[ネギ]
父さんがクルトさんに手錠と足枷、そして『気』を封じる首輪を着けて、儀式場まで連れてきた。クルトさんはこの場に「
「貴方がクルトさん、ですか。メガロメセンブリア元老院議員。元『
僕はそう言って仮面を外す。
「!!……たしかに、ナギそっくりですね。目、以外は。」
ほっといて。わかってるさ、そんな事。皆から「目が死んでる」「疲れ果てた老人の様な目」「腐った魚の様な目」「ハイライトの無い目」って言われ続けてるからね。
「君は……。わかっているのか!?『
「そこからですか。僕は『
「えっ……。だ、だが……。そこに居る、『アーウェルンクス』は……。」
クルトさんの視線は、「
「ああ、「
「!!」
ああ、クルトさんショックを受けている。
「で、ではこの要塞はなんのためなのです!?あの大戦力は!?そしてこの儀式場!君は何を考えているのです!」
「……騙されて襲って来た人が、えらく勝手ですね。まあいいでしょう。『
「!!」
ちょっと意地悪をした。いいだろう、別に?この人たちが襲って来なければ、労力を計画実施に注ぎ込めて、昨晩には儀式を始められたんだ。周囲の事情を知ってる面々は、苦笑いを浮かべているね。僕は失笑を隠すため、仮面を被り直した。ちなみに嘘は1つも言っていない。
「正直なところを言わせてもらえれば、母を
だけど、せめて。特に、母に汚名を着せ、父さんを反逆者扱いしたくせにその名声は利用して、僕の育った村にテロリストを送り込んだメガロメセンブリアの元老院連中。奴らには思い知らせてやる……。」
「……!!」
あ、いけない。ちょっと怒気が漏れた。皆が少しビクついた。悪い事したなあ。マクダウェルさんと千雨は、苦笑で済ませてるね。600余歳で色々慣れているマクダウェルさんはともかくとして、千雨は随分と肝が据わってるね。
あ。クルトさん、ついに父さんに助けを求め始めた。
「ナギ!わかっているんですか!?アリカ様が自分の国を滅ぼしてまで護ろうとした、護った、この世界を!ネギ君を
「クルト。この
「!!だ、だったら安楽死させてもいいと言うのですか!ジャック!貴方も何か言ってください!」
「あー、なんだ。このままだと、俺も
「!!ね、ネギ君!」
あ、父さんもラカンさんも頼りにならないと見たクルトさんの矛先が、再度こっちを向いた。
「ネギ君!メガロメセンブリアに生きる6,700万人の『現実の』人間たち!彼らを
……本当はちょっと攻めてこられた意趣返しをしたいだけだったんだけど。なんか本気で腹が立って来たな。
「そして僕の宿敵たる、メガロメセンブリアの元老院連中を逃がせと言っているんですか、貴方は?ねえメガロメセンブリア元老院クルト・ゲーデル議員。」
「!!」
「第1に、もう既に彼らに対する慈悲は、充分に与えたつもりですよ、僕は。第2に、今の『現実の地球』に、6,700万人の難民を受け入れる余裕が何処にあるのです。その計画は、最初から破綻しています。第3に……。その計画を実施すると言う事は、結局貴方も、『母の救ったこの世界を見捨てている』事に他ならないじゃないですか。」
「く……それでも!」
「……動かないでください。ゲーデル元老院議員。」
「は、放せ!放せ、後生だ放してくれ……!!」
一瞬僕に突っ込んで来ようかと言う様子を見せたクルトさんだったが、彼を絡繰さんが制し、その部下の
父さんが、流石に憐れに思ったのか、僕に話しかけて来る。
「なあネギ……。これでもコイツ、俺らの後輩なんだよ。あんまりいじめてくれるな。」
「と言ってもですね。正直本気で腹が立って来たんですよ。話しているうちに。……まあいいです。父さんがそう言うなら、父さんにお任せしますよ。」
「ネタばらししてもいいか?」
「構いませんよ。僕はこれから儀式を発動します。」
「ああ……。」
背後で絶望のうめき声を上げるクルトさんを父さんに任せ、僕は儀式場の中央に歩み出た。その傍らには、僕同様の完全装備を
ちなみに「
まあ、金星の魔族たちには地球と火星とのバランス取りの手伝いをしてもらおう。はっきり言おう。山場と言えるのは
「準備完了です!収監している捕虜たちの独房や監房には、催眠ガスを流して眠らせたあと、『
『
円陣を組んだ人たちが、
「うぉ!?なんだこの魔法陣は!」
