魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第010話:出撃!その名は……。

[タカミチ]

 

 僕は長谷川君を護りながら、鬼たちを駆逐していた。長谷川君を護る以上、派手に動き回るわけにもいかない。敵の攻撃も、避けるのではなく受け止めて防御しなければならない。下手に避けると、長谷川君に命中する様に敵は攻撃して来るのだ。「気」も魔力も、どんどん削られて行く。

 

「高畑先生、すいません。わたしのせいで……。」

「なに、大丈夫さ。まだ余裕はある。」

 

 嘘ではない。しかし本当とも言い難い。いや困ったね。ネギ君たちが来るまで、持ちこたえられるかな。っと……。

 

キュキュン!

 

 右腕の前腕に、骨折の添え木みたいな形で固定して装備してある、小型杖(ワンド)状の呪力増幅杖(ブースターロッド)が、僕の脳裏の呪文を読み取り、呪文詠唱ができない僕の代わりに高速詠唱(クイッククライ)する。このキュンキュンと言う音は録音機の早回しのごとく、ほとんど超音波の領域にまで加速された圧縮呪文(ノタリック)だ。

 即座に展開された魔法障壁が、僕と長谷川君をアーウェルンクスの放った魔法から護る。アーウェルンクスはどうやら、下手な人死にを出さない様に動いているらしい。……やはり『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』の残党らしい行動だ。必要以上の死人は出さず、目的を達成する。となると、この『リョウメンスクナノカミ』復活も、こいつら『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』にとって何か意味があるのか?

 ……あるんだろうなあ。そうでなければ、わざわざこんな所にまで出てこないだろう。

 

「いつまで持つかな。ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト……。」

 

 アーウェルンクスは、矢継ぎ早に呪文を唱える。さっきから使う魔法は、「石の息吹」オンリーだ。広域に影響する魔法を使って、わざと長谷川君を巻き込む様に術を行使している。僕の魔力を消耗させて、継戦能力を削るつもりなんだろう。

 更に鬼どもがこれまた厄介だ。僕には怖い相手じゃないんだ。ないんだが……。遠巻きにして、弓矢で集中砲火してくる。僕じゃ無くて長谷川君を。僕はその矢を撃ち落とし、魔法障壁で護り、場合によっては身体で受け止めている。いや、「気」で防御するから刺さらないけどね。

 鬼どもに命令をしているのは、『リョウメンスクナノカミ』の頭のところにいる天ヶ崎千草とか言う女だ。この女は、長谷川君が死んでもかまわない、いや死ね、と思っているのだろう。状況が許せば、咸卦法使って豪殺居合い拳を叩き込んでやりたいね。東に対する恨みとか、何かしら事情はあるんだろう。でも生徒を巻き込んだのは許せない。赦さない。

 だが、このままだとジリ貧だな。一か八か、長谷川君を抱えて現場を離脱、比較的安全なところに彼女を置いてから取って返すか?

 

「なにしとるんや!鬼ども、全員で矢を放ちなはれ!射って、射って、射ちまくるんや!」

 

 天ヶ崎千草が絶叫する。無数の矢が、僕ら目掛けて一斉に放たれた。

 

キュキュキュン!

 

 高速詠唱(クイッククライ)の音。僕の呪力増幅杖(ブースターロッド)じゃない。月明りで長谷川君が地面に落としている影、その中から機械をむりやりに束ねた様な形の、僕が使っている小型杖(ワンド)型じゃない、フルサイズの大型呪力増幅杖(ブースターロッド)が突き出している。そして僕らに向けて放たれた矢は180度その向きを反転し、矢を放った鬼どもを貫いた。

 

「これは……。「矢返し(リバース・ミサイル)」系の魔法か!」

「……増援、か。タカミチ・T・高畑、君が言っていたネギ・スプリングフィールドかな?」

 

 アーウェルンクスの問い掛けに、長谷川君の影の中から姿を現したネギ君が律儀に応える。ちなみにその姿は、僕と初めて会ったときの完全武装スタイルだ。

 

