魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第016話:再びの日常……え?ニンジャ?

[のどか]

 

 毎年の事ながら、スゴイです……。建築中の、学祭門……。フランスはパリのエトワール凱旋門をモデルにしたレプリカだそうですが……。いえ、こちらは木製だけれど。

 巨大学園都市だけあって、その全学園合同の学園祭。まだ15日も前なのに、道には仮装した人たちがいっぱいです。実行委員会が、注意の放送をしています。

 

『こちら実行委員会です。かぶり物での登校は、8時までとなっております。繰り返します……。』

 

 注意を守らないと、罰則規定などもありますから、大半の人はできるだけ守ります。でもやっぱり守らない人もいるみたいで、時々高畑先生などの広域指導員とかが活躍することもあるんです。

 わたしは友達の夕映と、早起きして登校してきました。目的は超さんたちの超包子、学祭期間中だけの電車屋台で、朝ご飯を食べる事です。

 

「うわあ……。混んでるね……。」

「あ。あそこの席が空いたですよ。行きましょう、のどか。」

 

 なんとか座れました!夕映はさっそくメニューに没頭してます。わたしは何食べようかな……。

 

「あれ?確かミヤザキさん?」

「え……。」

 

 聞き覚えのある声にそちらを向くと、そこにはハイライトの無いどんよりと曇った茶色の目が。あ……。

 

「あ、え……。た、たしかネギ、さん?」

「久しぶり。あの後、大丈夫だった?」

「は、は、はい!そ、そそそそその節はどどどうもありがとうございましたー。」

「あ、男が苦手なんだったね。声かけて悪い事したかな。」

「いいいいえいえいえ、そんな事ないですー。」

「のどか、その人どちらさまですか?」

 

 あ、そうです。今日は夕映と来てたんでした。ちゃんと説明しなきゃ!

 

「こ、この人は、前にあぶなく怪我しそうなところを助けてもらったんですー。」

「それはそれは。はじめまして、わたしは宮崎のどかの友人で、綾瀬夕映と言うです。」

「よろしく。僕はネギ・スプリングフィールド。」

 

 えへへ……。ネギ・スプリングフィールドさんかぁ……。夕映のおかげで、フルネーム教えてもらっちゃった。……え?なんでわたし喜んでるの?

 

「のどかも朝ご飯、食べに来たん?」

「宮崎か。ネギさんに助けられたのか?」

「……。」

 

 ……え?木乃香さんと、長谷川さんと、エヴァンジェリンさん……?ネギさんと一緒の食卓を囲んでるって事は、お友達なのかな?……なんだろう。ちょっと胸がチクっとする。ネギさんの頭に乗ってるお人形さんは、何なのかな?

 

「木乃香さんと長谷川さんに、エヴァンジェリンさんですか。何かいつもだったら繋がりの無さそうな人選です。皆さん、スプリングフィールドさんの?」

「ああ、ネギでかまわないよ。スプリングフィールドだと長いだろう。」

「どもです。」

「ああ、うちらはちょっと事情があって、ネギさんとエヴァンジェリンさんに助けられたんよ。」

「あれは今思うだに、ぶっ飛んだ助けられかただったな……。」

 

 他にもネギさんに助けられた人が……。

 

「……木乃香さん、前までエヴァンジェリンさんの事を、エヴァちゃんと呼んでいませんでしたか?」

「ああ夕映。うちと千雨ちゃん、ちょっと事情があってエヴァンジェリンさん先生にして教わってる事があるんよ。そやから敬意を込めて、さん付けで呼んどるんや。」

「わたしは最近は、ネギさん主体で教わってるけどな。」

 

 千雨さんがネギさんと……!!

 

「何を教わってるです?」

「ああ、ごめんなあ。ちょっと特殊な才能を必要とする特殊技能で、認められた人にしか教えたらあかんのよ。」

「木乃香、ちょっとうかつだったな。ククク。」

「ああ、ごめんしてや、エヴァンジェリンさん。」

 

 そこへ、古菲さんが現れます。

 

「いらっしゃいアル。本屋、夕映。何食べるアルか?」

「あ、じゃ、じゃあ普通のシュウマイに小籠包、それに中華スープを。」

「わたしはそれに加えて、ニンニク抜きのギョーザを1皿おねがいするです。」

 

 隣のテーブルでは、茶々丸さんがネギさんたちのお会計をしてる。……茶々丸さんの表情が、何処か柔らかい気がする。

 

「やあ、君らも朝ご飯かい?」

「あ、タカミチ。」

「茶々丸君。ネギ君たちと、宮崎君たちの会計は僕に。」

「了解しました。」

「え!それは悪いよタカミチ。」

「そ、そうですー高畑先生―。」

 

 そこへわたしの後ろ側から、別の声がかかります。

 

「ああ、ならばわたしも半分支払おうか。」

「ガンドルフィーニさん!」

「えっ!ガンドルフィーニ先生!?」

 

 他校の先生ですけど、四角四面でガチガチな事で麻帆良女子中にも有名な先生です。確かに表情は硬いです……。でも、心なしか微笑を浮かべてるのは、気のせい?

