[愛衣]
わたしは『
「なっ、愛衣、
そして無詠唱
わたしはネギさんや小太郎さんとの猛特訓で、炎以外の系統に関しても扱える様になっています。更に得意な炎の
麻痺して崩れ落ちるお姉さま。幸いに意識はある様で、影の戦闘服は脱げていません。わたしは言います。
「基本にして原点……。『雷華正拳』!!」
お姉さまは麻痺して動けない模様。審判の朝倉さん?が、10カウントを数え、わたしの勝利が決定しました。わたしはお姉さまに肩を貸す形で担ぎ上げ、試合場を後にします。
「くっ……。愛衣、何故……。」
「お姉さま。車に
「!?……何を言っているのですか、愛衣!」
救護室に向かう廊下には、人影はありません。面食らったお姉さまに、わたしは言葉を続けます。
「あの人たち、超さんも含めたあの人たちは、目先の「悪」を犯しても、車に
「!!で、ですが、正義の志を捨てる必要はないはずです!わたしとて車に
「甘いです、お姉さま。」
「!」
自分でも、ぞっとするほど冷たい声が出ました。
「所詮、「悪」は「悪」です。「正義のため」という免罪符で「悪」を行った結果、ナチスドイツは何をしました?いっしょにするな、なんて言わないでください。彼らはまぎれもなく、自分たちの「正義」を免罪符にして悪行を行ったんです。歪んではいても、「正義のためならあたりまえ」と。」
「め、愛衣……。」
「もし「正義のため」に悪行を繰り返す事に慣れてしまったら、どうなりますか?いつしか「正義」は暴走し、取り返しのつかない事になるかも知れません。普遍的な正義は存在しない。誰かにとっての正義は、別の誰かにとってはそうでは無いんです。」
もうすぐ救護室です。あまり長くは話していられませんね。
「あの人たちは……。「わたし」は、正義のためと言う免罪符は使いません。行いが「悪」である事を認めた上で、その中での最善を模索します。無論、総体的に見れば正しくは無いです。間違ってます。でも間違った行いを断行しなければ、救えない命があるんです、現実問題として。そして……。その「罪」は、わたしたちの物です。「正義」と言う形の無い物に、負わせたりはしません。」
「……。」
「あの人たちの受け売りですけどね。救護室です。
先生、試合での負傷者です。お願いできますか?」
「ああ、今行くわ。」
わたしはお姉さまを寝台に横たえると、その胸元にわたしの
「愛衣……。」
わたしは呼びかけには応えず、
[ナギ]
へえ……。麻帆良の若いもんも、なかなか頑張ってるじゃねえか。
麻帆良の安全でヌルい環境なのに、これだけの「気」を練り上げられるってのは、やはり麻帆良が異常なんだろな。
「
『凄い!またも「遠当て」です!これは、これは本物だあっ!!スプリングフィールド選手、しかしそれを軽々と避ける、避ける!
威力は本物です!躱された「遠当て」があたった場外の廊下屋根の破損状況からして、あたったらタダでは済みそうにない!』
ま、でもな。頑張ってる方ではあるんだが。やっぱり「素人」でしか無いからな。
「これなら
「もうちっと「気」を強く練れるようにならんと、一流どころにゃ辛いぞ?若いの。」
『は、はじいたーーー!?中村選手の秘技、2連続の「遠当て」を……無造作に振り払う様にして、手ではじきましたスプリングフィールド選手!まるで銃弾をはじく、□ボコップのごとし!』
必死で「気弾」を連発する若いのに、「気弾」をはじきながら無造作に近寄って一撃。くたっと崩れ落ちて、10カウント。
『強い!絶対に強い!スプリングフィールド選手、貫録勝ちだーーー!』
俺は黄金バ○トか。そして俺は、選手席にいる白髪のガキ……「
……へぇ。案外こいつはもしかすると……。
「あ、あのう……。次の試合準備があるので。」
「お?おう悪ぃな審判の姉ちゃん。」
俺はステージを降りる。さあて、『
[楓]
……届かなかった、でござるな。流石に悔しい……。拙者は第二回戦の第三試合で、順当にフェイトと当たったでござるが、残念ながら敗北を喫したでござるよ。決定的に、地力が足りなかったのでござろうな。
拙者は魔法は使えんでござる故、派手にやっても言い訳は効く。なれど敵は魔法が無くば戦闘力は半減以下の、魔法使いタイプのはずだとの事。しかし……拳士としての技の切れは、魔力による強化を計算に入れたとて、恐るべきものでござった。そして苦労して一撃入れても、相手は目立たぬ様に
今現在の拙者が持てる、即座に放てるうちで最大級の攻撃力を持つ忍術、『楓忍法・四つ身分身・
そして15分の熱戦の末、メール投票になり拙者は敗北したでござるよ。中盤と最後にいいのを貰わなければ、投票で勝てたやも知れぬが。こちらは一見いいのを入れても、
「楓姉ちゃん!」
「長瀬さん!お怪我は……。」
「おお、
小太郎、気を付けるでござるよ。あ奴の攻撃は、重い。内部に浸透し、体組織の深い場所にダメージを与えるでござる。」
「菲部長の技みたいなもんやな。」
拙者は頷く。さて敗北はしたが、
[
わたしたちは「人形」の身体に入って、ここ
依り代であるはずのナギ・スプリングフィールドが存在し、しかも自由に闊歩しているとの事。何がどうなったのかは不明だけど、もしかしたら何らかの手段を用い、「
