ソウルイーターRTA パイルバンカーデスサイズチャート   作:雑魚E

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Part12:強靭な魂

 

なんでこの人急いでるの? なRTAはっじまぁるよー

前回アラクノフォビアが結成されたところからです。

 

まず保健室へ行きます。見舞いイベントが発生してブラック☆スターが退室したら『追いかける』を選択して死人(シド)とナイグスの話を盗み聞き、研究所へ行くブラック☆スターについていきましょう。

 

ブラック☆スターと一緒にアラクノフォビアの魔道具研究所にいざ鎌倉。

 

 

さて、ミフネ戦です。

 

ミフネ戦は負けてもストーリーは進みますが経験値とスキルがもらえなくなるので負けたら今の状態だとリセ確定です。

攻略方法ですがまだ本気を出してきていないので乱立の並び等は使ってきません。刺さった刀の場所に注意して立ち回りましょう。ほらいくど~

 

暴ス!行きますよ~行く行く

 

【〖BOSS:用心棒 ミフネ〗】

 

 

ブラック☆スターもいるのでうまく使ってタゲを散らしましょう。機動力が違いすぎるので基本的に攻撃を受けるか躱すかして反撃しましょう。

 隙を見てそこら辺に杭を刺していきセンサースタンなどのトラップや壁にしとくと行動を制限出来て攻撃チャンスのが増えるので積極的に仕掛けていきましょう。特にセンサースタンは当たらないものの足を止めてガードしてくれるのでとりあえずこれにしとけばいいです。余裕があったら後で壁にして誘導しましょう。

注意する攻撃は加法ぐらいです。セリフとともにターゲットの方向へ構えを正すのでよく見て判断しましょう。なお、ターゲットとの間に入っていると普通に巻き添え喰らうので真横より後ろへ逃げましょう。ターゲッティングされたら……頑張れ。

 

 さて、ここらでペグ君が手に入れたスキルのお披露目でもしましょうか。パイルダーオーフ!

 

このように分離して距離が離れても魂の共鳴が行えます。モズパイルの場合変形攻撃を行うと魂ゲージがなくなるので分離はご法度でしたがこれで手数を稼ぎながらの高火力が期待できるようになりました。さらにAIガバを防ぐこともできます。代わりに人為ガバの危険が増えますが。

 

 

ともあれミフネと大乱闘ももうそろそろ終わりそうです。三人に勝てるわけないだろ!

 

【「無限一刀流……加法――」】

 

アッ

 

【「一本!」】

 

オッブエ!

フレーム回避が成功してよかったです。加法を受けるとガー不で残りの2~12本確定ヒットです。そのまま乗法も喰らいます。相手は死ぬ。

いたいけな武器のホモ君を狙うとは侍の風上にも置けんな。今からお前らに罰を与えっからなぁ。もう許せるぞオイ!

 

【「無限一刀流……加法――」】

 

お願い許して!

 

【「一本!」】

 

へっ甘ちゃんが

 

二度と使ってこないでください、お願いします、何でもしますから!

怖いので回避無敵延長を持っているペグ君に避難します。走者の屑がこの野郎……

 

ほら……ね?安定を取るのも大事というか……ペグ君もホモ君のサポートがあって全力で戦えると言うか……適材適所と言うか……

 

あ、そんなこと言ってたらモス爺さんが狙撃されましたね。任務(工事)完了です……勝てばいいんだ勝てば(見逃された側)

 

さっさとリザルトをすっ飛ばして貰ったスキルを確認します。どんなんざんじょ

 

【『・【超魂感知】Lv.5・【ペルソナ】Lv.1・【跳躍】Lv.1』】

 

跳躍ですか……これは回避系スキルで、ステップやジャンプの距離が長くなるスキルです。無敵時間は変わりません。場合によっては邪魔になるスキルですね……

まぁまだいいです。諸刃とか付かれたらパイルの攻撃力も相まって複合スキルにするかリセするしかなくなります。

さて、ペグ君は?

 

【『・【食いしばり】Lv.2・【心眼】Lv.2・【直感】Lv.3・【魂の共振】Lv.1・【軽業】Lv.1』】

 

軽業が付いてますね。軽業とは攻撃モーション中にステップやジャンプでモーションをキャンセルできます。また、ステップをステップでキャンセルしたりできる回避強化系スキルです。ざっくり言うと限定的ですがモーションキャンセルできるスキルですね。

ヒットアンドアウェイが簡単になりますが調子に乗ってドゥエドゥエしてるとあっという間にスタミナ無くなるんで注意です。AIはその辺優秀なんでペグ君の心配はないですが。

 

 これで回避タンクの安定性がさらに増しましたね。

ちがう。いやめっちゃ有能だけどそうじゃない。

ペグ君は基礎ステ均一系で攻撃貧弱ボーイだから攻撃スキルが欲しいんです!