「そうだよ、「土」のアーウェルンクス。僕がネギ・スプリングフィールドだ。

 ……いちいち「土」のアーウェルンクスって呼ぶのは長いな。プリームムとかセクンドゥムとかテルティウムとかクゥアルトゥムとかクゥィントゥムとかセクストゥムとかセプティムムとかオクターウムとか、呼び名無いのかい?」

「……「(テルティウム)」だけどね。それで呼ばれるのは嫌いなんだ。フェイト・アーウェルンクスと名乗ってるから、それでお願いできるかな。」

「フェイト、だね。了解だ。さて、僕がお相手しようかと思ったけれど……。」

「せっかく来たのだからな。わたしが相手をしてやろう。光栄に思え?」

 

 そして今度はアーウェルンクスの影の中から、エヴァが出て来た。それに反応して即応態勢を取ろうとしたアーウェルンクスだったが、その身体が幼女パンチとしか言いようが無い拳撃で空高く打ち上げられる。と思った矢先、既にエヴァの姿は天空にあり、アーウェルンクスの身体を叩き落とした。土煙を上げて、大地に落着するアーウェルンクス。

 え?アーウェルンクスの曼陀羅障壁?展開してはいたがね。でも、あっさりと破壊されてたよ。

 それと時を同じくして、長谷川君の影がぐんぐん広がる。影のゲートを使った転移魔法の出口にするのに、そのままだとちょっと狭かったからだろう。そして影の中から、1人、2人、3人4人と人影が姿を現す。

 

「高畑先生!ご無事で!?」

「刹那君か!詠春さんも!」

「タカミチ君、お待たせしました。」

「お、長あーーー!?そんな、さっき確かに新入りが石化させて……。」

「天ヶ崎……こちらのネギ・スプリングフィールド君の手にかかれば、あの程度の石化は解除は簡単だそうです。」

「ね、ねぎ・すぷりんぐひいるどぉ!?た、大戦の英雄の息子がなんで日本にぃ!?」

 

 天空で、天ヶ崎千草がわめいている。それを後目に、影の中から現れた詠春さんと刹那君と関西呪術協会の術者達が、鬼の半分を相手取って戦い始めた。まあ、さっきのネギ君の「矢返し(リバース・ミサイル)」魔法で大半が大きく傷を負っているから、そうたいした脅威じゃない。残り半分は、ネギ君が相手だ。

 

キュン、キュン、キュキュン、キュキュキュン!

 

 ネギ君の大型呪力増幅杖(ブースターロッド)高速詠唱(クイッククライ)の音を叫ぶ。何度も。圧唱(クライ)圧唱(クライ)圧唱(クライ)圧唱(クライ)圧唱(クライ)

 1回圧唱(クライ)する度に、雷が、炎が、光が、カマイタチが、冷気が、衝撃波が、高圧水流が、石弾が、純粋魔力が、その他様々な属性の攻撃が飛び、鬼どもを殲滅して行く。いや、これは凄いね。僕は敵からの万が一の流れ弾に備え、長谷川君を護る事にする。

 

「先生、高畑先生……。あいつは……。」

「彼はネギ・スプリングフィールド。僕の頼りになる友達さ。……っと、アーウェルンクスが。」

 

 何度目かの打撃を食らったアーウェルンクスだったが、突然バシャッと水の塊に化けてしまう。これは……幻像か、逃げた、な。

 

「はっ。逃げ出したか、根性の無い。」

「あ、お、おのれおのれ!そやけどまだウチには、お嬢様と『リョウメンスクナノカミ』がおるんや!あんたら潰すぐらいは、細かい制御なんざいらんわ!」

「……だそうだが、ネギ?」

「ええ。もう来ます。」

 

 天ヶ崎千草の言葉にエヴァがくすりと笑うと、ネギ君も仮面着用してるからわからないけど、たぶん笑った。『リョウメンスクナノカミ』が、ついに下半身も出現させて湖から歩み出た。長谷川君が、ごくりと唾を飲み込む音が聞こえる。

