カルデアのカウンセラー、サーヴァントをNTRたい。 作:榎田 健也
……すみません、出来ればお気に入り、感想、評価等々お願いします。
忙しいので不定期になってしまいそうです。
うちのカルデアは男子禁制で、ほとんどが霊基返還されています。その少ない例外の一人がベディヴィエールさんです。
弁慶? 知らんな。
カルデアには、大浴場がある。ホテルとかにあるようなでかいものだ。「男湯」「女湯」に分かれているが、一部のサーヴァントが使う時は貸し切りになるらしい。この前入ろうとしたときは、「男湯」が「アストルフォ湯」になっていたので入れなかった。だから今日は入れてよかったと思う。
俺は雑用をシフト通りこなし六時半までせっせと働き六時五十分に大浴場に到着した。夕食は七時から各自に取るため、夕食直前のこの時間は人が少ない。普段はスタッフとしてこそこそ身体を洗いさっさと出るのだが、今日は少し違った。
どうやら、カウンセラーの噂はけっこう広まっているらしい。
「――そうして、わたしはアーサー王の従者としての役目を終えたというわけです」
『パチパチパチパチ』
ベディヴィエールさんが話を終えると、俺は涙をこらえて武蔵坊弁慶さんとともに惜しみない拍手を送った。反響しまくっているが、そんなことは気にならないほど感動するお話だった。思い出すと涙が溢れそうになる。
「しかし、まさかこのような恰好で私の思い出話を人に聞かせることになろうとは……」
「風呂につかりながらの武勇伝……湯舟の熱と気分の高揚で、のぼせそうになりましたぞっ!」
「俺もまさか全裸で号泣するとは思いませんでした!」
「しかし、これではカウンセリングというより、弁慶さんの仰ったような武勇伝になってしまいますね……」
「いえ、お話自体はとても素晴らしいものだと思います。……で、悩みというのは?」
俺は今、カルデア出張カウンセリング、というものを行っている。きっかけは、今日はさらに人が少なく、というか一人で、その唯一の利用者ベディヴィエールさんのお背中を流したこと。右手が義手だったため提案したら喜んでくれて、カウンセラーの噂も知っていたらしい。その事について話していると武蔵坊弁慶さんも男湯に入ってきて、上司について話しているとベディヴィエールさんからカウンセラーとして悩みを聞いてほしいと言われたのである。
「ええ、実は先ほどお話したアーサー王は、このカルデアにいらっしゃるのです」
「おお、それは良いことじゃないですか。感動の再会ができたのでしょう?」
「それが――」
「――あんな別れをした手前、合わせる顔がないんです!」
「は、はぁ……」
俺にはよくわからない考え方だ。従者の……いや、それ以前に騎士の矜持なのだろうか。
「うむ、拙僧にはよ~くわかるぞ!」
弁慶さんは分かるようだ。
「拙僧も戦いから逃げ出した後に義経様と対面するのは心苦しかったッ!」
「一緒にしないでくれませんかね!?」
ベディヴィエールさんがツッコんだ。おぉ、この人真面目そうに見えて意外とノリがいい!
「ていうか、さっき聞いた武勇伝と違い過ぎるんですが……あなた、最後まで主君のために戦った、とか言っていませんでしたっけ!?」
俺が弁慶さんから聞いた武勇伝によれば、俺でも知ってる歴史的名シーン「弁慶の仁王立ち」は本当で、主君の為に限界まで戦い続けたとかなんとか。
「ははは! 当時は戦なんてうじゃうじゃあったのですから、一つ二つは逃げて当然ですぞ?」
「あぁ、俺の弁慶イメージが崩れていく……」
「や、やっぱり逃げてなどおりませんぞ? さきほどのはじょーく、というものですぞ」
いや、弁慶がジョークを言っていいのかよ。
「……で、アーサー王に合わせる顔がない。う~ん……」
ベディヴィエールさんはサーヴァント、当然現代人と考え方は異なる。となると、現代人の俺に出来ることとすれば……
「……もしも俺がアーサー王だったら、あなたにお礼を言いたいと思います」
「え……?」
「騎士として……そして一人の従者として、嘘を吐いても自分を生きさせようとして、そして最期を看取ってくれた。嫌な感情を抱いているはずがありません。そして……あなたが吐いたのは、正しい嘘だと思うんです」
「正しい……」
「嘘……?」
ベディヴィエールさんと弁慶さんがキョトンとした顔をする。……うん、まあ昔の人にはない発想かもしれない。
「日本のことわざに、『うそも方便』というものがあります。物事を円滑に進めるためには嘘も必要だ――とかそういう感じの意味ですが、このことわざには『嘘は別に悪いものではない』という意味が主として含まれていると思うんです」
「あなたは、あなたが尊敬するアーサー王の『ため』に、嘘を吐いた。それは決して蔑まれるような間違った嘘ではないはずだ。あなたのその嘘は……決して悪意ではなく、善意からの『正しい嘘』だ。……俺は、そう思います」
「……これは、拙僧にも思うところがありますな」
「弁慶さん?」
何か呟いていた。なんだ?