ホモ君がバフ系支援スキル取って強化しようにも離れてても効果あるスキルはポイント高いし一つ二つじゃ……

ですが事故を減らす安定材料が増えたと喜んでおきましょう。

 

と言うか波長事故引いた時点で完走を目的に走っているのでこれからも安定志

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

今日もマカさんのお見舞いへ基と一緒に向かう。

あの後、博士に診てもらい、数日経てば魔力が霧散していって自然に治るとのことだった。

 

右腕……の手先だけは動くようになったらしいけれど肩や脚など主要部位は全く動かせないらしい。

意識ははっきりしているし、痛みも無い健康体みたいだから余計につらいだろう。

 

 でも、キッド君やブラック☆スター達もお見舞いに来てくれていて、にぎやかで退屈してなさそうで良かった。

 

 

「オイッ マカ、お前の苦手な物ってなんだ?

 取ってきてお前の隣においてやるよ」

 

「もういっぺん言ってやるよ

 お前のアキレス腱をズタズタにしてやる」

 

 ……ちょっと賑やか過ぎるけど。

 

「水拭きよりメイク落としとかの方がいいんじゃね? ロッカーにあるよ」

 

「うん、お願い……」

 

「確か除光液で落ちたはずけど……顔だしオイルのメイク落としのが良いかな?」

 

マカさんの顔に落書きされたブラック☆スターのサインをどうにかしようとしていると死人(シド)先生がやってきた

 

「相変わらず賑やかだなァ……」

 

死人(シド)、何か用か?」

 

「ナイグズ、少しいいか? ここではちょっと、な」

 

「分かった」

 

そのまま臨時の保険医をしているナイグズ先生を連れて廊下へ消える

 

「あ、アルコールでも落ちなかったっけ? 除菌用のあるよね、保健室だし」

 

「あ、本当? ……にじみはするけど、完全には落ちないかな」

 

「やっぱ必要かぁ、取って来るわ」

 

「ペグ」

 

「ん?」

 

基の視線の先には廊下に出ていくブラック☆スターとソウル君の姿があった

 

 

 

 

 

 

「何だ?死人(シド)

 

「東アジアの梓から連絡が入った。 マカ達が戦った魔女アラクネの組織

 『アラクノフォビア』の研究施設の一つを発見したらしい

 何かよからぬ魔道具を造っているようだ

 

 今回の任務は研究所に潜入し、その魔道具の内容と使用目的を暴き、破壊することだ

 すぐに発つぞ! マカの世話はマリーに任せておいた」

 

「流石梓だ、抜け目ない―― 場所は?」

 

「梓が案内してくれる。 そのままバックアップにもついてくれるそうだ

 行くぞ」

 

「助かるな」

 

廊下では死人(シド)先生が任務の話をしていた。

そこから少し離れた廊下の影にブラック☆スターとソウル君、さらに後ろに僕と基が控えている形で盗み聞きをしている

 

魔女アラクネを首領とした組織、アラクノフォビア。

首領が復活を果たしたことで今まで潜伏していた構成員たちが組織立って行動を始めることだろう。

僕達もいくつかの研究施設や資金確保のための裏組織を潰してきた。今回は魔道具の研究施設らしい。

 

「ソウル……椿を呼んできてくれ」

 

「! ブラック☆スター……お前」

 

死人(シド)たちの後を追ってその施設をブッ潰してやる」

 

「無茶だ! 俺もその魔女をこの目で見たんだ、ただものじゃないぞ」

 

話を遮る様にブラック☆スターが魂威で壁を破壊する。

1mほど蜘蛛の巣状にひびが入り、パラパラと壁材が廊下に転がる。

 

「マカの仇は俺が討ってやる

 仲間に手ェ出す奴は許さねぇ」

 

「だったら俺も――」

 

「ソウルはマカについててやんな」

 

「……わかった」

 

「なら、僕達なら?」

 

「! ペグ、基……」

 

姿を晒しながら話に入る。

 

「これでも一応デスサイズの職人だよ?」

 

「デスサイズの手帳があれば追跡は楽になると思う……

 気は進まないけど、止めても行くんだろう?」

 

「……悪いな」

 

「一本前か後の飛行機には乗りたい、早く行こう」

 

