魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第030話:ゲート崩壊

[月詠]

 

 とりあえず、ウチは場を引っ掻き回すために、ペットどもを出す事にしたんです~。このレベルの相手に通用するはずは無いんやけど、多少でもめくらましになれば御の字ですえー。ウチは懐から大量の召喚符を取り出して……。

 

「ひゃっきやこぉー♪」

 

 大量の妖怪どもを呼び出した。ペットのみんな、間違いなく殺られてしまうやろけど、ウチのためなんやから本望やろー?そしてウチは、フリーになった刹那センパイへと斬りかかったんや。うふふ、苦労して手に入れた『妖刀ひな』……。センパイは、これの力を揮うほどのお方やろか……。試させてもらいますえ……。

 そしてウチは何合もセンパイと打ち合ったんえ。センパイは対人戦には不向きなはずの野太刀で、ようもウチの二刀とやり合えるもんやわー。そしてセンパイの底は見えた。ウチよりは確かに強い、けれど圧倒的ゆーほどでも無いなあ……。この程度なら……。

 

 

 

 さっさと食べてしもた方が、美味しおすなぁ……。

 

 

 

 ウチは『妖刀ひな』の力を解放した。全身に、妖刀の力が染み込んで来る……。

 

「月詠、貴様!力のために『魔』に身を(ゆだ)ねるとは……。」

「力のため?ウフフ……違います。センパイを美味しく、そう、心ゆくまで美味しくいただくためですわ。さあ、味あわせてください。センパイのすべてを……。」

「……いいだろう。とくと味わえ。わたしの仲間との、(きずな)の力を。」

戯言(ざれごと)を!神鳴流・黒刀斬岩剣(こくとうざんがんけん)!!」

 

 手ごたえ……なし?

 

「ここだ月詠。」

「!?」

 

 死角から声が。妙にカン高い!?ウチは妖刀を二刀化させて、斬りかかります。

 

秘剣(ひけん)一瞬千撃(いっしゅんせんげき)弐刀黒刀五月雨斬り(にとうこくとうさみだれぎり)!!」

「確かに(はや)い……。なれど、所詮(しょせん)1点を狙い多数の剣閃(けんせん)を繰り出すだけではな。狙いを()けてしまえば、怖くもなんともない。」

 

 あたらない!?

 

「次はわたしだな。」

 

ザン!

 

 あぐうぅっ!?

 

「基本にして原点にして奥義(おうぎ)……。神鳴流・斬岩剣(ざんがんけん)。」

 

 (はや)い!?いや(はや)い!?最初は三味線(しゃみせん)ひいておましたのん!?い、いや、そないな事あらへん!ウチは確実に、センパイの底を見切ったはずや!

 

ザン!

 

 ぐあああぁぁぁっ!?

 

「神鳴流・斬空閃(ざんくうせん)……。

 不思議か?月詠……。だが、それが事実だ。友の心が……。仲間の友情が……。わたしに力をくれる。そしてお前が妖刀などでいかに力を増そうとも、それでは到底わたしには……『わたしたち』には届かない。」

「そんな、そんなこと……!そないなこと、あらしまへん!あってはいけないんやあああぁぁぁ!!」

 

 そう叫ぶと同時、ウチは無防備に背中さらしとる敵……。他の面々は、皆が互いに目を配り合って狙えんけど、ただ1人、自信なのか油断なのか無防備に背を向けている、ネギ・スプリングフィールドを狙って二刀を振ったんや。

 

「神鳴流・弐刀黒刀斬魔剣(にとうこくとうざんまけん)弐の太刀(にのたち)!!」

「!」

 

 仲間との(きずな)云々言うんなら、これは見過ごせんはずですえ……。それが絶対的な、センパイの隙になりますのんや。そやさ……え?なんでセンパイ、ネギ・スプリングフィールドに目もくれんと、うちに向かい剣を振るっとりますのんや?

