[鈴音]
ヨカタ……。無事に「まほら武道会」オワたヨ……。結局優勝は、
しかモ、ナギ氏は決勝戦での
そんなワケで、古とのエキジビジョンマッチは準優勝の
ちなみに3位ハ佐倉ともう1人、喧嘩殺法の豪徳寺薫サン。組み合わせ的ニ、身内が入らないブロックから勝ち上がったダケなんだけどネ。純粋に身内以外の入賞者ハ、ホント嬉しかたヨ。彼も
「……サテ、山1つ越えたケド、問題もあるネ。」
そうなンだヨ。『
またくモウ!次から次へ問題が出るヨ!胃が痛くなるネ!
精神的に余裕アレば、内心の
今のとこ頼りになりソウなのハ、ワタシの他はエヴァンジェリンと高畑先生くらいカ?あと見込みありそうなのは、千雨サンとガンドルフィーニ先生。瀬流彦先生はどうカな?ぐらいだネ。他の人材ハ、あくまで手足としてシカ動けテないヨ。
[小太郎]
なんとかフェイトには「勝った」んやけど……。あれは、正直言って「勝ち」や無いな。最後の最後で出した、咸卦法の一撃。俺やと消耗が激しいから、ほんとのほんとに最後の最後、切り札の一撃や。躱されたら後が無い、分が悪いどころやない、苦し紛れで出した勝ち目のほとんど無い賭けやったんや。
そやけど、それは命中した。奴が、躱さなかったんや。後から聞いたところによると、奴は手下を救うため、急ぎ武道会を敗北して出て行く必要があったらしい。……悔しい。悔しいわ。俺がまだまだ弱いんは、その後で
俺の役割は、「拳」や。剣やったら「刀身」、銃やったら「弾丸」と言い換えてもええかも知れん。ベンキョは少しはマシになったけど、それでも頭は回る方やない。そやから、皆の中で俺の役割は、最前線で血を流し、皆を護る事なんや。もっと、もっと強くならなあかん。とりあえず、高畑のおっちゃんヒマできたら、咸卦法使った闘いについて話を聞いたろ。
あ、でもなんか高畑のおっちゃん、これから大変みたいやったな。どないしょ。
[瀬流彦]
とりあえず木乃香君の魔法により、シスター・シャークティ、春日君、2人の火傷は痕も残さずに癒えた。うん、ほっとした。ココネ君が春日君にしがみついている。微笑ましいね。けれど……。
今僕らは、麻帆良女子中の図書室に居る。いや他の教室は今、学園祭期間中だしさ。どこもかしこも何かの出し物で埋まってるんだ。だけどこの一角は、流石に学園祭期間中は利用者もほとんど居ない。当番の図書委員にはちょっと魔法で居眠りしてもらって、その上で人払いの結界を張る。
高畑先生は、携帯電話で学園長と電話し、報告を行っている。その表情は険しい……と言うより、暗い。そして、その手の携帯電話が切られた。
「……明日菜君、こっち来てくれるかい?」
「はい、高畑先生!」
不安げな顔で付いて来ていた神楽坂君が、高畑先生の元へ小走りに急ぐ。と、ここでネギ君たち……衣装はあいかわらずの戦闘スタイルだが、仮面だけは外している。長谷川君も、仮面外していつもの伊達眼鏡……伊達だと言うのは最近知ったが、それをかけている。まあおいといて、ネギ君が携帯電話で何やら話していたんだけど、声を上げた。
「楓から報告です。フェイトたちは、素直に学園結界領域を抜けました。「
「そうか。本気で、これ以上の騒ぎを起こす気は無いと見ていいのかな?」
「でしょうね、ガンドルフィーニさん。」
この場の魔法関係者全員が、肩から力を抜く。ただ僕らの「仲間」ではないシスター・シャークティは、微妙に緊張しているけれど。彼女たち以外の今ここにいる魔法関係者が、最近エヴァンジェリンや超君と交流を持っている事は、けっこう知られてるからね。春日君とココネ君は、いつも通りだけどさ。
高畑先生が、神楽坂君に向かい、話し始める。
「こんな事は卑怯なのかも知れないが……。まず最初に謝っておくよ。済まない、赦してくれなどとは言えた義理では無いが……。本当に、済まない。」
「えっ、あっ、な、何の事かわかりませんけど、高畑先生に謝られる事なんて……。今日だって助けてもら……。」
「あるんだよ。君の記憶の事だ。」
「!?」
あー、全部伝える事にしたのかな。それとも、さっきネギ君やガンドルフィーニ先生、そして僕をまじえて話してた様に、記憶を回復させる事にしたのかな?結論はさっきは出なかったんだけど。
「わ、わたしの記憶って……。」
「明日菜君。君は麻帆良学園の小等部に転入してきた頃の事を覚えているかい?」
「は、はい。たしかいいんちょとはじめて会った頃の……。」
「ではその前は?」
「え……。あ。え。……!?」
高畑先生の表情は、可能な限り平板にしようとして失敗した、沈痛な表情だ。
「覚えていないだろ?……その記憶は、僕が、僕と学園長が奪ったんだ。」
「え、あ、え?」
高畑先生は、神楽坂君が落ち着くのを待つ。
「……君は、それ以前にとても
「高畑先生の……師匠?」
「ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグ。」
「!!」
……神楽坂君は、頭をかかえて
高畑先生は、神楽坂君の傍らにしゃがみ込むとその背を優しく撫でつつ言った。
「……思い出したのかい?」
「わ、から、ない……!けど、けど、高は、た先生に、何処と、なく、似た感じの、おじさ、ま、が、血まみれ、で……。はぁっ!はぁっ!!」
「無理に思い出さなくていい。もし君が思い出したくなったなら、もっとソフトな方法があるから。だから今は……。」
「でも!でもコレは!忘れちゃいけないって、心の中で「誰か」が言ってる!思い出さなきゃいけないって、頭の中で誰かが叫んでるんです!」
「……。」
ネギ君の、出番、かな。ネギ君が、自分の影から何やら取り出した。ピンポン玉ぐらいの大きさの、中に電子回路っぽい物が入ったガラス球らしき物だ。そしてネギ君は神楽坂君に歩み寄ると、その眼前にソレを突きつけた。球体の中で、電子回路がチカチカと明滅す……る……いけない!