 

「なあ、あんた随分落ち着いてるけどよ。あれ、どうにかできるのか?」

「確か長谷川さんでしたか、タカミチから聞いたところによると。ええ、大丈夫。あの程度なら問題ありません。タカミチ、マクダウェルさん、詠春さん、皆さん。ちょっと騒がしくなるので、できるだけ離れててください。

「ああ、わかったよ。何をやるのかは聞いて無いけど、ネギ君頼んだ。」

 

 僕らは連れ立って、その場から退避する。と、ネギ君が刹那君に何か話しているのが聞こえた。刹那君の顔が、何か思いつめている様なのが気にかかる。

 

「刹那、君は先ほどの打ち合わせ通りに。」

「はい……!任せてください。」

「おのれぇっ!逃がすと思ってかーーー!スクナぁ!やってしまうんや!」

 

 天ヶ崎千草が、激昂して『リョウメンスクナノカミ』を操って襲いかかって来る。そして、轟音。ジェットエンジンの様な音が響き、凄まじい激突音が聞こえた。

 

ドッゴオオオォォォン!!

 

 

 

[千雨]

 

ドッゴオオオォォォン!!

 

 何だ、何だ!?なんか耳が痛くなったぐらいの轟音が響いたぞ!?それと、なんかすげえ衝撃波が、辺りに撒き散らされた!わたしはマクダウェルがなんか障壁張って護ってくれたから、たいした被害はなかったが!って言うか、マクダウェル、こいつも魔法使い!?

 

「……な、何が起きた?あ、耳が変。」

 

 轟音と衝撃波で、耳が変になってやがる。で、後ろを見てみると、物凄く凄い状態になっていた。あの『リョウメンスクナノカミ』とか言う大怪獣が、仰向け……。仰向け?顔が表裏の2面あるから、どっちが上なのかわからないけど、ひっくり返っている。

 そして怪獣の前には、なんと言うべきか……。今、空の彼方から飛んできて、『リョウメンスクナノカミ』に体当たりをくれて吹っ飛ばした、巨大な影が屹立していたんだ。それは……。

 

「きょ、巨大ロボかよっ!?」

 

 なんだぁ!?さっきまで、拳と魔法のファンタジー世界だったはずだろ!?それが、突然SFのロボット物になったんだよ!わたしの頭がおかしくなったのか!?

 あのネギ・スプリングフィールドとか言うやつの声が、巨大ロボの顔のあたりから響いた。あいつ何時の間にか、巨大ロボの顔にある整備用ハシゴに掴まってやがった。

 

「これが、これが!開発コード「G-1」!大型戦闘ロボット・G1号だ!」

 

 

 

[ネギ]

 

「な、な、な……。」

 

 唖然としている天ヶ崎千草だったが、すぐに気を取り直すと僕とロボに向かって毒舌を吐く。

 

「そ、そないなガラクタの玩具(オモチャ)に、このスクナ、最強の鬼『リョウメンスクナノカミ』がやられると思うとるんか!立て、スクナ!立ってあいつを叩き潰せ!」

 

ぐおおおぉぉぉ……。

 

 やはりね。ロボに体当たりされても、近衛木乃香嬢とオマケで天ヶ崎千草は無事な様だ。『リョウメンスクナノカミ』にとって、近衛木乃香嬢がいなければ力を十全に発揮できないから、あいつにとっても守備対象ってわけだな。天ヶ崎千草もオマケで。つまりは……。

 

「全力戦闘もO.K.って事か。いくぞ、ロボ!」

 

ガオオオォォン!!

 

「させるかあっ!いくんやスクナ!」

 

ぐおおおぉぉぉ……。

 

 そして『リョウメンスクナノカミ』の4本の腕が、ロボに連続攻撃をかけて来る。その鉤爪が、ロボの胴体を狙った。だが……。

 

「ロボのG型特殊鋼は、その程度じゃやられないぞ!」

「そんな!?スクナの爪が剥がれた!?折れた!?」

 

ぐおおおあああぉぉぉぁぁぁ!?

