魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第017話:激突!古菲VSネギ

[菲]

 

 楓から報告を受けて、ワタシは翌日の放課後、超包子の休みをもらって早速エヴァンジェリン宅に向かったアルよ。いや、中央ホテルin麻帆良に向かうつもりだったアルが、その場にいた長谷川にソレは非常識だと懇々と言われたアルね。何が悪いのかはチョット分からなかったが、女がホテル前で男待ってたらヤバいそうアル。ちなみに長谷川は、ナンカ慌ててたアルね。

 相手の事や世間体考えないのハ失礼だと言われ、そんなコトしたなら絶対にネギ殿は試合受けてくれないと諭されたアル。なのでエヴァンジェリン宅で行われてる木乃香と長谷川への家庭教師終ワルまで、玄関脇でじっと待ってたアルよ。

 やがてしばし後、ネギ殿がエヴァンジェリン宅から出てきたアル。ワタシはネギ殿に話しかける。

 

「失礼、ネギ・スプリングフィールド殿であるアルか?」

「ええ。貴女が古菲さんでしょうか。」

「そうアル。」

「話は聞いています。僕と試合をしたい、とか?」

 

 どんより曇った、腐った魚の様な輝きの無い瞳だったアル。けどソレは、人間として腐りきった者の曇りでハなかったアルよ。ただ単に、色々な事に疲れ果て、ボロボロになった者の目の曇りアル……。一瞬ネギ殿に申し訳ない気になったが、しかしソレでも強者との対戦をシタい気持ちには抗えなかったアルね。だって、こうやって会っているだけでも、ビリビリとその強さが感じられるアル。

 ……ふと感じたアル。これ、わざとアルね。わざわざワタシのために、何時もは隠している強さを露わに出してくれてるアル。ワカるアルね。コレは勝てないアル。けれど……。

 

「ひとつ、訊きたい。貴女は何故僕と闘いたいんでしょうか。」

我只要和強者闘(私が望むのはただ強者との戦いのみ)。……登山家に、何故山に登るのか訊くのと同じことアルね。ネギ殿と闘えれば、ワタシは更なる高みに登る事できそうアルよ。」

「……眩しいですね。僕がけっして手の届かない物を、貴女は持っている。

 条件を1つ飲んでいただければ、1度で良ければ試合をしましょう。」

「何アルか?」

 

 ネギ殿は、条件を語ったアルよ。もの凄く、寂しそうに見えたアル。

 

「僕は、全力を出すわけには行かない事を承諾して欲しい。いや、これは貴女を侮っているのではない。理由がある。」

「……続きヲ。」

「僕は武人ではなく、そうだ、な。殺し屋、が一番近い、か。戦闘者ではあるけれど、そんな感じの裏の存在に近いんです。単に戦闘技術としては、かなり高いと自負しています。けれど、武人としては貴女の足元にも及ばない。本当なら、貴女と闘う資格すら無いんです。

 戦闘技術としても、そうですね。暗器、は解りますね?ああ言う正々堂々としたものでは無い戦い方を、僕はするんです。試合をするならば、そう言った表の技ではない技を封じて戦う事を、承諾してください。これは、手加減ではありません。」

「……了解アル。」

 

 そしてワタシたちは、連れ立って歩き出したアル。

 

「何処にします?」

「世界樹前広場ではどうアルか?」

「了解です。」

 

 目指すは世界樹前広場アル。

 

 

 

[千雨]

 

 ネギさんが古菲と試合をする事になった。マクダウェルん家の真ん前で話してるから、内容は丸聞こえだったんだ。本当は見に行くつもりは無かった。無かったんだが……。

 

「なかなかの見ものだな。そうは思わんか?」

 

 いや、マクダウェルが乗り気になっちまって……。って言うか、見世物にしちまっていいのかよコレ?