僕は意識を必死でその光から逸らす。見ると、春日君とココネ君が眼を逸らしそこねて、呆けた顔つきになっている。慌てて僕は、両手で2人の目を塞いだ。
「え……あ!?のわっ!瀬流彦先生!見えないですー!」
「真ッ暗……。」
「ごめんよ。しばらく我慢して。」
他に催眠状態になった人は、施術対象者の神楽坂君以外に居ない様だ。シスター・シャークティは、ぶんぶんと頭を振って意識をはっきりさせようと懸命だ。
そして神楽坂君の目から、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。もういいか。僕は春日君とココネ君を解放した。高畑先生が、神楽坂君に声を掛ける。
「思い出したかい?」
「うん。いえ違う、ええ。え、なんか違和感が……。」
「今君は、記憶消去、と言うよりもこれは封印だね。長期にわたり記憶封印されてた事で、記憶封印前の人格と今現在の人格が並立している状態だ。既に混じり始めているけどね。
双方の人格を、可能な限り安全に軟着陸させて、1つに
「参考までに聞くけれど、放置すればどうなるのかしら?」
「片方消えてもう片方が多少改変された形で残るか……。最悪、両方消えてまったく関係ない第3の人格が出来上がる。」
「……議論の余地はないわね。お願い。」
頷いたネギ君が、再度球体を光らせる。あわてて僕は目を逸らし、春日君とココネ君の目をもう一度塞いだ。幸い彼女たちは今度は騒がなかった。今度の作業はしばらく続いたみたいだ。ネギ君が声を出したのは、かなり経過してからだった。
「これでいいよ。タカミチ、彼女を……。」
「明日菜君……。」
「高畑先生……。いえ、タカミチ……。こっちに寄ってくれる?」
「?」
高畑先生が顔を神楽坂君に寄せる。と、神楽坂君の手が高畑先生の首に!?あの光は咸卦法の光か!?神楽坂君が、何故に咸卦法を!?い、いやそれよりも2人を引き離さな……。
え?
[ガンドルフィーニ]
物凄い物を見た。と言うか、今も見ている。神楽坂君が、咸卦法の力の籠った両手で高畑先生の頭を抱え込むと、その、なんだ。
ぶちゅうううぅぅぅ~~~……っと。思い切り。ディープなのを。そしてこの場の全員があっけにとられたまま、それを放置している。
5分は経っただろうか。ようやく神楽坂君が、高畑先生を解放した。我に返った高畑先生は、ばっとのけ反って顔を神楽坂君から離す。その神楽坂君はと言えば……。
「ふふふ、ごちそうさまタカミチ。」
「な、な、な……。」
「どうしたの?顔が赤いわよ?」
「あ、明日菜君……。」
そして神楽坂君は、真顔で言う。
「わたしは、神楽坂明日菜からタカミチに対する恋心を受け継いでいるわ。色濃く。しっかり。確固たるほどに。そしてアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアもまた、タカミチに対する親愛は持っているの。相乗効果で、わたしはタカミチを恋だけじゃなく、愛する様になったの。」
高畑先生は、ネギ君に顔を向ける。ネギ君は、顔をブンブン左右に振った。彼が何かしら仕込みをしたわけでは無いらしい。
「こっちを向いて。タカミチ。」
ぐきっ。
神楽坂君が、高畑先生の首を無理矢理自分に戻した。今の嫌な音は、聞かなかった事にしよう。
「絶対誰にもわたさない。しずな先生にもね。」
「あ、明日菜君……。しかし……。」
「年齢の事?わたしは数えるのやめてかなり経つからもうわからないけれど、実年齢は100軽く超えてるわ。」
「だが……。姫様……。」
「名前で呼んでちょうだい。」
唖然とする我々。我々も訳が分からないが、我々以上に分かっていないシスター・シャークティ、春日美空君、ココネ・ファティマ・ロザ君の3名はより一層呆然としている。
「ああ神よ、学び舎でこの様な事……。」
「明日菜……。ついに逝っちまったの?」
「スゴイ。モノスゴク、スゴイ。」
うん。どうしたものだろう。とりあえず……。
「「「「「「お巡りさん、こいつです。」」」」」」
「み、皆あああぁぁぁーーーっ!?」
全員で、高畑先生を指差して置いた。自分らしくなかったなあ……。
最近妙に胃に負担がかかる展開だったんで、今回は軽めにギャグを盛り込んでみました。だけど、実は重要だったり。