魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第013話:殴殺

[小太郎]

 

 俺が黒人のおっちゃん……ガンドルフィーニ先生と葛葉先生、あの刀持った眼鏡の姉ちゃんやけど、それとちょっと、いや、かなり胴回りの太い弐集院先生を連れてなんとか現場に戻った時、黒いじーさんと瀬流彦のおっさんは、向かい合って立っていた。いや、立っていたっちゅうんは言い過ぎや。今にも(くずお)れそうな様子で、瀬流彦のおっさんはかろうじて立ち尽くしとったんや。

 

「ほう?増援を連れて戻って来たのかね。あめ子、すらむぃ、ぷりんはどうなったのかな?」

「あのスライムどもの事ですか?アレは、3体ともわたしの剣の露と消えましたよ。」

「ガンドルフィーニ先生、葛葉先生。相手は何らかの対抗術式を用意していると言う事ですし、直接攻撃の強いお2人に任せる事になります。」

「わかりました、弐集院先生。下がりたまえ瀬流彦君。……瀬流彦君?」

 

 ……?いったいどうしたんや。瀬流彦のおっさんは、ぴくりとも動かへん。……!?

 

「せ、瀬流彦君!?これは!?」

「い、石に……石化、だと!?」

 

 なんてこった……。瀬流彦のおっさんは、完全に石化してしまっていたんや。

 

「彼は最後まで、勝ち目が無いのに勇敢に戦ったよ。そこの少年をなんとか逃がそう、とね。素晴らしい。まさに戦士だったよ。もっとも力量は、及ばなかった様だがね。」

「この……。」

「葛葉先生!待って!……君、人間かい?」

「「「!!」」」

「さあ、どうだろうね。」

 

 弐集院先生の言葉に、とぼけた様に笑う爺さん。だがその態度で答えてる様なもんや。

 

「妖物の類が、どうやって悟られずに麻帆良へ入り込んだ!」

依頼主(クライアント)からもらった呪符を使ったからね。簡単だったよ。フフフ。」

「……怪しいな。何故そのようにあっさり答える?」

「それはね。どうせ……。」

 

 そして敵は姿を変えたんや。

 

「諸君らはわたしの手で全滅するからね。」

 

 

 

[エヴァンジェリン]

 

 長谷川と木乃香、それに木乃香の護衛で付いて来た刹那のやつが、ぶつぶつと文句を言っている。

 

「いったいどこ連れてかれるんだよ……。」

「外泊届出しとけゆーんは、遠出でもするん?」

「お嬢様に、何をさせようと言うのですか?エヴァンジェリンさん……。」

 

 わたしはフッと笑うと、言ってやる。

 

「いや、な。今回はお前らを決定的に巻き込んでしまおうと思ってな。」

「「「はぁっ!?」」」

 

 こいつらは、異口同音に疑問符をつけた台詞を吐き出す。そして、真っ先に食いついて来たのは長谷川だ。

 

「ま、待て待て待て。もうわたしは、と言うかわたしと近衛は充分に魔法の世界に巻き込まれてるんだが。」

「その中でも、特に深いところに思い切り巻き込まれてもらおうと、わたしとネギで相談して決めた。国際電話でタカミチにも話は通っている。タカミチめ、少々渋りおったが、ネギの懇々(こんこん)とした説得に、ついには折れた。」

「待て!高畑先生が渋る様な事に、巻き込もうってのか!?」

「そうだ。覚悟を決めろ。」

 

 そして闇の中から、ネギが助手に貸した茶々丸を連れて現れる。ネギは仮面こそ着けておらず、胸元にチェーンで下げているものの、いつもの完全武装バージョンだ。チャチャゼロは、茶々丸の肩の上だ。

 

「済まないな。君らを巻き込もうと言うのは僕のわがままだ。だがこれは、大げさでも何でもなく地球の未来にも関わって来る事なんだ。力を貸して欲しい。」

「嘘ではありません。わたしは今晩に備えて資料の(まと)めを手伝っていましたが、間違いなく地球の未来に大きく影響します。その事を再確認しました。」

「……マジ、やの?」

「マジっぽいな……。」

「の、ようですね……。」

 

 そしてネギは世界樹前広場の学園祭用ステージへ向かい、歩き出す。わたしたちも、後を追った。しばし歩いて、わたしたちは学園祭用ステージにたどり着く。そこには超鈴音と葉加瀬聡美が、既に待っていた。それだけではない。四葉五月と龍宮真名までもがその場にいる。龍宮も、こ奴らの仲間だったのか。スナイパーが堂々と非武装で姿を現しているのは、誠意のつもりか?ネギが奴らに語り掛ける。

