四宮総司は変えたい   作:もう何も辛くない

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 原作ではアホの子描写が多い藤原ですが、原作を何度も読み返す中で私が抱いた藤原への印象の一つとして、頭が良いというのがあります。
 普段はぽわぽわしていますが、スイッチが入るとかぐやを欺き、会長すら騙し掛けるという力の持ち主です。ngワードゲームではかぐやに完勝し、神経衰弱では会長を追い詰め、それなりに洞察力のある石上に関しては完全に欺いています。
 ミコ?あの子はチョロすぎなので除外で…。

 という事で、私は藤原はアホの子ではなく、ONとOFFの差が激しすぎるのだと思っています。
 以上の事を踏まえて今回の話を読んでください。m(_ _)m


そして二人は強敵(とも)となる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別に一人が二人になった所でどうという事はない。初め、総司はそう思っていた。二人を家へ…、一人はその家に住んでいるのだが、招き、二人を自室へと入れ、テーブルを出し、さあ勉強をという所で早坂が口にした一言がこれだ。

 

「へぇ…。昨日も四宮君の部屋で勉強したんだ」

 

 ニッコリと、だが何故か迫力のある笑顔で藤原に声を掛ける早坂。

 

「はいっ。二人で、総司君の部屋で、勉強しました!」

 

 それに対して藤原もまた、笑顔で返答する。その笑顔も、何故か迫力溢れるものだったのだが。

 それと、何故藤原は二人での所と総司の部屋での所を強調したのだろうか。

 

「ふーん…」

 

「えへへ…」

 

「…ちょっと待っててくれ。使用人にお茶を持ってくるよう言ってくる」

 

 総司は二人にそう言うと、静かにその場から立ち去った。扉を開け、部屋を出て、そこから少し離れた所まで歩き、立ち止まった。

 

「赤木、赤木、いるんだろ。来い」

 

「如何なさいましたか、総司様」

 

 立ち止まった総司はすぐに赤木を呼ぶ。総司に呼ばれた赤木も近くにいたのだろう、即座に総司の傍までやってくる、

 

「助けてくれ赤木。お前が必要だ」

 

「…如何なさいましたか」

 

「早坂と藤原が怖い。何であんなギスギスしてんだ。お前も来て協力してくれ」

 

「…」

 

 総司の指示に応えない赤木。

 

 実はこの男、先程の総司の部屋でのやり取りを聞いていた。女の戦いをし始めた二人と、その事に全く気付かない総司。それどころか恐怖を抱き、他者に助けを求めるとは。

 

 まあ、気持ちは察せない訳ではないが。

 

「総司様はお二人の勉強を見ると決めたのではないのですか?」

 

「藤原の勉強はそうだが、早坂に対しては違う。ていうかあいつ本当にどうしたんだ。そこも聞きたかったのに、怖くて聞けなかったぞ…」

 

「…」

 

 総司はよくかぐやは丸くなったとか、それを通り越してポンコツになっちゃったなんて言っていた。赤木はそれには同意するが、同時にこうも思う。あんたも大概だ、と。

 

「総司様の危惧している所は解りますが、早坂の擬態は完璧です。そうバレる事はないでしょう」

 

「…まあ、な。だが藤原に関しては別だ。バレる可能性が高くなる」

 

 赤木が言う事も解る。今日、ギャルモードの早坂が公衆の面前で総司に勉強教えてと言ってきたが、恐らく周囲の生徒には勇気があるな、程度にしか思われていないだろう。

 だが、藤原は別だ。これから数日、放課後にこの家で集まり、勉強していくのだ。早坂がボロを出すとは思えないが、絶対はない。バレる可能性は高くなる。

 

「それでは、早坂は断るのですか?」

 

「…いや、それは」

 

 赤木に問われる。確かに、一番確実なのは早坂はお断りする事だ。今ならまだ間に合う。今日だけ、という条件で明日からはお断りという事にすればまだ。

 しかし、その決断を今の総司は下せない。昔と違って早坂に情を抱いてしまった今の総司では。

 