 そしてセンパイの剣閃(けんせん)がウチを斬り裂き、ウチの身体から妖刀の力が抜けていく……。くくく、そやけどウチはある意味勝ちましたえ。センパイは、仲間の(きずな)とか言うふざけた物よりも、勝利を取りましたんや。あの剣技(けんぎ)斬魔剣(ざんまけん)弐の太刀(にのたち)……障壁も意味ないですえ。ネギ・スプリングフィールドは……え?

 

「神鳴流奥義(おうぎ)斬魔剣(ざんまけん)弐の太刀(にのたち)……。感謝するよ、月詠。『ゆっくりだったので』斬魔剣(ざんまけん)弐の太刀(にのたち)の技を盗みやすかった。本来なら宗家にしか伝えられない『弐の太刀(にのたち)』だが。これで更に皆の役に立てる様になった。」

「な……。」

 

 センパイは腰からもう1刀……赤黒い刀身のソードブレイカーを抜いて、床に倒れたウチから奪った『妖刀ひな』をあっさりと折ったんえ。そやけど、それはもうええんや。なんで……。なんでネギ・スプリングフィールドが、「傷一つ負わずにピンピン」しとりますのんや!?

 

「ネギさんは、超科学の力で護られているからな。ネギさんの死角は、魔法障壁とかではなく超防弾・超防刃繊維の裏打ちと、理論はわからないが超科学のバリア、そして『現実補強(リアリティ・リインフォースメント)フィールド』の最新型……。超小型版で護られている。

 簡単に言えば、いったんスイッチさえ入れてしまえば、現実的に見て『幻想的(ファンタジック)な現象』は起きなくなるのさ。『気』も『魔力』も、これに入る。」

「つまりは……。」

「わたしは『仲間を信じて』いたのさ。あれぐらいでは傷一つ負わない、とな。」

 

 意識が遠くなる……。あかん、あと1つだけ……。ウチは、もう1つ疑問に思っていた事を訊ねたんや。

 

「センパイが妙に強くなったんは……?」

「……絆の力、仲間の力だ。具体的に言えば、仲間が夜なべして造ってくれた加速装置。」

「え゛。」

「せいぜい2倍速が限度だった旧型と比較して、3倍速(トランザム)は楽に出せる代物だ。がんばれば12倍速まで出る。他にもネギさんが使ってる超防弾・超防刃繊維を織り込んだ戦闘服とか、わたしでは理論が理解できないバリアとか。この夕凪も刀身を超合金コーティング処理してあるとか。他にも色々超絶科学技術の粋が集約された戦闘装備を。」

 

 ウチの頭は一瞬白くなったんや。

 

「え゛え゛え゛え゛え゛え゛ーーー!?そんなんズルイですわーーー!!なんやのん3倍速(あかいすいせい)ってーーー!!」

「む?妖刀に頼っていた貴様に言われたくないな。わたしは一つたりとも嘘、偽りは言っていないぞ。わたしの(まと)っている超科学の戦闘装備は、ことごとく超や葉加瀬やネギさんなど、仲間がわたしを心配して、長い時間かけて培った科学技術をもって毎晩遅くまでかかって必死で造ってくれた物だ。千人針や千羽鶴とかと、物理的効果がある以外は何も違わん。」

「そなこと言うたかてーーー!!あ、血が足りへん……。」

 

 ウチが失血で気を失う寸前、デュナミスはんとアーウェルンクス3人が追い詰められとるのが見えましたんや。……駄目どすなあ。他人(ヒト)のことは言えへんけど……。

 

 

 

[千雨]

 

 ようやくの事で、デュナミスとか言う変態とアーウェルンクスどもを追い詰めた。なんだあの変態は。いきなり脱いだりして。ただ、エヴァンジェリンがその裸体を「……ふっ。」と鼻で(わら)ったら、さすがに傷ついてた様だが。いや変態(デュナミス)死すべし。慈悲はねえ。同情はしねえし、実際しなかった。

 時間がかかったのはネギさんが直接に戦闘に参加しなかったせいもある。理由は幾つもある。大きく分ければ、3つぐらいか?