 

「早かったですね、超さん。こちらも5分前に来たのですが。」

「社会人の常識ネ。」

「さすが超包子経営者だけの事はありますね。学校内には僕は入れないので、評判の肉まんを食べた事ないんです。学園祭になって噂の電車屋台が出るのを、楽しみにしていたんですよ。」

「ホウ!それはそれは。ちょうど今、肉まんの持ち合わせがあるネ!さすがに全員には行きわたらないガ、食べたコト無いヒト優先でいいカ?」

 

 ネギは四葉が差し出した肉まんを受け取って小銭を支払うと、満面の笑みで肉まんを頬張った。目は相変わらず死んでいるが、その目をつむってしまえば歳相応の少年に見えるな。む?この場の何人かが、ネギの笑みに頬を赤く染めているな。わたしはくくく……と笑った。が、なんか微妙に面白くない気もするな。

 

「学園祭の路面電車屋台デハ、点心だけでなく、ちゃんとした中華料理も出すヨ!」

「それは素晴らしいですね。ごちそうさまでした、美味しかったです。

 ……さて、本題に入りましょうか。ちなみに僕らの方は、超さんたちを説得するために洗い浚い事情をぶちまける予定です。なんとしても、超さんたちに僕らの計画に賛同してもらい、仲間になって欲しいんです。」

「……そちらがそう言う態度なら、コチラも覚悟決めるヨ。コチラこそ、ネギさんの協力が、是が非でも欲しいネ。コチラの事情も洗い浚い話すヨ。」

「どちらから先に?」

「ワタシからでいいカナ?」

 

 全員が頷く。そして超は話し始めた。

 

「いいカナ?……魔法世界は崩壊するヨ!!」

「「「「「「…………。」」」」」」

「あ、アレ?反応薄いネ?」

「あー、すまん。魔法世界って何なんだ?超。」

「ウチもわからないえ。せっちゃんは知ってる?」

「知っていますが……。流石に話が大きすぎて実感がありません。」

 

 あー。千雨と木乃香と刹那には、これから教える予定だったからな。お、ずっこけていた超が気を取り直した。龍宮も葉加瀬もなんとか姿勢を保っていたが、こやつらも危うくずっこける寸前だったな。

 

「あ、え、えーとだネ。つまりここの大半は、魔法世界を知らないのカ?」

「いや、違うぞ。わたしが魔法世界を知らないわけがあるまい。」

「僕、マクダウェルさん、絡繰さん、チャチャゼロさんは、魔法世界の事は当然として、それがあと10年以内に崩壊を始める事も知ってますよ。と言いますか、先ほどちらっと触れた僕の計画ですが、その魔法世界の崩壊に対処するための計画なんです。」

「!?……ナント!?……であるならば話は早いネ!ワタシの計画も、魔法世界の崩壊を……。」

「超!!」

 

 その瞬間、龍宮がどこに持っていたのか小型拳銃を抜き、構える。いや、わたしも奴と同じか、やや早く気付いていたぞ?何がしかの気配がやって来る方に向けて身構えた。茶々丸も、わたしのやや前に位置取りしている。刹那もまた、半ば素人の木乃香と千雨を守る様に立ち、野太刀をいつでも抜刀できる様に構えていた。1テンポ遅れて、超が身構える。

 ネギ?わたし達の中で、一番早く気付いていたな。さくっと仮面を装着して完全武装になると、影の中からフルサイズの呪力増幅杖(ブースターロッド)を引っ張り出して身構えていた。そして超に顔を向ける。超は首を左右にぶるぶると振った。そしてネギを指さす。ネギもまた、頭を振る。つまりはこの騒ぎは、どちら側の仕込みでも無いと言う事だ。

 そして皆の視線の先、学園祭用ステージの観客席の端に、何者かの影が現れる。何かを抱きしめているそいつは少々よろけ、次の瞬間必死に跳躍した。直後、何か光線の様な物がそいつが今まで居た場所に着弾する。そして、その「男」は我々がいるステージ前まで転がり落ちて来た。刹那が叫ぶ。

 