 

「いえ、観客が居ようと居まいと、関係ありませんから。」

「そうアルね。結果ハ、ワタシとネギ殿が理解していればいい事アル。」

 

 ならいいんだ。こう言う事には乗り気にならないだろうネギさんが、本気で古と試合しようとしてるんだから、何か本人にしかわからん理由があんだろ。ちなみに現場にいるのは、マクダウェル、茶々丸、チャチャゼロ、木乃香、桜咲、龍宮、長瀬、そしてわたしだ。

 

「誰か、開始の合図を。」

「お願いするアル。」

「では僭越ながら、わたしが。」

 

 絡繰が前に歩み出る。その肩に乗ってるチャチャゼロが、あまりに微妙で何とも言えない。

 

「では、3カウントで。3、2、1、開始!」

「!」

「ガァッ!」

 

 古が、なんか瞬間移動っぽい技で、ネギさんの懐に飛び込んだ!が、ネギさんはそれを読んでいて肘撃ちでカウンターを取った!……あれ?わたしこんなに目ぇ良かったか?いや眼鏡は伊達眼鏡で、元々視力悪いわけじゃなかったけどよ。

 

「長谷川、無意識に目に魔力を流しているな。」

「龍宮?」

「ネギさんとの訓練の成果だろうな。」

「ウチには全然見えなかったえ。」

「当たり前だ。千雨とお前では、教育方針が大きく違う。お前はその持てる素質から、治癒術師としての適性を最大限に活かす方針でやっている。対して千雨は、万が一の事態に備えて身を護る技と、コンピューターの経験で培った論理(ロジック)思考から術式構築技術についての教育を優先しているのだ。

 千雨が条件反射的に目に魔力を流して視力と動体視力を強化しているのは、その身を護る技の一環だ。今の程度が見えなかったら、説教してたぞ。」

 

 ……見えててよかった。あ、地面に転がった古に、ネギさんは地面を擦る様な回し蹴りで追い打ちをかけて……あたった!必死に地面を転がって離れる古に、ネギさんは跳躍して空中で一回転。って、踏みつけた!?古はぎりぎりで転がって躱し、立ち上がる……。

 なんか、一瞬で古がボロけちまって、一方のネギさんは傷一つ無い。だが古は、ニヤリ笑顔を浮かべて、突撃して行く。ネギさんが今度は手刀を繰り出して迎撃する……。む!?古がその手を掴み、投げの態勢に……。手首を捻ってネギさんが逆に古を投げたっ!?そのまま高く足を上げて、転んだ古にかかと落としをっ!?

 

 

 

 ……古はもうズタボロだ。一方のネギさんは、ときどき自分でわざと転んだりして衝撃を逃がしたりとか、あるいは技の動きの一部で地面に転がる事があったので、多少汚れている。しかしクリーンヒットは1度も貰っていない。

 

「な、なあ千雨ちゃん……。止めた……ら、あかんのやろ、な……。」

「だな。」

 

 おろおろとしつつ言う木乃香に、わたしは唇を噛みつつ答える。

 

「古が納得して終わらない限り、駄目だろうな。もし納得してないのに中途半端なところで止めたら、古は1回きりって約束忘れて何度も挑むだろ。だったら、納得するまでやらせるっきゃねえだろな。

 だけど……。」

「だけど?」

「治療魔法の準備はしとけ。」

「ええのん?」

 

 わたしは楽し気なマクダウェルを見ながら、言った。

 

「マクダウェルが楽しそうだからな。いいんだろ。」

「人の顔色ではなく、状況からの判断をしろ。まあ、あたりだが。」

「古に魔法がバレても構わんのだろな。ネギさんも最悪の場合、それを考えに入れてるはずだ。」

 

 木乃香は頷いて、持っていたスポーツバッグの中から呪力増幅杖(ブースターロッド)を取り出す。ネギさんが使ってるフルサイズの巨大な奴じゃなく、高畑先生が持っているのと同じ前腕に添え木みたいに装備する、小型杖(ワンド)状の物だ。この間、ネギさんがくれた物だ。

 ちなみに木乃香は呪文編纂機(スペルコンパイラ)を上手く使えない。高畑先生もだ。何故って、呪文(スペル)編纂(コンパイル)する前段階の高級言語(呪文用語)によるプログラム(ソースコード)を上手く頭の中で書けないからだ。一応アカウント(ユーザーID)は持っているのだが、宝の持ち腐れだ。

