[千雨]
要塞の儀式場では、最終内装工事が大急ぎで行われている。っていうか、速え。コマ落としの映像みたく、チャカチャカと無数の作業ロボが動き回って、呪紋が刻まれた壁、天井、床がどんどん仕上がって行く。
って言うか、最大
「ふむ。この調子なら、明朝には儀式を開始できるね。」
「外の連中は、どんな具合なんだ?ネギさん。」
「ああ、今スクリーンに出すよ。」
要塞の外では、圧倒的な戦闘が繰り広げられていた。もちろん味方側が圧倒している。2,300体の巨大ロボット、陸戦主体の万能型G-1タイプ、海戦用のG-2タイプ、空中戦向けのG-3タイプが連携を取って、敵の空中戦艦や水上戦艦を次々に行動不能にしていく。
いや、本当ならさくっと撃沈もできるんだけどな。それをやるわけには行かないのが、
でもって、敵もさるもの。こっちのバリアが……そう、バリアなんだ。魔法障壁じゃないんだよな。なんか、空間歪曲障壁と電磁障壁と次元断層障壁の複合とか言ってた。まあソレが地下にまでは及んでいない事に気付いて、強襲揚陸艦で運んできた陸戦隊を送り込み、『地』系魔法使ってトンネル掘ってバリアの内側に入り込もうとして来たんだよな。巨大ロボは、歩兵を殲滅するならともかく、殺さずに押し止めるには向かない。
だもんで、今しがたこちらも歩兵戦力を出したみたいだな。待機してたガンドルフィーニ先生、刹那、楓、古、真名、小太郎、そして「
……あれ?
「なあネギさん。これ、侵入されたサインじゃねえの?」
「うん。相手は3人。だけど各国軍の陸戦隊じゃない。」
五月が差し入れた肉まんを
「んじゃあ、どこの部隊だ?って言うか3人って事は、最精鋭って事か?」
「精鋭は精鋭だね。なるほど、バリアの内側にこっそり隠れて、こっちと各国軍が潰し合って消耗するのを待つつもりか。だが甘いね。」
「って事は……。」
「うん。『
……ちょっと行って、叩き潰してこようかな。腹立たしいし。」
「お待ちを。」
立ち上がりかけたネギさんを制したのは、茶々丸だ。
「ネギさんと千雨さん、そして補助に就くマスターの3人は最低でも儀式の実行に備え、力を温存しておくべきかと。瀬流彦先生、弐集院先生、木乃香さん、愛衣さん、墓所の主も、補助の補助とは言え儀式に参加する身です。超は
「ふむ。じゃあ……。」
「はい、わたしが出ます。
「もとより君に就けた部下たちじゃないか。その辺は自由に。」
「ありがとうございます。では。」
そして茶々丸は、造営途中の儀式場を出て行く。……かわいそうに、『
[ザジ]
まいったポヨ。妹はネギ・スプリングフィールドの計画について、許可なくして情報開示しないと言う「契約」を交わしてしまったため、わたしとの感覚共有を一部遮断してまで秘密を守ってるポヨ。墓所の主や「
むむむ、『
将来、火星に地球人類が進出した際に、「完全なる世界」そのものをエネルギー源に使われてしまい、使い尽くされてしまうと言う話ポヨ。いや、その際に提示された数式やグラフは難しくて意味わからなかったポヨ。でも妹は信じてるみたいだったポヨ。
仕方ないポヨ。直接ネギ・スプリングフィールドに話を聞くポヨ。妹によれば、話がわからない類の人間では無いポヨ。
……ポヨっ!?
「ネギさん。侵入者捕まえたんだけどよ。こいつ、アレだろ?ザジの姉。」
「そうだね千雨、ザジさんそっくりだから間違いないだろ。同姓同名って言ってたけど。」
う、動き取れないポヨ!?この娘は妹の
「とりあえず僕が代わるよ。」
「お願いするよネギさん。」
ネギ・スプリングフィールドの左手にも護符が埋め込まれてるポヨ!?って言うか、掌に魔力光が走ったら、それが呪的パターンを描いて『
「うーん、今忙しいしなあ。ザジさんの悪感情は買いたくないけど、このひとは『
死んだ魚の様な目で言われると物凄い怖いポヨ!
「とりあえず、呪符にでも封じておくのはどうだ?