僕達は死人(シド)先生達を追って東アジアへ飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

死人(シド)先生を追って魔道具研究所があると思われる竹林へ侵入した。

基が魂感知で道案内してくれてるから迷わず進めるけれど視界が悪く、まったく同じ風景が続くためコンパスや道しるべが無いとすぐに遭難してしまいそうだ。

 

少し開けた場所、地下茎が伸びないように地中に壁が埋まっている区画に、その建物はあった。

凡そ二階建てに見え、瓦のように細かい板材を張り付けた屋根、カムフラージュか何か他に理由があるのか建物に這うパイプは”節”が付けられており、不思議な雰囲気を纏っていた。

恐らくこれが魔道具研究所だろう。

 

「この後のプランは?」

 

「真正面から乗り込んで潰す」

 

言いながらブラック☆スターが正面の入り口に突撃する。それは作戦って言わないよ……

 

「オラオラオラ!! 超絶BIGな俺様が出張ライブに来てやったぞ!」

 

挑発の効果は目に見える形で、すぐに起こった。

建物からアラームが鳴り響き、非常灯が点灯し回転する。

その後すぐに刺股や警棒などで武装した警備兵たちがわんさか出てきた。

 

「基、魂の共鳴」

「椿、モード忍者刀」

 

 

警備兵の質はそれほど良くはない。

波長の爆発で吹き飛ばせばもう起き上がってこない。

ブラック☆スターの体術でもほぼ一撃で沈められている。

 

「どんどん出てこい! 片っ端からぶっとばしてやる」

 

 

「随分と元気なお客様だ……」

 

しゃがれた老人の声がのびた警備兵が転がる広場に広がる。

背が小さく、シルクハットをかぶった鼻の長い老人は後ろに同じくらいの背丈の小さな女の子を連れていた。

 

「魔女……」

 

基が不思議なデザインの帽子をかぶった女の子を見て呟いた。

 

「あの子が……?」

 

「あ~~! お前はァ!」

 

どうやら魔女らしい女の子がブラック☆スターを指さし叫んだ

 

「ん!?」

 

「知り合い……?」

 

しかし答えを聞く前にさらに奥から人影が現れた。

 

刀の束を携え、隙のない体重移動の完璧な歩法で距離を詰めてくる。……この人、凄く強い。

 

「テメェー……」

 

「強靭な魂……」

 

「用心棒ミフネ……どうしてあなたが!?」

 

「………… 俺は子供を守る為……アンジェラを守る為刀を振るってきた……

 なのに何故子供のお前がまた俺の前に立ちはだかる……」

 

……子供を守る為? アンジェラ……あの子か?

 

「どうした?

 ……アンジェラ、こちらへ」

 

老人が女の子の手を取り、男……用心棒ミフネ見せつけるように不敵に笑った。

……人質か?

 

ミフネと呼ばれた男は黙ってこちらに向き直り、一本だけ腰に差していた刀を抜き放つ。

 

「……いざ勝負!」

 

「おもしれぇ」

 

「……いくぞ

 無限一刀流」

 

ミフネが宣言し刀の束を振り上げ、全ての刀が鞘から滑りだし竹林の狭い空に広がっていった。

やがて重力に引かれ刀が落下し地面へ突き刺さる。

 

「地面に突き刺さっているだけで

 一本一本から威圧感がある……」

 

「あの人……強いよ」

「うん」

 

「だから…… アレをやろう」

「え! 今?」

 

「元より数的には有利だ、どこまで通用するか試しておきたい」

「でも……」

 

迷っていても相手は待っていてくれない。

瞬時に間合いを詰め元々手に持っていた刀でブラック☆スターへ向け縦に一閃する。

それをブラック☆スターは椿さんのモード忍者刀で受ける

 

しかしミフネはそれに止まらず右脚を曲げ近くに刺さっていた刀を足で掴み掬う様に振るう

 

ブラック☆スターはそれを受けていた刀を支点にして体を回し入れ替え回避する。

さらに回転で生まれた勢いを裏拳に乗せ反撃する。

 

しかし、裏拳が入ったかと思ったが既の所で受け止められていた。

 

迷っている場合じゃない、基を手放しミフネに向かって駆け出す。

 

「刀をいなし、躱し、即座に反撃……

 動き一つ一つで分る……

 成長した。

 これだから子ど――」

 

「シッ!」

 

言い切る前に基の右腕の杭がミフネの顔を掠める。

射出された波長の杭が放物線を描き不格好に地面に突き刺さる。

避け切ったところに僕も拳を放つ

が、難なく躱されバックステップで距離を取られる。

 

着地地点に回り込んでいた基が追撃の杭を振り抜いた。

刀で防がれたが込められた波長が解放され()()()()()()()()()()()()()()

