魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第026話:アスナ

[鈴音]

 

 ヨカタ……。無事に「まほら武道会」オワたヨ……。結局優勝は、ご先祖様のお父上(ナギ・スプリングフィールド)だたが、あのヒトは小太郎(コタロー)や楓、佐倉が優勝するよりハ、超包子(わたしら)との関わり薄いからネ。

 しかモ、ナギ氏は決勝戦での小太郎(コタロー)との戦いで負傷したフリまでしてくれたヨ。それで優勝の副賞の1つであった、エキジビジョンマッチで古と闘えると言う栄誉モ「残念ながら負傷しちまったんで……」と言う感じを装って、辞退してくれたネ。……ぶちゃけ、古よりナギ氏が圧倒的ニ強いからネ。古は残念がてたけどネ。

 そんなワケで、古とのエキジビジョンマッチは準優勝の小太郎(コタロー)との闘いになたネ。狗族の再生能力デ、それまでの傷がナントカなてた小太郎(コタロー)は、地力で勝る古に、どうにかこうにか食い下がってタんだヨ。見ごたえのある、いい試合ダたネ。まあ古が勝たガ。

 ちなみに3位ハ佐倉ともう1人、喧嘩殺法の豪徳寺薫サン。組み合わせ的ニ、身内が入らないブロックから勝ち上がったダケなんだけどネ。純粋に身内以外の入賞者ハ、ホント嬉しかたヨ。彼も小太郎(コタロー)も「遠当て」の使い手ナノデ、今後は「遠当て」がトレンドになりそうヨ。ま、かなりの修行しナイと「遠当て」使うどころカ「気」に目覚める事すら難しいンだけどネ。

 

「……サテ、山1つ越えたケド、問題もあるネ。」

 

 そうなンだヨ。『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』だヨ。明日菜サンが、『黄昏の姫御子』たるアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアであるコトが『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』にバレちゃタんだヨ。ナンテコトだヨ。

 またくモウ!次から次へ問題が出るヨ!胃が痛くなるネ!ご先祖様(ネギ・スプリングフィールド)は何でああも平然と……。いや、ご先祖様(ネギ・スプリングフィールド)も余裕なかたネ。普段平然とシテ見せてるケド、テロリストの類と出くわすと化けの皮アサリ剥がれるヨ。ドロドロした内心、(あらわ)になるネ。

 精神的に余裕アレば、内心の(いきどお)りはトモカク、外面(そとづら)(つくろ)うコトぐらい簡単にできるヨ。ご先祖様(ネギ・スプリングフィールド)ぐらいの人物でアレばネ。ケド、できてナイ。モ少し、ご先祖様(ネギ・スプリングフィールド)ヲ楽にさせてやる必要あるヨ。

 今のとこ頼りになりソウなのハ、ワタシの他はエヴァンジェリンと高畑先生くらいカ?あと見込みありそうなのは、千雨サンとガンドルフィーニ先生。瀬流彦先生はどうカな?ぐらいだネ。他の人材ハ、あくまで手足としてシカ動けテないヨ。

 ご先祖様(ネギ・スプリングフィールド)に、潰れられるワケにはイカンのだヨ。公的に然り、(わたくし)的な感情においても然り、ヨ。ご先祖様(ネギ・スプリングフィールド)ニハ、幸せになてもらいたいネ。

 

 

 

[小太郎]

 

 なんとかフェイトには「勝った」んやけど……。あれは、正直言って「勝ち」や無いな。最後の最後で出した、咸卦法の一撃。俺やと消耗が激しいから、ほんとのほんとに最後の最後、切り札の一撃や。躱されたら後が無い、分が悪いどころやない、苦し紛れで出した勝ち目のほとんど無い賭けやったんや。

 そやけど、それは命中した。奴が、躱さなかったんや。後から聞いたところによると、奴は手下を救うため、急ぎ武道会を敗北して出て行く必要があったらしい。……悔しい。悔しいわ。俺がまだまだ弱いんは、その後でネギさんの親父さん(ナギ・スプリングフィールド)との闘いでも思い知らされたし、その後で権利を譲られた菲部長との「えきじびじょんまっち」で負けた事でも理解しとる。そやけど、悔しいんやわ。

 俺の役割は、「拳」や。剣やったら「刀身」、銃やったら「弾丸」と言い換えてもええかも知れん。ベンキョは少しはマシになったけど、それでも頭は回る方やない。そやから、皆の中で俺の役割は、最前線で血を流し、皆を護る事なんや。もっと、もっと強くならなあかん。とりあえず、高畑のおっちゃんヒマできたら、咸卦法使った闘いについて話を聞いたろ。

 あ、でもなんか高畑のおっちゃん、これから大変みたいやったな。どないしょ。

 

 

 

[瀬流彦]

 

