魔法転生・ネギ?ま   作:雑草弁士

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第034話:勝利と……。

[小太郎]

 

 強い……。だけど、そこまでや。『強い』だけやな。悪いけど神鳴流の相手は、刹那姉ちゃん相手に文字通り泣くほどやっとるんや。いや、ほんとどれだけ悔し涙流したか……。刹那姉ちゃんですら使った事の無い技もときどき出て来るけど、そんでもこれまでの技の延長上か、あるいは複合した技やしな。

 こっちの大量の分身での一斉攻撃を、『斬魔剣(ざんまけん)弐の太刀(にのたち)百花繚乱(ひゃっかりょうらん)』で斬り払われたのは一瞬驚いたんやが、良く考えるとこれもやっぱ合わせ技やったしな。それに素の実力では伯仲(はくちゅう)しとっても、おっさんは神鳴流剣士の悪い癖がしっかり根付いとる。技名叫ぶんや。攻撃タイミング、完全に分かるで?

 いや、神鳴流剣士は(あやかし)退治が本業やもんな。大概の(あやかし)は、んなこと気にせんもんな。それに技名とか叫んだりすれば、気合い入るもんな。わかる、わかるで。俺も昔は、敵に攻撃タイミングとかバレても、関係ない圧倒的な攻撃で叩き潰せばいい思うとった。実際、神鳴流剣士の対人戦闘は、そんなもんらしいしな。でもな?

 そしてそれだけや無い。

 

「ぐおっ!」

 

 うん、周囲のロボット兵士からの支援射撃や。相手殺せんさかい、単なる麻痺光線やけどな。要所要所では、俺も加速装置とか使うし。フェアやない?うん、フェアやない。そやけど、戦争の場に正々堂々のスポーツマンシップみたいなもん持ち込んだら逆にあかん、ってネギさん言うとったしな。これが一対一の決闘やったら、話はまた変わる。俺かてそんな場で、所謂(いわゆる)『卑怯』なマネはせえへんし、相手がやったりしたら怒る。

 今回相手殺さんのも、それが作戦目標やからや。それよりデカい、いわゆる戦略目標は、「12億人の魔法世界(ムンドゥス・マギクス)人を救う」事やしな。それに反する作戦や戦闘て、何や違うやろ?そやさかい殺してないんや。

 ……って、麻痺光線受けてまだ立ち上がるんか。凄い根性、凄い使命感や。見習わな、あかんな。けど、こっちにも……。

 

「こっちにも、使命はあるんや!12億人を余さず救うっちゅうな!」

「な!?」

 

 あ。口に出てしもた。反省や。

 

「ぐお……。」

「……わるいな、おっさん。」

 

 鳩尾に入った一撃。念には念を入れて、俺はおっさんの首筋にも追い打ち入れて、意識を完全に刈り取ったんや。そこへ腕時計型通信機から、通信が入る。

 

「はい、こっちゃ小太郎。」

『小太郎君、ネギだよ。カメラで最後の1人を君が倒したのを見たから通信入れたんだけど。』

「あ、ネギさん。いやー、ちょっと反省点多い戦いやったわ。」

『ははは。勝ったんだし、次に活かせばいいよ。それより君が戦ってた人だけど。クルト・ゲーデルさんって人なんだよ。僕は会った事なかったけど、父さんの友人のラカンさんが証言してくれた。京都の関西呪術協会の長、近衛詠春……旧姓青山詠春さんのお弟子さんらしい。

 もう他の敵兵は大方倒して、残敵掃討に入ってるから。だから君はその人を確保して、連れて来てくれないかい?』

「了解や。」

 

 見ると、敵艦もボロボロのが数隻、這う這うの体で逃げていくのが見える。周りを見回せば、ロボット兵たちが捕虜を集めて、怪我人には応急処置をしとった。俺はリーダーロボを呼んで話を伝えると、クルトとか言うおっさんを担いで要塞内へと歩き出した。

 

 

 

[茶々丸]

 

 センサーに感あり。隠密系の魔法の様ですが、機械的なセンサー系を騙せるようなタイプでは無かった様ですね。ちなみにネギさんや千雨さんは、機械的センサーを騙せる隠密呪文(スペル)や幻覚・幻影呪文(スペル)を百科事典の索引がごとくに大量に揃えております。

 とりあえずわたしは肩からチャチャゼロ姉さんを降ろすと、『超小型噴射推進弾(マイクロミサイル)』を無警告で撃ち込みました。相手は此度の事を企んだ、明らかな敵です。ネギさんも、不快感を(あらわ)になされておりました。結論、容赦の必要なし、です。

 

「うわあああっ!?」

「……!!」

「ぐあっ!?き、貴様!口上も無くいきなり先制攻撃とは……。」

 

 不愉快……そう、これが『不愉快』と言う『感情』なのですね。陰謀で魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の軍をわたし達に……ネギさんに差し向けておきながら。その事はネギさんはそこまでは怒ってはいませんでした。ただしこの者たちに対する認識を、『造物主(ライフメーカー)の妄言に踊らされる憐憫の対象』から、『純然たるテロリスト』へと変えた様でしたが。

