フェイトエピソードほぼガン無視です。
「グランー、ちょっと来てー!」
それは何気ないジータの呼び出しから始まった。
僕は呼ばれるままに甲板に出ると、ジータとビィ、ルリアが僕を待っていた。
そして僕の姿を認めると、彼女らはその場から一歩横へとずれ、その後ろに隠していた存在を披露する。
それはハーヴィンの女の子に見えた。ハーヴィンは成人しても小さいので、年齢が判断しづらい。
やけに細長い冠を頭に載せたその子は剣を甲板に突き立て、堂々と立っていた。木箱の上で。
「リュミエール聖騎士団団長シャルロッテであります!」
元気の良い
ジータは褒めてくれと言わんばかりにニコニコと笑っている。
「ジータ」
僕は可愛い妹ににっこりと笑いかける。
「なあに? グラン」
「元居た場所に返してきなさい」
「「なんで!?」でありますか!?」
ジータとシャルロッテさんがショックを受けたみたいな顔をして同時に叫んだ。
「なんで、グラン! シャルロッテさん、超強いよ!?」
「強ければいいってもんじゃないだろう、なんでお前はたて続けに騎士団の管理職ばっかり連れてくるんだよ」
「だって、強いから」
まったく理由になってない。
「それに、ビィ、お前がついていながら、なんでこんな事になってるんだよ」
「いやぁ、だって、この嬢ちゃんつよいんだぜ」
お前もか、ビィ。最近ジータに毒され過ぎではないだろうか。
「ルリア……」
「あの、あの、シャルロッテさん、すっごく強いんですよ」
いや、なんでみんなして強さだけアピールするの?
「とにかく、今回欲しい人材は、子供たちの面倒を見てくれて、護衛にもなってくれる人って話でおちついたよね?」
そうなのだ、ついこの間まで女性の加入割合高めだったのだが、ある日を境に小さな子供の加入に変わったのだ。ウチの騎空団に何があったんだろう。
たまにジータが『ガチャ率……』とかわけのわからない事を呟いているが、関係あるのだろうか。
「だったら自分に任せるであります!」
「過剰戦力って言葉、知ってます?」
シャルロッテさんが勢いよく自分の胸を拳で叩いてむせた。ルリアが背中をさすって心配そうにしている最中に思わず真顔で聞き返す。
「グランてば、仮にもシャルロッテさんは騎士団長だよ、弱い人たちを守るのが仕事なんだから、ウチの子供たちを守るのなんて大したことないって」
「むしろその逆だよ、なんで一国を守護する立場の騎士団長にウチの数人の子供たちの世話と護衛を任せようって話になったんだ」
「それは、自分もイスタルシアを目指したいと思ったからであります」
真っすぐ僕を見つめるその眼に嘘はない。
「理由を聞いても?」
「イスタルシアまで行けば、自分の身長を伸ばす方法がみつかるかもしれないからであります!」
「……」
背後にドーン、という効果音を背負ってそうな自信満々ぶりだった。
ジータが僕の隣によってきて、「ね?」と同意を求めてきたが、『ね?』じゃないからな。
「……ジータ」
「なあに? グラン?」
「やっぱり元居た場所に返してきなさい」
「なんで!?」
その後堂々巡りの末に僕が根負けする羽目になり、シャルロッテさんが加入する事になった。
後々の冒険で、それが正解だったと知るのはまだまだ先の話。