 

反撃の横薙ぎを基が躱し少し間が空く

 

「む……こちらの子もなかなか動きが良い……」

 

「デスサイズと、一応その職人なので」

 

手ごたえはなかったけど作戦自体はうまく行った……

基が言い始めた作戦――

 

職人と武器の距離が離れた状態で魂の共鳴を行う。

 

基が魂の波長のコントロールに長けていて、常に一定の波長でいてくれるから何とか出来る芸当だ。

予め覚えておいた基の波長を探し、波長を引っ張ってきて増幅し、また基の波長を探し、そこに感覚だけを頼りに投げ渡す。

これを繰り返して魂の共鳴を行う。魂の波長はぴったりと合わせてやると電気の様に誘導され波長の道がつながる。

 

 でも直接繋がっている訳では無いからうまく増幅できているかちゃんと確認できず不安だった。

何とか成功してよかった……訓練に付き合ってくれたキムさんとジャクリーンさんには感謝しないと。

 

「………… こんな子供が」

 

「子供子供って舐めてんじゃぁねーよ

 『成長した』だァ?俺様は一回

 お前に勝ってんだよ!!

 エラソーにしやがって……」

 

ブラック☆スターの言葉に反発するように魔女……アンジェラが声を上げる

 

「偉そうなのはお前だァ! ツンツン頭!

 ミフネは子供好きだから

 お前みたいな子供が相手だと

 本気で戦えないんだもん!

 本気のミフネはもっとすごいんだぞ!!」

 

「……どうして、そんな人が……」

 

本当に、どうして……

死神様は魔女だからと言って無条件に刑を執行するような方じゃない

昔は過激な方だったらしいけど、今は割とテキト……おおらかなところがあるから……

 

「手加減など許さんぞ? わかって、いるな……?」

 

老人が念押しするようにミフネに問いかける

いや、問いというより釘を刺しているようだ

本当に、アラクノフォビアはあの子の保護をしてくれるのだろうか……?

 

「…… いくら、相手が『子供』だったとしても

 同じ相手に2度、負けるわけには行かない」

 

ミフネからのプレッシャーが強くなる。魂が見えなくとも感じる波長は質量を持っているかのように僕たちを押し付ける。

 

「椿…… 鎖鎌だ」

 

先手を取ったのはブラック☆スター、刺さっていた一つの刀を回り込むような経路を辿ってその奥にある竹に鎌を引っかける。鎖を引っ張りテンションをかけ刀を弾きミフネに飛ばす。

 

「お前ェの刀、逆に使ってやるぜ!」

 

しかしミフネは回転して飛んでくる刀の柄を難なく掴む

ブラック☆スターもさほど効果は期待していなかったようで既に次の攻撃の動作に入っていた。

 

上から放物線を描き、頭上を越えるような軌道から急に鎖の支点が空中にあるかのような小さな半径での上方斜め後ろからの攻撃

魂を通わせれば力を掛けずとも動く魔武器ならではの挙動だ

ミフネはそれを目視で確認することなく後ろに跳んで回避した

 

「逃がすか!」

 

ブラック☆スターはさらに鎖を振るい鞭のようにうねりを送り攻撃を重ねる。

ミフネはそれを上に跳んで避け、跳ぶ直前に回収していた刀を合わせ、持っていた三本の刀を投擲した

 

三道射(さんどううち)

 

投げられた刀はすべて鎖の穴を通して地面に突き刺さり椿さんとブラック☆スターを地面に縫い付ける

なんて精度だ……!

 

着地し、打ち付けられた刀をさらに食い込ませるように踏みつけながらブラック☆スターに迫る

そして間合いに入る直前にそばに突き刺さっていた刀を抜き袈裟懸けに振り下ろす。

 

ブラック☆スターは後ろに反ることで躱すがミフネはそのまま刀を振りぬき、鎖を縫い付けていた刀を打ちそれを装備し

攻撃の終わり際の隙と”起こり”をつなげて流れるような連続攻撃を放った。

と、同時に振りぬいた方の刀を勢いのままに僕へ投げつけてきた。

 

「くっ!?」

 

予想外のことが起こってミフネに向かう足が止まってしまったが刀をキャッチすることはできた。

そのまま刀を持ち更に距離を詰める

 

ブラック☆スターは二撃目も躱したがまた鎖を刺されバランスを崩される。

そこへミフネの手が伸び――

 

「モード煙玉!」

 

――きる前に椿さんが煙玉にモードを変えた

分厚く、飲まれれば文字通り一寸先も見えない煙はミフネの追撃を逃れるのに十分機能した

 

「シッ!」

 

「ぬ……」

 

煙で見えないが声から察するに基がミフネに攻撃を加えているみたいだ

続いて僕も煙に突っ込む

気配がする方向に憶測で刀を振るう

 

金属質のもので防がれた感触があったためこの辺りにミフネがいる。

おおよその場所の当たりを付け、慣れている突きでの攻撃に切り替える

 

突きのほとんどは何も触れなかったが、いくつかは刀に擦れた触感があったからいなされているようだ

まさか、この煙の中すべて見えているのか……?

