戦国小町苦労譚ショートショート詰め合わせ   作:0003

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随分と久しぶりの更新・投稿となってしまいました。
御多聞に漏れずアルコールが入っている状態で執筆しております(^^;


戦国小町苦労譚ショートショート詰め合わせ(その9)

『POUAKAI~注意報?』

 

 

 

ハーストイーグルという鷲をご存じであろうか?

かつてニュージーランドにいた絶滅種である大型のワシである。

そのサイズは翼を広げると3メートルに達する猛禽類としての史上最大種であった。

このワシ、同じ地域に生息していて鳥類としての史上最大の鳥であるモア(これも絶滅種)を狩っていたと言われているのだからスケールが大きい。

そして、恐らくではあるが~かつて小耳にはさんだ噂~この巨大なワシも宣教師らから大名に贈られるたびに、結局、飼育することを拒否されたらい回しにされていたということが容易にうかがえる。

 

で、である。

信長とフロイスとの会談の時に同行していない静子へ、またもやある新たな打診があった。

何でも大柄な飛べない種で、たいへん美しい羽を持つ珍しい鳥が手に入ったというのである。

 

「……大きくて綺麗な羽の飛べない鳥?…………」

 

静子の脳裏に危険を知らせるアラートがけたたましく鳴り響く。

 

もちろん、彼女の頭に浮かんだのは鮮やかな青と赤。

ギネスにも「世界で最も危険な鳥」として認定されてしまっているアノ鳥である。

 

それは、オーストラリア、インドネシア、パプアニューギニアなどの熱帯雨林を住処にしている鳥、ヒクイドリ(マオリ族の言葉ではPouakai:ポウアカイ)であった。

 

 

食性は果実類を主にしている雑食で、体高一七〇センチほどの巨体であり、飛べないかわりの強力な足は時速約五〇キロほどで走り廻る。

 

普段は臆病とも言える性質を示すのだが、いざ、身の危険を感じて攻撃に転ずると、その強靭な足による鋭い爪のおまけ付きの蹴りは肉を裂き骨を砕くほどである。

 

人間がこの恐るべきキックを受けると、皮膚が裂けて内臓が飛び出すほどであるという。

所謂、蹴られて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~んである。

 

もちろん、その打診を受けた彼女の返答は決まっていた。

静子はきっぱりと、どこかカクカクした感じで口を開いたという。

「ケッコウデス」

 

 

 

 

 


 

 

 

『キノコ症候群』

 

 

「わしはキノコは苦手じゃ」

 

種類の選別のために床一面に広げられた山の幸を目にしながら、俄かに足満は忌々し気に眉を顰めて断言した。

その瞳の中には嫌悪の色さえあるようだ。

 

「えっと……おじさん?」

 

そんな足滿の苦々し気な言葉に山の恵みに変な踊りを舞いそうになっていた静子が面食らった。

 

「あの…えっと……」

 

 

「知っておるか?ある種の茸には恐ろしい力がある。食べた人間をキノコ人間の化け物に変えてしまうこともあるんだ!」

 

 

そして、「……あぁ…………」と溜息を吐き出し微妙な表情を浮かべた。

 

 

常識を身に着けるために様々な映画作品などを見ている中に姉が紛れ込ました昭和のころに作られた某特撮怪奇映画作品を見てしまったコトを。

 

その作品を簡単に説明すると、見渡す限りキノコばかりの無人島に遭難した人々が、その地に生えているキノコを口してしまうと、体中から食べたものと同じソレに覆われて周囲の人間を襲い始めるという悪夢の作品である。

 

後のゾンビ映画や吸血鬼映画などの怪物が伝染して増えるホラー作品への系譜とも言えた。

確かに何も予備知識なくドキュメンタリーだと思ってアノ作品を見たらトラウマになりそうではある。

 

「キノコ人間は周りの人に自分に生えたキノコを食わせようと襲ってくるんじゃっ!」

 

 

目を向いて熱弁する足満の姿はイロイロとアレな感じであった。

ただ、それを信じてしまうのもどうであろう?

姉の所業に端を発したとは言え、静子はそう思わざる得ないのだが。

 

少々バグってしまっている足滿の後頭部へチョップを入れつつ、彼女は仕方なくも何時もの台詞をきっぱりとした口調で言い切った。

 

「アレはただの創作作品です!」

 

 

 

 


 

 

 

『同人誌即売会誕生?』

 

 

 

近衛前久の発行している情報誌に妖しげな小説作品が投稿されるようになってから一部の者達が熱烈歓迎をした。

その結果「それらを集めた作品集を」という要望が次々と前久へと届いたという。

 

さて、このような作品群であるが、現代においてBLと呼ばれている創作作品である。

根本的に「BL」という名詞をご存じない紳士淑女諸君もおられると思う。

ぶっちゃけ「ほもー」なお話とイメージしていただけば良い。

所謂、後の世での腐っている人たちは、この時代にもけっこうな数で存在しているんだ~と静子は生暖かい目で義父の言葉を聞いていた。

 

そして公家ではあるが充分以上に商売っ気のある前久である。

これだけ話題になるのならば、資金調達の糸口になると静子に販路としてどのような方法が良いか?と相談を受けたのであった。

 

その存在を認識しても、その世界を楽しむ素養のない彼女としては「お好きにどうぞ」としか言えない事案であった。

多分、公卿たちをアブノーマルな事柄で精神汚染により堕落させて、権謀術策を謀るリソースを削るとかってないよな~とか思いながら……

 

 

 


 

 

 

『鉄塊』

 

 

鍛冶師たちの町に巡察に訪れた静子が何やら鍛冶場が騒がしい場面に出くわした。

 

それは巨大な鉄塊であった。

三人がかりの鎖で吊るされたそれは、身の丈を超える巨大な鉄の板にも見える。

 

 

普通の人間では、まず持ち上げることすらできないような巨大な剣。

 

 

どこかで見たことがあるモノであった。

その喧騒の中心には足満と長可がいた。

 

何やら足満は興奮した面持ちで熱く語っていることが耳に入る。

 

 

「……天下一の最強の武士~もののふ~を目指すなら、やはりコレを使えなければならない!」

 

「お前なら使えるはずだ!!」

 

「これは『りゅうごろし』と言って龍をも斬ることができる剣だ!!!」

 

 

おそらく、この「鉄の塊の何か」を見せるためだけに、無理やり連れて来られたらしい長可の憮然とした声が聞こえてくる。

 

「…………こんなん持てないぞ……」

 

 

 

どうやら、またもや足満がどこかバグっているようであった。

「ナニモミテイナイ。ナニモミテイナイ…」と呟きつつ、静子は巻き込まれないように回れ右をして立ち去っていった。




『ベルセルク』の三浦健太郎先生のご冥福を心からお祈りいたします。
結果、足滿さんがちょっとオカシクなっております…
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