 2人は基本的に、既に他者によって創られた呪文(スペル)呼出(コール)して、それを自分で詠唱……高畑先生はできないが、それをするか、さもなくば呪力増幅杖(ブースターロッド)圧唱(クライ)して魔法を発動させている。まあ圧唱(クライ)する方が手っ取り早いし、呪力増幅杖(ブースターロッド)で効果も拡大されるけどな。木乃香は魔法の練習の際は、自力で詠唱している。

 一方のわたしは、ネギさんが使っている様な巨大な呪力増幅杖(ブースターロッド)を貰った。やはり応用性は、こちらの方が高い。ただわたしは非力なので、運用するには身体施術(フィジカル・エンチャント)必須だが。同時に自在護符(ヴァリアブル・タリズマン)の左掌への移植も受けている。……たしかに木乃香とは、教育方針が違うのだろう。わたしはネギさんの小型版、小ネギとでも言える方向性で育てられているのだ。

 なお、容量はネギさんの物よりも小さいが、空間歪曲庫もレンタルしてもらった。呪力増幅杖(ブースターロッド)や防具一式はその中に収められていたりする。

 

 

 

 闘いは、なおも続いた。古は本気でボロボロだ。意識も飛びかけていて、本能だけで闘っているんじゃないだろうか。木乃香は右手に呪力増幅杖(ブースターロッド)を装着し、左手でそれを固く握りしめている。おそらく下手すると完全回復の呪文である『完治(リフレッシュ)』あたりを呼出(コール)して、準備してるかも知れん。

 桜咲、龍宮、長瀬は一見平然としているが、脈拍や血圧、発汗が違う。いや、わたしも少々焦っているんだろうな。無意識に、各種知覚を魔力で強化してた。そろそろ古がマズいのは、みんな分かっているんだ。

 そしてネギさんが、これがあたれば確実に決め手だ、と言う様な強烈な上段回し蹴りを見舞う。それは当然の様に命中した。古の身体から力が抜け、崩れ落ちる。奇跡は、無い……はずだった。

 

「諦めるな!」

 

 当のネギさんが叫ぶまでは。瞬間、古の下半身に力が戻り、左足が地面の石畳を踏みしめる。……震脚。バン、と石畳が割れ、そこから力が螺旋を描いて古の左足首、左膝、左股関節、腰、背骨、右肩、右上腕、右肘、右前腕、右手首、そして右拳へと次々に増幅されて行くのが、わたしの感覚に捉えられる。……なんかわたし、この観戦で感覚面が一気に化け物的になってないか?

 古の右拳は、大技を放ったために動きが取れないネギさんの鳩尾(みぞおち)に叩き込まれる。そして伝わっていった螺旋の力が、ネギさんの腹の中で炸裂。反対側の背中が、ボゴンと一瞬膨らんだ。ぶばっとネギさんが、吐血する。そしてぐらりと揺れて、倒れ伏した。古は立っている。立ったまま、気を失っている。しかし、それでも立っている。古の勝利、だった。

 

「ね、ネギさん!」

「ヤバいな……。急げ木乃香!」

 

 駆け寄ったわたしらだったが、わたしらがたどり着く前に、ネギさんの左掌が青い光を放つ。自在護符(ヴァリアブル・タリズマン)だ。その選択印行(パターン)は、『持続治癒(コンティニュアル・ヒール)』。ネギさんの身体に、徐々に力が戻って行くのが感じられる。そしてネギさんの声が言った。

 

「ぶふっ……。口の中に溜まった血がなあ……。木乃香、僕より古菲さんを治療してあげて。頭やられ過ぎて、下手するとヤバいから。呪文(スペル)は『完治(リフレッシュ)』じゃなく、『精密治癒(アキュレイト・ヒール)』で。千雨は『透視(エックス・レイ)呪文(スペル)で古さんの頭の中を「()」て。そして「()」えた物を『精神感応(テレパス)』の呪文(スペル)で木乃香に転送するんだ。

 内臓とか脳みそとか、気持ち悪いのはわかるけど、今後いくらでもこんな機会はあるから。我慢して、慣れてくれ。」

「ぐ、りょ、了解したよ。木乃香、呪文(スペル)呼出(コール)しろ!」

「わ、わかったえ!」

 