 

「ロボのパンチを受けて見ろぉ!」

 

ガオオオォォン!!ドゴン、バギイッ!!

 

「ぎゃあああ!?スクナの腕があっ!!」

 

 ロボのパンチで、『リョウメンスクナノカミ』の特徴的な4本の腕の1本、左腕の片方が千切れ飛んだ。まあ、そりゃそうだろう。ロボを装甲しているG型特殊鋼は、霊的な意味合いから言えば、「冷たい鉄」にあたる。半ば実体化しているとは言え、その本質が霊体である召喚鬼、『リョウメンスクナノカミ』からして見れば、天敵だ。

 あ、ちなみに「冷たい鉄」だからね。魔法的にも魔力を退ける効果もあるよ。隕鉄使って呪的処理施した「クリス・ナイフ」ほどじゃないけどさ。

 

「く、な、ならばコレならどうや!やれ、スクナ!」

 

ごあああぁぁぁあああぁぁぁ!!

 

 今度は『リョウメンスクナノカミ』が光のブレスを吐いた。一見炎にも見えるそれは、凄まじい破壊力を持っているのは間違いない。

 

「バリア―だ、ロボ!」

 

ガオオオォォン!!

 

 しかしそのブレスは、ガラス板にホースで水をかけた時の様に、ロボの手前で散って行く。強力なバリアーによって、その光条はロボ本体に何のダメージももたらさない。天ヶ崎千草は、必殺の攻撃があっさり防がれた事で、呆然としている。

 

 

 

 ……チャンスだよ、刹那。

 

 

 

[刹那]

 

 わたしの眼前には、ネギさんの巨大ロボに気を取られ、後ろを気にもしていない天ヶ崎千草の後頭部がある。

 

 ボカッ!!……ビシッ!

 

「ぐげっ!?」

「お嬢様は返してもらうぞ!」

「な、な……あだだ!いだだ!な、やめ、あいたた……。」

 

 瀬流彦先生に直してもらった木刀だが、短時間しか保たないと言われていた通りに、天ヶ崎千草の頭を殴ったら月詠に斬られたところから折れてしまった。しかしそれでも充分なダメージは与えられたらしく、天ヶ崎千草は空中で蹲って動けなくなる。

 わたしは木刀の残骸に「今までありがとう」と心の中で礼を言うと投げ捨て、お嬢様の方へ「飛ぶ」。そして呪文を唱えてお嬢様の……このちゃんの額に貼られていた呪符を剥がし、破り捨てた。魔力の供給源を断たれた『リョウメンスクナノカミ』が吠えるが、その叫びも今はわたしの耳に届かない。

 

「お嬢様……。ご無事ですか?」

「ん……あ……。せ……せっちゃ、ん?」

「はい、わたしです。」

 

 制御を失って暴れる『リョウメンスクナノカミ』から全力で離れながら、わたしはお嬢様に微笑みかける。

 

「せっちゃん……。やっぱり助けに来てくれたんやね……。あ……。綺麗な羽やなあ……。」

「あ……。」

 

 そう、わたしは烏族のハーフ、しかも黒い翼では無く、白い翼を持つ忌み子……。けれど、それでもお嬢様を、このちゃんを護りたい気持ちは本当だ……。そしてこうして、ちゃんとこのちゃんを取り返す役に立ってくれたこの翼……。嫌で嫌で仕方が無かったこの白い羽が、ほんの少しだけ誇らしく思えた。

 

「ロボ!全力パンチだ!」

 

ガオオオォォン!!ドッガアアアン!!グワシャアン!!ぐぎゃあああぁぁぁぉぉぉ……!!