「ああジャック。お前は儀式場に最も『近い』場所にいる
「く、うっく、なんかこそばゆいぜ。」
そして赤ランプが青ランプに切り替わる。マクダウェルさんが僕にウィンクを送り、
そして僕らは、
[テオドラ]
「急ぎなさい!市民の退避を!魔術師部隊は集団
なんと言う事じゃ……!!妾の
その結果が、これじゃ。あれほどの大艦隊を派兵し、生き残ったのはボロボロで中身兵士を置き去りにしてきた強襲揚陸艦1隻と、後方におって難を逃れた輸送艦、補給艦が2隻の計3隻のみ。聞くところによると、主力戦艦の主砲をはじく強烈な耐魔能力を持つ数千の巨大ゴーレムにより、艦隊は殲滅されたそうじゃ。話半分としても、1,500は巨大ゴーレムが居た事になるの。
そしてその報が届くや対策会議が開かれ、しかして内容は誰に艦隊壊滅の責任があるかを押し付け合う
光のカーテンに突入した無人機は、瞬時に消滅してしもうたんじゃ。
妾は理解した。これが、これが……!!ネギの復讐なんじゃと……!!オーロラの様な光のカーテンは、地上にまで降りて来ると、
「テオドラ殿下!お逃げください!」
「妾に民人を置いて逃げ出せと、そう言うのですか!それに……世界が滅ぶ時、どこへ逃げ出せば良いのです。」
「そ、それは……。」
「それに……。もう間に合いません。」
光のカーテンは、もうあと数分でこの場に到達する。消える。建物も、乗り物も、皆消えていく。逃げ惑う人も。これが、これが報いじゃと言うのかネギよ!このほとんど全ては、何の咎も無い
って、あら?何か光のカーテンが通り過ぎた場所に残されておる物が?あれは人じゃろうか?と思った矢先、妾は光のカーテンに取り込まれて……。
そして、何か粗末な貫頭衣を着せられて、妾は暗いところに突っ立っておった。腰に佩いておった儀礼用の剣も無くなっておる。周囲には、妾の侍従や近衛が、同じく完全に武装解除されて粗末な貫頭衣を着て、突っ立って居る。
そして灯りが……。もの凄く明るい光が、辺りを照らし出した。幾つもある、魔力を感じぬ街灯が灯ったのじゃ。そして妾の眼前には、金属製の……どんな金属で出来ておるのかまったくわからぬ建物が列をなしておる。ヘラスの帝都に負けぬどころか、勝ってすらおると思える街並みじゃ。
そこへ何かの手段で拡大されておると思われる、少々
『こちら、火星政府広報です。
我々火星政府は、皆さまを難民認定し、受け入れます。とりあえずの仮の住居と支援食糧他の物資は、充分に用意してあります。我々火星政府の派遣軍の指示に従い、秩序をもって行動してください。繰り返します。住居や支援物資は、充分に用意してあります。火星政府派遣軍の指示に従い……。』
頭が真っ白になった。呆然としておったら、道の向こうから何か集団が歩いて来る。……全員瓜二つの、グラサンをかけたムキムキマッチョ男。いや、人形かの?だが人形使いらしき者の姿は見えぬ。あ、いや。人形の着衣の胸に、何やら書いてあるのじゃ。妾はかろうじて読めなくも無い。
ええと……。『火星政府軍・軍警察』と書いてあるの。
え。ええーーー!?
[ジャック]
たいしたもんだぜ、ナギの息子はよ。けどなあ……。俺が今まで貯めた金とかなんとか、そう言ったもんが全部消えちまった。仕方ねえとは思うぜ?けどよ、ちょっと何かしら、寂しい気がすんぜ。
「ラカンさんのお宅付近に居た部隊によれば、幾ばくかの物資が消えずに残ったみたいですね。
「何っ!?頼む!……あー、いや。お前らの仕事にサワリがあるんなら気にせんでいいぜ?また何かやって稼ぐからよ。」
「了解です。他の事を優先して、可能な範囲で集めさせておきますね。」
「サンキュ。」
まあ、
「なあネギの坊主。この貫頭衣、なんとかなんねえか?てか、何で貫頭衣なんだよ。」
「一番簡単な衣類ですからね。受肉させる際に、『鋳型』があるのは基本的に、魂と対になる肉体のみですし。でも、現実の火星に人々を裸で放り出すわけにもいきません。なのでかなり
よかったら、適当な衣類を用意しますよ。マクダウェルさん、
「わかった。
「ちょ。」
「冗談だ。撤回する
はてさて、どんな服が用意されるやら、だな。
ごめんクルト、書いているうちになんか、ここのネギ君だと性格ちょっと歪んでるから、こうなるだろうなーって……。
ホントごめんクルト……orz。