 そしてわたしが引き連れた戦闘ロボットたち、守護機械兵(ロボットマン)ACE(エース)BARON(バロン)CROSS(クロス)DEEN(ディーン)ENDEAVOUR(エンデバー)が、わたしを(かば)う様に前に出ます。そして男性型の「アーウェルンクス」、「(クゥアルトゥム)」が言葉を吐きました。

 

「フン、人形が人形を連れて人形ごっこか?ネギ・スプリングフィールドもタカミチ・T・高畑もおらねば、貴様らガラクタごとき……。

 え?」

 

 わたしの腕部内装式の、光線銃レーザー(レーザーはっしんき)が火を噴きます。「(クゥアルトゥム)」は左腕を焼き落とされ、唖然としていますね。焦点温度は理論上6000億度まで上げられますが、流石にそこまで上げると数瞬でこちらの光線銃レーザー(レーザーはっしんき)が焼き切れてしまいます。

 

「そ、そんな……。わたしは『火のアーウェルンクス』だぞ!?その腕が焼き斬られた、だと!?」

 

 火の温度は、せいぜいが数千度から数万度。数億度のレーザーからすれば、たいした事はありません。

 

「おのれ、おのれ!人形ども、焼き尽くしてくれる!ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト!契約により我に従え・炎の精霊・集い来たりて……。紅蓮蜂《アペス・イグニフェラエ》!!どうだ……な、なにっ!?」

 

 いえ、その程度の魔法では。わたしの人工皮膚表面の、耐魔処理すら破れませんよ。勿論、部下としてネギさんが就けてくれた5体の守護機械兵(ロボットマン)たちの耐魔呪紋処理済み積層装甲は、それ以上の対魔強度を持っています。あ、チャチャゼロ姉さんは危険ですね。でもこそこそと障害物の影に隠れて、武器を用意していますね。あの調子なら、大丈夫でしょう。

 と、その瞬間です。チャチャゼロ姉さん以外のわたしたちは、突然氷の塊に閉じ込められました。「(クゥアルトゥム)」が高笑いします。

 

「は、ハハハハハハ!!よくやったぞ「(セクストゥム)」!!これならば……。ハハハハハ!!」

「駄目。逃げた方がいい。」

「ハハ、は?「(セクストゥム)」、何を……。」

「いかん、避けろ「(クゥアルトゥム)」!!」

 

 変態(デュナミス)が叫びますが、もう手遅れですね。氷に閉じ込めたところで、所詮強度的には氷はたいした事はないです。わたしや守護機械兵(ロボットマン)たちのパワーならば容易に内から砕く事ができます。それにわたしや守護機械兵(ロボットマン)たちの外装から中の内部構造は、耐魔処理によりこの程度の魔法では凍りさえしません。

 そしてわたしは加速装置を使いました。わたしの身体は人工物です。ですから仲間の皆さんが使っている加速装置よりも大型の物を、余裕で体内に組み込む事が可能なのです。瞬間、周囲の音が消えました。同時にサウンドバリアー突破。

 超音速に達したわたしと、同様に加速装置を使ったACE(エース)BARON(バロン)CROSS(クロス)の3体の守護機械兵(ロボットマン)は、「(クゥアルトゥム)」の(かたわ)らを疾走(はし)り抜けます。そして「(クゥアルトゥム)」は、粉々に吹き飛びました。大気のハンマー……超音速による衝撃波(ソニックブーム)の一撃です。それがわたしを含め4体分。相手は跡形もありません。

 同時に守護機械兵(ロボットマン)DEEN(ディーン)ENDEAVOUR(エンデバー)は、その持てる大火力で変態(デュナミス)を砲撃。DEEN(ディーン)ENDEAVOUR(エンデバー)はかなりの大型で、その胸郭(きょうかく)内に他の人間か、わたしが乗り込む事でその本領を発揮するのですが、この様に単体であっても力を発揮します。

 変態(デュナミス)は脱ぎ掛けていましたが、わたしと同様に加速装置を使っているDEEN(ディーン)ENDEAVOUR(エンデバー)には反応できず、左腕と下半身を喪失しました。

 

「ぐお……。ぐがっ!!」

「ケケケ、タマニハ働カネエト、ナ。」

 

 そこへ背後から、チャチャゼロ姉さんがその『核』を大剣で刺し貫きます。美味しいところを持っていかれましたね。障壁がDEEN(ディーン)ENDEAVOUR(エンデバー)の攻撃で破れたところを狙った様です。

 

「な……。馬鹿な……。前回の戦いでは貴様は……ぐふっ。」

 

 変態(デュナミス)は絶命します。と言いますか、旧オスティアのゲートポートでの戦闘で、わたしがほとんど活躍していなかったのが不思議だった様ですが。それは当然でしょう。あの場において、ネギさんは皆に実戦経験を積ませるべく、ほぼ手出しをしませんでした。それなのにわたしとマスターが本気を出しては、意味が無いではありませんか。

 チャチャゼロ姉さんは、その勢いで武器を大鉈(おおなた)に持ち替え、「(セクストゥム)」に斬りかかります。チャチャゼロ姉さん、それはまずいです。「(セクストゥム)」の曼陀羅(まんだら)障壁は破れていないです。……え?