 

「たまにはいいだろう。ネギ君がお金持ちなのは知っているがね。年長者に見栄を張らせてくれないかい?」

「……わかりました。ご馳走になります。」

「ありがたく頂くです。」

「夕映……。」

 

 そしてネギさんたち4人が席を立ちます。入れ替わりで、高畑先生とガンドルフィーニ先生、ガンドルフィーニ先生と一緒に来た瀬流彦先生、名前の知らない黒髪の小学生っぽい男の子が座りました。

 

「それじゃあ僕らは……。ご馳走様。また来るよ、茶々丸さん。四葉さんと超さんに、美味しかったってお願い。」

「はい。またのご来店、お待ちしております。」

 

 四葉さんや超さんともお知り合いなんですか?い、いえ。そうじゃない。

 

「ネギさん、それじゃあ、また……。」

「うん、宮崎さん。また会おう。」

 

 そしてネギさん以下4人は、連れ立って行ってしまいました。ここで古さんが、一言。

 

「あのネギと言う男、できるアルね。今ここが超包子じゃなかたら、挑んでるところアル。」

「えっ……。」

「古さんが認める男性とは、凄いです。」

「ただ、何処に住んでいるか、何処の学校かも、わからないアル。戦ってみたいアルが……。」

「……。」

 

 わたしも、ネギさんが何処に住んでいるのか、どんな人なのか、知りたい。……何故なんだろう。

 

 

 

[楓]

 

 拙者がエヴァンジェリン殿のお宅を遠距離から見張れる場所に潜んで半刻(1時間)。木乃香殿と千雨殿は、学校が終わった直後エヴァンジェリン殿の家に向かい、そしてそこの庭で体操とか始めたでござる。しかも普通のラジオ体操とかではなく、かなりハードな代物。

 ちなみに周囲では、刹那や真名が警護をしてるでござる。距離をこれだけ空けていて、よかったでござるな。これ以上近寄っていたら、2人に気付かれていたやも知れぬ。

 しかし……図書館探検部に籍を置いて、多少は身体を動かした経験のある木乃香殿ならともかく、帰宅部でインドア派の千雨殿も、かなり長時間身体を動かし続けていても疲れた様子を見せないでござるな。

 

「はて……。何故にあの様なハードな体操を……?」

「うん。彼女たちが学んでいる事柄にとって、ある程度は体力も必須事項なんだよね。で、なんで君は誰のどんな依頼でこんなところで?」

「はっはっは。依頼人の秘密は話せないでござるよ。」

 

ドロン!

 

 拙者、急ぎ煙玉を使ってその場から姿を消した。何時気付かれたでござるか!?更に分身を放ち、本体がどれなのか分からなくして、逃走を図った。しかし拙者に話しかけて来た赤毛の外人の男は……。

 !?……ナント!?拙者12人に分身したでござるが、相手は36人に分身し、拙者の分身1体につき3体で各々を追い詰めにかかったでござる。そして本体の拙者を取り囲んだうちの1人が言う。

 

「長期間独自行動をさせるための分身ならともかく、半日程度保てばいい分身ならばこの数倍は出せるけどね。さて、悪いけれど捕まえさせてもらうよ。ニンジャのお嬢さん。」

「そうは行かないでござる……よっ!」

「そうは行くんだ、コレが。」

「な!?」

 

 拙者を取り囲んだ3体にひと息で手裏剣を投げたでござるが、1体は右手の人差し指と中指でソレを挟み取り、1体は腰から抜いたコンバットナイフで弾き落とし、もう1体はさくっと躱したでござる。そして今まで認識できていなかった1体……いや、これはおそらく本体でござろうが、ソレが背後から拙者の脾腹を掌底で叩く。拙者の全身から力が抜ける。意識が遠くなる。

 何故今まで認識できていなかった?いや、気配を完璧に消せば、たとえ目の前に居ても、目には映っていても、その存在を認識できなくなると言う。俗に忍者の間で、「石化け」とか言われる奥義でござるが……。近年の忍者には、それができる者はまず居らぬ。

