誰も死なないハッピーエンド   作:アルテイル

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15巻買って読んでたらまた何も悪くないキャラクターが非情にも死んでいたので助けようかなと思い書きました。
メインはRPGの方なのでとりあえず書いただけで、先はまだ無いです。


君と僕の1日

「おいアマメ!もっと早く走れよ!追いつかれちまうだろ!」

「む、無茶言うなよマリス(・・・)!荷物は僕が持ってるのに!」

 

雨が降りしきる街の中、2つの影が路地裏を駆けていた。年の頃は15程度だろうか。

 

「ゴラァァ!ガキ共、今度という今度は容赦しねぇぞぉぉ!」

 

それに追い縋る大柄な影、どうやら、彼らは何かを盗んだらしい。

 

「ちっ、アマメ!林檎貸せっ!」

「お、おい!またやるつもりなのか!?」

 

マリスと呼ばれた人物はアマメと呼ばれた者から赤い果物を奪う、アマメが持っていた籠には沢山の食料品が入っていて、その内のひとつのようだ。

マリスは1度足を止め、追いかけて来る影を睨みつけ人類が昔から慣れ親しんだ遠距離攻撃を発動した、投擲である。

 

「ぶべっ!」

 

放たれた果実は見事男の顔面に直撃し、堪らず男は悶え動きを止めた。

 

「やりぃ♪」

「あ、相変わらずだな・・・」

 

視界の悪い中形も不揃いな林檎を相手にぶつけるのは中々難易度が高い筈だが、二人にとっては日常的な事のようでさほど驚きは無いようだ。

 

何はともあれ、無事足止めに成功した二人は自分の拠点へと帰り着く。

 

「あっぶねー、そろそろ、あの辺りは警戒が強くなっててやりにくいよな」

「そうだな、場所を変えよう。拠点も変えないといけない」

 

廃屋ばかりな路地裏の中で、屋根と壁はあると言う程度のボロ小屋。それでもそこは二人にとっては立派な大豪邸だった。

 

「んー、ここはかなり良かったんだけどなぁ」

「言うなよ、出ていき難くなるだろ?」

 

壁のある分、他の家よりも見つかりにくいし、屋根があるから雨も凌げる。親の居ない浮浪児の二人からすると最高の物件だ。

 

「まぁ、何処でもアマメとなら大丈夫か」

「あぁ、僕も、マリスと一緒なら心強い」

「「・・・」」

 

お互いに、ぷっと小さく吹き出し、笑い声を上げる。二人は、互いがいればよかった。誰よりも、何よりも信頼の出来るお互いが。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

食料もそろそろ尽きてきた頃に丁度よく雨が降り、略奪を決行した。いつも通り、隙を見てしこたま籠に詰め込むだけ、作戦というものでもない。

気掛かりなのは離れた地域にも彼らの悪行が知れ渡っていたこと。籠を持った2人組の子供と言うのは、人々の中で噂になっていた。

 

「(マリス、あの店にしよう。女一人しかいない。それに路地に近いから逃げやすい)」

「(了解)」

 

狙われたのは個人経営の商店、小さいながら多くの品が置いてある、食料も充分だ。店の中に入り、隙を見る。店主は・・・寝ていた。

 

「(んだよ、詰め込み放題じゃねーか)」

「(ホントだ、さっさとやっちゃおう)」

 

珍しい好条件、それに加え店主は居眠りと来た。油断するなと言う方が無理がある(・・・・・・・・・・・)

 

「お前ら、何してんだ?」

「「ッ!!!」」

 

二人は言葉も交わさずに駆け出す、背後の人物の左右を全力で抜けようとしているのだ。生活上走ることの多い二人はそれなりに鍛えられている、が相手が悪かったようだ。

 

「おぉっと、逃がさねぇよいでぇ!ってぇな!コラァ!」

「!?お、お前女かよっ!」

 

捕まえられた二人だが、判断が早い。胸を見て即座に男だと判断した二人は共に股間部分を全力で殴ったのだ。しかし、この平らな胸を持つ人物は女だったようで子供らしい腕力の威力しか発揮しなかった。

 

「女に決まってんだろ!・・・そうだ、別にコイツらでいいか。お前らちょっとこい」

「クソッタレ!離せよっ!」

 

こんな状況でも呑気に寝ている店主は随分と神経が太いらしい、ギャーギャー喚きながら二人は連れ去られていった。知らない家の前で女は止まり、大きな音を立てて扉が蹴り開けられる。

 

「おい、インドラ!連れて来てやったぞ!」

「ウリドラ・・・君のガサツさは重々承知しているが、・・・おい、何だそれは。まだ子供では無いか」

 