「ガンドルフィーニ先生!?」

「ぐ……。せ、つな、君?木乃香嬢?な、え、エヴァンジェリン……!そ、そうか。木乃香嬢は学園長の我儘(ワガママ)で、エヴァンジェリンに師事する事……に。それで……い、いかん!に、逃げるんだ!」

「何があった。ガンドルフィーニ。む?左脚が石化?ふむ、どんどん広がっているな……。」

 

 ガンドルフィーニは、一瞬苦悶の表情を浮かべる。が、意を決して言った。嫌そうに。

 

「く、エヴァンジェリン……。この、この子供を……。凶悪犯のお前になど、託したくは無いが、已むを得ん……。」

「偉い言い様だな、ガンドルフィーニ。このガキが……何?おい、このガキも左手から石化しつつあるぞ?」

「な、何だって!?くそ、何てこと……。」

「まあいい。ネギ!」

「わかってますよ、ちょっと光りますよ?」

 

 そしてネギの呪力増幅杖(ブースターロッド)圧唱(クライ)

 

キュキュキュンキュン!

 

 次の瞬間、呪力増幅杖(ブースターロッド)の先端から発した光がガンドルフィーニとガキの石化を解除した。

 

「こ、これは……!!石化が……!!」

「体力も回復させてあげたいんですが、ちょっと待ってください。無粋なやつが来ました。……コイツは。

 ……マクダウェルさん、超さん。その、ガンドルフィーニさん?と少年?を皆で保護してあげててください。ヤツは……。僕が1人で。」

「ま、待ちたまえ!ネギとか言っ……え?ネギ?どこかで聞いた様な……。」

「おいネギ。お前なら1人で大丈夫とは思うが……。だが確実性を取るなら。」

 

 呼び止めたネギの、仮面の目の部分から覗いている光は、爛々(らんらん)と怒りに輝いていた。思わず息を飲む。この600余歳の真祖の吸血鬼が。

 

「奴は、僕の仇です。ごめんなさい。誰にも渡すわけには行かないんです。」

 

 そしてネギは、学園祭用ステージの観客席の階段へ向かい……。正確には、そこから降りて来る1人の……1人の?いや、1体と言った方がいいな。人間のフリをしてはいるものの、わたしの目は誤魔化せん。その1体の悪魔(デーモン)へと向かい、走り出していた。

 

 

 

[ネギ]

 

 嬉しい。嬉しい。嬉しくてたまらない。

 

「やれやれ。これほど大勢の目撃者が出てしまうとは。これは隠密裏の調査任務は失敗、かね。一応ある程度の調査は済んでいるが……。第2目的の、威力偵察に切り替えねばならないな。」

 

 ほざいてろ。今、潰してやる。奴を自分の手で潰せるのが、嬉しくてたまらない。

 

「ところで君は1人でいいのかね?他の皆と協力して戦わなくていいのかい?」

 

 制帽の徽章(エンブレム)にはめ込まれている、『霊視眼(グラムサイト)』で「そいつ」を識別(アイデンティファイ)。最初から、「気配」で分かっていたが、完全に確証が取れる。こいつは悪魔(デーモン)だ。しかもこいつは、あのアイツだった。

 

 

 

 スタンお爺さんを相打ちで石化させた、故郷の村を襲った爵位級悪魔(デーモン)の1体。

 

 

 

キュキュン!!

 

 呪力増幅杖(ブースターロッド)が、『呪弾(ブリット)』の呪文(スペル)圧唱(クライ)する。呪力増幅杖(ブースターロッド)の先端から、純魔力の砲弾が発射され、敵を追尾(トレース)して着弾。パン!『呪弾(ブリット)』ははじけ飛んで消滅する。

 ……わかっていた。奴が何らかの抗術(アンチマジック)を張り巡らせている事は。その強度と仕組みを、『霊視眼(グラムサイト)』で識別(アイデンティファイ)するため、あえて放った『呪弾(ブリット)』だったのだ。

 

「やれやれ、余裕の無い。残念だがね。放出系の魔法は効かないんだよ。……悪魔パンチ(デーモニッシュア・シュラーク)!」

 

 奴が右腕を揮う。その右腕に乗った魔力が、衝撃波と化し僕を襲う。僕は左手を突き出した。その(てのひら)が青く光る。左(てのひら)の皮下に、特殊なディスプレイフィルムが貼り込まれているのだ。それは様々な呪的パターンを装備者の意志によって描き出し、それに魔力を流す事で発動するのだ。その名も自在護符(ヴァリアブル・タリズマン)。今回の選択印行(パターン)は、『呪盾(シールド)』。左(てのひら)前方に、強力な障壁が盾として展開される。