 

「あわひゃあああぁぁぁーーー!?」

「カビの生えた古臭い鬼神なんかで、僕と僕の最新科学技術の粋であるロボに、勝てるわけが無いだろう?」

 

 そんな声や音が響いていたらしいが、わたしたちの耳には届く事は無かった。

 

 

 

[詠春]

 

 ネギ君の巨大ロボのおかげで、『リョウメンスクナノカミ』は倒されました。いえ、ウチの術者たちが再封印しようと調べ回ったのですがね。多少の霊的痕跡は残っていましたが、『リョウメンスクナノカミ』の本質部分は、いくら探しても見つからなかったんですよね。

 つまりはネギ君のロボットは、『リョウメンスクナノカミ』を本気で倒してしまった、と言う事なんですね。召喚された「鬼」と言うのは、本体はこの世界には存在せず、鬼たちの世界にある物です。そして現世で倒された鬼は、元の世界に「還って」しまうんです。『リョウメンスクナノカミ』も倒されてしまった以上、鬼たちの世界に「還った」んでしょうね。

 まあネギ君によれば、「数百年から数千年は、再召喚はできないと思います。それだけのダメージは与えたはずですから。」だそうです。ですので、事実上心配はいらないでしょう。

 ちなみにネギ君のロボットは、既に空の彼方へ帰還して行きました。タカミチ君はネギ君に、あのロボットの動力が原子力じゃないか、と恐る恐る訊ねてましたね。ネギ君曰く、違うそうです。正直ほっとしました。原子力なんて危ない物で、格闘戦をやられた日には……。ところでロボットの動力は原子力じゃなく、縮退炉だそうです。気のせいか、長谷川さんとエヴァンジェリンの顔が引き攣っていた様な……?

 

「長……。」

「刹那君ですか。どうしました?」

 

 ……思いつめた顔をしていますねえ。言い出しそうな事も、なんとなく解ります。

 

「どうか……お暇をいただきたく存じます。」

「えっ……。な、なんで!?なんでや、せっちゃん!」

「一族の掟なのです。あの姿……烏族の姿を見られてしまった以上、わたしは皆さんの前から去らねばならないのです。」

「そ、そんな!せっかく元通り仲良くなれたんに!ウチそんなんイヤや!」

「どうか……お許しください。長……。お嬢様……。」

 

 これは困りましたね。いや、わたしは暇を与えたくなど無いのですがね。ですが周囲には、関西呪術協会の術者たちもいますし。なんとか言いくるめる方法は無いでしょうかね。……おや、ネギ君?

 

「とすると刹那。君は近衛木乃香嬢よりも、一族の掟の方が重い、とそう言うわけかい?」

「……!!……そ、そんな事は……そんな事はありません!で、ですが、このままわたしがお嬢様の近くにいては、ご迷惑が……。」

「迷惑なんかや無い!」

「そう言う事では無いのです、お嬢様!烏族の者たちが、どう言う反応をするか……!もしや、正体のばれたわたしが御厄介になって居る事で、敵対的な行動を取る可能性もあるのです!お嬢様が何と言おうと、わたしが居る事でご迷惑が……!」

 

 わたしは、こっそり木乃香の背をそっと押してやります。無論、刹那君の方へ。木乃香は刹那君に抱き付いて泣き出しました。

 

「なら、ウチがせっちゃんを護るえ!ウチ、ぜったい、ぜったいせっちゃんを護ってみせる!それだけやない!せっちゃんが気に病まんですむように、ウチ自身の事も護ってみせるえ!そやさかい、せっちゃんも、せっちゃんも今まで通り、ウチを護ってや!」

「お嬢……さま……。こ、この、ちゃん……。」

「……結論は出たんじゃないかい?」

 

 ネギ君が、仮面を外しつつ言います。あいかわらず、目が死んでますね。残念な美形です。でもその言葉は、力強さを感じさせますね。おや、木乃香のクラスメートで、今回巻き込まれた長谷川千雨さんが、驚いた顔でネギ君を見てます。まあ、ネギ君の台詞に注意を向けましょうか。

 