 

僕の考えに答えるように殺気が迫る。

ほぼ反射で刀を左に構える。

 

同時に刀から強い衝撃が伝わり押し負けそうになる。

無理に対抗せず膝の力を抜き、上に力を逸らす

そのまま姿勢を低くし足を払いを掛ける

が、何の手ごたえもなく空振りになる。

 

不利を悟り転がるように煙の範囲外に出る。

 

煙の中に響く爆発音を聞く限りではまだ基は打ち合っているようだ

戦闘中でもまだ非接触共鳴は出来ているけど……また中に入るか?

 

逡巡していると煙が逆巻き一転に集中していく

 

「モード妖刀」

 

ブラック☆スターの手元に集まった煙は禍々しい黒い一振りの刀へ変わった。

煙が晴れて姿を現した基は肌に赤い線が増えていた

血が垂れていない所を見るに紙一重で躱せているようだけれど対するミフネは無傷、爆発によって腕周りの服は焦げているが刀を握っている手などはダメージは無いように見える。

 

「ヲオオオオオオ!

 (かげ)(ぼし)!!」

 

枝分かれし、鋭い刃となったブラック☆スターの影が起き上がり、密度の高い斬撃の乱舞を舞う

それを真正面から受け、ミフネはすべて捌き切っている

 

「こんなものか……

 妖刀……」

 

「あっ」

 

斬撃の密度が薄くなっているスペースに倒れこむようにしてミフネが身を滑らせた

確かに僕なら抜けられる密度だったけどまさか僕より二回り以上大きい体格の男が抜けられるとは思わなかった。

 

「”無限一刀流”

 加法『一本』」

 

「ぐぅ……!」

 

ミフネは倒れる寸前まで行った躰を一歩で立て直し、なおかつそれを力強い踏み込みに昇華し刀を振るう

ブラック☆スターはそれを影ではなく妖刀の本体で受け止め体が押されないよう、影で自分を縛って耐えていた。

 しかし、それが仇となり追撃を避ける選択肢が取れない状態になった

 

「二本」

 

「何っ……!?」

 

ミフネはすぐさま傍に刺さっていた刀を抜き取り別角度から攻撃を加える。

まずい、完全に捉えられてる。

 

「三本

 ……シッ!」

 

「くっ……!」

 

僕と基を寄せ付けないように相手しながら高速で刀をブラック☆スターへ打ち付けていく

 

「四本」

 

次の刀の補充がてらにミフネが基に投石を行い、その場へ縫い付ける。

僕もブラック☆スターの目の前まで来れたのにまるで追撃を防げない。

 

ブラック☆スターへの攻撃を防いでも力負けして次の動作が一手遅れる。

刺さっている刀の把握と誘導、そして位置の調整が巧みだ

 

無理に割り込んだりしたからか、何か所か痛みが残るダメージを受けてしまった。

傷を受けてまで攻撃を妨害しようにも、時に剛で、時に柔で臨機応変に対応されてしまう

特に体格差からの純粋な力押しでは勝ち目が万に一つもない。

 

 攻撃は基本躱してどうしても防ぐときは基の爆発杭(ヒートパイル)で力の差をごまかしていたからハッキリと弱みが出てしまった。

刀を装備してこれほど押されているのだから武器は職人の力を増幅させるとはいえ基を持ってもどこまで対抗できるか……

 

力強い構えからの風のような歩法、フェイントに騙され横をすり抜けられる。

ミフネに何とか追いすがるが片手ですら簡単に押し負ける。

基も当たりさえすればミフネを吹き飛ばし得る威力があるが触れられなければ発動しない。

 

基が杭を打ち込み壁を張っていくがミフネはその間をすり抜けていく。

完全に閉じた壁を三割ほどまで張り、ブラック☆スターに打ち付けられた刀が十二本になったところでミフネの動きに変化があった。

 

「乗法」

 

ミフネがブラック☆スターへ向けて駆ける

タイミングを合わせて基と並んで立ち塞がるが、僕の蹴りは掴まれ基の杭はヒットポイントをずらされ逆に抜ける方向に加速させてしまった。

 