 バシィッ!と音がして、敵の攻撃は完全に防がれた。僕は宇宙基地に設置されている機能特化型大型量子演算装置(コンピューター)呪文編纂機(スペルコンパイラ)交霊(チャンネル)、ある特殊な呪文(スペル)を頭の中での設計に従い編纂(コンパイル)させる。数瞬で完了。その呪文(スペル)呼出(コール)する。だが一瞬、タイムラグが生じた。

 奴は再度、性懲りもなく悪魔パンチ(デーモニッシュア・シュラーク)とやらを繰り出す。間に合うか?いや、ここは再度『呪盾(シールド)』の方がいいだろう。先ほど展開したままの『呪盾(シールド)』で、攻撃を防ぐ。そして僕は、呪力増幅杖(ブースターロッド)で用意していた呪文(スペル)圧唱(クライ)

 

キュキュンキュキュキュキュン!!

 

 そして、暗視(ナイトビジョン)霊視(アストラルサイト)の効果が切れて、視界がやや暗くなった。

 

「お……!おおお!?」

 

 目の前では、老人姿から悪魔(デーモン)の本性に戻ったアイツが這い蹲っていた。それはそうだろう。今圧唱(クライ)した呪文(スペル)は、完全抗魔領域(フル・アンチマジック・シェル)。ありとあらゆる魔法の力を中和してしまう領域を、僕を中心に一定時間発生させる特製呪文(スペル)だ。爵位級悪魔(デーモン)……『霊視眼(グラムサイト)』で識別(アイデンティファイ)したところ、伯爵級の様だが、コイツは自らの身体を構成する魔力(マナ)を、今急速に中和されているのだ。

 僕はこいつを蹴り飛ばす。こいつは無様に転げた。そして必死に拳を繰り出す。だが衝撃波は発生しない。当たり前だ。この空間では、永続的な魔道具(マジックアイテム)ですらも一時的に力を失うのだ。こいつは(あぎと)を開き、そこから何か吐き出そうとするが、悪魔(デーモン)の特殊攻撃はしょせん魔法的な攻撃。その口からは、何も出なかった。

 

「……無様だな。」

「き、君は何者かね……!」

「ネギ・スプリングフィールド。」

「!!」

 

 奴は僕が何者なのか、理解したらしい。非人間型の顔を、笑みの形に歪めて何か言おうとした。だが僕はその口に蹴りを叩き込む。

 

「グハッ!!」

「……本当は、消滅させてやりたいんだけどね。でもそれ以上に、貴様の召喚主に嫌がらせをしてやりたいんだ。だから、「死ね」よ。魔界に「還って」しまえ。「死んだ」ときのダメージのフィードバックが、召喚主にそのまま叩き込まれる様に、さ。」

「ガッ!!……くくく、くはははは。中々わたし好みに、歪んでくれたものだ。」

 

 僕は、哄笑を、狂笑を振りまくそいつに歩み寄る。

 

「楽しいかい?それはよかった。僕も嬉しくて、仕方ないんだよ。」

「ぐぶぅっ!!」

 

 一蹴りで、そいつの腹をぶち抜く。

 

「だけど、今日は他にも予定が詰まってるんだ。そろそろお別れと行こう。」

「ぐぼぉっ!!」

 

 そいつの上半身を、高々と上空へ蹴り上げる。下半身は、今しがた塵になって消えた。

 

「くたばれ……。」

「……!!」

 

 呪力増幅杖(ブースターロッド)を手放し、落下して来るそいつの霊核(コア)がある頭と心臓を各々、パンチの連打で粉々に打ち砕く。可能な限り、倒れた衝撃が召喚者にフィードバックされる事を願いつつ。

 

 

 

 そして僕は、しばらくそのまま立っていた。やがて暗視(ナイトビジョン)霊視(アストラルサイト)の力が眼に戻って来る。完全抗魔領域(フル・アンチマジック・シェル)の効果が尽きたのだ。復讐を1つ果たしたんだが、何故か虚しい。復讐が虚しいわけじゃない。実行犯の1体を潰したからと言って、本懐を遂げるのがまだまだずっとずっと先だと言うのが苦しいのだ。

 とぼとぼと、皆のところへ階段を降りて行く。皆は黙ったままだ。まあ、それはそうか。引く、よなあ、あんなの見たら。

 