 気配を完全に断つ事は、実は拙者にもできる。しかしそれでも達人相手だと、場所がばれてしまう。理由は、気や風や土や草木他、自然の様々な気配の中に、気配のまったく無い場所が「人型に」出来てしまうからでござる。気配を断つばかりではなく、それに自然の気配を混ぜ込むなど、とんでもない難易度でござれば。なれどこの男、それを事も無げにやってのけた……。

 

 

 

 ぎゃふん。

 

 

 

[ネギ]

 

 ニンジャのお嬢さん、甲賀中忍の長瀬楓嬢が目を覚ましたとき、とりあえず僕は土下座しておいた。

 

「な、な、な、何でござるか?拙者そちらを探っていて捕まったでござるよ?詫びろと言うならともかく、詫びられる覚えはござらん故に……。」

「いや、悪い事したから。ちょっと特殊な方法使って、頭の中を覗かせてもらったんだ。君のプライバシーから何から、全部。」

「な!?」

 

 がびーん、とショックを受けた顔の彼女は、しかしなんとか精神を再構築して真顔に戻る。

 

「これは……。いや、不覚を取ったでござるな。責任を取って、嫁にもらっていただくしかあるまいでござるよ。」

「まて。ソレは待て。」

 

 周囲を囲んでいたウチの1人、脇に立っていた千雨が、慌てて止めに入る。彼女の冗談だから、そこまで反応しなくてもいいと思うんだが。

 

「まあ今のところは冗談でござるよ。しかし困ったでござるな。(それがし)、これでも甲賀中忍。甲賀の里の秘密が……。」

「あー。悪いけど、甲賀の里の秘密関係だったら既に僕が知ってた事ばっかりだったから。だからそれに関しては、気にしないでいいよ。」

「ナント!?」

 

 再び、がびーんとショックを受ける楓嬢。ま、ニュースソースが前世の僕の霊魂が迷い込んだ霊的高次空間なのは、伏せておこう。

 

「それで拙者の技が全て見切られてたでござるか……。」

「あー、言っちゃ悪いかもしれないけれど、ところどころ失伝してる技とかあるんじゃないかい?僕が甲賀の秘密教わったのは、大昔の人の記録だから。君の記憶にあった技とか……少し、なんと言うか、雑?」

「ウヌッ!?」

 

 三度(みたび)、がびーんとショックを受ける楓嬢。流石に駄目押しをくらったのはこたえたらしく、しばし顔を床に伏せてお尻を高く上げた愉快な姿勢で、ぷるぷる震えていた。だがやがて、なんとか起き上がって顔を上げる。

 

「まあ、それはともかくとして……。仕事に失敗してしまったのはまずいでござるな。全部知られたと言うからには、依頼人(くーふぇ)の事も依頼内容も知ってしまったのでござろ?」

「いや、依頼に失敗したとまでは言えないんじゃないかね。依頼内容には、「秘密裏に」とかは入って無かった。まあ無論、普通なら「秘密裏に」ってのは暗黙の了解事項なんだろうけれど。でも契約と言う観点からすれば、それに言及されていない以上は厳守する必要も無い。」

「そうでござるが……。拙者のプライドと言う観点からすれば、もうズタズタでござれば……。」

「……悪かった。」

 

 そう、この楓嬢は朝方に超包子の電車屋台で出会った、ウェイトレスのバイトをしていた古菲と言う少女に頼まれて、千雨と木乃香を探っていたのだ。目的は僕の住所を特定し、僕に格闘技の試合を申し込む事。なお依頼の代価は食券72枚。古さんにとっては椀飯振舞(おうばんぶるまい)らしい。と言うか、古さんが今出せる限界ぎりぎりの枚数だとの事。

 ……どんだけ僕と試合したいんだ。

 

「ふう……。僕は明日まで、中央ホテルin麻帆良の408号室に宿泊してる。実はその後の予定は立ってない。もうしばらく麻帆良に居るつもりではあるんだけれど、ホテルの宿泊を延長できなくてね。今、頑張って宿泊先を探してはいるんだ。

 だけどもしかしたら、麻帆良の全学園合同学園祭が終わるまでの間、いったん帰国するか……。じゃなければ、どこか日本の別の場所に旅行でもするしか無いかなあ。麻帆良祭のせいで、宿泊施設はどこも予約がいっぱいだ。」

「古に知らせてもいいんでござるか?」

「いいよ。ただ、試合を受けるかどうかまでは保証しない。その古とか言う彼女の態度次第だね。」

「で、ござるか。感謝するでござるよ。ところで……。」

 

 ん?まだ何かあるのかな?