「近衛木乃香嬢にとって、君がいる事で被る迷惑と、君がいなくなって受ける心の傷とでは、どっちが重いか、と言う話だろう?木乃香嬢、どちらが(つら)いかい?」

「当然、せっちゃんが居なくなる方が、つらい!そんなん、耐えられへん!」

「……だ、そうだ。それでも行くなら、勝手にしなよ。でも、そうしたら木乃香嬢の心は死んでしまうよ?」

 

 そしてネギ君は小さく、「僕も人の事言えないけど、さ。スタンお爺さん、ごめん。もう少し待ってて……。」と呟きました。隣に立ってたわたしにしか聞こえない様な声でしたがね。さて、ネギ君が舞台を整えてくれましたからね。わたしも頑張りますか。

 

「……さて。では本山に帰りましょうか。木乃香も、『ネギ君のロボットが受け止めてくれたおかげで』無事助かりましたし。刹那君?申し訳無いが木乃香を背負ってやってくれないかい?履物も何も履いてないからね。」

「あ、え、あ、お、長!?」

「ああ、ネギ君には『ロボットで木乃香を救出してくれた』お礼を何かしなければなりませんねえ。ねえ皆さん。」

「!!そ、そうですな長!いやあ、驚きましたな、あのロボットには!」

「そうですな、素晴らしい性能でした!」

「他の事ですか?いえ、わたしは何にも気付きませんでしたがね。」

 

 術師の皆も、ニコニコ笑ってわたしに追従してくれました。ありがたいですね。次代の長は、彼らの派閥から選ぶべきでしょうねえ。能力的にも、他派閥の長候補と遜色ないですし。関東魔法協会とも協調路線を取るべきだとの我々との統一見解を持つ人たちですしね。

 木乃香は……。本人の希望によって、どんな道を選ばせるか決めたいですけれど……。関西で呪術師になる道は、避けた方がいいでしょう。木乃香を担ぎ上げようと、過激派の一部が動く可能性もありますし。

 

「み、皆さん……。ありがとうございますっ!!」

「いや、だから我々は、何も見てないよ。」

「そうそう、何も見てないから。見たのはロボットがお嬢様を助けたところだけ。」

「これで話は終わりだよ。さ、本山へ帰ろうか。」

 

 皆笑顔だ。大団円と言う所でしょうかね。天ヶ崎千草も、今頃は……。

 

 

 

[茶々丸]

 

 わたしとチャチャゼロ姉さんは、この度の誘拐犯首魁を捕らえるため、皆さまとは別行動をしております。少しばかり、心持ちモーターの回転数が落ちている?いえ、落ちていませんね。これは何でしょうか。

 

「オマエ、オモシロクナサソウナ顔シテンナ。」

「面白く……ない、でしょうか?」

「オウ。」

 

 いえ、わたしにはその様な感情は……。というよりも、感情そのものが、わたしには……。

 

「オレダケデ、イインダゼ?オマエハ皆ノトコロ行ッテコイヨ。」

「いえ、姉さんに悪いですから。」

「ククク、ズイブン成長シタジャネエカ。」

「ううん……。」

 

 あ、天ヶ崎千草が目を覚ましましたか?

 

「オ。起キタカ。シカシ、コイツヲ痛メツケテモ、オモシロクネエンダヨナ。根性ネエシ。」

「……ひ!あ、あわわ!い、命だけはお助け……。」

「エイ。」

「ひぎゃあああぁぁぁ!!」

「……マタ、気絶シチマイヤガッタ。」

「姉さん、楽しむのは良いのですが、そろそろ連行しましょう。」

 

 わたしの提案に、チャチャゼロ姉さんは頷きます。

 

「イイカゲン飽キタカラナ。コイツ、サッパリ面白クネエ。」

「では。」

 

 わたしは天ヶ崎千草を抱え上げ、マスターの持つビーコンに従って移動を開始したのでした。




主人公最強物の、最強たる所以です(笑)。やはりロボット物は、良い……。
ちなみにネギ君の握力は物凄いでしょうねー。十傑集クラスは余裕であるでしょう。
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