皆さん、今週のヤ○ジャンは見ましたか?ヤバかったですね、いや本当に。
単行本派の早坂命の方。悪い事は言いません。最後のページだけでも見るべきです…!
「「「間に合った~…」」」
校舎内にある講堂、その外にて生徒会の面々は疲労困憊の様子でぐったりしていた。
それも当然だろう。突然校長からフランスパリの姉妹校からの交換留学生歓迎会の準備をするように指示されたのが三日前。そして今回、その準備に総司がほとんど参加できなかったため、本当に生徒会のみでこの交流会を準備しきったのだ。
「おう、ホントにお疲れだ」
「えェ、皆サマお疲れ様デス。急なお願いでしたが、よくぞ形にしてくださいまシタ」
今この場にいる三人、本当はもう一人、石上も交流会の準備を頑張っていたのだがこの場にはいない。そのため三人に労いの言葉を掛ける総司と校長。
「まあ、この位は…。ですが、これからは直前に言うのやめてください。他の役員達に負担をかけるのは俺の方針じゃありませんので」
白銀が校長の言葉を受け取りながらも、二度とこんな事がないよう校長に釘を刺す。いや、本当に大変そうだった。
交流会当日の直前準備だけは、参加者として大勢の生徒と共に準備を手伝った総司だったのだが、生徒会の四人は慌ただしく動き回っていた。当日なのに。
「ハッハー!わかってマス!もうしまセンヨ!」
「…」
またするなこいつは、と総司は思った。きっと、白銀も同じ事を思ったに違いない。呆れたように溜め息を吐いている。
「これより、皆さまも楽しんできてくださーイ」
会場ではすでに日本に来た姉妹校の生徒と秀知院の生徒の交流が始まっている。校長は三人を押し出して会場へと入れさせる。
そのまま生徒会メンバー達は会場の奥へと歩いていった。
その背中を、総司と校長が見送る。
「…で、白銀は貴方のお眼鏡に適ったんですか?校長」
会場へと入っていった三人が各々行動を始めたのを見てから、総司が隣の校長へと問い掛けた。
先程、総司は今回の交流会の準備を手伝えなかったといったが、その理由がこの校長である。
校長が事前に総司に、交流会の準備を手伝わないようにと命じていたのだ。
あの疲労ぶりを見ていて、相当忙しかった事が解る。白銀とかぐや、藤原や石上にも手伝って欲しいと頼まれた。だが、総司はそれを用事があるからと断っていた。
そして今日、無事に交流会は開かれた。これをこの男はどう思ったのか。
「…確かに能力は中々のものデス。ですが、私はもう一つ確かめなければならない」
「と、いうと?」
「ベツィー」
校長は白銀に対してある一つの評価を下すと、一人の女子生徒を呼んだ。
呼ばれ、姿を現した生徒に校長は簡潔に命じる。
『遠慮はいらない。あの白銀という男を…、全力で切り刻んできなさい』
フランス校副会長、ベルトワーズ・ベツィー。彼女の舌先は、いずれ人を殺すと云われている。
仏ディベート大会二年連続優勝という輝かしい功績を持ちながらも、相手の人格までも否定する論理展開を得意とし、多くの対戦相手を再起不能に陥れた。
そんな彼女についた異名が、"傷舐め剃刀"のベツィー。
「…で、それで何を確かめるんです?」
「簡単だヨ。彼の精神力。この学園の長に立つ者とシテ、その立場にあるプレッシャーに耐えられるかどうカ」
そう言って、校長は横目で総司を見遣る。
「君ならば解るだろう?」
「…」
黙り込む総司。それを肯定と受け取り、視線を外す校長。その直後、
「いや、全く。プレッシャーとか感じませんでしたけど?」
「え、あ、そ、そウ?」
総司はそんな事はなかったと言い切った。
戸惑う校長。若干恥ずかしげに頬を染めているように見えるのは気のせいか。
まあ、どや顔であんな風に同意を求め、結果否定されるというのは中々に恥ずかしいだろう。
「しかし、私はてっきりあの時から六年間、君の時代が始まるとばかり思っていたヨ」
「…まあ、あの時から色々と忙しくなりましたから。会長の仕事やりながら今の生活をするのは無理です」
総司は四年前の自分を思い出す。まだ敗北というものを経験した事がなく、全てを自分一人で熟せると勘違い…いや、全てを自分一人で熟さなくてはならないと思っていた当時の自分を。
(ホント、俺の力になろうとしてくれた彼等には申し訳なかったな)
自分を手伝おうという声を拒んだ。自分を支えようとした手を振り切った。そして皆、離れていった。総司は一人になった。