少し路地裏に入りかけた小さなボロ屋、マリス達の前の拠点よりはマシだが、というようなレベルだ。中には女が居て、ウリドラと呼ばれる女に苦情を言った。

 

「仕方ねぇだろ?オレらはここじゃ無名なんだ、勧誘しても聞きもしねぇぞ、アイツら」

「それは君のやり方が悪いだけじゃないのかい?」

「あァ?テメェがやった時も誰も来なかっただろうが」

 

あーん?と、メンチを切り合う二人、謎の圧力にウリドラに抱えられるマリスはカタカタと震えていた。それを見たアマメは決断する。

 

(・・・マリスだけでも逃がさないとっ!)

 

ガブッ!

 

「いっってぇ!こ、このガキィ!またやりやがったな!」

「マリス!逃げろっ!」

「わ、悪ぃアマメ、()、腰が・・・」

(マジかよーーーッ!)

 

その努力は無駄だったようだ、動けないマリスはウリドラに捕まえられ、マリスが逃げられないのならアマメは1人で逃げる事は出来ない。

 

「い、インドラァ・・・ポーションって買ってたっけ・・・」

「そんな余裕、ある訳ないだろう。こちらは1週間先も見えない身だぞ」

「クソっ、おれらは神だってのに世知辛ぇ・・・」

 

どうやら二人は神のようだ、二柱と言った方がいいか。なにせ、困窮しているらしい。アマメは訝しげに二柱に目を向けるが、とても神とは思えない。服は一見小綺麗だが解れているし、家の中にはロクに家具もなく、自分達浮浪児と似たようなレベルとさえ思える。

 

「まぁでも、そんな訳だから、子供でもこの際やるしかねぇだろ?」

「・・・手段を選んでは居られない、か」

 

なにやらウリドラはインドラを説得した様で、マリスのボロ布を二柱がかりで脱がせて行く。

 

「や、やめっ!アマメーーー!見るなーー!」

「んだよ、別に見られても恥ずかしかねぇだ・・・お、お前、女だったのか・・・」

「アンタに言われたくねぇよっ!」

 

そう、マリスは紛うことなき女だ。一人称は私だし、部屋には奪ったぬいぐるみだって飾ってある。アマメはキチンと目を逸らし、耳を閉じた。捕まってしまった以上、もう出来ることはない。後は酷い扱いにならぬ様祈る事のみだ。

 

「コイツはインドラで良いか?」

「あぁ、君はあの少年、・・・少年なのだろうか。まぁいい、あちらにしてくれ」

「っ!アマメに手を出すなっ!」

「心配すんなって、恩恵(・・)を与えるだけだ」

 

恩恵(ファルナ)

 

それは神のみが人類に与えられる超常の力。遠い昔、神が地上に舞い降りてから人は進化した。恩恵の力によって人は被食者から捕食者へと、怯え恐れていた怪物(モンスター)を屠る力を得たのだ

 

「恩恵って、あんた達はファミリア持ちの神様だったのか」

「いや?まだ構成員は居ないから、ファミリア無いぜ」

 

ウリドラ曰く、自分達は3日前に降りてきたばかりで何も知らない。

旧友に無理を言いこの家は貰い受けたが無一文である。

ついでに知名度の無い神なので、通常の方法では団員は望めない。

 

「それで、僕達を、と」

「そうそう、勿論やるだろ?冒険者になりゃ、あんな事もしなくて済む」

 

あんな事・・・当然、盗みの事を言っているのだろう。冒険者は命の危険こそ大きいものの、立派な職業だ、後ろめたいものでは無い。浮浪児が職を得ようとするならマフィアのような連中に媚びるか、冒険者になるしかない。しかし、冒険者になるにはファミリアの登録が必要で、ファミリアの登録にはファミリアを運営する神が必要である。そしてその大半は浮浪児などと言った素性の知れないものを受け入れたりはしない。

 

これはチャンスだ。

 

「・・・マリス」

「お、おう」

 

アマメは相棒に声をかけた。

 

「マリスは言ってたよな、見返してやりたいって、僕達を捨てた親や、馬鹿にしてきた連中をいつか見返してやりたいって」

「・・・言った」

 

これは、チャンスだ。

なんの力もない浮浪児が何かを手に入れる為の。

胸を張れる人生を送る、初めてのチャンス。

 

「僕達を、・・・冒険者にして下さい」

「よし来た」

「承知した」

 

(僕は、何としてもマリスを輝かせてみせる、誰もが目を見張る程に)

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