 とりあえず木乃香君の魔法により、シスター・シャークティ、春日君、2人の火傷は痕も残さずに癒えた。うん、ほっとした。ココネ君が春日君にしがみついている。微笑ましいね。けれど……。

 今僕らは、麻帆良女子中の図書室に居る。いや他の教室は今、学園祭期間中だしさ。どこもかしこも何かの出し物で埋まってるんだ。だけどこの一角は、流石に学園祭期間中は利用者もほとんど居ない。当番の図書委員にはちょっと魔法で居眠りしてもらって、その上で人払いの結界を張る。

 高畑先生は、携帯電話で学園長と電話し、報告を行っている。その表情は険しい……と言うより、暗い。そして、その手の携帯電話が切られた。

 

「……明日菜君、こっち来てくれるかい?」

「はい、高畑先生!」

 

 不安げな顔で付いて来ていた神楽坂君が、高畑先生の元へ小走りに急ぐ。と、ここでネギ君たち……衣装はあいかわらずの戦闘スタイルだが、仮面だけは外している。長谷川君も、仮面外していつもの伊達眼鏡……伊達だと言うのは最近知ったが、それをかけている。まあおいといて、ネギ君が携帯電話で何やら話していたんだけど、声を上げた。

 

「楓から報告です。フェイトたちは、素直に学園結界領域を抜けました。「(クゥアルトゥム)」と思われる「アーウェルンクス」も一緒です。」

「そうか。本気で、これ以上の騒ぎを起こす気は無いと見ていいのかな?」

「でしょうね、ガンドルフィーニさん。」

 

 この場の魔法関係者全員が、肩から力を抜く。ただ僕らの「仲間」ではないシスター・シャークティは、微妙に緊張しているけれど。彼女たち以外の今ここにいる魔法関係者が、最近エヴァンジェリンや超君と交流を持っている事は、けっこう知られてるからね。春日君とココネ君は、いつも通りだけどさ。

 高畑先生が、神楽坂君に向かい、話し始める。

 

「こんな事は卑怯なのかも知れないが……。まず最初に謝っておくよ。済まない、赦してくれなどとは言えた義理では無いが……。本当に、済まない。」

「えっ、あっ、な、何の事かわかりませんけど、高畑先生に謝られる事なんて……。今日だって助けてもら……。」

「あるんだよ。君の記憶の事だ。」

「!?」

 

 あー、全部伝える事にしたのかな。それとも、さっきネギ君やガンドルフィーニ先生、そして僕をまじえて話してた様に、記憶を回復させる事にしたのかな?結論はさっきは出なかったんだけど。

 

「わ、わたしの記憶って……。」

「明日菜君。君は麻帆良学園の小等部に転入してきた頃の事を覚えているかい?」

「は、はい。たしかいいんちょとはじめて会った頃の……。」

「ではその前は?」

「え……。あ。え。……!?」

 

 高畑先生の表情は、可能な限り平板にしようとして失敗した、沈痛な表情だ。

 

「覚えていないだろ?……その記憶は、僕が、僕と学園長が奪ったんだ。」

「え、あ、え?」

 

 高畑先生は、神楽坂君が落ち着くのを待つ。

 

「……君は、それ以前にとても(つら)い人生を送って来た。僕は僕の師匠の最後の……最期の命に従って、その(つら)い記憶を消したんだ。」

「高畑先生の……師匠?」

「ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグ。」

「!!」

 

 ……神楽坂君は、頭をかかえて(うずくま)る。シスター・シャークティが驚き、小走りに駆け寄ろうとするが、ガンドルフィーニ先生がそれを制し、首を左右に振った。事情がある事を理解したんだろう、シスター・シャークティは平静を取り戻す。

 高畑先生は、神楽坂君の傍らにしゃがみ込むとその背を優しく撫でつつ言った。

 

「……思い出したのかい?」

「わ、から、ない……!けど、けど、高は、た先生に、何処と、なく、似た感じの、おじさ、ま、が、血まみれ、で……。はぁっ!はぁっ!!」

「無理に思い出さなくていい。もし君が思い出したくなったなら、もっとソフトな方法があるから。だから今は……。」

「でも!でもコレは!忘れちゃいけないって、心の中で「誰か」が言ってる!思い出さなきゃいけないって、頭の中で誰かが叫んでるんです!」

「……。」

 

 ネギ君の、出番、かな。ネギ君が、自分の影から何やら取り出した。ピンポン玉ぐらいの大きさの、中に電子回路っぽい物が入ったガラス球らしき物だ。そしてネギ君は神楽坂君に歩み寄ると、その眼前にソレを突きつけた。球体の中で、電子回路がチカチカと明滅す……る……いけない!