 1つ目は、わたしたちの実戦訓練の相手に丁度良さそうだ、と見た事か。葉加瀬と五月は完全非戦闘員なのでここには来てねえ。超と木乃香、瀬流彦先生、弐集院先生はここに来てはいるが、別件で『この場には』いない。それ以外のメンバーで、アーウェルンクス3人と変態(デュナミス)を相手取っていた。

 2つ目は、ネギさんが捨て駒にされた妖怪を憐れんだ事がある。ネギさんは必要があるなら仲間以外は見殺しにしたりする事も(いと)わない。しかし必要が無ければ、関係ない者にはけっこう寛容だし親切なのだ。今回は、妖怪どもは敵だと言えどもあからさまな捨て駒扱いは、ネギさんの同情を買った様だ。まあ余裕が無い場合は、さっくり見捨てて殺してたんだろうが。

 と言うかネギさんが、「くくく、これならどうです?」と嘲笑(あざわら)った次の瞬間、その周囲に無数のワームホールが湧いて出たのは驚いた。そしてキュンキュンとネギさんの呪力増幅杖(ブースターロッド)圧唱(クライ)すると同時に、特殊なものとあからさまに解る呪弾(ブリット)が、次々に射出されてワームホールに飛び込んで行ったんだ。

 そして妖怪の足元とか頭の上とかにもワームホールが開いて、そこからさっきの呪弾(ブリット)が飛び出すと、妖怪に着弾。妖怪は瞬時に呪符……東洋呪術の呪符じゃなく、西洋のソレっぽかったが、それに封じられてネギさんの手元に転移した。後でネギさんに聞いたところによると、最大65,535体の目標を同時に狙えるそうだ。

 そんなんで、ネギさんは妖怪掃除に集中してたんで、わたしらの戦いには基本的に手は出さなかった。ちょっと危なくなったときとかには、手を出してたけどな。

 3つ目は、何を言っても結局は今回来た目的が、奴らを潰す事では無かった事か。ネギさんは『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』に対して、テロ組織だと言う点で敵愾心も抱いているが、造物主(ライフメーカー)に造られてその妄言に振り回されている事で若干の同情心も持ってはいる。正直どう始末を着けたものか、悩んで棚上げにしている部分もあるのだ。先日何の気なしに、ぽろっと他の会話に紛れて洩らしてくれた。

 なので、とりあえず潰しておくか的な事は言ったものの、本音ではどうしようか悩んでいるんだと思う。間違ってうっかり潰しても気にならない程度の悩みではあるだろうが。まあ今回麻帆良を狙った「(クゥアルトゥム)」、「(クゥィントゥム)」、「(セクストゥム)」の3人については、大事な友人の高畑先生が大事にしている神楽坂を狙ったと言う事で、若干心の天秤が滅殺に動いてるかも知れないが。

 たぶん『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』の内で、一番ネギさんの敵意を買っているのは、学園祭のときに一般人に炎を投げつけたりした、フェイトの手下の女どもだろうな。逆にその親玉だったフェイト自体は、知らなかった事ときっちりけじめつけた事とで若干の好感度を稼いでいるかも知れない。

 まあ、そんなこんなで変態(デュナミス)どもを追い詰めたんだが、どうやら時間切れらしかった。瀬流彦先生たちが戻って来て、叫んだからだ。

 

「みんな!ゲートの要石、破壊完了だ!もうすぐここは、世界間扉を繋ぎとめていた魔力が暴走して、吹っ飛ぶよ!」

「葉加瀬君とは連絡がついている!すぐに転移が始まるよ!」

 

 弐集院先生は、手元にトランシーバー型の通信機を持っている。超と木乃香も走って来た。ま、ネギさんも敵にトドメは刺せれば刺してもいいって程度の感じだったしな。それであれだけの迫力出せるのは凄えが。

 

「んじゃネギさ……あれ?」

「ああ、こっちこっち。」

 

 いつの間にか、皆から離れた場所の柱の陰にいたネギさんが、歩いてこちらへ戻って来る。そして呪力増幅杖(ブースターロッド)を構えた。

 

「……今日のところは、逃がしてあげるよ。良く考えたら、君らへの恨みは無いとはいわないが、そこまで深くない。」

「な……!」

「なんだと!?情けをかけるか!」

 

キュキュキュンキュキュンキュキュキュキュンキュキュン!