「…早坂には念を押しておくか」

 

「それが一番かと思われます」

 

 総司の精神衛生上、一番の方針はギャルモードに擬態させたまま早坂も勉強会に参加させる、だ。赤木の後押しもあり、総司はその方針でいく事を決断する。

 

「赤木、三人分のお茶を用意しておいてくれ。俺は戻る」

 

「承知致しました」

 

 赤木に指事を出し、総司は自室へと踵を返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は総司が部屋を出る所まで遡る。パタン、と響き渡る扉が閉まる音。そして、部屋に残された二人の少女。

 総司が立てたテーブルを挟んで、早坂と藤原は睨み合っていた。

 

「早坂さんは、総司君とはいつからお知り合いなんですか?」

 

 先に仕掛けたのは藤原だった。ニッコリ笑い、首を傾げながら早坂に問い掛ける。

 

「えっとねー、五歳の時からかなー?」

 

 ギャル口調で答える早坂。正直、割と危ない答え方ではある。総司、かぐやとは学校では知り合いではあるが、友人までとはいかないという微妙な距離感を保ってきた。そんな三人が幼少の頃から知り合いだったと知ったのは、四宮関係者以外では恐らく、藤原が初めてではないだろうか。

 

「そうなんですか?なら、この家にも何度か来てたりするんですか?」

 

「んーん。それは初めてだけど?」

 

 再び問い掛ける藤原。その問いに対しては否定の返事を返す早坂。

 

「おかしいですね~」

 

「えー?何がー?」

 

「早坂さん、初めてにしては随分この家の廊下を歩き慣れている様だったので…」

 

「っ」

 

 しまった、と内心で叫ぶ早坂。確かに思い返せば、早坂は総司の隣でこの家の廊下を歩いていた。総司と一緒に、総司の部屋へ繋がる通路を、曲がる箇所があれば総司とほぼ同じタイミングで曲がった。

 確かに初めてこの家に来たにしては不自然すぎる。だが、その違和感に気付けるこの藤原もまた何という洞察力か。

 普段、早坂が見てきたぽわぽわふわふわしている藤原からは考えられない。

 

「早坂さん。ここに来たのは初めてじゃないですよね?多分、何度も…それこそ、ここに住んでるって言っても良いくらい歩き慣れてるんじゃないですか?」

 

 いつもの柔らかい雰囲気はどこへやら。真剣な眼差しで早坂を問い詰める藤原。

 一方の早坂は何とかこの追求から逃れる一手を探るも、全く思い付かない。というより、詰んでいるのだ。藤原はすでに確信している。早坂と総司を繋ぐ、何らかの関係がある事を。

 

「…」

 

 両目を瞑る早坂。そのまま数秒の間、目を閉じたまま動かない。

 その間に早坂は、自分を切り替えた。

 

「驚きました、千花お嬢様。ご明察です」

 

「…へ?」

 

「まさか千花お嬢様にバレてしまうとは…。正直、想像もしていませんでした」

 

「あ…え?は、ハーサカ君?」

 

「はい」

 

 戸惑う藤原。微笑みを以て藤原の問い掛けに頷く早坂。

 

 早坂、イケメン執事モード。

 藤原は数度この家に遊びに来た事がある。その時、早坂は男装をし、執事の格好で藤原と会っていたのだ。その時の偽名が、ハーサカである。

 

「…どぇぇぇえええぇぇぇええええええ!!!?」

 

 目をまん丸くして仰天する藤原。今度は先程までのシリアスな雰囲気はどこへやら。いつもの柔らかぽわぽわな藤原が帰ってきていた。

 

「は、ハーサカ君!?あれ!?でもハーサカ君は男の子…あれぇ!?」

 

「私の男装だったんですよ、藤原さん」

 