 僕は意識を必死でその光から逸らす。見ると、春日君とココネ君が眼を逸らしそこねて、呆けた顔つきになっている。慌てて僕は、両手で2人の目を塞いだ。

 

「え……あ!?のわっ!瀬流彦先生!見えないですー!」

「真ッ暗……。」

「ごめんよ。しばらく我慢して。」

 

 他に催眠状態になった人は、施術対象者の神楽坂君以外に居ない様だ。シスター・シャークティは、ぶんぶんと頭を振って意識をはっきりさせようと懸命だ。完全魔法無効化能力(マジックキャンセル)を持つ神楽坂君の記憶は、魔法で取り戻させようとしても困難だからね。ネギ君の科学に頼るのが、安心確実って事。ネギ君に頼り過ぎかとも思ったけど、ネギ君は「使う道具はできあいの物で間に合いますから、手間じゃないです。」って言ってたんだよね。

 そして神楽坂君の目から、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。もういいか。僕は春日君とココネ君を解放した。高畑先生が、神楽坂君に声を掛ける。

 

「思い出したかい?」

「うん。いえ違う、ええ。え、なんか違和感が……。」

「今君は、記憶消去、と言うよりもこれは封印だね。長期にわたり記憶封印されてた事で、記憶封印前の人格と今現在の人格が並立している状態だ。既に混じり始めているけどね。

 双方の人格を、可能な限り安全に軟着陸させて、1つに(まと)める。融合した人格からすれば、2つの人格のどちらもが「以前の自分」だと感じるはずだ。安心してくれ、こう言うのは僕はプロ、とまでは言わないが経験がある。」

「参考までに聞くけれど、放置すればどうなるのかしら?」

「片方消えてもう片方が多少改変された形で残るか……。最悪、両方消えてまったく関係ない第3の人格が出来上がる。」

「……議論の余地はないわね。お願い。」

 

 頷いたネギ君が、再度球体を光らせる。あわてて僕は目を逸らし、春日君とココネ君の目をもう一度塞いだ。幸い彼女たちは今度は騒がなかった。今度の作業はしばらく続いたみたいだ。ネギ君が声を出したのは、かなり経過してからだった。

 

「これでいいよ。タカミチ、彼女を……。」

「明日菜君……。」

「高畑先生……。いえ、タカミチ……。こっちに寄ってくれる?」

「?」

 

 高畑先生が顔を神楽坂君に寄せる。と、神楽坂君の手が高畑先生の首に!?あの光は咸卦法の光か!?神楽坂君が、何故に咸卦法を!?い、いやそれよりも2人を引き離さな……。

 

 

 

 え?

 

 

 

[ガンドルフィーニ]

 

 物凄い物を見た。と言うか、今も見ている。神楽坂君が、咸卦法の力の籠った両手で高畑先生の頭を抱え込むと、その、なんだ。

 ぶちゅうううぅぅぅ~~~……っと。思い切り。ディープなのを。そしてこの場の全員があっけにとられたまま、それを放置している。

 5分は経っただろうか。ようやく神楽坂君が、高畑先生を解放した。我に返った高畑先生は、ばっとのけ反って顔を神楽坂君から離す。その神楽坂君はと言えば……。

 

「ふふふ、ごちそうさまタカミチ。」

「な、な、な……。」

「どうしたの?顔が赤いわよ?」

「あ、明日菜君……。」

 

 そして神楽坂君は、真顔で言う。

 

「わたしは、神楽坂明日菜からタカミチに対する恋心を受け継いでいるわ。色濃く。しっかり。確固たるほどに。そしてアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアもまた、タカミチに対する親愛は持っているの。相乗効果で、わたしはタカミチを恋だけじゃなく、愛する様になったの。」

 

 高畑先生は、ネギ君に顔を向ける。ネギ君は、顔をブンブン左右に振った。彼が何かしら仕込みをしたわけでは無いらしい。

 

「こっちを向いて。タカミチ。」

 

ぐきっ。

 

 神楽坂君が、高畑先生の首を無理矢理自分に戻した。今の嫌な音は、聞かなかった事にしよう。

 

「絶対誰にもわたさない。しずな先生にもね。」

「あ、明日菜君……。しかし……。」

「年齢の事?わたしは数えるのやめてかなり経つからもうわからないけれど、実年齢は100軽く超えてるわ。」

「だが……。姫様……。」

「名前で呼んでちょうだい。」

 

 唖然とする我々。我々も訳が分からないが、我々以上に分かっていないシスター・シャークティ、春日美空君、ココネ・ファティマ・ロザ君の3名はより一層呆然としている。

 

「ああ神よ、学び舎でこの様な事……。」

「明日菜……。ついに逝っちまったの?」

「スゴイ。モノスゴク、スゴイ。」

 

 うん。どうしたものだろう。とりあえず……。

 

「「「「「「お巡りさん、こいつです。」」」」」」

「み、皆あああぁぁぁーーーっ!?」

 

 全員で、高畑先生を指差して置いた。自分らしくなかったなあ……。




最近妙に胃に負担がかかる展開だったんで、今回は軽めにギャグを盛り込んでみました。だけど、実は重要だったり。
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