そちらについては、「まほら武道会」にナギ・スプリングフィールドが出場しているので、『陽動作戦』として「まほら武道会」に出場しているフェイト様自ら調べる、との事。なので、わたしたちの任務はもう1つの件だけになる。なんとしても果たさなくては……。
「あ、
「駄目だったわ。人ごみに紛れてこっそり弱い炎を投げつけたんだけれど。普通に火傷してたわ。」
「となると……。残る第三目標の神楽坂明日菜が怪しいわね。麻帆良の魔法使いが護衛についたらしいし。
よし、全員で行きましょう。
「
「ヒッ!?」
「な……。」
「あ、ああ……。」
「ここ
すみやかに投降せよ。さもなくば、攻撃を開始する。」
そこに居たのは黒い制帽、黒い革ジャン、黒い皮ズボン、黒い装甲ブーツ、黒い籠手、黒い皮コート、そして黒い仮面を着用し、巨大な機械仕掛けの杖を右手に持った、2人の男女。
その両脇に、黒いローブの魔法使いらしき少女と、黒い戦装束を纏った刀剣を携えた少女が。
あの中の黒一点、あの男は……。外見的特徴も、一致する。
「ネギ・スプリングフィールド……。」
「ええっ!?」
「京都とか言う所で、フェイト様の邪魔をしたうちの1人!?」
「馬鹿!言うんじゃ……!!」
「ふふふ、やはりフェイトの手の者だったね。」
「あああーーーっ!しまったーーー!」
「
「わかりました!皆、わたしと
「これで……。『無限抱擁』!」
わたしのアーティファクト、『無限抱擁』が決まった。
「これはしまった、かな?」
「どうすんだ?ネギさん。」
「まあ、大丈夫。明日菜さんだっけ?彼女の傍には、優秀な、これ以上無い護衛がいるからね。それより、これだけの力を持つ足止め要員を、逆に僕ら側に足止めできた事の方が幸運かも知れないよ。」
「そんなら、明日菜は大丈夫やなー♪」
「では、とりあえずあの者たちをひっ捕らえておきますか。」
む……。敵の言葉が聞こえる……。
「た、
「えっ……。」
「はっ、自分たちだけが時間制御技術を持っていると思ってたのか?」
「わたしたちも、持っているんですよ。魔法的じゃなく、科学の力ですがね。」
「スイッチ入れるのワンテンポ遅れたから、この結界には取り込まれてしもたんやけどなー。」
な!?それは、まさか……。
「まさか……!加速装置とかです!?」
「あ。大当たりや。」
「変なとこで鋭い奴らだな。」
「今はとりあえず1.2倍速だがな。……そちらのアーティファクトによる時間経過速度の指定よりも、こちらの科学技術による加速率指定の方が優先される様だな。では……神鳴流奥義、斬空閃!」
「「わひゃーーーっ!?」」
必死で敵剣士の放つ、飛ぶ斬撃を避ける。いや、今のはわざと命中させる気が無かった?おそらく剣閃の飛ぶ速度も1.2倍のはず。避けられるはずが……。なるほど、目的はわたしたちを屈服させ、結界を解かせること。
「……ぷああぁぁー!死ぬかと思ったです!」
「ご苦労様。」
「でも、加速装置だなんて……。なんて非常識な人たちなんです!?」
「……他人の事言えない。」
とにかく、アーティファクトの能力で結界内の様子を調べる。敵の様子を見なければ。
『さて、ネギさんどうするんだ?』
『明日菜の事は心配いらへん言うても、やっぱり……。できれば助けにいきたいんよ。』
『ネギさん、敵の位置はお分かりですか?』
『ここから2時の方角に311.095kmだね。でもそこまで行っても、また逃げられるかもなあ。いや捕まえる方法はいくらでもあるけどね。転移も封じるのは難しくないし。』
……こちらの位置を、正確につかんでいる。転移も封じられる?まずい、何か対策を考えなくては。
『だけど、ちょっと試してみたい事がある。〈ケイオス・ヘキサ式プログラム魔法〉にコンバートしてない術があってね。この無限結界、破れると思う。』
え。
『また無茶な術なんだろ?』
『うん。じゃあ、始めるかな。
……。』
なんか詠唱始めた。まずい。
『収束されたマイクロブラックホールは、特殊な解を持ちます。』
『剥き出しの特異点は、時空そのものを蝕むのです。』
『重力崩壊からは逃れられません!』
『事象の地平に消え去りなさい。』
『
それって……。
「
「え゛。」
ネギ・スプリングフィールドの両手の間に出現した漆黒の塊、それが現れたと同時に無限の閉鎖結界空間が揺らいだ。超高重力による時空の歪み。それにより結界が砕け散る。わたしと
結界空間の中で300km強の距離があっても、現実空間では最初に居た場所から動いていない。ネギ・スプリングフィールドの両掌の間には、漆黒の塊が。呪文詠唱の中身をそのまま信じるなら、あれはマイクロブラックホールの集合体。障壁で防ぐ事も、魔法で撃ち落とす事も、無理。
わたしたち2人にできた事は、ほんの僅かの間、この化け物を足止めできただけ。それでも、フェイト様のためなら。
『……発射。』
そして暗黒の塊が、発射された……。
フェイトガールズ、いきなりの登場!人形に入って、現実世界へとやってきたのはいいけれど……。いきなりラスボス(ネギ)に遭遇。
そして愛衣、がんばりました。いや逆の意味で戦闘力には差がありすぎますが、かけらも油断せずにお姉さまを沈めました。