 うん、慌てて呪力増幅杖(ブースターロッド)出して急ぎ古の頭の中を「()」たけど。人の頭の中を「()」るのは、(つら)かったなあ……。魔法の勉強にはなったが。

 ネギさんは自分の腹の中を、たぶん『精密治癒(アキュレイト・ヒール)』じゃないかなと思う呪文(スペル)で治していた。でも呪力増幅杖(ブースターロッド)使わないで、なんか昔のパソコン、データレコーダー(テープレコーダー)で音声でカセットテープにプログラムやデータを記録してた時代、そのカセットを再生した時の様な「ピィー……ジャッ!ジャジャー……。」と言う様な音がネギさんの口から流れてたのは、何だろう?

 

「ああ、ちょっと古さんの一撃で背骨にまで影響出て、右手に繋がる神経が変になってたんでね。呪力増幅杖(ブースターロッド)を握れなかったんで、昔使ってた、と言うか今でも使えるけど、情報圧縮音声(データコンプレッション・ヴォイス)呪文(スペル)を唱えたんだ。」

「さいで……。」

「そーなん……。」

「後日、千雨にはこの発声法覚えてもらうから。木乃香はそれよりも多数の種類、治癒呪文を、そらで唱えられる様に覚えてもらう方が先だな。呼出(コール)して圧唱(クライ)は楽だが、最悪は装備品使えなくてもどうにかする方法を学んでもらう。」

「……呪文、アルか?」

「起きましたか、古さん。」

 

 古菲が意識を取り戻した。でもって、マズい台詞も聞かれてた。まあ、ネギさんはわざと聞かせたんじゃないかって節もあるんだが。マクダウェルたちが、のんびりと歩み寄って来た。桜咲、龍宮、長瀬の3人は明らかにほっとした顔……はしてないな。だが、ほっとした雰囲気はしてやがった。

 

 

 

[エヴァンジェリン]

 

 古菲を丸め込んで協力者として巻き込むのは、難しくもなんとも無かったな。翌日の今、あいつらは幻想空間(ファンタズマゴリア)に入って、集団でネギに勉強を教わっている。まあわたしは幻想空間(ファンタズマゴリア)にこそ入ったが、勉強は教わってはいないのだがな。……入らねば良かったかもしれん。退屈だ。

 

「ケケケ、ゴ主人。ネギガ、ガキドモニ掛カリ切リダカラ焼キ餅ヤイテンノカ?」

「ぶち壊すぞチャチャゼロ。」

 

 勉強が終わった後は、刹那、真名、楓、古菲の4人は、これもネギから戦闘の訓練をつけてもらう事になっている。この幻想空間(ファンタズマゴリア)で身体を鍛えるのは意味が無いが、戦術や戦法、それと特殊技などの訓練にはなるからな。

 そう言えばネギは、咸卦法(かんかほう)を覚えたいとか言っていたな。わずかに出来たヒマの間に幻想空間(ファンタズマゴリア)やダイオラマ魔法球を使って、タカミチから聞かされた訓練法で地道に鍛錬している様だが、まだ物になってはいないらしい。流石のネギでも、咸卦法(かんかほう)は習得していなかったか。

 ちょっとだけ、背とか伸びたか?ダイオラマ魔法球使ってるからな。最初は14から15歳ぐらいだと言っていたが、今だと16歳ぐらいに見えるな。周りの女ども、流石に真名とか、巻き込んだばかりの楓、古はそうでもなさそうだが、その他の奴らが時折顔を赤らめたりしているのが、微妙に気に食わん。

 いや、嫉妬とかではあるかも知れんが、ないぞ。コレはアレだ。ネギがナギそっくりなのが悪い。だからそのせいで、多少面白く無いのだ。……諦めた恋だとは言え、まだナギを好いているのは違いないのだ。だからだ、きっとそうだ。……くそ、わたしも不得意教科とか教わるべきか?




まあ、完全に全力出せばネギは負けないですけど。魔法とか巨大ロボとか巨大ロボとか巨大ロボとか使いますし。でも、使っちゃ駄目でしょう、やはり。
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