似たもの同士なワケがない   作:石ノ音

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なんでこうなった

ガチャガチャと鎧や剣のこすれる金属音

 

「おい、いたか!」

「いや、ここにはいないようだ」

「こちらに数人を置いて、次はあちらを探すぞ!」

 

こんな状況にも関わらず、随所で聞こえる統率のとれた短いやりとり。

それを息を潜めて叢の陰から様子を伺う私。

 

そして、

 

「巻き込んでしまって、ごめんなさい」

 

隣をみれば、今にも泣きそうな顔の蒼の少女(ルリア)

 

おかしい。なんでこんな事になってしまったのか。

()()なっているのは本来、私ではなく、グランだったはずなのだ。

 

それでも爆音を上げる戦艦と、光った何かが落ちてゆくのを見つけてしまっては、ただ見送るなんて事はできなかった。

グランは今、一人で家にいて、ビィと散歩に出たのはわたしだった。もし、グランが間に合わなかったら物語は始まらない。

そしてビィの不穏な一言が私の退路を断ってしまった。もう、前に進む以外の道が私にはなくなってしまった。

 

そして踏み込んだ森の中で見つけてしまったのだ。この蒼い少女を。

 

出会い頭に助けを求められたのと近づく兵隊の足音に反射的に彼女の手を掴んで手近な茂みに引っ張り込み、こっそりとビィにグランを呼びに行かせることにした。

グランと剣の稽古で腕を磨いていても、実戦は未経験だ。訓練を受けた兵相手に大立ち回りをする度胸はない。

 

それにまさか、こんなタイミングで来るとは思わないじゃない?

 

そんな事を思いながらルリアに笑いかける。

 

「よくわからないけど、追われて困ってるんでしょ?放っておけないじゃない?」

 

ルリアが息を呑むのがわかった。

 

「とにかく、今ビィに助っ人を連れてくるように頼んだから、それまで頑張って逃げ切ろう!」

「助っ人……、ですか?」

「うん、グランって言うの。私の自慢のお兄ちゃんなんだ」

 

元気づける為にぎゅっとルリアのを握る手に力を込める。

現時点でいろいろと記憶にあるゲームと違ってきているけれど、グランが来れば大丈夫。

 

どんなに困った事が起きても、グランがいれば、何とかなる。

主人公だからなのかどうかわからないが、グランにはそんな安心感がある。

 

グランに頼りっぱなしの私なんかとは大違いなのだ。

 

数の減った兵隊たちの様子を伺う。ルリアの手を引き、合図を送る。

 

「行くよ!」

 

そうして私達は走り出した。目指すは星晶の祠だ。そこでグランと落ち合えば何とかなる筈なのだ。今はそう信じるしかない。

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

「おい、星晶の祠はすぐそこだぜ!」

「わかってるよ、ビィ」

 

必死に急かすビィをなんとか落ち着かせながら森の中を走る。

目指すは星晶の祠。

 

ビィから事情の説明を受け、エルステ帝国兵の目を避け、移動しながらも焦燥は募る。

何か、嫌な予感が抑えきれない。正直、ビィが居てくれるからまだ冷静でいられる。

 

兵隊に追われた少女を連れて逃げているらしいけど、心配しかない。

星晶の祠まであともう少しなのに、兵たちが邪魔で上手くたどり着けない。

 

早く、早く、と焦燥と苛立ちが募る。

 

「ジータ、無事でいてくれ……!」

 

そうして帝国兵の目を潜り抜けて辿り着いた星晶の祠で僕らは信じられないものを目にする。

 

 

 

▼▼▼▼

 

「ジータ!」

「ジータ!無事かよ!」

「グラン!ビィ!」

 

無事、帝国兵を撃退した私の背中にかけられた声にホッと肩の力を抜いた。正直めちゃめちゃ怖かった。このままグランが来なかったらどうしようかと思った。

そしてこちらに迫る気配に更に緊張が走り、

 

「仲間か!?注意しろぉ!」

 

ビィが警告を発した瞬間、女騎士が飛び込んできた。

 

「―――ルリアッ!無事か!?」

「カタリナ!私……私……」

 

と再会の感動に打ち震えている様子のルリア。

そしてビィとグラン、ルリアとカタリナの4人が揃った。

 

ようやく舞台は整った。

やっと私は舞台から降りられる。

 

その光景を見た私が感じたのは心からの安堵と少しだけの寂しさだ。

グランは一度死に、ルリアと命を共有し、空へと、イスタルシアを目指して旅立つのだ。

 

 

 

 

 

 

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