似たもの同士なワケがない   作:石ノ音

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守るものたち

「ヒドラを出しなさいィィィ!」

「はっ!」

「ヒドラ……?まさか!」

「そのまさかですよォ、中尉ィ!貴女にもちゃあんと責任は取ってもらいますからねェ!」

 

兵たちが動き出し、カタリナさんが困惑の声をあげる。ポンメルンが勝ち誇り、兵たちが号令と共に散っていく。不安が胸の内で渦を巻く。

 

本当にいいのかな?これで。

 

前世の記憶と現状の展開が私の中で錯綜する。このままでいい筈なのに怖くて仕方がない。

 

 

グオオォォッ!!

 

 

腹の底から響く雄たけびと共に現れたのは五つ首の竜。

 

「こんな化け物どこから……!?あのヒゲのおっさんが連れてきたってのかぁ!?」

「カタリナ……!」

「本当に……この島ごと焼き払うつもりか」

 

カタリナさんのその言葉に村のみんなの顔が次々に浮かんでくる。

 

「そこまでしてルリアの力を利用しようというのか、帝国は!」

「だからそうだと言っているでしょう。帝国が全空の支配者となるための礎として必要なのですからねェ。

その研究の一環として、この島にある星晶の祠を探しにきたわけですが……、まさかそれに乗じて脱走を図るなど、出鼻を挫かれた気分ですよォ!」

「カタリナ……ごめんなさい、わたしがわがままを言ったせいでこんなことに……」

「ルリア。外の世界を見せると約束したんだ。必ず約束は守って見せるよ」

 

シナリオ通りに進む様が、目の前で繰り広げられている現実がとても恐ろしく感じる。

私の目にグランの背中が映る。いつも一緒にいてくれて、困ったときには助けてくれた、頼もしい私の片割れ。そして、グランと同じくらい、いつも一緒にいてくれた大事な家族のビィ。

私の大事な家族を私の記憶と都合に巻き込んで、本当にこれを傍観してしまっていいのだろうか。

そんなときに青い色が視界に強く残る。それに惹かれてルリアを見た。後悔してる、しなきゃよかったって思ってる。そんな顔。ゲームでは決してわからなかった、ルリアの表情(かお)

なんとかしたいと思った。ルリアと仲良くなりたいし、いっぱいおしゃべりしたい。

そんな顔してほしくないし、笑って元気でいてほしい。そのために何とかしたい。

それは、グランにお願いすることじゃない。

()()()()()()()なんだ。

 

グルルゥゥゥ!!

 

「!!」

「ジータ!!」

 

ヒドラの唸りに反射的に剣を抜いた。グランの制止の声を聞き流して、隣に立ち構える。

 

「一人より、二人の方がいいと思うの。それに、元はと言えば、私があの子を助けたくてグランを巻き込んだんだし?」

「……ダメだと思ったら絶対に逃げるんだ」

「わかってる」

 

その目、全然信用してないな。

 

「オイオイ……やるってのか、アイツと!?」

 

ビィの言葉に私とグランは同時に言葉を発した。

 

 

「たすけなきゃ!」

「やるしかない!」

 

 

▼▼▼▼

 

 

ヒドラの叫びに身体が震える。

 

それでもやらなきゃいけない。その時、背中に庇ったジータが動いた。

 

「ジータ!!」

「一人より、二人の方がいいと思うの。それに、元はと言えば、私があの子を助けたくてグランを巻き込んだんだし?」

 

隣に条件反射みたいに飛び出してきたジータに下がるように目で訴えれば、なんでもない事みたいに笑って返された。

 

「……ダメだと思ったら絶対に逃げるんだ」

「わかってる」

 

絶対嘘だ。……僕は誤魔化されないからな。

 

隣でビィも僕と同じ目でジータを見てる。僕もビィもお前のことはちゃんとわかってるんだからな。

色々と言ってやりたいけど、ぐっと飲み込んだ。口では勝てないし、そんな事をしてる場合じゃない。

ルリアはカタリナさんに任せていれば問題ないと判断する。

問題は他人の危険に考えるより先に首を突っ込むジータだ。僕を除けば村の中では負けなしの腕っぷしだ。自分が助けた女の子に何かあれば、飛び込んで行きかねない。

ジータの中で逃げるという選択肢は消えたようだ。顔を見ればわかる。

迷いなくまっすぐにヒドラを睨んでいる。あれは、守る側に立った人間の顔だから。何を言っても無駄なら、今この場をどうにかするしかない。

 

「オイオイ……やるってのか、アイツと!?」

「たすけなきゃ!」

「やるしかない!」

 

ビィの言葉に僕とジータは同時に言い切った。

まさに僕らの今の心情そのものだ。

 

 ジータよりも心持前に出る。真っ赤な巨体に攻めあぐねているとポンメルンが叫んだ。

 

「フン……!どいつもこいつも、現実ってものが見えてないようですネェ……

ヒドラァァ!まずはそこのガキどもからだ!血祭りにあげて差し上げなさいィ!」

 

  グルルオオォォ!!

 

 ヒドラが叫び、こちらに突進してくる。

 

「!!」

 

 言葉を発する暇もなく、ヒドラの爪が眼前に迫り、衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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