サーヴァントと遊んでいて、そのサーヴァントが嫉妬していたとする。

 

 さらにさらに付け加えると、そのサーヴァントは嘘が嫌いにであるも関わらず、マスター君が問い詰められたときについつい嘘を吐いてしまったとする。

 

 ……いや、そのサーヴァントと言われちゃわからないか。彼女の真名は清姫。クラスは頭がおかしくなりがちなバーサーカー。俺が前に読んだ本『トラウマになる! 実話も創作も関係ない凶悪事件列伝』のおまけページに書かれていた情報によると、宿の娘・清姫はイケメン坊主・安珍に惚れアプローチをかけるが、安珍は嘘を吐いて宿を出て、その後戻ってこなかった。しかし清姫はストーカーとなった安珍を追跡。安珍は神に助けを求め清姫は金縛りにあうが、裏切られた怒りによって清姫は火を吹く大蛇となり寺の鐘に隠れた安珍を鐘ごと燃やして殺害した、という話だ。……ある意味凶悪事件だよな。

 

 ここでクエスチョン! さて、そのバーサーカーな清姫さんは嘘を吐いたマスターをどうしようとするでしょうか?

 

問題:清姫はマスターをどうしようとする?

 

「ますたぁ、ますたぁ、ますたぁ……! どうして逃げるのですか、待ってください……!」

 

 

正解:マスター君を追跡します。そして多分殺そうとします。

 

「待てと言われて待つヤツがあるか!?」

「普通は待つぞ」

「知らなーい」

「というか何なんだこの状況? なんで俺まで逃げてんの?」

「……逃げないと炎に巻き込まれるからじゃない?」

 

そして俺は、マスター君と一緒に逃亡している。俺はカルデアの廊下の掃除が億劫で適当にしていたのだが、逃げるマスター君と追いかける清姫さんを発見。よく分からないが彼女は青い炎を纏っていたので、狭い廊下で巻き込まれるのは勘弁だと思いマスター君に事情を聴くのもあって共に逃亡することになったのである。

 

「かといって、このまま逃げ続けるのも、体力的にきついぞッ! 何か手はあるのか?」

「カルデアの廊下がやけに長いからアレだけど、とっ、とにかくサーヴァントたちと合流するつもり! それまで、イケる?」

「大丈夫だ! レオニダスに感謝しておくべきだな。体力と筋力が以前とケタ違いだ!」

 

 俺とマスター君は日頃の地獄筋トレを生き残っている戦友だ。いくらサーヴァントとはいっても、着物を着ている女性サーヴァントに追い付かれるわけにはいかない。……とはいえ、

 

「そっちは大丈夫なのかよ! けっこう息が上がっているがッ!」

「……ごめん、ちょっときつくなってきた」

 

 ……マズいな、ちょっとどころかかなりきつそうだ。少しペースを落としたいところだが、そうすれば清姫さんに追い付かれる。……ん? 前に誰か……あっ!

 

「弁慶君! 頼みがある!」

 

 遠いが聞こえたようだ。右手を挙げている。

 

「何ですか?」

 

 さて、状況説明をしているヒマが無いから、手短に。

 

「バーサーカーを止めてくれ!」

「了解しましたァ!」

 

 すれ違いざまにハイタッチ。すごく友達っぽくていいと思う。ただサーヴァント側が気をつけないと俺の手がもげる。だって馬力が違うもの。

 

「「頼んだ!/頼まれた!」」

 

 止まるのは危険だが、多少ペースを落としてもいいだろう。

 

「マスター君、多少ペースダウンを!」

「弁慶と友達なの?」

「あぁ。……だから、この後の展開は読めてる」

 

 

「ぬおおおおおお!!」

 

 

「ますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁますたぁ――」

「……ペースアップ!」

 

 尊い犠牲に背を向けて、俺たちはペースを上げた。

 

「令呪で援護するべきだったかな……?」

 

 う~ん、俺に令呪による魔力供給のことはよくわからないが……

 

「大丈夫だろ。令呪を使って君の体力が削られても困る。最悪俺の護身武器から供給するさ」

 

 俺の護身武器「壱」であるライト・サーベルとライト・シールドは魔力による光で敵を攻撃したり、逆に攻撃を防御したりする。仕組みはよくわからないが、魔力によって光を堅くしているらしい。

 

一方、合体したライト・マグナムは逆に弾かれたら困るため(盾で跳ね返されたら俺が喰らって死ぬ)、魔力によって熱を持ったいわば「レーザービーム」のようなもので攻撃する。そして魔力の切り替えができるシステムを応用して、味方サーヴァントに魔力を打ち込んで供給することもできるらしい。やったことないけど。元はマスター君のために開発されたがボツになって俺が持たされているからな。まず機会がない。

 

「あれ、いっ、今武器持ってるの?」

「使用許可は取ってないけどな。一応持ち歩いているんだよ、軽いし」

 

 ライトは「光」と「軽い」をかけているらしく、その名の通りめちゃくちゃ軽い(もう少し重くてもいいから性能を上げてほしいとも思うが)。そしてポッカリはペットボトルサイズだし、ファイア・ローは普段はただの靴だ。持ち歩くもクソもない。ただ肆、俉、陸、漆は持ち運びには向かないためダ・ヴィンチちゃんに預けている。

 

「それにしても、弁慶がこんな早く突破されるなんて」

 

 俺は読めてた。加えて、味方同士だったから多少手心を加えていたのだろう。だが残念。相手はバーサーカー、そんな事おかまいなしだ。現に何かちょっと炎が強くなっている気がする。

 

「マズい、清姫が扇子を構えている、気をつけて!」

 

 扇子? あぁ、結構前の話だけどオルレアンでの清姫の戦闘は見たことがある。確か、扇子から火の玉を出すんだっけか。

 

「上手く攻撃を避けられれば――」

「いや、多分無理」

 

 ……マスター君? 諦めるの早ない?

 

「多分、炎の風。が来るよ」

 

 ……モーション改良!?

 

「しゃああああッ!」

 

 あ、熱い……! 駄目だ、もう…………

 

「上を失礼します!」

 

 聞き覚えのある声、そして床を蹴る音の後、炎の熱さは耐えられるレベルまで収まった。マスター君と共に振り返ると、そこには清姫に向き合う銀髪の騎士が居た。

 

「ベディ……『守護の制約』か!」

「ベディ君……!」

「マスター、カウンセラー殿、ここは私にお任せください。不肖ベディヴィエール、あなた達に――」

 

 

「――傷一つたりともつけませんッ!」




きよひーかわいいよきよひー
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