カルデアのカウンセラー、サーヴァントをNTRたい。   作:榎田 健也

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171分かかりました。……疲れた。


……というわけで、頑張ったので出来ればお気に入り、感想、評価等々お願いします。

忙しいので不定期になってしまいそうです。


今回は、ハクア・ルークベルトさんからのリクエストでジャックちゃんです。

ロリコンよ、歓喜せよ。


カウンセリング⑥「ジャックとおとーさん」

 カーマさんがカウンセリング(?)に来た日、結局俺は「カーマさん大丈夫かなぁ」と、そわそわして寝られず、昼食を食べた後雑用を一時から六時まで上手くさぼりながらこなした。普段より時間は少ないが、決して楽なわけではない。なぜなら――

 

 

短い時間で普段と同じ量の仕事を任せられるからである!

 

 

Q. 日給は同じ、でも労働時間は短い。それなら、労働量はどうなるのでしょうか?

 

A.同じ日給をもらっているのなら、労働量が少ないわけねえだろ。

 

というのが、カルデアの主張らしい。……とりあえず、所長代理に、賄r――上質なお茶

とお茶菓子を渡しに行こうと心に決めた。今の内にお湯沸かしとこ。

 まあそれはおいておいて、今日もちゃんと労働をこなし、シャワーで汗を流し、ちょっと夕飯には早いなぁ、となったので暇つぶしに本を読むことにした。いたっていつも通り。普段なら面白くもないカウンセリングの本を斜め読みするのだが、今日は少し違った。それが間違いだった。

 

「……あなた、インド神話はご存知ですか?」

「すみません、インドはちょっと範囲外です」

「逆に範囲はどこなのでしょう、すこし気になります――」

 

 なんて会話を今朝したのだ。そして廊下をせっせと掃いているとき、ふとこう思った。

 

 

「うわっ……俺の範囲、狭すぎ……?」

 

 

 風呂場の出来事(④参照)以降部下同士すっかり仲良くなったベディ君、弁慶君からアーサー王伝説や源義経について詳しくなったが、後はあまりサーヴァントの人たちについてよくわかっていない。せいぜい日本史、世界史の有名なところぐらい。たまに管制室にお茶を運びに行くときがあるが、モニターを見て「この人だれ?」となることも少なくない。

 だから、俺はサーヴァントの歴史についてきちんと学ぶことにした。……だが、神話とか伝説は難しそうだし、だからって本の登場人物であるシャーロック・ホームズについて学ぶために「名探偵ホームズ」を読むのもどうかと思う。そこで、俺はこんなものをカルデアの書籍データベースで見つけた。

 

 

『トラウマになる! 実話も創作も関係ない凶悪事件列伝』

 

 

 実話も創作も、と書いてあるから史実はもちろんのこと一部の本に登場するサーヴァントも詳しく知ることができるはずだ。サーヴァントにはけっこう悪属性もいるからな。……トラウマになるって書いてあるけど、まあ大丈夫だろう。カルデアのデータベースにあるのならグロい画像とかある場合は警告が出るはずだし。

 

 

          ㋕

 

 

「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」

 

 青髭怖い、串刺し公怖い、バートリ・エルジェーベト怖い、切り裂きジャック怖い、ハイド氏怖い、オペラ座の怪人怖い……読むんじゃなかった、めちゃくちゃ怖い……。怖すぎて腹が空かないし、今日眠れなそうだ。……ああ、怖い。ああ、怖い。ああ、怖「おかーさん、いるー?」ひいぃぃぃぃぃぃ!!

 

「って、切り裂きジャックぅぅぅぅぅ!?」

「わ、どうしたの? カウンセラーさん」

 

 そこにいたのは、1888年、ロンドンのイーストエンドとホワイトチャペルで、5人の売春婦をバラバラに切り裂いて殺害した凶悪犯罪者でシリアルキラー、切り裂きジャック――ジャック・ザ・リッパーだった。

 

「あ、ああ、ごめんね大きい声出して。ジャック君、マスター君を探しているのかい?」

「うん、おかーさんに相談したいことがあって……あれ、カウンセラーさんって悩みを聞く人だよね?」

「う、うん」

「なら、すこし話を聞いてほしいな。あと……君づけって男の子みたいで、やだな……?」

「う、うん……わかったよ、ジャックちゃん。そこの椅子に座ってね」

「えへへ、ありがと!」

 

 おい、切り裂きジャックなのに可愛いぞ!? 何でだ? っと危ない、平常心平常心。この子は切り裂きジャックだ。シリアルキラーだ!

 

「で、ジャックちゃんは何を悩んでいるの?」

 

 俺もジャックちゃんと向かい合うように椅子に座り、少しでも目線が合うように椅子を低くした。

 

「おかーさんのお腹に入りたいの!」

「…………え?」

 

 あれ? おかーさんってのは、マスター君のことだよな。で、マスター君の中に入りたい? どゆこと?