ミフネとブラック☆スターが交差し、次の瞬間ブラック☆スターに打ち付けられていた刀が弾け飛んだ。

 

一瞬、コマ送りの様に見えた動きの中で分った。打ち付けられていた刀を瞬時に弾き、十二本全ての刀でブラック☆スターを切ったんだ。

 

「ブラック☆スター!」

 

「もう十分だろう、キズは浅い

 椿と言ったな

 さっさとその子を連れていけ」

 

見逃してくれるのか? やはり、本当は優しい人なのだろうか

 

「何故あなたほどのお侍さまが魔女の手先に……!?」

 

「お前たちは何故ここに来た?

 ……死武専の敵、魔女の施設だからか?」

 

「私たちの友達の娘が魔女アラクネの魔法で苦しんでる……その仇です」

 

「……そうか

 それは、すまなかった」

 

「あなたが謝る必要はないです……あなたは優しい人

 こんな組織で力を揮ってはいけません……

 あなたのような武芸を持った子供好きの方が死武専生の導き手……

 教師になっていただけたら……」

 

「何ッ!? 俺を教師にだと……!?

 ……

 ……

 ば……ば……馬鹿を言うな……」

 

あれ? なんか普通に説得出来そう

 

「確かに死武専と魔女界は敵対しています

 ですが死武専は魔女だからと言う理由だけで

 迫害するような組織ではありません!」

 

椿さんの説得に便乗する形で勧誘をしてみる。

 

「それに、僕もデスサイズになれたおかげで

 一般生徒よりは発言力が高いはずです」

 

それに基も乗り、説得を重ねる

 

「しかし……」

 

「ミフネさん」

「考えてみてください」

「お願い、します……」

 

「俺はアンジェラを……」

 

このまま押し切れないだろうか……

 

「ゴホッ!

 クソっ、また手加減したなテメー……!」

 

ブラック☆スターが起き上がった。

刀傷が全然無かったからそうだと思ったけどやはりミフネさんは峰打ちで攻撃していたらしい。

 

「ふん……ずいぶん好き勝手を言う……

 魔女は成長すれば破壊の導きに支配される

 それを押し込め続けていれば

 いずれは破綻する運命なのだよ……

 ミフネ、早くそいつにトドメを刺せ」

 

シルクハットの老人が口を挟んでくる

確かにそうかもしれないけれど

今から解決策を模索し続けていれば何とかなるかもしれないだろう!

 

「……もう勝負はついている」

 

「生かして帰す理由が無い

 さもなくばアンジェラ様の保護は無いと思え

 アラクノフォビア(ここ)にいれば

 アンジェラ様の安息な未来はひらけているのだから」

 

「まだ勝負は付いてねぇだろ……!

 俺はまだ立てる!

 まだ戦えるぞ!」

 

「ダメ……! ブラック☆スター……」

 

「………… すまない」

 

「駄目だ!」

 

基がミフネとブラック☆スターの間に割って入りミフネさんを突き飛ばす。

不意打ち気味に入ったが刀の腹でガードしていたのが見えた。

 

「ミフネさん、よく考えてください

 裏社会に身を置き続けて

 アンジェラちゃんがまっすぐに育つと思いますか」

 

「貴様……アラクネ様の創造する世界に唾を吐くか

 そもそも表だの裏だの決めるのは勝者だ

 勝者の死神は力を持った個を恐れるあまり

 魔女を排除したのだ!」

 

「違う!そういった考えにさせたのは

 魔女が規律を、人の和を乱すからだ」

 

「つまり突出した個である魔女はいるだけで

 人の和を乱す悪だとして裁かれるわけか

 話にならんな。 ミフネ、さっさと殺せ」

 

「すまない……俺は」

 

ミフネさんが基を向き直り刀を構える。

 

「俺がアンジェラを守る」

 

今まで見ていたものとは全く別次元の速度、一瞬で基の目の前まで迫る。

 

「基ッ!!」

 

「”無限一刀流”……加法」

 

沈み込んだ体勢から左脇腹を目掛けて切り上げようとしている。

基は、右腕だけを武器化している。

刀は、峰ではなく、刃を基に向けている。

手加減は、無い。

 

「『一本』……?!」

 

「えっ」

 

結論から言うと、ミフネさんの放った攻撃は基に当たらなかった。

 

僕もよく見えなかったが、避けようとした基の体が、不自然に刀の範囲外まで弾かれたようなような挙動をした。

 