「…ええええええええええええええええ!!!?」

 

 再び驚きの叫びを上げる藤原。無理もない、ずっとハーサカをイケメン執事だとばかり思っていたのだ。それがまさか女子の男装だったなんて、想像もつくまい。

 

「そ、それじゃあ、早坂さんは…」

 

「はい。…かぐや様の近侍です」

 

 もう正直に答えるしかなかった。まさかこうなるとは。いずれ誰かに見破られるにしても、それがまさか藤原とは。

 

「…かぐやさんのお付きが、総司君を」

 

「…はい」

 

 もう否定するつもりも誤魔化すつもりもなかった。早坂愛は、四宮総司が好きである。

 そして、早坂は確信する。目の前の少女もまた、自分と同じ人を──────

 

「負けません」

 

 先程、早坂を問い詰めた時と同じ目だった。だが、その口許は微かに笑みを浮かべていた。

 

「…私も、何もしないまま身を引くつもりはありません」

 

 早坂もまた、笑みを浮かべて藤原の宣戦布告に応じる。

 そう、もう少し前までの自分とは違う。たとえこの先に総司と結ばれる未来がないとしても、何もしないまま負けを認めるつもりはない。

 

 二人が好戦的な笑みを向け合う中、ガチャリという音と共に扉が開かれる。

 

「いやー、待たせたな。すまん」

 

「いえ、お気になさらず。総司様」

 

「おう。…?っっっっっ!!?」

 

 綺麗な二度見だった。一度目は少し不思議そうに、そして二度目はすぐ傍に藤原がいる事も忘れ、動揺を隠せぬまま早坂の方を見開いた目で見た。

 

「はや、はやさ、早坂!?」

 

「すみません。藤原さんにバレてしまいました」

 

「はぁ!?」

 

 バッ、と首を回して藤原を見る総司。総司の視線を受けた藤原は、照れ臭そうに頭を掻きながら、えへへーなんて言って笑っている。

 

「え、いや…、え?は?」

 

「おー。総司君がここまで動揺してるとこは初めて見ます」

 

「私もです。藤原さん」

 

「いや、何でお前らそんな仲良く…、いや、とにかく何があった!?詳しく話せ!」

 

「嫌です。かぐや様にはお話するつもりではいますが、総司様にはお話しできません」

 

「そうです。これは乙女の秘密なんです。男の子には教えられません」

 

「えぇ~…。そういう問題じゃないんだけどな~…」

 

 頭が痛むのだろう。手で頭を押さえる総司。その様子を見た藤原が口を開く。

 

「大丈夫です、総司君。この事は、他の誰にも言いません」

 

「…」

 

「誓います。総司君に嫌われたくはありませんから」

 

「…信じるぞ、藤原」

 

 誰にも言わないと誓った藤原は、総司の言葉に笑顔でハイッ、と答えた。

 そしてこれ以上はもう何も言うつもりはないらしく、総司はテーブルの前で腰を下ろして二人を見上げた。

 

「それじゃあ始めるぞ。二人とも教科書出せ」

 

「はーい!あ、そうです早坂さん。今回の期末試験で勝負しましょうよ!」

 

「良いですね。それじゃあ、勝った方は総司様を好きにできるという条件でどうでしょう」

 

「乗った!」

 

「ホント、仲良くなったなお前ら…。でも、人を勝手に賞品にするな。やめろ」

 

 結局、その条件は総司が許可を出さなかったため不採用となった。その後、勝った方は総司にお菓子を奢ってもらえるという条件で許可を貰い、勝負する事となった二人。

 試験当日、どちらが勝ったかは想像にお任せしよう。

 

 

 

 

 

 

 ちなみに藤原が帰った後、家に帰ってきたかぐやに藤原に使用人の事についてバレてしまったと告げると、かぐやは総司と全く同じ反応をしたという。




強敵と書いてともと読む…。良いよね!bグッ
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