 

「えっとね、わたし『たち』はいらない子としてお腹から追い出されたんだ。でも、おかーさんがわたし『たち』を必要だって言ってくれた。だから、わたし『たち』はおかーさんのあったかいお腹にかえりたいの」

 

 いらない子? お腹から追い出された? …………そうか、「堕ろされた」のか! でも、だからってそれは――

 

「ジャックちゃん、それは――」

「うん。わかってるよ、カウンセラーさん。わたしたちがおかーさんのお腹に入ろうとしたら、おかーさんはあの五人みたいに死んじゃう。だから、わたしは今まで抑えてきた。だけど……抑えきれないかもしれない! わたしたちは……わたしは、もう……!」

 

 ……俺に堕ろされた胎児の気持ちはわからない。それがわかるのは同じ境遇の胎児だけだが、それは堕ろされず出産されここまで成長してきた。だから、ジャックちゃんの気持ちはまったくわからない。わかるのは、俺がジャックちゃんについて大きな誤解をしていたということだけだ。

 だから――

 

 

「お茶でも飲もうか」

「え?」

 

 

 書籍データベースで本を探す前……一時間前に沸かしたものだが、結構温かかったのでそのまま使う。湯呑に自分用に仕入れておいたアレを入れ、お湯を注いで混ぜる。

 

「か、カウンセラーさん?」

「ジャックちゃん、お茶を飲んだことはある?」

「え、えっと、何回かはあるけど、あまり好きじゃないなぁ。苦いの嫌いなの」

「へえ、じゃあ……これはどうかな?」

 

湯呑を二つ、ジャックちゃんの方と俺の方にそれぞれ置く。少しだけ湯気が立っていた。

 

 

「少し覚ましてから飲んでね」

「う、うん……ふぅふぅ、ふぅふぅ」

 

 かわいい。

 

「……んっ! カウンセラーさん、甘いよ、このお茶!」

「抹茶っていうんだ」

「ごくっごくっ」

 

 インスタント高級宇治抹茶。お茶を注ぐだけのインスタントにも関わらず、抹茶の香りとコクを味わえる。俺の部屋に常備してある俺専用の抹茶なのだが……まあいいや。

 

「……でもどうして、お茶を飲もうなんて言ったの?」

「ジャックちゃん、言っていたよね。お母さんの温かいお腹に帰りたいって」

「うん、でもダメなの」

「そうだね、マスター君を殺すのは駄目だ。でも、キミ『たち』を頭ごなしに否定することは俺にはできない。俺にはキミ『たち』の気持ちは分からないからね。でも、キミ『たち』に伝えたいことならあるよ」

「……なあに?」

「俺たちは、母親――お母さんから生まれる。でもね、いずれ自立もするんだよ。そして、お母さんの温もりに変わって、温もりを与えてくれる人もいる。……さっきお茶を飲んだ時、少し身体が温かくなったでしょ?」

「う、うん」

「それと似た温かさが、胸にあったことはない?」

 

 

「…………ナーサリー! わたしたちの友達!」

 

 

「いるじゃないか、友達が。……それとも、おかーさんの温もりの方が良いかい……?」

「そんなことない! ナーサリーも大事! あとスパムリリィも大事!」

「す、すぱむ……?」

 

 俺の頭の中を缶詰が駆け回った。スパム……スパム?

 

「その子もわたしたちの友達! 一緒に遊んでいると楽しくて、心がぽかぽかする!」

「決めた、おかーさんを探すのはやめてナーサリーたちといっしょに遊ぶことにする! お話きいてくれたのと、お茶もありがとね、カウンセラーさん!」

「もう全部飲んだんだ……おいしかったかい?」

「うん!」

「それならよかった。またおいで、とっておきの抹茶を仕入れておくよ」

「あま~いやつね! またね、カウンセラーさん! ……ううん、おとーさん!」

「お、お父さん!?」

 

 ……行ってしまった。そっか~、俺お父さんか~って、

 

 

「お父さんってことは売春婦を孕ませて堕ろす切っ掛けになった元凶なんだけど……」

 

 

 まあ、深く考えないようにした。あと、あの本はもう二度と読まないようにブロックした。……さてと、飯にしよう。今日はたしかハンバーグ定食があったな、それにしよう。




『トラウマになる! 実話も創作も関係ない凶悪事件列伝』について補足すると、カウンセラー君は半分しか読んでいないのであと半分あります。カウンセラー君が読んだのは、順番に

ジル、ヴラド三世、エリちゃん、ジャックちゃん、ジキル&ハイド、ファントム

です。

そしてハンバーグはジャックの好物です。

ハンバーーーーーーーーグ!!!
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