 

 ネギさんの呪力増幅杖(ブースターロッド)が、長々と圧唱(クライ)する。そして中空に巨大なワームホールが出現、変態(デュナミス)と3人のアーウェルンクス、更に気を失っている月詠を吸い込んだ。

 

「う、うわあっ!?」

「な……!?」

「縁があれば、また会おう。もう居ない造物主(ライフメーカー)の命に盲目的に従っている、その使徒たち。」

「な!?貴様我が主(ライフメーカー)の居場所について、何を知っている!」

「成仏したって事をかな。今頃はもしかしたら、どこか別の並行異世界で、前世の記憶をきれいさっぱり忘れて転生しているかもね。」

「な、なんだとうわあああぁぁぁ……。」

 

 ワームホールが閉じた。それとほぼ同時に、わたしたちの足元には光の円が描かれて、わたしたちは円錐状の光に包まれて、空間転移をする。そして目を閉じ、開けた時には制御盤(コンソール)を操作している葉加瀬の姿があった。

 

 

 

[ネギ]

 

 刹那さんが月詠とか言うゴスロリ眼鏡女を叩きのめし、ほぼ問題は無くなった……と思った時だった。一瞬、『時間の流れが変動する』感覚を覚えた僕は、加速装置のスイッチを入れる。とりあえず1.2倍速。

 そして僕は、あの『無限抱擁(エンコンパンデンティア・インフィニータ)』とか言うアーティファクトの無限結界空間に居た。やれやれ、やっぱり例の『時の回廊(ホーラリア・ボルティクス)』って言うアーティファクトに対処するには、常に1.0倍速で加速装置を動かさないと駄目かな?バッテリー食うから、避けたいんだが。何か考えないとな。

 

「……で、僕の前に出て来たと言う事は、死にたいんだね?暦に環とやら(テロリストども)。」

「ままままま待って!待ってくださいーーー!」

「口上を述べるまで、待って欲しい。その後は、ご随意に。」

「……?」

 

 怪訝に思う僕に対し、暦と環(テロリストども)は必死に語った。

 

「ふぇ、フェイト様からのメッセージがあります!『『心理歴史学(サイコヒストリー)』の件で、相談したし。連絡乞う。』い、以上です!」

「そのためだけに、僕に殺される覚悟で?」

「そう。」

 

 ……ふう。となると……フェイトは、気付いたか。『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』の「完全なる世界」計画が、結局は未来での破滅に繋がっている事を。フェイトを不機嫌にさせる意味も無い、な。こいつら(テロリストども)は逃がしてやるか。

 

「了解した。と言っても互いの連絡方法が無いね。……これをあげるから、フェイトに渡して。」

「え。」

「殺さないんですか?」

「殺さない。今回は。」

 

 僕は影の中の『空間歪曲庫』から、腕時計型の通信機を選んで取り出す。普通に腕時計としても使える、優れものだ。そしてそれを(テロリストのかたわれ)に投げてやる。

 

「あ、あわわわ!う、受け取りました!」

「……感謝します。」

「いいよ。それより、さっさと結界解いて。それとも前みたいに僕がやろうか?」

「……。」

 

 結界は、あっさりと解除された。暦と環(テロリストたち)は、急ぎ立ち去る。そして僕は仲間の元に歩き出した。やがて瀬流彦先生たちがゲートの要石の破壊から戻って来る。……あとで皆にも、フェイトと連絡が取れそうだって話しておかないとなあ。




と言う訳で、月詠サンさくっと(笑)。
あとネギ君のグランゾンごっこ(笑)。
そして造物主(ライフメーカー)の消滅を知ったその使徒たちの動きは!?と言うか、それを信じるのか!?いや事実なんだが!?
更にネギ⇔フェイトのホットライン開通!?
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