「おはよ♪兄さん♪」
今日は休日である。だからといってすることもなく惰眠を貪っているとアマネが部屋に入ってきた。格好がお出掛け用の為これから何処か出掛けるのだろう。
「おはようアマネ、出掛けるのか?」
「うん!ラグナ姉さんとお買い物行ってくるね!」
「そうか、気を付けてな」
「うん!それでね……」
なんだろう、頼み事だろうか?アマネはいい子だし欲しいものが有るなら追加のお小遣いをあげることも可能だ。
「今日は帰るの夕方になりそうなの、だから姉さん達のことお願いね?」
「なんだ、そんなことか。任せとけ」
「じゃ、宜しくね!」
そう言って駆け足で部屋から出ていく、余程楽しみにしていたのか背中からも嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。
しかしそうか…、今日はストッパーも一緒に出掛けるからもし喧嘩でも始まったら大変だ、早めに下に降りるか。
そんなわけで下に降りると、双子はリビングでテレビゲームに没頭していた。おはようと声をかけると返事だけ返ってくる。
少し遅めの朝ごはんを食べ、今日は何をしようかと悩んでいると、ゲームを止めてこっちをじっと見ている双子が見えた。双子は目線が合った瞬間、座っていたソファーの真ん中を叩く。
…来いってことか
そう察し、ソファーの方へ移動する。二人の間に座ると両方とも体重をこちらにかけてきた。
「どうした?そんなくっついてきて」
「兄さん今日暇でしょ?」
「ゲームしよ!ゲーム!」
「まあ、いいけど」
いつも喧嘩しかしてない双子とは思えないほど息ピッタリである、こんなことはあまり無い。いつもこんな状態だったら良いのに…。
しかしゲームか……、ゲームを余りしない俺が一緒にやっても二人は楽しいのだろうか、心配である。
「それで、何するんだ?」
「「スマ○ラ!!」」
あかん、それはあかん。
どう考えてもこれは喧嘩の流れになる、というか昔に今の同僚達とやった時は白熱し過ぎてリアルス○ブラになったりもした。ましてやこの双子だ、絶対そうなる。
悟ったところでなにも出来るはずも無く、着々と準備されていく。俺もなるようになれと思いキャラを選択する。
ちなみに俺はアイクを使う、やはり火力がいいからな。
そして二人はカービィとプリンである、何故二人でピンクボールを使うのだろうか。
GOの合図と共にゲームが始まる、カチャカチャとコントローラーの音が鳴るなか、二人はずっと密着したままである、正直やりづらい。
「なあ、お前らやり辛くないのか?」
「?そんなこと無いよ?はい、メテオ」
「おま、てか何でお前らそんなくっついてんだ?」
「いいじゃん別に。ほい、場外」
「ちょ、てか俺がやり辛いから少し離れてくれないか?あと俺を速攻で落とすのも止めて欲しい」
「「やだ」」
「何で?」
「いいじゃん今日くらい、ガードブレイク」
「そうだよ、ハンマー最大溜めね」
「そこに合わせて眠るっと」
「いやいやふざけんなよ!いろんな意味で!」
本当に止めて欲しい。くっつくのはまだしもハメ殺すのは止めて欲しい。つかなんだよ!全部ジャスガって!一回も攻撃が当たらない、掴みも回避を使わずに避けてくる。
そして一番は、いつもは仲の悪い二人のゲームでのコンビネーションが可笑しい位に息ピッタリなのだ。お陰で残機が無くなり暇になってしまった。タイム制なら地獄を味わう事になっていただろう。
そんなことがあり、ゲームをする気にならず次の誘いを断ると、二人はテレビでのゲームを止め携帯機でのゲームをやり始めた。気を使ってくれたのか、開けてくれたテレビで録画番組を消化する。
テレビに集中していると二人が左右の太ももに頭をのせてくる、本当に何なんだろうか。
「どうしたんだ?」
「何が?」
「今日は随分甘えてくるじゃないか」
「……別に」
「そうだよ、気にしなくていいから」
確かに兄として悪い気はしない、しかしいつもの休日にはこんなことはしない。小さい頃は俺かラグナの手をずっと掴んでいる位には甘えん坊だった。しかし初等部に入った頃から急に甘えなくなった。喧嘩するようになったのもその頃だった気がする、理由は忘れた。
そんなことを懐かしんでいると昼の時間になった。二人に伝えるとしぶしぶ体を起こし準備にかかる。いつもは食事が出るまでなにもしないが、今日は手伝ってくれるらしい。といってもラグナ達がお昼ご飯にと作り置きしておいてくれたものを並べるだけだが。
昼食を食べ終え、ソファーに座る。そうしたら二人もさっきの定位置に座り、頭をのせてくる。本当に今日はどうしたんだろうか、そんなことしか考えられない。
考えている内に関係ない事を思い付く。
そうだ、頭撫でてみよう
甘えなくなった頃から撫でるのも嫌がられていた(当初は相当ショックだった)が今はどうだろうか。
思い付いたら即行動ということで、まずはスロウスの頭を撫でてみる。
「ッ……!」
びっくりしたようだが、構わず撫で続ける。更にレヴァの頭も撫でる。
「「「………」」」
テレビも点けずゲームもしていないのでただ静かな時間を過ごす。拒否しないということは平気だということだろう、と勝手に自己解釈しておく。
しかし大きくなったなぁ、と二人の成長を実感する。性格は幼いが、元気であれば兄としては十分である。
しばらく撫で続けるが飽きが来ない、ずっと撫でていれる、そんな気分である。二人も振り払う気は無いらしく、なされるがままの状態である。
午後の予定は決めてないので、このままでもいい位だ。
こんな休日も悪くないな
そう思いながら、穏やかな笑みを浮かべている二人を撫で続けた。
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今日の買い物に満足したようで、ホクホク顔のアマネは買った物を大事に抱えながら終始笑みを浮かべている。
それだけでも今日の目標は達成だが、今日は自身の買い物にもとても満足している。
「帰ったら兄さんに自慢しよ♪」
そんな嬉しそうなアマネとおしゃべりしながら家に向かう。兄さんや姉さん達は喜んでくれるかな?なんて嬉しそうに話す末っ子に思わず笑みがこぼれる。一生懸命選んでいたのだ、喜ばないはずがない。そんな事を話していたらもう家に着いてしまった。
しかし、いつもは騒がしい声が聞こえてくるが今は静寂が包んでいる。靴があることを確認し、リビングを覗く。
その状態に思わずアマネと目を合わせる。アマネが目をパチクリさせていたが、正気に戻り口の前に指を立てる。
私も頷き、二人で静かに二階に上がる。今日は皆いい日になったのだろうと二人で静かに笑い合う。
リビングでは頭に手を置かれ笑みを浮かべながら寝ている妹達と手を置いたまま寝ている兄の姿があった
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