「なるほど……

 足を武器化して動作を見せず飛びのいたか」

 

基の足元を見ると踵のあたりから杭が伸びていた。

それでいきなりズレたような動きに見えたのか……

 

「ミフネさん、お願いです

 僕はまだ子供かもしれませんが

 これでもデスサイズです

 あなたやアンジェラちゃんが邪悪な存在だとは思えません

 すぐに死武専に、とは言いません

 話が付くまでアラクノフォビアに加担することは……」

 

「俺は元々裏社会の住人だ……

 人も殺した、さんざん悪事にも加担した

 今更表に出られるはずもない」

 

「それでも!」

 

「次は外さん

 ”無限一刀流”……加法」

 

ミフネさんは右手で構えた刀を左半身の方へ持っていき……抜刀術のような構えを取る

脚に力を籠め、またしても掻き消えるような速さで距離を詰める。

 

基も切られる直前に反応しまた同じように後ろに二段階の回避を行う。

 

「同じ手を二度は食わん」

 

左から右に振り抜いた反動で回転し、そのまま踏み込み二撃目を構える。

基はまだ着地もしていない。

杭もリロードされていない。

 

「『いっぽ……ン!?」

 

しかしミフネさんは刀を振ることが出来なかった。

 

基は足の杭に波長を込めており、回避の瞬間杭を射出し、波長を周りに流すよう指令を出したのだろう。

その領域にミフネさんが踏み込み、波長が足から流れ込み行動を阻害させたんだ。

 

「次から次へと……

 子供の発想は柔軟だな」

 

「ミフネさん……確かにあなたは罪を犯したかもしれない

 ですが、やり直せるんです

 僕にはあなたが死神様のリストに

 載り続けるような人だとは思わない」

 

「しかし……」

 

また攻撃が止まった

聞く耳はあるみたいだ

どうにか聞き入れてくれないか……!

 

僕だって二人をどうにかしたい!

 

「ミフネさん!

 死神様は昔は厳格で厳しい方だったと聞きましたが

 今は柔軟なお方です!

 どうか……どうか……!」

 

「だが……」

 

「どうしたミフネ……?

 所詮勝者の傲りが生んだ

 子供の無責任な口約束だ

 同じ魔女の世界を選ぶ方が

 ずっと賢いじゃないか……」

 

「俺は……」

 

「ミフネさん!

 話を通して見せますから、こんな組織とは手を切っ――」

 

このまま押せばアラクノフォビアと関わりを断ってくれるかもしれない

うまく行けば、死武専にも……

 

「――うっ……?! ア……あぁ……! ぐ……

 ハッ、ハッ……ハ、あ……あっ……

 が、あッ」

 

「基!?」

 

急に基が苦しみ始め、膝から崩れ落ちる。しばらくガクガクと震えたかと思えばピタリと止まり何事もなかったかのようにゆっくり立ち上がった。

 

「基……? 大丈夫?」

 

基は返事をせず全身を武器化して僕の右手に収まった

 

「もと」

「ミフネは敵だ」

 

「え?」

 

「早く倒すんだ」

 

「何を言って……」

「倒さないといけない」

 

「どうし――」

 

そこまで言ってはっとする。

動揺を消してよく目を凝らして右手の基に集中する

 

すると、もはや腕が隠れて見えないぐらいの歪みが見えた。

 

「う……基……!」

「そうしないといけない」

 

マズい……こんな時に……!

 

「………… その子の言う通りだ

 死武専と魔女は敵同士、戦わなくてはならない」

 

「そんなことは……っ!!」

 

基に気を取られてミフネさんを懐に入れてしまった。横薙ぎに刀が振るわれる。

 

「”無限一刀流”

 加法『一本』!」

 

「ぐうっ!」

 

重い……!基の本体側で受け止め左手も交差させ何とか踏ん張る。

 

「二本!」

 

二本目も何とか腕をずらし肘のあたりで受けることが出来た。

しかし移動しようにも打ち付けられている一本目の刀からまだ押し込まれていると錯覚するほど圧力を感じる。

 

二本目も同じく手が離れているにもかかわらず凄まじい力で押されている感触がある。

 

「三ぼ――」

 

防げない。

ここまでか――

 

 

 

鮮血が吹き上がる。

 

 

 

 

僕の血ではない。

 

基の血でもない。

 

 

血飛沫の発生源を見るとシルクハットの老人の左上半身が弾け飛んでいた。

 

一拍置いてミフネが虚空を切り、凄まじい衝突音が広場に響く。

 

 

狙撃だ。

恐らく弓梓さんの。

 

「狙撃か! どこからだ!?」

 

老人の問いは爆発音で答えられた。

 

研究所の一角が弾け飛び赤い炎に包まれる。

続いて上の階の方から念入りに何度も爆発が起こる。

恐らく死人(シド)先生の任務が終わったのだろう。

 

研究所から白衣に蜘蛛の面姿の研究員が転がる様に飛び出してくる。

 

「モスキート様!爆弾が至る所に……!