だから総司は思う。今の生徒会の光景は本当に眩しい。あんな光景を、自分も作りたかった、と。
「我々も行こうカ。ベツィーが仕掛けるようダ」
「そうですね。そっちには興味ありませんが、ここで話してたら何のために来たんだって話になりますから」
校長は白銀とベツィーの方へ。総司は一度辺りを見回してあぶれている生徒がいないか探す。
『こんにちは』
『ん…。はい、こんにちは』
すると、総司の背後から女子生徒が話しかけてきた。
女子生徒からの挨拶に、総司も挨拶を返す。
話し込む二人。それから二人の周りには更に人が集まっていく。
いつの間にか大集団での談笑になった交流会は、あっという間に過ぎていくのだった。
「で?何でかぐやは凹んでんの?」
「さあ…、私は総司君と一緒にいましたし、解らないです…」
交流会は終わり、後片付けの時間。この後片付けは手伝っても良いとの事で、総司も生徒会と一緒に片付けを行っている。
そういえば、交流会が終わった後、会場を去る前に校長が言っていた『白銀御行は君に迫る逸材かもしれン…』とは一体どういう意味なのか。
あと、あのベツィーとかいう女子生徒もどうなったのだろう。ちらりと、かぐやに肩を掴まれながら何か言われていた所は見たのだが、以降彼女の姿を見ていない。
まさか、かぐやが凹んでいるのはそれが関係しているのだろうか?
「総司くーん、これってあっちにまとめておいてだいじょうぶですかねー?」
「…まあ、良いんじゃないか?多分」
俺に聞くな、白銀に聞け、とは言えなかった。
何故なら、白銀が凹んでいるかぐやに歩み寄っていたからだ。
藤原が段ボールを抱え、よいしょよいしょと運んでいくのを見届け、片付けを再開しながらかぐやと白銀の会話に耳を澄ます。
「だからな、最初にも言ったが俺はフランス語は付け焼き刃だ。だからお前が何を言ってたかなんてわからんし、聞かれたくなかったのなら聞かなかった事にしよう」
フム…。白銀の話を聞く限り、やはりあのベツィーという生徒にかぐやが何かを言っていたあの時が関係している様だ。
しかし一体、かぐやは何を言ったのだろう。自分で凹む程の事とは一体。全く想像がつかない。
「ただまあ、俺の悪口に怒ってくれたって事だけは解る」
そして、耳に入ってきた白銀の台詞で総司の中で全ての合点がいった。あのベツィーという生徒は校長の指示で白銀に悪口を叩きつけていたのだろう。校長から聞いた異名を考えれば、相当きつい事を言っていたに違いない。
かぐやはその悪口を聞いて怒ったのだ。そしてベツィーのものとは比べ物にならないおぞましい悪口をベツィーに向けて放ったに違いない。フランス語で。
だから白銀はかぐやが何を言っていたのか解らなかったのだ。ベツィーが自身に悪口を言っていた事は雰囲気から読み取れたようだが。
「…ありがとな」
「会長…」
横目で二人を見る。何とも心暖まる光景だ。
かぐやが立ち上がり、作業をする白銀に向かって微笑む。
「会長?私、会長のそういう所が────ですよ」
「」
総司の思考が停止した。いや、元からかぐやの気持ちなんて知っていたのだが、実際にかぐやの口から聞いたのは初めてだった。
初めてだった故に、思考が沸騰した。
ここで言っておこう。四宮総司はシスコン気味である。だから総司は気付かなかった。かぐやの台詞は飽くまで白銀の性格の一部分に対してのものだという事に。
それでも、かぐやがそう言った事は大きな進歩ではあるのだが。
「ん?何?何て言った!?」
「内緒です」
「ちょっ、やめろよそういうの!気になるだろう…が?」
かぐやが何か、日本語ではない言語を言った事は解ったのだがその意味が解らなかった白銀がかぐやを問い詰めようとする。
だがそこで、白銀は肩を掴まれた。
「そ、総司…?」
「白銀」
微笑んでいる。微笑んでいるのだが、目は笑ってない。更に何やらおぞましい何かを発生させている総司にたじろぐ白銀。
「俺の屍を越えない限り、赦さんぞ」
「何が!?」
「総司っ!」
「え?何かあったんですかー?」
肩を掴む手に力を込める総司。総司に睨まれ震える白銀。総司を叱咤するかぐや。そして戻ってきて、何が起きたか解らないでいる藤原。
彼等は以降、ほとんど片付けが進まず校長に謝罪し、片付けを明日に持ち越す事になったという。
もう何も辛くないは悶えている(かわええええええええ!!!!)