「それがいいかな。事が終わったら解放すれば……。」
まつポヨーーー!!やめるポヨ!!だめポヨ!!お願いだからやめてポヨ!!そんな事されたらお嫁にいけなくなるポヨ!!わたしは必死で目だけで訴えたポヨ。って言うか、『
「?……何か言いたい事があるみたいだね。呪符に封じるのはちょっと待って、別の呪符で戦闘力とか一切合切封じるだけにして、話聞いてみようか。」
く、それもまた屈辱ポヨ……。でも完全に呪符に封じられちゃうのよりはマシポヨね。目だけで頷くポヨ。
そしてわたしの額に呪符が貼られて、わたしの全能力が見た目相応の人間の小娘に等しいところまで落とされたポヨ。そしてネギ・スプリングフィールドと長谷川千雨は、顔に仮面を被ったポヨ。更に各々の影の中から、巨大な機械仕掛けの杖を取り出したポヨ。この場にいる残りの者たちは、戦闘能力が無いと思われる、妹の
いや、そこまでしなくても既にわたしに戦闘力無いポヨね。大人しくしているから、話を聞いて欲しいポヨ。
「金星に魔界がある事は、妹から聞いているポヨね?わたしは魔界で指導的立場にいるうちの1人ポヨ。名前は妹と同姓同名で、ザジ・レイニーデイポヨ。」
「それが何でこんな時期にこんなところへ忍び込んだんです?貴女の立場は知っています。『
「そうポヨ。けれど『
ここは全面降伏ポヨね。それしか無いポヨ。今のわたしは、見た目通りの力しか無いポヨ。
「だったら忍び込まなくても、戦闘開始前にでも普通に来てくださればよかったじゃないですか。戦闘中に忍び込んで来られたら、破壊工作とか暗殺を疑うのは当然でしょう。現に今、『
「我々の中で意見統一に時間かかったポヨ。そしてここは貴方と腹を割って話すべきだと決まった時には、戦闘が始まってたポヨね。焦ったのはこちらも同じポヨ。」
「いえ、こっちは今度の戦いは予想の
「ポヨっ!?」
仮面被ってるから、表情読めないポヨ。魔族的感覚も封じられてるポヨ。ここで長谷川千雨と、そして近衛木乃香が何やら頷いたポヨね。
「うん、『
「こっちも同じくやえ。嘘はついてなさそうや。」
「ポヨっ!?」
そう言えば、なんかキュンキュンと杖が鳴ってたポヨね!?たしか情報では、アレは圧縮された呪文で、あの杖は呪文詠唱を代行できるらしいポヨ!!って言うか、これだけ無力化したわたしに対し、恐ろしいほどの念の入れようポヨね!?
「ちゃんとお話したい気持ちはあるのですが……。今は
「お……。ネギさん、超から連絡だ。
「そうか、ほっとしたよ。そうだ、そうしようか。千雨、父さんに超さんと一緒にここに来て欲しいって伝えて。ザジさん。父さんは今、手が
[クルト]
艦を地面に不時着させて、なんとか全員退艦に成功しましたか……。わたしは旗艦に乗り組んでいた少数の陸戦隊員たちを引き連れて、要塞へと
あの巨大ゴーレム?の装甲は、『魔力』や『気』に対して強力な防御力を発揮する模様でした。陸戦隊員の魔術師の意見では、下手をすると『冷たい鉄』で出来ている可能性があるそうです。『気』によって攻撃の威力を高めている神鳴流の技では、相性が悪すぎます。
ですが『魔力』に対し抗う力を持つ『冷たい鉄』でゴーレムを装甲するなど……。そんな事をしたら、普通はゴーレムは動きません。それを解決するなど、ネギ君はどれだけ研究に研究を重ねたのか……。く、それほどの才能が
こんな事であれば、幼少期のネギ君をわたしが何としても保護し、彼とともにアリカ様の汚名、濡れ衣を晴らすための戦いを始めるべきだったでしょうか……。いや、何を言っても遅い。ネギ君は
「ゲーデル議員……。も、もう少し速度を落とし……。」
「無様を言うな!この
これは『気弾』!?20~30発はある『気』の弾丸が襲いかかり、陸戦隊員たちを叩きのめしました。陸戦隊員たちの1/5が脱落します。
「……犬神流・空牙36連弾。へぇ?やるやないかい。全員潰すつもりで放ったんやけどな。4人しか倒れへんとは、思うても見んかった。……油断は、俺の悪い癖やなあ。」
現れたのは、黒髪で黒い学ランを身に纏った、小学生ぐらいの少年です。ですが、今の『気弾』の威力も精度も、本物でした。……強敵です。
「君は……。」
「すまんな。名前は名乗れへんのんや。名前を触媒に、術かけられたりするかも知れん言うやんか。おっさん、こっから先は通行止めや。」
「わかっているのですか!
「……おっさん、自分が正義の味方のつもりか?」
「!?」
この少年は、何を……。
「俺は、悪や。そやけどその悪をもって、小さな、小さな正義を為すつもりや。おっさんの正義はどうや?その過程で、大きな、大きな悪を為しとらんと、心から言えるか?」
そして空から、大量の敵兵が降って来ます。その数、数百はくだりません。しかし妙です。この敵兵からは、生気を感じません。……人形!?この少年まさか、これだけの技量を持ちながら、人形使いとしても超一流だと言うのですか!
「全員、防戦に集中しろ!わたしがこの少年を、人形使いを倒すまで全力で時間を稼げ!なんとしても生き延びろ!」
「人形使い?……ま、そう言う事にしとこか。そやけど、こいつらタダの人形扱いは、こいつらに失礼やで?」
そして人形たちが銃を構え……。その銃口から光線が迸る。わたしは人形使いの少年を倒すべく、刀を振るう。
「神鳴流奥義!斬空閃!」
「ほんまにタイミング、丸わかりやな。」
あっさりと躱される。この少年は、いったい……!?だが、わたしは負けん!負けるわけにはいかないのだ!!
ザジ姉、困ってます。可哀想です。
でもそれ以上に……。クルト(´;ω;`)ブワッ。