 お疲れ様です。

 

 か細いが、はっきりとした声が聞こえた。四葉五月さん、か。僕は応える。

 

「いえ、ありがとうございます。」

 

 復讐は、否定されるべきものじゃありません。よく復讐は何も生み出さない、と言われます。でも、それを果たさないと前に進めない人もいます。ですから、いつか本当に前に進める日のため、がんばってください。

 

「……本当に、ありがとうございます。」

「……そうだな。わたしも、わたしを魔法実験で吸血鬼にした奴を、復讐で殺した事がある。ネギ、お前の気持ちが完全にわかるとは言えんが、さりとてまったくわからん訳でもない。」

「な、何っ!?え、エヴァンジェリン!?お前は自ら吸血鬼になったのでは無かったのか!?」

「ガンドルフィーニさん、でしたね。もしそうだったら、マクダウェルさんが子供の身体のわけが無いでしょう。第一、どうやったら元々の年齢が10歳ぐらいで、吸血鬼化の魔法を自分で開発して行使できるんです?マクダウェルさんは天才的な素養は確かにありますが、だからと言って10歳でソレって、吸血鬼以前にとんでもないじゃないですか。」

 

 僕の台詞にガンドルフィーニ氏は、がびーーーんとショックを受けている。そして千雨、木乃香、刹那が口々に言う。

 

「そうだよな。わりぃ、ちょっと引いちまった。アンタの事情何も知らねえもんな。」

「ごめんやー、かんにんえー。ほんまウチ、ネギさんの事怖がってしもた……。」

「申し訳ありません……。ネギさんの恩義も忘れ、恐れてしまいました……。」

「ふ、仕方ないから。僕は気にしてないから。そっちもあんまり気にしないでくれ。」

 

 そして茶々丸が、おずおずと小さく微笑み、チャチャゼロが口を開く。

 

「ナカナカヤルジャネエカ。コンド、オレトモ斬リ合イシヨウゼ。」

「悪いけど僕の武装、刀剣類はそんなに無いんだ。魔斬剣(まざんけん)で斬ったら、チャチャゼロ死ぬぞ?本気で。壊れたなら直せるだろうけど、あの剣だとかすっただけで全魔力消すからね。」

「ジャ、普通ノ刀剣オレガ用意スルゼ!」

「それなら……いいの、かな?」

 

 そして超さんが、ニコニコと貼り付いた様な笑み(アルカイックスマイル)で話しかけて来る。あ、葉加瀬さんはまだビビってるね。

 

「さて、どうしようかネ?何か色々騒ぎになってしまて、困たよ。話し合い続けたい気はあるのだガ……。どうす、うぉう!?」

「あ、アンタ!頼みがあるっ!」

「へ?」

 

 超さんを押しのけて僕に話しかけてきたのは、ガンドルフィーニ氏が抱き抱えていた子供だった。10歳ぐらいの。悪ガキっぽい。

 

「お、俺は犬上小太郎ゆうんやけど!あの悪魔に石にされてしもた他の先生たち、助けてやってくれんか!?」

「……完全に、石になってるのかい?あの悪魔(デーモン)の術で?」

「そ、そうや……。」

「……。」

 

 僕は影の中の空間歪曲庫(くうかんわいきょくこ)から、以前作った石化解除の魔法杖(ワンド)を取り出す。

 

「10回しか使えないんだが、何人だい?」

「あ、えっと、弐集院先生に葛葉先生、それと瀬流彦のおっさ、いや兄ちゃんや!」

「あ、わ、わたしからもお願いする。たしかネギ君、だったね。代金が必要なら、学園長に掛け合うし、不足であればわたしも貯金や所有の魔道具を出すから……。」

「いえ、ガンドルフィーニさん。お金はいりませんから、後でちょっとしたどころじゃないトンデモないお願いを聞いてくれませんか?」

「え゛。」

 

 そして犬上小太郎君は、続けて言った。

 

「それと……。お、お願いや!俺に戦いを教えてくれ!」

「「「「「「え゛。」」」」」」

「うん……。まあ、いいよ。条件はあるけどね。」

「「「「「「え゛。」」」」」」

 

 ……何で一部除いた皆が、絶句してるんだろうね?




ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン伯爵、名乗ろうとしたけど名乗るヒマもなく蹴られ殴られ昇天。まあ、悪魔ですし「アンチマジックシェル」的な術を使われたらどうにもならないと言う。
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