「い、いえ、なんでもありませぬ。それより今は、ベディヴィエール殿のことでしょう」
「……カウンセラー殿、私は……私の吐いた嘘は正しかったんでしょうか……?」
「……少なくとも、俺はそう思いますし、あなたの主も……そう思っているはずです」
「そうですか…………よかった」
一滴の雫が、湯舟にぽちゃんと落ちたが、それは反響しやすい浴場でも反響しないほどの、小さい音しかしなかった。
「はい! 次は拙僧! ……主君に嫌われておるのだが、どうすれば良いだろうか?」
「自分で考えてください」
「扱い違い過ぎではっ!?」
祖国日本の超有名偉人、弁慶のイメージがぶっ壊れかけたからな。ちょっとムカついてる。
「ふふっ、そろそろ出ましょうか。このままでは私たちサーヴァントはともかく、カウンセラー殿はのぼせてしまいます」
「……確かに、少しぼーっとしてきました」
「まだまだですなぁ、大和男児にもかかわらず! 拙僧があなたほどの時にはもう三時間ほど浸かれましたよ!」
「む、むちゃ言わないでください!」
弁慶さんの自慢に反論して湯舟を出た。冷水のシャワーを浴びて出よう。
『ガラガラ』
「あ、カウンセラーのお兄さん!」
ん? 浴場に入ってきたのは……?
「少年時代のギルガメッシュ殿ですね」
「これでも拙僧、少年時代は美少年だったのですぞ?」
「弁慶殿? それは間違った嘘です」
「あなたも扱いがひどすぎでは!?」
「あ、えっと……」
「ギルガメッシュ、でいいですよ。ボクはまだ子供ですからね。……大人のボクとは違うんです」
「すごい……礼儀正しい……よろしく、ギルガメッシュ君」
ギルガメッシュと言えば、
???「ふははは、雑種雑種雑種雑種雑種」
???「ふははは、仕事仕事仕事仕事仕事」
みたいな感じかと思っていた。なんだ、少年時代はとても良い子じゃないか。
「なんですか? 悪ガキの方が良かったですか? ……お兄ちゃん、『小さい』ね!」
「グアァァァアアアアアアアアア!!!」
……じ、自我が保てな――
「「か、カウンセラー殿!?」」
「あははは、おもしろ~い!」
「オアァァァァァアアア!」
「か、カウンセラー殿! 小さくないですぞ!」ボロンッ
「落ち着いてください! 小さくないですから!」ボロンッ
「正しくても嘘は止めてぇぇぇぇぇぇぇええええ!」
㋕
その後、俺は何とか自我を取り戻し、その後廊下でマシュ、そして夢で誰かと遭遇する。
そして――
翌日の雑用を少しサボって見に行ったところ、ベディヴィエールさんは可憐で高貴な少女と笑い合っていて――
血だらけの弁慶さんは廊下で倒れていた。自分で考えて何をしたんだ、一体。
今回「ネタバレ注意」としようか悩んだのですが、何とか核心に踏み込まず、史実だけに留まりました。
というか、今回の扱いはどうなるんですかね? NTRの対象になるの?
あと、「そっちのギルかよッ!」ていうツッコミは無しな。
…………ごめんなさい、実力不足です。