 

「……ケ。」

 

 チャチャゼロ姉さんの大鉈(おおなた)は、その刃が「(セクストゥム)」の額ぎりぎりで、チャチャゼロ姉さん自身の手で()められていました。曼陀羅(まんだら)障壁は、発生していません。チャチャゼロ姉さんがつまらなそうに言います。

 

「アキラメチマッタ奴ヲ殺シテモ、面白カ無エ……。フン。」

「……。」

「目ヲ見リャ、ワカンダヨ。テメエゼンブ、アキラメチマッテル。」

「……殺さないなら、それでもいい。殺すなら、それでもいい。」

 

 ……「(セクストゥム)」は、無気力です。どうしたんでしょうね。

 

「どうせデュナミスの作戦は、成功の目は無かった。メガロメセンブリア他の軍隊を(けしか)けてネギ・スプリングフィールドを消耗させ、そこで討って出て要塞を占拠予定だった。けれど幾分消耗しても、あの化け物(ネギ・スプリングフィールド)に勝利できるわけが無い。」

 

 そして「(セクストゥム)」は、訥々(とつとつ)と語ります。ネギさんを化け物扱いは『腹が立ち』ますが、まあ聞いてあげるぐらいは良いでしょう。

 

「『完全なる世界(わたしたち)』の計画(プラン)……。(ライフメーカー)の遺した計画(プラン)は結局、旧オスティアのゲートポートをそちらに()とされた時点で(つい)えていた。そして(ライフメーカー)も喪われた。『造物主の使徒(わたしたち)』が『生まれて来(つくられ)た』意味ももはや無いし、『生き(そんざいす)る』意味も無い。

 だからどうでも良い。デュナミスへの『義理(つきあい)』で協力はしたけれど。」

 

 なるほど、フェイトの説得で持ち直す前の「(クゥィントゥム)」とほぼ同じですね。ただ単に惰性で変態(デュナミス)に付き合っていた、と。しかしこれはどうしましょう。『なんとなく』『気分的に』始末し(づら)くなってしまいました。もしこれを計算でやっていたのなら、たいした物だと思いますけれども。

 

「グガアアアァァァッ!!」

 

 女性型としてはちょっと何かな、と思わなくも無い悲鳴を上げて、「(セクストゥム)」は昏倒します。わたしが両の拳から、最大10万キロワットの電撃を放射したので。あくまで最大で、です。今回は気絶させる程度に手加減しました。

 

ACE(エース)、申し訳ありませんが彼女を担いでください。」

「ピピューピピィ、ビビビ……。」

「いえ、ありがとうございます。」

 

 とりあえず、「反魔法場(アンチ・マジック・フィールド)」で魔法が使えなくなっている牢屋に、放り込んでおきましょう。わたしは守護機械兵(ロボットマン)たちを引き連れて、帰還の途に就きました。

 

 

 

[クルト]

 

 ……う、こ、ここは。小さな部屋で、わたしは目覚めました。身体があちこち痛みます。そうか、あの少年にわたしは敗北……!!世界は、魔法世界(ムンドゥス・マギクス)はまだ無事か!?

 

「……いえ、魔法世界(ムンドゥス・マギクス)が破壊されたのであれば、わたしは「完全なる世界(あちら)」へ逝っているか、そうでなくば不毛の火星の大地に放り出されているはずです。まだ儀式は行われていないか、完了していないと見るべきでしょう。

 なんとか脱出して……。」

 

 わたしは部屋の中を調べます。……どうやら、えらく清潔で整ってはいますが、ここは牢屋の一種、独房の様ですね。そのまま粗末なフラット(アパート)としても使えそうなぐらい、独房にしては立派ですが。扉には覗き窓がついていて、それには強化ガラスと鉄格子がはまっています。

 ちなみに『気』を練って脱出してみようとしましたが、『気』は封じられている模様でした。それがこの場所的な物なのか、気を失っている間にわたしが何か処置をされたのか、それは分かりません。

 その時、わたしに声が掛けられます。

 

「お。起きてやがったか。」

 

 その声は……!!

 

「ナギ!」

「クルト、元気そうだな。小太郎(わるガキ)にさんざんやられたみてえだが。」

 

 わたしに声を掛けて来たのは……廊下から、わたしの独房を覗き込んでいるのは、かつて袂を別った『紅き翼(アラルブラ)』、そのリーダーであるナギ・スプリングフィールドでした。




小太郎、原作レベルからかなり乖離(かいり)して強化されてます。いえ、小太郎だけじゃないんですが。
というか茶々丸、圧倒的に強いです。
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