 

「拙者の頭の中を読んだのは……。「魔法」でござるか?」

「「!?」」

「違うよ。」

「嘘はいけないでござるよ。木乃香殿と千雨殿、そして刹那の顔色が変わったでござる。真名とエヴァンジェリン殿、茶々丸殿は、流石に変わらなかったでござるが。いや、麻帆良学園女子中等部に入学して以来、色々と不可思議な事を目にしていたので。(それがし)も社会の裏に関わる甲賀中忍。裏の更に裏の事は、うっすらとは勘づいていたでござる。」

「いや、本当に違うんだけどね。それと木乃香、刹那、千雨。」

 

 名前を呼ばれた3人は、申し訳無さげに頭を下げる。

 

「ごめんなぁ……。堪忍や。」

「申し訳ありません!」

「あ、済まねえ……。もう少し、ポーカーフェイス覚えないと駄目だな。」

「今後は気を付ける様にね。ま、長瀬嬢だったら巻き込んでも大丈夫だろう。だけど、後で僕らと裏の責任者のところに行ってもらうよ?」

「ム……。わかったでござるよ。しかし……本当に拙者の記憶を読んだのは、魔法とは違うので?」

 

 そうなんだよ。実は別の物を使ったんだ。魔法でも良かったんだけどね。僕は影の中にある空間歪曲庫から、パソコンみたいな物とソレからケーブルで繋がったヘルメット状の物を引っ張り出す。

 

「むむむ!これは面妖でござるな!影の中から物を取り出すとは。まさしく魔法……。でござるが、出したものはハイテクでござるな?」

「これを使ったんだよ。これは精神探査機(ブレインスキャナーデッキ)と言ってね。人間の頭の中から、記憶を読み取る装置だよ。もともとは犯罪捜査用に、死人の脳みそから情報を抜き出すための装置だったんだけど、今では技術が進歩して生きている脳からも楽に情報を抜ける様になった。」

「……なんか嫌な予感がするでござるが。」

「昔は安全性とか考えられて無かったからねー。死人の脳みそは壊れてもいいからって。だから昔の機械だったら、生きた脳みそに繋ぐとほぼ100%死亡、生きてても重大な障害を負うんだよね。今は技術が進歩したから、そんな事ないよ。悪くて、ちょっとパーになるぐらい。」

「ナ!?」

 

 楓嬢が、焦った顔になった。

 

「せ、拙者がパーになったらどうするでござるかーーー!?ただでさえ学業成績悪いのに、これ以上下がったら!」

「安心しろ。今更それ以上下がっても誤差の範囲だろう、バカブルー。」

「ほほう、言うでござるな。刹那も予備軍でござろ?バカレンジャーの座は、いつでも空いてるでござるよ。何色が良いでござるか?」

 

 火花が散ってるよ。本気で。って言うかこの火花、幻とか気のせいじゃなく、2人の「気」が干渉し合って飛んでるよ。

 

「……ネギさん。申し訳ないけれど、わたしに勉強教えてくれないか?特に英語。」

「……あいつらに混ざりたくは無いな。できればわたしもお願いしたい。わたしは英語は大丈夫だから、数学を。」

 

 千雨と真名が、真顔で頼んで来た。いいでしょ、引き受けよう。

 

「じゃあ幻想空間(ファンタズマゴリア)使って勉強教えようか。あそこならダイオラマ魔法球と違って、長時間使ってもクラスの皆と年齢差は広がらないからね。」

「あー、良かったらウチらもー。せっちゃん、いっしょにネギさんに勉強教わろ?な?」

「あ、ハイ!よろしくお願いします!」

「了解だよ。それと長瀬嬢、君も勉強はした方がいい。数学とか科学とかは忍者の技にも応用が利く、と言うかその知識無いと十全に使えない技も多いよ?身体だけ鍛えてたら、一流にはなれても超一流の領域は遠くなるばかりだ。」

「そ、そうでござるか?」

 

 僕は失笑を漏らしつつ、マクダウェルさんに目配せした。マクダウェルさんも、やれやれと頷く。

 

「じゃあ早速、今日から教えようか。ぐだぐだになっちゃったんで、魔法の訓練ってわけにも行かないだろう。」

「そうだな。今日は魔法の訓練は休みだ。勉強が終わって幻想空間(ファンタズマゴリア)から出たら、超包子でも行って夕飯にするとしよう。」

 

 さて、そうなると途中で銀行寄って、ATMでお金を下ろしておいた方がいいだろうな。長瀬嬢はかなりの大食漢らしいし。僕の奢りでいいだろう。悪い事もしちゃったしね。

 そして僕は、幻想空間(ファンタズマゴリア)へその場の一同を誘った。




長瀬楓、出現です。そしてのどか嬢、再登場。なんかのどかは日常の象徴になってきたなあ。
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