 この施設はもう持ちません!

 早くご避難を……!」

 

「血だ…… 血が足らない……」

 

「モスキートさ

 ぐふっ」

 

モスキートと呼ばれた老人は研究員を尖った鼻を伸ばし、白衣の研究員を突き刺して殺した。

言動からして血を吸えば回復できるのだろう。……鼻から?

 

「待てよ!

 ……決着付けようぜ」

 

老人も逃げ、アンジェラも付いて行ったためここにはもう用はないと言いたげに去っていくミフネさんの背中にブラック☆スターが言葉を投げかける。

 

「あせるな…… お前は強い

 そのまま前を見て進めばいい

 そして椿の中の『もう一つの存在』を理解しろ……

 すれば妖刀も応える」

 

ブラック☆スターとの打ち合いで感じるものがあったのだろう。

ミフネさんはアドバイスを残してくれた。

 

「俺は刀にはこだわらないが……

 良い、刀を持ったな」

 

「当たり前だ」

 

やっぱり……教師になってもらえないだろうか……

帰ったら死神様に報告……

の前に始末書かな……

 

「魔法で苦しんでいるお前の友人に

 こいつを渡してやってくれ」

 

そういって何か小さい物を投げ渡す。

二つ絞りの丸い袋……飴玉?

 

そうして気が付くと音もなくミフネさんの姿は消えていた。

 

しかし、基の周りの歪みはまだ消えていない。

どうしようか……

 

「基……基?」

 

基は呼びかけには応じず武器化を解除する。

 

「はぁ……んんっ……!

 が、アアッ!」

 

頭を抱えてうずくまったかと思ったら体を反らして仰向けに倒れる

そしてピクリとも動かなくなった。

 

「ちょっと……基!」

 

倒れた基に駆け寄り膝に寝かせる。

 

脈はある。呼吸も正常。瞳孔は……

 

「う……」

「基! 気が付いた?!」

 

「ここは……」

 

「急に倒れたからびっくりしたよ」

 

「ペグ……」

 

「ん? どうし――えぇ!?」

 

基が泣いている。

目を歪め、下唇を噛み、声を震わせて涙を流している。

 

「え、と もとっ えっ だ、大丈夫?」

 

「ペグ……」

 

「うん……?」

 

「ごめんなさい……!」

 

「え……?」

 

基はそう言い切るとまた意識を失った。

 

今までと違う、暖かい魂が感じられた。

1分か、10秒か分からないが暫く呆然としていると、基が急に起き上がった。

 

「基……?」

 

だよね?

 

注視しても歪みは見られない。

基、のはず。

 

「うん? どうしたんだい? ペグ」

 

「え? いや、その、さっきの……」

 

「……何かあったっけ?」

 

基の周りに注意して言葉を紡ぐ。

今はもう歪みは無くなっている。

 

が、あの暖かさも無くなっている。

 

「その、涙」

 

「――ああ、ごめんね

 転んだ拍子に目にゴミでも入ったんだろう」

 

……え?

本心だ。さっきまでの事を覚えてない?

自分の顔に触れて初めて涙を流していたことに気が付いたようだった。

 

でも、歪みは見られなくて…… じゃあさっき泣いていた基は?

言っては何だけれど、初めて会った時の基よりも自然な気がする。

 

あの、謝罪は、勘だけれど、魂から絞り出した本心だと思う。きっと。

 

本当の基が居て、嘘ではない基が居て、そして基じゃない歪みが居る。

しかし喧嘩した時より前の基はどれだ?

どれでも無いように思う。

 

だけれど、さっきの心から何かを言えていた基は確実に居る。

あの凪いだ湖面を思わせる暖かい波長を放っていた基は絶対に居る。

 

今は何もできないけれど、僕はずっと一緒に居よう。

基が誰にも知られずどこかへ消えてしまわないように。

何かあれば助けてあげられるように。

 

今の僕じゃ基の足枷になってしまうかもしれないけれど、それでも。

 

一緒に居よう。

 

基が、心から笑える日が来るまで。

 

僕は、基のパートナーだから。

 

 

基にハンカチを渡しながらそう、思った。

 

 

 




戦闘描写が難しい

特に強敵との闘い
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